ブレンパワード 全台詞集 第26話「飛翔」
2013年7月12日 ブレンパワード全台詞集脚本:面出明美 絵コンテ・演出:西森章 作画監督:重田敦司
比瑪・ナレーション 「さあ、決戦だ。決戦だって出ていったんだからオルファンからアーミーグランチャーなんかがいっぱい出てくるんだと思ったけど、オルファンさんはちゃんと分かっていて、そういうことはなかった。けど、依衣子さんがオルファンに取り込まれてしまったんで、その後全部が金縛りになっちゃうんだろうね、と心配なんだよね」
子供 「うわぁっ!」
副長 「オルファンは浮上してから引っ繰り返ろうとしています!」
アイリーン 「方向転換?地球の自転を利用している?」
子供 「怖いよう・・・!」
副長 「それで周回軌道に乗るつもりです!」
モハマド 「オルファンが我々を押し潰す?」
アイリーン 「そんな事は絶対にありません!離れてくれています」
アカリ 「比瑪姉ちゃん達負けちゃったの?」
ユキオ 「そんなことあるもんか!」
アカリ 「オルファンが飛んでるのに?」
クマゾー 「飛んでるも。綺麗だも」
ユキオ 「飛んでるからって綺麗じゃないんだよ!」
コモド 「オグンよ。これがあたし達に課せられた運命なのですか!?・・・カント!」
ユキオ 「ああーっ!」
クマゾー 「わあっ!」
カント 「ああ・・・!帰ってこられた」
ユキオ 「カント!」
カント
ユキオ 「あっ?」
クマゾー 「みんな帰るも」
カント 「良かった。皆帰ってこられた」
ユキオ 「ヒメ・ブレンとユウ・ブレンがいないじゃないか!」
アカリ 「どうして?」
カント 「そんなの分かりませんよ」
ジョナサン 「ううっ!」
シラー 「ジョナサン!オルファンに戻れたんだよ!」
ジョナサン 「余計な事したろ!」
シラー 「皆飛ばされたけど、あたし達は二人でいたからオルファンに戻れたようなんだ」
ジョナサン 「もう少しで勇と決着がつけられた!あいつを後悔をさせられ・・・」
バロン 「ジョナサン!」
ジョナサン 「・・・バロン!」
バロン 「無茶をしてバロン・ズゥを失っていたら、勇一人後悔させる事は出来なかった。クインシィというアンチボディを得てオルファンは動き出した。もう誰もおまえを思い煩わせる事はないのだ」
ジョナサン 「そうかい、ならここはクインシィの胎内というわけかよ。ハッハッハッ・・・ハッハッハッハ!」
バロン 「そうだ。これからは全ておまえの望む通りにしてやる。おまえも生まれてくれたのだから・・・」
村人A 「空気が薄くなってねえか?」
村人B 「あたし達の生き血を吸うんじゃないの?」
村人C 「この子だけでもお救い下さい!・・・ああっ?」
源野 「オルファン、待ってよ!あなた私を、ああっ・・・忘れてるわよう!オルファンさーん!」
勇 「何で・・・泣いてるんだ、俺。姉さんがあんな事になって悲しいのか?・・・どうして、こんな・・・うっ!」
勇 「カントの言っていたバイタル・グロウブに敏感な花・・・」
比瑪 「勇!元気ね!」
勇 「比瑪こそ、怪我は無いのか」
比瑪 「あたしは平気よ。それよりブレン達の方が心配じゃない?随分エナジーを吸われたみたいだから」
勇 「ここの花がこんなに輝いてるのは、オルファンが反応しているからなのか」
比瑪 「そうでしょう?だから、こんな綺麗なものを作り出せるオルファンが、何もかも奪ってしまうなんて嘘よ」
勇 「これは幻覚だよ」
比瑪 「これが?こんな風に感じ合えるのに?」
勇 「比瑪・・・」
比瑪 「ねっ?直子おばあちゃんや依衣子さん達を助けないままで良いと言うの?」
勇 「ブレンだって立ち上がれもしない」
比瑪 「諦めるの?あたしは最後まで生きるわ。勇と、皆と一緒に」
勇 「比瑪はいつも強いな。その強さをブレンに分けてくれないかい?」
比瑪 「良いよ。ネリー・ブレンが嫌でなければ、どうぞ!」
勇 「ネリー・ブレン・・・大丈夫か?比瑪」
比瑪 「うん」
勇 「比瑪、まだやれるかもしれない!」
比瑪 「そうですよ!お花のオーガニック・エナジーを貰っているんですもの!」
勇 「アレロパシティ。植物が共生し合う力が、顕在化したんだ!」
モハマド 「ノヴィス・ノアで特攻なんて!」
アイリーン 「ミスター・モハマドは子供達を避難させてくだされば良いんです」
モハマド 「そんな!」
デッキクルー 「フェロモン剤を持ってこいって言ってんだろう!」
ユキオ 「一生懸命擦ってやって皆の元気を分けてやれ!」
子供達 「はぁーい!」
アカリ 「これも戦いなんだぞ!」
クマゾー 「戦うも!」
アイリーン 「皆が・・・!」
モハマド 「これは!?」
カナン 「この子達、ブレン達の疲れが分かるんですよ!」
ラッセ 「そろそろ、再出撃出来ます。艦長」
ナンガ 「このままやられっぱなしは性に合わないし・・・」
ナッキィ 「まだ手はあるってんですよ、天才少年に」
カント 「あ、はい。これが光っているという事は・・・」
アイリーン 「オルファンを沈めるというより・・・」
カント 「共に生きると考える方が正しいんですよね?」
桑原 「おそらくね」
カント 「元気出して下さい」
ヒギンズ 「オーガニック・エナジーを試してみるの?」
桑原 「な、なるほどねえ。オーガニック・エナジーは暖かいか・・・」
モハマド 「諦めが悪いのは、この船に乗る皆そうみたいですね」
アイリーン 「はい」
勇 「ようしブレン、元気になってきたな。比瑪、そっちはどうだ?」
比瑪 「良いみたいよ、オーガニック・エナジーが集まってくる。これなら大丈夫だよ」
勇 「これだけの花が咲いてるんだ。溜め込めるだけ力を溜め込めよ。ネリー・ブレン!」
勇 「こういう事が出来るのも、オルファンの意思なのか?・・・あいつ!」
勇 「誰だ!?この感じ、ジョナサンじゃない!」
勇 「やめろ!その者!・・・バロン?」
研作 「依衣子!オーガニック・エナジーが高いぞ!高いぞ、高くなってる・・・」
翠 「あたし達が望んでいた事が始まってます」
研作 「良いのか?これで?」
翠 「やぁねぇ、コンピューターと机の上なら完璧な方が、現実となると恐れる・・・」
研作 「怖がっちゃいない」
翠 「そうですよ、あたし達のDNAを受け継いだクインシィ・イッサーのエナジーが、護ってくれているのですから!」
クインシィ 「ははは、あはははっ・・・!」
ジョナサン 「どういうことだ!シラー!」
シラー 「まだ動けるグランチャーは外に出せ!硬化しちまったら・・・」
ジョナサン 「どういうことだ!俺のバロン・ズゥは!?」
シラー 「知らないよ!オルファンは体内にあるプレートやグランチャーのオーガニック・エナジーを吸っているみたいなんだ」
ジョナサン 「何故だ?」
シラー 「分かるものか!これじゃあたし達もオルファンの餌食になるぞ!・・・ジョナサン!」
ジョナサン 「バロン!あんたはバロン・ズゥを持ち出して、俺を裏切る!俺の力を信用していないのか!」
勇 「バロン!」
バロン 「伊佐未勇死ねよや!」
勇 「ちいいっ!」
勇 「オルファンの前で斯くもネリー・ブレンを潰そうとする!俺も殺そうとする!」
バロン 「お前がそれをさせるのだよ!」
勇 「何故罪を重ねるんだ!?」
バロン 「ジョナサンに累を及ぼさない為に罪も罰も一身に受ける!」
勇 「くうう!」
バロン 「我が力を使え!」
勇 「この力・・・どこからくる?」
比瑪 「直撃なのに・・・どうしてさ!?」
勇 「比瑪!来るんじゃない!こいつは異常なんだ!」
バロン 「おまえの力は無限だ!さもなければ、お前が私の想いに応えてリバイバルはしなかった!」
(アイキャッチ無し)
勇 「武器を再生する力もついてる?」
比瑪 「あっ」
比瑪 「あれ、大きくなってるの?」
勇 「バロンの怒りの力のせいだ」
勇 「バロン・ズゥは・・・バロン、あなたのエナジーを吸ってる。任せっぱなしにすると、あなたの身体が持たないぞ!」
バロン 「伊佐未勇を倒す!ジョサナンの望みだ!それが出来ればそれで結構!」
勇 「ジョナサンだと?」
比瑪 「勇!あの人を止めないと大変な事になる!」
勇 「比瑪!合わせろ!」
バロン 「喜べジョナサン!おまえの願いは私が叶えてやる・・・!」
ジョナサン 「バロン・マクシミリアン!」
ジョナサン 「バロン!」
勇
比瑪 「チャクラ・エクステンション!」
aaaa 「バローン!」
バロン 「こんな事ではぁ!」
勇 「落ちない・・・」
比瑪 「ゆ、勇」
バロン 「私の想いを受けて生まれたバロン・ズゥは無敵である!見ていなさいジョナサン!あなたの敵は私が排除してあげる!」
ジョナサン 「バロン?」
バロン 「息子の為に死ねえ!」
勇 「アノーア艦長・・・?」
ジョナサン 「…」
比瑪 「勇ー!」
勇 「艦長さんが・・・楽になるというなら、良いよ。艦長さんが良いなら・・・!」
バロン 「うわあああ!」
比瑪 「ブレン!怖がらないで!」
比瑪 「んならもぅー!っと!」
比瑪 「縮んでく?」
勇 「グランチャーを、ああいう風に使ったらどんなエネルギーだって・・・使い過ぎれば無くなっちまうんだ!強過ぎる力は身を滅ぼす・・・」
ジョナサン 「くっ。バロンが!?」
バロン 「ジョ、ジョナサン・・・」
バロン 「ああ・・・」
ジョナサン 「あんた・・・?ええぃ」
ジョナサン 「・・・ははっ、はははっ!ははははっ、何であんたがバロンなんだ!」
アノーア 「お前の傍に・・・居たかった。今度こそお前の為に・・・何かをしてあげ・・・」
ジョナサン 「遅いんだよ!俺を騙して裏切ったんだぞ!」
アノーア 「元気な・・・ジョン・・・」
ジョナサン 「起きろよ。あんたにはまだ言いたい事がいっぱいあるんだ!」
勇 「お袋さんは、やる事はやったんだ。許してやれ!」
ジョナサン 「親子の間に入るな!」
勇 「ヒメ・ブレンも、ネリー・ブレンも撃つな!」
比瑪 「でも後ろにグランチャーが!」
勇 「うっ!・・・シラー!聞こえるか!」
勇 「シラー、力を貸してくれ。ジョナサンは母親に会った」
シラー 「聞こえたよ」
勇 「怒るな!ジョナサンは俺の身代わりになってくれた。シラーの身代わりもやってくれたと思わないか?」
シラー 「くっ・・・」
比瑪 「身代わり?」
勇 「俺達は出来る事をやるしかないんだ。放っておいたら地球も人類も皆消えちまう。違うか?シラー」
シラー 「オルファンは・・・いやクインシィは、グランチャーもリクレイマーもアメリカも排除している。このままじゃ星になった弟達に会えなくなるじゃないか!」
勇 「済まない、シラー」
比瑪 「ブレーン!」
副長 「オーガニック・エンジン臨界持続中」
アイリーン 「オルファンからの攻撃に・・・」
副長 「左舷にオーガニック・リアクション!」
アイリーン 「ええっ?」
アイリーン 「勇に比瑪ちゃん!」
モハマド 「グランチャーも一緒じゃないか!」
勇 「ノヴィスの力もジャンプ台になった」
カナン 「勇と比瑪ちゃんだけには任せないわよ」
勇 「カナン!」
カナン 「シラーだけにもね」
カント 「ビー・プレートの件ですけどね」
カント 「オルファンが欲しがる何かの事だと思います。オーガニック的な何か!」
ヒギンズ 「オーガニック的な何か?オルファンが欲しがっているもの・・・」
ナンガ 「それをやりゃ・・・」
ラッセ 「オルファンを潰せるのか」
比瑪 「潰すんじゃないわ」
ヒギンズ 「生かす!」
勇 「しかしこの地球で、俺達人間がオルファンに拮抗させられるものと言えば・・・」
比瑪 「ならさ、見せつけてやりゃ良いのよ」
勇 「そうだな!」
ユキオ 「祈れば良いんだよ!」
アカリ 「オルファンと仲良く出来るって思うのよ!」
クマゾー 「出来るも!」
アイリーン 「あたし達に力が無い事が、情けなくありません?」
モハマド 「ですが幸せではあります」
アイリーン 「副長は我慢出来ます?」
副長 「現実は認めざるをえますまい。おい、手を繋げ」
ノヴィス・クルー 「は、はい!」
副長 「あぁ」
レイト 「全員甲板に上げて、手を繋げさせろ!」
ヒギンズ 「輝いてる?」
ラッセ 「感じたか、カナン。この光は・・・」
カナン 「ええ、とても暖かいわ」
翠 「依衣子のエナジーは地球のオーガニック・エナジーを誘導してくれましたね。これでオルファンは無事に銀河に旅立てる」
研作 「なら良いが・・・」
翠 「うっ!」
直子 「あなた達は!いい加減になさい!翠ね、あなただって私とイサムさんが望んで愛し合えたから産まれてこられたのに!」
翠 「何・・・?」
直子 「イサムさんが亡くなってからこっち、私はそういう事を言うのを忘れてた。悪かったわ・・・でもあなた達のやっている事は、怨念返しにしても酷いわよ!」
研作 「人間全体が生物的な、原理的なものを忘れ、どこかで間違ったのです。オルファンはこの姿を現す事で人間の知恵の、底の浅さを教えようとしているんでしょうな」
翠 「薄情になってしまった事を・・・」
直子 「翠・・・」
ゲイブリッジ 「ドクター伊佐未、オルファンと地球の生命体の因果関係はどうなっていくのかね」
研作 「この生き生きとしたオルファンを見れば、後は任せるだけです。人畜無害なのか、オルファンに取り込まれた依衣子がどうなるかと」
直子 「オルファンの成すがまま・・・」
ゲイブリッジ 「我々に出来る事はもう無い?」
シラー 「行くのか?」
勇 「ああ」
カナン 「あたし達に出来る事は、見守るだけ・・・?」
勇 「比瑪が話しかける事を試したんだから、今度は俺が試してみるさ」
比瑪 「うん。こんなに高くなっても苦しくないんだものね」
勇 「ああ、チャクラが守ってくれてるから」
比瑪 「出来るよね!依衣子さんを助ける事だって」
勇 「オルファンもね」
比瑪 「トマト畑、直さなくちゃならないか・・・」
勇 「怒るなよ!恨みは忘れろ、ネリー・ブレン」
比瑪 「オルファンさん!あたしの一番大切な人をあげるのよ!あたしの愛している人なんだから、寂しくないでしょう!?」
勇 「オルファンのエンジン・・・」
クインシィ 「勇!」
クインシィ 「あたしを傷付けに来たのか?」
勇 「今更傷付けるなんて、そんなんじゃない!」
クインシィ 「ここまで来たのに、そうじゃないって言うんなら・・・」
勇 「帰ってきちゃいけないか!?」
クインシィ 「帰ってきた?私の傍にいる連中は、私の想いなんか分からない。誰も私の傍にいてくれないのに・・・帰ってくるなんて・・・」
勇 「やり直す為だ。姉さんとオルファンを解放する為だ。出来るなんて思っちゃいないけど、姉さんも受け入れてくれるなら、地球をこのままにしておいてくれないかい?」
勇 「あっ・・・?」
勇 「オルファン!ビー・プレートの代わりに俺達を差し出す!だから、地球はこのままにしてやってくれないか!?」
ジョナサン 「見ろよママン。オルファンの輝きは暖かい。俺達の力を、俺達のやった事を認めてくれている暖かさだぜ」
アノーア 「ジョン・・・私の坊や・・・」
ジョナサン 「・・・ん」
比瑪 「ネリー・キムさん?」
ネリー 「ごきげんよう、比瑪ちゃん」
※勇の言うアレロパシティとは植物間相互作用(?)の事らしいです。
ネットで検索すると正確には「アレロパシー」が正しいように思えますが、
劇中の発音、小説版での記載から「アレロパシティ」としております。
第25話「オルファンのためらい」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201306240030056190/
比瑪・ナレーション 「さあ、決戦だ。決戦だって出ていったんだからオルファンからアーミーグランチャーなんかがいっぱい出てくるんだと思ったけど、オルファンさんはちゃんと分かっていて、そういうことはなかった。けど、依衣子さんがオルファンに取り込まれてしまったんで、その後全部が金縛りになっちゃうんだろうね、と心配なんだよね」
子供 「うわぁっ!」
副長 「オルファンは浮上してから引っ繰り返ろうとしています!」
アイリーン 「方向転換?地球の自転を利用している?」
子供 「怖いよう・・・!」
副長 「それで周回軌道に乗るつもりです!」
モハマド 「オルファンが我々を押し潰す?」
アイリーン 「そんな事は絶対にありません!離れてくれています」
アカリ 「比瑪姉ちゃん達負けちゃったの?」
ユキオ 「そんなことあるもんか!」
アカリ 「オルファンが飛んでるのに?」
クマゾー 「飛んでるも。綺麗だも」
ユキオ 「飛んでるからって綺麗じゃないんだよ!」
コモド 「オグンよ。これがあたし達に課せられた運命なのですか!?・・・カント!」
ユキオ 「ああーっ!」
クマゾー 「わあっ!」
カント 「ああ・・・!帰ってこられた」
ユキオ 「カント!」
カント
ユキオ 「あっ?」
クマゾー 「みんな帰るも」
カント 「良かった。皆帰ってこられた」
ユキオ 「ヒメ・ブレンとユウ・ブレンがいないじゃないか!」
アカリ 「どうして?」
カント 「そんなの分かりませんよ」
ジョナサン 「ううっ!」
シラー 「ジョナサン!オルファンに戻れたんだよ!」
ジョナサン 「余計な事したろ!」
シラー 「皆飛ばされたけど、あたし達は二人でいたからオルファンに戻れたようなんだ」
ジョナサン 「もう少しで勇と決着がつけられた!あいつを後悔をさせられ・・・」
バロン 「ジョナサン!」
ジョナサン 「・・・バロン!」
バロン 「無茶をしてバロン・ズゥを失っていたら、勇一人後悔させる事は出来なかった。クインシィというアンチボディを得てオルファンは動き出した。もう誰もおまえを思い煩わせる事はないのだ」
ジョナサン 「そうかい、ならここはクインシィの胎内というわけかよ。ハッハッハッ・・・ハッハッハッハ!」
バロン 「そうだ。これからは全ておまえの望む通りにしてやる。おまえも生まれてくれたのだから・・・」
村人A 「空気が薄くなってねえか?」
村人B 「あたし達の生き血を吸うんじゃないの?」
村人C 「この子だけでもお救い下さい!・・・ああっ?」
源野 「オルファン、待ってよ!あなた私を、ああっ・・・忘れてるわよう!オルファンさーん!」
勇 「何で・・・泣いてるんだ、俺。姉さんがあんな事になって悲しいのか?・・・どうして、こんな・・・うっ!」
勇 「カントの言っていたバイタル・グロウブに敏感な花・・・」
比瑪 「勇!元気ね!」
勇 「比瑪こそ、怪我は無いのか」
比瑪 「あたしは平気よ。それよりブレン達の方が心配じゃない?随分エナジーを吸われたみたいだから」
勇 「ここの花がこんなに輝いてるのは、オルファンが反応しているからなのか」
比瑪 「そうでしょう?だから、こんな綺麗なものを作り出せるオルファンが、何もかも奪ってしまうなんて嘘よ」
勇 「これは幻覚だよ」
比瑪 「これが?こんな風に感じ合えるのに?」
勇 「比瑪・・・」
比瑪 「ねっ?直子おばあちゃんや依衣子さん達を助けないままで良いと言うの?」
勇 「ブレンだって立ち上がれもしない」
比瑪 「諦めるの?あたしは最後まで生きるわ。勇と、皆と一緒に」
勇 「比瑪はいつも強いな。その強さをブレンに分けてくれないかい?」
比瑪 「良いよ。ネリー・ブレンが嫌でなければ、どうぞ!」
勇 「ネリー・ブレン・・・大丈夫か?比瑪」
比瑪 「うん」
勇 「比瑪、まだやれるかもしれない!」
比瑪 「そうですよ!お花のオーガニック・エナジーを貰っているんですもの!」
勇 「アレロパシティ。植物が共生し合う力が、顕在化したんだ!」
モハマド 「ノヴィス・ノアで特攻なんて!」
アイリーン 「ミスター・モハマドは子供達を避難させてくだされば良いんです」
モハマド 「そんな!」
デッキクルー 「フェロモン剤を持ってこいって言ってんだろう!」
ユキオ 「一生懸命擦ってやって皆の元気を分けてやれ!」
子供達 「はぁーい!」
アカリ 「これも戦いなんだぞ!」
クマゾー 「戦うも!」
アイリーン 「皆が・・・!」
モハマド 「これは!?」
カナン 「この子達、ブレン達の疲れが分かるんですよ!」
ラッセ 「そろそろ、再出撃出来ます。艦長」
ナンガ 「このままやられっぱなしは性に合わないし・・・」
ナッキィ 「まだ手はあるってんですよ、天才少年に」
カント 「あ、はい。これが光っているという事は・・・」
アイリーン 「オルファンを沈めるというより・・・」
カント 「共に生きると考える方が正しいんですよね?」
桑原 「おそらくね」
カント 「元気出して下さい」
ヒギンズ 「オーガニック・エナジーを試してみるの?」
桑原 「な、なるほどねえ。オーガニック・エナジーは暖かいか・・・」
モハマド 「諦めが悪いのは、この船に乗る皆そうみたいですね」
アイリーン 「はい」
勇 「ようしブレン、元気になってきたな。比瑪、そっちはどうだ?」
比瑪 「良いみたいよ、オーガニック・エナジーが集まってくる。これなら大丈夫だよ」
勇 「これだけの花が咲いてるんだ。溜め込めるだけ力を溜め込めよ。ネリー・ブレン!」
勇 「こういう事が出来るのも、オルファンの意思なのか?・・・あいつ!」
勇 「誰だ!?この感じ、ジョナサンじゃない!」
勇 「やめろ!その者!・・・バロン?」
研作 「依衣子!オーガニック・エナジーが高いぞ!高いぞ、高くなってる・・・」
翠 「あたし達が望んでいた事が始まってます」
研作 「良いのか?これで?」
翠 「やぁねぇ、コンピューターと机の上なら完璧な方が、現実となると恐れる・・・」
研作 「怖がっちゃいない」
翠 「そうですよ、あたし達のDNAを受け継いだクインシィ・イッサーのエナジーが、護ってくれているのですから!」
クインシィ 「ははは、あはははっ・・・!」
ジョナサン 「どういうことだ!シラー!」
シラー 「まだ動けるグランチャーは外に出せ!硬化しちまったら・・・」
ジョナサン 「どういうことだ!俺のバロン・ズゥは!?」
シラー 「知らないよ!オルファンは体内にあるプレートやグランチャーのオーガニック・エナジーを吸っているみたいなんだ」
ジョナサン 「何故だ?」
シラー 「分かるものか!これじゃあたし達もオルファンの餌食になるぞ!・・・ジョナサン!」
ジョナサン 「バロン!あんたはバロン・ズゥを持ち出して、俺を裏切る!俺の力を信用していないのか!」
勇 「バロン!」
バロン 「伊佐未勇死ねよや!」
勇 「ちいいっ!」
勇 「オルファンの前で斯くもネリー・ブレンを潰そうとする!俺も殺そうとする!」
バロン 「お前がそれをさせるのだよ!」
勇 「何故罪を重ねるんだ!?」
バロン 「ジョナサンに累を及ぼさない為に罪も罰も一身に受ける!」
勇 「くうう!」
バロン 「我が力を使え!」
勇 「この力・・・どこからくる?」
比瑪 「直撃なのに・・・どうしてさ!?」
勇 「比瑪!来るんじゃない!こいつは異常なんだ!」
バロン 「おまえの力は無限だ!さもなければ、お前が私の想いに応えてリバイバルはしなかった!」
(アイキャッチ無し)
勇 「武器を再生する力もついてる?」
比瑪 「あっ」
比瑪 「あれ、大きくなってるの?」
勇 「バロンの怒りの力のせいだ」
勇 「バロン・ズゥは・・・バロン、あなたのエナジーを吸ってる。任せっぱなしにすると、あなたの身体が持たないぞ!」
バロン 「伊佐未勇を倒す!ジョサナンの望みだ!それが出来ればそれで結構!」
勇 「ジョナサンだと?」
比瑪 「勇!あの人を止めないと大変な事になる!」
勇 「比瑪!合わせろ!」
バロン 「喜べジョナサン!おまえの願いは私が叶えてやる・・・!」
ジョナサン 「バロン・マクシミリアン!」
ジョナサン 「バロン!」
勇
比瑪 「チャクラ・エクステンション!」
aaaa 「バローン!」
バロン 「こんな事ではぁ!」
勇 「落ちない・・・」
比瑪 「ゆ、勇」
バロン 「私の想いを受けて生まれたバロン・ズゥは無敵である!見ていなさいジョナサン!あなたの敵は私が排除してあげる!」
ジョナサン 「バロン?」
バロン 「息子の為に死ねえ!」
勇 「アノーア艦長・・・?」
ジョナサン 「…」
比瑪 「勇ー!」
勇 「艦長さんが・・・楽になるというなら、良いよ。艦長さんが良いなら・・・!」
バロン 「うわあああ!」
比瑪 「ブレン!怖がらないで!」
比瑪 「んならもぅー!っと!」
比瑪 「縮んでく?」
勇 「グランチャーを、ああいう風に使ったらどんなエネルギーだって・・・使い過ぎれば無くなっちまうんだ!強過ぎる力は身を滅ぼす・・・」
ジョナサン 「くっ。バロンが!?」
バロン 「ジョ、ジョナサン・・・」
バロン 「ああ・・・」
ジョナサン 「あんた・・・?ええぃ」
ジョナサン 「・・・ははっ、はははっ!ははははっ、何であんたがバロンなんだ!」
アノーア 「お前の傍に・・・居たかった。今度こそお前の為に・・・何かをしてあげ・・・」
ジョナサン 「遅いんだよ!俺を騙して裏切ったんだぞ!」
アノーア 「元気な・・・ジョン・・・」
ジョナサン 「起きろよ。あんたにはまだ言いたい事がいっぱいあるんだ!」
勇 「お袋さんは、やる事はやったんだ。許してやれ!」
ジョナサン 「親子の間に入るな!」
勇 「ヒメ・ブレンも、ネリー・ブレンも撃つな!」
比瑪 「でも後ろにグランチャーが!」
勇 「うっ!・・・シラー!聞こえるか!」
勇 「シラー、力を貸してくれ。ジョナサンは母親に会った」
シラー 「聞こえたよ」
勇 「怒るな!ジョナサンは俺の身代わりになってくれた。シラーの身代わりもやってくれたと思わないか?」
シラー 「くっ・・・」
比瑪 「身代わり?」
勇 「俺達は出来る事をやるしかないんだ。放っておいたら地球も人類も皆消えちまう。違うか?シラー」
シラー 「オルファンは・・・いやクインシィは、グランチャーもリクレイマーもアメリカも排除している。このままじゃ星になった弟達に会えなくなるじゃないか!」
勇 「済まない、シラー」
比瑪 「ブレーン!」
副長 「オーガニック・エンジン臨界持続中」
アイリーン 「オルファンからの攻撃に・・・」
副長 「左舷にオーガニック・リアクション!」
アイリーン 「ええっ?」
アイリーン 「勇に比瑪ちゃん!」
モハマド 「グランチャーも一緒じゃないか!」
勇 「ノヴィスの力もジャンプ台になった」
カナン 「勇と比瑪ちゃんだけには任せないわよ」
勇 「カナン!」
カナン 「シラーだけにもね」
カント 「ビー・プレートの件ですけどね」
カント 「オルファンが欲しがる何かの事だと思います。オーガニック的な何か!」
ヒギンズ 「オーガニック的な何か?オルファンが欲しがっているもの・・・」
ナンガ 「それをやりゃ・・・」
ラッセ 「オルファンを潰せるのか」
比瑪 「潰すんじゃないわ」
ヒギンズ 「生かす!」
勇 「しかしこの地球で、俺達人間がオルファンに拮抗させられるものと言えば・・・」
比瑪 「ならさ、見せつけてやりゃ良いのよ」
勇 「そうだな!」
ユキオ 「祈れば良いんだよ!」
アカリ 「オルファンと仲良く出来るって思うのよ!」
クマゾー 「出来るも!」
アイリーン 「あたし達に力が無い事が、情けなくありません?」
モハマド 「ですが幸せではあります」
アイリーン 「副長は我慢出来ます?」
副長 「現実は認めざるをえますまい。おい、手を繋げ」
ノヴィス・クルー 「は、はい!」
副長 「あぁ」
レイト 「全員甲板に上げて、手を繋げさせろ!」
ヒギンズ 「輝いてる?」
ラッセ 「感じたか、カナン。この光は・・・」
カナン 「ええ、とても暖かいわ」
翠 「依衣子のエナジーは地球のオーガニック・エナジーを誘導してくれましたね。これでオルファンは無事に銀河に旅立てる」
研作 「なら良いが・・・」
翠 「うっ!」
直子 「あなた達は!いい加減になさい!翠ね、あなただって私とイサムさんが望んで愛し合えたから産まれてこられたのに!」
翠 「何・・・?」
直子 「イサムさんが亡くなってからこっち、私はそういう事を言うのを忘れてた。悪かったわ・・・でもあなた達のやっている事は、怨念返しにしても酷いわよ!」
研作 「人間全体が生物的な、原理的なものを忘れ、どこかで間違ったのです。オルファンはこの姿を現す事で人間の知恵の、底の浅さを教えようとしているんでしょうな」
翠 「薄情になってしまった事を・・・」
直子 「翠・・・」
ゲイブリッジ 「ドクター伊佐未、オルファンと地球の生命体の因果関係はどうなっていくのかね」
研作 「この生き生きとしたオルファンを見れば、後は任せるだけです。人畜無害なのか、オルファンに取り込まれた依衣子がどうなるかと」
直子 「オルファンの成すがまま・・・」
ゲイブリッジ 「我々に出来る事はもう無い?」
シラー 「行くのか?」
勇 「ああ」
カナン 「あたし達に出来る事は、見守るだけ・・・?」
勇 「比瑪が話しかける事を試したんだから、今度は俺が試してみるさ」
比瑪 「うん。こんなに高くなっても苦しくないんだものね」
勇 「ああ、チャクラが守ってくれてるから」
比瑪 「出来るよね!依衣子さんを助ける事だって」
勇 「オルファンもね」
比瑪 「トマト畑、直さなくちゃならないか・・・」
勇 「怒るなよ!恨みは忘れろ、ネリー・ブレン」
比瑪 「オルファンさん!あたしの一番大切な人をあげるのよ!あたしの愛している人なんだから、寂しくないでしょう!?」
勇 「オルファンのエンジン・・・」
クインシィ 「勇!」
クインシィ 「あたしを傷付けに来たのか?」
勇 「今更傷付けるなんて、そんなんじゃない!」
クインシィ 「ここまで来たのに、そうじゃないって言うんなら・・・」
勇 「帰ってきちゃいけないか!?」
クインシィ 「帰ってきた?私の傍にいる連中は、私の想いなんか分からない。誰も私の傍にいてくれないのに・・・帰ってくるなんて・・・」
勇 「やり直す為だ。姉さんとオルファンを解放する為だ。出来るなんて思っちゃいないけど、姉さんも受け入れてくれるなら、地球をこのままにしておいてくれないかい?」
勇 「あっ・・・?」
勇 「オルファン!ビー・プレートの代わりに俺達を差し出す!だから、地球はこのままにしてやってくれないか!?」
ジョナサン 「見ろよママン。オルファンの輝きは暖かい。俺達の力を、俺達のやった事を認めてくれている暖かさだぜ」
アノーア 「ジョン・・・私の坊や・・・」
ジョナサン 「・・・ん」
比瑪 「ネリー・キムさん?」
ネリー 「ごきげんよう、比瑪ちゃん」
※勇の言うアレロパシティとは植物間相互作用(?)の事らしいです。
ネットで検索すると正確には「アレロパシー」が正しいように思えますが、
劇中の発音、小説版での記載から「アレロパシティ」としております。
第25話「オルファンのためらい」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201306240030056190/
ブレンパワード 全台詞集 第25話「オルファンのためらい」
2013年6月24日 ブレンパワード全台詞集脚本:面出明美 絵コンテ:香川豊 演出:南康宏 作画監督:戸部敦夫
比瑪・ナレーション 「勇の姉さん、依衣子さんが逃げ出した時あたしのブレンに乗っちゃったんだよね。あの子、よくも付き合ったもんだ。だから、勇の故郷に出ちゃったんだけど、あれ幻かもしれない。でも依衣子さんは間違いなく赤いバロン・ズゥに乗って消えたんだから現実でしょうね。驚嘆、驚嘆」
勇 「監視しなくちゃならないのは、俺達じゃないだろうに」
ナンガ 「アメリカは、オルファンに世界中を這い蹲らせて、地球を傷だらけにしちまうつもりだぜ」
ラッセ 「かといって、オルファンが宇宙に飛び出せば、オーガニック・エナジーを吸われて地球はお終い・・・」
コモド 「黙って見てろって言うの?そんなこと絶対にさせないわ!」
ナンガ 「やめないか!」
アイリーン 「桑原博士が責任を感じ過ぎることはありませんよ」
カント 「そうです、オルファンの活動を止めりゃあいいんです」
アイリーン 「簡単に言うわねえ?」
カント 「僕、あの二人が鍵を握ってると思います」
勇 「何です?」
比瑪 「はい?」
カント 「ね?」
アイリーン 「そうみたい」
カント 「オルファンの事、みんなに話してあげてくださいよ!」
比瑪 「オルファンは敵っていうものではありませんね」
ナンガ 「んじゃあ、なんだってんだよ?」
カナン 「それって、比瑪ちゃんと勇の感じ方でしょ?」
勇 「比瑪の言うとおりです。俺とカナンが教えられていたのはリクレイマーの一方的な理屈だったんです。つまり、脱走したい人、逃げ回りたい人の考え方だった」
カナン 「そっか・・・そうね、オルファンの抗体になれば悲しいことは無くなると信じてた」
ラッセ 「現実逃避の思想だな」
比瑪 「おいで~」
クマゾー 「はは」
比瑪 「あはは」
勇 「考えてもみてください。オルファンは自分ひとりでだって宇宙に出られるのに、どうしてアンチボディなんかが必要だったのか。何故、リクレイマーの侵入を許したか」
アイリーン 「オルファンにとって人間が必要だということ?」
勇 「姉さんも言ってました。グランチャーだってブレンと同じように感情があるって。ですからオルファンだって・・・」
ヒギンズ 「気持ちを通わせて話が出来るって事?」
勇 「ええ、そういう可能性は感じました」
ナッキィ 「おいおい!本気で言ってるのかよ?あれと一体どうやって話をするんだ?」
比瑪 「あたし、オルファンの女の子の声を聞いたわ。寂しいって泣いてる姿もを見ましたよ。だからあたし、話し合いは・・・」
比瑪 「だから、オルファンは誰かに側にいて欲しいって思ってるわ」
カント 「本来その役目はオルファンと対になる存在、ビー・プレートと呼ばれているもののはずなんですけどね」
比瑪 「彼女は宇宙の迷子なのよね」
勇 「同時に、ブレンやグランチャーの母でもある。それに賭けてみません?」
ネリー 「勇、忘れないで。憎しみだけで戦わないでね。それではオルファンは止められないわ」
勇 「上手くいくよ」
モハマド 「何をどうやるつもりです?グランチャーの数は圧倒的だし、例えオルファンに近づけたとしても、話を聞いてくれるかどうか。比瑪や勇が潜入した時も、オルファンは止められなかったのだろう?」
カント 「それについては、僕は心配していません。ブレンパワードに乗ってみて分かったんです。彼らの力は日々強くなっています」
モハマド 「しかし・・・」
ユキオ 「どうしたの?あっ、ネリー!」
勇 「おい!興奮するんじゃない!一体どうしたんだ!?」
アイリーン 「勝手に持ち場を離れないで!」
クマゾー 「動くも!」
比瑪 「どうしちゃったの!?」
ラッセ 「なにかに引っ張られてるんだ!」
勇 「おい!」
比瑪 「なにしてるの!」
カナン 「息んでる?」
勇 「うっ!」
比瑪 「何やろうってんです?」
モハマド 「おおっ!」
ヒギンズ 「チャクラを纏めるつもり?」
カナン 「そうなの?」
ラッセ 「お前達!」
ナンガ 「勝手にどっかに行っちまうんだろ!」
比瑪 「そうか!オルファンまで道が続いてるのよ!」
勇 「だったら何だって言うの?」
比瑪 「行くんでしょ!?」
勇 「あ?」
ナッキィ 「何て分の悪い賭けだ!」
ナンガ 「なら降りるかい?」
ナッキィ 「こんな馬鹿な事、俺達がやらなきゃ誰がやるんだ」
カント 「僕達は、この母なる地球で生きるしかないんですから。オルファンにも一緒に暮らすように説得するしかないでしょう?」
アイリーン 「それで決まりね。でも今すぐの出撃は無し。メインクルーの休息が足りません」
勇 「でも!」
アイリーン 「艦長命令です!ブレン達の様子からも分かるでしょ?万全の態勢で臨んでもらいたいんです」
カナン 「お出かけ?ヒギンズ」
ヒギンズ 「最後の夜になりそうだから」
カナン 「ああ・・・」
ヒギンズ 「でも、別れを言いに行くんじゃないわ。一緒に生きていくためのエネルギーを分け合うため」
カナン 「良いわね」
ヒギンズ 「あなただって待ってる人がいるんじゃない?素直にしないと後悔するぞ」
カナン 「ああ、偉そ」
カント 「ねえブレン、貧乏ゆすりはやめて一緒に寝ようよ」
比瑪 「勇は優しいから家族の事考えるんだよ」
勇 「そんな奴が、親殺しなんか考えるもんか」
比瑪 「ほら、優しいから傷つくんだよ。そういう所、あたしは好きだな」
勇 「明日で、何もかもお終いかもしれないんだ」
比瑪 「私は大丈夫。みんないてくれるもん」
比瑪 「怖くなんかないもん・・・」
副長 「ウェッジに続いてイランド出せ!」
アイリーン 「偵察飛行のみ、よろしく!」
モハマド 「ついに作戦開始ですか艦長。生死の恐れはあってもアイリーンさんと御一緒であるという喜びがあれば・・・」
アイリーン 「これもミスターモハマドの御協力があったらばこそです」
モハマド 「何を仰います。このノヴィス・ノアでは難民の子供達まで頑張っています。ですから、勝てますよね?」
副長 「そりゃあ・・・」
アイリーン 「駄目だったらあたしと一緒に死んでくださるんでしょ?」
モハマド 「も、もちろんですとも」
クマゾー 「いってらっしゃい!」
比瑪 「あんた達も」
アカリ 「うぅっ」
比瑪 「ユキオ、二人をよろしくね」
ユキオ 「心配しなくていいよ。お前も比瑪姉ちゃんを頼んだぞ!」
コモド 「オグンよ、この戦いの我を護りたまえ」
レイト 「帰って来いよ」
ヒギンズ 「絶対に」
ラッセ 「太平洋艦隊の目の前で出撃か・・・よっと。カナン、ナンガ!いいぞ!」
ナンガ 「急かしなさんな。コモド、アメリカさんを牽制してくれよ」
ユキオ 「あいつら絶対に撃ってくるぞ」
アカリ 「そんなの!」
アイリーン 「ネリー・ブレンに続いて全員発進してください。ただし太平洋艦隊は当方の作戦を認めていません」
副長 「故に!ブレン発進と同時にオーガニック・シールドを展開する!」
比瑪 「あはっ、勇のネリー!」
ナンガ 「ラッセに負けるなよ、ブレン・シルバレー!うっ!」
ナッキィ 「行くぜ!天才少年!」
カント 「頼みます!ナッキィさん!」
