脚本:面出明美 絵コンテ:斧谷稔 演出:森邦宏 作画監督:重田敦司



研究員A 「逃げろ、倒れるぞ!」
研究員B 「噴火も始まったのか?」
カナン 「大丈夫?勇」
勇 「大丈夫だ。カナンこそどうなんだ?」
カナン 「勇のような無茶はしないわ」
勇 「プレートか」

ノヴィスクルーA 「カーテン発生まで、後100秒」
ノヴィスクルーA 「カーテン発生します。80秒前!」
作業員 「ええ?どうなってるの・・・?」
副長 「ノーマルエンジン停止」
副長 「オーガニック・エンジンの始動テストだよ、カーテン出たらやってみる。電波障害が出なけりゃ良いんだ」
アノーア 「オーガニック・エンジンか」
ノヴィスクルーA 「カーテンきます。2、1・・・」
副長 「オーガニック・エンジン始動」
作業員 「電波障害が出てます!」
副長 「オーガニック・エンジン、動きました」
副長 「まだこれだ。ノーマルエンジンに切り替えろ!こんなので現代の箱舟っていうんですか、ノヴィス・ノアは?」
アノーア 「偽装中なのに10秒は動いたのだ。順調ですよ」
ノヴィスクルーB 「微震キャッチ」
アノーア 「イランド発進。周辺のプレートチェック」

国連軍A 「よし」
国連軍A 「アンチボディーだな。グランチャータイプだ」
国連軍B 「あんなのが本当に海の中から出てきたのか」
勇 「これもビープレートとは違うな」
カナン 「どちらにしても、プレートは全て回収でしょ」
勇 「真面目だな。そんなにオルファンに認められたいのか」
カナン 「あたしは、グランチャーのパイロットになれた事を誇りに思っているのよ」
カナン 「それにオルファンのリーダーが御両親の勇とは身分が違うでしょ?」
勇 「そんなの関係無いだろ。・・・また地震?」
カナン 「東のほうに新しいプレート・・・?クインシィ・イッサーに照会するわ」
勇 「プレートは全て回収せよ、だろ?」
国連軍A 「あいつ等プレートを運んでるぞ」
国連軍B 「なんて連中だ」

ユキオ 「また余震だ」
アカリ 「今度は近かったんじゃない?」
比瑪 「アカリ、登る道を見つけて」
アカリ 「うん」
ユキオ 「よーし」
比瑪 「せっかく皆の食料も見つかったんだし」
アカリ 「こっちが道になってる!」
比瑪 「最終のバスに乗らないとね」
比瑪 「あれ・・・?」
比瑪 「走りなさい!」
避難民A 「プレートだ!」
避難民B 「こんな所にプレートが出るのか?」
避難民A 「走ってるぞ!」
比瑪 「右に逃げて!」
アカリ 「比瑪姉ちゃん!」
比瑪 「これ以上来てどうするつもりなの!?」
比瑪 「逃げて!」
比瑪 「泣かないでよ、クマゾー!」
比瑪 「プレートからアンチボディが生まれる・・・・・テレビで言ってたリバイバルってこのこと?」
ユキオ 「グランチャーってやつが出来たんだ!」
アカリ 「嘘だぁ・・・」
アカリ 「あれさ、悪い奴じゃないの?」
比瑪 「そういうのって分かってないみたい・・・グランチャーっていうのと違うわ!?」
クマゾー 「比瑪姉ちゃん!」
ユキオ 「駄目だよ!」
比瑪 「この子、優しい目をしてるよ」
比瑪 「ほらね、見ててごらん」
ユキオ 「でもさ・・・」
ユキオ 「駄目だよ!比瑪姉ちゃん!」
比瑪 「この子、生まれたばかりの赤ちゃんなのよ!」
アカリ 「これで赤ちゃん?」
消防士 「そのアンチボディから離れなさい!」
比瑪 「この子は誰かに面倒みてもらいたがってるんでしょ?・・・・ここに入れるの?」
消防士 「何がどうなるか分かっていないんだ!」
比瑪 「調べもしないで!」
比瑪 「ぽかぽかしてる・・・すべすべしてるのに柔らかいなんて。外が見える?」
比瑪 「色んな言葉があった。あなたはどうしたいの?生まれたのならあなた何かしたいんでしょ?立てば、立ってから考えましょ!」
比瑪 「立てるのね!」
比瑪 「立てたのよあなた、落ちついてあなたはちゃんと歩けるわ。さあ、自信を持って!」
消防士 「踏み潰されても良いのか!」
アカリ 「姉ちゃんが乗ってるんだぞ!」
消防士 「何言ってるんだ!」
ユキオ 「何すんだよお!」
比瑪 「うちの子をどうするんです!?」
比瑪 「何があったの?あなた・・・君?」
比瑪 「別のアンチボディ?あれはテレビで見てるのみたい・・・あれ、君の仲間なの?」
比瑪 「動く時はゆっくりよ。物を壊したら嫌われるのよ、君」
勇 「プレートからリバイバルしてる。カナン、グランチャーじゃないぞ」
カナン 「あのブレンパワードにアジャストした人がいるんだ・・・誰なの?」

(アイキャッチ)

比瑪 「そうよ・・・そうなのよ上手じゃない。そうやってゆっくり、落ちると壊れちゃうんだから」
比瑪 「まだ二人いるのよ!ほら君!」
比瑪 「アカリはクマゾーに手を貸して!急いで!」
比瑪 「そうよ。君上手だね、上手よ」
勇 「ブレンパワードを動かしてる?」
カナン 「破壊するよ勇。ブレンパワードにリバイバルしたら撃破するのが規則だ」
勇 「え・・・」
カナン 「ああ・・・・・あっ?」
比瑪 「あなた・・・君、どうしたの?落ちてないわね」
ユキオ 「あ、ああ」
アカリ 「比瑪姉ちゃん!」
比瑪 「あなたねぇ、この子達を落としたら承知しないから!」
比瑪 「そうよ、そのままあたしたちの家のほうへ行くの」
避難民C 「来たぞ!」
避難民D 「声を出すなって!」
比瑪 「大丈夫ね。あれがテレビで言ってたグランチャーなら・・・」
勇 「ブレンパワードに乗っている奴!」
比瑪 「誰の声?どこにいるの?」
勇 「ブレンパワードの事を知らないのに乗るんじゃない!」
カナン 「すぐに降りなさい!不完全なアンチボディは危険なんです!」
比瑪 「この子言う事聞いてくれてるわ!お節介はいいわ!」
勇 「マスコミの言う事なんか聞いてどうする!ブレンパワードは使っちゃいけないんだ!」
カナン 「押さえて!勇!・・・・はっ!?」
カナン 「勇待ちなさい!」
勇 「ブレンパワード!」
比瑪 「な、何よ?」
カナン 「あのブレンパワード、力がある。一体どういう事?オルファンのブレンは魂の無い人形でしかないのに・・・・・勇!」
勇 「貴様ー!」
勇 「・・・はっ?」
アカリ 「な、何か光ったぁ!」
比瑪 「生まれた子が立ちあがって飛びたがってたのよ!それなのに、あなた達が来たおかげでびっくりして恐がってるわ!」
勇 「恐がってる、だって?」
比瑪 「あなた達こそ一体何なの?」
勇 「グランチャーでオルファンの意思を表す者だ」
比瑪 「オルファンって海の中にある遺跡でしょ?・・・君は!?」
勇 「あいつ・・・」
比瑪 「プレートをちゃんと掴んで!人間は落ちたら死んじゃうのよ!」
比瑪 「オルファンなんて!・・・大丈夫ね?」
ユキオ 「大丈夫みたいだけど」
アカリ 「早く降りようよー!」
比瑪 「オルファンなんて世界中に地震を起こしている変な遺跡なんでしょう?女の顔してるとか地球を壊すとかってさ!」
勇 「ペラペラうるさい女がいいかげんな事言うな!」
比瑪 「あたしは、女じゃないわ!宇都宮比瑪っていうのよ!そっちこそ変なものを使ってプレート集めしてるらしいけど、なんでさ!」
勇 「オルファンが必要としているからだ!」
カナン 「勇、下がりましょ!」
勇 「ブレンパワードは不完全なアンチボディなんだろ!」
カナン 「それに、子供を盾にしているのよ」
勇 「うっ・・・」
比瑪 「盾?誰が弟や妹達を盾になんかするもんですか!」
比瑪 「あっ」
ユキオ 「何だ?」
アカリ 「どしたの?」
比瑪 「はっ・・・何?」

アカリ
ユキオ
クマゾー 「はははっ、あははは」
比瑪 「好きにさせると好きに飛んでさ」

比瑪 「降りるの?」
アカリ 「着いた」
クマゾー 「あー」
比瑪 「降りられるわね」
ユキオ 「アカリ、クマゾーに手をかしてやれ」
アカリ 「ほら、我慢よ」
クマゾー 「うん」
直子 「勇とか依衣子ではないの・・・」
直子 「グランチャーではないわ」
比瑪 「か、勝手に降りちゃったんです」
直子 「柔らかくもなく、堅くもなし。でも重い」
比瑪 「ご存知なんですか?プレート」
直子 「ああ、オルファンにいらっしゃる方?」
比瑪 「オルファンって、あの太平洋の海溝で発見された遺跡とかって事ですか?」
直子 「あ・・・良いのよ。良いんですよ」
直子 「倒れたトマトは集めないとね。食べるでしょ皆さん」
アカリ 「あっ・・・」
クマゾー 「トマト」
直子 「うちのは美味しいのよ」
比瑪 「ああ・・・」

テロップ:そして1年後・・・

勇 「俺の誕生日なんて、誰も憶えてないだろうな」
勇 「宇都宮比瑪。確か、そう言ってたよな」
比瑪(回想) 「宇都宮比瑪よ!」
勇 「あれ一年前だぞ。どういう子なんだろう?」
勇 「俺、17才になってしまった。カナン、悪いけど・・・!」

勇 「グランチャー部隊の伊佐未勇」
研作 「個人差のある抗体反応を統一したデータにするんだろう?・・・おう」
翠 「あら、ちょうど良かった。もう一度あなたのデータを取りたいの。準備してくれる?・・・・・なっ?」
研作 「勇!」
翠 「おやめなさい・・・!」
勇 「オルファンが海の中から浮上したら人類はみんな死ぬんだろう?そういうのを手伝う仕事なんかもう嫌だ!」
翠 「あなたもリクレイマーになって7年、オルファン浮上の為に・・・!」
勇 「精神も肉体もグランチャーに合わせてアンチボディになる事は辛いんだぞ!」
研作 「勇!冷静に!」
勇 「親父の研究のおかげで子供が実験台にされたんだ。お袋だって姉さんだってここに来てからまるでオルファンのアンチボディじゃないか!」
勇 「姉さん!」
クインシィ 「裏切り者は!」
研作 「待て!依衣子!」
クインシィ 「私はクインシィ・イッサー。伊佐未依衣子ではない!」
勇 「くっ!」
クインシィ 「逃がすか!」
研作 「依衣子!」
翠 「これが、オルファンの意思だというのですか!」
研作 「そうなのか・・・」

勇 「おい、付き合ってくれるな」
勇 「おまえだって、"光"っていうのを見たいだろう?」
勇 「そうだ、おまえはオルファンにいるような奴じゃない」
クインシィ 「本当なのか?」
警備兵 「シートが捲れてました」
勇 「急げよ。こんなブレンパワードのゴミ箱で金属の塊にはなりたくないだろう」
クインシィ 「ボヤボヤしてるな!」
警備兵 「はっ」
クインシィ 「ブレンパワードを動かしたのか!」
クインシィ 「勇!動かしてぇ!」
勇 「姉さんがおかしいんだ!」
警備兵 「クインシィ・イッサー!」
勇 「良いぞ。そうだ、正面に丸いものが見えるよな?」
警備兵 「ランチャーかバズーカを使いますか?」
クインシィ 「オルファンの中だぞ!グランチャー部隊に発進を用意させろ、追撃させる!」
クインシィ 「外に出たからって!」

勇 「海水がきたぞ。耐圧、かけられるな。・・・ようし、いい子だ!」
勇 「深海7000メートルだ。大丈夫だよ、おまえは潰れていない、強い子だからね。さぁ!行こうか!」
勇 「出来るじゃないか。けどゆっくりは出来ない。頼むぞ!」



→第02話「運命の再会」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106072210349001/
脚本:富野由悠季・高橋哲子 絵コンテ・演出:越智浩仁 作画監督:筱雅律



比瑪
(ナレーション) 「ジョナサン・グレーンさんって、お母さんに会いに来たんだって絶対に思うなあ。クマゾーは何も説明してくれないから、あの人に感化されてなければいいって思うんだけど、わからないなあ。心配しても仕方ないことだからよかった、よかったって言ってるけど・・・」