翠 「ガバナーの手から離れれば、またあなたが親に命令するのですか!」
クインシィ 「宇宙に出た部分と大気圏に浸っている部分の循環器調整は急ぐのだろう?オルファンの体調を速やかに健やかなものにしなければ、リクレイマーといえども、宇宙に放り出す!」
翠 「クインシィ・・・あなた!」
(アイキャッチ無し)
クインシィ 「そんなこと予定通りだろう!」
リクレイマーA 「はい、ですが・・・」
クインシィ 「分かっている!指揮権は私にある!」
リクレイマーA 「バロンはどう・・・?」
クインシィ 「ガバナーからは目を離すな!」
リクレイマーA 「勿論」
クインシィ 「バロンとジョナサンは?」
バロン 「女に従ってみせる・・・という事で、良いのか?」
ジョナサン 「ふっ。地球に審判を下し、銀河旅行をする時に必要なのは女王です。キングではリクレイマーや軍人という大衆は付いてきませんよ」
バロン 「さすが私の見込んだ騎士、ナイトである」
ジョナサン 「何故そこまで私にして下さるのか」
バロン 「地球での思い出、貴公と同じように辛いものばかりだったからだ」
ジョナサン 「このバロン・ズゥの力でオルファンは何もかも無にして、我々を新しい世界へ連れて行ってくれます」
バロン 「そうだよ、二人でそうしよう」
ジョナサン 「ん?」
クインシィ 「ジョナサン!ブレン達が来るぞ!」
カント 「うわっ!出ました!」
ヒギンズ 「お上手!あれが、オルファン?」
カナン 「上の方はもう宇宙に出てるのよ」
比瑪 「大きい・・・」
比瑪 「うっ!アメリカさんとつまらない戦いは、しては駄目よ!」
カナン 「勇!皆さん!出てきたわ!」
ジョナサン 「はっはははっ!ブレンパワードなんか!」
ゲイブリッジ 「ジョナサン君はまだ戦いにこだわっている!」
直子 「アーミーグランチャー達も・・・」
ゲイブリッジ 「彼等こそ度し難い!」
バロン 「そうですか?ガバナーが軍を呼び入れたのはアンチボディやオルファンの体力を付けるためでありましたろ?」
ゲイブリッジ 「しかしこちらから戦端を開く事はなかった!」
バロン 「それはそうです。が、軍というものはクズも多い!そういうものを整理するために・・・まっ、戦争というものは便利なものです」
シラー 「上にやるかあ!ブレンの特攻なんて戦術以下なんだよ!」
ヒギンズ 「死ぬ為に来たんじゃない!」
シラー 「チャクラ・フラッシュが歪んだ?オルファンは何故こいつらを近づけさせる!?」
カント 「ブレン!ごめん、頑張って!」
比瑪 「もっと上手に使ってやらないと、ブレンが可哀想でしょ!」
カント 「すみません。君の反射神経は僕以上なんだから任せるよ」
ジョナサン 「何やっても遅いんだよ勇!」
勇 「お前だって逃げ回っていた!」
ジョナサン 「俺が何から逃げてるって言うんだよ!」
勇 「一人で戦い、一人で生きることをだ!」
ジョナサン 「くはああっ!」
ゲイブリッジ 「オルファンの熱量は上がっているようだ」
直子 「大丈夫でしょうか」
ゲイブリッジ 「オルファンが我々をばい菌と間違うことはありません」
バロン 「しかしオルファンはこのまま宇宙に飛ぶぞ、ガバナー。それではオルファンを領土にしたアメリカの思惑とも違ったな」
ゲイブリッジ 「オルファンを遺跡と考えてしまった初期の誤りがあったからだ。オルファンの生命力は強過ぎた」
バロン 「人間のエゴが強過ぎたからオルファンが反発しているという事もあるぞ」
直子 「え?」
ゲイブリッジ 「ああ、そうだな。オルファンの力でより多くの人々を救おうとするには、ノヴィス・ノアの様な強い意思は邪魔になる。彼らは例え地球が滅びるとわかっていても抵抗を続ける。それはアメリカもそうだ。そんな人間のエゴにオルファンはイライラしているのだろうな」
直子 「私には、このオルファンの神経のつぼの様な所に囚われていても、そういった苛立ちは感じませんけど」
バロン 「何を仰る伊佐未直子。あなたがそう感じられるのは、あなたがオルファンに選ばれた人だからです。オルファンに乗せられる人類は限られている。人間のエゴというオーガニック・パワーも吸い上げて、オルファンは旅立つのだ!」
ゲイブリッジ 「バロン!君は何を・・・!君は何を求めているのだ!」
バロン 「あなた方には解りはしないだろうな。この私の、今の幸福感など!」
直子 「解る訳はありません!ゲイブだって間違ったやり方をしたかもしれませんけど、この人の理想を・・・人類を救いたいという想いを、あなたも解りはしないでしょう!?」
勇 「似たもの同士、戦うのは止めようぜ!」
ジョナサン 「誰が似ている!?」
勇 「俺が両親を憎んだように、ジョナサンはアノーア艦長を憎んだ!愛していたからだ!」
ジョナサン 「俺は誰も愛していない!」
ジョナサン 「踏ん張れよ!」
勇 「止めよう!ジョナサン!こんな事をしている暇はない!」
ジョナサン 「やってやろうって・・・な、何?」
シラー 「ジョナサン!引いて下さい、奴に飲まれてます!」
ジョナサン 「俺は勇なんかに負けちゃいない!・・・シラー!邪魔をするな!」
シラー 「そ、そのつもりでは・・・!ああっ!」
勇 「どうしたの?ネリーブレン!」
カナン 「ブレン、何が起こったの?」
比瑪 「ブレンが・・・アンチボディ達が共感している?勇!」
ヒギンズ 「グ、グランチャーの影が見えなくなってる?」
ナッキィ 「ブレンにはこんな力があったのか?・・・オルファンのフィギュア?」
ナンガ 「どうも臭いな。グランチャー達はすぐに戻ってきそうだ。カント!大丈夫か?」
カント 「え、ええ!フィギュアは見えますか?」
ナンガ 「おうよ、奴らが戻ってくる前にオルファンに飛び込むぞ!」
比瑪 「よく見て!赤いグランチャーがいるでしょ!」
カナン 「赤いバロン・ズゥ・・・」
勇 「姉さん・・・!」
クインシィ 「まあノコノコと来てくれて、好きにやってくれたけど・・・これ以上は無駄だねえ。ん?」
ナッキィ 「こいつは俺が抑える!勇!比瑪!オルファンに行け!」
勇 「ナッキィ止めろ!」
クインシィ 「ふん!」
ナッキィ 「隠れた?」
クインシィ 「オルファンはこういう使い方が出来る」
ナッキィ 「うわっ!」
勇 「姉さん!もう一度話をしよう!」
クインシィ 「もう遅い!」
ラッセ 「カナン、撃つな!俺が止める!」
ラッセ 「な、何だ!?」
カナン 「ラッセ!どうしたの?」
ラッセ 「近づくなカナン!うっ!うう・・・力が抜けて・・・」
カナン 「ラッセ!そのスキンウェハーから手を離して!オルファンのスキンの機能にそんなものが?」
ラッセ 「びょ、病気の俺が狙われたのか?」
カナン 「ラッセ!」
カント 「駄目ですよ!ラッセさんに触ったら、カナンさんまでエネルギーを取られてしまうじゃないですか!」
カナン 「ラッセ!バイタル・グロウブに飛べばスキンウェハーから離れられます!」
ナッキィ 「たった一人のグランチャーに近づけないのか」
ヒギンズ 「撃ってもこちらのエネルギーを吸われる?比瑪ちゃん・・・どうしたらいいの?」
クインシィ 「何だあ!?」
比瑪 「駄目ー!」
クインシィ 「はあ!」
勇 「比瑪ぇ!」
比瑪 「オルファンさん!お願い!私達の・・・声を聞いて!」
研作 「おかしいな。計算ではオルファンはもう飛び立てるはずなんだが、何故だ?」
翠 「計算なんてオルファンには役に立たない事はもう証明済みでしょ」
研作 「いや、何かが・・・何かが足りないのだ。宇宙へ飛び出すための決定的な・・・決定的にオーガニック的なものって、何だ?」
翠 「オルファンの求めているものは新しい生命の力でしょ。手段を講じるために必要なものはオーガニック・エナジーの総量です。全地球の生命力です」
研作 「そういう数量的なものじゃない。量じゃないんだよ、翠!」
翠 「ならパッションとでも言うんですか?情愛的なものをオルファンが欲しがっていると?まったく!」
研作 「そうだな、それではお笑い種だ。はあ・・・ん?」
勇 「姉さん!やめようよ!」
クインシィ 「やめるのはブレンパワードがいなくなってからだ!」
比瑪 「考え過ぎです依衣子さん!オルファンさんは一人でやっていける方です!護る事なんて、考えなくたっていいんです!でも、放っておいてはかわいそうなんです!」
勇 「放っておくとかわいそう?」
クインシィ 「乙女チックな事を!・・・ああっ?」
クインシィ 「オルファンは・・・比瑪の言うことに応えたのか?私ではなく!」
勇 「あうう!・・・ぐうっ・・・!」
比瑪 「勇!依衣子さん?」
クインシィ 「オルファン!あんたにはあたしがいるじゃないか!他の誰も要らない、あたしがずっといてあげるから!」
比瑪 「勇、依衣子さんが・・・」
勇 「オルファンに還る?」
勇 「姉さんのバロン・ズゥが!?」
比瑪 「オルファンさんに・・・」
クインシィ 「うああっ・・・はあっ・・・!」
ラッセ 「バロンズゥとかいう奴、オルファンに」
カナン 「オルファンの抗体になるという事は、こういう事だったの?」
ナンガ 「ああやって抗体になったら、中の人間はどうなっちまうんだよ?勇!カナン!」
ナッキィ 「あの透明な物が盾のように並んでるって事は・・・、ブレンパワードを取り込むつもりはないらしいな」
カント 「相手は生物的な特性を持ってるんです。そんな事わかりませんよ!」
ヒギンズ 「だったら比瑪ちゃん!勇!ブレンのチャクラを集中してあの急所を攻撃する!」
比瑪 「攻撃、攻撃、攻撃!そんな事じゃ終わりませんよ!勇・・・」
勇 「姉さん!」
比瑪 「落ち着きなさい!このまま突っ込んだら勇も取り込まれるわ!」
勇 「比瑪・・・」
比瑪 「はっ?オルファンさん・・・目覚めるわ」
勇 「オルファンが、目覚める?」
研作 「あのデータは間違いなく依衣子のだ!」
翠 「クインシィ・イッサーのものです!確かに!」
リクレイマーB 「き、聞いたことのない音だ!」
リクレイマーC 「オルファンのエネルギーの総量が!」
直子 「ゲ、ゲイブ!」
ゲイブリッジ 「オルファンの変態が始まったのでしょう」
直子 「脱皮でもするというのですか?」
バロン 「始まったのか?」
クインシィ 「ははは、あははっ・・・!はははっ・・・あっはははは!」
第24話「記憶のいたずら」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201305181024327304/
→第26話「飛翔」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201307120014072863/
比瑪・ナレーション 「勇の姉さん、依衣子さんが逃げ出した時あたしのブレンに乗っちゃったんだよね。あの子、よくも付き合ったもんだ。だから、勇の故郷に出ちゃったんだけど、あれ幻かもしれない。でも依衣子さんは間違いなく赤いバロン・ズゥに乗って消えたんだから現実でしょうね。驚嘆、驚嘆」
勇 「監視しなくちゃならないのは、俺達じゃないだろうに」
ナンガ 「アメリカは、オルファンに世界中を這い蹲らせて、地球を傷だらけにしちまうつもりだぜ」
ラッセ 「かといって、オルファンが宇宙に飛び出せば、オーガニック・エナジーを吸われて地球はお終い・・・」
コモド 「黙って見てろって言うの?そんなこと絶対にさせないわ!」
ナンガ 「やめないか!」
アイリーン 「桑原博士が責任を感じ過ぎることはありませんよ」
カント 「そうです、オルファンの活動を止めりゃあいいんです」
アイリーン 「簡単に言うわねえ?」
カント 「僕、あの二人が鍵を握ってると思います」
勇 「何です?」
比瑪 「はい?」
カント 「ね?」
アイリーン 「そうみたい」
カント 「オルファンの事、みんなに話してあげてくださいよ!」
比瑪 「オルファンは敵っていうものではありませんね」
ナンガ 「んじゃあ、なんだってんだよ?」
カナン 「それって、比瑪ちゃんと勇の感じ方でしょ?」
勇 「比瑪の言うとおりです。俺とカナンが教えられていたのはリクレイマーの一方的な理屈だったんです。つまり、脱走したい人、逃げ回りたい人の考え方だった」
カナン 「そっか・・・そうね、オルファンの抗体になれば悲しいことは無くなると信じてた」
ラッセ 「現実逃避の思想だな」
比瑪 「おいで~」
クマゾー 「はは」
比瑪 「あはは」
勇 「考えてもみてください。オルファンは自分ひとりでだって宇宙に出られるのに、どうしてアンチボディなんかが必要だったのか。何故、リクレイマーの侵入を許したか」
アイリーン 「オルファンにとって人間が必要だということ?」
勇 「姉さんも言ってました。グランチャーだってブレンと同じように感情があるって。ですからオルファンだって・・・」
ヒギンズ 「気持ちを通わせて話が出来るって事?」
勇 「ええ、そういう可能性は感じました」
ナッキィ 「おいおい!本気で言ってるのかよ?あれと一体どうやって話をするんだ?」
比瑪 「あたし、オルファンの女の子の声を聞いたわ。寂しいって泣いてる姿もを見ましたよ。だからあたし、話し合いは・・・」
比瑪 「だから、オルファンは誰かに側にいて欲しいって思ってるわ」
カント 「本来その役目はオルファンと対になる存在、ビー・プレートと呼ばれているもののはずなんですけどね」
比瑪 「彼女は宇宙の迷子なのよね」
勇 「同時に、ブレンやグランチャーの母でもある。それに賭けてみません?」
ネリー 「勇、忘れないで。憎しみだけで戦わないでね。それではオルファンは止められないわ」
勇 「上手くいくよ」
モハマド 「何をどうやるつもりです?グランチャーの数は圧倒的だし、例えオルファンに近づけたとしても、話を聞いてくれるかどうか。比瑪や勇が潜入した時も、オルファンは止められなかったのだろう?」
カント 「それについては、僕は心配していません。ブレンパワードに乗ってみて分かったんです。彼らの力は日々強くなっています」
モハマド 「しかし・・・」
ユキオ 「どうしたの?あっ、ネリー!」
勇 「おい!興奮するんじゃない!一体どうしたんだ!?」
アイリーン 「勝手に持ち場を離れないで!」
クマゾー 「動くも!」
比瑪 「どうしちゃったの!?」
ラッセ 「なにかに引っ張られてるんだ!」
勇 「おい!」
比瑪 「なにしてるの!」
カナン 「息んでる?」
勇 「うっ!」
比瑪 「何やろうってんです?」
モハマド 「おおっ!」
ヒギンズ 「チャクラを纏めるつもり?」
カナン 「そうなの?」
ラッセ 「お前達!」
ナンガ 「勝手にどっかに行っちまうんだろ!」
比瑪 「そうか!オルファンまで道が続いてるのよ!」
勇 「だったら何だって言うの?」
比瑪 「行くんでしょ!?」
勇 「あ?」
ナッキィ 「何て分の悪い賭けだ!」
ナンガ 「なら降りるかい?」
ナッキィ 「こんな馬鹿な事、俺達がやらなきゃ誰がやるんだ」
カント 「僕達は、この母なる地球で生きるしかないんですから。オルファンにも一緒に暮らすように説得するしかないでしょう?」
アイリーン 「それで決まりね。でも今すぐの出撃は無し。メインクルーの休息が足りません」
勇 「でも!」
アイリーン 「艦長命令です!ブレン達の様子からも分かるでしょ?万全の態勢で臨んでもらいたいんです」
カナン 「お出かけ?ヒギンズ」
ヒギンズ 「最後の夜になりそうだから」
カナン 「ああ・・・」
ヒギンズ 「でも、別れを言いに行くんじゃないわ。一緒に生きていくためのエネルギーを分け合うため」
カナン 「良いわね」
ヒギンズ 「あなただって待ってる人がいるんじゃない?素直にしないと後悔するぞ」
カナン 「ああ、偉そ」
カント 「ねえブレン、貧乏ゆすりはやめて一緒に寝ようよ」
比瑪 「勇は優しいから家族の事考えるんだよ」
勇 「そんな奴が、親殺しなんか考えるもんか」
比瑪 「ほら、優しいから傷つくんだよ。そういう所、あたしは好きだな」
勇 「明日で、何もかもお終いかもしれないんだ」
比瑪 「私は大丈夫。みんないてくれるもん」
比瑪 「怖くなんかないもん・・・」
副長 「ウェッジに続いてイランド出せ!」
アイリーン 「偵察飛行のみ、よろしく!」
モハマド 「ついに作戦開始ですか艦長。生死の恐れはあってもアイリーンさんと御一緒であるという喜びがあれば・・・」
アイリーン 「これもミスターモハマドの御協力があったらばこそです」
モハマド 「何を仰います。このノヴィス・ノアでは難民の子供達まで頑張っています。ですから、勝てますよね?」
副長 「そりゃあ・・・」
アイリーン 「駄目だったらあたしと一緒に死んでくださるんでしょ?」
モハマド 「も、もちろんですとも」
クマゾー 「いってらっしゃい!」
比瑪 「あんた達も」
アカリ 「うぅっ」
比瑪 「ユキオ、二人をよろしくね」
ユキオ 「心配しなくていいよ。お前も比瑪姉ちゃんを頼んだぞ!」
コモド 「オグンよ、この戦いの我を護りたまえ」
レイト 「帰って来いよ」
ヒギンズ 「絶対に」
ラッセ 「太平洋艦隊の目の前で出撃か・・・よっと。カナン、ナンガ!いいぞ!」
ナンガ 「急かしなさんな。コモド、アメリカさんを牽制してくれよ」
ユキオ 「あいつら絶対に撃ってくるぞ」
アカリ 「そんなの!」
アイリーン 「ネリー・ブレンに続いて全員発進してください。ただし太平洋艦隊は当方の作戦を認めていません」
副長 「故に!ブレン発進と同時にオーガニック・シールドを展開する!」
比瑪 「あはっ、勇のネリー!」
ナンガ 「ラッセに負けるなよ、ブレン・シルバレー!うっ!」
ナッキィ 「行くぜ!天才少年!」
カント 「頼みます!ナッキィさん!」
翠 「ガバナーの手から離れれば、またあなたが親に命令するのですか!」
クインシィ 「宇宙に出た部分と大気圏に浸っている部分の循環器調整は急ぐのだろう?オルファンの体調を速やかに健やかなものにしなければ、リクレイマーといえども、宇宙に放り出す!」
翠 「クインシィ・・・あなた!」
(アイキャッチ無し)
クインシィ 「そんなこと予定通りだろう!」
リクレイマーA 「はい、ですが・・・」
クインシィ 「分かっている!指揮権は私にある!」
リクレイマーA 「バロンはどう・・・?」
クインシィ 「ガバナーからは目を離すな!」
リクレイマーA 「勿論」
クインシィ 「バロンとジョナサンは?」
バロン 「女に従ってみせる・・・という事で、良いのか?」
ジョナサン 「ふっ。地球に審判を下し、銀河旅行をする時に必要なのは女王です。キングではリクレイマーや軍人という大衆は付いてきませんよ」
バロン 「さすが私の見込んだ騎士、ナイトである」
ジョナサン 「何故そこまで私にして下さるのか」
バロン 「地球での思い出、貴公と同じように辛いものばかりだったからだ」
ジョナサン 「このバロン・ズゥの力でオルファンは何もかも無にして、我々を新しい世界へ連れて行ってくれます」
バロン 「そうだよ、二人でそうしよう」
ジョナサン 「ん?」
クインシィ 「ジョナサン!ブレン達が来るぞ!」
カント 「うわっ!出ました!」
ヒギンズ 「お上手!あれが、オルファン?」
カナン 「上の方はもう宇宙に出てるのよ」
比瑪 「大きい・・・」
比瑪 「うっ!アメリカさんとつまらない戦いは、しては駄目よ!」
カナン 「勇!皆さん!出てきたわ!」
ジョナサン 「はっはははっ!ブレンパワードなんか!」
ゲイブリッジ 「ジョナサン君はまだ戦いにこだわっている!」
直子 「アーミーグランチャー達も・・・」
ゲイブリッジ 「彼等こそ度し難い!」
バロン 「そうですか?ガバナーが軍を呼び入れたのはアンチボディやオルファンの体力を付けるためでありましたろ?」
ゲイブリッジ 「しかしこちらから戦端を開く事はなかった!」
バロン 「それはそうです。が、軍というものはクズも多い!そういうものを整理するために・・・まっ、戦争というものは便利なものです」
シラー 「上にやるかあ!ブレンの特攻なんて戦術以下なんだよ!」
ヒギンズ 「死ぬ為に来たんじゃない!」
シラー 「チャクラ・フラッシュが歪んだ?オルファンは何故こいつらを近づけさせる!?」
カント 「ブレン!ごめん、頑張って!」
比瑪 「もっと上手に使ってやらないと、ブレンが可哀想でしょ!」
カント 「すみません。君の反射神経は僕以上なんだから任せるよ」
ジョナサン 「何やっても遅いんだよ勇!」
勇 「お前だって逃げ回っていた!」
ジョナサン 「俺が何から逃げてるって言うんだよ!」
勇 「一人で戦い、一人で生きることをだ!」
ジョナサン 「くはああっ!」
ゲイブリッジ 「オルファンの熱量は上がっているようだ」
直子 「大丈夫でしょうか」
ゲイブリッジ 「オルファンが我々をばい菌と間違うことはありません」
バロン 「しかしオルファンはこのまま宇宙に飛ぶぞ、ガバナー。それではオルファンを領土にしたアメリカの思惑とも違ったな」
ゲイブリッジ 「オルファンを遺跡と考えてしまった初期の誤りがあったからだ。オルファンの生命力は強過ぎた」
バロン 「人間のエゴが強過ぎたからオルファンが反発しているという事もあるぞ」
直子 「え?」
ゲイブリッジ 「ああ、そうだな。オルファンの力でより多くの人々を救おうとするには、ノヴィス・ノアの様な強い意思は邪魔になる。彼らは例え地球が滅びるとわかっていても抵抗を続ける。それはアメリカもそうだ。そんな人間のエゴにオルファンはイライラしているのだろうな」
直子 「私には、このオルファンの神経のつぼの様な所に囚われていても、そういった苛立ちは感じませんけど」
バロン 「何を仰る伊佐未直子。あなたがそう感じられるのは、あなたがオルファンに選ばれた人だからです。オルファンに乗せられる人類は限られている。人間のエゴというオーガニック・パワーも吸い上げて、オルファンは旅立つのだ!」
ゲイブリッジ 「バロン!君は何を・・・!君は何を求めているのだ!」
バロン 「あなた方には解りはしないだろうな。この私の、今の幸福感など!」
直子 「解る訳はありません!ゲイブだって間違ったやり方をしたかもしれませんけど、この人の理想を・・・人類を救いたいという想いを、あなたも解りはしないでしょう!?」
勇 「似たもの同士、戦うのは止めようぜ!」
ジョナサン 「誰が似ている!?」
勇 「俺が両親を憎んだように、ジョナサンはアノーア艦長を憎んだ!愛していたからだ!」
ジョナサン 「俺は誰も愛していない!」
ジョナサン 「踏ん張れよ!」
勇 「止めよう!ジョナサン!こんな事をしている暇はない!」
ジョナサン 「やってやろうって・・・な、何?」
シラー 「ジョナサン!引いて下さい、奴に飲まれてます!」
ジョナサン 「俺は勇なんかに負けちゃいない!・・・シラー!邪魔をするな!」
シラー 「そ、そのつもりでは・・・!ああっ!」
勇 「どうしたの?ネリーブレン!」
カナン 「ブレン、何が起こったの?」
比瑪 「ブレンが・・・アンチボディ達が共感している?勇!」
ヒギンズ 「グ、グランチャーの影が見えなくなってる?」
ナッキィ 「ブレンにはこんな力があったのか?・・・オルファンのフィギュア?」
ナンガ 「どうも臭いな。グランチャー達はすぐに戻ってきそうだ。カント!大丈夫か?」
カント 「え、ええ!フィギュアは見えますか?」
ナンガ 「おうよ、奴らが戻ってくる前にオルファンに飛び込むぞ!」
比瑪 「よく見て!赤いグランチャーがいるでしょ!」
カナン 「赤いバロン・ズゥ・・・」
勇 「姉さん・・・!」
クインシィ 「まあノコノコと来てくれて、好きにやってくれたけど・・・これ以上は無駄だねえ。ん?」
ナッキィ 「こいつは俺が抑える!勇!比瑪!オルファンに行け!」
勇 「ナッキィ止めろ!」
クインシィ 「ふん!」
ナッキィ 「隠れた?」
クインシィ 「オルファンはこういう使い方が出来る」
ナッキィ 「うわっ!」
勇 「姉さん!もう一度話をしよう!」
クインシィ 「もう遅い!」
ラッセ 「カナン、撃つな!俺が止める!」
ラッセ 「な、何だ!?」
カナン 「ラッセ!どうしたの?」
ラッセ 「近づくなカナン!うっ!うう・・・力が抜けて・・・」
カナン 「ラッセ!そのスキンウェハーから手を離して!オルファンのスキンの機能にそんなものが?」
ラッセ 「びょ、病気の俺が狙われたのか?」
カナン 「ラッセ!」
カント 「駄目ですよ!ラッセさんに触ったら、カナンさんまでエネルギーを取られてしまうじゃないですか!」
カナン 「ラッセ!バイタル・グロウブに飛べばスキンウェハーから離れられます!」
ナッキィ 「たった一人のグランチャーに近づけないのか」
ヒギンズ 「撃ってもこちらのエネルギーを吸われる?比瑪ちゃん・・・どうしたらいいの?」
クインシィ 「何だあ!?」
比瑪 「駄目ー!」
クインシィ 「はあ!」
勇 「比瑪ぇ!」
比瑪 「オルファンさん!お願い!私達の・・・声を聞いて!」
研作 「おかしいな。計算ではオルファンはもう飛び立てるはずなんだが、何故だ?」
翠 「計算なんてオルファンには役に立たない事はもう証明済みでしょ」
研作 「いや、何かが・・・何かが足りないのだ。宇宙へ飛び出すための決定的な・・・決定的にオーガニック的なものって、何だ?」
翠 「オルファンの求めているものは新しい生命の力でしょ。手段を講じるために必要なものはオーガニック・エナジーの総量です。全地球の生命力です」
研作 「そういう数量的なものじゃない。量じゃないんだよ、翠!」
翠 「ならパッションとでも言うんですか?情愛的なものをオルファンが欲しがっていると?まったく!」
研作 「そうだな、それではお笑い種だ。はあ・・・ん?」
勇 「姉さん!やめようよ!」
クインシィ 「やめるのはブレンパワードがいなくなってからだ!」
比瑪 「考え過ぎです依衣子さん!オルファンさんは一人でやっていける方です!護る事なんて、考えなくたっていいんです!でも、放っておいてはかわいそうなんです!」
勇 「放っておくとかわいそう?」
クインシィ 「乙女チックな事を!・・・ああっ?」
クインシィ 「オルファンは・・・比瑪の言うことに応えたのか?私ではなく!」
勇 「あうう!・・・ぐうっ・・・!」
比瑪 「勇!依衣子さん?」
クインシィ 「オルファン!あんたにはあたしがいるじゃないか!他の誰も要らない、あたしがずっといてあげるから!」
比瑪 「勇、依衣子さんが・・・」
勇 「オルファンに還る?」
勇 「姉さんのバロン・ズゥが!?」
比瑪 「オルファンさんに・・・」
クインシィ 「うああっ・・・はあっ・・・!」
ラッセ 「バロンズゥとかいう奴、オルファンに」
カナン 「オルファンの抗体になるという事は、こういう事だったの?」
ナンガ 「ああやって抗体になったら、中の人間はどうなっちまうんだよ?勇!カナン!」
ナッキィ 「あの透明な物が盾のように並んでるって事は・・・、ブレンパワードを取り込むつもりはないらしいな」
カント 「相手は生物的な特性を持ってるんです。そんな事わかりませんよ!」
ヒギンズ 「だったら比瑪ちゃん!勇!ブレンのチャクラを集中してあの急所を攻撃する!」
比瑪 「攻撃、攻撃、攻撃!そんな事じゃ終わりませんよ!勇・・・」
勇 「姉さん!」
比瑪 「落ち着きなさい!このまま突っ込んだら勇も取り込まれるわ!」
勇 「比瑪・・・」
比瑪 「はっ?オルファンさん・・・目覚めるわ」
勇 「オルファンが、目覚める?」
研作 「あのデータは間違いなく依衣子のだ!」
翠 「クインシィ・イッサーのものです!確かに!」
リクレイマーB 「き、聞いたことのない音だ!」
リクレイマーC 「オルファンのエネルギーの総量が!」
直子 「ゲ、ゲイブ!」
ゲイブリッジ 「オルファンの変態が始まったのでしょう」
直子 「脱皮でもするというのですか?」
バロン 「始まったのか?」
クインシィ 「ははは、あははっ・・・!はははっ・・・あっはははは!」
第24話「記憶のいたずら」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201305181024327304/
→第26話「飛翔」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201307120014072863/
ブレンパワード 全台詞集 第24話「記憶のいたずら」
2013年5月18日 ブレンパワード全台詞集脚本:隅沢克之 絵コンテ:赤根和樹 演出:渡邊哲哉 作画監督:佐久間信一
比瑪・ナレーション 「あたしは情けない。気がついたらオルファンの中にいて直子おばあちゃんとゲイブリッジ指令に会ってしまった。見たものしか信じないにしても、なんで?と考えてしまうのは分からないことは恐いことだから。でも、オルファンは心優しい存在だとわかるよ。今だけかもしれないけど」
ノヴィスクルーA 「オルファン浮上速度、7%上昇!」
ノヴィスクルーB 「地殻振動、収まりません!エネルギー量、マグニチュード3.5!津波が断続的に起きています!」
副長 「船首を波に向けろ」
ノヴィスクルーA 「はっ!」
ノヴィスクルーB 「正面より飛行物体!」
アイリーン 「モニターは最大望遠に切り替え!」
ノヴィスクルーB 「ブレン4人です!比瑪ちゃん、勇、ヒギンズに、カナン!」
副長 「あぁ…」
アイリーン 「救護班を着艦デッキへ!」
ノヴィスクルーB 「救護班へ!第3飛行甲板には、子供達が出ないように監視してください!…」
ユキオ 「帰ってきたぞ!」
クマゾー 「比瑪ねえちゃーん!」
アカリ 「みんな揃ってるってー!」
ノヴィスクルーB 「…繰り返します!救護班、デッキクルーへ!第3飛行甲板へ、4人のブレンが戻ってきます!難民の子供達はデッキに上げないでください!」
クインシィ 「グランチャー。あの子は、私がいなければ…あの子は硬化してしまう。帰らなければ…」
ノヴィスクルーB 「救護班は、医務し…」
クインシィ 「くっ!」
クインシィ 「帰らなきゃ…!」
勇 「ネリー・ブレン。あれが戻るところだって、分かってくれてるよね?」
比瑪 「うわぁ、おうちだおうち!」
勇 「ヒメ・ブレン、はしゃぎすぎるとつまらないところで大怪我するぞ!」
比瑪 「子供達がいっぱいいるおうちに、早く帰りたいのよ、ヒメ・ブレン!」
デッキクルーA 「うわっ、興奮してるぞ。おーい、冷やしてやれー!」
デッキクルーB 「よーし、冷却フェロモンを入れてやる!お疲れ、比瑪ちゃん!」
比瑪 「お願いします!大冒険しちゃったものねえ、ブレン!」
デッキクルーB 「圧力はローでいいんだよ!あとで調整する」
アカリ 「比瑪姉ちゃーん、オルファンに行ったのー?」
比瑪 「お話だってしてきたよ!」
ユキオ 「おかえりー!」
アカリ 「おっかえり!」
クマゾー 「わあー!比瑪もー!あははは!」
比瑪 「ふふふ、みんなも面倒見なくちゃいけないチビちゃんが多くって、大変でしょう?」
ユキオ 「好き勝手言う奴ばっかりでさ」
デッキクルーC 「ネリー・ブレンも冷やした方がいい」
勇 「遠慮しなくていいよ、ここがネリー・ブレンの家なんだから」
子供A 「何よ!」
子供B 「いったいなぁ!」
勇 「姉さん、元気に?」
デッキクルーB 「のんびり歩ってんじゃねーよ!」
クインシィ 「くっ!」
勇 「比瑪!子供達を!」
比瑪 「え?」
ユキオ 「あ?比瑪姉ちゃん!」
勇 「くっ!」
ユキオ 「ぬおあああー!」
クインシィ 「ふっ!」
ユキオ 「あっ!」
比瑪 「しゃがんで!」
アカリ 「んぐっ!」
勇 「姉さん!」
比瑪 「うわっ!・・・失礼じゃない!踏んづけちゃって!」
勇 「姉さん!ヒメ・ブレン!姉さんの言うことは聞かなくていいんだ!うっ!わっ!」
ユキオ 「ヒメ・ブレン!動くなよ!」
比瑪 「その子は疲れてるんだからさっさと降りなさい!」
クインシィ 「ブレンパワードだって、あたしの思いが通じれば動いてくれる。お願い、プレンパワード、私は帰りたいの。うちに帰らなくちゃならないの!…色々ある。何がどうなり、どうなっていくのか…あなただって知りたいでしょう?ブレン」
クインシィ 「あっ…ありがとう、ブレン」
比瑪 「あー!」
勇 「クィンシィ・イッサーの言うことを聞くのか!ヒメ・ブレン!」
勇 「クィンシィについてったら。あっ!うわぁっ!…ん?」
カナン 「ヒメ・ブレン?いやに元気に飛び出して…ブリッジ!どうなってるんです?比瑪ちゃんの息遣いは聞こえなかったけど」
アイリーン 「比瑪ちゃんはデッキにいます」
ノヴィスクルーB 「パイロットは呼びかけには応じません!」
アイリーン 「呼び戻せないの!?」
ユキオ 「っしょっ」
勇 「いつもこうだ!姉さんのやり方は!」
ユキオ 「どうする気だよ!追いかけたって…」
比瑪 「勇が深追いしたら危険よ!」
勇 「ヒメ・ブレンがかわいそうだろ!」
比瑪 「そんなの!」
勇 「連れ戻して来てやるから!」
比瑪 「あたしのブレンよ!」
勇 「何やってんだよ!」
比瑪 「早く!依衣子さんを追いかけなさい!」
勇 「ふたりも行くことはない!」
比瑪 「あたしが迎えに行ってなぜ悪いの!?ネリー・ブレン!行きなさい!」
クマゾー 「ネリー・ブレンも!」
ユキオ 「ああ、勇と比瑪姉ちゃんを乗せてるもんな」
ユキオ 「あんなことやっててブレンもふたりも体が持つのかよ!」
クマゾー 「持つも」
カナン 「勇と比瑪がネリー・ブレンを?これ、ちょっと!なぜ追いかけないの?行っちゃうでしょ!」
比瑪 「早ーい!良い子じゃない、ネリー・ブレン」
勇 「いいか比瑪、これは俺たち姉弟の問題だ。干渉するな!」
比瑪 「何言ってんの!あたしのブレンを持ってっちゃったのよ!」
勇 「見えた」
比瑪 「え?」
クインシィ 「はじめは機嫌がよかったけど、拒否反応が出てきた。あたしだってアンチボディ乗りなんだよ!」
勇 「姉さん!聞こえるだろう!答えてくれ、姉さん!」
比瑪 「依衣子さん!引き返しません?」
勇 「姉さんはノヴィス・ノアには慣れたんじゃないのかよ!」
クインシィ 「駄目なんだ!私は家に帰らなければならないんだ!…くっ!何だ、ブレン!」
勇 「姉さん!」
クインシィ 「私はね、自分のために誰も犠牲になんかしたくないんだ」
比瑪 「ヒメ・ブレン!依衣子さんをノヴィス・ノアに連れ戻して!お願い!」
ジョナサン 「では、決行はいつにするのだ」
バロン 「今日だ。すでにアーミー・グランチャー部隊は掌握している。これでオルファンはジョナサン、お前のものとなる」
ジョナサン 「過分な使命だ。俺にできるのか?」
バロン 「あの無能なガバナーにだって出来たことだ、お前に出来ないはずがない」
ジョナサン 「ん…?クィンシィ・グランチャーが動いた」
バロン 「硬化が始まっているのに?」
バロン 「人に反応しているな」
ジョナサン 「あ!ありゃクィンシィに呼ばれてるんだ!」
ジョナサン 「キョッホーゥ!」
バロン 「何をするつもりだ!」
ジョナサン 「硬化したグランを呼びつけるクィンシィだ!そういう女は力になる!」
バロン 「クィンシィなど必要ない!そんなことをするとまた伊佐未ファミリーに…うおっ!」
ジョナサン 「ハッハッハッハッ!そんな心配無用でありましょうが!」
バロン 「下衆な思いを…勢いがあるだけでよしとするか」
勇 「今だ!ネリー、捕まえろ!」
比瑪 「落ちた!」
勇 「追え!ネリー・ブレン!」
クインシィ 「帰らないと…帰れない、帰らなければ、帰らないから!帰りたい、帰りたい、あたし……あ?」
クインシィ 「ここ、知ってる…?」
勇 「上の村?」
比瑪 「どうしてあたしのブレンって、ここばかりに来たがるんだろ?」
クインシィ 「違うぞ!あたしが帰りたいのはここじゃない!あたしの家は、オルファンだ!」
クインシィ 「こんなものが事実であるものか!」
クインシィ 「何?何が起こってる?」
比瑪 「水の中でリバイバルの光が?」
勇 「プレートがあるのか…はっ?」
ジョナサン 「何だ、ここは…ん?」
クインシィ 「プレートがあたしを呼んだのか?…あっ!」
クインシィ 「あたしのグランチャー!」
クインシィ 「お前、来てくれたんだね!」
勇 「リバイバル?」
比瑪 「でしょ?」
ジョナサン 「始まった…!」
直子の母 「直子…直子!」
直子の母 「直子、お昼寝ならお部屋でしなさい」
クインシィ 「直子?」
直子の母 「そんなところで寝てると風邪引くわよ」
クインシィ 「私は…」
アナウンサー 「海底探査の結果、明らかに、古代文明の痕跡らしいものを発見したということです。国際海洋研究所の要請を受けた、わが国の海洋技術研究所は、その調査に全面的に協力をして、今後の資金援助に…」
クインシィ 「私は誰なの?クィンシィ?依衣子?…直子?」
(アイキャッチ無し)
クインシィ 「この湖のプレートは生きている。こんなところであたしは生まれた。あたしは…クィンシィ?依衣子?それとも、直子?」
イサム 「直子さん、少し休んだら?」
直子 「大丈夫よ、もう少しで終わりだし…ありがとう。イサムさんは大丈夫?もうすぐ論文の提出日でしょ?」
イサム 「君が研究室の仕事をやってくれたおかげで論文に集中できた。ありがとう」
直子 「じゃあイサムさんも、これでめでたく助教授ね」
イサム 「まだわかんないさ。決めるのは教授会だから」
直子 「イサムさんの研究は、米軍がスポンサーになってくれてるし、ネイチャー誌にも載ったじゃない。もう決まりよ」
イサム 「みんな君のおかげさ」
直子 「…あら?いつ日本にいらっしゃったんです?ゲイブ」
ゲイブリッジ 「こんにちは、お二人さん。昨夜、空港ホテルに泊まったんだが、湿気がなくて助かってる」
ゲイブリッジ 「君のおかげだよ。人類に役立つ貴重なデータが手に入った」
直子 「私は何もしていません。大学とイサムさん、イサムさんの功績ですよ」
ゲイブリッジ 「彼の実績と出会えたのは君がいたからだろ?…私とともにカナダへ飛んでくれないか?」