デッキクルーA 「艦長のせいで大掃除なんて、たまったもんじゃねえよなぁ」
デッキクルーB 「全くよぉ…」

比瑪 「アイリーンさんは、艦長さんの息子さんがリクレイマーだったということ、どう思ってるんです?」
アイリーン 「裏切られたという気分はあるわね」
比瑪 「そうですよね?」
アイリーン 「でも具体的な被害はなかったのだから、問題はないわ」
比瑪 「そうですか?」
勇 「そうだよ。艦長本人には関係のない話だ」
比瑪 「でも艦長って、勇やカナンさんとは立場が違うわ!」
勇 「だからって艦長を、疑うような口ぶりはよくないな」
比瑪 「疑うんじゃなくって!」
勇 「他人が信じられないようじゃ、ここもオルファンと同じになったな」
比瑪 「ノヴィス・ノアはいいところよ」
勇 「いいところで陰口叩くのか?」
比瑪 「殴るわよ!」
勇 「キスするぞ!」
比瑪 「うう、汚らわしいやつ!」
アイリーン 「仲良くなったのね?」
勇 「まさか」

ノヴィスクルーA 「駄目ですね。プレート置き場のプレートは死んでいるとしか思えません」
ゲイブリッジ 「しかしオルファン封じ込め作戦は急ぐ必要が出てきた」
副長 「ですが、現状ではオーガニック・エンジンが臨界に達しません」
ゲイブリッジ 「エンジンは佐世保で修理させる。プレートは各国に協力を要請している」
副長 「バイタル・グロウブとプレートの関係だってまだよく分かってないんですよ?」
ゲイブリッジ 「アンチボディを飛行させる、エネルギーネットがバイタル・グロウブなのだ。そのエネルギーを集約…」
ノヴィスクルーB 「キメリエス、レイト艦長より入電!」
ゲイブリッジ 「こちらに出してくれ」
ノヴィスクルーB 「は!」
レイト 「機動潜航艇からの、索敵報告はありません」
ゲイブリッジ 「そうか」
レイト 「アノーア艦長は、いかがです?」
ゲイブリッジ 「ん?ふふっ。彼女だって、一人になりたい時はあるさ…」

漁師A 「何だあの光?」
漁師B 「朝っぱらから、不知火か?」
漁師A・B 「うわぁぁっ!」

勇 「何してんだ?」
直子 「あぁ。アノーア艦長の様子を見ようと思って来たんだけど…」
勇 「八方美人をやってんだな」
ユキオ
アカリ
クマゾー 「はぁーい!宅配便でーす!」
勇 「うわぁ!」
ユキオ 「ふぅ。…あ~あ、また食べてない」
アカリ 「艦長さーん!お食事ー!」
クマゾー 「まんま、食べろー!」
直子 「アカリちゃん、今は…」
アカリ 「んん?」
クマゾー 「ざー…」
アカリ 「水の音だよね?」
クマゾー 「ちょろちょろちょろちょろちょろちょろちょろちょろちょろちょろ…」
勇 「シャワーじゃない…ロックされてる」
直子 「お声を聞かせてくださいませんか!?」
アカリ 「あたし、ブリッジに知らせてくる!」
クマゾー 「クマゾーも!」
勇 「ええっと…これか!」
勇 「居ない…」
勇 「うっ!」
ユキオ 「な、何?」
勇 「アイリーンさんを呼んで来い!」
ユキオ 「う、うん!」
勇 「急いで!」
直子 「どうしたの?…アノーアさん!」
アノーア 「出て行きなさい。リクレイマーと話すことなど、私にはない」

ジョナサン 「ノヴィス・ノアはビー・プレートの存在も知りませんでした。恐れることはありませんよ」
翠 「判定は私たちがします」
クィンシィ 何そんなに偉ぶってるの?」
ジョナサン 「連中が確保しているプレートの数は大したことありません。何か企んでいたとしても、効果は期待できないでしょう。オルファンが浮上した後は、死滅した地球の海を漂うだけです」
研作 「それは…」
ジョナサン 「皆さん方がいらっしゃるんです。勇君はまともに戦えるわけがない」
研作 「勇はアンチボディである事を忘れていない」
翠 「それに、ノヴィス・ノアの情報でも持って戻ってくれば…」
クィンシィ 「あんた達ドクターはまだそんな甘いことを期待しているのか!?それでは母親丸出しではないか!」
翠 「私はあの子のアンチボディとしての適性に期待しているだけです!それは研究者としての義務だと考えています!」
研作 「女たちは何を考えているのか…」
クィンシィ 「嘘をつけ!ならば勇でなくてもいいはずだ!シラーでも、他のパイロットでも…」
翠 「そうは言ってません!」
研作 「女はモロにオルファンのアンチボディになってしまうのか?」
翠 「この実験結果を…」
クィンシィ 「それは昨日までの話。状況が変わったことをあなたは全く分かっていない!」
翠 「分かっていないのはあなたです!・・・」
クィンシィ 「・・・」
ジョナサン 「あの女はますます抗体化が進んでいる。心底俺のものにしたら、伊佐未夫妻を抹殺させて、オルファンは俺のものだ」

勇 「昨日あなたが見たあれが、あなたのジョナサンなんです。オルファンにいる時も、あいつはあんなものだった。ああいうジョナサンにしたのは…あなただった!」
アノーア 「オルファンで洗脳されたのよ…悪いのはすべてリクレイマーです!そういうところだったんでしょう?オルファンって!」
勇 「あんたがあいつを捨てたから、あんたへの憎しみを人類にぶつけようとしてんだ!」
アノーア 「あたしは捨てたおぼえはありません!あたしが憎いなら何故あの子はあたしに引き金を引かなかったの!?」
勇 「…親を撃ち殺したくなった子供の気持ちが、あんたにはわからないのか!」
勇 「…うっ!」
直子 「アノーアさん?」
アノーア 「寄るな!腕を折るぞ!」
勇 「ぐぅっ…!聞けよ艦長!選ばれた人間以外は死んでもいいなんて間違ってる!そう言いたくっても聞いてくれなかった親は、殺すしかないだろ!」
アノーア 「ドクター伊佐未はそうだろうが、私は愛し続けてるから銃を向けられなかった!」
勇 「ううっ…ジョナサンはママを欲しがってた!ママはいなかった!」
アノーア 「ママは…私…!ああ!!」
勇 「おふくろがいれば、ジョナサンはああはならなかった!」
アノーア 「ああ…」
直子 「アノーア・マコーミックさん」
勇 「ばあちゃん!」
直子 「ま、待ちなさい!…あっ」
アイリーン 「艦長…」
ゲイブリッジ 「アノーア君!」
アイリーン 「勇君、ここには誰も入れないように」
勇 「あ、ああ」

ユキオ 「な、何で、何でさ!」
勇 「いいから」
比瑪 「何があったの?」
勇 「知らない方がいい。…はぁ」
カナン 「何があったの?」
勇 「アイリーンさんとゲイブリッジ司令に任せてある」
カナン 「どうしたの?」
勇 「子供たちは入れないほうがいい」
勇 「何でああなるんだ!女って!」

キメリエスクルー 「機動潜航艇が、オーガニック・ウェーブを捉えました!」
レイト 「アンチボディか?」
キメリエスクルー 「プレートのようですが、動きが上下にブレています」
レイト 「非常警戒だ!ノヴィス・ノアへ伝達!ブレンパワードが必要かもしれん!」

コモド 「オグンの導きは自分でも気付かない役割を示してくれた。イランドも使い方次第では、ブレンパワードの応援もできるようになるはずだし、あんたも見ていてくれるしね。行くわ!」
アカリ 「比瑪姉ちゃんは?」
比瑪 「勇が雲隠れ。一緒にプレート探しに行かなきゃなんないからね」
ユキオ 「どこでサボってるのかなぁ」
クマゾー 「サボってる!」

ラッセ 「よぉ大将、プレートの捜索に行くはずじゃないの?」
勇 「あんたが行ってよ」
ラッセ 「相棒が杖をついてりゃあ、護衛に回るさ」
勇 「いい身分だなあ」
ラッセ 「何拗ねてるんだ?」
勇 「この艦は、オルファン封じ込め作戦なんて考えてるようだけど、ビー・プレートのことも知らない司令の作戦なんてたかが知れてる」
ラッセ 「リクレイマーだってビー・プレートを探してるってレベルなら、分かってないのは同じじゃないか?」
勇 「そうさ。だからオルファンを潰すためにはまずビー・プレート…」
ラッセ 「何言ってんの。勇は結局、カナンや比瑪もあてにしていて、一人で戦っているというんじゃない。現にノヴィス・ノアでメシ食って…」
勇 「ぬぅっ!」
ラッセ 「…怒るなよ」
ゲイブリッジ 「事実ではあるね」
勇 「何ぃ!」
ゲイブリッジ 「チームワークだって捨てたものではないと分かってくれているはずだ」
勇 「無駄なことはしてる暇ないんだ!」
直子 「やってみなくては分からないことは世の中にはいっぱいあるでしょ?」
勇 「それで年甲斐のない恋をしてんだ!?」
直子 「はっ…」
ゲイブリッジ 「ラッセ君、放っておけ!」
勇 「ちっ!」

研作 「本当にノヴィス・ノア側の作戦に可能性はないのか…」
研作 「オルファンが動く。プレートが共鳴する。以前このことを考えたことがあったな…ノヴィス・ノアにビ・ープレートがあれば…!」

ヒギンズ 「出現位置はこの辺りだけど…」
カナン 「気まぐれなプレートみたいね」
ヒギンズ 「無駄足かぁ。散歩でもしてこっか、ブレン」
カナン 「機嫌いいのね。どうしたの?」
ヒギンズ 「あなた、さっきラッセと一緒にいたでしょ?」
カナン 「え?…ええ」
ヒギンズ 「ああいうあなたなら信頼出来るわ。孤独じゃない女は、強いもの」
カナン 「ヒギンズ…」

アイリーン 「ノヴィス・ノアのパイロットがひとつに統合されていく、気のようなものがあります」
アノーア 「艦長がふがいないのに?」
アイリーン 「艦は一人が動かしていくものではありません。子供たちも自分の役割はちゃんと…」
アノーア 「親にも役割があるんだろうがね」
アイリーン 「やり直せますわ、どんなことでも」
アノーア 「…言うのは容易いが」

キメリエスクルー 「オーガニック・プレート感知!ノヴィス・ノアを追尾するコース!」
レイト 「えぇい。いつ回り込まれたんだ!?ノヴィス・ノアへ緊急連絡!」

(アイキャッチ)

副長 「プレートが本艦を追尾している?」
ノヴィスクルーA 「イルカが、艦を追うような感じだと…」
副長 「ん?」
アノーア 「状況はどうなっている?」
ゲイブリッジ 「アノーア君、気分はいいのだね?」
アノーア 「迷惑をおかけ致しました」
ゲイブリッジ 「声を聞いて安心した」
アノーア 「ありがとうございました」

コモド 「灯台下暗し、ってことわざがあったね」
イランドパイロット 「なんですか?」
コモド 「比瑪に聞いたんだよ。艦に戻るよ!」

レイト 「コースのデータを送ります!プレートの現在位置はノヴィス・ノアの後方約100キロです!」
アノーア 「双子とイランドを出したのか?」
副長 「呼び戻してます。ラッセと勇を出します」
アノーア 「任せる」
レイト 「艦長。お体、もうよろしいんですか?」
アノーア 「ああ。心配かけたな」

ラッセ 「よぉよぉ、今度はついてくるのか?どういうわけだ?」
勇 「メシ代ぐらい働くさ。勝手に覗くな!」
ラッセ 「わかったよ」
勇 「何故ノヴィス・ノアを追ってるんだ。そういう動きをするのがビー・プレートなのか?
…ったく!データ無いもんな…あれか?」

ラッセ 「プレートを捕捉しました!映像を送ります!」
アノーア 「海中を走る不知火か」
副長 「なんだって?」
アノーア 「どうした?」
副長 「グランチャーの影があるようだと?艦長!」
アノーア 「ブレンにはグランチャーを牽制させる!プレート回収にはウェッジを出す!」
比瑪 「プレートを回収する?無理じゃないんですか!?」

デッキクルー 「うわっ!」
アノーア 「名誉挽回のためにプレートの回収ぐらいはしてみせる」
比瑪 「お前もなにか感じる?なにかが起こるのね?でも今はグランチャーの相手が先なのよ!」

ゲイブリッジ 「アノーア君が元気になってよかったが、グランチャーの影か」
副長 「プレート周辺からは反応が消えました」
ゲイブリッジ 「しかしプレートはまだ近くにいる。我々の動きを読もうとしているプレートかも知れん」
ノヴィスクルーB 「帰還中のヒギンズ機より入電!グランチャー発見!」

カナン 「このグランチャー達プレートを捕まえるつもりなのね?…ということは、特別なプレートなの?」
ヒギンズ 「上からの攻撃では…」
カナン 「誘い出します、いいわね?」
ヒギンズ 「きた!」

勇 「グランチャーが3機も?」
ラッセ 「カナンとヒギンズだけなら援護にいく!」
勇 「一人で行ってくれ。俺はプレートが気になる」
ラッセ 「どういうことだ?」
勇 「あれがビー・プレートだったらウェッジで捕らえられるわけがない。頼む!」
ラッセ 「わかった!」

アノーア 「あの光、ノヴィス・ノアを追っているということは…オーガニック・エンジンと共振しようとしているのか」
副長 「艦長!ブレンチャイルドチームがグランチャーと戦闘に入りました!艦に戻っ…」
アノーア 「ウェッジ部隊はプレートを捕獲します!」

勇 「ノヴィス・ノアはウェッジに何やらしてんです!司令の命令ですか?
え?…冗談!?艦長がウェッジを操縦してる?」

アノーア 「ネット射出!」
アノーア 「よーしいけるぞ!」
勇 「こんなことで捕獲できるのか!ビー・プレートが!」
勇 「ワイヤーを切れ!」
アノーア 「ノヴィス・ノアに引っ張って行ってやるー!」
アノーア 「誰がプレートごときに引きずり込まれるかー!」

フィジシスト 「移動プレートを追跡中の部隊が、ノヴィス・ノアのアンチボディと交戦中!」
クィンシィ 「ジョナサン、もう一度出撃しろ。この動きはオルファン浮上の邪魔になる」
シラー 「クィンシィ・イッサー!ノヴィス・ノアのブレンパワードはカナンや勇も使いこなしていました。ということはあれは我々のものにできるはずですから、私が行きます!」
クィンシィ 「ジョナサン、急げ!」
シラー 「クィンシィ・…うっ!」
クィンシィ 「私の命令が聞こえていなかったのか!」

カナン 「ラッセ!プレートはどうしたの?」
ラッセ 「勇に任せている!」
カナン 「勇一人に?」
ヒギンズ 「カナン!前に牽制を!」
比瑪 「勇一人で大丈夫なんですか?わっ!」

アノーア 「あぁ、あの光はジョナサンも見た光!なら同じ光に包まれたあたしなら、ジョナサンに本当の母親の愛を見せてあげられるわ!」
勇 「艦長!こんなところで死ぬつもりなのか!あのプレート、普通じゃない!艦長!ワイヤーを切れ!」
アノーア 「あぁ!呼んでる!あたしを呼んでる!ジョナサーン!」
勇 「艦長!無茶するな!」
アノーア 「うああー!!」
勇 「うわぁー!」
勇 「プレートのオーガニック・パワーが強過ぎるのか?どうしたブレン…やってみるっていうのか?」

ヒギンズ 「この子の力じゃ、まだグランチャーに太刀打ち出来ない!え?何?潜るの?…潜れっ!」
レイト 「撃てぇー!ヒギンズ、聞こえたぞ!」
ヒギンズ 「お利口さん、ヒギンズ・ブレン!」

勇 「やれるな、ブレン!」
勇 「うおああああー!」
アノーア 「ジョナサーン!ジョナサンの温もりをいっぱいに感じる!あたしはママンよー!」
アノーア 「ジョナサンが呼んでいるのよ!」
勇 「母親ごっこはやめろぉー!」
勇 「うわっ!」
アノーア 「ああぁー!」
勇 「プレートのやつ!何故行っちまうんだ!」

シラー 「リクレイマーの真の統括者であるガバナーのことを、クィンシィ・イッサーは考えたことがありますか?」
クィンシィ 「お前がそんなことを言うのか?」
シラー 「私は我侭だったので失敗を繰り返したと反省しています。ですからガバナーの遺志に従うことで自分をよりよいグランチャー乗り、つまりアンチボディにしたいと考えました。そしたら…」
クィンシィ 「ガバナーからグランチャーの指揮を任されているのは、私なんだ」
シラー 「嘘でしょ?親の七光りでやってるだけ…」
クィンシィ 「シラー!」
シラー 「ジョナサン、あたしと一緒に作戦に出てくれないか?」
クィンシィ 「シラー・グラス!」
フィジシスト 「クィンシィ・イッサー!」
クィンシィ 「うるさい!何だ!」
フィジシスト 「追跡隊2機、大破!プレートの反応も、消えました…」
クィンシィ 「な…に?」
ジョナサン 「なんて追跡部隊だ!」
クィンシィ 「くっ!…もういい。次の作戦は私が出る!」
ジョナサン 「ふっ…ははは…」

翠 「プレートの共振をオーガニック・エンジンで増幅して、バイタル・グロウブとのネットでオルファンを止める」
研作 「となると、ノヴィス・ノアはプレートを随伴艦に分散するだろう。アイデアを出したのは桑原だろうな」
翠 「桑原君ってオーガニック・エンジン開発の時には良いアイデアを出したわね?」
研作 「奴がノヴィス・ノア建造に関与していることは間違いない。連中はオルファン封じ込め作戦を考えている。その実態は確かめないとな」
翠 「いいの?恋敵だったんでしょ?」
研作 「殴られるのは覚悟しているさ」

コモド 「他のクルーは?…ん?」
比瑪 「勇!艦長さんは?見つからないの?」
勇 「上から見つからなかったら、こっちでわかるものか」
勇 「あのプレート、迎えに来たんじゃないのかな?」



第09話「ジョナサンの刃」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201011031503444896/
 →第11話「姉と弟」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201108292229055419/
脚本:隅沢克之 絵コンテ:土器手司 演出:渡邊哲哉 作画監督:重田敦司



比瑪
(ナレーション) 「寄港地の偉い人はノヴィス・ノアやブレンパワードを見ても何が起こるか想像することはできなかった。でも、あたしたちはリクレイマーのスパイを追い出したりしながらブレンパワードたちが仲良くなっていくと感じた」

勇 「こういう事にブレンを使うのなんでOKしちまったんだろ、俺」
比瑪 「もっと丁寧にやってよ!」
勇 「わかってます!」
比瑪 「あれ?」
勇 「なんていう光り方をしてんだ」
比瑪 「正気かしらね?」

アノーア 「なんて色」
ノヴィスクルー 「船舶ナンバーによればミスター・モハマドです」
アノーア 「若いのに理事長になった?」
ノヴィスクルー 「ビジネスの話をしたいらしいですね」
アノーア 「ビジネス?」

アノーア 「冗談ではない!」
モハマド 「はい、本気です。黄金はこの50倍をトラックに用意してあります。これでノヴィス・ノアを買います。いやいや、買うといっても究極の指揮権を譲渡していただきたいのですよ」
アノーア 「ミスター・モハマド。あなたがアラブ経済界の重鎮である事は存じております」
モハマド 「オルファンが動き出す危機を我々は深刻に受け止めているのです。中東各国もこの未曾有の危機を乗り越えるためにもう一隻建造させ・・・」
アノーア 「ノヴィス・ノアは国連所属の軍艦です!民間人がこの船の指揮権を得る事はありません!ましてや特定の民間人のために特別の行動をとる事はありません!」
直子 「失礼いたします。お茶をお持ち致しました」
クマゾー 「ケーキも!」
モハマド 「ほう。軍艦というお話でしたが民間人のクルーもおられるようですなぁ」
直子 「今日届いたばかりの新茶を・・・」
クマゾー 「ケーキ!あっ!」
ジョナサン 「っ・・・こ、この・・・」
直子 「ご、ごめんなさい」
ジョナサン 「い、いい!触るな!」
直子 「はっ!」
ジョナサン 「動くな!」
ゲイブリッジ 「直子を放せ!」
アノーア 「ミスター・モハマド!」
モハマド 「き、貴様は!?」
ジョナサン 「挨拶が遅れました、私はジョナサン・グレーン。リクレイマーのパイロットです」
アノーア 「ジョ、ジョナサン?ジョナサンだというの?なんであなたが?」
アノーア 「リクレイマーって・・・あなたいつから?」
ジョナサン 「近づくな!この爆薬はこの船の1ブロックくらい簡単に吹き飛ばしてしまうぞ」
アノーア 「ジョナサン・・・あなたっていう人は・・・!」
ジョナサン 「息子がバラバラになる姿なんて見たくないだろ?ママ」

シラー 「あそこにカナンも入ったってのか・・・カナンは勇の教育係みたいなものだったから、こうなるのも解っちゃいたけどさ。
ジョナサンの奴、ビー・プレートを確認するだけじゃなくて、ノヴィスのオーガニック・エンジンの実態を調べると言って張り切ってたけどさ」

副長 「おお艦長、補給は概ね完了です。これで当分・・・ん?何です?」
ジョナサン 「なんでしょうかねえ!」
副長 何だ・・・おわっ!」
ジョナサン 「たった今、このノヴィス・ノアの究極の指揮権を持った者だ」
ゲイブリッジ 「手出しはするな!全員吹っ飛ぶぞ!」
ジョナサン 「流石提督。さて副長、管制標示を・・・あっ」
アノーア 「あ・・・」
ジョナサン 「まだこんな物持ってたのか!あんたみたいな女が!こんな物持つ資格は無い!」
アノーア 「母親が、子供のカードを持っていて・・・」
ジョナサン 「あんたはこれを持つ資格は無い!」
アノーア 「お前が10の時にプレゼントしてくれたのに・・・」
ジョナサン 「よく憶えてるから怒ってんだ!あの時だってママンは家に居てくれなかった!あんたにはカードを持ってみせるような見せ掛けの愛しかない!こんな事やられたって、子供にはわからない!伝わらないんだ!男との愛情を育てるのを面倒がった女は、子供との愛情を育てるのも面倒だったんだよなあ!だから俺を捨てて、仕事に逃げたんだ!」
アノーア 「あなたを愛してるわ・・・」
ジョナサン 「今、何やった!?」
艦内アナウンス 「これより全ての操作はアノーア艦長の音声確認が必要となります」
ジョナサン 「やるね、ママン」

ヒギンズ 「非常警戒といっても、潜入したリクレイマーはまだ艦内にいるんでしょ?」
ラッセ 「いるんだよな?」
デッキクルー 「らしいぜ!」
ヒギンズ 「だったらどこへ出撃しろっていうの?」
ラッセ 「近くにグランチャーが待機してるかもしれないだろ!」
ヒギンズ 「内と外?」
デッキクルー 「イランドは上空待機!」
勇 「何の非常警報が出たんだ!?」
カナン 「またリクレイマーに潜入されたらしいわ」
勇 「何やってんだ!」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん!」
アカリ 「クマゾーが連れてかれたぁ!」
比瑪 「リクレイマーにか?」
アカリ 「ジョナサンとかって奴に!」
ユキオ 「艦長さんも指令も、変な外人も捕まったんだ!」
カナン 「本当なのね?比瑪ちゃん、ジョナサンって」
勇 「ったく!」

ジョナサン 「んな子供騙しのセキュリティなど、すぐに解除してみせる」
アノーア 「殺したいのなら、そうしなさい。それであなたの・・・気が済むのなら!」
ジョナサン 「よくわかってるじゃないか。なっ・・・」
アノーア 「クマゾー君!」
ゲイブリッジ 「君!君・・・!」
ジョナサン 「このガキが!」
ゲイブリッジ 「まあ、待ちたまえ。君の探している物はひょっとすると、ビー・プレートではないのかね?」
アノーア 「ビー・プレート?」
ジョナサン 「ビー・プレートは我々オルファンに必要不可欠な物だ」
ゲイブリッジ そう、そうならば、だがね・・・どうだろう?私が君をプレートの格納庫まで案内して・・・あっ、艦長」
アノーア 「はい、指令」
ジョナサン 「いいだろう。だがそれまではあなた方全員が人質です」
モハマド 「き、君。そのなんとかプレートと言うのは無いが、金ならある。これで何とか助けては・・・」
モハマド 「あっ!あなたは・・・!」
副長 「本当に撃った・・・」
ジョナサン 「あんたって奴は典型的な方だなぁ!そこの坊やのほうずっとが人間が出来てる」
直子 「偉いってお兄さんが褒めてくださってるわ、クマゾー」
クマゾー 「う、うん」

カナン 「聞いた?アノーア艦長がジョナサンのお母さんだったんだって」
比瑪 「冗談言ってんでしょ?」
勇 「知らねえぞ?」
カナン 「アノーア艦長の事を憎んでるのは確かよ」
比瑪 「お母さんだったら憎むわけないでしょ!?」
カナン 「そうよねえ、アノーア艦長みたいなお母さんだったら何も不満はないよね」
比瑪 「一緒にいれば、親子の愛情なんて育てられるじゃない。私なんかいっぱいお母さんがいるから・・・」
勇 「迂闊に手は出せなくなった、どうすればいい!?」

ゲイブリッジ 「さあ入りたまえ」
ジョナサン 「先に入るのが諸君の立場だろう?
そっちの旦那も!」
ゲイブリッジ 「人質は私と艦長だけで十分だろ?他の人たちはここで解放したまえ!」
ジョナサン 「坊やもおばあちゃんも副長も入って!
そうだ。お二人は並んで中へ入れ!」
ゲイブリッジ 「優秀な男だな君の息子は」
アノーア 「申し訳ありません」
ジョナサン 「どれだ!どれがビー・プレートだ!?」
アノーア 「ビー・プレートがどれか、私達には分からないのは知っているのではなくて?」
ジョナサン 「何?」
ゲイブリッジ 「それはそうだろう。ビー・プレートの存在を仮定したのはオルファンの研究者達からで、その詳細は我々には知らされて・・・」
ジョナサン 「なぜ閉めた!」
アノーア 「オートセーフティーロック。もう外には出られないわ」
モハマド 「私はどうなる!?・・うおっ!」
ジョナサン 「人間の作ったシステムだ!どうとでもなるはずだなぁ?ママン」
アノーア 「そういう甘さを排除しています」
ゲイブリッジ 「そうだ。直子さんには申し訳ないが付き合ってもらう事になる」
直子 「あなたとなら、何処までも」
ゲイブリッジ 「ありがとう。しかしクマゾー君には本当に短い人生になってしまって申し訳ないな」
クマゾー 「うふふ」

勇 「まるでキャッチできない」
カナン 「なら、方法はひとつね。エナジーチューブに平行してる通気口がプレートの保管庫に繋がってるわ。これを使えばいいんだけど・・・」
比瑪 「どうしたの?いいアイデアじゃない?」
カナン 「狭いのよ」
比瑪 「あ、そうか・・・」
アカリ 「通気口使って何すんだ?」
比瑪 「いいの!」
ユキオ 「プレートの倉庫に行ってさ、ジョナサンを倒す!俺、やる!」
アカリ 「あたしも!」
比瑪 「バカ言いなさい!そんな危ない事させられる訳ないでしょ!」
ユキオ 「クマゾーと直子ばあちゃんが捕まってんだぞ!」
アカリ 「私達しか行けないんだったら私が行って戦うよ!」
比瑪 「いいの?」
勇 「可愛い子には冒険させろって奴さ。頼むぞ!二人とも!」
ユキオ
アカリ オッケー!