直子 「お国へ帰るのではないのですか?」
ゲイブリッジ 「オーガニック・エンジンの開発が始まっているのだ。人類は新しい視野を手にすることが出来るから、そんな世界を、私は君と一緒に確かめたい」
直子 「私は…あなたを愛しているわ。でも私は、アメリカ大陸の風土は馴染みません」
ゲイブリッジ 「風土?」
直子 「私はここにいなければならないの。私の家はここだけだから」
直子 「お元気で、ゲイブ…」
直子 「母さん?お母さん?手伝ってよ、母さん?全部私一人にやらせる気?…母さん…?」
直子 「母さん!」
直子 「まぁ、こんなに?」
イサム 「下の村でもらって来た。これだけ地震や津波が起これば、配給制だっていつまでもつかな…」
直子 「またすぐ出かけるんでしょ?」
イサム 「ああ。また新しい断層が現れたんだから、仕方ないだろ」
直子 「体、大丈夫なんですか?」
イサム 「今度の現場は近いから、すぐに帰ってくる。それまでいい子にしててくれ、翠ちゃん」
イサム 「ふふふ…あ、そうそう、エアメールが来てたよ、ゲイブリッジさんからだ。消印はメルボルンになっている。暫らく振りだよね」
直子 「ありがとう」
イサム 「そうだ。今度帰ってきたら、大々的にトマトを植えるよ」
直子 「トマト?」
イサム 「お前は野菜一辺倒だからさ、大きいトマトはつぶしが利くしさ」
男 「伊佐未先生!みんな集まりました!」
イサム 「おぉ!直子、翠を頼む」
直子 「はい」
直子 「あの人は、あれっきり帰ってこなかった…この家には帰れなかった人」
男1 「こりゃあ、えれぇこったよぉ。えぇ?」
男2 「地割れのあったとこなんだよ…」
男3 「それが崩れたんだよねえ」
直子 「ごめんなさい。私、あなたのことやっと愛せるようになったのに…でも、あなたも嘘をついたわね。私を幸せにするって言ったのに…」
翠 「湖の真ん中、光ってるね」
直子 「そうだね、何かしらね?」
翠 「ん~…お父さんだよ、お父さんの魂!」
直子 「難しい言葉知ってるんだ、翠ちゃんは」
翠 「お母さんがいつも言ってるじゃない」
直子 「そうだったっけ?」
翠 「そうだよぉ。あのね!あのね、だからあたし、大きくなったら科学者になる!」
直子 「そう、いいわね、お父さんと一緒ね」
翠 「母さん!」
直子 「え?何、改まって?」
翠 「あたし、結婚することにしたの」
直子 「何を言っているの、あなたはまだ学生よ?」
翠 「桑原君じゃないわよ」
直子 「あの暗い子の方かい?」
翠 「別に母さんと一緒に暮らすつもりはないから、安心してちょうだい」
直子 「でもねぇ…」
翠 「あたしたちはね、家族とかって狭い視点で結婚するんじゃないわ。あたしたちの結婚で、オーガニック・エンジンの研究が10年は進むのよ?そういうことが、母さんには分からないんでしょう!?あたしたちは人類の未来のために働くんです!」
直子 「研究の邪魔だって言うの!?」
翠 「今だけですよ」
直子 「この子達はあなたの子でしょ!」
翠 「もちろんです!だから必ず迎えに来ます!それじゃ」
直子 「ちょっと待ちなさい、翠!…なんて子だろう!」
依衣子 「ごめんね、おばあちゃん…」
直子 「あ…いいのよ、あなた達は良い子なんだから。おばあちゃんの所にいくらでも居たっていいんだよ。この家の物はみんな自分の物だとお思い…」
クインシィ 「私は…誰?伊佐未直子、伊佐未依衣子?それとも…」
依衣子 「ねぇ、おばあちゃん」
直子 「何だい依衣子?」
依衣子 「おばあちゃん幸せ?」
直子 「そうだねぇ。おばあちゃんはおまえ達といられるから、幸せだね」
依衣子 「あたしは幸せじゃない。お父さんともお母さんともバラバラに暮らしてるなんて、やっぱり変」
勇 「僕、幸せだよ。僕、おばあちゃん好きだもん」
依衣子 「あたしだっておばあちゃんが大好き!」
勇 「僕も!」
直子 「うふふ…」
依衣子 「いやー!おばあちゃん、勇!あたしここにいたいの!ここがあたしのおうちなの!」
直子 「翠!考え直してくれないかい?この子もやっとここに慣れて…」
翠 「この子はあたしの子です!あたし達の研究に必要なの!」
依衣子 「おばあちゃーん!」
研究員 「呼吸脈拍正常。脳波レベルの各周波、安定値維持。チャクラ波動上昇中。被験者の鼓動と同期…」
翠 「やはり思った通り、あの子は使えますね!今までのシンクロ値の最高値が出ているわ!」
依衣子 「お前は生きてるんだよね?絶対乗り物なんかじゃない。だとしたら、こんな私を乗せてるんじゃ気持ちが悪いだろう?」
依衣子 「お前、優しい子なんだ…」
依衣子 「グラン?ど、どうしたの?冷たい空気が吹き込んでくるよ?…あぁ、そっか…嫌なんだ、疲れたね…」
研究員 「グランチャーの全ての反応が、停止しました!」
クインシィ 「私は…いったい何を!?」
勇 「ブレンだ!姉さんだったらブレンにリバイバルできる!そうしろ!」
比瑪 「勇?」
クインシィ 「あたしは家族を守りたかっただけなのに!」
ジョナサン 「家族なんて何の役に立つ?あんなもの俺達の思考を鈍らす単なるノイズさ。だから俺もマコーミックの名を捨てた。お前は、クィンシィ・イッサーを名乗れよ」
クインシィ 「どういう意味?それ」
ジョナサン 「オルファンを補佐する女王とかさ、上等な女とかさ。色々あるよな…」
クインシィ(回想) 「私はクィンシィ・イッサーだ!伊佐未依衣子ではない!」
勇(回想) 「姉さん!」
勇 「姉さん!」
クインシィ 「家族なんかぁー!」
勇 「姉さん…」
比瑪 「あたしのブレン!大丈夫?」
勇 「あれ、バロン・ズゥ…」
比瑪 「何て趣味の悪い赤でしょう!」
ジョナサン 「ハッハッハ!ハッハッハッハッ!バロン・ズゥを呼び出したのか!クィンシィは真の抗体になったってわけだ!バロン・ズゥ良かったなぁ!兄弟が出来たぞ!」
クインシィ 「おうさ!ジョナサン!オルファンを助ける女王として!…私は脱皮できたんだ、あらゆる過去の束縛から!」
ジョナサン 「おうよ!なら彼奴らを叩きのめして!」
クインシィ 「ま、待ってくれ!」
ジョナサン 「ん?」
クインシィ 「この子がオルファンに行きたがっている。ジョナサンのバロン・ズゥが棲家にしているところを確かめてから、アンチボディとして戦いたいのだと…!」
ジョナサン 「そうなのか、バロン・ズゥ」
比瑪 「んしょっと!わっ…もう震えなくていいの、ブレン!」
比瑪 「いい加減にしなさい!もう怖いのいなくなったでしょ!勇、依衣子さんが悪い方に進化したなんてことないよね?」
比瑪 「ねぇ、悪い方に…」
勇 「誰が悪い方に進化なんてさせるものか!そんなこと、僕がさせやしない!」
比瑪 「ご、ごめん。ごめんよ、勇…」
※回想シーンにて役名が混乱しますが、依衣子が直子に、勇がイサムになり切っているシーンでは劇中のキャラ名を尊重して表記しています。
イサムは漢字表記だと勇(ユウ)と区別が付かなくなると思われるのでカタカナ表記にしました。
第23話「スイート・メモリーズ」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201209262147543171/
→第25話「オルファンのためらい」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201306240030056190/
比瑪・ナレーション 「あたしは情けない。気がついたらオルファンの中にいて直子おばあちゃんとゲイブリッジ指令に会ってしまった。見たものしか信じないにしても、なんで?と考えてしまうのは分からないことは恐いことだから。でも、オルファンは心優しい存在だとわかるよ。今だけかもしれないけど」
ノヴィスクルーA 「オルファン浮上速度、7%上昇!」
ノヴィスクルーB 「地殻振動、収まりません!エネルギー量、マグニチュード3.5!津波が断続的に起きています!」
副長 「船首を波に向けろ」
ノヴィスクルーA 「はっ!」
ノヴィスクルーB 「正面より飛行物体!」
アイリーン 「モニターは最大望遠に切り替え!」
ノヴィスクルーB 「ブレン4人です!比瑪ちゃん、勇、ヒギンズに、カナン!」
副長 「あぁ…」
アイリーン 「救護班を着艦デッキへ!」
ノヴィスクルーB 「救護班へ!第3飛行甲板には、子供達が出ないように監視してください!…」
ユキオ 「帰ってきたぞ!」
クマゾー 「比瑪ねえちゃーん!」
アカリ 「みんな揃ってるってー!」
ノヴィスクルーB 「…繰り返します!救護班、デッキクルーへ!第3飛行甲板へ、4人のブレンが戻ってきます!難民の子供達はデッキに上げないでください!」
クインシィ 「グランチャー。あの子は、私がいなければ…あの子は硬化してしまう。帰らなければ…」
ノヴィスクルーB 「救護班は、医務し…」
クインシィ 「くっ!」
クインシィ 「帰らなきゃ…!」
勇 「ネリー・ブレン。あれが戻るところだって、分かってくれてるよね?」
比瑪 「うわぁ、おうちだおうち!」
勇 「ヒメ・ブレン、はしゃぎすぎるとつまらないところで大怪我するぞ!」
比瑪 「子供達がいっぱいいるおうちに、早く帰りたいのよ、ヒメ・ブレン!」
デッキクルーA 「うわっ、興奮してるぞ。おーい、冷やしてやれー!」
デッキクルーB 「よーし、冷却フェロモンを入れてやる!お疲れ、比瑪ちゃん!」
比瑪 「お願いします!大冒険しちゃったものねえ、ブレン!」
デッキクルーB 「圧力はローでいいんだよ!あとで調整する」
アカリ 「比瑪姉ちゃーん、オルファンに行ったのー?」
比瑪 「お話だってしてきたよ!」
ユキオ 「おかえりー!」
アカリ 「おっかえり!」
クマゾー 「わあー!比瑪もー!あははは!」
比瑪 「ふふふ、みんなも面倒見なくちゃいけないチビちゃんが多くって、大変でしょう?」
ユキオ 「好き勝手言う奴ばっかりでさ」
デッキクルーC 「ネリー・ブレンも冷やした方がいい」
勇 「遠慮しなくていいよ、ここがネリー・ブレンの家なんだから」
子供A 「何よ!」
子供B 「いったいなぁ!」
勇 「姉さん、元気に?」
デッキクルーB 「のんびり歩ってんじゃねーよ!」
クインシィ 「くっ!」
勇 「比瑪!子供達を!」
比瑪 「え?」
ユキオ 「あ?比瑪姉ちゃん!」
勇 「くっ!」
ユキオ 「ぬおあああー!」
クインシィ 「ふっ!」
ユキオ 「あっ!」
比瑪 「しゃがんで!」
アカリ 「んぐっ!」
勇 「姉さん!」
比瑪 「うわっ!・・・失礼じゃない!踏んづけちゃって!」
勇 「姉さん!ヒメ・ブレン!姉さんの言うことは聞かなくていいんだ!うっ!わっ!」
ユキオ 「ヒメ・ブレン!動くなよ!」
比瑪 「その子は疲れてるんだからさっさと降りなさい!」
クインシィ 「ブレンパワードだって、あたしの思いが通じれば動いてくれる。お願い、プレンパワード、私は帰りたいの。うちに帰らなくちゃならないの!…色々ある。何がどうなり、どうなっていくのか…あなただって知りたいでしょう?ブレン」
クインシィ 「あっ…ありがとう、ブレン」
比瑪 「あー!」
勇 「クィンシィ・イッサーの言うことを聞くのか!ヒメ・ブレン!」
勇 「クィンシィについてったら。あっ!うわぁっ!…ん?」
カナン 「ヒメ・ブレン?いやに元気に飛び出して…ブリッジ!どうなってるんです?比瑪ちゃんの息遣いは聞こえなかったけど」
アイリーン 「比瑪ちゃんはデッキにいます」
ノヴィスクルーB 「パイロットは呼びかけには応じません!」
アイリーン 「呼び戻せないの!?」
ユキオ 「っしょっ」
勇 「いつもこうだ!姉さんのやり方は!」
ユキオ 「どうする気だよ!追いかけたって…」
比瑪 「勇が深追いしたら危険よ!」
勇 「ヒメ・ブレンがかわいそうだろ!」
比瑪 「そんなの!」
勇 「連れ戻して来てやるから!」
比瑪 「あたしのブレンよ!」
勇 「何やってんだよ!」
比瑪 「早く!依衣子さんを追いかけなさい!」
勇 「ふたりも行くことはない!」
比瑪 「あたしが迎えに行ってなぜ悪いの!?ネリー・ブレン!行きなさい!」
クマゾー 「ネリー・ブレンも!」
ユキオ 「ああ、勇と比瑪姉ちゃんを乗せてるもんな」
ユキオ 「あんなことやっててブレンもふたりも体が持つのかよ!」
クマゾー 「持つも」
カナン 「勇と比瑪がネリー・ブレンを?これ、ちょっと!なぜ追いかけないの?行っちゃうでしょ!」
比瑪 「早ーい!良い子じゃない、ネリー・ブレン」
勇 「いいか比瑪、これは俺たち姉弟の問題だ。干渉するな!」
比瑪 「何言ってんの!あたしのブレンを持ってっちゃったのよ!」
勇 「見えた」
比瑪 「え?」
クインシィ 「はじめは機嫌がよかったけど、拒否反応が出てきた。あたしだってアンチボディ乗りなんだよ!」
勇 「姉さん!聞こえるだろう!答えてくれ、姉さん!」
比瑪 「依衣子さん!引き返しません?」
勇 「姉さんはノヴィス・ノアには慣れたんじゃないのかよ!」
クインシィ 「駄目なんだ!私は家に帰らなければならないんだ!…くっ!何だ、ブレン!」
勇 「姉さん!」
クインシィ 「私はね、自分のために誰も犠牲になんかしたくないんだ」
比瑪 「ヒメ・ブレン!依衣子さんをノヴィス・ノアに連れ戻して!お願い!」
ジョナサン 「では、決行はいつにするのだ」
バロン 「今日だ。すでにアーミー・グランチャー部隊は掌握している。これでオルファンはジョナサン、お前のものとなる」
ジョナサン 「過分な使命だ。俺にできるのか?」
バロン 「あの無能なガバナーにだって出来たことだ、お前に出来ないはずがない」
ジョナサン 「ん…?クィンシィ・グランチャーが動いた」
バロン 「硬化が始まっているのに?」
バロン 「人に反応しているな」
ジョナサン 「あ!ありゃクィンシィに呼ばれてるんだ!」
ジョナサン 「キョッホーゥ!」
バロン 「何をするつもりだ!」
ジョナサン 「硬化したグランを呼びつけるクィンシィだ!そういう女は力になる!」
バロン 「クィンシィなど必要ない!そんなことをするとまた伊佐未ファミリーに…うおっ!」
ジョナサン 「ハッハッハッハッ!そんな心配無用でありましょうが!」
バロン 「下衆な思いを…勢いがあるだけでよしとするか」
勇 「今だ!ネリー、捕まえろ!」
比瑪 「落ちた!」
勇 「追え!ネリー・ブレン!」
クインシィ 「帰らないと…帰れない、帰らなければ、帰らないから!帰りたい、帰りたい、あたし……あ?」
クインシィ 「ここ、知ってる…?」
勇 「上の村?」
比瑪 「どうしてあたしのブレンって、ここばかりに来たがるんだろ?」
クインシィ 「違うぞ!あたしが帰りたいのはここじゃない!あたしの家は、オルファンだ!」
クインシィ 「こんなものが事実であるものか!」
クインシィ 「何?何が起こってる?」
比瑪 「水の中でリバイバルの光が?」
勇 「プレートがあるのか…はっ?」
ジョナサン 「何だ、ここは…ん?」
クインシィ 「プレートがあたしを呼んだのか?…あっ!」
クインシィ 「あたしのグランチャー!」
クインシィ 「お前、来てくれたんだね!」
勇 「リバイバル?」
比瑪 「でしょ?」
ジョナサン 「始まった…!」
直子の母 「直子…直子!」
直子の母 「直子、お昼寝ならお部屋でしなさい」
クインシィ 「直子?」
直子の母 「そんなところで寝てると風邪引くわよ」
クインシィ 「私は…」
アナウンサー 「海底探査の結果、明らかに、古代文明の痕跡らしいものを発見したということです。国際海洋研究所の要請を受けた、わが国の海洋技術研究所は、その調査に全面的に協力をして、今後の資金援助に…」
クインシィ 「私は誰なの?クィンシィ?依衣子?…直子?」
(アイキャッチ無し)
クインシィ 「この湖のプレートは生きている。こんなところであたしは生まれた。あたしは…クィンシィ?依衣子?それとも、直子?」
イサム 「直子さん、少し休んだら?」
直子 「大丈夫よ、もう少しで終わりだし…ありがとう。イサムさんは大丈夫?もうすぐ論文の提出日でしょ?」
イサム 「君が研究室の仕事をやってくれたおかげで論文に集中できた。ありがとう」
直子 「じゃあイサムさんも、これでめでたく助教授ね」
イサム 「まだわかんないさ。決めるのは教授会だから」
直子 「イサムさんの研究は、米軍がスポンサーになってくれてるし、ネイチャー誌にも載ったじゃない。もう決まりよ」
イサム 「みんな君のおかげさ」
直子 「…あら?いつ日本にいらっしゃったんです?ゲイブ」
ゲイブリッジ 「こんにちは、お二人さん。昨夜、空港ホテルに泊まったんだが、湿気がなくて助かってる」
ゲイブリッジ 「君のおかげだよ。人類に役立つ貴重なデータが手に入った」
直子 「私は何もしていません。大学とイサムさん、イサムさんの功績ですよ」
ゲイブリッジ 「彼の実績と出会えたのは君がいたからだろ?…私とともにカナダへ飛んでくれないか?」
直子 「お国へ帰るのではないのですか?」
ゲイブリッジ 「オーガニック・エンジンの開発が始まっているのだ。人類は新しい視野を手にすることが出来るから、そんな世界を、私は君と一緒に確かめたい」
直子 「私は…あなたを愛しているわ。でも私は、アメリカ大陸の風土は馴染みません」
ゲイブリッジ 「風土?」
直子 「私はここにいなければならないの。私の家はここだけだから」
直子 「お元気で、ゲイブ…」
直子 「母さん?お母さん?手伝ってよ、母さん?全部私一人にやらせる気?…母さん…?」
直子 「母さん!」
直子 「まぁ、こんなに?」
イサム 「下の村でもらって来た。これだけ地震や津波が起これば、配給制だっていつまでもつかな…」
直子 「またすぐ出かけるんでしょ?」
イサム 「ああ。また新しい断層が現れたんだから、仕方ないだろ」
直子 「体、大丈夫なんですか?」
イサム 「今度の現場は近いから、すぐに帰ってくる。それまでいい子にしててくれ、翠ちゃん」
イサム 「ふふふ…あ、そうそう、エアメールが来てたよ、ゲイブリッジさんからだ。消印はメルボルンになっている。暫らく振りだよね」
直子 「ありがとう」
イサム 「そうだ。今度帰ってきたら、大々的にトマトを植えるよ」
直子 「トマト?」
イサム 「お前は野菜一辺倒だからさ、大きいトマトはつぶしが利くしさ」
男 「伊佐未先生!みんな集まりました!」
イサム 「おぉ!直子、翠を頼む」
直子 「はい」
直子 「あの人は、あれっきり帰ってこなかった…この家には帰れなかった人」
男1 「こりゃあ、えれぇこったよぉ。えぇ?」
男2 「地割れのあったとこなんだよ…」
男3 「それが崩れたんだよねえ」
直子 「ごめんなさい。私、あなたのことやっと愛せるようになったのに…でも、あなたも嘘をついたわね。私を幸せにするって言ったのに…」
翠 「湖の真ん中、光ってるね」
直子 「そうだね、何かしらね?」
翠 「ん~…お父さんだよ、お父さんの魂!」
直子 「難しい言葉知ってるんだ、翠ちゃんは」
翠 「お母さんがいつも言ってるじゃない」
直子 「そうだったっけ?」
翠 「そうだよぉ。あのね!あのね、だからあたし、大きくなったら科学者になる!」
直子 「そう、いいわね、お父さんと一緒ね」
翠 「母さん!」
直子 「え?何、改まって?」
翠 「あたし、結婚することにしたの」
直子 「何を言っているの、あなたはまだ学生よ?」
翠 「桑原君じゃないわよ」
直子 「あの暗い子の方かい?」
翠 「別に母さんと一緒に暮らすつもりはないから、安心してちょうだい」
直子 「でもねぇ…」
翠 「あたしたちはね、家族とかって狭い視点で結婚するんじゃないわ。あたしたちの結婚で、オーガニック・エンジンの研究が10年は進むのよ?そういうことが、母さんには分からないんでしょう!?あたしたちは人類の未来のために働くんです!」
直子 「研究の邪魔だって言うの!?」
翠 「今だけですよ」
直子 「この子達はあなたの子でしょ!」
翠 「もちろんです!だから必ず迎えに来ます!それじゃ」
直子 「ちょっと待ちなさい、翠!…なんて子だろう!」
依衣子 「ごめんね、おばあちゃん…」
直子 「あ…いいのよ、あなた達は良い子なんだから。おばあちゃんの所にいくらでも居たっていいんだよ。この家の物はみんな自分の物だとお思い…」
クインシィ 「私は…誰?伊佐未直子、伊佐未依衣子?それとも…」
依衣子 「ねぇ、おばあちゃん」
直子 「何だい依衣子?」
依衣子 「おばあちゃん幸せ?」
直子 「そうだねぇ。おばあちゃんはおまえ達といられるから、幸せだね」
依衣子 「あたしは幸せじゃない。お父さんともお母さんともバラバラに暮らしてるなんて、やっぱり変」
勇 「僕、幸せだよ。僕、おばあちゃん好きだもん」
依衣子 「あたしだっておばあちゃんが大好き!」
勇 「僕も!」
直子 「うふふ…」
依衣子 「いやー!おばあちゃん、勇!あたしここにいたいの!ここがあたしのおうちなの!」
直子 「翠!考え直してくれないかい?この子もやっとここに慣れて…」
翠 「この子はあたしの子です!あたし達の研究に必要なの!」
依衣子 「おばあちゃーん!」
研究員 「呼吸脈拍正常。脳波レベルの各周波、安定値維持。チャクラ波動上昇中。被験者の鼓動と同期…」
翠 「やはり思った通り、あの子は使えますね!今までのシンクロ値の最高値が出ているわ!」
依衣子 「お前は生きてるんだよね?絶対乗り物なんかじゃない。だとしたら、こんな私を乗せてるんじゃ気持ちが悪いだろう?」
依衣子 「お前、優しい子なんだ…」
依衣子 「グラン?ど、どうしたの?冷たい空気が吹き込んでくるよ?…あぁ、そっか…嫌なんだ、疲れたね…」
研究員 「グランチャーの全ての反応が、停止しました!」
クインシィ 「私は…いったい何を!?」
勇 「ブレンだ!姉さんだったらブレンにリバイバルできる!そうしろ!」
比瑪 「勇?」
クインシィ 「あたしは家族を守りたかっただけなのに!」
ジョナサン 「家族なんて何の役に立つ?あんなもの俺達の思考を鈍らす単なるノイズさ。だから俺もマコーミックの名を捨てた。お前は、クィンシィ・イッサーを名乗れよ」
クインシィ 「どういう意味?それ」
ジョナサン 「オルファンを補佐する女王とかさ、上等な女とかさ。色々あるよな…」
クインシィ(回想) 「私はクィンシィ・イッサーだ!伊佐未依衣子ではない!」
勇(回想) 「姉さん!」
勇 「姉さん!」
クインシィ 「家族なんかぁー!」
勇 「姉さん…」
比瑪 「あたしのブレン!大丈夫?」
勇 「あれ、バロン・ズゥ…」
比瑪 「何て趣味の悪い赤でしょう!」
ジョナサン 「ハッハッハ!ハッハッハッハッ!バロン・ズゥを呼び出したのか!クィンシィは真の抗体になったってわけだ!バロン・ズゥ良かったなぁ!兄弟が出来たぞ!」
クインシィ 「おうさ!ジョナサン!オルファンを助ける女王として!…私は脱皮できたんだ、あらゆる過去の束縛から!」
ジョナサン 「おうよ!なら彼奴らを叩きのめして!」
クインシィ 「ま、待ってくれ!」
ジョナサン 「ん?」
クインシィ 「この子がオルファンに行きたがっている。ジョナサンのバロン・ズゥが棲家にしているところを確かめてから、アンチボディとして戦いたいのだと…!」
ジョナサン 「そうなのか、バロン・ズゥ」
比瑪 「んしょっと!わっ…もう震えなくていいの、ブレン!」
比瑪 「いい加減にしなさい!もう怖いのいなくなったでしょ!勇、依衣子さんが悪い方に進化したなんてことないよね?」
比瑪 「ねぇ、悪い方に…」
勇 「誰が悪い方に進化なんてさせるものか!そんなこと、僕がさせやしない!」
比瑪 「ご、ごめん。ごめんよ、勇…」
※回想シーンにて役名が混乱しますが、依衣子が直子に、勇がイサムになり切っているシーンでは劇中のキャラ名を尊重して表記しています。
イサムは漢字表記だと勇(ユウ)と区別が付かなくなると思われるのでカタカナ表記にしました。
第23話「スイート・メモリーズ」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201209262147543171/
→第25話「オルファンのためらい」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201306240030056190/
ブレンパワード 全台詞集 第23話「スイート・メモリーズ」
2012年9月26日 ブレンパワード全台詞集脚本:富野由悠季・高橋哲子 絵コンテ・演出:越智浩仁 作画監督:しんぼたくろう・中田栄治
比瑪
(ナレーション) 「何か大事な事ってあたしがいないところで起こるんだよね。勇とお姉さんの依衣子さんのことは首を突っ込んじゃいけないことなんだろうけど、クインシィ・グランチャーの爪が伸びた事件はそりゃあ見たかったわぁ。ホラーは嫌いだけどね 」
ヒギンズ あのグランチャーについていけば、オルファンに潜入できる。タイミングを合わせればいいんだから…レイト艦長、私がきっちりカタをつけて見せるよ」
シラー 「あっ、ごめん!ここが痛いかい?遠慮なくお言い。クインシィと仲良かったって、あたしは気にしないんだからさ」
シラー 「ジョナサーン、指以外の傷は無いみたいだよ」
ジョナサン 「じゃあ何でこの中にクインシィは乗ってないんだ!どっかに落っことして、一人で戻ってきたとでも言うのか?」
翠 「依衣子が戻ったんじゃないの?」
ジョナサン 「コックピットは空です!」
翠 「空?乗っていない?何故です!」
ジョナサン 「さぁてねぇ!ノヴィス・ノアに捕まったか?あるいは勇にやられましたかねぇ?ハッハッハ!」
翠 「…グランチャーも調べましょう。そうすれば、何が起こったか分かるはずよ」
ジョナサン 「娘の安否など忘れているのかと思ってましたがね」
翠 「あなたはバロン・マクシミリアンのアンチボディになりきったようね?ガバナーに近い私に近づくなと命令されているんでしょう?そうでなければ、あれから一度も…」
ジョナサン 「博士こそ、オルファンの銀河旅行も近いんで、俺なんかには飽きてるんじゃないかと思ってましたよ」
翠 「うっ…!」
ジョナサン 「へへっ・・・」
翠 「私が来る前に勝手に触って!」
シラー 「あぁっ!」
翠 「私の仕事を取らないで!」
シラー 「何だ、このババア!ヒステリー起こして!」
シラー 「けどさぁ、お前結構クインシィを好きだったはずなのに、何でクインシィを見捨てて来ちまったんだよ」
研作 「オルファンといえども、海底から浮上するまでは時間がかかったが、地球の重力から逃れるのは、容易なはずです」
バロン 「お嫌なのか?オルファンが宇宙へ飛ぶのが」
研作 「オルファンは、内部に取り込んだ我々の情や意志を汲み上げるように作用することもわかってきました。ということは、我々が地上で暮らすことを願えば、オルファンは人類の新しいエネルギー源にすることも、出来たはずなのです」
バロン 「ほぉ?」
研作 「しかしそれが出来なくなったのです。今ここにいるアメリカ軍も、女達も、地球から逃げ出すことしか考えていない。それではオルファンはジャンプします」
バロン 「オルファンはブレンパワードを自らに引き入れたりする、身勝手なところもある…それを考えれば、オルファンは好きにやると思えるが?」
研作 「ミサイル攻撃の後の消失したブレンのことか?」
バロン 「そうだ」
研作 「宇都宮比瑪のものです。オルファンはあの子に興味を持った。だから取り込んだのです」
直子 「比瑪ちゃん、比瑪ちゃん」
比瑪 「ん…」
直子 「比瑪ちゃん!」
比瑪 「母さん?」
直子 「気がついた?比瑪ちゃん」
比瑪 「ああ、直子おばあちゃん」
直子 「大丈夫?」
比瑪 「直子おばあちゃん、何してんの…?あれ…?」
比瑪 「ん…あっ!ここ!直子おばあちゃん!どうしてオルファンにいるんです!?」
直子 「ゲイブリッジさんについてきたら、ここに来てしまって…」
比瑪 「どうして!」
直子 「オルファンを復活させたガバナーだったのよ、彼」
比瑪 「ゲイブリッジ司令が…?ガバナーって何です?」
直子 「リクレイマーの統括者で、オルファンの力を調整しようとしている人」
比瑪 「リクレイマーの?そんな…」
比瑪 「どうしたのブレン?あ…」
米軍兵A 「オルファンの表面に局地的な微振動が観測されています!」
米軍士官 「外界反応の痙攣か?」
米軍兵A 「はっ!」
米軍士官 「哨戒中のグランチャーを向かわせ、原因を確認させろ!」
米軍兵A 「はっ!」
米軍士官 「オルファンの対抗要因、ブレンパワードの接近か」
ヒギンズ 「マズったなぁ。オルファンに近づいたのはいいけど、どこから潜入すれば…はっ!アーミーのグランチャー…」
ヒギンズ 「ここで見つかったらレイト艦長に会わせる顔がないわ、静かにね?」
米軍兵A 「お?痙攣が消えました!」
米軍士官 「グランチャーからの報告は!」
米軍兵A 「ありません!」
米軍士官 「オルファンがジャンプする前兆か」
ヒギンズ 「何あの光…呼んでるみたい」
ヒギンズ 「ハッ!あれは…」
ヒギンズ 「あれは、一年前の私?」
ヒギンズ 「ハッ…ブレン!おまえ、引き寄せられてるわよ!」
直子 「比瑪ちゃん!」
比瑪 「あなたって人は!なんて大人なんでしょう!」
直子 「比瑪ちゃん!ゲイブリッジさんは…」
ゲイブリッジ 「いいよ、直子」
比瑪 「よかぁないわよウソつき!あなたが一番悪い人だって分かったんだから!」
ゲイブリッジ 「比瑪ちゃんの気持ちは分かるが…」
比瑪 「比瑪ちゃんじゃない!」
ゲイブリッジ 「私は、天然自然の為すものに、人類が畏敬の念を起こしてほしいと、願っているのだ」
比瑪 「え?」
ゲイブリッジ 「物事が人の願い事通りに都合よく行くものではないと、教えたいのだよ」
比瑪 「オルファンはブレンと同じ生き物ですよ?ちゃんと面倒見てあげれば私達とだって仲良くしてくれるわ!」
ゲイブリッジ 「オルファンは地球外の産物だ。地球との共生はありえない」
比瑪 「オルファンは、ずっと海の底で、海の生き物と一緒に暮らしてきました!」
ゲイブリッジ 「だがオルファンはその海から離れたのだ!」
比瑪 「そ、そうだけど…え?」
比瑪 「ちょっと君!どうしたの!?」
直子 「ゲイブ!」
ゲイブリッジ 「調べているのだろう。敵であるオルファンを」
比瑪 「駄目よ!そんなことしたらオルファンに力を吸い取られちゃう!」
比瑪 「やめなさい!わっ!」
比瑪 「こら、勝手に動かないで!オルファンの中なのよ!」
直子 「比瑪ちゃん落ちないで!」
ゲイブリッジ 「ぬぅっ」
直子 「ハッ…!…ゲイブ」
ゲイブリッジ 「直子!…直子」
比瑪 「ブレン!おとなしくして!うわっ!」
フィジシストA 「うわっ!」
フィジシストB 「きゃあっ!」
フィジシストA 「ハッ…!」
フィジシストA 「と、父さん…父さんを、連れて行かないでぇー!」
フィジシストB 「あ、あれは…!」
フィジシストB 「嫌ぁーっ!パパ!ママー!」
フィジシストC 「あの時、誰も!誰も助けてくれなかったじゃないか!」
フィジシストC 「だから俺は…!」
比瑪 「ブレン!酔っ払ってるの!?アルコール無しで酔うんじゃないの!」
シラー 「お前はお休みだ」
シラー 「ガバナーは現状を監視しろと言うが、そういう甘いことばかり言っていて何が分かる!」
ジョナサン 「シラー、俺もすぐ行く」
フィジシストD 「おい!おとなしくしろ!うわぁ!」
ジョナサン 「何っ!?」
フィジシストE 「ぐわっ!」
翠 「何事です!」
ジョナサン 「それはこっちのセリフだ!ありゃあ一体何なんだ!」
翠 「何って…あれは何!?」
ヒギンズ 「うっ…潜、成功したの?」
ヒギンズ 「大人しく待ってなさいね」
ヒギンズ 「アーミーとリクレイマーを統率している人物がいるって勇は言っていたわ。その人物を始末すれば、オルファンを止められるかもしれない」
(アイキャッチ)
比瑪 「うわっ!きゃー!わっ!ひゃっ!きゃああー!」
比瑪 「ひゃー!うっ!…酔っ払って!どうしたって言うのブレン、オルファンの中なのよ!?」
比瑪 「うんしょっ」
シラー 「ブレンがオルファンの中で遊び回ってるなんて、どういうことだ!」
比瑪 「3人もグランチャーが!?」
比瑪 「ブレン!逃げましょ!」
比瑪 「ぐっ!ああっ!」
シラー 「このスタンバー、効くぞ!」
比瑪 「うっ!くああ!」
シラー 「いいザマだねえ。オルファンの中で好きにやるから、こういう目に遭うんだよ!」
比瑪 「ブレーン!」
シラー 「ブレンという奴は力を溜め込むのか!」
比瑪 「うはっ!」
比瑪 「あっ!またオルファンのウェハーが光る!?」
シラー 「オルファンのウェハーが裂ける!」
比瑪 「きゃあああああ!」
シラー 「わああああー!」
ヒギンズ 「騒がしくなった、潜入がバレた?」
ヒギンズ 「ん…?熱い…」
ヒギンズ 「バラが燃えている?」
米軍兵士B 「おい!お前!」
ヒギンズ 「はっ!」
米軍兵士B 「所属!姓名は!」
米軍兵士C 「ノヴィス・ノアのクルーじゃないか!」
ヒギンズ 「くっ!」
米軍兵士B 「ノヴィス・ノアのクルーを発見した、援軍を回せ!」
比瑪 「んんっ!…いったぁ~、へっ?」
比瑪 「ヒヒンフフエン…ほーひてほほひ?(ヒギンズブレン…どうしてここに?)」
比瑪 「あわわわわ!」
シラー 「くっ、何がどうなって…はっ!ブレンがふたりも?こいつら中からオルファンを潰しに来たのか!」
比瑪 「ひ、ヒギンズさん!中にいないんですか?」
ゲイブリッジ 「バロン・マクシミリアンの命令か」
研作 「リクレイマー達は統率できるでしょうが、オルファンの機能は、オルファンにしかコントロールできないのは、あなただってご存知のはずだ!」
バロン 「ジョナサンに正義を行わせて、オルファンの意志に連動させるだけだ。バロンズゥがそれを選択した!」
ヒギンズ 「比瑪ちゃん!」
ヒギンズ 「あたしのブレンが、立ち上がれないの!?」
比瑪 「ヒギンズさんが、来てくれたー!」
ヒギンズ 「乗るわ、ブレン!」
比瑪 「迎えに来てくれたの?」
ヒギンズ 「ついでよ。オルファンのガバナーを始末するつもりだったけど、辿り着けなかった!」
比瑪 「ゲイブリッジさんがガバナーだったのよ!」
ヒギンズ 「司令が!?」
シラー 「こいつらまとめて消してやる!」
シラー 「な、何だ?ウェハーが波立ってる!?」
シラー 「くっ、うわぁっ!」
ヒギンズ 「うわっ!」
比瑪 「わっ!何!?うわぁっ!」
ヒギンズ 「比瑪!」
比瑪 「ああ…」
比瑪 「ここは…一体?」
比瑪 「プレートが産まれてるところなの、ここ?ここって、まさか…」
比瑪 「オルファンの…子宮なのかしら?」
比瑪 「あっ!…ああ…」
比瑪 「ここは」
比瑪 「あっ、あれは!」
比瑪 「お母さん」
比瑪 「お母さん…ありがとオルファン、お母さんに会わせてくれて!ねぇ、こんなに優しいあなたが、地球にひどいことなんてするはずないよね!」
比瑪 「地球ってね、こんな思い出をいっぱい持ってる生き物達が沢山住んでる星なのよ!…えっ」
比瑪 「あれは!?」
比瑪 「オルファンがふたり、戦ってるの?」
比瑪 「うっ!…あぁ、それで地球へ落ちてきたの?もうひとりのオルファンは、どうなったかわからないの?」
比瑪 「ああ!ブレンとグランチャーって、別々のオルファンの子供だったの!?」
比瑪 「勇!」
勇 「比瑪!」
勇 「うっ!…いってー…」
カナン 「どうしたの?勇?」
勇 「比瑪が見えた!すぐ消えたけど」
シラー 「くっ!」
シラー 「でやぁ!」
ヒギンズ 「あっ!」
シラー 「はああっ!」
ヒギンズ 「ああっ!」
ヒギンズ 「がっ!は…」
シラー 「ジョナサンの邪魔をする貴様らは、あたしが許さない!」
ヒギンズ 「ううっ、ぐぅっ」
シラー 「弟達を飢え死にさせたあたしでも、ジョナサンの役には立つんだ!…ぐっ!」
ヒギンズ 「あたしだって、動乱の時代に流れ者になって逃げる先々で家族を死なせてしまった運の無い女よ!でもね、あたしだって…!」
シラー 「あたしの方がもっと酷かったんだ!オルファンで地球を滅ぼしでもしなきゃ!」
ヒギンズ 「そんなんだからグランチャーはあんたを選んだ!あたしは運命に殉じた、そしたらブレンに出会えた!」
シラー 「運命なんか変えれば良い!」
ヒギンズ 「胸にバラを刻んで覚悟を決めたらね!プラハでブレンを見た時、この花びらが熱くなったのよ!」
シラー 「ぐっ!」
ヒギンズ 「土人形のゴーレムは花を愛さなかったから土に還るしかなかったけど、ブレンは花を愛する!弱い者を守るために強い命が生まれるのよ!」
シラー 「小娘の言うこと!」
ヒギンズ 「はっ!」
シラー 「ちぃっ!」
シラー 「ええぃ」
ジョナサン 「フッフッフッフッ、ハッハッハッハァ…ッハッハッハッハッハッハ!」
ジョナサン 「こんなとこにいたのかよ、バイキン!消えろよ!」
ヒギンズ 「ああっ!」
ヒギンズ 「これは、オルファンがあたしに力を貸してくれている!?」
比瑪 「何この光、この透けたプレートは?」
シラー 「馬鹿な。異分子のブレンパワードが、オルファンのエナジーを使うなど…」
ジョナサン 「くっ、そんなことでバロンズゥの力を防ぎきれるものか!ぜりゃああー!」
ヒギンズ 「ああっ!」
ジョナサン 「それそれそれー!」
ヒギンズ 「うわああああー!」
カナン 「ヒギンズ・ブレン?」
勇 「オルファンから出てきた」
カナン 「オルファンが吐き出したの?」
勇 「そうなの?」
勇
カナン 「比瑪!?」
カナン 「ヒギンズ大丈夫?生きてるの?」
ヒギンズ 「あ、ありがと、カナン。比瑪ちゃんも出られたの?」
カナン 「元気みたいよ!」
比瑪 「オルファーン!ありがとう!あたしたちのこと、嫌いじゃないんだね!?」
比瑪 「ならさ、あたしのお話だって聞いてよ!寂しがり屋さんというの、恥ずかしいことじゃないんだよ!」
勇 「比瑪!後退しろ!何が起こるかわからないぞ!」
カナン 「オルファンが銀河へ旅立つの?」
ヒギンズ 「そうはならないと思うわ」