(アイキャッチ)

モハマド 「なあ君、私にもしもの事があると世界規模の大恐慌が起きてしまうのだ。私と取引しないか?私が君のためにノヴィス・ノアを買い上げて、場合によってはオルファンも買い取ってもいい」
ジョナサン 「黙れ!」
直子 「あっ・・乱暴はお止めなさい」
アノーア 「あなたは大変聡明な方の遺伝子を受け継いでいるのよ。こういう行動がどんなに馬鹿げているかわかるはずです」
ジョナサン 「あんたは男と女の愛情なんかより、まだ遺伝子の方を信じてるんだなぁ!それで天才の精子を買ってシングルマザーになったが、この俺の気性はその天才の遺伝子を受け継いだからじゃないのかね?アハハハハハッ!」
アノーア 「それは・・・私の遺伝子に問題があったからよ!精子のほうの問題ではない!」
ジョナサン 「だったら!自分に欠陥があるのなら子供なんか作るな!俺の前で母親面なんかするんじゃない!・・・うっ?」
直子 「ジョナサンさん、そうやって憎まれ口を叩けるのも命を与えてくださったお母さんがいらっしゃるからでしょ!」
ジョナサン 「・・・男を一人も愛さなかった女をどうして母と呼べる!」
ゲイブリッジ 「いや!艦長は毎日君の事を想っていたぞ!」
ジョナサン 「勝手に想ってるだけの想いなど子供に伝わるわけがないだろ!」
クマゾー 「ううう」
モハマド 「うう・・・」
ジョナサン 「・・・くああああ!!」

アカリ 「ユキオ、大丈夫?」
ユキオ 「僕は男の子だぞ!」
アカリ 「私だって女の子よ」

カナン 「やってくれるわ!」
比瑪 「勇はブレン使うんでしょ?」
勇 勇「あ、ああ」

シラー 「ふあああ・・・潜入して2時間もすれば戻ってくると言ってたのに」

勇 「データ、出ました?」
アイリーン 「呼び出すの面倒だったけど」
勇 「厚さは25ミリか」
アイリーン 「持久戦にするしかないでしょ。敵が疲労したところで強行突入するのよ」
勇 「そうですか」
アイリーン 「勇?どうするつもりなの?」
勇 「それじゃあクマゾーがかわいそうですよ」

直子 「もう少しの辛抱よ、比瑪お姉ちゃん達が必ず助けに来てくれますからね」
ジョナサン 「なんてノイズの多い計器だ」
副長 「ん!よっ、あ~ああ」
ジョナサン 「モゾモゾ動くんじゃない!」
副長 「ストレッチくらいさせろよ」
ゲイブリッジ 「副長、人質だということをわきまえないと最初に殺されるぞ」
ジョナサン 「これが国連が信託している軍艦か!」
ジョナサン 「走るんじゃない!・・・おしっこならその辺でしちまえよ。
チンチン出してやるから、壁際でな」
クマゾー 「お兄ちゃん、お母ちゃんのおっぱい欲しいんだも?」
ジョナサン 「あ?」
クマゾー 「ママのおっぱいが欲しいんで、ここ会いに来たんだも?」
ジョナサン 「き、き、貴様ぁ!ふざけんな!」
クマゾー 「っ・・・!」
副長 「貴様は!」
モハマド 「それは良くない」
直子 「クマゾーちゃん!大丈夫?」
アノーア 「ジョナサン!」
ジョナサン 「違うぞ!違うんだ!俺はこんな事の為にここに来たんじゃない!」
アノーア 「ジョナサン・・・」
ジョナサン(幼少※) 「そうだよ、母さんに会いに来たんだよ、なのにさ・・・」
ジョナサン 「このガキ!何言ってやがんだ!その顔ふっ飛ばしてやる!!」
アノーア 「その子に手を掛けては駄目!ジョナサン!」
ジョナサン 「黙れ!こんな時に何言ってる!!」
クマゾー 「そんな事したらおっぱい貰えないも!」
アノーア 「あなたは相手がわかってるの?
止めなければ母があなたを殺します!」
副長 「艦長!」
アカリ 「カナンさん、勇!」
ジョナサン 「くっ!」
クマゾー 「わああ!」

シラー 「チャクラ・フラッシュだぞ?船の中で撃ったのか?」

ジョナサン 「なんだ?」
勇 「ジョナサン!観念しろ!」
ジョナサン 「このチビも殺したいのか!人質だぞ!」
ゲイブリッジ 「ぬうう!」
直子 「終わりにしましょ」
ジョナサン 「くっ・・・わかりましたよ、お母さん。それじゃあベストが脱げないじゃないですか。
ありがとお!!」
ゲイブリッジ 「逃げろ!それは爆弾だ!」
比瑪 「勇!」
勇 「ブレン!」
モハマド 「あっ・・!ジョ、ジョナサンが!」
ジョナサン 「心配すんな!おまえはオルファンに連れてってやる」
クマゾー 「比瑪姉ちゃん!」
勇 「ブレン!」
比瑪 「クマゾー!・・・うっ!」

シラー 「何やってる!手に武器を持ってる時は気を付けな!危ないじゃないか!
ジョナサンの救出に行くよ!」

ノヴィスクルー 「リクレイマーはEブロックをGブロック方面へ逃走中です!」

アイリーン 「Gブロックへ向かってる?」
アノーア 「エマージェンシー・コード解除。ブリッジのEブロックへの通路を閉鎖!」

ジョナサン 「しっかり掴まってろ!」
クマゾー 「う、うん!」
クマゾー 「わああ!」
勇 「ジョナサン!」
比瑪 「クマゾーを降ろしなさい!」
アイリーン 「リクレイマー!クマゾーを!」
ジョナサン 「俺の足でも狙うか?
モハマドの護身用の武器だとさ!」
ジョナサン 「目つむってろ!」
ノヴィスクルー 「・・・こんなスイッチ、使いやがって!」
カナン 「マグネシウムの光り?なんだったの?」

アノーア 「護身用に絨毯に御立派な仕掛けをなさったんですね」
モハマド 「私はそんな厄介な物は持ちこんだりはしませんよ」
アイリーン 「火傷したクルーもいるんです!」
モハマド 「どなたか?」
アイリーン 「この船の医者で、針灸師です」
モハマド 「針灸師・・・?」
アノーア 「人間に針を刺すんですよ」

ジョナサン 「ちゃんと掴まって!体を前に持って来い!」

ヒギンズ 「何?あの煙?ラッセ!」

クマゾー 「うわあ!」
勇 「もうこれ以上、上には上がれないぞ!ジョナサン!」
ジョナサン 「悪いな、今日はおまえと遊んでる暇はない!」
クマゾー 「くああ!」
アノーア 「いい加減でクマゾー君を降ろして投降なさい!そうすれば悪いようにはしません!」
ジョナサン 「嘘をつけ!悪いようにしないなんてずっと言ってきたじゃないか!だけどいつもいつも裏切ってきたのがママンだ!!」
アノーア 「そんな事ありません!」
ジョナサン 「8歳と9歳と10歳の時と、12歳と13歳の時も、僕はずっと・・・待ってた!!」
アノーア 「な、何を・・・」
ジョナサン 「クリスマスプレゼントだろ!!」
アノーア 「ああっ!」
ジョナサン 「カードもだ!ママンのクリスマス休暇だって待ってた!あんたはクリスマスプレゼントの替わりに、そのピストルの弾を息子にくれるのか!?」
アノーア 「そんなに忘れてる・・・」
勇 「くっ!」

ジョナサン 「シラー!俺のグランチャー!」

シラー 「止まったらやられるだろ!・・・ジョナサンがいるんだね?」

ジョナサン 「ようし、俺はここだ」
勇 「ジョナサン!」
ジョナサン 「もう1度オルファンに戻る気はないのか?伊佐未博士達は待ってるぜ」
勇 「俺は、おまえみたいなマザーコンプレックスはない!」
ジョナサン 「俺はお袋を否定した!おまえみたいにベタベタといいなりになった事はない!」

ヒギンズ 「あっ!あたしはドジだ!」

クマゾー 「うわっ」
勇 「クマゾー!」
クマゾー 「うわああああああ!!」
ジョナサン 「落ちるな!」
クマゾー 「わあああ!」
ジョナサン 「踏ん張れ!」
勇 「ジョナサン!」
クマゾー 「ううう!」
ジョナサン 「男だったら踏ん張って見せろ!」
勇 「おまえならできる!」
ジョナサン 「掴まれ!」
クマゾー 「ああっ」
ジョナサン 「・・・ううっ!」
勇 「独りにゃあーっ!」
クマゾー 「あああー!」
勇 「クマゾー!」
クマゾー 「勇!!!
うあっ!」
勇 「グランチャーが?」

勇 「ジョナサン!」

ジョナサン 「シラー、今日はこれで引き上げるぞ。俺だって、引き上げ時ぐらい知ってるつもりだ、クマゾー」
クマゾー 「うん」
ジョナサン 「そうだ。・・・君は立派だったよ、尊敬に値する坊やだ、ふふっ」
ジョナサン 「オルファンに来ればグランチャーをくれてやる。来るか?」
クマゾー 「ううん」
ジョナサン 「・・・残念だな。おい!」

モハマド 「この偉容と収集したプレート、オーガニックなるエンジンの船。それにアイリーン・・・アイリーン、アイリーンさん」

アノーア 「はぁ・・・」

※声はクマゾー


第08話「寄港地で」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201009152329005868/
 →第10話「プレートの誘惑」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201011061303547926/
脚本:面出明美 絵コンテ・演出:西森章 作画監督:津幡住明



比瑪
(ナレーション) 「ヒギンズさんも、カナンさんも、力があったのよ。だからブレンを呼び出せた。でもジョナサンの部隊が回収したプレートからリバイバルしたグランチャーは、怖かったぁ。あの動きがパイロットを殺めたらしいんだけど双子のブレンは生まれたばかりでもよくやってくれたわ」

副長 「誰が汽笛を鳴らせといった?」
ノヴィスクルー 「入港の挨拶はしなくっちゃならんでしょ!」

アノーア 「今の衝撃音は何です?」
副長 「あ、いや、橋が崩れただけです。本艦に異常ありません。しかし後部デッキ調査のため停船します」
アノーア 「停船?重要な会議があるんだぞ?」
副長 「はあ、なんせ橋下駄1枚落ちたようなので」
アノーア 「ゲイブリッジ指令をお待たせするわけにもいかない。ウェッジを用意してくれ」
副長 「御自身で操縦なさるので?」
アノーア 「パイロットがいなければな」
ノヴィスクルー 「キメリエスより通信です」
アノーア 「まわしてくれ」
レイト 「キメリエス浮上します」
アノーア 「ここでノヴィス・ノアの護衛を頼む。レイト艦長は私と会議に同行してもらう」
レイト 「はい。・・・あれ?」
アノーア 「何か?」
レイト 「アノーア艦長は髪を下ろされたほうがお似合いかと」
アノーア 「急ぎこちらに乗船したまえ!」

ユキオ 「何で大人は出てこないんだよ?」
アカリ 「メカの方で忙しいのよ」
ユキオ 「勇は何やってんだ!」
アカリ 「勇も!ちょっとは何か手伝ってもいいんじゃない!」
クマゾー 「手伝え!」
ユキオ 「働かない奴はご飯無いんだからな!」
勇 「お前たち比瑪にはそんな事言わないじゃないか」
アカリ 「比瑪姉ちゃんはちゃんと働いてるもん」
クマゾー 「姉ちゃん働いてる」
勇 「お前たちなあ!・・・あ?」
勇 「あらぁ、元気のいい事」
アカリ
クマゾー 「うわあああ!」
ユキオ 「・・・」
レイト 「ふうぅ、ほんと艦長さんはロングヘアのままがいい」
勇 「ノヴィス・ノアの専属潜水艦、キメリエスか」
比瑪 「みんなー、ご苦労さん!休憩の時間でーす!」
ユキオ 「休みだー」
アカリ
クマゾー 「おやつー」
直子 「勇もよかったら、いらっしゃい」
比瑪 「ちょっと!」
直子 「ふう・・・カナンさんというオルファン時代のお仲間が来てくれたというのに」
比瑪 「なんて態度なのよ、あれじゃあおばあさんが可哀相でしょ?」
勇 「お前には関係ないだろ」
比瑪 「そういう口の聞き方可愛くない!焼きもち焼き!」
勇 「何言ってんの!」
比瑪 「カナンさんは若いブレンパワードが手に入ったから調整に一生懸命なんでしょ!」
勇 「俺は施設の生徒じゃない、何でお前の・・・」
比瑪 「そういうあんたはクマゾー以下!カナンさんが自分のほう見てくれないんでイライラしてるんでしょう!」
勇 「何ぃ?」
比瑪 「これで黙らせなさいよっ!」
勇 「うぅ・・・そ、そんなクマゾー以下の事ができるか!」
比瑪 「オ・ル・ファ・ン・ぐ・み・が!」

カナン 「どうなの?君、コックピットの備品を付けさせてもらったけど違和感ないかしら?痛いとか、どこか引き攣るとか」
ラッセ 「顔色は良いみたいだぜ」
カナン 「そうですか」
ラッセ 「降ろせるか?」
カナン 「私を監視なさっているおつもりならもっと御上手になさったら?」
ラッセ 「そんなつもりはないさ、サンキュー!あんたはアンチボディのパイロットとしては先輩だからグランチャーとの違いを聞いてみたかったのさ」
カナン 「そう言う事で言えばこの双子のブレンはあなた達のブレンともかなり違うわね」
ラッセ 「どう違うの?」
カナン 「神経にサワサワくるのよねえ」
ラッセ 「サワサワですか」
カナン 「そ。だから慣れる為にここに居させてもらうわ」
ラッセ 「年下の恋人が居るからって事じゃなくて?」
カナン 「勇はそういう相手ではないでしょう!」
ラッセ 「すまない、手に手をとってオルファンを抜け出て来たってイメージがあって」
勇 「カナン!調整は終わったのか」
カナン 「大体ね、この子の機嫌も良いでしょ?」
比瑪 「そうみたいですよ」
デッキクルー 「来たぞー!」
レイト 「飛行甲板へ直行だ!」
カナン 「どなた?」
ラッセ 「キメリエスの艦長」
レイト 「バックだバック!ヒギンズ!ヒギンズじゃないか!」
ヒギンズ 「艦長!」
レイト 「ヒギンズ、久しぶりだなあ」
ヒギンズ 「はい!」
レイト 「これが君のブレンパワードか」
ヒギンズ 「はい!」
レイト 「凄いアンチボディだな」
ヒギンズ 「そうでしょ?」
レイト 「・・・はははっ」
ヒギンズ 「何です?」
レイト 「お前の強さを象徴してるみたいだ」
ヒギンズ 「そうですか」
レイト 「少し痩せたか?」
ヒギンズ 「あの子にパワーを吸い取られたみたいですけど、艦長がこうしていてくださればすぐよくなります」
ラッセ 「あらぁ、不味い」
カナン 「なぜ?」
ラッセ 「艦長さんのお出ましですよ」
アノーア 「レイト艦長!ヒギンズ・サス!現在ただいまその様な事は控えてもらう!」
勇 「ああだったんだ」
比瑪 「まあね」
レイト 「ヒギンズにエネルギーを分けていたのであります!」
アノーア 「今は貴様のエネルギーを消耗する時ではない。宇都宮比瑪はブレンパワードで護衛を頼む」
比瑪 「は、はい!」
勇 「俺は?」
アノーア 「伊佐未勇はいい」
勇 「その会議には偉い人たちも出席するんでしょ?そう言う人に話してやらなくちゃならないんですよオルファンの事、それにグランチャーの危険性は俺が一番よく知っています、話させてください!」
アノーア 「わかった同行を許可する。レイト艦長」
レイト 「自分はヒギンズに送ってもらいます!ヒギンズのブレンの性能も見ておきたいのであります!」
アノーア 「勝手にしろ!」
ヒギンズ 「いいよね?君!」
レイト 「頼む」

アノーア 「・・・まぁいいか」

ラッセ 「また追いかけていくなよ!あんたに出て行かれるとこっちも大変なんだ」
カナン 「今はこのブレンに恋をし始めているわ」
ラッセ 「そうしてくれ」

ラッセ 「どう?」
コモド 「御心配なく」
ラッセ 「オグンの御加護はあるんだな」
コモド 「私もついてるでしょ」

ゲイブリッジ 「日本政府の面だった関係者を集めるのに苦労したよ」
アノーア 「この政府や軍の上層部はオルファンがどんなに恐ろしいかわかっていないのですか?」
ゲイブリッジ 「ああ、風船ぐらいにしか思ってないな、彼らはオルファンが浮上した時には大津波を避けるためにノヴィス・ノアに乗っていたいだけなのだ」
会議出席者A 「これがブレンパワードか、子供がパイロットなのかね」
勇 「ん?」
会議出席者A 「メカニックマンではなく、ヘルパー、いや、トレーナーかな?」
レイト 「ブレンパワードは単なる兵器でもメカでもありません、彼等の様な子供のほうがいい反応をしてくれるんです」
会議出席者A 「会議の時にデータは見せてくれるんだろうな?」

桑原 「オーガニックエンジンの実用性はノヴィス・ノアによって実証されました、つまりオルファンがオーガニック・シップであるなら、ノヴィス・ノアは抑止力として有効であると考えられるのです」
会議出席者A 「どのように抑止できるんだ?」
桑原 「ノヴィス・ノアがオルファンのエネルギーを吸収することも可能であると・・・」
勇 「バカ言うな!」
比瑪 「勇!」
勇 「オルファンが溜めたエナジーは数万年分の生体エネルギーなんです」
会議出席者A 「子供が入ってくる所ではない!」
ゲイブリッジ 「彼は伊佐未研作、翠夫妻の御子息です」
勇 「オルファンには世界中からオーガニックエナジーの研修者のトップが集まっています」
会議出席者A 「リクレイマーの!一方的な見解を聞くつもりはない!」
会議出席者B 「リクレイマーの目的は人類の殲滅だと言うのだろう!」
勇 「これはリクレイマー達の問題じゃないんです!オルファンという異文化の遺跡の問題なんですよ、オルファンが宇宙に飛び立つ時に地球上のあらゆるエネルギーを吸収してしまうはずなんです。そのときどのようなが現象が起こるかという・・・」
会議出席者A 「そうなればどうなると言うんだ!」
勇 「生物は生きていけない、地球は死の惑星になります」
会議出席者B 「では、何故ブレンパワードはグランチャーと敵対する?同じアンチボディだろう?」
勇 「グランチャーはオルファンに敵対するものを排除します。けれどブレンパワードは地球で独自に学んだものを大切にしようとする習性がある、それを僕はノヴィス・ノアに来て理解しました」
アノーア 「自分たちの生みの親でもあるオルファンを裏切る事になってもですか?」
勇 「親だからって子供に同じ考えを押し付けることはできないでしょう!」
会議出席者B 「それがリクレイマーを裏切った理由かね?ユウ・イサミ」
勇 「あんた達には関係ない!」
ゲイブリッジ 「勇君は今はブレンパワードのパイロットとして我々に協力しています」
レイト 「ノヴィス・ノアの存在をブレンパワードは認めたのです。我々も彼の意見、感じ方には耳を傾けるべきではないでしょうか?」
勇 「こいつらも親父とお袋と同じだ!」

アノーア 「明日の帰艦の時間は分からないよ」
副長 「それはかまいません。このポイントで補給は受けられました」
アノーア 「日本政府と折り合いをつけるためのくだらない会議でも出ておかないと補給の問題があるしな」
副長 「どうなんです?」
アノーア 「オーガニック・エンジンを開発したドクターたちと会えた」
副長 「そりゃあ良かった」
アノーア 「では切るぞ」
副長 「はい」
アノーア 「オルファンとグランチャー、それに対するブレンパワードというのは子供が親や兄弟に歯向かう関係ともいうが、オーガニック・マテリアルといってもあれは金属に見える。
あぁ、生身のあたしはこの様だ・・・カーテン?」

(アイキャッチ)

比瑪 「やっぱりここにいたんだ!まだ怒ってるんじゃないかと思ってさ!」
勇 「いつも怒ってんのは、お前のほうじゃないか!・・・フン」
比瑪 「大人の言うことが全部汚いってわけじゃないわ。あの人達はあの人達でなんとかしようと思ってるのよ」
勇 だからってその手先みたいに動かされるのは嫌なんだよ。大体地球がこんなになったのはみんな人間のせいなんだぞ」
比瑪 「だから、みんな滅んじゃえばいいの?」
勇 「・・・フン!」
比瑪 「そんなこと思う人ブレンは受け入れてくれないわよ。この子達は私達を見捨ててないから協力してくれてるのよ」
勇 「人間てのはさ、大人になると信用できなくなるんだよ」
比瑪 「直子おばあちゃんくらいには優しくしてやったっていいじゃない?」
勇 「あのお袋を育てたのはばあちゃんなんだぞ!そういう責任も感じないでゲイブリッジさん、ゲイブリッジさんだ」
比瑪 「学生時代の恋人同士だったんだもの」
勇 「なんだよ!」
比瑪 「おばあちゃんのせいでお母さんが優しくしてくれなかったなんて事ないよ」
勇 「お前なんかにわかるもんか」
比瑪 「わかるよ!あたしには沢山お母さんが居たもの」
勇 「・・・沢山のお母さんが居たから解る?」
比瑪 「お父さんだって一杯ね。子供を育てようっていうお父さんやお母さん達、人それぞれ表現が違うのよ」
勇 「表現が間違ってたらおしまいだぜ?」
比瑪 「でも勇のお父さんとお母さんは勇を必要とした。親に必要とされたっていうのは良い事だよ」
勇 「とんでもない!研究の為にだ!これは親子の問題じゃない!世界の問題だ!」
比瑪 「そうか、愛されてるとかいう問題じゃないんだ」
勇 「当たり前でしょ、そういう認識があれば、ばあちゃんだって少しはやり様があるはずなのに、ゲイブリッジなんかと老いらくの恋なんだぜ」
比瑪 「どうしろってのさ」
勇 「オルファンに乗り込んでお袋を引っ叩くとかさぁ」
比瑪 「そんな事できるわけないじゃないの!」
勇 「そりゃあそうだ、年だもんな」

直子 「勇は私に捨てられたと思っているのかもしれません。私、母親と姉が迎えに来たとき、行きたくないと言った勇を守ってあげられなかったんです。あの子はオルファンでどんな風でした?」
カナン 「両親とお姉さんが側に居ましたからね、特別でした」
直子 「寂しくはなかった・・・?」
カナン 「それはそうです」
直子 「翠も研作さんも勇を6、7年も放り出しておいて、グランチャー乗りの適正があるからって引き取りに来たんですよ」
カナン 「そんな勇君でも私には羨ましかったんです」
直子 「御家族がいらっしゃらない?」
カナン 「はい。でもオルファンに居ると不安を忘れられました。でも今はここに居ます」
直子 「何故かしら?」
カナン 「勇を導いたブレンパワード的なもの、あの子もそうなんですけど、この子達の持っているものって、グランチャー的なものと違うんです」
直子 「どう、違うんです?」
カナン 「私が無くしていたもので、ずっと欲しがっていたものを持っているんですよ」
ラッセ 「よっと」
直子 「オルファンとかグランチャーには無かったの?」
カナン 「ありませんでしたね、あれは人に強制するんです。無理強いをするってとこがあったんですよ。」
直子 「共に生きるって事ではなくて?」
カナン 「そうですね・・・ん?ケイディ!?」
直子 「カナンさん!」
ラッセ 「どうしたんだ?」
カナン 「ケイディよ!グランチャーのパイロットが潜入している!」
ラッセ 「冗談じゃないぜ」

ノヴィスクルー 「政府の調査官は乗れないんでしょ?」
ケイディ 「目標はこっちか、感は当っていたんだ!」

ラッセ 「そうだ!スパイだよ!輸送機に乗ってたんだ。ああ?違う!カナンが教えてくれたんだ」
カナン 「どこへ向かうと思う?」
ラッセ 「オルファンが狙うとしたらエンジンだ」
カナン 「ブレンパワードなら解るけど」
ラッセ 「ノヴィス・ノアはただのサバイバル艦じゃない。オーガニックエンジンのテスト艦なんだ」
カナン 「そう」
ラッセ 「全てのオーガニック技術を独占したいリクレイマーにとっちゃ、気になる技術さ。エンジンルームはこっちだ」