カナン 「え?」
ヒギンズ 「そんな気がするから…」
勇 「オルファンが…大地を離れる」
比瑪 「飛べばいいんだよ、オルファン」
第22話「乾坤一擲」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201209010030393229/
→第24話「記憶のいたずら」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201305181024327304/
比瑪
(ナレーション) 「何か大事な事ってあたしがいないところで起こるんだよね。勇とお姉さんの依衣子さんのことは首を突っ込んじゃいけないことなんだろうけど、クインシィ・グランチャーの爪が伸びた事件はそりゃあ見たかったわぁ。ホラーは嫌いだけどね 」
ヒギンズ あのグランチャーについていけば、オルファンに潜入できる。タイミングを合わせればいいんだから…レイト艦長、私がきっちりカタをつけて見せるよ」
シラー 「あっ、ごめん!ここが痛いかい?遠慮なくお言い。クインシィと仲良かったって、あたしは気にしないんだからさ」
シラー 「ジョナサーン、指以外の傷は無いみたいだよ」
ジョナサン 「じゃあ何でこの中にクインシィは乗ってないんだ!どっかに落っことして、一人で戻ってきたとでも言うのか?」
翠 「依衣子が戻ったんじゃないの?」
ジョナサン 「コックピットは空です!」
翠 「空?乗っていない?何故です!」
ジョナサン 「さぁてねぇ!ノヴィス・ノアに捕まったか?あるいは勇にやられましたかねぇ?ハッハッハ!」
翠 「…グランチャーも調べましょう。そうすれば、何が起こったか分かるはずよ」
ジョナサン 「娘の安否など忘れているのかと思ってましたがね」
翠 「あなたはバロン・マクシミリアンのアンチボディになりきったようね?ガバナーに近い私に近づくなと命令されているんでしょう?そうでなければ、あれから一度も…」
ジョナサン 「博士こそ、オルファンの銀河旅行も近いんで、俺なんかには飽きてるんじゃないかと思ってましたよ」
翠 「うっ…!」
ジョナサン 「へへっ・・・」
翠 「私が来る前に勝手に触って!」
シラー 「あぁっ!」
翠 「私の仕事を取らないで!」
シラー 「何だ、このババア!ヒステリー起こして!」
シラー 「けどさぁ、お前結構クインシィを好きだったはずなのに、何でクインシィを見捨てて来ちまったんだよ」
研作 「オルファンといえども、海底から浮上するまでは時間がかかったが、地球の重力から逃れるのは、容易なはずです」
バロン 「お嫌なのか?オルファンが宇宙へ飛ぶのが」
研作 「オルファンは、内部に取り込んだ我々の情や意志を汲み上げるように作用することもわかってきました。ということは、我々が地上で暮らすことを願えば、オルファンは人類の新しいエネルギー源にすることも、出来たはずなのです」
バロン 「ほぉ?」
研作 「しかしそれが出来なくなったのです。今ここにいるアメリカ軍も、女達も、地球から逃げ出すことしか考えていない。それではオルファンはジャンプします」
バロン 「オルファンはブレンパワードを自らに引き入れたりする、身勝手なところもある…それを考えれば、オルファンは好きにやると思えるが?」
研作 「ミサイル攻撃の後の消失したブレンのことか?」
バロン 「そうだ」
研作 「宇都宮比瑪のものです。オルファンはあの子に興味を持った。だから取り込んだのです」
直子 「比瑪ちゃん、比瑪ちゃん」
比瑪 「ん…」
直子 「比瑪ちゃん!」
比瑪 「母さん?」
直子 「気がついた?比瑪ちゃん」
比瑪 「ああ、直子おばあちゃん」
直子 「大丈夫?」
比瑪 「直子おばあちゃん、何してんの…?あれ…?」
比瑪 「ん…あっ!ここ!直子おばあちゃん!どうしてオルファンにいるんです!?」
直子 「ゲイブリッジさんについてきたら、ここに来てしまって…」
比瑪 「どうして!」
直子 「オルファンを復活させたガバナーだったのよ、彼」
比瑪 「ゲイブリッジ司令が…?ガバナーって何です?」
直子 「リクレイマーの統括者で、オルファンの力を調整しようとしている人」
比瑪 「リクレイマーの?そんな…」
比瑪 「どうしたのブレン?あ…」
米軍兵A 「オルファンの表面に局地的な微振動が観測されています!」
米軍士官 「外界反応の痙攣か?」
米軍兵A 「はっ!」
米軍士官 「哨戒中のグランチャーを向かわせ、原因を確認させろ!」
米軍兵A 「はっ!」
米軍士官 「オルファンの対抗要因、ブレンパワードの接近か」
ヒギンズ 「マズったなぁ。オルファンに近づいたのはいいけど、どこから潜入すれば…はっ!アーミーのグランチャー…」
ヒギンズ 「ここで見つかったらレイト艦長に会わせる顔がないわ、静かにね?」
米軍兵A 「お?痙攣が消えました!」
米軍士官 「グランチャーからの報告は!」
米軍兵A 「ありません!」
米軍士官 「オルファンがジャンプする前兆か」
ヒギンズ 「何あの光…呼んでるみたい」
ヒギンズ 「ハッ!あれは…」
ヒギンズ 「あれは、一年前の私?」
ヒギンズ 「ハッ…ブレン!おまえ、引き寄せられてるわよ!」
直子 「比瑪ちゃん!」
比瑪 「あなたって人は!なんて大人なんでしょう!」
直子 「比瑪ちゃん!ゲイブリッジさんは…」
ゲイブリッジ 「いいよ、直子」
比瑪 「よかぁないわよウソつき!あなたが一番悪い人だって分かったんだから!」
ゲイブリッジ 「比瑪ちゃんの気持ちは分かるが…」
比瑪 「比瑪ちゃんじゃない!」
ゲイブリッジ 「私は、天然自然の為すものに、人類が畏敬の念を起こしてほしいと、願っているのだ」
比瑪 「え?」
ゲイブリッジ 「物事が人の願い事通りに都合よく行くものではないと、教えたいのだよ」
比瑪 「オルファンはブレンと同じ生き物ですよ?ちゃんと面倒見てあげれば私達とだって仲良くしてくれるわ!」
ゲイブリッジ 「オルファンは地球外の産物だ。地球との共生はありえない」
比瑪 「オルファンは、ずっと海の底で、海の生き物と一緒に暮らしてきました!」
ゲイブリッジ 「だがオルファンはその海から離れたのだ!」
比瑪 「そ、そうだけど…え?」
比瑪 「ちょっと君!どうしたの!?」
直子 「ゲイブ!」
ゲイブリッジ 「調べているのだろう。敵であるオルファンを」
比瑪 「駄目よ!そんなことしたらオルファンに力を吸い取られちゃう!」
比瑪 「やめなさい!わっ!」
比瑪 「こら、勝手に動かないで!オルファンの中なのよ!」
直子 「比瑪ちゃん落ちないで!」
ゲイブリッジ 「ぬぅっ」
直子 「ハッ…!…ゲイブ」
ゲイブリッジ 「直子!…直子」
比瑪 「ブレン!おとなしくして!うわっ!」
フィジシストA 「うわっ!」
フィジシストB 「きゃあっ!」
フィジシストA 「ハッ…!」
フィジシストA 「と、父さん…父さんを、連れて行かないでぇー!」
フィジシストB 「あ、あれは…!」
フィジシストB 「嫌ぁーっ!パパ!ママー!」
フィジシストC 「あの時、誰も!誰も助けてくれなかったじゃないか!」
フィジシストC 「だから俺は…!」
比瑪 「ブレン!酔っ払ってるの!?アルコール無しで酔うんじゃないの!」
シラー 「お前はお休みだ」
シラー 「ガバナーは現状を監視しろと言うが、そういう甘いことばかり言っていて何が分かる!」
ジョナサン 「シラー、俺もすぐ行く」
フィジシストD 「おい!おとなしくしろ!うわぁ!」
ジョナサン 「何っ!?」
フィジシストE 「ぐわっ!」
翠 「何事です!」
ジョナサン 「それはこっちのセリフだ!ありゃあ一体何なんだ!」
翠 「何って…あれは何!?」
ヒギンズ 「うっ…潜、成功したの?」
ヒギンズ 「大人しく待ってなさいね」
ヒギンズ 「アーミーとリクレイマーを統率している人物がいるって勇は言っていたわ。その人物を始末すれば、オルファンを止められるかもしれない」
(アイキャッチ)
比瑪 「うわっ!きゃー!わっ!ひゃっ!きゃああー!」
比瑪 「ひゃー!うっ!…酔っ払って!どうしたって言うのブレン、オルファンの中なのよ!?」
比瑪 「うんしょっ」
シラー 「ブレンがオルファンの中で遊び回ってるなんて、どういうことだ!」
比瑪 「3人もグランチャーが!?」
比瑪 「ブレン!逃げましょ!」
比瑪 「ぐっ!ああっ!」
シラー 「このスタンバー、効くぞ!」
比瑪 「うっ!くああ!」
シラー 「いいザマだねえ。オルファンの中で好きにやるから、こういう目に遭うんだよ!」
比瑪 「ブレーン!」
シラー 「ブレンという奴は力を溜め込むのか!」
比瑪 「うはっ!」
比瑪 「あっ!またオルファンのウェハーが光る!?」
シラー 「オルファンのウェハーが裂ける!」
比瑪 「きゃあああああ!」
シラー 「わああああー!」
ヒギンズ 「騒がしくなった、潜入がバレた?」
ヒギンズ 「ん…?熱い…」
ヒギンズ 「バラが燃えている?」
米軍兵士B 「おい!お前!」
ヒギンズ 「はっ!」
米軍兵士B 「所属!姓名は!」
米軍兵士C 「ノヴィス・ノアのクルーじゃないか!」
ヒギンズ 「くっ!」
米軍兵士B 「ノヴィス・ノアのクルーを発見した、援軍を回せ!」
比瑪 「んんっ!…いったぁ~、へっ?」
比瑪 「ヒヒンフフエン…ほーひてほほひ?(ヒギンズブレン…どうしてここに?)」
比瑪 「あわわわわ!」
シラー 「くっ、何がどうなって…はっ!ブレンがふたりも?こいつら中からオルファンを潰しに来たのか!」
比瑪 「ひ、ヒギンズさん!中にいないんですか?」
ゲイブリッジ 「バロン・マクシミリアンの命令か」
研作 「リクレイマー達は統率できるでしょうが、オルファンの機能は、オルファンにしかコントロールできないのは、あなただってご存知のはずだ!」
バロン 「ジョナサンに正義を行わせて、オルファンの意志に連動させるだけだ。バロンズゥがそれを選択した!」
ヒギンズ 「比瑪ちゃん!」
ヒギンズ 「あたしのブレンが、立ち上がれないの!?」
比瑪 「ヒギンズさんが、来てくれたー!」
ヒギンズ 「乗るわ、ブレン!」
比瑪 「迎えに来てくれたの?」
ヒギンズ 「ついでよ。オルファンのガバナーを始末するつもりだったけど、辿り着けなかった!」
比瑪 「ゲイブリッジさんがガバナーだったのよ!」
ヒギンズ 「司令が!?」
シラー 「こいつらまとめて消してやる!」
シラー 「な、何だ?ウェハーが波立ってる!?」
シラー 「くっ、うわぁっ!」
ヒギンズ 「うわっ!」
比瑪 「わっ!何!?うわぁっ!」
ヒギンズ 「比瑪!」
比瑪 「ああ…」
比瑪 「ここは…一体?」
比瑪 「プレートが産まれてるところなの、ここ?ここって、まさか…」
比瑪 「オルファンの…子宮なのかしら?」
比瑪 「あっ!…ああ…」
比瑪 「ここは」
比瑪 「あっ、あれは!」
比瑪 「お母さん」
比瑪 「お母さん…ありがとオルファン、お母さんに会わせてくれて!ねぇ、こんなに優しいあなたが、地球にひどいことなんてするはずないよね!」
比瑪 「地球ってね、こんな思い出をいっぱい持ってる生き物達が沢山住んでる星なのよ!…えっ」
比瑪 「あれは!?」
比瑪 「オルファンがふたり、戦ってるの?」
比瑪 「うっ!…あぁ、それで地球へ落ちてきたの?もうひとりのオルファンは、どうなったかわからないの?」
比瑪 「ああ!ブレンとグランチャーって、別々のオルファンの子供だったの!?」
比瑪 「勇!」
勇 「比瑪!」
勇 「うっ!…いってー…」
カナン 「どうしたの?勇?」
勇 「比瑪が見えた!すぐ消えたけど」
シラー 「くっ!」
シラー 「でやぁ!」
ヒギンズ 「あっ!」
シラー 「はああっ!」
ヒギンズ 「ああっ!」
ヒギンズ 「がっ!は…」
シラー 「ジョナサンの邪魔をする貴様らは、あたしが許さない!」
ヒギンズ 「ううっ、ぐぅっ」
シラー 「弟達を飢え死にさせたあたしでも、ジョナサンの役には立つんだ!…ぐっ!」
ヒギンズ 「あたしだって、動乱の時代に流れ者になって逃げる先々で家族を死なせてしまった運の無い女よ!でもね、あたしだって…!」
シラー 「あたしの方がもっと酷かったんだ!オルファンで地球を滅ぼしでもしなきゃ!」
ヒギンズ 「そんなんだからグランチャーはあんたを選んだ!あたしは運命に殉じた、そしたらブレンに出会えた!」
シラー 「運命なんか変えれば良い!」
ヒギンズ 「胸にバラを刻んで覚悟を決めたらね!プラハでブレンを見た時、この花びらが熱くなったのよ!」
シラー 「ぐっ!」
ヒギンズ 「土人形のゴーレムは花を愛さなかったから土に還るしかなかったけど、ブレンは花を愛する!弱い者を守るために強い命が生まれるのよ!」
シラー 「小娘の言うこと!」
ヒギンズ 「はっ!」
シラー 「ちぃっ!」
シラー 「ええぃ」
ジョナサン 「フッフッフッフッ、ハッハッハッハァ…ッハッハッハッハッハッハ!」
ジョナサン 「こんなとこにいたのかよ、バイキン!消えろよ!」
ヒギンズ 「ああっ!」
ヒギンズ 「これは、オルファンがあたしに力を貸してくれている!?」
比瑪 「何この光、この透けたプレートは?」
シラー 「馬鹿な。異分子のブレンパワードが、オルファンのエナジーを使うなど…」
ジョナサン 「くっ、そんなことでバロンズゥの力を防ぎきれるものか!ぜりゃああー!」
ヒギンズ 「ああっ!」
ジョナサン 「それそれそれー!」
ヒギンズ 「うわああああー!」
カナン 「ヒギンズ・ブレン?」
勇 「オルファンから出てきた」
カナン 「オルファンが吐き出したの?」
勇 「そうなの?」
勇
カナン 「比瑪!?」
カナン 「ヒギンズ大丈夫?生きてるの?」
ヒギンズ 「あ、ありがと、カナン。比瑪ちゃんも出られたの?」
カナン 「元気みたいよ!」
比瑪 「オルファーン!ありがとう!あたしたちのこと、嫌いじゃないんだね!?」
比瑪 「ならさ、あたしのお話だって聞いてよ!寂しがり屋さんというの、恥ずかしいことじゃないんだよ!」
勇 「比瑪!後退しろ!何が起こるかわからないぞ!」
カナン 「オルファンが銀河へ旅立つの?」
ヒギンズ 「そうはならないと思うわ」
カナン 「え?」
ヒギンズ 「そんな気がするから…」
勇 「オルファンが…大地を離れる」
比瑪 「飛べばいいんだよ、オルファン」
第22話「乾坤一擲」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201209010030393229/
→第24話「記憶のいたずら」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201305181024327304/
ブレンパワード 全台詞集 第22話「乾坤一擲」
2012年9月1日 ブレンパワード全台詞集脚本:浅川美也 絵コンテ・演出:森邦宏 作画監督:瀬尾康博
比瑪
(ナレーション) 「ゲイブリッジさんだって、始めから分かってたっていう作戦じゃなかったと思う。それにしてもノヴィス・ノアを狙ったミサイルがオルファンに向かった!爆発させたらノヴィス・ノアがアメリカの敵になっちゃうから、っていうんで皆で止めちゃったんだよねえ。どうしてこうなる?さあねえ…」
勇 「くうっ!落ちるな、ネリー・ブレン!」
勇 「ミサイルと同じ所に飛ばされたのか。ネリー・ブレンが飛ばされたんだ、他のブレンとグランチャーは・・・うっ!?」
勇 「ううっ!姉さん、大丈夫か!?」
作業員A 「ああ!こっちに来るぞ!」
作業員B 「に、逃げろー!ぶつかるぞー!」
勇 「姉さん!ネリー・ブレン、止まれ!」
勇 「ぶつかったぐらいじゃ爆発はしなかったろうが・・・放射性物質が飛び出しちまえば・・・ん?」
クインシィ 「愛しているんだね、勇」
勇 「え?」
クインシィ 「オルファンを愛しているのは当り前だよね。勇だって7年間暮らしてきた所なんだものね。助けてくれてありがとうよ」
勇 「姉さん・・・?」
アカリ 「比瑪姉ちゃんも勇も大丈夫かな?」
ユキオ 「帰ってくるさ」
クマゾー 「あ!も!」
クマゾー 「勇だも!」
アカリ 「二人ともグランチャーじゃないの?あれ?」
ユキオ 「雰囲気は雰囲気はブレンだよ、一人の方は」
アカリ 「来るよ!?」
クマゾー 「グランチャー!」
ユキオ 「艦長に知らせよう!」
クマゾー 「艦長ー!」
クマゾー 「グランも!うわっ!」
ユキオ 「大丈夫だって。あの二人ヘトヘトになってる」
クインシィ 「うっ!・・・こ、ここは」
勇 「くっ!姉さん!どういう具合なんだ!?」
アカリ 「グランチャーのパイロットが落ちた?」
ユキオ 「もう一人は?」
ユキオ 「あ!」
クマゾー 「うっ!」
勇 「疲れてるだけ?」
クインシィ 「恥かしいがね・・・それよりもグランチャーと勇の新しいブレンの方が、もっと疲れている」
クマゾー 「勇の?」
アカリ 「新しいブレン」
ユキオ 「これか」
カナン 「お姉さんの具合、そんなに悪いの?」
勇 「いや、心理テストを受けているんだよ」
カナン 「アイリーンはクインシィをノヴィス・ノアへ置くつもりかしら」
勇 「姉さんはもうクインシィじゃない」
カナン 「期待する勇の気持ちも解るけど、そう簡単に心を入れ替えると思えないわ」
勇 「そうだとしても、ここにいれば変わるさ」
カナン 「そうかしら?」
勇 「今のノヴィス・ノアって孤児院じゃないか。でも、だからこそオーガニックエナジーに溢れてる。そういう中で暮らせば・・・」
カナン 「相手はクインシィ・イッサーよ。典型的にオルファンに強化された・・・」
勇 「人間は憎悪だけでは生きられないって比瑪は教えてくれた。信じても良いじゃないか」
カナン 「甘いわ、勇!あなたはオルファンを捨てる時に家族も捨てたんでしょ!それなのに結局肉親離れ出来ないの!?しっかりしてよ!」
勇 「家族のいないカナンに俺の気持ちが解るか!」
カナン 「・・・ううっ・・・」
勇 「カナン・・・ごめん」
カナン 「くっ!」
カナン 「だったら何故逃げたの!?あんなにまでして何故オルファンを出てきたの!」
カナン 「はっ・・・」
アイリーン 「どうしたの?」
カナン 「いえ・・・」
勇 「いいんです」
アイリーン 「カナンさん?」
クインシィ 「そこにいたの?」
勇 「そりゃあ・・・」
クインシィ 「赤くなってる」
アイリーン 「お姉さんのテスト、合格よ」
勇 「本当に!?良かった!」
クインシィ 「ふふっ。この船の所為よ、イライラしない」
勇 「依衣子姉さん!」
クインシィ 「ふふ、どうしたんだよ。興奮するんじゃないよ」
勇 「あははは!」
クインシィ 「ふふふ」
デッキクルーA 「天神さーん、天神・・・うわっと!何で何で急に閉めんだよ!?」
デッキクルーB 「おまえが嫌いだってさ」
デッキクルーA 「何で!」
デッキクルーB 「ブレンは人を見るのさ」
デッキクルーA 「擦り方不味かったかな?」
子供A 「ねえ、何でこんなに獲れるの?」
子供B 「プレートの近くだと早く育つんだって」
子供A 「へえー」
アカリ 「これに着替えて」
クマゾー 「も!」
クインシィ 「ありがとう」
ユキオ 「更衣室に連れてったら?」
アカリ 「うん」
ユキオ 「勇はネリー・ブレンの所へ戻ってやんなよ」
勇 「でも姉さんはまだ・・・」
ユキオ 「そうかな?元気そうだし。ここの子達と仲良くなるのに弟の勇がいるより、俺達といる方が皆だって話し易いだろ」
クマゾー 「仲良し」
ユキオ 「ま、俺達に任せとけって」
アカリ 「じゃあ依衣子ちゃんはこの辺りをお願い」
クインシィ 「分かったわ」
アカリ 「クマゾーは一緒に種蒔きね」
ユキオ 「あんまり無理しなくていいからね」
ユキオ 「何か分かんない事あったら、声かけて」
クインシィ 「ありがとう」
クインシィ 「畑仕事をやるなんてもう一生無いって思っていたから、まぁグランチャーの体力が回復するまでの間だ。どこに保管されているんだ?・・・ん?」
子供C 「あのお姉ちゃん」
子供D 「鍬使えてるよ」
クインシィ 「なんだ?」
子供C 「依衣子お姉ちゃん凄いよ!どうして鍬を真っ直ぐ使えるの?」
子供E 「真っ直ぐだよ。どうして・・・なのー!?」
クインシィ 「ふん・・・」
子供F 「やり方教えてよ!教えて依衣子ちゃーん!お姉ちゃーん!」
子供達 「依・衣・子!依・衣・子!」
クインシィ 「口じゃなくって・・・手を動かせば良いんだー!」
子供達 「わあああ!」
アイリーン 「良い感じのようだけど」
勇 「オルファンにはこんなに子供達がいなかったんですよ」
アイリーン 「それでああなのね」
勇 「ええ。子供達のオーガニック・エナジーが・・・」
アイリーン 「依衣子が落ち着いてきたら試してみたい事があるのよ」
勇 「試したい事・・・ですか?」
ノヴィスクルーA 「ん・・・んん?」
クマゾー 「ふわああああ・・・うん」
クマゾー 「あっ!・・・ううう!」
クマゾー 「うわ・・・お化けぇ・・・うああ」
直子(回想) 「偉いってお兄さんが褒めてくださってるわ、クマゾー」
クマゾー 「直ばあちゃん・・・」
クマゾー 「何か聞こえた・・・ブレン達も」
クマゾー 「はっ!・・・うう・・・」
クマゾー 「つっ・・・うはあっ!」
クマゾー 「ブレン、僕読みたいも」
クマゾー 「漢字は・・・読めないも」
勇 「ふわー・・・んん」
勇 「何だよ、こんな時間に」
クマゾー 「ぷはあ・・・ブレン嫌いだも!嫌い!」
アイリーン 「あら、そりゃブレンだって好き嫌いはあるわ」
クマゾー 「いなくなれっていっぱいいっぱい言ってるも!ながーいお化け嫌いだも!」
アイリーン 「そのお化けは何なのかな?」
クマゾー 「ブレン、グラン嫌いだ!」
アイリーン 「うーん」
クマゾー 「はうう・・・」
勇 「アイリーンさん、俺見に行ってみるよ」
アイリーン 「お願いするわ」
勇 「どうもないじゃないか。ネリー・ブレンだって何も言ってなかったし」
クマゾー 「うん・・・」
勇 「また明日、ちゃんと調べるからさ。もう寝よう」
クマゾー 「・・・あっ、ううっ」
(アイキャッチ)
子供(※1) 「ご飯だぞ」
子供 「順番に食べさせる?」
ユキオ 「小さい子から食べさせるんだよ」
子供 「テーブルの所に行けよ」
アカリ 「石鹸を使って洗ってよね」
子供 「お風呂に入るんだから早く食べちゃいな」
クマゾー 「お風呂、順番。お風呂順番も!」
子供 「もういいよね。ちゃんと食べたわね?」
子供 「農機具は後で集めるからな!」
子供 「ちゃんと洗っとけって皆に言えよ」
クインシイ 「ふう」
子供 「わあドーナツだぞドーナツ!お兄さん頂戴よー!」
クインシイ 「ふう・・・ん?」
子供 「ドーナツだあ!」
ケイディ 「手は洗ったのか?ばい菌付いてたら食べさせないぞ?」
クインシィ 「あれは?」
ユキオ 「クマゾーも食べるか?」
クマゾー 「ドーナツ」
子供 「並ばなくちゃ駄目だってさ。数はあるんだし」
ケイディ 「俺、ドーナツの追加揚げてくるから」
食事配給係 「あいよ」
子供 「わーい」
クインシイ 「あいつ、ケイディに似ているが、何であいつがこんな所にいるんだ?」
子供 「お姉ちゃんも行こうよ!」
クインシイ 「お姉ちゃんは良いんだ。行っといで」
ケイディ 「ふふふーん♪」
ケイディ 「油揚げている時は危ないからね、もうすぐ出来るから向こうで待っててねぇ・・・こら!入ってきちゃ、わっ!」
クインシイ 「ケイディ!貴様こんな所で何をやっている!?」
ケイディ 「ク、クインシィ・イッサー!」
クインシイ 「ノヴィス・ノアに寝返ったか?」
ケイディ 「そ、そうではありません。自分は・・・自分はビー・プレートの存在を確認する為に独断で長期潜入を決意したのであります!」
クインシイ 「で、ビー・プレートの存在確認はどうなった?」
ケイディ 「じ、自分の見解では、どうもここの子供達がビー・プレートだと思われます」
クインシイ 「何だぁ?」
ケイディ 「自分はそう確信しております」
クインシイ 「・・・おめでたい奴だな」
ケイディ 「はっ。しかし、可能性として考慮する必要がありますから、今ノヴィス・ノアを・・・」
クインシイ 「沈めるつもりでここにいるのではない」
ケイディ 「は?ではどうして・・・」
アカリ 「依衣子姉ちゃん!」
クインシイ 「ん?」
アカリ 「アイリーンさんが呼んでる!」
クインシイ 「何?」
アカリ 「早い方が良いって!」
クインシイ 「分かった」
ケイディ 「あ・・・ああ?」
クインシイ 「この子達と、私の分のドーナツは取っておけよ。ふっ」
ケイディ 「はっ!・・・あれが本当にクインシィ・イッサーなのか?」
ヒギンズ 「元気無いわね、ラッセと喧嘩でもした?」
カナン 「そんなんじゃないわよ」
ヒギンズ 「レイト艦長は、もし私がブレンでオルファンに特攻をかけたらキメリエスで大陸まで乗り込んでくれるって」
カナン 「潜水艦で大陸に?」
ヒギンズ 「来ると言ったら来るわ。私はあの人を信じている。カナンだってそうでしょ?」
カナン 「・・・ああ、ラッセの事?」
ヒギンズ 「他に誰がいるのよ、喧嘩ぐらいで落ち込まないで」
カナン 「あ、違うのよ。本当にラッセの事じゃないの・・・ん?アイリーン艦長とクインシィ・イッサー?」
勇 「触ってくれても良いんだよ姉さん。これが新しい僕のブレンだ」
ユキオ 「ネリー・ブレンって言うんだけど、優しいんだ。グランチャーじゃないよ」
カナン 「アイリーンさんは完全にクインシィを信用しているんですか?」
アイリーン 「ブレンに乗せて試してるのよ」
カナン 「オルファンにいた頃のクインシィならブレンが受け付けないはずよね」
アイリーン 「医者としては気になるところだわ」
カナン 「勇が言うように、ここでの生活で彼女が変わってくれるのなら、あたし達の戦い方だって変わりますよ」
アイリーン 「ええ」
勇 「どう?スリットウェハーは変形してシートになってくれる」
クインシィ 「妙にフワフワして優しいんだな」
勇 「姉さんの今の気分を受けて反応してるんだよ」
クインシィ 「今の私の気持ち?」
勇 「そうさ。ネリー・ブレン!シャッターを閉めて」
勇 「俺の姉さんなんだ、よろしくな!ネリー・ブレン」
子供達 「依衣子ちゃーん!」
クインシィ 「ん?」
子供 「畑を放り出してブレンパワードに乗ってるー!」
子供 「こいつに畑仕事やらせるのー?」
子供 「ねえねえブレンに手伝わせてよー」
子供 「私も乗せて」
ユキオ 「あーあー、皆集まってきちゃって」
アイリーン 「良いわよ。依衣子さんもその方が気分が解れるでしょ?」
ユキオ 「お前達!乗るのは良いけど皆気を付けろよー!」
子供 「わああ!」
子供 「わーい上がったー!」
クインシィ 「ウェハーに掴まるんだ。手を上げたら危ないだろう?」
子供 「歩いてる!ブレンが歩いてるよ!」
勇 「俺のブレンを姉さんが動かしてるよ!」
クインシィ 「確かにこいつは心地が良い」
子供 「うわー、降りるぞー!」
クインシィ 「子供達の声も癇に障らないんだよね」
子供 「あはは、降りた降りたー」
カナン 「降ろした。反乱を起こすかもしれないと思ってたけど・・・」
アイリーン 「絶望したものじゃないわ」
カナン 「ええ」
勇 「頭とか、痛くない?姉さん」
クインシィ 「最高の調子の時のグランチャー並だね、良かったよ」
勇 「グランチャーみたいに無理強いしないところはずっと良いはずだけどな」
クインシィ 「グランチャーとだっておまえは解かり合えていたじゃないか!」
勇 「そりゃあそうだけど・・・」
クインシィ 「グランチャー達はね、人間を乗せなければ動く事が出来ない自分達を辛いと思っているんだよ!そういう心を解かろうとした事があったかい!?」
勇 「・・・だって!」
クインシィ 「無かったよな!あるわけない!」
勇 「あいつ等は強制してたから・・・!」
クインシィ 「解かろうとしてやれば、こんな所でブレンパワードに乗って気持ち良さそうに暮らしているわけがない!」
勇 「楽しい事ばかりあったわけじゃない!」
クインシィ 「それでもオルファンにいるよりは良かったんでしょう!?辛いから逃げたんでしょう!?残されたあたしの辛さなんか考えもしないで・・・!」
勇 「・・・だから何度も、俺はオルファンから出ろって言ったじゃないか!」
クインシィ 「どうして逃げられる!辛いからって私までいなくなる事なんて出来っこない!・・・うっ、くううっ・・・」
勇 「姉さん・・・」
アイリーン 「もう良いでしょう。依衣子さん」
アカリ 「どうしちゃったの?」
アイリーン 「大丈夫よ。ちょっとすればまた元の優しい依衣子さんに戻るから」
ユキオ 「よーし皆、畑仕事に戻ろう!」
カナン 「大丈夫?」
勇 「ああ。上手くいってるって思ったのに、カナンの言う通り俺甘かったね」
カナン 「あたしね、クインシィのあんな顔初めて見たわ。泣きそうな顔してた。あたしの知ってるクインシィはあんな顔で怒ったりはしない」
カナン 「慌てずに、もう少しゆっくり様子を見ましょう?」
勇 「ありがとう。・・・さぁ!畑仕事に戻るか!」
カナン 「あら?囲いが倒れちゃってるじゃない?」
勇 「しょうがねえな」
ヒギンズ 「比瑪ちゃんはまだ戻ってないけど、勇君にはカナンが付いているから大丈夫みたいね。彼も本当は心配でしょうに」
デッキクルーA 「天神さーんおーねーむー♪地の神さーんおーねーむ・・・」
ヒギンズ 「あ?畑が動いた?」
デッキクルーA 「どうかしました?」
ヒギンズ 「いえ、何でもないわ。あたしも疲れてるのかな?レイト艦長・・・」
勇 「カナン、ちょっとその辺にスコップ無いかな?」
カナン 「どうしたの?」
勇 「鍬が抜けないんだよ!」
カナン 「はあ?」
勇 「うわっ!くっ!」
カナン 「何!?ああっ!」
カナン 「何なの!?」
勇 「根っこのお化けだ。クマゾーも言ってた」
カナン 「ミミズのお化けじゃないの?」
勇 「冗談でしょ!この畑調べてるぞ!」
カナン 「その鍬で?」
勇 「あ・・・ブレンで調べる」
勇 「どうだ?」
勇 「もっと下だって言ったって・・・もう床が見えてるじゃないか」
ヒギンズ 「この下は第2格納庫でしょ?」
カナン 「そうだけど・・・」
勇 「出た!」
ヒギンズ 「ミミズじゃない!」
カナン 「そう!」
勇 「もう一匹!」
勇 「どこ行くつもりだ、あのフィン!」
カナン 「フィン?」
勇 「一本に見えるけど、枝分かれしてんじゃないのか?ヒギンズさん!」
ヒギンズ 「カナン!ブレンに乗りましょ!」
カナン 「ええ!」
クマゾー 「も!」
アカリ 「何か聞こえるね」
ユキオ 「何だ?音が動いてるぞ?」
ユキオ 「うわっ!」
アカリ 「うわあっ!」
クマゾー 「まーま!」
ユキオ 「わああ!」
アカリ 「いい!?何あれー!?」
ユキオ 「早く、皆に報せなきゃあ!」
クマゾー 「も!」
アカリ 「どこ行くの?クマゾー!」
ユキオ 「え?」
クインシィ 「ここに来てからの私、何だか変だ・・・どうぞ!」
クインシィ 「外からロックされているんだ。こっちからは開けられないよ」
クインシィ 「ケイディか?私と一緒に脱走するつもりになってくれたのか?」
クインシィ 「うっ!」
クインシィ 「おまえは!?」
クマゾー 「グランも!」
ユキオ 「クマゾーは正しかったんだ!」
アカリ 「グランチャーが怒ってる!」
クインシィ 「ずっと私を探していたんだな、おまえは」
クインシィ 「ようし!オルファンへ戻ろう!」
ユキオ 「逃げるんだ!依衣子さん!」
クインシィ 「あっ!来るんじゃない!お前達こそ・・・」
アカリ 「来るー!」
クマゾー 「わっ!」
クインシィ 「止めろ!」
ユキオ 「依衣子さんにも止めろ!」
アカリ 「襲うなー!」
クマゾー 「そうだ!」
クインシィ 「間違えるな!子供を殺したって大人のやった事をご破算になんか出来ないんだ!子供はオーガニック・エナジーの源なんだろ?・・・ああ、良い子だ」
勇 「よし!ネリー・ブレン今行くぞ!・・・あ?」
勇 「姉さんのグランチャー!」
勇 「カナン!」
ヒギンズ 「この化物!」
クインシィ 「待て!大人しく出ていくからこれ以上手出しするな!」
ヒギンズ 「出ていく?あの人が?」
クインシィ 「ここは退け!クインシィ・グランチャー!」
勇 「行っちゃ駄目だ!」
クインシィ 「離せ勇!」
勇 「行ったらオルファンの抗体、アンチボディになったままになるぞ!それで良いのか!?」
ヒギンズ 「勇!冷静になって!」
クインシィ 「離れろ勇!」
クインシィ 「何て事を・・・!」
ヒギンズ 「かかってくるなら、相手になる!」
クインシィ 「来るんじゃない!グラン!」
勇 「姉さんは渡さない!」
クインシィ 「来るな!パイロットがいなければ勝ち目は無い!相手は一人じゃないんだぞ!一人で逃げろ!」
クインシィ 「指が・・・ボロボロじゃないか!」
勇 「ヒギンズ!深追いはするな!」
クインシィ 「やめろ!逃がしてやってくれ!」
カナン 「あのクインシィがグランチャーを?」
ヒギンズ 「あのグランチャーを追って行けば、オルファンへ行ける・・・!」
ヒギンズ 「見ていてレイト。私がガバナーを倒して見せます!」
クインシィ 「飛べ、あたしの分身!世界を翔けろ!あたしの代わりに!おまえには、それが出来る!」
※:ノヴィスにおけるクインシィ=依衣子については、混乱を避ける為に全て「クインシィ」として表記しています。
※1:このシーン以降の子供達は数が多く把握できないので分類はしていません。
第21話「幻視錯綜」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201206011621314047/
→第23話「スイート・メモリーズ」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201209262147543171/
比瑪
(ナレーション) 「ゲイブリッジさんだって、始めから分かってたっていう作戦じゃなかったと思う。それにしてもノヴィス・ノアを狙ったミサイルがオルファンに向かった!爆発させたらノヴィス・ノアがアメリカの敵になっちゃうから、っていうんで皆で止めちゃったんだよねえ。どうしてこうなる?さあねえ…」
勇 「くうっ!落ちるな、ネリー・ブレン!」
勇 「ミサイルと同じ所に飛ばされたのか。ネリー・ブレンが飛ばされたんだ、他のブレンとグランチャーは・・・うっ!?」
勇 「ううっ!姉さん、大丈夫か!?」
作業員A 「ああ!こっちに来るぞ!」
作業員B 「に、逃げろー!ぶつかるぞー!」
勇 「姉さん!ネリー・ブレン、止まれ!」
勇 「ぶつかったぐらいじゃ爆発はしなかったろうが・・・放射性物質が飛び出しちまえば・・・ん?」
クインシィ 「愛しているんだね、勇」
勇 「え?」
クインシィ 「オルファンを愛しているのは当り前だよね。勇だって7年間暮らしてきた所なんだものね。助けてくれてありがとうよ」
勇 「姉さん・・・?」
アカリ 「比瑪姉ちゃんも勇も大丈夫かな?」
ユキオ 「帰ってくるさ」
クマゾー 「あ!も!」
クマゾー 「勇だも!」
アカリ 「二人ともグランチャーじゃないの?あれ?」
ユキオ 「雰囲気は雰囲気はブレンだよ、一人の方は」
アカリ 「来るよ!?」
クマゾー 「グランチャー!」
ユキオ 「艦長に知らせよう!」
クマゾー 「艦長ー!」
クマゾー 「グランも!うわっ!」
ユキオ 「大丈夫だって。あの二人ヘトヘトになってる」
クインシィ 「うっ!・・・こ、ここは」
勇 「くっ!姉さん!どういう具合なんだ!?」
アカリ 「グランチャーのパイロットが落ちた?」
ユキオ 「もう一人は?」
ユキオ 「あ!」
クマゾー 「うっ!」
勇 「疲れてるだけ?」
クインシィ 「恥かしいがね・・・それよりもグランチャーと勇の新しいブレンの方が、もっと疲れている」
クマゾー 「勇の?」
アカリ 「新しいブレン」
ユキオ 「これか」
カナン 「お姉さんの具合、そんなに悪いの?」
勇 「いや、心理テストを受けているんだよ」
カナン 「アイリーンはクインシィをノヴィス・ノアへ置くつもりかしら」
勇 「姉さんはもうクインシィじゃない」
カナン 「期待する勇の気持ちも解るけど、そう簡単に心を入れ替えると思えないわ」
勇 「そうだとしても、ここにいれば変わるさ」
カナン 「そうかしら?」
勇 「今のノヴィス・ノアって孤児院じゃないか。でも、だからこそオーガニックエナジーに溢れてる。そういう中で暮らせば・・・」
カナン 「相手はクインシィ・イッサーよ。典型的にオルファンに強化された・・・」
勇 「人間は憎悪だけでは生きられないって比瑪は教えてくれた。信じても良いじゃないか」
カナン 「甘いわ、勇!あなたはオルファンを捨てる時に家族も捨てたんでしょ!それなのに結局肉親離れ出来ないの!?しっかりしてよ!」
勇 「家族のいないカナンに俺の気持ちが解るか!」
カナン 「・・・ううっ・・・」
勇 「カナン・・・ごめん」
カナン 「くっ!」
カナン 「だったら何故逃げたの!?あんなにまでして何故オルファンを出てきたの!」
カナン 「はっ・・・」
アイリーン 「どうしたの?」
カナン 「いえ・・・」
勇 「いいんです」
アイリーン 「カナンさん?」
クインシィ 「そこにいたの?」
勇 「そりゃあ・・・」
クインシィ 「赤くなってる」
アイリーン 「お姉さんのテスト、合格よ」
勇 「本当に!?良かった!」
クインシィ 「ふふっ。この船の所為よ、イライラしない」
勇 「依衣子姉さん!」
クインシィ 「ふふ、どうしたんだよ。興奮するんじゃないよ」
勇 「あははは!」
クインシィ 「ふふふ」
デッキクルーA 「天神さーん、天神・・・うわっと!何で何で急に閉めんだよ!?」
デッキクルーB 「おまえが嫌いだってさ」
デッキクルーA 「何で!」
デッキクルーB 「ブレンは人を見るのさ」
デッキクルーA 「擦り方不味かったかな?」
子供A 「ねえ、何でこんなに獲れるの?」