ユキオ 「何うるさいんだ敵が来たのか?」
アカリ 「比瑪姉ちゃんまだ帰ってないのに」
クマゾー 「わっ」
ラッセ 「お前達は寝てな!」

ケイディ 「どうしてバレたんだ?」

ラッセ 「ラッセ・ルンベルク!カナンも」
カナン 「はい」
ラッセ 「フルネームを」
カナン 「カナン・ギモス」
カナン 「いいの?私にこんな事教えて」
ラッセ 「同じクルーだ」
カナン 「あっ・・・」
ラッセ 「アイリーンさんのチェックも、新しいブレンのデータも入ってる。その上でカナン・ギモスを認めた。良いじゃないか。」
ラッセ 「スパイが入り込んでるぞ!軍の輸送員の格好をしているリクレイマーだ」
保安要員 「輸送機に紛れ込んでたんですか?」
ラッセ 「そうだ!・・・どうした?」
カナン 「このスリットウェハーはオルファンみたいで」
ラッセ 「ブレンと同じオーガニックエンジンのシステムだが・・・そういう事なのか?」
カナン 「でしょ?オルファンはあれ全てがエンジンだというのよ」
ラッセ 「頼むぞ!」
保安要員 「は!」

勇 「事件があったな」
比瑪 「行ってみる?」
勇 「当然でしょ!」
比瑪 「当然、か」
勇 「上空チェック。比瑪、グランチャーの影があるぞ!」
比瑪 「あたしのほうも確認」

ラッセ 「ラッセ・ルンベルクだ!」
カナン 「カナン・・・ギモスです」
ラッセ 「スパイはどこなんだ?」

ケイディ 「くっ・・・!」
ラッセ 「射殺するなよ!」
ケイディ 「来やがった!」
ラッセ 「投降しろ!銃をこちらへ!」
カナン 「ケイディでしょ?投降すれば・・・」
ケイディ 「オルファンを裏切ったのは本当だったんだな!カナン!」
ラッセ 「元から彼女はオルファンに向いてなかっただけだ!貴様だってここに来たなら・・・!」
ケイディ 「俺はオルファンのアンチボディだ!シラー!来てくれ!」
カナン 「ケイディ!」
ラッセ 「足を狙え!」
カナン 「グランチャーが来るわ、ラッセ」
ケイディ 「くっ・・・でやあ!」

勇 「シラーが来ている!」

カナン 「ヒギンズ?出られて?」
ヒギンズ 「外に出たがっているのよ。イラついてるみたい」
カナン 「だったら気をつけて、好きにさせたら敵に近づき過ぎるかもしれない」
デッキクルー 「イランドは外に出します!発進させますよ!」
ラッセ 「カナン!いいのか?こんな所で飛ばしちまって」
カナン 「なだめられます。ラッセはヒギンズ・ブレンを見てやって」

副長 「バリアを張られたって撃ち続けろ!近づけちゃあならん!」

勇 「シラー!」
ケイディ 「はぁはぁ・・・うお!?
す、すまねえ、恩にきるぜ」
ヒギンズ 「落ち着いてね、君!お兄さんらしく!」
ヒギンズ 「カナン!この子暴走している!比瑪!」
レイト 「ヒギンズ!偉いぞ!よく追い込んでくれた、ハニー」
比瑪 「キメリエスが?あっ!」
ヒギンズ 「大丈夫よ君。怖いものはいなくなったわ。君が働いてくれたからなんだ。下を見てごらん!みんな君のお友達だよ!」
レイト 「ヒギンズ!そのブレンとの相性は良いようじゃないか!」
ヒギンズ 「あんたが居てくれるからさ!」
勇 「間違い無かったんだな、ケイディが生きていたってのは」
カナン 「ええ、なまじっか生きていたばかりに、何か功績を上げたかったんでしょうね」
勇 「どうなの?その新しいブレン。カナンと気が合うの?」
カナン 「良いわよ。いいお兄さんよ、この子。・・・本当に感謝しているわ、勇」
勇 「そりゃあ良かった。ヒギンズさんや比瑪とも上手くやってよね」
カナン 「もちろん」
ラッセ 「流石元グランチャー乗りってところはあるな」
比瑪 「凄いなあ・・・こんなにいっぱい!みんなブレンなんだ!ふふっ」



第07話「拒否反応」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201009142313225428/
 →第09話「ジョナサンの刃」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201011031503444896/
脚本:富野由悠季・浅川美也 絵コンテ:斧谷稔 演出:原田奈奈 作画監督:瀬尾康博



比瑪
(ナレーション) 「プレート集めをするグランチャーを追いかけたあたしたちのチームワークは良くなかったなあ。けど、向こうも同じでプレートを落としてってくれた。それがリバイバルしてくれてなんと、双子のブレンが現れたのよ。すごいでしょ?けどグランチャーに似てるんだよねえ」

カナン 「オルファンでも双子の例は無かったのに・・・」
カナン 「ブレン・・・・・あたしのブレンパワードになってくれて?」
ヒギンズ 「うっ!」
勇 「ヒギンズさん、大丈夫ですか?」
ヒギンズ 「な、なんとか。潰されなかったわ・・・」
勇 「良かった・・・カナン、怪我は?」
カナン 「大丈夫、ちょっとおどかされたけど」
勇 「昇るのか?」
カナン 「大丈夫でしょ」
比瑪 「オルファンでもこういう事あったの?双子とか三つ子とかっていうの」
勇 「こんなのは初めてだよ」
比瑪 「あたしの時とは違うようで・・・ん?」
比瑪 「見ている?・・・・・ああ!うふふふっ!」
勇 「大丈夫?体力、吸い取られてる感じなんてない?」
カナン 「それはないわね。産まれたてで初めて会ったのがあたしだったからでしょうね。馴染んでくれてるみたい・・・」

カナン(回想) 「勇。あたしに内緒で何こそこそやってるの?」
勇(回想) 「別に内緒ってわけじゃ・・・」
カナン(回想) 「ブレンパワードタイプの手入れをしていた」
勇(回想) 「手入れってわけじゃないけどさ」
勇(回想) 「こいつが反応してくれたんだよ。それで何とかしてやりたいと思ったんだ」
カナン(回想) 「ブレンパワードにリバイバルした者はすぐに硬化しちゃうんでしょ?」
勇(回想) 「半年前東京で遭ったブレンパワードは動いてたじゃないか!」
カナン(回想) 「オルファンに従わないで一人で勝手に動くアンチボディはブレンパワードになってしまって、パイロットの言う事だって聞かないんでしょ?」
勇(回想) 「オルファンの中では・・・そういう反応だったのさ」
カナン(回想) 「オルファンの中では?」

勇(回想) 「くっ」
カナン(回想) 「よくそんな物持ち出せたわね」
勇(回想) 「試作品、試作品の連続だから数のチェックなんかしてないのさ」
カナン(回想) 「東京であのブレンパワードに遭ってから変だね」
勇(回想) 「カナンは気にならないのか?」
カナン(回想) 「そりゃあ、あの時はショックだったわ」
勇(回想) 「親父やお袋の言っていた事が嘘だったんだ!宇都宮比瑪ってのが動かしてた」
カナン(回想) 「あの後の事は分からないんでしょ?」
勇(回想) 「ノヴィス・ノアのチームがコンタクトした」
カナン(回想) 「アンチボディはマシーンじゃないのよ!何が起こるか分からないのよ!」
勇(回想) 「だから試してんじゃないか!」

カナン 「好きになってくれてるみたいよ、この子」
勇 「そりゃあ良かった。連れ帰れるようにしてやってよ」
カナン 「ええ」
比瑪 「一緒に乗ってあげたら良いじゃない」
勇 「遊んでる暇はないだろ!ジョナサンが来てんだぞ!」
コモド 「あたしが乗れないで、なんでヒギンズとカナンなんだよ・・・・あっ?」

ジョナサン 「敵前の作業だ!急げ!」
エッガ 「ご苦労」
ヌートリア艦長 「エッガ、そいつはリバイバルするのか?」
エッガ 「表面の輝きが違うぜ!・・・おっ」
ヌートリア艦長 「緊急・・・しろ!巻き込まれるぞ!・・・!」
ジョナサン 「始まっちまったのか!?」
ヌートリア艦長 「船がやられるぞ!」
エッガ 「俺が触ってやったから始まったんだ!強い子にリバイバルしれくれぃ!」

ヒギンズ 「文字を学習している?比瑪ちゃんの言う通りだ。あたしの網膜が見ているものを増幅している文字ね。産まれたてで申し訳ないけど、武器は使えるの?」
ヒギンズ 「ごめんねぇ、道具よ。いきなり手足で殴り合うのは痛いんだよ。グランチャーがいるんだ・・・あっ!」
ヒギンズ 「偉い子!カナンさん聞えて?足元に武器があるわ!」
カナン 「えっ?・・・ああ。出来るの?君?」
比瑪 「凄い子達じゃない!偉いよー」
比瑪 「おりこうさん!」
ナンガ 「勇!比瑪!ブレンパワードに乗れ!水平線上に集まっていた敵に動きが出た!」
比瑪 「聞いた君達?君達はヒギンズさんとカナンさんの言う事を聞いてノヴィス・ノアに行ってちょうだい!」

イランドパイロットA 「了解。コモド!双子が産まれたんなら守らなきゃならない!」
イランドパイロットB 「スパイが乗る双子があてになるのか!?」
イランドパイロットA 「今は正面のグランチャーが敵だろう!余計な事は考えるな!」

ナンガ 「当たれぇ!当たれ!」
コモド 「やっぱりだ。敵の動きが遅いから何かあると思ったけど、あの光はリバイバルだ!・・・ああっ!?」
比瑪 「コモド!一人で飛び出してたらやられちゃうでしょ!・・・・うわぁっ!?」
比瑪 「強いからってー!」
比瑪 「あら?斬れちゃった・・・だからってー!」
比瑪 「逃げた!ナンガは?ラッセはどこ?」
ジョナサン 「潰れろってんだよぉ!」
ナンガ 「俺はやられてないぞ!下がるな!」
ジョナサン 「一刀両断!」
ラッセ 「おまえら!俺を忘れていないか!」
ナンガ 「落ちつけ!怖くなんかないぞ、俺が付いてんだ!コモド!どこに行った!?あいつがいれば戦いようがあった!」
比瑪 「ナンガ!」
ナンガ 「うあああ!なんていくじなしだ!うおっ!」

勇 「我侭はさせちゃいけないんだ。ヒギンズ、両手を上げているな?」
ヒギンズ 「やっているけど・・・この子、静かにしてくれない!」
勇 「カナン!どうなの?そっちの感覚は」
カナン 「なんだかとっても嬉しいわ。この子の事解かるみたい」
勇 「なら任せるぞ。離すからな!」
ヒギンズ 「弟が飛んでしまったわ。君、負けてしまうわよ?」
ヒギンズ 「負けるつもりなの?飛ばないで・・・うわっ」

比瑪 「ナンガ!ナンガさんがいない?ナンガ!ナンガさん!もう!」
比瑪 「いやぁーー!!」
比瑪 「ありがとうラッセ!」
ラッセ 「数が減らないんだ。ナンガは?」
比瑪 「コクピットにはいなかった」
ラッセ 「海に落ちたか、くっ!」
勇 「当たった?ヒギンズ、そのブレンを叱れ!武器を使う事を言い聞かせろ、それがパイロットの仕事だ!」
ヒギンズ 「理屈はそうでしょうけど・・・あっ!」
勇 「ヒギンズの言う事を聞かないと怖いんだぞ、と教えるんだ!」
ヒギンズ 「あっ!?憎んでるって、あたしが嫌われてるの?」
勇 「グランチャーだ。ブレンタイプはグランチャーが嫌いなんだ」
ヒギンズ 「グランチャーを嫌う?」
比瑪 「カナンさん飛べたんですか?」
カナン 「ヒギンズさんのほうがコントロールしきれないのよ」
比瑪 「そりゃそうでしょ。あなたはベテランですものね」
カナン 「ん?ナンガさんがいないのね」
比瑪 「見れば分かるでしょ!」

コモド 「ウェッジが出てた?」
ウェッジパイロットA 「あそこでリバイバルをしてるって事はグランチャーが増えるぞ!」
ウェッジパイロットB 「そんな事はさせねぇ!」
ウェッジパイロットA 「ロックオン!」
ウェッジパイロットB 「発射!」
ウェッジパイロットA 「離脱!」
コモド 「助けよオグン!アンチボディはオッスンの女神かもしれないと信じているのだから!」

(アイキャッチ)