子供B 「プレートの近くだと早く育つんだって」
子供A 「へえー」
アカリ 「これに着替えて」
クマゾー 「も!」
クインシィ 「ありがとう」
ユキオ 「更衣室に連れてったら?」
アカリ 「うん」
ユキオ 「勇はネリー・ブレンの所へ戻ってやんなよ」
勇 「でも姉さんはまだ・・・」
ユキオ 「そうかな?元気そうだし。ここの子達と仲良くなるのに弟の勇がいるより、俺達といる方が皆だって話し易いだろ」
クマゾー 「仲良し」
ユキオ 「ま、俺達に任せとけって」
アカリ 「じゃあ依衣子ちゃんはこの辺りをお願い」
クインシィ 「分かったわ」
アカリ 「クマゾーは一緒に種蒔きね」
ユキオ 「あんまり無理しなくていいからね」
ユキオ 「何か分かんない事あったら、声かけて」
クインシィ 「ありがとう」
クインシィ 「畑仕事をやるなんてもう一生無いって思っていたから、まぁグランチャーの体力が回復するまでの間だ。どこに保管されているんだ?・・・ん?」
子供C 「あのお姉ちゃん」
子供D 「鍬使えてるよ」
クインシィ 「なんだ?」
子供C 「依衣子お姉ちゃん凄いよ!どうして鍬を真っ直ぐ使えるの?」
子供E 「真っ直ぐだよ。どうして・・・なのー!?」
クインシィ 「ふん・・・」
子供F 「やり方教えてよ!教えて依衣子ちゃーん!お姉ちゃーん!」
子供達 「依・衣・子!依・衣・子!」
クインシィ 「口じゃなくって・・・手を動かせば良いんだー!」
子供達 「わあああ!」
アイリーン 「良い感じのようだけど」
勇 「オルファンにはこんなに子供達がいなかったんですよ」
アイリーン 「それでああなのね」
勇 「ええ。子供達のオーガニック・エナジーが・・・」
アイリーン 「依衣子が落ち着いてきたら試してみたい事があるのよ」
勇 「試したい事・・・ですか?」
ノヴィスクルーA 「ん・・・んん?」
クマゾー 「ふわああああ・・・うん」
クマゾー 「あっ!・・・ううう!」
クマゾー 「うわ・・・お化けぇ・・・うああ」
直子(回想) 「偉いってお兄さんが褒めてくださってるわ、クマゾー」
クマゾー 「直ばあちゃん・・・」
クマゾー 「何か聞こえた・・・ブレン達も」
クマゾー 「はっ!・・・うう・・・」
クマゾー 「つっ・・・うはあっ!」
クマゾー 「ブレン、僕読みたいも」
クマゾー 「漢字は・・・読めないも」
勇 「ふわー・・・んん」
勇 「何だよ、こんな時間に」
クマゾー 「ぷはあ・・・ブレン嫌いだも!嫌い!」
アイリーン 「あら、そりゃブレンだって好き嫌いはあるわ」
クマゾー 「いなくなれっていっぱいいっぱい言ってるも!ながーいお化け嫌いだも!」
アイリーン 「そのお化けは何なのかな?」
クマゾー 「ブレン、グラン嫌いだ!」
アイリーン 「うーん」
クマゾー 「はうう・・・」
勇 「アイリーンさん、俺見に行ってみるよ」
アイリーン 「お願いするわ」
勇 「どうもないじゃないか。ネリー・ブレンだって何も言ってなかったし」
クマゾー 「うん・・・」
勇 「また明日、ちゃんと調べるからさ。もう寝よう」
クマゾー 「・・・あっ、ううっ」
(アイキャッチ)
子供(※1) 「ご飯だぞ」
子供 「順番に食べさせる?」
ユキオ 「小さい子から食べさせるんだよ」
子供 「テーブルの所に行けよ」
アカリ 「石鹸を使って洗ってよね」
子供 「お風呂に入るんだから早く食べちゃいな」
クマゾー 「お風呂、順番。お風呂順番も!」
子供 「もういいよね。ちゃんと食べたわね?」
子供 「農機具は後で集めるからな!」
子供 「ちゃんと洗っとけって皆に言えよ」
クインシイ 「ふう」
子供 「わあドーナツだぞドーナツ!お兄さん頂戴よー!」
クインシイ 「ふう・・・ん?」
子供 「ドーナツだあ!」
ケイディ 「手は洗ったのか?ばい菌付いてたら食べさせないぞ?」
クインシィ 「あれは?」
ユキオ 「クマゾーも食べるか?」
クマゾー 「ドーナツ」
子供 「並ばなくちゃ駄目だってさ。数はあるんだし」
ケイディ 「俺、ドーナツの追加揚げてくるから」
食事配給係 「あいよ」
子供 「わーい」
クインシイ 「あいつ、ケイディに似ているが、何であいつがこんな所にいるんだ?」
子供 「お姉ちゃんも行こうよ!」
クインシイ 「お姉ちゃんは良いんだ。行っといで」
ケイディ 「ふふふーん♪」
ケイディ 「油揚げている時は危ないからね、もうすぐ出来るから向こうで待っててねぇ・・・こら!入ってきちゃ、わっ!」
クインシイ 「ケイディ!貴様こんな所で何をやっている!?」
ケイディ 「ク、クインシィ・イッサー!」
クインシイ 「ノヴィス・ノアに寝返ったか?」
ケイディ 「そ、そうではありません。自分は・・・自分はビー・プレートの存在を確認する為に独断で長期潜入を決意したのであります!」
クインシイ 「で、ビー・プレートの存在確認はどうなった?」
ケイディ 「じ、自分の見解では、どうもここの子供達がビー・プレートだと思われます」
クインシイ 「何だぁ?」
ケイディ 「自分はそう確信しております」
クインシイ 「・・・おめでたい奴だな」
ケイディ 「はっ。しかし、可能性として考慮する必要がありますから、今ノヴィス・ノアを・・・」
クインシイ 「沈めるつもりでここにいるのではない」
ケイディ 「は?ではどうして・・・」
アカリ 「依衣子姉ちゃん!」
クインシイ 「ん?」
アカリ 「アイリーンさんが呼んでる!」
クインシイ 「何?」
アカリ 「早い方が良いって!」
クインシイ 「分かった」
ケイディ 「あ・・・ああ?」
クインシイ 「この子達と、私の分のドーナツは取っておけよ。ふっ」
ケイディ 「はっ!・・・あれが本当にクインシィ・イッサーなのか?」
ヒギンズ 「元気無いわね、ラッセと喧嘩でもした?」
カナン 「そんなんじゃないわよ」
ヒギンズ 「レイト艦長は、もし私がブレンでオルファンに特攻をかけたらキメリエスで大陸まで乗り込んでくれるって」
カナン 「潜水艦で大陸に?」
ヒギンズ 「来ると言ったら来るわ。私はあの人を信じている。カナンだってそうでしょ?」
カナン 「・・・ああ、ラッセの事?」
ヒギンズ 「他に誰がいるのよ、喧嘩ぐらいで落ち込まないで」
カナン 「あ、違うのよ。本当にラッセの事じゃないの・・・ん?アイリーン艦長とクインシィ・イッサー?」
勇 「触ってくれても良いんだよ姉さん。これが新しい僕のブレンだ」
ユキオ 「ネリー・ブレンって言うんだけど、優しいんだ。グランチャーじゃないよ」
カナン 「アイリーンさんは完全にクインシィを信用しているんですか?」
アイリーン 「ブレンに乗せて試してるのよ」
カナン 「オルファンにいた頃のクインシィならブレンが受け付けないはずよね」
アイリーン 「医者としては気になるところだわ」
カナン 「勇が言うように、ここでの生活で彼女が変わってくれるのなら、あたし達の戦い方だって変わりますよ」
アイリーン 「ええ」
勇 「どう?スリットウェハーは変形してシートになってくれる」
クインシィ 「妙にフワフワして優しいんだな」
勇 「姉さんの今の気分を受けて反応してるんだよ」
クインシィ 「今の私の気持ち?」
勇 「そうさ。ネリー・ブレン!シャッターを閉めて」
勇 「俺の姉さんなんだ、よろしくな!ネリー・ブレン」
子供達 「依衣子ちゃーん!」
クインシィ 「ん?」
子供 「畑を放り出してブレンパワードに乗ってるー!」
子供 「こいつに畑仕事やらせるのー?」
子供 「ねえねえブレンに手伝わせてよー」
子供 「私も乗せて」
ユキオ 「あーあー、皆集まってきちゃって」
アイリーン 「良いわよ。依衣子さんもその方が気分が解れるでしょ?」
ユキオ 「お前達!乗るのは良いけど皆気を付けろよー!」
子供 「わああ!」
子供 「わーい上がったー!」
クインシィ 「ウェハーに掴まるんだ。手を上げたら危ないだろう?」
子供 「歩いてる!ブレンが歩いてるよ!」
勇 「俺のブレンを姉さんが動かしてるよ!」
クインシィ 「確かにこいつは心地が良い」
子供 「うわー、降りるぞー!」
クインシィ 「子供達の声も癇に障らないんだよね」
子供 「あはは、降りた降りたー」
カナン 「降ろした。反乱を起こすかもしれないと思ってたけど・・・」
アイリーン 「絶望したものじゃないわ」
カナン 「ええ」
勇 「頭とか、痛くない?姉さん」
クインシィ 「最高の調子の時のグランチャー並だね、良かったよ」
勇 「グランチャーみたいに無理強いしないところはずっと良いはずだけどな」
クインシィ 「グランチャーとだっておまえは解かり合えていたじゃないか!」
勇 「そりゃあそうだけど・・・」
クインシィ 「グランチャー達はね、人間を乗せなければ動く事が出来ない自分達を辛いと思っているんだよ!そういう心を解かろうとした事があったかい!?」
勇 「・・・だって!」
クインシィ 「無かったよな!あるわけない!」
勇 「あいつ等は強制してたから・・・!」
クインシィ 「解かろうとしてやれば、こんな所でブレンパワードに乗って気持ち良さそうに暮らしているわけがない!」
勇 「楽しい事ばかりあったわけじゃない!」
クインシィ 「それでもオルファンにいるよりは良かったんでしょう!?辛いから逃げたんでしょう!?残されたあたしの辛さなんか考えもしないで・・・!」
勇 「・・・だから何度も、俺はオルファンから出ろって言ったじゃないか!」
クインシィ 「どうして逃げられる!辛いからって私までいなくなる事なんて出来っこない!・・・うっ、くううっ・・・」
勇 「姉さん・・・」
アイリーン 「もう良いでしょう。依衣子さん」
アカリ 「どうしちゃったの?」
アイリーン 「大丈夫よ。ちょっとすればまた元の優しい依衣子さんに戻るから」
ユキオ 「よーし皆、畑仕事に戻ろう!」
カナン 「大丈夫?」
勇 「ああ。上手くいってるって思ったのに、カナンの言う通り俺甘かったね」
カナン 「あたしね、クインシィのあんな顔初めて見たわ。泣きそうな顔してた。あたしの知ってるクインシィはあんな顔で怒ったりはしない」
カナン 「慌てずに、もう少しゆっくり様子を見ましょう?」
勇 「ありがとう。・・・さぁ!畑仕事に戻るか!」
カナン 「あら?囲いが倒れちゃってるじゃない?」
勇 「しょうがねえな」
ヒギンズ 「比瑪ちゃんはまだ戻ってないけど、勇君にはカナンが付いているから大丈夫みたいね。彼も本当は心配でしょうに」
デッキクルーA 「天神さーんおーねーむー♪地の神さーんおーねーむ・・・」
ヒギンズ 「あ?畑が動いた?」
デッキクルーA 「どうかしました?」
ヒギンズ 「いえ、何でもないわ。あたしも疲れてるのかな?レイト艦長・・・」
勇 「カナン、ちょっとその辺にスコップ無いかな?」
カナン 「どうしたの?」
勇 「鍬が抜けないんだよ!」
カナン 「はあ?」
勇 「うわっ!くっ!」
カナン 「何!?ああっ!」
カナン 「何なの!?」
勇 「根っこのお化けだ。クマゾーも言ってた」
カナン 「ミミズのお化けじゃないの?」
勇 「冗談でしょ!この畑調べてるぞ!」
カナン 「その鍬で?」
勇 「あ・・・ブレンで調べる」
勇 「どうだ?」
勇 「もっと下だって言ったって・・・もう床が見えてるじゃないか」
ヒギンズ 「この下は第2格納庫でしょ?」
カナン 「そうだけど・・・」
勇 「出た!」
ヒギンズ 「ミミズじゃない!」
カナン 「そう!」
勇 「もう一匹!」
勇 「どこ行くつもりだ、あのフィン!」
カナン 「フィン?」
勇 「一本に見えるけど、枝分かれしてんじゃないのか?ヒギンズさん!」
ヒギンズ 「カナン!ブレンに乗りましょ!」
カナン 「ええ!」
クマゾー 「も!」
アカリ 「何か聞こえるね」
ユキオ 「何だ?音が動いてるぞ?」
ユキオ 「うわっ!」
アカリ 「うわあっ!」
クマゾー 「まーま!」
ユキオ 「わああ!」
アカリ 「いい!?何あれー!?」
ユキオ 「早く、皆に報せなきゃあ!」
クマゾー 「も!」
アカリ 「どこ行くの?クマゾー!」
ユキオ 「え?」
クインシィ 「ここに来てからの私、何だか変だ・・・どうぞ!」
クインシィ 「外からロックされているんだ。こっちからは開けられないよ」
クインシィ 「ケイディか?私と一緒に脱走するつもりになってくれたのか?」
クインシィ 「うっ!」
クインシィ 「おまえは!?」
クマゾー 「グランも!」
ユキオ 「クマゾーは正しかったんだ!」
アカリ 「グランチャーが怒ってる!」
クインシィ 「ずっと私を探していたんだな、おまえは」
クインシィ 「ようし!オルファンへ戻ろう!」
ユキオ 「逃げるんだ!依衣子さん!」
クインシィ 「あっ!来るんじゃない!お前達こそ・・・」
アカリ 「来るー!」
クマゾー 「わっ!」
クインシィ 「止めろ!」
ユキオ 「依衣子さんにも止めろ!」
アカリ 「襲うなー!」
クマゾー 「そうだ!」
クインシィ 「間違えるな!子供を殺したって大人のやった事をご破算になんか出来ないんだ!子供はオーガニック・エナジーの源なんだろ?・・・ああ、良い子だ」
勇 「よし!ネリー・ブレン今行くぞ!・・・あ?」
勇 「姉さんのグランチャー!」
勇 「カナン!」
ヒギンズ 「この化物!」
クインシィ 「待て!大人しく出ていくからこれ以上手出しするな!」
ヒギンズ 「出ていく?あの人が?」
クインシィ 「ここは退け!クインシィ・グランチャー!」
勇 「行っちゃ駄目だ!」
クインシィ 「離せ勇!」
勇 「行ったらオルファンの抗体、アンチボディになったままになるぞ!それで良いのか!?」
ヒギンズ 「勇!冷静になって!」
クインシィ 「離れろ勇!」
クインシィ 「何て事を・・・!」
ヒギンズ 「かかってくるなら、相手になる!」
クインシィ 「来るんじゃない!グラン!」
勇 「姉さんは渡さない!」
クインシィ 「来るな!パイロットがいなければ勝ち目は無い!相手は一人じゃないんだぞ!一人で逃げろ!」
クインシィ 「指が・・・ボロボロじゃないか!」
勇 「ヒギンズ!深追いはするな!」
クインシィ 「やめろ!逃がしてやってくれ!」
カナン 「あのクインシィがグランチャーを?」
ヒギンズ 「あのグランチャーを追って行けば、オルファンへ行ける・・・!」
ヒギンズ 「見ていてレイト。私がガバナーを倒して見せます!」
クインシィ 「飛べ、あたしの分身!世界を翔けろ!あたしの代わりに!おまえには、それが出来る!」
※:ノヴィスにおけるクインシィ=依衣子については、混乱を避ける為に全て「クインシィ」として表記しています。
※1:このシーン以降の子供達は数が多く把握できないので分類はしていません。
第21話「幻視錯綜」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201206011621314047/
→第23話「スイート・メモリーズ」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201209262147543171/
ブレンパワード 全台詞集 第20話「ガバナーの野望」
2012年7月10日 ブレンパワード全台詞集脚本:隅沢克之 絵コンテ・演出:南康宏 作画監督:佐久間信一
比瑪
(ナレーション) 「あたしのいっぱいのお母さんの思い出は、あたしのプライドであり、幸せの元になっている。だからって、積極的に人には話さない。勇にとってのネリー・キムさんのことは辛い思い出だろうけど、大切にしなければならないことではある」
村人A 「あの塔落ちるんじゃないか!?」
村人B 「家財道具ぐらい拾わせてよ」
村人C 「お、落ちるー!」
村人C 「銀行の建物が塞がっちまった!」
村人B 「お、お金があ!」
比瑪 「何てことでしょ!大陸に揚がってもオルファンは地面を削っているだけよ!」
勇 「オルファンの頂上はとっくに宇宙を覗いている。しかし、まだ大地を離れてはいない」
ナッキィ 「こんなものを見れば、軍事力になると思ったり、自分達の領土にしたいと思う連中は出てくるわな」
勇 「そうだよな」
ナッキィ 「比瑪、勇。ノヴィス・ノアに戻るぞ!」
比瑪 「勇、そうしよう?」
勇 「ネリー・ブレン、比瑪とナッキィに従え」
比瑪 「オルファン、あなたはどこに行くつもりなの?」
副長 「国連総会での各国の反応は意外に冷静です。オルファンの位置付けもアメリカの属州である事より、宗教的ニュアンスでとらえている方が大多数です」
モハマド 「各国の政治体制が機能停止しているから、宗教的解釈に寄り掛かるしかないのだよ」
副長 「そうだとすると厄介ですな。世界中が神と崇めているものを敵に回すんですから」
アイリーン 「仕方ないでしょ!」
副長 「ですが、このまま難民孤児を収容し続けていては・・・」
モハマド 「世界を敵に回しているからこそ、孤児院の機能が必要なんですよ。それが正義になるんですから」
アイリーン 「孤児院のアイデアは、こういう事態を想定しての事だったんですね?」
モハマド 「私は・・・それほど策士ではありませんよ、アイリーンさん」
アイリーン 「でも、利益を上げる為の損得は考える」
モハマド 「そりゃあ、生きる為にはね。はは・・・」
ユキオ 「こらー!遊んでいる暇なんか無いんだぞー!自分達の食べ物の事は自分達で・・・あ、皆に怒鳴ったんじゃないの。今日ここに来た子はこの畑の手入れをして下さいね」
ユキオ 「こうやって下の土と上の土を混ぜてくれればいいんだ」
ユキオ 「ミミズだ」
子供 「わあー」
ユキオ 「ミミズは土を良くしてくれるものだから、潰したり捨てたりしないで土に戻してやる事!」
子供 「はぁーい」
子供 「真水は大事に使えって言ってるだろう?」
アカリ 「遊んでないで、頼んだ苗を持ってらっしゃいよ!」
モハマド 「ここに来たら食べ物の心配はしなくても良いけど、ちょっとお仕事はして貰うぞお」
デッキクルー 「カント・ブレン!単独飛行テストに入ります!」
カナン 「スリットウェハーは体に合っているのね?」
カント 「ええ。僕に合わせてくれています」
カナン 「任せるわ」
カナン 「ナッキィを慕ってきたのに、ありがとうね。カント・ブレン」
カント 「ようし、真っ直ぐに飛んでみよう。ゆっくりね」
子供A 「ブレンパワードが飛んだぞ!」
子供B 「オルファンをやっつけに行くんだ!」
ナンガ 「へえ。シートもコンパネも無しにやったか」
コモド 「流石大人子供のやる事ね」
カント 「うん、それでいい。僕の気持ち分かってくれるね」
カント 「どうしたんだ?うわっ!」
ナッキィ 「なんだ?」
カント 「こら!大人しくするんだ!」
比瑪 「カント君?カント・ケストナー君が乗ってるの?それ」
勇 「カントがコントロール出来るわけないじゃないか」
ナッキィ 「勝手に俺のブレンに・・・後退させろ!」
カント 「聞かないんですよ!あなたが言い聞かせてやって下さい!あっ!」
勇 「こら!カント・ブレン止めろって!」
比瑪 「勇!私のブレンも気が立っているみたいなの!」
勇 「いつもと違うのか?」
比瑪 「う、うん」
勇 「ああっ!」
勇 「比瑪!カント!」
ナッキィ 「こんなところでバイタル・ネットに乗ったのか?」
アイリーン 「勇、帰ってきたのね?」
勇 「あ?ええ、帰りました艦長。カントがブレンを刺激したんじゃないですか?ヒメ・ブレンと、どっかに行ってしまいました」
アイリーン 「それはこちらでも確認したわ。オーガニック・レーダーで追跡させてますけれど・・・バイタル・グロウブで移動!」
副長 「オルファンの方へ引かれているようです」
勇 「せっかく避けて戻ってきたというのに!ネリー・ブレン!今消えた二人のブレン、追いかけられるか?1人はネリーに似た比瑪って子だ。もう1人は素っ頓狂なカント・ケストナー」
ナッキィ 「分かるんなら俺も行くぜ。カントのブレンは元々俺のものだからな」
アイリーン 「待ちなさい二人とも!まずはノヴィス・ノアに戻ってから・・・!」
ナッキィ 「いや、アイリーン艦長。ネリー・ブレンは賢いようですよ。待った無しだ!」
勇 「ネリー・ブレンはこのままバイタル・グロウブに飛ぶ!?」
比瑪 「で、出た!ここは!?」
カント 「うわああああ!」
カント 「あああああー!うわっ!」
比瑪 「カント君分かったわ!あなたは気が立っているのよ!もっと楽に、リラックスして!」
カント 「してますよ!この子とは友達になれたから、僕任せているのにー!」
比瑪 「天才少年なのよ!あなたの知能指数にナッキィ・ブレンが感動して興奮しているのよ!」
カント 「そんなの僕の所為じゃないですよ!ブレン、落ち着いて下さーい!」
比瑪 「落ち着きなさいったら二人共!」
カント 「と、止まった・・・」
比瑪 「だ、大丈夫?」
カント 「ええ、なんとか」
比瑪 「やっと落ち着いたみたいね」
比瑪 「はあ・・・ここ、どこ?こんな所に何の用があったの?」
カント 「あの西の空、あの影、オルファンですよ」
比瑪 「オルファン?あれが?」
ジョナサン 「ハハハハッ!亡霊!ブレンパワードの幽霊だって言うんだよ!偵察しているパイロットも見たって言うんだ」
クインシィ 「オルファンの体内警備をしている兵士も戯言を聞いたぞ」
バロン 「戯言ではないだろう。オルファンは自分を利用する者にそういった幻覚を見させて恭順を促す事があるそうだ」
クインシィ 「それも進化したグランチャー、バロン・ズゥが教えてくれたのか」
バロン 「そうだ。オルファンは人間の浅知恵を笑う、とも言った」
翠 「御一同。ガバナーがオルファンに入ります。お出迎えなさいます?」
バロン 「そうさせて頂こうかな」
クインシィ 「ガバナーが来る?」
翠 「そういう時期でありましょう?」
バロン 「ジョナサンは会った事は?」
ジョナサン 「無いな」
アメリカ兵 「ガバナー・ゲイブリッジに、捧げー銃!」
翠 「母さん・・・!」
クインシィ 「ちっ」
ゲイブリッジ 「今日までご苦労でした」
研作 「歓迎致します、ガバナー閣下」
ゲイブリッジ 「アメリカ軍を入れた事については事後承諾となって申し訳無かった」
研作 「オルファンの浮上に時間がかかっておりますので・・・」
ゲイブリッジ 「うむ」
研作 「バロン・ズゥを持ち込みました」
ゲイブリッジ 「バロン・マクシミリアン」
研作 「はい。バロン」
バロン 「マクシミリアンだ。宜しく御目文字の程を」
ゲイブリッジ 「進化したグランチャーには興味があります。研究させて頂きたいな」
バロン 「ジョナサンに任せております故、彼の許可を得て頂きたい」
ゲイブリッジ 「ジョナサン・グレーン・・・一徹の気性には感銘を受けています。今後の働きには期待するぞ」
ジョナサン 「へっ、俺もガバナーのお手並みには期待するぜ。ははっ」
ゲイブリッジ 「ん?ふふ・・・」
バロン 「ふふ、はははははっ」
ゲイブリッジ 「ははは、ははははっ」
管制官 「コントロールよりポーン1。コース、ワン、セブン、ゼロ、ファイブ」
アメリカ兵A 「なんだ、あの影は・・・ありゃブレンパワード?ゴ、ゴーストじゃないのか?」
アメリカ兵A 「ブレンパワードだ!」
アメリカ兵A 「ゴ、ゴースト!い、いない・・・フィル!レイチェル!」
アメリカ兵B 「俺にも見えた!」
アメリカ兵C 「あ、ああ。あたしは4機に見えた!」
ナッキィ 「ん?勇、見えるか?」
勇 「グランチャー3人だ」
ナッキィ 「アメリカ軍グランチャーのお出迎えだ」
アメリカ兵A 「あれは幽霊じゃないぞ」
アメリカ兵B 「ノヴィス・ノアの偵察隊か?」
アメリカ兵C 「ゴーストじゃなければ潰そう!」
ナッキィ 「俺にとっちゃ古巣が相手だ。手は抜かない!」
勇 「待て、ナッキィ!今は比瑪達を探すのが先だ!」
(アイキャッチ無し)
比瑪 「カント君!このままじゃ危険過ぎるよ!」
比瑪 「カント君!」
カント 「ねっ、これ植物の芽ですよ。これ大発見ですよ!」
比瑪 「なんで?」
カント 「ここ、オルファンが通った後でしょ?なのにこんなに植物の芽が出ているんです」
比瑪 「そうだねえ」
カント 「オルファンが植物と共生する性質を持っているんです!」
比瑪 「カント君の話では、バイタル・グロウブの合わさる所で植物が増えてるって言ってたよね?」
カント 「ええ」
比瑪 「オルファンが悪者じゃないなら私達のお願い、聞いてくれるかな?」
カント 「は?」
比瑪 「話してみようかな、オルファンに」
カント 「本気ですか?」
比瑪 「ブレンだってグランだって言う事聞くんだよ?」
カント 「そりゃあ・・・」
比瑪 「ん?」
カント 「え?」
比瑪 「わっ!」
カント 「わあああ!」
ナッキィ 「こんな所にいた!」
勇 「比瑪とカントのブレン!」
比瑪 「探しに来てくれたわけじゃないのか!」
カント 「おまけ付きですからね」
比瑪 「やられる!?」
比瑪 「ありがとブレン」
ナッキィ 「せっかくのデートを邪魔しちゃったかな?」
カント 「いえ、良いんですよ。収穫があったから」
ナッキィ 「アーミーグランチャーめ!」
勇 「デートの収穫って何なんだ」
比瑪 「カント君とデートしたって、手なんか繋いでませんからね!」
勇 「そういう事は聞いていない」
比瑪 「はっ!?」
勇 「コンセントレート!チャクラ・フラッシュ!」
アメリカ兵A 「ぐっ!し、痺れる!」
アメリカ兵C 「機体が硬直する・・・引き攣ってる!」
勇 「後退する」
アメリカ通信兵 「・・・部隊通信途絶。ビショップ、ナイト、クイーン部隊発進。予定作戦実施!」
勇 「なんとか片付けられたけど・・・」
ナッキイ 「そのブレンの威力なら、オルファンに対して力を発揮できると思うけどなあ」
勇 「そんな楽観的な!」
勇 「どうしたんだ?」
ナッキィ 「2時の方向だ!」
勇 「ん?」
ナッキィ 「今度は団体さんかあ」
比瑪 「あんな数、勝てるわけないでしょ!」
勇 「ノヴィス・ノアに戻ろう!」
カント 「そうですか?僕達が攻撃目標とは限りませんよ」
ナッキィ 「何でそう思う?・・・うっ!」
カント 「オルファンに乗り込んだのはアメリカ軍のプロです」
ナッキィ 「でっかく映るな!」
カント 「戦争のプロがブレンのような曖昧な兵器を潰すことに、向きになるとは思えませんからね」
アイリーン 「緊急連絡!ブレン達応答を!応答して下さい!」
比瑪 「はい!はい艦長、聞こえますよ!」
アイリーン 「アメリカの太平洋艦隊がノヴィスを包囲しています!」
比瑪 「包囲?」
アイリーン 「取り囲んで攻撃しようとしているんです」
比瑪 「そんな事させません!勇!ナッキィ、カント!戻りましょう!」
アイリーン 「戻ってきては駄目!」
アイリーン 「あなた達は生き延びて欲しいの!逃げなさい」
ナッキィ 「艦長の言う通りだな。あのグランチャー部隊はノヴィスに向かうんだ」
副長 「総員!第一種戦闘配備のまま待機だ!」
モハマド 「信じられん!既に千を越える子供達のいるこの船を、アメリカは攻撃する!?」
アイリーン 「決して、こちらから攻撃してはならない!挑発に乗るのも厳禁!」
副長 「全軍に伝えてあります。オーガニック・シールドを発動します!」
アイリーン 「どうぞ!」
研作 「そういう側面はあります」
ゲイブリッジ 「元々オルファンの機能を複製するものだったノヴィス・ノアが危険極まりない存在になってしまった。が、オルファンが浮上すれば存在する意味も必要も無い」
アメリカ通信兵 「太平洋艦隊から報告!・・・ありがとうございます」
アメリカ通信兵 「現在ノヴィス・ノアはオーガニック・シールドで防御網を張っております」
ゲイブリッジ 「オーガニック・シールドと言うか?」
アメリカ通信兵 「は、はい」
ジョナサン 「この生き生きとした姿を見れば御分かりでありましょうガバナー閣下!何故我等に出撃を賜らんのだ!」
ゲイブリッジ 「暫らくはリクレイマーには出撃は無い」
クインシィ 「オルファンを生かしたのは我々なんだぞ!」
バロン 「理由を御伺っても宜しいか?」
翠 「私からも是非」
ゲイブリッジ 「我が合衆国は建国以来世界の秩序を保つ先兵役を担ってきた。その秩序ある組織体系の中で、これまでのような個人の思惑や敵意などで行動されては困るのだよ」
バロン 「秩序?」
クインシィ 「アメリカに従えという秩序だろう!」
バロン 「ガバナー閣下。ブレンパワードの幽霊に怯えるアーミーグランチャーが、果たして使い物になるのですか?」
ゲイブリッジ 「アンテボディとのシンクロシティの第3ステップ、よくある反応だ」
比瑪 「勇!止めるだけなら!」
カント 「出来ますよ、撃墜するんじゃないんだ」
ナッキィ 「あの痺れはパイロットには堪えるけど、止められるよ」
カント 「そうですよナッキィさん。さっきから考えていたんですけどね、僕等のブレン、オルファンから呼ばれてたんです!」
勇 「何?」
カント 「アメリカ軍のグランチャー達はオルファンが望んでいない抗体なのかもしれません。だから僕達を呼び寄せ戦わせる!」
ナッキィ 「正解らしいな、カント・ケストナー君!」
比瑪 「まだ採点してもらってないのよナッキィさん!」
アメリカ兵D 「ビショップワンツーのフォーメーションを・・・うおっ!」
勇 「ナッキィ!単独攻撃は危険だ!さっきと・・・」
比瑪 「震えないで。あたしも怖いけどアイリーンさんと子供達を助けてあげなきゃ!」
比瑪 「君!怯えているだけじゃ駄目なのよ!」
勇 「ヒメ・ブレンが怯えてる。ネリー!」
勇 「ナッキィ!カント・ブレンは・・・逃げるだけ?」
比瑪 「勇!敵は戦い慣れてる!」
勇 「軍人だから!カント、ナッキィ!纏まってくれ!」
勇 「単独戦に持ち込まれた!比瑪!」
比瑪 「はい!」
勇 「カント!」
カント 「はい!」
勇 「ナッキィ!」
ナッキィ 「おう!」
アメリカ兵E 「こんな近くに・・・ブレンだ!」
アメリカ兵F 「ゴーストなら目を閉じれば・・・ああ!うわあああ!」
アメリカ兵F 「う、うう・・・ひやああああ!」
アメリカ兵G 「ああああ・・・」
アメリカ兵G 「うわあああ!」
アメリカ兵H 「味方を撃つんじゃない!皆落ち着け・・・ぐわっ!」
比瑪 「どうしたの一体?」
勇 「なんで・・・こんなのが見えるんだ・・・?」
比瑪 「えっ?」
比瑪 「わあ・・・綺麗」
勇 「あれは・・・ネリーのこと?」
勇 「ネリー、ネリー!・・・くっ!」
勇 「ネリー、君が助けてくれてるのか!?」
アメリカ兵I 「あうう・・・来るなっ!来るなあ!」
アメリカ通信兵 「攻撃部隊全機応答無し!」
アメリカ軍士官 「大陸からも出られなかったのか。ガバナー閣下!」
ゲイブリッジ 「ブレンパワード部隊と接触しているのだろう。しかし・・・」
アメリカ軍士官 「戦力比は圧倒的に・・・!」
ゲイブリッジ 「ノヴィス・ノアの者達は別格です!」
バロン 「はっはっはっはっはっ!さあ、我々の出番だ!」
ジョナサン 「待ちくたびれていたところです、バロン・マクシミリアン。奴等に我々の本当の力を見せてやります。クインシィには指揮を執って頂く、宜しいな?」
クインシィ 「・・・それは私の台詞のようだが。頼まれればやってみせよう、バロン・マクシミリアン」
バロン 「よしなに、クインシィ・イッサー」
比瑪 「オルファンよ!オルファンが助けてくれたんだわ!」
カント 「僕も同感ですね。オルファンから出たように見えた雲の所為と思えないでもないですから」
ナッキィ 「だからって、俺達を助けたとは限らないぜ」
比瑪 「どうしてさ?」
ナッキィ 「アメリカさんが嫌いなだけって事もある」
比瑪 「そうか・・・でもさ、私オルファンに頼んでみるわ!」
勇 「何を?」
カント 「ええ?」
比瑪 「オルファンだって意思を持っているんだから、話せばきっと解ってくれるわ!」
ナッキィ 「あんな山・・・山脈そのものってやつに言葉が通じると思うのか?」
勇 「・・・そうだ、比瑪なら出来るかもしれないんだ。賭けてみるか!」
比瑪 「うん。やるよ」
ナッキィ 「おいおい」
勇 「ナッキィとカントは待機しててくれ。俺と比瑪でオルファンに近づいてみる」
ナッキィ 「そんな無茶な作戦聞いた事もない!アメリカ軍にやられるぞ!」
勇 「大丈夫さ、ネリー・ブレンも賛成してくれた。やってみる価値はある!」
カント 「分かりました。あなた達ならきっと成功するでしょう」
ナッキィ 「やれやれ、もう勝手にやってくれ」
比瑪 「はい」
ゲイブリッジ 「アーミーグランチャーなど最初から当てにしてはいない、我々には切り札があるのだ。民間人のバロンに想像出来ないのは、無理も無いな」
第19話「動く山脈」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204151641268086/
→第21話「幻視錯綜」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201206011621314047/
比瑪
(ナレーション) 「あたしのいっぱいのお母さんの思い出は、あたしのプライドであり、幸せの元になっている。だからって、積極的に人には話さない。勇にとってのネリー・キムさんのことは辛い思い出だろうけど、大切にしなければならないことではある」
村人A 「あの塔落ちるんじゃないか!?」
村人B 「家財道具ぐらい拾わせてよ」
村人C 「お、落ちるー!」
村人C 「銀行の建物が塞がっちまった!」
村人B 「お、お金があ!」
比瑪 「何てことでしょ!大陸に揚がってもオルファンは地面を削っているだけよ!」
勇 「オルファンの頂上はとっくに宇宙を覗いている。しかし、まだ大地を離れてはいない」
ナッキィ 「こんなものを見れば、軍事力になると思ったり、自分達の領土にしたいと思う連中は出てくるわな」
勇 「そうだよな」
ナッキィ 「比瑪、勇。ノヴィス・ノアに戻るぞ!」
比瑪 「勇、そうしよう?」
勇 「ネリー・ブレン、比瑪とナッキィに従え」
比瑪 「オルファン、あなたはどこに行くつもりなの?」
副長 「国連総会での各国の反応は意外に冷静です。オルファンの位置付けもアメリカの属州である事より、宗教的ニュアンスでとらえている方が大多数です」
モハマド 「各国の政治体制が機能停止しているから、宗教的解釈に寄り掛かるしかないのだよ」
副長 「そうだとすると厄介ですな。世界中が神と崇めているものを敵に回すんですから」
アイリーン 「仕方ないでしょ!」
副長 「ですが、このまま難民孤児を収容し続けていては・・・」
モハマド 「世界を敵に回しているからこそ、孤児院の機能が必要なんですよ。それが正義になるんですから」
アイリーン 「孤児院のアイデアは、こういう事態を想定しての事だったんですね?」
モハマド 「私は・・・それほど策士ではありませんよ、アイリーンさん」
アイリーン 「でも、利益を上げる為の損得は考える」
モハマド 「そりゃあ、生きる為にはね。はは・・・」
ユキオ 「こらー!遊んでいる暇なんか無いんだぞー!自分達の食べ物の事は自分達で・・・あ、皆に怒鳴ったんじゃないの。今日ここに来た子はこの畑の手入れをして下さいね」
ユキオ 「こうやって下の土と上の土を混ぜてくれればいいんだ」
ユキオ 「ミミズだ」
子供 「わあー」
ユキオ 「ミミズは土を良くしてくれるものだから、潰したり捨てたりしないで土に戻してやる事!」
子供 「はぁーい」
子供 「真水は大事に使えって言ってるだろう?」
アカリ 「遊んでないで、頼んだ苗を持ってらっしゃいよ!」
モハマド 「ここに来たら食べ物の心配はしなくても良いけど、ちょっとお仕事はして貰うぞお」
デッキクルー 「カント・ブレン!単独飛行テストに入ります!」
カナン 「スリットウェハーは体に合っているのね?」
カント 「ええ。僕に合わせてくれています」
カナン 「任せるわ」
カナン 「ナッキィを慕ってきたのに、ありがとうね。カント・ブレン」
カント 「ようし、真っ直ぐに飛んでみよう。ゆっくりね」
子供A 「ブレンパワードが飛んだぞ!」
子供B 「オルファンをやっつけに行くんだ!」
ナンガ 「へえ。シートもコンパネも無しにやったか」
コモド 「流石大人子供のやる事ね」
カント 「うん、それでいい。僕の気持ち分かってくれるね」
カント 「どうしたんだ?うわっ!」
ナッキィ 「なんだ?」
カント 「こら!大人しくするんだ!」
比瑪 「カント君?カント・ケストナー君が乗ってるの?それ」
勇 「カントがコントロール出来るわけないじゃないか」
ナッキィ 「勝手に俺のブレンに・・・後退させろ!」
カント 「聞かないんですよ!あなたが言い聞かせてやって下さい!あっ!」
勇 「こら!カント・ブレン止めろって!」
比瑪 「勇!私のブレンも気が立っているみたいなの!」
勇 「いつもと違うのか?」
比瑪 「う、うん」
勇 「ああっ!」
勇 「比瑪!カント!」
ナッキィ 「こんなところでバイタル・ネットに乗ったのか?」
アイリーン 「勇、帰ってきたのね?」
勇 「あ?ええ、帰りました艦長。カントがブレンを刺激したんじゃないですか?ヒメ・ブレンと、どっかに行ってしまいました」
アイリーン 「それはこちらでも確認したわ。オーガニック・レーダーで追跡させてますけれど・・・バイタル・グロウブで移動!」
副長 「オルファンの方へ引かれているようです」
勇 「せっかく避けて戻ってきたというのに!ネリー・ブレン!今消えた二人のブレン、追いかけられるか?1人はネリーに似た比瑪って子だ。もう1人は素っ頓狂なカント・ケストナー」
ナッキィ 「分かるんなら俺も行くぜ。カントのブレンは元々俺のものだからな」
アイリーン 「待ちなさい二人とも!まずはノヴィス・ノアに戻ってから・・・!」
ナッキィ 「いや、アイリーン艦長。ネリー・ブレンは賢いようですよ。待った無しだ!」
勇 「ネリー・ブレンはこのままバイタル・グロウブに飛ぶ!?」
比瑪 「で、出た!ここは!?」
カント 「うわああああ!」
カント 「あああああー!うわっ!」
比瑪 「カント君分かったわ!あなたは気が立っているのよ!もっと楽に、リラックスして!」
カント 「してますよ!この子とは友達になれたから、僕任せているのにー!」
比瑪 「天才少年なのよ!あなたの知能指数にナッキィ・ブレンが感動して興奮しているのよ!」
カント 「そんなの僕の所為じゃないですよ!ブレン、落ち着いて下さーい!」
比瑪 「落ち着きなさいったら二人共!」
カント 「と、止まった・・・」
比瑪 「だ、大丈夫?」
カント 「ええ、なんとか」
比瑪 「やっと落ち着いたみたいね」
比瑪 「はあ・・・ここ、どこ?こんな所に何の用があったの?」
カント 「あの西の空、あの影、オルファンですよ」
比瑪 「オルファン?あれが?」
ジョナサン 「ハハハハッ!亡霊!ブレンパワードの幽霊だって言うんだよ!偵察しているパイロットも見たって言うんだ」
クインシィ 「オルファンの体内警備をしている兵士も戯言を聞いたぞ」
バロン 「戯言ではないだろう。オルファンは自分を利用する者にそういった幻覚を見させて恭順を促す事があるそうだ」
クインシィ 「それも進化したグランチャー、バロン・ズゥが教えてくれたのか」
バロン 「そうだ。オルファンは人間の浅知恵を笑う、とも言った」
翠 「御一同。ガバナーがオルファンに入ります。お出迎えなさいます?」
バロン 「そうさせて頂こうかな」
クインシィ 「ガバナーが来る?」
翠 「そういう時期でありましょう?」
バロン 「ジョナサンは会った事は?」
ジョナサン 「無いな」
アメリカ兵 「ガバナー・ゲイブリッジに、捧げー銃!」
翠 「母さん・・・!」
クインシィ 「ちっ」
ゲイブリッジ 「今日までご苦労でした」
研作 「歓迎致します、ガバナー閣下」
ゲイブリッジ 「アメリカ軍を入れた事については事後承諾となって申し訳無かった」
研作 「オルファンの浮上に時間がかかっておりますので・・・」
ゲイブリッジ 「うむ」
研作 「バロン・ズゥを持ち込みました」
ゲイブリッジ 「バロン・マクシミリアン」
研作 「はい。バロン」
バロン 「マクシミリアンだ。宜しく御目文字の程を」
ゲイブリッジ 「進化したグランチャーには興味があります。研究させて頂きたいな」
バロン 「ジョナサンに任せております故、彼の許可を得て頂きたい」
ゲイブリッジ 「ジョナサン・グレーン・・・一徹の気性には感銘を受けています。今後の働きには期待するぞ」
ジョナサン 「へっ、俺もガバナーのお手並みには期待するぜ。ははっ」
ゲイブリッジ 「ん?ふふ・・・」
バロン 「ふふ、はははははっ」
ゲイブリッジ 「ははは、ははははっ」
管制官 「コントロールよりポーン1。コース、ワン、セブン、ゼロ、ファイブ」
アメリカ兵A 「なんだ、あの影は・・・ありゃブレンパワード?ゴ、ゴーストじゃないのか?」
アメリカ兵A 「ブレンパワードだ!」
アメリカ兵A 「ゴ、ゴースト!い、いない・・・フィル!レイチェル!」
アメリカ兵B 「俺にも見えた!」
アメリカ兵C 「あ、ああ。あたしは4機に見えた!」
ナッキィ 「ん?勇、見えるか?」
勇 「グランチャー3人だ」
ナッキィ 「アメリカ軍グランチャーのお出迎えだ」
アメリカ兵A 「あれは幽霊じゃないぞ」
アメリカ兵B 「ノヴィス・ノアの偵察隊か?」
アメリカ兵C 「ゴーストじゃなければ潰そう!」
ナッキィ 「俺にとっちゃ古巣が相手だ。手は抜かない!」
勇 「待て、ナッキィ!今は比瑪達を探すのが先だ!」
(アイキャッチ無し)
比瑪 「カント君!このままじゃ危険過ぎるよ!」
比瑪 「カント君!」
カント 「ねっ、これ植物の芽ですよ。これ大発見ですよ!」
比瑪 「なんで?」
カント 「ここ、オルファンが通った後でしょ?なのにこんなに植物の芽が出ているんです」
比瑪 「そうだねえ」
カント 「オルファンが植物と共生する性質を持っているんです!」
比瑪 「カント君の話では、バイタル・グロウブの合わさる所で植物が増えてるって言ってたよね?」
カント 「ええ」
比瑪 「オルファンが悪者じゃないなら私達のお願い、聞いてくれるかな?」
カント 「は?」
比瑪 「話してみようかな、オルファンに」
カント 「本気ですか?」
比瑪 「ブレンだってグランだって言う事聞くんだよ?」
カント 「そりゃあ・・・」
比瑪 「ん?」
カント 「え?」
比瑪 「わっ!」
カント 「わあああ!」
ナッキィ 「こんな所にいた!」
勇 「比瑪とカントのブレン!」
比瑪 「探しに来てくれたわけじゃないのか!」
カント 「おまけ付きですからね」
比瑪 「やられる!?」
比瑪 「ありがとブレン」
ナッキィ 「せっかくのデートを邪魔しちゃったかな?」
カント 「いえ、良いんですよ。収穫があったから」
ナッキィ 「アーミーグランチャーめ!」
勇 「デートの収穫って何なんだ」
比瑪 「カント君とデートしたって、手なんか繋いでませんからね!」
勇 「そういう事は聞いていない」
比瑪 「はっ!?」
勇 「コンセントレート!チャクラ・フラッシュ!」
アメリカ兵A 「ぐっ!し、痺れる!」
アメリカ兵C 「機体が硬直する・・・引き攣ってる!」
勇 「後退する」
アメリカ通信兵 「・・・部隊通信途絶。ビショップ、ナイト、クイーン部隊発進。予定作戦実施!」
勇 「なんとか片付けられたけど・・・」
ナッキイ 「そのブレンの威力なら、オルファンに対して力を発揮できると思うけどなあ」
勇 「そんな楽観的な!」
勇 「どうしたんだ?」
ナッキィ 「2時の方向だ!」
勇 「ん?」
ナッキィ 「今度は団体さんかあ」
比瑪 「あんな数、勝てるわけないでしょ!」
勇 「ノヴィス・ノアに戻ろう!」
カント 「そうですか?僕達が攻撃目標とは限りませんよ」
ナッキィ 「何でそう思う?・・・うっ!」
カント 「オルファンに乗り込んだのはアメリカ軍のプロです」
ナッキィ 「でっかく映るな!」
カント 「戦争のプロがブレンのような曖昧な兵器を潰すことに、向きになるとは思えませんからね」
アイリーン 「緊急連絡!ブレン達応答を!応答して下さい!」
比瑪 「はい!はい艦長、聞こえますよ!」
アイリーン 「アメリカの太平洋艦隊がノヴィスを包囲しています!」
比瑪 「包囲?」
アイリーン 「取り囲んで攻撃しようとしているんです」
比瑪 「そんな事させません!勇!ナッキィ、カント!戻りましょう!」
アイリーン 「戻ってきては駄目!」
アイリーン 「あなた達は生き延びて欲しいの!逃げなさい」
ナッキィ 「艦長の言う通りだな。あのグランチャー部隊はノヴィスに向かうんだ」
副長 「総員!第一種戦闘配備のまま待機だ!」
モハマド 「信じられん!既に千を越える子供達のいるこの船を、アメリカは攻撃する!?」
アイリーン 「決して、こちらから攻撃してはならない!挑発に乗るのも厳禁!」
副長 「全軍に伝えてあります。オーガニック・シールドを発動します!」
アイリーン 「どうぞ!」
研作 「そういう側面はあります」
ゲイブリッジ 「元々オルファンの機能を複製するものだったノヴィス・ノアが危険極まりない存在になってしまった。が、オルファンが浮上すれば存在する意味も必要も無い」
アメリカ通信兵 「太平洋艦隊から報告!・・・ありがとうございます」
アメリカ通信兵 「現在ノヴィス・ノアはオーガニック・シールドで防御網を張っております」
ゲイブリッジ 「オーガニック・シールドと言うか?」
アメリカ通信兵 「は、はい」
ジョナサン 「この生き生きとした姿を見れば御分かりでありましょうガバナー閣下!何故我等に出撃を賜らんのだ!」
ゲイブリッジ 「暫らくはリクレイマーには出撃は無い」
クインシィ 「オルファンを生かしたのは我々なんだぞ!」
バロン 「理由を御伺っても宜しいか?」
翠 「私からも是非」
ゲイブリッジ 「我が合衆国は建国以来世界の秩序を保つ先兵役を担ってきた。その秩序ある組織体系の中で、これまでのような個人の思惑や敵意などで行動されては困るのだよ」
バロン 「秩序?」
クインシィ 「アメリカに従えという秩序だろう!」
バロン 「ガバナー閣下。ブレンパワードの幽霊に怯えるアーミーグランチャーが、果たして使い物になるのですか?」
ゲイブリッジ 「アンテボディとのシンクロシティの第3ステップ、よくある反応だ」
比瑪 「勇!止めるだけなら!」
カント 「出来ますよ、撃墜するんじゃないんだ」
ナッキィ 「あの痺れはパイロットには堪えるけど、止められるよ」
カント 「そうですよナッキィさん。さっきから考えていたんですけどね、僕等のブレン、オルファンから呼ばれてたんです!」
勇 「何?」
カント 「アメリカ軍のグランチャー達はオルファンが望んでいない抗体なのかもしれません。だから僕達を呼び寄せ戦わせる!」
ナッキィ 「正解らしいな、カント・ケストナー君!」
比瑪 「まだ採点してもらってないのよナッキィさん!」
アメリカ兵D 「ビショップワンツーのフォーメーションを・・・うおっ!」
勇 「ナッキィ!単独攻撃は危険だ!さっきと・・・」
比瑪 「震えないで。あたしも怖いけどアイリーンさんと子供達を助けてあげなきゃ!」
比瑪 「君!怯えているだけじゃ駄目なのよ!」
勇 「ヒメ・ブレンが怯えてる。ネリー!」
勇 「ナッキィ!カント・ブレンは・・・逃げるだけ?」
比瑪 「勇!敵は戦い慣れてる!」
勇 「軍人だから!カント、ナッキィ!纏まってくれ!」
勇 「単独戦に持ち込まれた!比瑪!」
比瑪 「はい!」
勇 「カント!」
カント 「はい!」
勇 「ナッキィ!」
ナッキィ 「おう!」
アメリカ兵E 「こんな近くに・・・ブレンだ!」
アメリカ兵F 「ゴーストなら目を閉じれば・・・ああ!うわあああ!」
アメリカ兵F 「う、うう・・・ひやああああ!」
アメリカ兵G 「ああああ・・・」
アメリカ兵G 「うわあああ!」
アメリカ兵H 「味方を撃つんじゃない!皆落ち着け・・・ぐわっ!」
比瑪 「どうしたの一体?」
勇 「なんで・・・こんなのが見えるんだ・・・?」
比瑪 「えっ?」
比瑪 「わあ・・・綺麗」
勇 「あれは・・・ネリーのこと?」
勇 「ネリー、ネリー!・・・くっ!」
勇 「ネリー、君が助けてくれてるのか!?」
アメリカ兵I 「あうう・・・来るなっ!来るなあ!」
アメリカ通信兵 「攻撃部隊全機応答無し!」
アメリカ軍士官 「大陸からも出られなかったのか。ガバナー閣下!」
ゲイブリッジ 「ブレンパワード部隊と接触しているのだろう。しかし・・・」
アメリカ軍士官 「戦力比は圧倒的に・・・!」
ゲイブリッジ 「ノヴィス・ノアの者達は別格です!」
バロン 「はっはっはっはっはっ!さあ、我々の出番だ!」
ジョナサン 「待ちくたびれていたところです、バロン・マクシミリアン。奴等に我々の本当の力を見せてやります。クインシィには指揮を執って頂く、宜しいな?」
クインシィ 「・・・それは私の台詞のようだが。頼まれればやってみせよう、バロン・マクシミリアン」
バロン 「よしなに、クインシィ・イッサー」
比瑪 「オルファンよ!オルファンが助けてくれたんだわ!」
カント 「僕も同感ですね。オルファンから出たように見えた雲の所為と思えないでもないですから」
ナッキィ 「だからって、俺達を助けたとは限らないぜ」
比瑪 「どうしてさ?」
ナッキィ 「アメリカさんが嫌いなだけって事もある」
比瑪 「そうか・・・でもさ、私オルファンに頼んでみるわ!」
勇 「何を?」
カント 「ええ?」
比瑪 「オルファンだって意思を持っているんだから、話せばきっと解ってくれるわ!」
ナッキィ 「あんな山・・・山脈そのものってやつに言葉が通じると思うのか?」
勇 「・・・そうだ、比瑪なら出来るかもしれないんだ。賭けてみるか!」
比瑪 「うん。やるよ」
ナッキィ 「おいおい」
勇 「ナッキィとカントは待機しててくれ。俺と比瑪でオルファンに近づいてみる」
ナッキィ 「そんな無茶な作戦聞いた事もない!アメリカ軍にやられるぞ!」
勇 「大丈夫さ、ネリー・ブレンも賛成してくれた。やってみる価値はある!」
カント 「分かりました。あなた達ならきっと成功するでしょう」
ナッキィ 「やれやれ、もう勝手にやってくれ」
比瑪 「はい」
ゲイブリッジ 「アーミーグランチャーなど最初から当てにしてはいない、我々には切り札があるのだ。民間人のバロンに想像出来ないのは、無理も無いな」
第19話「動く山脈」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204151641268086/
→第21話「幻視錯綜」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201206011621314047/
ブレンパワード 全台詞集 第21話「幻視錯綜」
2012年6月1日 ブレンパワード全台詞集脚本:隅沢克之 絵コンテ・演出:西森章 作画監督:筱雅律
比瑪
(ナレーション) 「カントくんはブレンにコンソールパネル無しで乗っちゃうんだから、あたし以上だなぁ。だからブレンが、カントくんの才能に刺激されて興奮したと思うんだけど、雲から出てきた幽霊ブレンのことを考えるとあれもオルファンの仕業だと思える。オルファンは謎だ!」
米軍通告 「こちらはアメリカ合衆国の太平洋艦隊です。ノヴィス・ノアに通告します。無駄な抵抗を止め、罪の無い子供達を解放しなさい。諸君等があくまで子供達を盾にするのであるなら、我々も強行手段を取らざるを得ません。しかし、それは我々の本意とするところではありません。今すぐオーガニック・シールドを解除して人質を解放しなさい。オーガニック・シールドを解除して人質を解放しなさい!」
モハマド 「子供達を人質にしていると言うのか、盾になどしていない!」
副長 「やれやれ、我々は子供達を人質にするテロ集団ですか」
アイリーン 「デマでもいい。それが情報になって善人が悪人にもなるのよ。大陸に上陸したオルファンを53番目の州にする国のやりそうな事よ」
勇 「こんなの怖くないぞ、ネリー・ブレン。あと少しだ!」
比瑪 「きゃあああ!」
勇 「大丈夫だよな?比瑪!」
比瑪 「うわっ、痺れたぁ」
勇 「あれは・・・?」
比瑪 「綺麗。これが雲で空で、太陽でオルファン・・・」
勇 「改めてオルファンというやつが、海底にいた時とまるで違ったものに見える」
比瑪 「そうよね。宇宙に飛立とうとする羽衣、・銀河の羽衣を着た女神だわ!」
勇 「銀河の羽衣?あれを見てそんな事言うなんて。おかしいとは言わないけど、そうは見える。優しいんだな、おまえ」
比瑪 「そうかな、見える事を言っただけだよ」
勇 「リバイバルしたそのブレンと出会った時、おまえは物怖じしなかったよな。俺はグランチャーに乗る時は縮みあがったのに」
比瑪 「それはきっとグランチャーだったからよ」
勇 「いいや、そうじゃあない。そうじゃあないよ、きっと」
勇 「オルファンより比瑪の方こそ女神なのかもしれない。そういう感じ方をする心を持っているんだから」
比瑪 「勇、出てきたよ!」
勇 「オルファンの糞が!」
勇 「姉さんとジョナサンもオルファンから!」
クインシィ 「ガバナーも落ち着いていらっしゃるオルファンだ。が、大人しく帰るなら攻撃はしない。見逃してやろう」
比瑪 「勇、どうするの?」
勇 「あの3人だけなら俺が引きつける。おまえは行け!」
比瑪 「でも・・・」
勇 「オルファンが待ってるのは、きっとおまえのほうなんだ。出迎えてくれるよ!」
比瑪 「う、うん」
クインシィ 「どういうつもりだ!ブレン!」
勇 「行かせてやってくれ!姉さん!」
比瑪 「馬鹿を言うな!またブレンを自爆させてオルファンを傷つけるつもりなんだろう!」
勇 「違う!」
比瑪 「騙されるものか!」
勇 「いつになったら治るんだ!その性格は!」
比瑪 「ブレン待ってよ!勇を一人にしておけないわ!」
比瑪 「待ちなさい、止まりなさい!パートナーの言う事聞きなさいよ!」
シラー 「あのまま行かせて良いのですか?ジョナサン・グレーン!」
ジョナサン 「はっ。気にするなシラー。オルファンに魅了されるブレンパワードだっているさ。勇の進化したブレンは倒さにゃならんが、クインシィ・イッサーを守るように動かねばな」
シラー 「ああ。了解ジョナサン」
米軍兵A 「識別信号は無いのだな?」
米軍兵B 「オルファンのグランチャーには無いやつもいますが」
米軍兵C 「ノヴィス・ノアのブレンパワードです!一機、オルファン中央山脈に接近中!」
ゲイブリッジ 「勇君のか・・・比瑪ちゃんのじゃないか!流石だな」
米軍兵C 「迎撃隊出します!」
ゲイブリッジ 「その必要はない。ブレンの動きをフォロー。オルファンの体内反応のチェック」
米軍兵B 「オルファンのリアクション・・・チェック!」
ゲイブリッジ 「そうだ!」
米軍兵D 「ミスター・ガバナーへ。太平洋艦隊より入電、ノヴィス・ノアは未だに沈黙したままだそうです」
ゲイブリッジ 「やむをえん。最後通告を出せ!」
直子 「最後通告・・・ですか?」
ノヴィスクルーA 「アイリーン艦長!太平洋艦隊より最後通告がきました!」
アイリーン 「え?」
ノヴィスクルーA 「貴艦に30分の猶予を与える。それまでに人質を解放しオーガニック・エンジンを停止させなければ、核による攻撃を開始する!」
モハマド 「何だと?核の攻撃?」
ノヴィスクルーA 「僕だってスペルぐらい読めますよ!」
モハマド 「核兵器を使う?」
アイリーン 「あのアメリカが?どういう事」
副長 「艦長!オーガニック・シールドが核に通用するというデータはありませんよ!」
モハマド 「子供達を解放したにしても、アメリカは核を使ってくる・・・」
ノヴィスクルーB 「どうしてです?あの大国が?」
モハマド 「大国ったって、新興国のアメリカは今まで国家として自信が無かったんだ。しかしオルファンを手に入れて自信を付けてしまった」
副長 「なら我々も核を使いますか?」
アイリーン 「どちらにしても私達は攻撃される運命にありますね。だとしたら、子供達だけでも助けましょ!」
モハマド 「アイリーンさん・・・」
アイリーン 「オペレーター、太平洋艦隊へ返信!通告を受諾する、子供達を退鑑させる!以後の接触については協議したし!」
ノヴィスクルーA 「了解!」
クインシィ 「覚悟しろ!勇!」
勇 「覚悟なんかできるもんか!」
ジョナサン 「ならば悶え苦しんで死ぬがいい!」
勇 「ふざけるな!」
シラー 「お前を倒す事で全てを変革する事ができると、ジョナサンが言っている!」
勇 「それはそっちの都合だろ!」
比瑪 「オルファーン!聞えてー?聞いて欲しい事があるのー!オルファンさーん!」
ゲイブリッジ 「はい、オルファンの意思でなければスイッチは作動しません。大統領閣下。・・・了解であります」
直子 「ゲイブ!本当に、そのボタンを押してしまわれるんですか?」
ゲイブリッジ 「まあ見ていて下さい」
直子 「あなただって少し前までノヴィス・ノアを認めていたではありませんか!」
ゲイブリッジ 「彼等は過ぎた力を持ってしまったのです。それを野放しのままにしておいてはならないのです」
米軍兵 「我々は味方です。これからこちらの船に乗り換えてもらうから、静かに!」
ユキオ 「やだよー!」
デッキクルー 「待ってくれぇ!」
ユキオ 「何でだよ?俺達は元々この船,に乗ってたんだぞ!」
デッキクルー 「いいから早く!」
アカリ 「どうしてあたしたちまでアメリカなんかに行かなきゃならないのよ!」
クマゾー 「行かないも!」
ノヴィスクルーC 「艦長!キメリエスのレイト艦長から緊急連絡です」
アイリーン 「モニターに回して!」
レイト 「アイリーン艦長!敵戦略原潜のミサイルハッチの開閉音を探知!SLBMです!」
アイリーン 「どちらにしてもやるつもりなんだ・・・!」
比瑪 「オルファンさーん!解り合えるはずなのに戦うなんて絶対におかしいって思いません?オルファンさん!」
ゲイブリッジ 「失礼、時間ですので」
米軍兵 「ミスター・ガバナー!まだ救助艇が戻ってません!」
ゲイブリッジ 「予定は遂行する!」
米軍兵 「子供達がまだ・・・!」
直子 「・・・ゲイブ!」
ゲイブリッジ 「私がやらなければ他の誰かがやるのですから、私の手で!」
直子 「ゲイブ!」
ノヴィスクルーA 「ミサイル確認!…地域限定核弾頭搭載のものです!第1次被害、半径2000メートル以上!」
モハマド 「子供達が、まだ子供達が!」
アイリーン 「オーガニック・シールド発動!最大限!」
副長 「オーガニック・シールド最大?しかし急激過ぎます、バイタル・グロウブにどんな影響が出るか・・・!」
アイリーン 「やりなさい!」
副長 「か、艦長!ミ、ミサイルが!核ミサイルが消えました!」
モハマド 「消えた・・・?ああっ」
アイリーン 「急いでバイタル・グロウブの軌道計算をしなさい!」
ノヴィスクルーA 「計算出ました!大陸内部・・・オルファンに向っています!」
アイリーン 「やはりそういうこと」
米軍兵 「ミスター・ガバナー!ミサイルが現れました!」
ゲイブリッジ 「宜しい。その映像を全世界に送信しろ」
米軍兵 「りょ、了解!」
ゲイブリッジ 「ノヴィス・ノアは我々オルファンに対し卑劣にも核ミサイルを発射してきた。オルファンは既に数万の難民を収容しているにも関わらず、この愚挙に及んだのだ!」
比瑪 「きゃあああー!」
クインシィ 「これは!?」
ジョナサン 「まさか!?」
シラー 「核!」
勇 「比瑪はっ!?」
カント 「核・・・?」
ナッキィ 「爆発!?」
国連議員A 「ノヴィス・ノアが核ミサイルを!」
国連議員B 「我々の希望を踏み潰すつもりか!」
ゲイブリッジ 「だが我々はこれに屈しない!誇りあるアメリカ合衆国の名において我がオルファンはノヴィス・ノアと戦い続ける事をここに宣言する!」
ナッキイ 「アイリーン艦長も思い切った事をやったな」
カント 「こんな事するわけありませんよ!オルファンを核攻撃したってどうにかなるもんじゃないんですよ!」
ナッキイ 「じゃあ・・・」
カント 「これはオルファン側の策略に決まっているでしょう?」
(アイキャッチ)
米軍原潜艦長 「発射!」
ノヴィスクルーB 「第2派きます!物凄い数です!」
モハマド 「何故撃ってくるんだ!ノヴィス・ノアにはミサイルは効かないって何故分からないんだ!?」
副長 「しかしこの数が来るんだ、どうなるか分からんぞ!」
アイリーン 「効果があると分かっているんでしょう!覚悟してちょうだい」
ユキオ 「数が分からない?」
クマゾー 「も」
アカリ 「えー」
ユキオ 「うわっ」
クマゾー 「わぁー」
アカリ 「くるー!」
クマゾー 「…」
ユキオ 「人生はまだあるぞ!」
アカリ 「あるの?」
クマゾー 「あるも」
副長 「ミサイル全弾、バイタル・ネットに乗りました!」
アイリーン 「りょ、了解、神よ」
バロン 「ん?」
フィジシストA 「ミ、ミサイルじゃないか!」
フィジシストB 「オルファンに、我々に向ってる!」
バロン 「ガバナーの奴、ここに至ってあのノヴィス・ノアを孤立させ、自滅させるつもりか。その為にこんなにも手の込んだ芝居をうつのか!」
米軍士官 「ガバナー閣下へ」
ゲイブリッジ 「ん?」
米軍士官 「ここの大陸の政府から感謝状が入りました。我が国の増え過ぎた人口を合理的に間引きをして頂いてありがたい、と」
ゲイブリッジ 「そのような事・・・」
直子 「ゲイブ、あなたって人は・・・あなたって人は、人の命を何だと思っているのですか!」
ゲイブリッジ 「文明を妄信する人類の目を開かせる為にはこんな方法しか無かったんです!直子さん、私がこんな役目を喜んでやっているとでも思いますか!」
直子 「あなたはこんな事をする方ではなかった」
ゲイブリッジ 「僕は変わっていませんよ。昔からこの旧態依然とした社会に変革を齎そうと考えていました!その為だったら大量虐殺の汚名を着せられても受けるつもりです!」
ゲイブリッジ 「人類粛正の汚名は・・・全て僕が被るつもりです。しかし、ここまでのオルファンの動きは人類絶滅の方向に進んでいるんです」
直子 「ゲイブ・・・」
ゲイブリッジ 「しかしオルファンがもたらす結果が、地球の生命体全てを根絶やしにするとも思えないのです。ですからね、直子さん・・・」
ゲイブリッジ 「あなたには、あなただけにはこの気持ちを理解して欲しかった」
直子 「分かりました、もう何も言いません。もうあなたから離れませんから」
カント 「あれは核ミサイルの光・・・でも、ここにもオルファンに入国したいという人がいるんだ!」
ナッキイ 「どこへ行くんだ?カント!」
カント 「何とかしないといけないでしょ!」
ナッキイ 「何を、どうしようというんだよ。ここまで来て!」
クインシィ 「ミサイルが来るだと!?」
勇 「姉さんと戦っている時じゃない!この光・・・ネリー・ブレン、分かっているよな?」
ナッキイ 「どうやるんだよ!」
カント 「チャクラでトライアングルを作ります!ノヴィス・ノアの真似です!」
ナッキイ 「だったら、一人足りないぜ!?」
カント 「いや、今来ました」
ナッキイ 「うぉっ」
勇 「カント!」
カント 「チャクラ・トライアングルをバリアにします、いいですね?」
ナッキィ 「了解!」
勇 「いいぞ!」
カント 「数が多過ぎる!・・・駄目かもしれない」
勇 「もっと広がれ!俺達の後ろにはオルファンと比瑪がいるんだぞ!」
ナッキィ 「グランチャー?」
勇 「姉さん?」
ナッキィ 「こいつら?」
カント 「協力・・・してくれてる?」
シラー 「クインシィ・・・ジョナサン、何故ですか!」
ジョナサン 「ミサイルがオルファンに跳ね返るのはガバナーに分かっていた!奴の思い通りにさせる気はない!」
クインシィ 「オルファンが傷つけられるのを黙って見ていられるか!」
勇 「姉さん・・・クインシィ・イッサー!」
クインシィ 「分かっている!勇!」
勇 「みんな!力をー!」
勇 「止まれぇー!」
クインシィ
ジョナサン
シラー 「うおおおー!」
ナッキィ
カント 「うわあああ!」
ナッキィ 「止まった・・・」
カント 「止まったけど、起爆装置は?」
ジョナサン 「これが、アンチボディの力かよ!」
クインシィ 「不思議だ・・・不思議な感覚だ。涙が・・・涙が、溢れる・・・」
研作 「男の子だ、でかしたぞ翠!こいつは俺のDNAを継いだんだ!」
翠 「もうお姉ちゃんね、依衣子」
研作 「俺の子だ。俺のDNAだ!」
警官 「待てえ!」
ナッキィ 「うあっ!」
ナッキィ 「ママの誕生日なのに・・・!」
学生A 「天才の癖に誕生パーティなんかやるなよ」
学生B 「むかつくんだよ、人並みな振りしやがって」
学生C 「おーいカント!そーらよ!」
シラー 「皆起きて!今夜頑張ってくれれば明日にはパンを盗んできてやるから、死ぬんじゃないよ!・・・起きててよ!」
勇 「俺はもうお前には乗らない・・・乗りたくないんだ。お前だって辛がってるのが分かるから・・・乗らないよ・・・!」
比瑪 「さあ、もう泣かないで寂しくないよ。あたしだってあなたに触れるから寂しくない」
少女 「えっ?」
比瑪 「寂しがる殻というのがあってね、いつまでもそこに閉じ篭ってると泣いちゃうんだよ」
少女 「寂しがる殻?」
比瑪 「うん。その殻の中にいるとずっと泣いちゃうんだよ。だからね、そこからは出るの」
少女 「殻から出るの?」
比瑪 「そう。あたしは宇都宮比瑪っていうんだ」
少女 「比瑪姉ちゃん?」
比瑪 「そうだよ」
少女 「ああ!そうか!あたしね、比瑪姉ちゃんをずっと待ってたんだ!」
比瑪 「ああ・・・!」
比瑪 「あなた・・・」
比瑪 「きゃあああ!」
比瑪 「こんなもの、無くったって人は!生きていけます!」
比瑪 「めえでしょ!・・・うあっ!」
勇 「なんだ?」
カント 「チャクラ・シールドが膨張してるんです!みんな逃げて下さい!」
勇 「来たっ!」
クインシィ 「しまった!」
ジョナサン 「クインシィが!」
カント 「勇さん!」
ゲイブリッジ 「こういう力を持っていたんですよ直子さん、オーガニック・エナジーは」
直子 「え、ええ」
ゲイブリッジ 「オーガニック・エナジーの可能性というものを垣間見る事ができた」
直子 「比瑪ちゃんは・・・」
ゲイブリッジ 「すぐにあのブレンパワードを回収しろ!」
ジョナサン 「バロン!クインシィ・イッサーがどこかへ飛ばされてしまったんだぞ!なのに!」
バロン 「リクレイマー部隊の作戦は中止だ。今後はジョナサンが指揮をとればいい」
ジョナサン 「バロン!」
バロン 「オルファンが生まれ変わる時がきたのだ。ハーッハッ!」
アイリーン 「イランド部隊、ブレン達は勇達と合流、回収して!」
第20話「ガバナーの野望」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201207101802064457/
→第22話「乾坤一擲」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201209010030393229/
比瑪
(ナレーション) 「カントくんはブレンにコンソールパネル無しで乗っちゃうんだから、あたし以上だなぁ。だからブレンが、カントくんの才能に刺激されて興奮したと思うんだけど、雲から出てきた幽霊ブレンのことを考えるとあれもオルファンの仕業だと思える。オルファンは謎だ!」
米軍通告 「こちらはアメリカ合衆国の太平洋艦隊です。ノヴィス・ノアに通告します。無駄な抵抗を止め、罪の無い子供達を解放しなさい。諸君等があくまで子供達を盾にするのであるなら、我々も強行手段を取らざるを得ません。しかし、それは我々の本意とするところではありません。今すぐオーガニック・シールドを解除して人質を解放しなさい。オーガニック・シールドを解除して人質を解放しなさい!」
モハマド 「子供達を人質にしていると言うのか、盾になどしていない!」
副長 「やれやれ、我々は子供達を人質にするテロ集団ですか」
アイリーン 「デマでもいい。それが情報になって善人が悪人にもなるのよ。大陸に上陸したオルファンを53番目の州にする国のやりそうな事よ」
勇 「こんなの怖くないぞ、ネリー・ブレン。あと少しだ!」
比瑪 「きゃあああ!」
勇 「大丈夫だよな?比瑪!」
比瑪 「うわっ、痺れたぁ」
勇 「あれは・・・?」
比瑪 「綺麗。これが雲で空で、太陽でオルファン・・・」
勇 「改めてオルファンというやつが、海底にいた時とまるで違ったものに見える」
比瑪 「そうよね。宇宙に飛立とうとする羽衣、・銀河の羽衣を着た女神だわ!」
勇 「銀河の羽衣?あれを見てそんな事言うなんて。おかしいとは言わないけど、そうは見える。優しいんだな、おまえ」
比瑪 「そうかな、見える事を言っただけだよ」
勇 「リバイバルしたそのブレンと出会った時、おまえは物怖じしなかったよな。俺はグランチャーに乗る時は縮みあがったのに」
比瑪 「それはきっとグランチャーだったからよ」
勇 「いいや、そうじゃあない。そうじゃあないよ、きっと」
勇 「オルファンより比瑪の方こそ女神なのかもしれない。そういう感じ方をする心を持っているんだから」
比瑪 「勇、出てきたよ!」
勇 「オルファンの糞が!」
勇 「姉さんとジョナサンもオルファンから!」
クインシィ 「ガバナーも落ち着いていらっしゃるオルファンだ。が、大人しく帰るなら攻撃はしない。見逃してやろう」
比瑪 「勇、どうするの?」
勇 「あの3人だけなら俺が引きつける。おまえは行け!」
比瑪 「でも・・・」
勇 「オルファンが待ってるのは、きっとおまえのほうなんだ。出迎えてくれるよ!」
比瑪 「う、うん」
クインシィ 「どういうつもりだ!ブレン!」
勇 「行かせてやってくれ!姉さん!」
比瑪 「馬鹿を言うな!またブレンを自爆させてオルファンを傷つけるつもりなんだろう!」
勇 「違う!」
比瑪 「騙されるものか!」
勇 「いつになったら治るんだ!その性格は!」
比瑪 「ブレン待ってよ!勇を一人にしておけないわ!」
比瑪 「待ちなさい、止まりなさい!パートナーの言う事聞きなさいよ!」
シラー 「あのまま行かせて良いのですか?ジョナサン・グレーン!」
ジョナサン 「はっ。気にするなシラー。オルファンに魅了されるブレンパワードだっているさ。勇の進化したブレンは倒さにゃならんが、クインシィ・イッサーを守るように動かねばな」
シラー 「ああ。了解ジョナサン」
米軍兵A 「識別信号は無いのだな?」
米軍兵B 「オルファンのグランチャーには無いやつもいますが」
米軍兵C 「ノヴィス・ノアのブレンパワードです!一機、オルファン中央山脈に接近中!」
ゲイブリッジ 「勇君のか・・・比瑪ちゃんのじゃないか!流石だな」
米軍兵C 「迎撃隊出します!」
ゲイブリッジ 「その必要はない。ブレンの動きをフォロー。オルファンの体内反応のチェック」
米軍兵B 「オルファンのリアクション・・・チェック!」
ゲイブリッジ 「そうだ!」
米軍兵D 「ミスター・ガバナーへ。太平洋艦隊より入電、ノヴィス・ノアは未だに沈黙したままだそうです」
ゲイブリッジ 「やむをえん。最後通告を出せ!」
直子 「最後通告・・・ですか?」
ノヴィスクルーA 「アイリーン艦長!太平洋艦隊より最後通告がきました!」
アイリーン 「え?」
ノヴィスクルーA 「貴艦に30分の猶予を与える。それまでに人質を解放しオーガニック・エンジンを停止させなければ、核による攻撃を開始する!」
モハマド 「何だと?核の攻撃?」
ノヴィスクルーA 「僕だってスペルぐらい読めますよ!」
モハマド 「核兵器を使う?」
アイリーン 「あのアメリカが?どういう事」
副長 「艦長!オーガニック・シールドが核に通用するというデータはありませんよ!」
モハマド 「子供達を解放したにしても、アメリカは核を使ってくる・・・」
ノヴィスクルーB 「どうしてです?あの大国が?」
モハマド 「大国ったって、新興国のアメリカは今まで国家として自信が無かったんだ。しかしオルファンを手に入れて自信を付けてしまった」
副長 「なら我々も核を使いますか?」
アイリーン 「どちらにしても私達は攻撃される運命にありますね。だとしたら、子供達だけでも助けましょ!」
モハマド 「アイリーンさん・・・」
アイリーン 「オペレーター、太平洋艦隊へ返信!通告を受諾する、子供達を退鑑させる!以後の接触については協議したし!」
ノヴィスクルーA 「了解!」
クインシィ 「覚悟しろ!勇!」
勇 「覚悟なんかできるもんか!」
ジョナサン 「ならば悶え苦しんで死ぬがいい!」
勇 「ふざけるな!」
シラー 「お前を倒す事で全てを変革する事ができると、ジョナサンが言っている!」
勇 「それはそっちの都合だろ!」
比瑪 「オルファーン!聞えてー?聞いて欲しい事があるのー!オルファンさーん!」
ゲイブリッジ 「はい、オルファンの意思でなければスイッチは作動しません。大統領閣下。・・・了解であります」
直子 「ゲイブ!本当に、そのボタンを押してしまわれるんですか?」
ゲイブリッジ 「まあ見ていて下さい」
直子 「あなただって少し前までノヴィス・ノアを認めていたではありませんか!」
ゲイブリッジ 「彼等は過ぎた力を持ってしまったのです。それを野放しのままにしておいてはならないのです」
米軍兵 「我々は味方です。これからこちらの船に乗り換えてもらうから、静かに!」
ユキオ 「やだよー!」
デッキクルー 「待ってくれぇ!」
ユキオ 「何でだよ?俺達は元々この船,に乗ってたんだぞ!」
デッキクルー 「いいから早く!」
アカリ 「どうしてあたしたちまでアメリカなんかに行かなきゃならないのよ!」
クマゾー 「行かないも!」
ノヴィスクルーC 「艦長!キメリエスのレイト艦長から緊急連絡です」
アイリーン 「モニターに回して!」
レイト 「アイリーン艦長!敵戦略原潜のミサイルハッチの開閉音を探知!SLBMです!」
アイリーン 「どちらにしてもやるつもりなんだ・・・!」
比瑪 「オルファンさーん!解り合えるはずなのに戦うなんて絶対におかしいって思いません?オルファンさん!」
ゲイブリッジ 「失礼、時間ですので」
米軍兵 「ミスター・ガバナー!まだ救助艇が戻ってません!」
ゲイブリッジ 「予定は遂行する!」
米軍兵 「子供達がまだ・・・!」
直子 「・・・ゲイブ!」
ゲイブリッジ 「私がやらなければ他の誰かがやるのですから、私の手で!」
直子 「ゲイブ!」
ノヴィスクルーA 「ミサイル確認!…地域限定核弾頭搭載のものです!第1次被害、半径2000メートル以上!」
モハマド 「子供達が、まだ子供達が!」
アイリーン 「オーガニック・シールド発動!最大限!」
副長 「オーガニック・シールド最大?しかし急激過ぎます、バイタル・グロウブにどんな影響が出るか・・・!」
アイリーン 「やりなさい!」
副長 「か、艦長!ミ、ミサイルが!核ミサイルが消えました!」
モハマド 「消えた・・・?ああっ」
アイリーン 「急いでバイタル・グロウブの軌道計算をしなさい!」
ノヴィスクルーA 「計算出ました!大陸内部・・・オルファンに向っています!」
アイリーン 「やはりそういうこと」
米軍兵 「ミスター・ガバナー!ミサイルが現れました!」
ゲイブリッジ 「宜しい。その映像を全世界に送信しろ」
米軍兵 「りょ、了解!」
ゲイブリッジ 「ノヴィス・ノアは我々オルファンに対し卑劣にも核ミサイルを発射してきた。オルファンは既に数万の難民を収容しているにも関わらず、この愚挙に及んだのだ!」
比瑪 「きゃあああー!」
クインシィ 「これは!?」
ジョナサン 「まさか!?」
シラー 「核!」
勇 「比瑪はっ!?」
カント 「核・・・?」
ナッキィ 「爆発!?」
国連議員A 「ノヴィス・ノアが核ミサイルを!」
国連議員B 「我々の希望を踏み潰すつもりか!」