エッガ 「船を寄せろ!」
ヌートリア艦長 「敵船が来ている!」
エッガ 「ジョナサンを呼べばいいだろう。リバイバル完了だ!」
ヌートリア艦長 「拳銃をよこせ!敵がくる!」
コモド 「・・・あっ!」
エッガ 「リバイバルしたばかりで済まないが、オルファンを守る為に戦ってくれないか」
エッガ 「え?」
コモド 「うああっ!」
エッガ 「よりによって俺がグランチャーを手に入れようって時に来るたぁ、良い度胸していると誉めたいが・・・手首、折ってやろうか!」
コモド 「ううう!」
エッガ 「このアマぁ!」
コモド 「うああああ!」
ヌートリア船員 「エッガはグランチャーを立ち上がらせろ!女は我々に任せりゃいい!」
エッガ 「任せる。グランチャーの方が大事だ」
コモド 「そのアンチボディはあたしが乗るんだ!うっ!」
エッガ 「オルファンのリクレイマーになるつもりでも、これは俺のグランチャーだ」
コモド 「同じアンチボディならブレンパワードのように!・・・うっ!あたしは使い馴らしてみせる!」
エッガ 「俺のグランチャーよ、貴様はこの世に命を与えられた勇者だ。おまえの兄弟達は母なるオルファンを守る為に戦っている。
しかしな、パイロットに碌な奴がいない。ジョナサンのような野郎ばかりだ・・・・・武器は取れるな、貴様!」
エッガ 「貴様が見たものは俺にも見えるぞ!武器を取ってみせろ!!」
ヌートリア船員 「うおっ!」
エッガ 「取り出せたのか!」
エッガ 「良いぞ!貴様は産まれながらに戦う男の気骨がある!飛んでやれぃ!この戦場のみならず、全てを貴様のものにしろ!!」
ヌートリア艦長 「ようし、ヌートリア急速潜航!プレートを曳航しつつ帰頭する!」
コモド 「あんなやつが使うなんて・・・ん?
あんなに流されてる?・・・うっ!」

比瑪 「ヒギンズ!上へ逃げて・・・うっ!落ちないの!当たらないの!」
ヒギンズ 「助かったわ比瑪」
比瑪 「私が抑えてる間に後退して!」
ヒギンズ 「そうする!」
ジョナサン 「おまえの相手は私がしてやるぅ!」
比瑪 「やられる?」
比瑪 「うおー!」
カナン 「だ、駄目なの?操縦装置が付いていないコクピットでは!?」
勇 「カナン!気を合わせれば良いんだ、どうしたんだ!?」
カナン 「やっているつもりだけど、グランチャーと違う・・・」
勇 「理屈で考えてるんだろう。包んでやれ、愛してやるんだ!」
カナン 「愛してやる?」
勇 「それしかないだろう!」
カナン 「そうだけど・・・落ちないで、君!お兄さんなんでしょ?生まれたばかりで逃げるなんて損なのよ?」
カナン 「いくじなし!」

勇(回想) 「カナン?」
カナン(回想) 「コクピットのアレンジ、巧くいっているの?」
勇(回想) 「ああ」
カナン(回想) 「伊佐未博士達は最近の勇の不調を心配しているわ」
勇(回想) 「グランチャーとの整合性の問題だろ?」
カナン(回想) 「あなた自身の体調は、良いのね?」
勇(回想) 「そりゃあ良いさ。あの人達は俺のことを自分の子供だなんて思っちゃいない。グランチャーの中枢神経としての俺のことしか考えてない」
カナン(回想) 「エンジンがオーガニック的なものなら、博士達の心配は分かるわ」
勇(回想) 「そうだとしても、アンチボディと人間の関係はまだよく分かってないんだぞ」
カナン(回想) 「オルファンという存在が分かってくればグランチャーはオルファンの子供で、あたしたち人間はその二つを繋ぐ神経細胞・・・」
勇(回想) 「オルファンは地球上の生物のエネルギーを全て吸収するものなんだろう!?」
カナン(回想) 「それでいいじゃない?地球を食い尽くした人類のエナジーを全て取り込むのがオルファン。そして、新しい星を目指してオルファンは銀河旅行をする・・・」
勇(回想) 「良いのかよ?それで!」
カナン(回想) 「グランチャーが宇宙でも使えると証明されれば、オルファンのシステムというのはそういうものなの」
勇(回想) 「オルファンの・・・システム?」
カナン(回想) 「生物エンジンで星の光までエネルギーに変えられるオルファン」
カナン(回想) 「あたし達はそのオルファンのシステムに人類の遺伝子を伝える。そうすれば・・・!」
勇(回想) 「オルファンの完全なアンチボディ。つまり、その・・・抗体になるってことだぞ」
カナン(回想) 「そうなれば、グランチャーに乗っても苦しくはないわ」
勇(回想) 「こいつは辛くないよ」
カナン(回想) 「勇がブレンパワードの抗体になったっていうこと?」
勇(回想) 「違うんだよカナン。こいつはそういうんじゃないんだ。俺の意思とこいつの意思があって・・・」
カナン(回想) 「グランチャーだって・・・」
勇(回想) 「グランチャーにはこっちが合わせていかなければならないじゃないか。ブレンは全然違うよ」
カナン(回想) 「どう・・・違うのよ」
勇(回想) 「グランチャーには吸い込まれていくという感覚があるけど、ブレンはそうじゃない。それは全然違う事だよ!」
カナン(回想) 「ふうん・・・そう」

カナン 「どうなの?君?あたしは君と一緒にいられる女ではないの?」
勇 「カナン!後退してくれ!」
カナン 「この子、怖がっている。体が動かないみたい・・・はっ!下から!?避けなさい!」
勇 「良いぞ!そのまま陸地に隠れろ!」
カナン 「どうするの?君!・・・はっ!敵が来る!?」
カナン 「まだ後方にグランチャーがいた?」
勇 「なんだ?あれは違うぞ!カナン!避けろ!」
エッガ 「ははははっ!こいつは俺の思う通りに動いてくれる。アンチボディの出来損ないなんぞ、このエッガ・グランチャーで叩き落してやる!」
勇 「グランチャー乗りというやつは産まれたばかりのものにまで闘争心を植え付ける!あの艶やかな肌はリバイバルしたばかりの赤ん坊だ!」
比瑪 「そんなの怖くないんだから!・・・はっ!」
勇 「比瑪はヒギンズ達と後退しろ!」
ジョナサン 「エッガ!リバイバルさせたものをすぐに戦場に投入するな!混乱する!」
エッガ 「舐めてもらっちゃあ困りますぜジョナサン・グレーン。こいつはとってもよく俺の言う事を聞く」
勇 「伸びた?」
コモド 「ああーっ!」
エッガ 「どけよ!ジョナサン!裏切り者などこれで串刺しにしてやる!覚悟!勇!」
ラッセ 「チャクラブレードの直撃だと?あのグランチャー、何だ!?」
勇 「あいつ・・・もつのか?」
ジョナサン 「エッガ!しっかりとコントロールしろ!敵はブレンパワードだ!」
エッガ 「裏切り者めぇ!親を裏切るガキなどは!親不孝以下だろう!」
カナン 「チャクラの光が爪になっている?」
ヒギンズ 「カナン、あんなやつどうすればいいの?」
カナン 「この子達が知っているわ。だから、このポジションについたのよ!」
ヒギンズ 「そうなの君達?」
エッガ 「はははは!死ねよ!壊れちまえよ!裏切り者なんぞはいなくなっちまえー!」
エッガ 「どうしたよ!俺のグランチャー!力があるんだろう!?貴様はジョナサンに負けないだけの力を持っているんだろぉー!そう言ったじゃないかー!」
エッガ 「おまえは俺と一緒にあいつらを潰してオルファンを・・・ぐおっ!!」
勇 「あんな現象なんて!・・・ジョナサン!」
ジョナサン 「勇!」
勇 「ジョナサン・グレーン!姉さんと親父とお袋に伝えるんだ!オルファンに従う事は絶対に正義じゃない!オルファンで人類を抹殺する事も、地球を死の星にする事も、絶対にさせない!」
ジョナサン 「勇!!」
勇 「今言ったことを伝えるんだ!行け!」
ジョナサン 「ぐわああああ!ゆ、勇めぇー!」
勇 「伝えろ!そのために狙撃はしない!」
ジョナサン 「ゆ、勇は、俺をメッセンジャー・ボーイにしたのか!そのために見逃してくれたというのか!あやつは!」

ナンガ 「はぁ・・・はぁ・・・」
コモド 「命ある限り戦うと誓ったのに、生き残るなんてさ・・・オグンはあたしを見放しちまったんだ・・・!」
ナンガ 「泣くなよ。おまえの神様は見放したりしないさ。だから生き残ったんだよ」
コモド 「うっ・・・くっ・・・」
ナンガ 「可愛いやつだな」

カナン 「これがノヴィス・ノアのクルーか。そして、これが双子のブレンパワード。彼等に比べたらまだ赤ちゃんかなぁ?」
ヒギンズ 「グランチャーの雲、まだあるわ。パイロットはどうなっちゃったんだろう・・・」



第06話「ダブル・リバイバル」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201008132238495308/
 →第08話「寄港地で」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201009152329005868/
脚本:富野由悠季・高橋哲子 絵コンテ:斧谷稔 演出:森邦宏 作画監督:戸部敦夫



比瑪
(ナレーション) 「伊佐未勇がノヴィス・ノアに居着くなんて思えないなあ。グランチャー1機でやってきた女は勇とずーっと一緒だったっていうのよ。そんなのが撃墜されたように見せかけて勇を連れ戻しに来たぁってことだってあるじゃない?」

ヌートリア艦長 「シラー・グラスか。作戦ご苦労」
シラー 「ヌートリア、急いでいるな」
ヌートリア艦長 「木曾山中の震源地より、プレートが出た」
シラー 「またか?」
ヌートリア艦長 「ヌートリアは後続のグランチャーと連携、本艦は待機海域へ急行する」
シラー 「アンチボディが生まれるってのかい
・・・・・もうじきオルファンだよ、あたしのぼうや」

シラー 「プレート回収に出るのか?」
リクレイマー 「大騒動さ」
ジョナサン 「アネルとゲインは重装備だぞ」
フィジシスト 「待たせてます」
ジョナサン 「帰ったか」
シラー 「ジョナサン・グレーン。御自らのご出陣ですか?」
ジョナサン 「裏切り者達の首を手土産にしてきたのでもない。グランチャー部隊の名折れだぜ」
シラー 「くっ・・・」
ジョナサン 「けどさ、カナン機を撃破したのだから許せるかな」
シラー 「ありがとう」
ジョナサン 「裏切り者のグランチャーが敵に回る事がなくなったのだから、ペナルティは無しでいいな」
シラー 「すまない」
ジョナサン 「しかし、ノヴィス・ノアのブレンパワードが組織的に動き出したのであれば、それは脅威であります。我等のグランチャー部隊の増強は急ぎます」
クインシィ 「その為のブレート回収だ。リバイバルにパイロットを立ち合わせてグランチャーの稼働効率を上げなければならない」
シラー 「クインシィ・イッサー。私も回収部隊に加えて頂きたい!」
クインシィ 「おまえは帰ってきたばかりで消耗しきっている。それに、グランチャーも嫌がっている」
ジョナサン 「今回は俺達に任せろ。では、クインシィ・イッサー!」

ゲイブリッジ 「ああ、今朝の地震には日本政府は理化学研究所の職員を派遣したよ」
アノーア 「ヒギンズ・サスを飛ばします。よろしい?」
ゲイブリッジ 「期待し過ぎると思うが任せるよ。それが終わったらこちらに来てくれないか」
アノーア 「はい」

ヒギンズ 「ねえ。オルファンのスパイを受け入れちゃう艦長なんて信用できて?」
ウェッジパイロット 「カナン・ギモスがスパイってんですか?ありゃあ勇と同じですよ。我が強いだけでスパイなんか出来ゃしませんよ」
ヒギンズ 「そんなに単純な奴かぁ?確かに勇だってコンプレックスの塊だものね・・・」

デッキクルー 「はーい!コモドちゃん良いねぇ、良いですよー。どうぞ!」
デッキクルー 「コモドの野郎ー!」

コモド 「震源地の偵察などハンティングにもならないんだから、オグンに誓うまでもないさ」

アイリーン 「ご覧の通りカナン・ギモスの全身スキャン、メンタルテストからも精神状態は保証できます」
ゲイブリッジ 「直子が心配しているのはカナンの事ではないな・・・?」
直子 「はい、勇はどんなつもりでカナンさんを連れてきたんでしょう?そのほうが気になります」
アノーア 「私にとってはどちらも元リクレイマーです、危険分子にしか見えません。司令の目論見はオルファンの情報を集めるおつもりでしょう?」
ゲイブリッジ 「彼女はオルファンにいる事に疲れたのだ。こちらの戦力になると思うな」
直子 「司令の直感、当たりますものね」
アノーア 「そうですか」
直子 「そうですよ」
ゲイブリッジ 「・・・ご苦労」
アイリーン 「はい」