ゲイブリッジ 「だが我々はこれに屈しない!誇りあるアメリカ合衆国の名において我がオルファンはノヴィス・ノアと戦い続ける事をここに宣言する!」
ナッキイ 「アイリーン艦長も思い切った事をやったな」
カント 「こんな事するわけありませんよ!オルファンを核攻撃したってどうにかなるもんじゃないんですよ!」
ナッキイ 「じゃあ・・・」
カント 「これはオルファン側の策略に決まっているでしょう?」
(アイキャッチ)
米軍原潜艦長 「発射!」
ノヴィスクルーB 「第2派きます!物凄い数です!」
モハマド 「何故撃ってくるんだ!ノヴィス・ノアにはミサイルは効かないって何故分からないんだ!?」
副長 「しかしこの数が来るんだ、どうなるか分からんぞ!」
アイリーン 「効果があると分かっているんでしょう!覚悟してちょうだい」
ユキオ 「数が分からない?」
クマゾー 「も」
アカリ 「えー」
ユキオ 「うわっ」
クマゾー 「わぁー」
アカリ 「くるー!」
クマゾー 「…」
ユキオ 「人生はまだあるぞ!」
アカリ 「あるの?」
クマゾー 「あるも」
副長 「ミサイル全弾、バイタル・ネットに乗りました!」
アイリーン 「りょ、了解、神よ」
バロン 「ん?」
フィジシストA 「ミ、ミサイルじゃないか!」
フィジシストB 「オルファンに、我々に向ってる!」
バロン 「ガバナーの奴、ここに至ってあのノヴィス・ノアを孤立させ、自滅させるつもりか。その為にこんなにも手の込んだ芝居をうつのか!」
米軍士官 「ガバナー閣下へ」
ゲイブリッジ 「ん?」
米軍士官 「ここの大陸の政府から感謝状が入りました。我が国の増え過ぎた人口を合理的に間引きをして頂いてありがたい、と」
ゲイブリッジ 「そのような事・・・」
直子 「ゲイブ、あなたって人は・・・あなたって人は、人の命を何だと思っているのですか!」
ゲイブリッジ 「文明を妄信する人類の目を開かせる為にはこんな方法しか無かったんです!直子さん、私がこんな役目を喜んでやっているとでも思いますか!」
直子 「あなたはこんな事をする方ではなかった」
ゲイブリッジ 「僕は変わっていませんよ。昔からこの旧態依然とした社会に変革を齎そうと考えていました!その為だったら大量虐殺の汚名を着せられても受けるつもりです!」
ゲイブリッジ 「人類粛正の汚名は・・・全て僕が被るつもりです。しかし、ここまでのオルファンの動きは人類絶滅の方向に進んでいるんです」
直子 「ゲイブ・・・」
ゲイブリッジ 「しかしオルファンがもたらす結果が、地球の生命体全てを根絶やしにするとも思えないのです。ですからね、直子さん・・・」
ゲイブリッジ 「あなたには、あなただけにはこの気持ちを理解して欲しかった」
直子 「分かりました、もう何も言いません。もうあなたから離れませんから」
カント 「あれは核ミサイルの光・・・でも、ここにもオルファンに入国したいという人がいるんだ!」
ナッキイ 「どこへ行くんだ?カント!」
カント 「何とかしないといけないでしょ!」
ナッキイ 「何を、どうしようというんだよ。ここまで来て!」
クインシィ 「ミサイルが来るだと!?」
勇 「姉さんと戦っている時じゃない!この光・・・ネリー・ブレン、分かっているよな?」
ナッキイ 「どうやるんだよ!」
カント 「チャクラでトライアングルを作ります!ノヴィス・ノアの真似です!」
ナッキイ 「だったら、一人足りないぜ!?」
カント 「いや、今来ました」
ナッキイ 「うぉっ」
勇 「カント!」
カント 「チャクラ・トライアングルをバリアにします、いいですね?」
ナッキィ 「了解!」
勇 「いいぞ!」
カント 「数が多過ぎる!・・・駄目かもしれない」
勇 「もっと広がれ!俺達の後ろにはオルファンと比瑪がいるんだぞ!」
ナッキィ 「グランチャー?」
勇 「姉さん?」
ナッキィ 「こいつら?」
カント 「協力・・・してくれてる?」
シラー 「クインシィ・・・ジョナサン、何故ですか!」
ジョナサン 「ミサイルがオルファンに跳ね返るのはガバナーに分かっていた!奴の思い通りにさせる気はない!」
クインシィ 「オルファンが傷つけられるのを黙って見ていられるか!」
勇 「姉さん・・・クインシィ・イッサー!」
クインシィ 「分かっている!勇!」
勇 「みんな!力をー!」
勇 「止まれぇー!」
クインシィ
ジョナサン
シラー 「うおおおー!」
ナッキィ
カント 「うわあああ!」
ナッキィ 「止まった・・・」
カント 「止まったけど、起爆装置は?」
ジョナサン 「これが、アンチボディの力かよ!」
クインシィ 「不思議だ・・・不思議な感覚だ。涙が・・・涙が、溢れる・・・」
研作 「男の子だ、でかしたぞ翠!こいつは俺のDNAを継いだんだ!」
翠 「もうお姉ちゃんね、依衣子」
研作 「俺の子だ。俺のDNAだ!」
警官 「待てえ!」
ナッキィ 「うあっ!」
ナッキィ 「ママの誕生日なのに・・・!」
学生A 「天才の癖に誕生パーティなんかやるなよ」
学生B 「むかつくんだよ、人並みな振りしやがって」
学生C 「おーいカント!そーらよ!」
シラー 「皆起きて!今夜頑張ってくれれば明日にはパンを盗んできてやるから、死ぬんじゃないよ!・・・起きててよ!」
勇 「俺はもうお前には乗らない・・・乗りたくないんだ。お前だって辛がってるのが分かるから・・・乗らないよ・・・!」
比瑪 「さあ、もう泣かないで寂しくないよ。あたしだってあなたに触れるから寂しくない」
少女 「えっ?」
比瑪 「寂しがる殻というのがあってね、いつまでもそこに閉じ篭ってると泣いちゃうんだよ」
少女 「寂しがる殻?」
比瑪 「うん。その殻の中にいるとずっと泣いちゃうんだよ。だからね、そこからは出るの」
少女 「殻から出るの?」
比瑪 「そう。あたしは宇都宮比瑪っていうんだ」
少女 「比瑪姉ちゃん?」
比瑪 「そうだよ」
少女 「ああ!そうか!あたしね、比瑪姉ちゃんをずっと待ってたんだ!」
比瑪 「ああ・・・!」
比瑪 「あなた・・・」
比瑪 「きゃあああ!」
比瑪 「こんなもの、無くったって人は!生きていけます!」
比瑪 「めえでしょ!・・・うあっ!」
勇 「なんだ?」
カント 「チャクラ・シールドが膨張してるんです!みんな逃げて下さい!」
勇 「来たっ!」
クインシィ 「しまった!」
ジョナサン 「クインシィが!」
カント 「勇さん!」
ゲイブリッジ 「こういう力を持っていたんですよ直子さん、オーガニック・エナジーは」
直子 「え、ええ」
ゲイブリッジ 「オーガニック・エナジーの可能性というものを垣間見る事ができた」
直子 「比瑪ちゃんは・・・」
ゲイブリッジ 「すぐにあのブレンパワードを回収しろ!」
ジョナサン 「バロン!クインシィ・イッサーがどこかへ飛ばされてしまったんだぞ!なのに!」
バロン 「リクレイマー部隊の作戦は中止だ。今後はジョナサンが指揮をとればいい」
ジョナサン 「バロン!」
バロン 「オルファンが生まれ変わる時がきたのだ。ハーッハッ!」
アイリーン 「イランド部隊、ブレン達は勇達と合流、回収して!」
第20話「ガバナーの野望」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201207101802064457/
→第22話「乾坤一擲」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201209010030393229/
ブレンパワード 全台詞集 第19話「動く山脈」
2012年4月15日 ブレンパワード全台詞集脚本:富野由悠季・高橋哲子 絵コンテ:香川豊 演出:渡邊哲哉 作画監督:しんぼたくろう・中田栄治
比瑪
(ナレーション) 「あのネリー・ブレンがスケートをやったという話もあたしは後で聞いたんだ。ネリーさんと勇のことは想像できない。あたしは、見たものしか分からないし見えないものなんかに興味ない。人を理解するって、それでいいんだって思う」
勇 「ううっ!」
勇 「オルファンだ、まだ大陸・・・ノヴィス・ノア?」
勇 「涙が枯れたと同時に、極東に戻れたというわけか。ここは中国か?」
勇 「 おまえだって、いつまでもメソメソしてるなよ、俺を乗せてくれたんだ。二人してこの苦難を乗り越える・・・俺のブレンは雄々しかったんだぞ。そのビットだって取り込んだんだろ。もう泣くんじゃない・・・ん?」
勇 「疲れたのか?この辺りで寝る場所ったって・・・」
村人 「また形の違うアンチボディだ!どれだけ災難が来れば終わるんだ!」
勇 「うう・・・俺もお前と同じだ。でもじっとしていても回復できないのが俺達人間なんだよな」
勇 「瓜は食べたことないけど・・・甘いはずだよな」
勇 「 うっ!」
コモド 「ナンガ、ここにもアメリカ軍だよ」
ナンガ 「何でアメリカ軍が中国大陸ででかい面をしてんだ?」
アメリカ兵 「パスポートが欲しけりゃちゃんと並べ!」
難民 「向こうのゲートと同じ事言いやがる!」
アメリカ兵 「2週間くらいは誰だって待ってるんだ!並ばないと撃つぞ!」
源野 「ヘイ!ヘーイ!乗せてってー!」
源野 「・・・んもう!軍人は横柄なんだから!今度こそ」
源野 「ねえ!こら!お前!乗せなさい!乗せろって言うの!うっ・・・誰が落ちるもんですか!」
輸送班員A 「ん?」
源野 「乗せろって言ってるでしょ!」
輸送班員A 「うえっ!」
輸送班員A 「死にたいんですか!?怪我しますよ!」
源野 「私は日本政府直轄の理化学研の研究員なんですよ」
輸送班員A 「研究員?」
源野 「是非オルファンに入国をしたいのです」
輸送班員B 「ゲートに行って申告してください」
源野 「半月とか1ヶ月かかるんです、私は・・・」
輸送班員B 「出せ!」
源野(※) 「うわっ・・・あう!ああん!鬼畜米米!」
ナンガ 「暫らくぶりだな、ドクター源野じゃないか」
源野 「ひぃっ!まあ、まあ、まあ、ナンガさんにコモドさんもいらっしゃるなんて」
ナンガ 「大陸に進出なさってもお元気で」
源野 「元気じゃないわよ。ノヴィス・ノアは今どこ?勇は戻ってきたの?ああん、ナンガさあん」
コモド 「ふふ」
比瑪 「アンチボディの反応があったのはこの辺りよね。ここに出られたって事はそうなんでしょ?ブレン」
ナッキィ 「こいつらが嫌がってないって事はグランチャーではないって事だけどなあ」
比瑪 「そうだよねえ!勇がここに出て来たんだ!」
ナッキィ 「別にあいつとは決まってない。ブレンパワードは世界各地で生まれてるんだから」
比瑪 「なんて意地悪な言い方でしょ」
ナッキィ 「比瑪ちゃん。僕はブレン3人のリバイバルに立ち会った男なんだぜ」
比瑪 「嘘おっしゃい!ノヴィスにそんな人居ないわ!その辺りに転がっていたブレンを拾ったんでしょう!?」
ナッキィ 「その言い方は酷くないか比瑪ちゃん?」
比瑪 「だったら・・・」
ナッキィ 「だからでしょ?俺みたいな男はさっさとオルファンにぶつかっていなくなれ、と連れ出した」
比瑪 「違うわよ。ノヴィスに居辛そうだから御一緒しましょうって誘ってあげたんじゃないの」
ナッキィ 「別に居辛くはない」
比瑪 「あなたは勝手過ぎるんです!」
ナッキィ 「ラッセ・ルンベルグは、僕のブレンを自分のにしたんだぞ!」
比瑪 「あれは、あのブレンがラッセを気に入ったんだから、あなたは何も言う権利はないわ!・・・あっ?」
ナッキィ 「グランチャーじゃないのか?」
比瑪 「誰?あの子」
ナッキィ 「まるで新顔だぞ」
比瑪 「ふうん」
ナッキィ 「図体は大きいけどブレンパワードだ」
比瑪 「うん、この子も優しい顔してる」
ナッキィ 「デリケートな瞳をしている。あっ、宇都宮!いいのか?」
比瑪 「大丈夫だよ!・・・フリュイドスーツ?勇のじゃない!」
比瑪 「勇のだ!勇のだ!・・・あれ?何だ?ブレスレットみたい」
比瑪 「ブレスレットだ。でも、これ勇のスーツだけどなあ」
比瑪 「ねえ君、このブレスレットは君と一緒に働いてる人の物?」
比瑪 「そうなんだ。けどコックピットにある服はあたしの知ってる人の物なんだよ?」
ナッキィ 「ん?」
比瑪 「何よ!」
ナッキィ 「コックピットの壁」
比瑪 「え?」
村人A 「子供一人だけなのか」
村人B 「怪我をさせるな、ひっ捕らえてアメリカ軍に売るんだ」
ナッキィ 「畑からこっちに逃げ込んできた?」
比瑪 「勇よ!勇が・・・!」
村人A 「報奨金が貰えるんじゃ!」
村人B 「アメリカ軍はグランチャー使ってんだから、ブレンには金出すんだよ」
勇 「なんだよ!アメリカだ報奨金だ、って!」
村人A 「こいつはどうすんだ?」
村人C 「ブレンタイプのアンチボディは谷へ捨てる!」
村人B 「アメリカ軍にゃあ無線打てよ」
勇 「くそお!こ、このっ!」
ナッキィ 「こいつが見ていた事なのか?」
比瑪 「この前の景色だったわ」
ナッキィ 「オルファンに進駐してるアメリカ軍に引き渡されたら助け出すのに苦労するぞ」
比瑪 「勇の事?」
ナッキィ 「探すぞ!」
比瑪 「ブレンはどうするの?」
ナッキィ 「比瑪とここで待っていてくれ」
ナッキィ 「状況が解ったら、ブレンで強襲を掛けて・・・うわあ!」
比瑪 「あああ!」
ナッキィ 「引っ掛かった・・・」
比瑪 「い、痛あ」
村人A 「抵抗しなければ命は取らねえ」
村人B 「銃、ナイフを出しな!」
ナッキィ 「こいつ!」
村人A 「銃を投げろ」
比瑪 「どちらの方なんです!?」
村人B 「早くしねえと撃つぞ!」
女長老 「殺してもここに埋めればいいだけじゃからな」
比瑪 「こ、怖ぁ・・・」
村人A 「それよりオルファンに乗れる権利のほうがいいな」
村人B 「オルファンはアメリカなんじゃろ?」
村人C 「白人と一緒なの嫌よねえ」
村人D 「パスポートがあればさあ」
村人A 「どうでした?」
女長老 「わしらの捕まえたブレンはノヴィス・ノアのクルーだと言うぞ」
村人B 「やったあ!金もパスポートももらえるぞ!」
村人C 「これで盗みもやらずにすむ!」
女長老 「静まらんか!金ではなく食糧生産のプラントを用意するそうだ」
村人D 「冗談じゃねえ!いつまでもこんな所にいられるか!」
女長老 「しばらく食い繋げる」
村人E 「なら、鶏と豚もいるぞ御長老」
女長老 「それは引渡しの時に交渉する、なにしろ見たことないブレンパワードの話をしたらアメリカさんの声が上擦った」
村人D 「ど、どういう事で?」
女長老 「アメリカグランチャーの脅威になるんじゃろう」
村人F 「その褒賞は別に催促したのか?」
女長老 「盗人100年やってきた知恵はなにも要求せん、向こうと会ってからの事じゃ!」
村人C 「それが賢いというものじゃあ!」
村人D 「へっ!全員のパスポート貰えばいい!」
村人 「長老のお手並み拝見という所じゃ」
ナッキィ 「あのなあ、アメリカ軍に引き渡すって言ってるんだから、逃げるチャンスはいくらでもあるんだ、そんな事しなくたって・・・」
勇 「ぺっ!盗賊の村なんだぞ、どうなるかわかるもんか」
比瑪 「無事を喜び合えるって言うのこう言う事じゃなかったんだけどなあ。わー、勇元気だったんだあ、ってさあ?ヒシッっと抱き合ってロマンチックだなあ、って事全部無し、現実ってこうなんだろうなあ。でも勇、一生懸命やってくれるから・・・くぅ~む~くう~~・・・てやっ!」
勇 「ぐっ!」
比瑪 「やったあ!勇の歯、丈夫なんだ。・・・勇?どうしたの?」
ナッキィ 「再会のキスでもすればロマンチックなシーンになるぜ?」
比瑪 「そうか」
勇 「ん?」
比瑪 「まっ!・・・ったくう!」
ナッキィ 「ほら、遊んでないで解いてくれよ」
比瑪 「あっ」
比瑪 「くあ~」
ナッキィ 「手を使っていいんだぜ?」
比瑪 「あ、そっか」
勇 「ここにある物は全部盗んできた物だけど、オルファンが上陸して、大陸中が無法地帯になったんだ。村単位で自衛するので必死なのさ」
ナッキィ 「それでアメリカ軍とも繋がるか?」
勇 「ああ、お尋ね者の俺達を捕らえれば、そりゃあ有頂天になるさ」
比瑪 「なんで私達がお尋ね者なのさ?」
ナッキィ 「俺のせいなんだろ?」
勇 「違うよ、ノヴィス・ノアが国連の下にいる。国連とアメリカの諍い・・・」
ナッキィ 「あっ!」
勇 「ブレン!ネリー・ブレン!」
比瑪 「・・・ネリーのブレン?」
(アイキャッチ)
村人A 「だ、駄目だよ!撃っても効かないよ!」
村人B 「急所に当てるらしいって言うぞ」
村人B 「う、うわああ!」
勇 「悪い、よく来てくれた!」
比瑪 「やっぱこれ、勇が使ってる・・・ネリー・ブレン?勇のブレンはどうしたの?」
勇 「こいつがそうだ」
比瑪 「嘘つき!ぜんぜん人相もスタイルも違う!」
勇 「再リバイバルしたんだ。ネリー・ブレンとユウ・ブレンが体を補い合って、リバイバルし直したんだ。よく戦ってくれた」
比瑪 「誰とさ?」
勇 「ジョナサンの新しいグランチャーとだ」
比瑪 「ジョナサンがまだ生きてたの!?」
勇 「信じられないようなグランチャーを手に入れてた」
ナッキィ 「急げ!勇!」
勇 「ん!?」
女長老 「落とすぞ!」
ナッキィ 「危ないぞ婆さん!」
勇 「ネリー・ブレン、あの村人を怪我させないで追い払えるか?」
女長老 「はっ!」
村人 「うああ!」
女長老 「くっ、せっかくのお宝が!これで孫達に肉が食べさせられなくなった!」
比瑪 「なんだか可哀想じゃない?」
勇 「ああいう逞しい人達は生き残るよ」
ナッキィ 「俺が世話になったコゥ・チェンのとこも大家族で、あんなもんだったなあ」
比瑪 「モハマドさんを紹介してくれた人?」
ナッキィ 「そうだ。モハマドさんの所も大家族でさ、ノヴィスも似たようなもんで、俺はそういうのに縁があるんだな」
比瑪 「ナッキィのお父さんとお母さんは?」
ナッキィ 「そういうのはいない」
比瑪 「あっ・・・」
ナッキィ 「いいぞ。そのまま後ろを警戒しつつ、前へ回り込め。ようし、良い子だ!」
勇 「へえ、ナッキィのブレンも凄いんだな」
比瑪 「私のもよ、このブレンと会って気が利く様になったのね」
勇 「そうなのか」
比瑪 「ナッキィ・ブレン!お利口さんよ!」
勇 「・・・あ!いつ取ったんだ!」
比瑪 「あの村の人に捕まる前!」
勇 「そうか、そうだよね」
比瑪 「それ、女物よね?」
勇 「ネリー・キムさんの形見なんだ」
比瑪 「形見?亡くなったの?その方」
勇 「ネリー・ブレンが俺のブレンとリバイバルするときにね。情け容赦ないんだ」
比瑪 「怖かったんだ」
勇 「ああ。オルファンが浮上する時に、ネットが歪んだりしたらああなるかもな」
勇 「・・・可能性はある」
比瑪 「そんなに怖い事があったんだ・・・でも再リバイバルした時、ネリーと勇のブレン、一緒になったって・・・そう言ったよね?勇!」
勇 「そう言った・・・そうか!地球の問題やオルファンの事って全てが絶望的な事じゃないかもしれないんだな?」
比瑪 「そうよ!ブレンは空を飛んでんだもの!」
勇 「上手くいくって事だ!」
比瑪 「そうだよ絶対!」
勇 「そうだよな!誰が絶望するもんか!」
比瑪 「ふふっ、そうそう!」
ナッキィ 「なんだ、やってるじゃないか」
勇 「そうだよ、そうだったんだ!」
バロン 「ジョナサン、オルファンは女性の姿をその芯に蓄えていると言うが、本当か?」
ジョナサン 「ああ、バロン・マクシミリアン。あなたのバロンズゥはオルファンの懐に飛び込みました。あなたはオルファンに迎えられるに相応しい方という証明です。リクレイマーはあなたの英知と高潔さで、より良き方向に導かれるでしょう」
バロン 「ん?あれは?」
ジョナサン 「な、なんなんだよ!あれは!?」
ジョナサン 「オルファンの装甲に・・・誰がこんな悪ふざけをするんだ!」
バロン 「リクレイマーのものとは思えないが、どういう事なのだジョナサン?」
ジョナサン 「俺が聞きたい。バロン・ズゥ!ソード・エクスを構え!」
ジョナサン 「こいつらはリクレイマーではない」
バロン 「分かっている。入国審査があるようだ」
ジョナサン 「入国審査だと?ジョナサン・グレーンが強力な・・・」
アメリカ兵 「所属不明のグランチャーに告ぐ!入国審査の為下のシャッターに進め!」
ジョナサン 「指図をするな!」
バロン 「ジョナサン!ここは彼等に従え」
ジョナサン 「何故です!」
アメリカ兵 「オルファンがアメリカの53番目の州になったのも知らないのか?」
ジョナサン 「オルファン州とでも言うのか!」
アメリカ兵 「抵抗するなら、ブレンパワードタイプとみなして撃墜する!」
ジョナサン 「面白い、お前達軍隊グランチャーに落とせるか!」
アメリカ兵 「うわああ!」
ジョナサン 「バロン・マクシミリアンのバロン・ズゥを案内してきたんだ、不服なら貴様達を・・・」
クインシィ 「ジョナサン、ご苦労様」
ジョナサン 「クインシィ?」
クインシィ 「私からはジョナサンの背中が見える」
ジョナサン 「どこにいるんだ?」
クインシィ 「中央コントロールのオーガニック・レーダーから端末を繋いだ。そのバロン・ズゥとかの正面シャッターのデッキにいる。」
クインシィ 「バロン・マクシミリアンという男が見える。何者だ?」
ジョナサン 「このグランチャーをリバイバルさせて、私に与えてくれた恩人だ」
シラー 「ジョナサンが帰ってきた!」
リクレイマー 「見ろよ!あのグランチャーは進化したタイプだ!」
翠 「ジョナサン!帰ってきたのね、ジョナサン!無事でよかった、本当に心配していたのよ!あなたが帰ってくれれば、もうオルファンにはすぐにでも銀河へ飛び立ってもらえるわ」
ジョナサン 「ドクター、紹介したい人がいるんだ」
翠 「ああ、あの方?」
バロン 「左様、プレートの導きでジョナサンと巡り合うことができた者です」
翠 「伊佐美翠、リクレイマーの研究班をまとめています」
バロン 「ならばリクレイマーのリーダーの研作博士はどちらかな?」
翠 「あれは、アメリカ軍との応対で飛び回っておりまして何処にいるやら・・・」
バロン 「それは・・・察するところ、クインシィ・イッサーと見たが?」
クインシィ 「名前を知ってくれて嬉しいが、どういうつもりでオルファンに来たんだ?バロン」
バロン 「グランチャー部隊を取りまとめる御苦労を重ねる貴公を、助けたいと考えて、バロン・ズゥをジョナサンに預けた」
翠 「クインシィを助ける?」
クインシィ 「信じていいのかな?」
バロン 「ジョナサンには良いリーダーが要る」
翠 「余計な事を!」
ジョナサン 「よう!シラー!」
シラー 「おかえり、面白いグランチャーじゃないか」
勇 「あれ?みんなアンチボディじゃないか!」
比瑪 「来る途中ブレンはここに来たがったのよ」
ナッキィ 「震えるな。見たいって言うから連れて来たやったんだろ?しっかりしろ!これがアメリカ軍のやり方だ、ちょっと性能が悪いと捨てちまう!」
比瑪 「じゃあこれ、アメリカ軍が持ってきたもの?」
勇 「オルファンのものだよ。大陸で出たものをまとめたって、こんな数はないよね?ナッキィさん」
ナッキィ 「半年以上かかって、4人集めたのが精一杯だった」
比瑪 何故ここに捨てたの?」
勇 「アンチボディなら、グランチャーもブレンも、同じような場所で墓場を作りたいと思うんだよな?何故なんだ?教えてくれ、ネリー・ブレン」
シラー 「凄いだろう!あっと言う間にこうだ!軍っていう組織は機能的だし、来た連中も礼儀正しい。オルファンにとってアメリカナイズはいい事だ」
ジョナサン 「シラー、貴様逆上せていないか?」
シラー 「ガバナーだって妥当だって言っているんだ。あのクインシィだってアメリカ軍に従ってるのは見たろ?」
ジョナサン 「クインシィの腹の中くらい想像がつく。・・・なんですか?ドクター」
翠 「ちょっとやつれたかしらね?バロンに虐められた?」
ジョナサン 「そんなことありません」
バロン 「グランチャーはアメリカ軍が持ち込んだのか?」
翠 「オルファンで提供したものが半分、持ち込んで来たものが半分。ガバナーの采配で上手く編成できました」
バロン 「オルファンのガバナーか。狡猾な事を」
比瑪 「なにしてるわけ?」
勇 「ナッキィは4人のアンチボディに付き合ってるから俺よりアンチボディを知ってるみたいなんだよな」
ナッキィ 「そうか、わかったぞ、お前達が何でここで死んでいく気になったのか・・・比瑪!勇!こいつらはオルファンに行きたくなかったんだ。それで人の乗せるのを拒否してここに集まったんだ」
勇 「どうしてそんな事が解る?」
ナッキィ 「こいつらのハッチもシャッターも、硬く閉じている。人間を乗せることを拒んだアンチボディはいずれ硬化する」
比瑪 「そ、そうよね」
ナッキィ 「アメリカ軍の扱いも乱暴だったようだ」
勇 「オルファンから逃げた時に、やられたりもしたのか?」
ナッキィ 「そうだろうな。このブレンは乗り手を無くしてフラフラしてる時も、ハッチは開いていた。オルファンに行くことを予想してないブレンはそういうものなんだ」
勇 「それにひきかえ彼らは、オルファンが上陸してから逃げ出さなければならなかった」
ナッキィ 「そうなんだよ。もう少し前に出会っていれば、こいつらを助けられたのに、それが出来なかったんだよ俺には・・・!」
比瑪 「ナッキィさん・・・」
比瑪 「カントが言ってたものね、ブレン達は花が好きだって。摘むと可哀想だけどこれなら根付くよね」
比瑪 「ネリーさんの形見を埋めるの?」
勇 「うん、ここならネリーも喜ぶはずだ。・・・ん?うわあっ!」
比瑪 「ネリー・ブレン!」
勇 「気持ちは分かるけど、ネリーブレン!・・・ブレスレット一つの記憶より、お前と俺の中に染み込んだネリー・キムの思い出を大切にしたいな、一杯あるだろ?ここにいる宇都宮比瑪って、良い子なんだぞ。こういう事をちゃんと分かってくれるんだ。お前の体の中にはネリーも、俺のブレンもいるんだろ?これで十分じゃないか、ネリー・ブレン」
比瑪 「ありがとう勇。でも私、人を愛せない人って嫌いだよ」
勇 「ありがとう。ネリーはね、ジョナサンとバロンとバロン・ズゥがオルファンに入ることを恐れてたんだ」
比瑪 「バロン?バロン・ズゥ?」
勇 「ああ」
ナッキィ 「一つの記憶を封印するかい?」
勇 「そうする」
勇 「・・・くっ!」
※「鬼畜米米」という言葉自体はありませんが、「鬼畜米英」では道理が合わないので聞こえる侭の言葉で書きました。
「鬼畜米兵」という説もあり。
第18話「愛の淵」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204032140286202/
→第20話「ガバナーの野望」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201207101802064457/
比瑪
(ナレーション) 「あのネリー・ブレンがスケートをやったという話もあたしは後で聞いたんだ。ネリーさんと勇のことは想像できない。あたしは、見たものしか分からないし見えないものなんかに興味ない。人を理解するって、それでいいんだって思う」
勇 「ううっ!」
勇 「オルファンだ、まだ大陸・・・ノヴィス・ノア?」
勇 「涙が枯れたと同時に、極東に戻れたというわけか。ここは中国か?」
勇 「 おまえだって、いつまでもメソメソしてるなよ、俺を乗せてくれたんだ。二人してこの苦難を乗り越える・・・俺のブレンは雄々しかったんだぞ。そのビットだって取り込んだんだろ。もう泣くんじゃない・・・ん?」
勇 「疲れたのか?この辺りで寝る場所ったって・・・」
村人 「また形の違うアンチボディだ!どれだけ災難が来れば終わるんだ!」
勇 「うう・・・俺もお前と同じだ。でもじっとしていても回復できないのが俺達人間なんだよな」
勇 「瓜は食べたことないけど・・・甘いはずだよな」
勇 「 うっ!」
コモド 「ナンガ、ここにもアメリカ軍だよ」
ナンガ 「何でアメリカ軍が中国大陸ででかい面をしてんだ?」
アメリカ兵 「パスポートが欲しけりゃちゃんと並べ!」
難民 「向こうのゲートと同じ事言いやがる!」
アメリカ兵 「2週間くらいは誰だって待ってるんだ!並ばないと撃つぞ!」
源野 「ヘイ!ヘーイ!乗せてってー!」
源野 「・・・んもう!軍人は横柄なんだから!今度こそ」
源野 「ねえ!こら!お前!乗せなさい!乗せろって言うの!うっ・・・誰が落ちるもんですか!」
輸送班員A 「ん?」
源野 「乗せろって言ってるでしょ!」
輸送班員A 「うえっ!」
輸送班員A 「死にたいんですか!?怪我しますよ!」
源野 「私は日本政府直轄の理化学研の研究員なんですよ」
輸送班員A 「研究員?」
源野 「是非オルファンに入国をしたいのです」
輸送班員B 「ゲートに行って申告してください」
源野 「半月とか1ヶ月かかるんです、私は・・・」
輸送班員B 「出せ!」
源野(※) 「うわっ・・・あう!ああん!鬼畜米米!」
ナンガ 「暫らくぶりだな、ドクター源野じゃないか」
源野 「ひぃっ!まあ、まあ、まあ、ナンガさんにコモドさんもいらっしゃるなんて」
ナンガ 「大陸に進出なさってもお元気で」
源野 「元気じゃないわよ。ノヴィス・ノアは今どこ?勇は戻ってきたの?ああん、ナンガさあん」
コモド 「ふふ」
比瑪 「アンチボディの反応があったのはこの辺りよね。ここに出られたって事はそうなんでしょ?ブレン」
ナッキィ 「こいつらが嫌がってないって事はグランチャーではないって事だけどなあ」
比瑪 「そうだよねえ!勇がここに出て来たんだ!」
ナッキィ 「別にあいつとは決まってない。ブレンパワードは世界各地で生まれてるんだから」
比瑪 「なんて意地悪な言い方でしょ」
ナッキィ 「比瑪ちゃん。僕はブレン3人のリバイバルに立ち会った男なんだぜ」
比瑪 「嘘おっしゃい!ノヴィスにそんな人居ないわ!その辺りに転がっていたブレンを拾ったんでしょう!?」
ナッキィ 「その言い方は酷くないか比瑪ちゃん?」
比瑪 「だったら・・・」
ナッキィ 「だからでしょ?俺みたいな男はさっさとオルファンにぶつかっていなくなれ、と連れ出した」
比瑪 「違うわよ。ノヴィスに居辛そうだから御一緒しましょうって誘ってあげたんじゃないの」
ナッキィ 「別に居辛くはない」
比瑪 「あなたは勝手過ぎるんです!」
ナッキィ 「ラッセ・ルンベルグは、僕のブレンを自分のにしたんだぞ!」
比瑪 「あれは、あのブレンがラッセを気に入ったんだから、あなたは何も言う権利はないわ!・・・あっ?」
ナッキィ 「グランチャーじゃないのか?」
比瑪 「誰?あの子」
ナッキィ 「まるで新顔だぞ」
比瑪 「ふうん」
ナッキィ 「図体は大きいけどブレンパワードだ」
比瑪 「うん、この子も優しい顔してる」
ナッキィ 「デリケートな瞳をしている。あっ、宇都宮!いいのか?」
比瑪 「大丈夫だよ!・・・フリュイドスーツ?勇のじゃない!」
比瑪 「勇のだ!勇のだ!・・・あれ?何だ?ブレスレットみたい」
比瑪 「ブレスレットだ。でも、これ勇のスーツだけどなあ」
比瑪 「ねえ君、このブレスレットは君と一緒に働いてる人の物?」
比瑪 「そうなんだ。けどコックピットにある服はあたしの知ってる人の物なんだよ?」
ナッキィ 「ん?」
比瑪 「何よ!」
ナッキィ 「コックピットの壁」
比瑪 「え?」
村人A 「子供一人だけなのか」
村人B 「怪我をさせるな、ひっ捕らえてアメリカ軍に売るんだ」
ナッキィ 「畑からこっちに逃げ込んできた?」
比瑪 「勇よ!勇が・・・!」
村人A 「報奨金が貰えるんじゃ!」
村人B 「アメリカ軍はグランチャー使ってんだから、ブレンには金出すんだよ」
勇 「なんだよ!アメリカだ報奨金だ、って!」
村人A 「こいつはどうすんだ?」
村人C 「ブレンタイプのアンチボディは谷へ捨てる!」
村人B 「アメリカ軍にゃあ無線打てよ」
勇 「くそお!こ、このっ!」
ナッキィ 「こいつが見ていた事なのか?」
比瑪 「この前の景色だったわ」
ナッキィ 「オルファンに進駐してるアメリカ軍に引き渡されたら助け出すのに苦労するぞ」
比瑪 「勇の事?」
ナッキィ 「探すぞ!」
比瑪 「ブレンはどうするの?」
ナッキィ 「比瑪とここで待っていてくれ」
ナッキィ 「状況が解ったら、ブレンで強襲を掛けて・・・うわあ!」
比瑪 「あああ!」
ナッキィ 「引っ掛かった・・・」
比瑪 「い、痛あ」
村人A 「抵抗しなければ命は取らねえ」
村人B 「銃、ナイフを出しな!」
ナッキィ 「こいつ!」
村人A 「銃を投げろ」
比瑪 「どちらの方なんです!?」
村人B 「早くしねえと撃つぞ!」
女長老 「殺してもここに埋めればいいだけじゃからな」
比瑪 「こ、怖ぁ・・・」
村人A 「それよりオルファンに乗れる権利のほうがいいな」
村人B 「オルファンはアメリカなんじゃろ?」
村人C 「白人と一緒なの嫌よねえ」
村人D 「パスポートがあればさあ」
村人A 「どうでした?」
女長老 「わしらの捕まえたブレンはノヴィス・ノアのクルーだと言うぞ」
村人B 「やったあ!金もパスポートももらえるぞ!」
村人C 「これで盗みもやらずにすむ!」
女長老 「静まらんか!金ではなく食糧生産のプラントを用意するそうだ」
村人D 「冗談じゃねえ!いつまでもこんな所にいられるか!」
女長老 「しばらく食い繋げる」
村人E 「なら、鶏と豚もいるぞ御長老」
女長老 「それは引渡しの時に交渉する、なにしろ見たことないブレンパワードの話をしたらアメリカさんの声が上擦った」
村人D 「ど、どういう事で?」
女長老 「アメリカグランチャーの脅威になるんじゃろう」
村人F 「その褒賞は別に催促したのか?」
女長老 「盗人100年やってきた知恵はなにも要求せん、向こうと会ってからの事じゃ!」
村人C 「それが賢いというものじゃあ!」
村人D 「へっ!全員のパスポート貰えばいい!」
村人 「長老のお手並み拝見という所じゃ」
ナッキィ 「あのなあ、アメリカ軍に引き渡すって言ってるんだから、逃げるチャンスはいくらでもあるんだ、そんな事しなくたって・・・」
勇 「ぺっ!盗賊の村なんだぞ、どうなるかわかるもんか」
比瑪 「無事を喜び合えるって言うのこう言う事じゃなかったんだけどなあ。わー、勇元気だったんだあ、ってさあ?ヒシッっと抱き合ってロマンチックだなあ、って事全部無し、現実ってこうなんだろうなあ。でも勇、一生懸命やってくれるから・・・くぅ~む~くう~~・・・てやっ!」
勇 「ぐっ!」
比瑪 「やったあ!勇の歯、丈夫なんだ。・・・勇?どうしたの?」
ナッキィ 「再会のキスでもすればロマンチックなシーンになるぜ?」
比瑪 「そうか」
勇 「ん?」
比瑪 「まっ!・・・ったくう!」
ナッキィ 「ほら、遊んでないで解いてくれよ」
比瑪 「あっ」
比瑪 「くあ~」
ナッキィ 「手を使っていいんだぜ?」
比瑪 「あ、そっか」
勇 「ここにある物は全部盗んできた物だけど、オルファンが上陸して、大陸中が無法地帯になったんだ。村単位で自衛するので必死なのさ」
ナッキィ 「それでアメリカ軍とも繋がるか?」
勇 「ああ、お尋ね者の俺達を捕らえれば、そりゃあ有頂天になるさ」
比瑪 「なんで私達がお尋ね者なのさ?」
ナッキィ 「俺のせいなんだろ?」
勇 「違うよ、ノヴィス・ノアが国連の下にいる。国連とアメリカの諍い・・・」
ナッキィ 「あっ!」
勇 「ブレン!ネリー・ブレン!」
比瑪 「・・・ネリーのブレン?」
(アイキャッチ)
村人A 「だ、駄目だよ!撃っても効かないよ!」
村人B 「急所に当てるらしいって言うぞ」
村人B 「う、うわああ!」
勇 「悪い、よく来てくれた!」
比瑪 「やっぱこれ、勇が使ってる・・・ネリー・ブレン?勇のブレンはどうしたの?」
勇 「こいつがそうだ」
比瑪 「嘘つき!ぜんぜん人相もスタイルも違う!」
勇 「再リバイバルしたんだ。ネリー・ブレンとユウ・ブレンが体を補い合って、リバイバルし直したんだ。よく戦ってくれた」
比瑪 「誰とさ?」
勇 「ジョナサンの新しいグランチャーとだ」
比瑪 「ジョナサンがまだ生きてたの!?」
勇 「信じられないようなグランチャーを手に入れてた」
ナッキィ 「急げ!勇!」
勇 「ん!?」
女長老 「落とすぞ!」
ナッキィ 「危ないぞ婆さん!」
勇 「ネリー・ブレン、あの村人を怪我させないで追い払えるか?」
女長老 「はっ!」
村人 「うああ!」
女長老 「くっ、せっかくのお宝が!これで孫達に肉が食べさせられなくなった!」
比瑪 「なんだか可哀想じゃない?」
勇 「ああいう逞しい人達は生き残るよ」
ナッキィ 「俺が世話になったコゥ・チェンのとこも大家族で、あんなもんだったなあ」
比瑪 「モハマドさんを紹介してくれた人?」
ナッキィ 「そうだ。モハマドさんの所も大家族でさ、ノヴィスも似たようなもんで、俺はそういうのに縁があるんだな」
比瑪 「ナッキィのお父さんとお母さんは?」
ナッキィ 「そういうのはいない」
比瑪 「あっ・・・」
ナッキィ 「いいぞ。そのまま後ろを警戒しつつ、前へ回り込め。ようし、良い子だ!」
勇 「へえ、ナッキィのブレンも凄いんだな」
比瑪 「私のもよ、このブレンと会って気が利く様になったのね」
勇 「そうなのか」
比瑪 「ナッキィ・ブレン!お利口さんよ!」
勇 「・・・あ!いつ取ったんだ!」
比瑪 「あの村の人に捕まる前!」
勇 「そうか、そうだよね」
比瑪 「それ、女物よね?」
勇 「ネリー・キムさんの形見なんだ」
比瑪 「形見?亡くなったの?その方」
勇 「ネリー・ブレンが俺のブレンとリバイバルするときにね。情け容赦ないんだ」
比瑪 「怖かったんだ」
勇 「ああ。オルファンが浮上する時に、ネットが歪んだりしたらああなるかもな」
勇 「・・・可能性はある」
比瑪 「そんなに怖い事があったんだ・・・でも再リバイバルした時、ネリーと勇のブレン、一緒になったって・・・そう言ったよね?勇!」
勇 「そう言った・・・そうか!地球の問題やオルファンの事って全てが絶望的な事じゃないかもしれないんだな?」