ラッセ 「ん?何やってんだ、あの二人」
ナンガ 「さぁねぇ。多分勇とカナンのスパイをやってんだよ」
ラッセ 「あの女が年下の坊やを追いかけてきたって話もあるけど?」
ナンガ 「そんな安っぽい女か?」
ラッセ 「そうだな、そういう女じゃない」
ナンガ 「だからスパイしてんだろう?」
カナン 「確かにインターフェイスへのタッチが違うわね」
勇 「オルファンでの感触と外に出てからとでは全く違ったね」
カナン 「反応が早いの?」
勇 「グランチャーとでは反応する感情の色とか深さが違うんだ」
カナン 「感情の色?深さ?」
勇 「喜怒哀楽って言うだろ?そういう色合いっていうのかな、そういうものやその時々のこちらの深いところにある感情、そういったものをピックアップしてくれてその上でこちらの全体の気分を受けてくれるのさ」
カナン 「部分では深く、全体では優しいのね」
勇 「そういう事かな、そうだろうね」
アカリ 「カナンっていう奴が勇を連れ出そうとしたら断固阻止するんだぞ」
クマゾー 「だんこそし!」
勇 「そうやって座っているとさ、気持ち落ち着かない?」
カナン 「頭痛は来ないわ」
勇 「親父達はこの違いを隠していたんだ」
カナン 「オルファンではブレンパワードの特性が殺されていたのよ。アンチボディの個性って・・・」
勇 「ううっ!
何やってんだ?放せ!」
カナン 「あなた達?何意地悪してるの?」
アカリ 「勇はここにいるんだ!」
クマゾー 「だんこそし!」
カナン 「ああ・・・」
勇 「な、なんだよ。引っ張ってくれたって、良いじゃないか!」
カナン 「手伝えないなぁ。こういう所でブレンパワードは活性化したのか、落ち着くわ」
勇 「う・・・うわぁ!」
カナン 「大丈夫?」
勇 「ま、股裂きだ!」
アカリ 「落ちるぅ!」
ナンガ 「やれやれ。昇る時脚立を倒すから」
比瑪 「怪我させたら承知しないから!」
ラッセ 「俺達の出る幕は無い、か」

コモド 「理化研の連中のほうが足が早いなんて」
コモド 「あなた達は誰の許可を得てプレートに触っているの!」
源野 「ノヴィス・ノアの方ね。理化研の依頼でプレートの調査にきた源野三尾です。あたし達が発見したプレートの事で聞きたい事があれば日本政府を通して下さい」
コモド 「このプレートの権利を主張するんですか?」
源野 「いけませんかしら?」
コモド 「あっ!」
源野 「あっ!暴力はいけません!ああっ!」
コモド 「グランチャーが来たわ」
源野 「えっ」

ヒギンズ 「グランチャーの数は?」
ウェッジパイロット 「それどころじゃないみたいだ。ヨルバ教のお助けはなかったのかな」
ヒギンズ 「そんなのあるわけないよ・・・!」

ノヴィスクルーA 「コモド・マハマ離脱出来ます」
ノヴィスクルーB 「救援はいるようです」
ノヴィスクルーA 「ウェッジ・・・合流点へ急げ」
アノーア 「オーガニック・レーダーでも確認出来たのだな?」
副長 「はい。カーテンが下がってましたからチェック出来ました」

勇 「カナンはブレンに慣れるんだ。そこにいな」
カナン 「ありがとう」
勇 「出かけるのか?」
デッキクルー 「ナンガ、ラッセは周辺警戒に当たる」
勇 「なんだってんだよ、ここの奴等・・・!」
比瑪 「ありがとう」
クマゾー 「うん」
勇 「出かけるんだろ?俺にも行かせろ」
比瑪 「あなたは出かけちゃいけないんだよ。捕虜なんでしょ?」
勇 「誰が捕虜だ!」
比瑪 「なら謹慎中の!」
勇 「こんな船のクルーになった憶えはない!」
比瑪 「少しは現実を考えたら?」
勇 「イランド一機でプレート探しに行く?ああっ」
比瑪 「何やってんの?あんた!」
勇 「おまえこそ!楽して子供達を食わせる為に、こんな軍艦の厄介になってさ!」
比瑪 「違うわよ!この船がブレンを必要だっていうから乗ってやってるんじゃない!あんたみたいに女性の気を引く為にブレンに乗ってるんじゃありません!カナン・ギモスだって、変な名前!」
勇 「なんで!カナンの名前が出るんだ!・・・うわっ!」
比瑪 「ホントの事でしょ!?」
勇 「落とすなよー!」

コモド 「ばちが当たったんだ。出撃の時にオグンに頼まなかったばちが当たったんだ!」

源野 「あっ、どうも」
桑原 「い、いやあ。逃げられますか?」
源野 「グランチャーって、ブレンパワードとは違うわ・・・」
桑原 「どうします?」
源野 「知らないわよ!」

コモド 「あんな数?」

(アイキャッチ)

ヒギンズ 「グランチャーが見えた」
ウェッジパイロット 「本当ですか?」
ヒギンズ 「コモドから連絡は?」
ウェッジパイロット 「ノイズだけです」
ヒギンズ 「撃墜されてないわよね・・・」

コモド 「なんであたしにブレンが無いの!?」
ジョナサン 「無闇に撃つんじゃない!あのプレートをヌートリアに運ぶほうが先だろ!」

勇 「ノヴィス・ノアの・・・」
比瑪 「コモド?敵と接触したの?怪我はないのね?」
コモド 「グランチャー7、8機がいる。プレートが一枚じゃないのよ、4枚はあった」
勇 「そんなに出たのか!」
比瑪 「ウェッジ・・・ヒギンズ・サスはどこにいるんです?」
コモド 「北側にいるわ」
勇 「正気か?」
比瑪 「何よ!」
勇 「うあっ!頭を出したらやられるだけだろ。低空で行くんだ、ヒギンズさんだって高度をとるわけないだろ。ああっ!」
比瑪 「そうか!うわっ・・・」
勇 「あっ、うわっうわ・・・・うわあああ!」
比瑪 「ブレン!コモドさん頼みます!」
勇 「くうっ、お落ちるかぁ・・・!くあああ!」
コモド 「ミスター・ユウ、飛び降りて!」
勇 「えっ?はっ?」
コモド 「あなたは比瑪の邪魔をしているわ。早く!」
勇 「そっちへ行ったって・・・うわあああ!」
コモド 「操縦の邪魔をしないで!」
比瑪 「グランチャーが動いている?勇!コモド!」
コモド 「何とかしなさい!」
勇 「何とかったって・・・」
コモド 「ようし、落ちないで」
勇 「落ちるつもりはない!」

ジョナサン 「なんでこんなにプレートが出てきたかは、後で考えれば良い。急げぇ!」

源野 「ああ!」
桑原 「見つかりますよ!」
源野 「あたしの見つけたプレートを持ってっちゃう!」
桑原 「声を出さないで!」
源野 「あたし・・・オルファンに行って研究したいわ!」
桑原 「何馬鹿な事言ってるんです・・・」
源野 「あっちはアンチボディだっていっぱいあるのよ!」

ナンガ 「どうだ?ブレンとは仲良く出来そうか?」
カナン 「基本はグランチャーと同じだけど、神経に直接触ってくるっていう脅迫的感覚はないわ」
ナンガ 「そりゃあ良かった」
カナン 「好きだわ。これ」
ナンガ 「あんたみたいなのが、なんでオルファンに行ったんだ?」
カナン 「えっ?」
ラッセ 「聞かせてくれよ」
カナン 「数十万年前から地球上の生物のエネルギーを溜めて、銀河から銀河へ飛行する・・・想像しただけで素敵でしょ?」
ナンガ 「オルファンはスペースシップなのか?」
カナン 「ん・・・それがオルファンの再生をしようとしているリクレイマーの結論ね」
ラッセ 「うん?そういうものに惹かれたというわけかい?」
カナン 「・・・そうね」
アノーア 「ブレン全員に、出撃」
カナン 「ん?」

ヒギンズ 「海上に支援部隊がいるのね?」
勇 「プレートの数が出たんなら、オルファンから支援部隊が揚がってくる」
ウェッジパイロット 「海上に出るぜ」
ヒギンズ 「グランチャーの動き、今までと違うんじゃない?」
勇 「オルファンの浮上が始まれば、やる事は違ってくるさ」
ヒギンズ 「どう違ってくるの?」
勇 「プレートだっていつリバイバルするかもしれない・・・こいつにはミサイル無いのか!?」
ウェッジパイロット 「そりゃあるさ!」

アノーア 「ナンガ、ラッセが左右について!」
ゲイブリッジ 「様子を見よう。艦長」
アイリーン 「あなたの体力はまだ回復していないんですから、長距離はまだ無理です!」
カナン 「この子を勇に届けるだけです。下がってください」
アイリーン 「ナンガ!ラッセ!カナンを助けてやって!・・・あ?」
アイリーン 「良いわね、ラッセ!」
ラッセ 「了解!彼女から目を離しませんよ!」
ラッセ 「彼女、腕が良いぜ」
ナンガ 「惚れたか?」
ラッセ 「まさか」
アイリーン 「元グランチャーのパイロットか・・・」

カナン 「ううっ!どうしたの?あたしが嫌いなの?・・・嫌ってくれても良いから!」
ラッセ 「どうした?カナンさんのほうの拒否反応か!?」
カナン 「あたしを好きになってくれなくてもいいから、今はふたりで勇のところへ行きましょ!」
ラッセ 「落ち着けるか?」
カナン 「大丈夫、飛べます」
ナンガ 「よーし、カナン・ギモス。勇と比瑪のいるところへ飛ぶぞ」
カナン 「ど、どうぞ。行くわね、君!」
ナンガ 「結構。ではバイタル・グロウブ合わせだ、良いな?」
ラッセ 「来たぞぉ。飛べるってさ!・・・いち、にの、さん!」

比瑪 「ああ、嫌んなっちゃう。プレートは全部海に持っていかれちゃうの?」
比瑪 「ビリっけつの一人を倒せば・・・いけぇー!」
ジョナサン 「動いた?」
ジョナサン 「本気か!?」
ジョナサン 「どこだぁ!?」
比瑪 「全部持っていかせるもんか!」
比瑪 「うおー!!」
ジョナサン 「逃がした!落ちたのはいいからヌートリアとの合流を急げ!」
比瑪 「あたしは馬鹿だ!勇にブレンを持ってこさせれば何とかなったのに!」
コモド 「あたしがいくよ。比瑪が攻撃しな!」
比瑪 「了解!」
ジョナサン 「こいつ!」
ジョナサン 「ぬぅ・・・ぬうううう。な、なんだ?この、げっっそりする感覚は!ううっ」
比瑪 「ううっ、はぁ。・・・来るっ!」
比瑪 「だったらさぁ!狙い撃ちぃ!」
勇 「援護してやれ、あれじゃやられるだけだ!」
ウェッジパイロット 「数がいる!」
ヒギンズ 「プレートが変よ?」
勇 「えっ?」
勇 「リバイバルが始まってるんだ」
ヒギンズ 「ええ?」
勇 「ミサイル、あるんだろ?」
比瑪 「この程度!・・・ううっ」
比瑪 「はぁ!?」
比瑪 「ラッセ!ナンガに・・・勇のブレンも?」
ジョナサン 「プレートをヌートリアに収容させるのが先だ。ブレンがあれだけ集結したとなれば戦い方を考えなければならん!」
比瑪 「勇のブレンって事は、カナン・ギモスが来たの?」
カナン 「はぁはぁはぁ・・・」
ナンガ 「カナン!大丈夫か!」
カナン 「ちょっと疲れた・・・落ち着きたい」
ナンガ 「比瑪、ラッセ、後退するぞ!」
比瑪 「え、ええ、はい」
比瑪 「何さ!あ、あたしだって、あたしだって一杯疲れてるのよ!」

ヌートリア艦長 「プレートの収容作業、急げ!」
ヌートリアクルー 「曳航索出せ!」
ヌートリア艦長 「ドンピシャリの合流!」

ラッセ 「そっちに行こうか?カナンさん?」
カナン 「いや、ありがとう。いきなり長距離をやったから、何か力を吸われちゃって・・・」
ラッセ 「そりゃあそうだろう。飛べただけで大したもんだ。そっちに行かなくって、いいんだな?」
カナン 「ありがとう、本当に・・・ああっ?リバイバルしている?」
ウェッジパイロット 「山一つ向こうからは、グランチャーが襲ってくるんだぞ!」
勇 「リバイバルに立ち会ってやれば、こちらに合わせてくれるのがアンチボディなんだ!」
ヒギンズ 「この光、見た事がある・・・プラハで見たのと同じだ・・・」

プラハ住民A
(回想) 「あれが地震の原因だったのか?」
プラハ住民B
(回想) 「地鳴りはしてたもんなぁ」
ヒギンズ(回想) 「町のシンボルの橋までが落ちた。何なの?」

コモド 「リバイバル・・・?」
勇 「この時間のかかり方、妙だぞ?」
カナン 「リバイバルする?」
勇 「するさ。ブレンパワードにね」
カナン 「えっ?」
カナン 「このアンチボディ・・・」
勇 「一つじゃないぞ・・・!」
ヒギンズ 「どういう事?」
勇 「そ、そりゃあ・・・オーガニックなら双子だって事もあるけど」
コモド 「二人もリバイバルするの?戦いの神オグンが遣わしてくれたの?」
比瑪 「へぇ・・・」



第05話「敵か味方か」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106221913073141/
 →第07話「拒否反応」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201009142313225428/

1 2

 

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索