比瑪 「そうよ!ブレンは空を飛んでんだもの!」
勇 「上手くいくって事だ!」
比瑪 「そうだよ絶対!」
勇 「そうだよな!誰が絶望するもんか!」
比瑪 「ふふっ、そうそう!」
ナッキィ 「なんだ、やってるじゃないか」
勇 「そうだよ、そうだったんだ!」
バロン 「ジョナサン、オルファンは女性の姿をその芯に蓄えていると言うが、本当か?」
ジョナサン 「ああ、バロン・マクシミリアン。あなたのバロンズゥはオルファンの懐に飛び込みました。あなたはオルファンに迎えられるに相応しい方という証明です。リクレイマーはあなたの英知と高潔さで、より良き方向に導かれるでしょう」
バロン 「ん?あれは?」
ジョナサン 「な、なんなんだよ!あれは!?」
ジョナサン 「オルファンの装甲に・・・誰がこんな悪ふざけをするんだ!」
バロン 「リクレイマーのものとは思えないが、どういう事なのだジョナサン?」
ジョナサン 「俺が聞きたい。バロン・ズゥ!ソード・エクスを構え!」
ジョナサン 「こいつらはリクレイマーではない」
バロン 「分かっている。入国審査があるようだ」
ジョナサン 「入国審査だと?ジョナサン・グレーンが強力な・・・」
アメリカ兵 「所属不明のグランチャーに告ぐ!入国審査の為下のシャッターに進め!」
ジョナサン 「指図をするな!」
バロン 「ジョナサン!ここは彼等に従え」
ジョナサン 「何故です!」
アメリカ兵 「オルファンがアメリカの53番目の州になったのも知らないのか?」
ジョナサン 「オルファン州とでも言うのか!」
アメリカ兵 「抵抗するなら、ブレンパワードタイプとみなして撃墜する!」
ジョナサン 「面白い、お前達軍隊グランチャーに落とせるか!」
アメリカ兵 「うわああ!」
ジョナサン 「バロン・マクシミリアンのバロン・ズゥを案内してきたんだ、不服なら貴様達を・・・」
クインシィ 「ジョナサン、ご苦労様」
ジョナサン 「クインシィ?」
クインシィ 「私からはジョナサンの背中が見える」
ジョナサン 「どこにいるんだ?」
クインシィ 「中央コントロールのオーガニック・レーダーから端末を繋いだ。そのバロン・ズゥとかの正面シャッターのデッキにいる。」
クインシィ 「バロン・マクシミリアンという男が見える。何者だ?」
ジョナサン 「このグランチャーをリバイバルさせて、私に与えてくれた恩人だ」
シラー 「ジョナサンが帰ってきた!」
リクレイマー 「見ろよ!あのグランチャーは進化したタイプだ!」
翠 「ジョナサン!帰ってきたのね、ジョナサン!無事でよかった、本当に心配していたのよ!あなたが帰ってくれれば、もうオルファンにはすぐにでも銀河へ飛び立ってもらえるわ」
ジョナサン 「ドクター、紹介したい人がいるんだ」
翠 「ああ、あの方?」
バロン 「左様、プレートの導きでジョナサンと巡り合うことができた者です」
翠 「伊佐美翠、リクレイマーの研究班をまとめています」
バロン 「ならばリクレイマーのリーダーの研作博士はどちらかな?」
翠 「あれは、アメリカ軍との応対で飛び回っておりまして何処にいるやら・・・」
バロン 「それは・・・察するところ、クインシィ・イッサーと見たが?」
クインシィ 「名前を知ってくれて嬉しいが、どういうつもりでオルファンに来たんだ?バロン」
バロン 「グランチャー部隊を取りまとめる御苦労を重ねる貴公を、助けたいと考えて、バロン・ズゥをジョナサンに預けた」
翠 「クインシィを助ける?」
クインシィ 「信じていいのかな?」
バロン 「ジョナサンには良いリーダーが要る」
翠 「余計な事を!」
ジョナサン 「よう!シラー!」
シラー 「おかえり、面白いグランチャーじゃないか」
勇 「あれ?みんなアンチボディじゃないか!」
比瑪 「来る途中ブレンはここに来たがったのよ」
ナッキィ 「震えるな。見たいって言うから連れて来たやったんだろ?しっかりしろ!これがアメリカ軍のやり方だ、ちょっと性能が悪いと捨てちまう!」
比瑪 「じゃあこれ、アメリカ軍が持ってきたもの?」
勇 「オルファンのものだよ。大陸で出たものをまとめたって、こんな数はないよね?ナッキィさん」
ナッキィ 「半年以上かかって、4人集めたのが精一杯だった」
比瑪 何故ここに捨てたの?」
勇 「アンチボディなら、グランチャーもブレンも、同じような場所で墓場を作りたいと思うんだよな?何故なんだ?教えてくれ、ネリー・ブレン」
シラー 「凄いだろう!あっと言う間にこうだ!軍っていう組織は機能的だし、来た連中も礼儀正しい。オルファンにとってアメリカナイズはいい事だ」
ジョナサン 「シラー、貴様逆上せていないか?」
シラー 「ガバナーだって妥当だって言っているんだ。あのクインシィだってアメリカ軍に従ってるのは見たろ?」
ジョナサン 「クインシィの腹の中くらい想像がつく。・・・なんですか?ドクター」
翠 「ちょっとやつれたかしらね?バロンに虐められた?」
ジョナサン 「そんなことありません」
バロン 「グランチャーはアメリカ軍が持ち込んだのか?」
翠 「オルファンで提供したものが半分、持ち込んで来たものが半分。ガバナーの采配で上手く編成できました」
バロン 「オルファンのガバナーか。狡猾な事を」
比瑪 「なにしてるわけ?」
勇 「ナッキィは4人のアンチボディに付き合ってるから俺よりアンチボディを知ってるみたいなんだよな」
ナッキィ 「そうか、わかったぞ、お前達が何でここで死んでいく気になったのか・・・比瑪!勇!こいつらはオルファンに行きたくなかったんだ。それで人の乗せるのを拒否してここに集まったんだ」
勇 「どうしてそんな事が解る?」
ナッキィ 「こいつらのハッチもシャッターも、硬く閉じている。人間を乗せることを拒んだアンチボディはいずれ硬化する」
比瑪 「そ、そうよね」
ナッキィ 「アメリカ軍の扱いも乱暴だったようだ」
勇 「オルファンから逃げた時に、やられたりもしたのか?」
ナッキィ 「そうだろうな。このブレンは乗り手を無くしてフラフラしてる時も、ハッチは開いていた。オルファンに行くことを予想してないブレンはそういうものなんだ」
勇 「それにひきかえ彼らは、オルファンが上陸してから逃げ出さなければならなかった」
ナッキィ 「そうなんだよ。もう少し前に出会っていれば、こいつらを助けられたのに、それが出来なかったんだよ俺には・・・!」
比瑪 「ナッキィさん・・・」
比瑪 「カントが言ってたものね、ブレン達は花が好きだって。摘むと可哀想だけどこれなら根付くよね」
比瑪 「ネリーさんの形見を埋めるの?」
勇 「うん、ここならネリーも喜ぶはずだ。・・・ん?うわあっ!」
比瑪 「ネリー・ブレン!」
勇 「気持ちは分かるけど、ネリーブレン!・・・ブレスレット一つの記憶より、お前と俺の中に染み込んだネリー・キムの思い出を大切にしたいな、一杯あるだろ?ここにいる宇都宮比瑪って、良い子なんだぞ。こういう事をちゃんと分かってくれるんだ。お前の体の中にはネリーも、俺のブレンもいるんだろ?これで十分じゃないか、ネリー・ブレン」
比瑪 「ありがとう勇。でも私、人を愛せない人って嫌いだよ」
勇 「ありがとう。ネリーはね、ジョナサンとバロンとバロン・ズゥがオルファンに入ることを恐れてたんだ」
比瑪 「バロン?バロン・ズゥ?」
勇 「ああ」
ナッキィ 「一つの記憶を封印するかい?」
勇 「そうする」
勇 「・・・くっ!」
※「鬼畜米米」という言葉自体はありませんが、「鬼畜米英」では道理が合わないので聞こえる侭の言葉で書きました。
「鬼畜米兵」という説もあり。
第18話「愛の淵」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204032140286202/
→第20話「ガバナーの野望」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201207101802064457/
ブレンパワード 全台詞集 第17話「カーテンの向こうで」
2012年4月7日 ブレンパワード全台詞集
脚本:面出明美 絵コンテ:赤根和樹 演出:森邦宏 作画監督:佐久間信一
比瑪
(ナレーション) 「オルファンを前にして勇がお姉さんとぶつかってしまった。ナッキィ・ガイズはグランチャーだから戦力になるようでならなかった。その間に、ユウはお姉さんに抱かれて消えちゃったの!あれじゃあ今頃、別の銀河の惑星に行っちゃってオルファンが勇を追いかけて行くってことだってあるんじゃない?」
依衣子 「勇・・・勇・・・!」
依衣子 「こんな所で寝ていると風邪ひくよ」
勇 「ああ」
依衣子 「お茶入れたの。みんな待ってるわ、いらっしゃい」
勇 「ありがとう」
依衣子 「何してるの?早くいらっしゃい。仕方ないわね」
勇 「みんないるんだね」
依衣子 「まだ寝ぼけているの?早くいらっしゃい。勇」
勇 「わかってるよ」
勇 「冷たい。雪じゃないか、これ」
勇 「ん?・・・ううっ!どこなんだ、ここは?生きてるよな?俺」
勇 「そうか、飛ばされてたんだ。ブレン、お前が呼んでくれていたのか」
勇 「まるで知らない景色だ。ん?お前、大丈夫なのか?」
勇 「俺が感情に流されたばかりに、お前をこんなに酷い目に遭わせちまって。すまない、ブレン・・・」
勇 「どうするかね」
勇 「状況がわからないなら・・・じっとしてない方がいいけど」
勇 「ようし良い子だ。ん?」
勇 「怯えなくていい。敵だと決まっているわけじゃない、仲間かもしれないだろ。ん?」
勇 「何だ!?」
勇 「グランチャーのシルエットに似てるけど・・・!」
勇 「来た!」
勇 「グランチャーなのか!?」
ジョナサン 「ふっふっふ・・・あはは!はっはっははは!」
勇 「ジョナサンの幻覚などに騙されるか!」
ジョナサン 「残念だなぁ、勇!本物なんだよ!幻でもないしお前の錯覚でもない!お前の頭が頭がおかしくなってない事は、この俺が保障してやる!」
勇 「生きていたのか!」
ジョナサン 「今のお前と同じようになあ。やれよ!」
勇 「ブ、ブレン!貴様ぁ!」
ジョナサン 「再会を祝って歓迎してやったんだろう。孤独であるより楽しいぞ」
ジョナサン 「オーガニック・エナジーが作ってくれた再会のチャンス!ともに祝おう!」
勇 「ブレン、逃げろ!相手に出来るもんじゃない!逃げろ!」
ジョナサン 「行けー!」
勇 「無理だ!ブレン!下がれ!」
勇 「無理だって!」
勇 「はぁっ・・・どうしてもやるのか?やれるのか、あんな変なグランチャーとでも。ブレン!」
ジョナサン 「はははっ、そうだよ!勇のブレンが泣いてるなぁ。勇、貴様が泣くのを見られるとは人生捨てたものじゃない」
勇 「舐めるなぁ!どういう状態だろうと!」
ジョナサン 「まだそんな力が残ってんのか!」
ジョナサン 「バイタル・ネットに引っ掛けたのか!?」
勇 「ブレン、これがわかってたのか。もつのか!?」
勇 「よくやった!もういい、逃げよう!・・・ん?」
ジョナサン 「かつての戦友だ、このくらい力があった方が倒し概があるってものだ。伊佐未ファミリーにはそろそろ引っ込んでもらいたかったんで、血祭りの手始め!覚悟してもらうぜ!」
勇 「わかったブレン、もう戦わなくていい!抵抗せずに一気に・・・」
ジョナサン 「ハハッ!消えてなくなれ!」
勇 「最後の一手は俺が打つ!」
ジョナサン 「何だ。勇の援軍か?」
勇 「別のアンチボディ?ブレンタイプに見えるけど」
ネリー 「あなたたちの邪気がこの森を、バイタル・ネットが作る結界を汚しています」
ジョナサン 「何を偉そうに物言うか!ここは俺とバロンズゥの作る結界だぞ!」
ジョナサン 「生意気な!」
ネリー 「やはりバロン・マクシミリアン」
勇 「バロン・マクシミリアン?」
ネリー 「バロン・マクシミリアン!グランチャー・バロンズゥを嗾ける事は罪を犯す事です。バロンズゥを引かせなければ私のブレンパワードまで暴発するかもしれません。それでは私も罪を犯し、私も貴方も罰を受けることになります」
勇 「罪を犯し、罰を受ける。バロンだと?」
ジョナサン 「勇と一緒に潰してやる!それでお前の罪と罰もチャラにしてやるよ!」
ネリー 「おやめなさい、バロンズゥを操る人。貴方には貴方が思うほどの力などは無いのです!」
ネリー 「バロンズゥ!お帰りなさい!あなたのプレートに」
ジョナサン 「俺のバロンズゥ!なにびびってる!たった一人のブレンだぞ!」
バロン 「ジョナサン・グレーン、引くがいい」
ジョナサン 「何故止める?バロン・マクシミリアン・・・うっ」
ネリー 「可哀想、動けます?」
勇 「ブレンに聞いてやって」
ネリー 「ああ・・・」
勇 「大丈夫なんですか?」
ネリー 「わかりません」
勇 「でも行くんですね?」
ネリー 「はい。憎しみの瞳の前にはいられないでしょう?」
ジョナサン 「おめおめ逃がすかよ!」
バロン 「やめろジョナサン!」
ジョナサン 「バロンがこのグランチャーを俺に与えてくれたからって!」
バロン 「君は自分の感情に流され過ぎる。それではそのバロンズゥの能力を引き出すことは出来ない」
ジョナサン 「そんな事は無い!俺はオルファンでグランチャーを・・・」
バロン 「未熟だから!ここに飛ばされたのだ。急ぐ事は無い、あのブレンともすぐに会える。それまで学ぶ事はまだある」
ジョナサン 「くっ」
ナンガ 「じゃあ勇のブレンパワードは、バイタル・グロウブに乗って強制的に飛ばされたってわけか」
カント 「それ以外考えられませんし、そうなら撃墜はされてないと思います。オルファンから逆流した膨大なオーガニック・エナジーを受け止めるには、ブレンパワード1体では荷が重いんですよ」
ナンガ 「じゃあ前にグランチャーを吹き飛ばした時と同じ現象なんだな」
コモド 「でもどこに飛ばされたかわからないんでしょ?オーガニック・レーダーだって」
ナンガ 「ありゃあカバーが狭いもんなあ」
カント 「そうなんですよね。バイタル・グロウブのネットの分布って、まだよくわかってないし」
カナン 「でもカント・ケストナー!バイタル・ネットを使って、帰ってくることだって出来るんでしょ?」
カント 「そりゃあできます。理論的にはね」
カナン 「なのに連絡もない」
カント 「オルファンの移動によって地球上のバイタル・グロウブが乱れ始めています。その所為で彼の位置を掴み辛くなってるという問題もあります」
ナンガ 「しかし、勇が生きてる可能性は皆無ではない」
カント 「そりゃそうですよ。ブレンが付いてるんですよ?」
コモド 「なら決まりだね」
ナンガ 「何がだ?」
コモド 「オドンの神に祈るの」
ナンガ 「なら俺の分も祈ってくれ」
ナッキイ 「あはっ、全員ここにいるじゃないですか」
カナン 「何の様です?」
ナッキイ 「ご挨拶ですねぇ。僕だってまだブレンがいるんです、仲間に入れてほしいな」
ナンガ 「今は警戒体制中だ!持ち場に戻るぞ!」
比瑪 「何するの!?」
ナッキイ 「同情するよ、恋人のユウ・イサミの生死が心配だろ?」
比瑪 「短絡的な表現しか出来ない人ね」
ナッキイ 「すまない」
比瑪 「だけどあなたはノヴィス・ノアに馴染んでくれて一緒に戦ってくれると思ってる」
ナッキイ 「それはそうしたいけど・・・わからないな」
比瑪 「何が?」
ナッキイ 「好きでもない奴のために思いつめられる女の子ってさ」
比瑪 「うっ・・・」
ナッキイ 「フフッ」
ネリー 「どうぞ」
勇 「君は?」
ネリー 「ネリー。ご覧のとおりの女です」
勇 「そうでしょうけど」
ネリー 「どうぞ」
勇 「す、すまない」
ネリー 「ここなら安全です」
勇 「そ、そうですか」
ネリー 「でも、ここではブレンの傷を治してあげる事は出来ません」
ネリー 「でも強い子ね。私のブレンの側にいれば、少しは落ち着いてくれるわね?」
勇 「あ、あの、君は何者で、なぜブレンパワードに乗ってるんだ?あのグランチャーはなんなんだ?ここは・・・」
ネリー 「うふふっ」
勇 「何がおかしいんだ?」
ネリー 「貴方が聞いてばかりいるから。それに私、しばらく人と話していなかったから嬉しくなったの。すぐ吹雪が来ます、小屋に入りましょう」
勇 「あ、ああ」
ネリー 「お友達をお願いね」
(アイキャッチ)
ネリー 「ベッドは貴方が使っていいのよ」
勇 「もう少し見ていたいな」
ネリー 「何を?」
勇 「君を」
ネリー 「どうして?」
勇 「君が知ってる人に似ているから」
ネリー 「どんなところが?」
勇 「顔・・・じゃないな。全然性格は違うんだけど、雰囲気なんだな。ブレンと話をしているみたいなところなんか、そっくりなんだ」
ネリー 「だって、本当に話してるのよ。貴方だって話せるでしょ?」
勇 「少しは。いや、嘘だな。俺にはあいつの言葉は聞こえない」
ネリー 「そうは思えないなぁ。瀕死の重傷を負いながらも、貴方のブレンは貴方を守ったのよ。貴方達がお話しできないなんて事はないわ」
勇 「比瑪は言葉はなくとも、なんとなく分かるって言ってた。あいつが話すとヒメブレンは喜ぶんだよ。俺は捻くれてるから」
ネリー 「そういう風に話せるようになったのなら、もう聞こえるわ。今までは聞こうとしなかったんでしょ?」
勇 「聞こうとしてなかった?」
ネリー 「そうでしょ?貴方の気性は激しかった。でもあのブレンと付き合うようになって柔らかくなったんでしょう?」
勇 「そうか。そうだね」
ネリー 「その比瑪って人、貴方の大切な人なのね」
勇 「違うよ、俺にはそんな人はいない」
ネリー 「うふふっ。そう思い込もうとしてるだけでしょ?」
ネリー 「人間は誰だって大切な人を持ってるものよ、だから生きていける。一人で生きていくの辛いしは怖いわ。ブレンパワードのようなオーガニック・マシンと呼ばれる存在だってそうなのよ。だからあの子達私達のような人を水先案内人として選ぶのよ」
勇 「パイロットって元々そういう意味か。分かったよ。俺みたいな感の強いのと付き合ったおかげで、あいつはあんな目にあっちまったんだ」
勇 「それに引き換え姉さんは」
勇 「あの時だって見切ってた。グランチャーを痛めない様にした。姉さんはグランチャーの気持ちを解っている・・・」
勇 「君だって大切な人はいるんだろ?」
ネリー 「もちろんいたわ。けどお別れしてきたの」
勇 「どうして?」
ネリー 「こういう時代でしょ?あの子といる事を選んだのよ」
勇 「ネリー・ブレンといる事を?」
ネリー 「そうする事が正しいと思ったから」
勇 「戦うため?」
ネリー 「違うわ。出来ればあの子と二人で静かに暮らしていきたかった。でもそういう訳にはいかないのね。この時代に何かを成す為に生まれてきたものだから。このような事も起こる。それは思っていたわ」
勇 「リバイバルを見たから?」
ネリー 「それはそう」
勇 「痛っ」
ネリー 「動かないで、肩の骨が外れて周りの筋肉が炎症を起こしているのね。骨をはめるわ」
勇 「え?」
ネリー 「ふん!」
勇 「ううっ」
ネリー 「ちょっと痛いわよ。んっ!」
勇 「うううっ!」
ネリー 「ふう、済んだわ」
勇 「外れてたんですか?」
ネリー 「ええ。湿布を貼ります。シャツを脱いでください」
勇 「用意は良いんだね、ここに居たんじゃないんだ?」
ネリー 「ここの上空はバイタル・ネットのクロスするところ」
勇 「ひゃっこい!」
ネリー 「しばらくは、ここからは出られないわ」
勇 「バイタル・ネットのせいで?」
ネリー 「ええ、それはあのグランチャー・バロンズゥも同じ。今日の勢いではここでの決着を付けに来るでしょうね」
ジョナサン 「バロンが、バロン・マクシミリアンが慣れる必要があると言うからバロンズゥを出したのだ!」
バロン 「その激情を沈めるのだジョナサン!一瞬のやり取りで敵の力を見極めるという事、その程度ができないようではまだまだ」
ジョナサン 「感謝しているんだバロン!あんたがあの強力なグランチャーを提供してくれたことを。自重もしよう、約束する。だからだ、頼む!オルファンに行こう!バロンズゥで行けば伊佐未ファミリーも土下座する!」
バロン 「いずれ行くつもりだ、私の使命と考えているから」
ジョナサン 「使命?ガバナーは貴方だったのか!?」
バロン 「残念だが違うな」
ジョナサン 「貴方のような方がリクレイマーのリーダーだったら、オルファンはもっと健やかだったものを」
バロン 「そうなのか?」
ジョナサン 「伊佐未ファミリーの息子はノヴィス・ノアに寝返る様な奴だ。家族同士の甘えの中で、親も子も、自堕落この上ないのです!あんなファミリーに再生させられたオルファンこそ、同情すべき存在なのですよ!」
ジョナサン 「おかしいな、なぜこんな話をあんたにするんだろう。誰にも話したことないのに」
バロン 「相性・・・というのかな。合うのだろう」
ジョナサン 「あ、ああ」
バロン 「決着はつけてもらう」
ジョナサン 「あの女のブレンパワードをか?」
バロン 「あれの隠れ場所は見当が付いている」
ジョナサン 「流石バロン・マクシミリアン!」
ニュースA 「津波の心配だけではなく、地殻が不安定になっているために、いつ自分の足元の地面に亀裂が入り地の底に落ちるのか、その不安の方が大きいのです。その不安は軍、治安部隊にまで及び、暴徒鎮圧自体不可能になるものと・・・」
ニュースB 「国連のノヴィス・ノア作戦行動についての懸案はこの一週間何の進展も見せていません」
モハマド 「最早!最早国連など当てにはならん!」
アイリーン 「パニックは世界規模になりましたからね」
モハマド 「リクレイマーにオルファンを止めろと言う国が何処にもいないのなら、太平洋沿岸の難民の子供達を一人でも多く収容して、インド洋に出て我々の国に移動しましょう」
アイリーン 「そうします。けれどオルファンの動きを静める、戦うのはやめませんよ」
モハマド 「そりゃあそうです。オルファンの怒りのエネルギーがどういうものか解っていないんですから」
アイリーン 「いい事おっしゃいましたわ、ミスター・モハマド」
モハマド 「は、はい」
アイリーン 「だからですよ。オルファンの怒りを抑止するために私はノヴィス・ノアに子供達を集めたいんです」
モハマド 「ほぉ・・・ほう?」
アイリーン 「子供達のハツラツとした生気をオルファンは全部吸っちゃうのかしら?」
モハマド 「吸っちゃうんじゃないですか?」
アイリーン 「私、そうは思えなくなったんです」
モハマド 「どうして?」
アイリーン 「ブレンとグランチャーとオルファンを見てると、それに生物までの関わりを見ると、一方的に一方のエネルギーを吸い取る関係には見えないんですよね」
モハマド 「第一線で観察した結果がそうなら、嬉しい事ですね」
副長 「天才カント・ケストナー君も言っています」
モハマド 「うおっ!」
副長 「この事件、物理学じゃないってね」
モハマド 「なるほど。オーガニック・エナジー、生体エネルギーは情愛とも関連しているわけですね」
副長 「はい」
モハマド 「そうかあ!子供達もノヴィス・ノアの戦力になるんですね?」
アイリーン 「その可能性はあると・・・」
モハマド 「凄い!」
副長 「ん!」
モハマド 「う・・・」
ゲイブリッジ 「既にアメリカが動き始めています。ですから私も動きます」
直子 「動くって?」
ゲイブリッジ 「アメリカの動きを牽制したいのです」
直子 「出来ますか?」
ゲイブリッジ 「分かりません。歴史の無いアメリカという国はあらゆる歴史的な物を手に入れたいのです。その様な衝動に駆られてしまう者を押さえるのは実に難しい事です。お付き合い願えますか?」
直子 「はい」
ゲイブリッジ 「驚かないのですねぇ?」
直子 「貴方の事を昔からよく知っていたはずなのに、あの時は即答できずに後悔しました。もう、ああいう事は嫌ですから」
ゲイブリッジ 「勇君は解ってくれるだろうか」
直子 「あの子も、もう大人ですよ」
ネリー 「おはよう、ユウ・ブレン。気持ちは落ち着きましたか?」
ネリー 「そう、気が合ったのね。ご苦労様」
ネリー 「私なら大丈夫。勇君も良い友達になれた」
ネリー 「おはよう、勇」
勇 「おはよう」
ネリー 「この子、貴方に興味があるのね」
勇 「ありがたいな。ブレン、すまないな。何もしてあげられなくって」
ネリー 「駄目!あなたはまだ動いてはいけません!」
勇 「ネリー・キムの言う通りだ、もう少し養生するんだ」
ネリー 「聞き分けの良い子だ。・・・ブレン?」
勇 「何か来るのか?ネリー」
ネリー 「わかりません」
勇 「ブレン!」
ネリー 「私を貴方の中へ!」
勇 「ネリー!またあいつが来たんだな?」
ネリー 「そうでしょう」
勇 「ん?」
勇 「ジョナサンか?」
ジョナサン 「外にいたのは運が良いと言いたいが、この方がいい。バロンズゥの完熟訓練だからな」
勇 「ブレン、開くか?ネリー!」
ネリー 「バロン・マクシミリアンは、あのグランチャーを邪悪に使うことを目指してるだけ。それに、あの青年を手伝わせるという心はいったい何なの?」
ジョナサン 「俺は俺の戦い方をバロンに示し、その上でオルファンに凱旋をする!いけよやー!」
ネリー 「飛びませ!ブレン!」
ジョナサン 「勇を討たせてくれれば、貴様の話を聞いてやってもいいんだぞ!」
ネリー 「なぜその様な口が邪悪な心で言えるのです!」
勇 「頼む、動いてくれブレン!」
勇 「そうだ、お前は強い。あのネリー・ブレンを助けられる」
勇 「来た!」
ジョナサン 「ハァーイ!これでサヨナラだ。勇」
勇 「そうなのか!?」
比瑪 「勇・・・」
第16話「招かれざる客」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201201262014521372/
→第18話「愛の淵」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204032140286202/
比瑪
(ナレーション) 「オルファンを前にして勇がお姉さんとぶつかってしまった。ナッキィ・ガイズはグランチャーだから戦力になるようでならなかった。その間に、ユウはお姉さんに抱かれて消えちゃったの!あれじゃあ今頃、別の銀河の惑星に行っちゃってオルファンが勇を追いかけて行くってことだってあるんじゃない?」
依衣子 「勇・・・勇・・・!」
依衣子 「こんな所で寝ていると風邪ひくよ」
勇 「ああ」
依衣子 「お茶入れたの。みんな待ってるわ、いらっしゃい」
勇 「ありがとう」
依衣子 「何してるの?早くいらっしゃい。仕方ないわね」
勇 「みんないるんだね」
依衣子 「まだ寝ぼけているの?早くいらっしゃい。勇」
勇 「わかってるよ」
勇 「冷たい。雪じゃないか、これ」
勇 「ん?・・・ううっ!どこなんだ、ここは?生きてるよな?俺」
勇 「そうか、飛ばされてたんだ。ブレン、お前が呼んでくれていたのか」
勇 「まるで知らない景色だ。ん?お前、大丈夫なのか?」
勇 「俺が感情に流されたばかりに、お前をこんなに酷い目に遭わせちまって。すまない、ブレン・・・」
勇 「どうするかね」
勇 「状況がわからないなら・・・じっとしてない方がいいけど」
勇 「ようし良い子だ。ん?」
勇 「怯えなくていい。敵だと決まっているわけじゃない、仲間かもしれないだろ。ん?」
勇 「何だ!?」
勇 「グランチャーのシルエットに似てるけど・・・!」
勇 「来た!」
勇 「グランチャーなのか!?」
ジョナサン 「ふっふっふ・・・あはは!はっはっははは!」
勇 「ジョナサンの幻覚などに騙されるか!」
ジョナサン 「残念だなぁ、勇!本物なんだよ!幻でもないしお前の錯覚でもない!お前の頭が頭がおかしくなってない事は、この俺が保障してやる!」
勇 「生きていたのか!」
ジョナサン 「今のお前と同じようになあ。やれよ!」
勇 「ブ、ブレン!貴様ぁ!」
ジョナサン 「再会を祝って歓迎してやったんだろう。孤独であるより楽しいぞ」
ジョナサン 「オーガニック・エナジーが作ってくれた再会のチャンス!ともに祝おう!」
勇 「ブレン、逃げろ!相手に出来るもんじゃない!逃げろ!」
ジョナサン 「行けー!」
勇 「無理だ!ブレン!下がれ!」
勇 「無理だって!」
勇 「はぁっ・・・どうしてもやるのか?やれるのか、あんな変なグランチャーとでも。ブレン!」
ジョナサン 「はははっ、そうだよ!勇のブレンが泣いてるなぁ。勇、貴様が泣くのを見られるとは人生捨てたものじゃない」
勇 「舐めるなぁ!どういう状態だろうと!」
ジョナサン 「まだそんな力が残ってんのか!」
ジョナサン 「バイタル・ネットに引っ掛けたのか!?」
勇 「ブレン、これがわかってたのか。もつのか!?」
勇 「よくやった!もういい、逃げよう!・・・ん?」
ジョナサン 「かつての戦友だ、このくらい力があった方が倒し概があるってものだ。伊佐未ファミリーにはそろそろ引っ込んでもらいたかったんで、血祭りの手始め!覚悟してもらうぜ!」
勇 「わかったブレン、もう戦わなくていい!抵抗せずに一気に・・・」
ジョナサン 「ハハッ!消えてなくなれ!」
勇 「最後の一手は俺が打つ!」
ジョナサン 「何だ。勇の援軍か?」
勇 「別のアンチボディ?ブレンタイプに見えるけど」
ネリー 「あなたたちの邪気がこの森を、バイタル・ネットが作る結界を汚しています」
ジョナサン 「何を偉そうに物言うか!ここは俺とバロンズゥの作る結界だぞ!」
ジョナサン 「生意気な!」
ネリー 「やはりバロン・マクシミリアン」
勇 「バロン・マクシミリアン?」
ネリー 「バロン・マクシミリアン!グランチャー・バロンズゥを嗾ける事は罪を犯す事です。バロンズゥを引かせなければ私のブレンパワードまで暴発するかもしれません。それでは私も罪を犯し、私も貴方も罰を受けることになります」
勇 「罪を犯し、罰を受ける。バロンだと?」
ジョナサン 「勇と一緒に潰してやる!それでお前の罪と罰もチャラにしてやるよ!」
ネリー 「おやめなさい、バロンズゥを操る人。貴方には貴方が思うほどの力などは無いのです!」
ネリー 「バロンズゥ!お帰りなさい!あなたのプレートに」
ジョナサン 「俺のバロンズゥ!なにびびってる!たった一人のブレンだぞ!」
バロン 「ジョナサン・グレーン、引くがいい」
ジョナサン 「何故止める?バロン・マクシミリアン・・・うっ」
ネリー 「可哀想、動けます?」
勇 「ブレンに聞いてやって」
ネリー 「ああ・・・」
勇 「大丈夫なんですか?」
ネリー 「わかりません」
勇 「でも行くんですね?」
ネリー 「はい。憎しみの瞳の前にはいられないでしょう?」
ジョナサン 「おめおめ逃がすかよ!」
バロン 「やめろジョナサン!」
ジョナサン 「バロンがこのグランチャーを俺に与えてくれたからって!」
バロン 「君は自分の感情に流され過ぎる。それではそのバロンズゥの能力を引き出すことは出来ない」
ジョナサン 「そんな事は無い!俺はオルファンでグランチャーを・・・」
バロン 「未熟だから!ここに飛ばされたのだ。急ぐ事は無い、あのブレンともすぐに会える。それまで学ぶ事はまだある」
ジョナサン 「くっ」
ナンガ 「じゃあ勇のブレンパワードは、バイタル・グロウブに乗って強制的に飛ばされたってわけか」
カント 「それ以外考えられませんし、そうなら撃墜はされてないと思います。オルファンから逆流した膨大なオーガニック・エナジーを受け止めるには、ブレンパワード1体では荷が重いんですよ」
ナンガ 「じゃあ前にグランチャーを吹き飛ばした時と同じ現象なんだな」
コモド 「でもどこに飛ばされたかわからないんでしょ?オーガニック・レーダーだって」
ナンガ 「ありゃあカバーが狭いもんなあ」
カント 「そうなんですよね。バイタル・グロウブのネットの分布って、まだよくわかってないし」
カナン 「でもカント・ケストナー!バイタル・ネットを使って、帰ってくることだって出来るんでしょ?」
カント 「そりゃあできます。理論的にはね」
カナン 「なのに連絡もない」
カント 「オルファンの移動によって地球上のバイタル・グロウブが乱れ始めています。その所為で彼の位置を掴み辛くなってるという問題もあります」
ナンガ 「しかし、勇が生きてる可能性は皆無ではない」
カント 「そりゃそうですよ。ブレンが付いてるんですよ?」
コモド 「なら決まりだね」
ナンガ 「何がだ?」
コモド 「オドンの神に祈るの」
ナンガ 「なら俺の分も祈ってくれ」
ナッキイ 「あはっ、全員ここにいるじゃないですか」
カナン 「何の様です?」
ナッキイ 「ご挨拶ですねぇ。僕だってまだブレンがいるんです、仲間に入れてほしいな」
ナンガ 「今は警戒体制中だ!持ち場に戻るぞ!」
比瑪 「何するの!?」
ナッキイ 「同情するよ、恋人のユウ・イサミの生死が心配だろ?」
比瑪 「短絡的な表現しか出来ない人ね」
ナッキイ 「すまない」
比瑪 「だけどあなたはノヴィス・ノアに馴染んでくれて一緒に戦ってくれると思ってる」
ナッキイ 「それはそうしたいけど・・・わからないな」
比瑪 「何が?」
ナッキイ 「好きでもない奴のために思いつめられる女の子ってさ」
比瑪 「うっ・・・」
ナッキイ 「フフッ」
ネリー 「どうぞ」
勇 「君は?」
ネリー 「ネリー。ご覧のとおりの女です」
勇 「そうでしょうけど」
ネリー 「どうぞ」
勇 「す、すまない」
ネリー 「ここなら安全です」
勇 「そ、そうですか」
ネリー 「でも、ここではブレンの傷を治してあげる事は出来ません」
ネリー 「でも強い子ね。私のブレンの側にいれば、少しは落ち着いてくれるわね?」
勇 「あ、あの、君は何者で、なぜブレンパワードに乗ってるんだ?あのグランチャーはなんなんだ?ここは・・・」
ネリー 「うふふっ」
勇 「何がおかしいんだ?」
ネリー 「貴方が聞いてばかりいるから。それに私、しばらく人と話していなかったから嬉しくなったの。すぐ吹雪が来ます、小屋に入りましょう」
勇 「あ、ああ」
ネリー 「お友達をお願いね」
(アイキャッチ)
ネリー 「ベッドは貴方が使っていいのよ」
勇 「もう少し見ていたいな」
ネリー 「何を?」
勇 「君を」
ネリー 「どうして?」
勇 「君が知ってる人に似ているから」
ネリー 「どんなところが?」
勇 「顔・・・じゃないな。全然性格は違うんだけど、雰囲気なんだな。ブレンと話をしているみたいなところなんか、そっくりなんだ」
ネリー 「だって、本当に話してるのよ。貴方だって話せるでしょ?」
勇 「少しは。いや、嘘だな。俺にはあいつの言葉は聞こえない」
ネリー 「そうは思えないなぁ。瀕死の重傷を負いながらも、貴方のブレンは貴方を守ったのよ。貴方達がお話しできないなんて事はないわ」
勇 「比瑪は言葉はなくとも、なんとなく分かるって言ってた。あいつが話すとヒメブレンは喜ぶんだよ。俺は捻くれてるから」
ネリー 「そういう風に話せるようになったのなら、もう聞こえるわ。今までは聞こうとしなかったんでしょ?」
勇 「聞こうとしてなかった?」
ネリー 「そうでしょ?貴方の気性は激しかった。でもあのブレンと付き合うようになって柔らかくなったんでしょう?」
勇 「そうか。そうだね」
ネリー 「その比瑪って人、貴方の大切な人なのね」
勇 「違うよ、俺にはそんな人はいない」
ネリー 「うふふっ。そう思い込もうとしてるだけでしょ?」
ネリー 「人間は誰だって大切な人を持ってるものよ、だから生きていける。一人で生きていくの辛いしは怖いわ。ブレンパワードのようなオーガニック・マシンと呼ばれる存在だってそうなのよ。だからあの子達私達のような人を水先案内人として選ぶのよ」
勇 「パイロットって元々そういう意味か。分かったよ。俺みたいな感の強いのと付き合ったおかげで、あいつはあんな目にあっちまったんだ」
勇 「それに引き換え姉さんは」
勇 「あの時だって見切ってた。グランチャーを痛めない様にした。姉さんはグランチャーの気持ちを解っている・・・」
勇 「君だって大切な人はいるんだろ?」
ネリー 「もちろんいたわ。けどお別れしてきたの」
勇 「どうして?」
ネリー 「こういう時代でしょ?あの子といる事を選んだのよ」
勇 「ネリー・ブレンといる事を?」
ネリー 「そうする事が正しいと思ったから」
勇 「戦うため?」
ネリー 「違うわ。出来ればあの子と二人で静かに暮らしていきたかった。でもそういう訳にはいかないのね。この時代に何かを成す為に生まれてきたものだから。このような事も起こる。それは思っていたわ」
勇 「リバイバルを見たから?」
ネリー 「それはそう」
勇 「痛っ」
ネリー 「動かないで、肩の骨が外れて周りの筋肉が炎症を起こしているのね。骨をはめるわ」
勇 「え?」
ネリー 「ふん!」
勇 「ううっ」
ネリー 「ちょっと痛いわよ。んっ!」
勇 「うううっ!」
ネリー 「ふう、済んだわ」
勇 「外れてたんですか?」
ネリー 「ええ。湿布を貼ります。シャツを脱いでください」
勇 「用意は良いんだね、ここに居たんじゃないんだ?」
ネリー 「ここの上空はバイタル・ネットのクロスするところ」
勇 「ひゃっこい!」
ネリー 「しばらくは、ここからは出られないわ」
勇 「バイタル・ネットのせいで?」
ネリー 「ええ、それはあのグランチャー・バロンズゥも同じ。今日の勢いではここでの決着を付けに来るでしょうね」
ジョナサン 「バロンが、バロン・マクシミリアンが慣れる必要があると言うからバロンズゥを出したのだ!」
バロン 「その激情を沈めるのだジョナサン!一瞬のやり取りで敵の力を見極めるという事、その程度ができないようではまだまだ」
ジョナサン 「感謝しているんだバロン!あんたがあの強力なグランチャーを提供してくれたことを。自重もしよう、約束する。だからだ、頼む!オルファンに行こう!バロンズゥで行けば伊佐未ファミリーも土下座する!」
バロン 「いずれ行くつもりだ、私の使命と考えているから」
ジョナサン 「使命?ガバナーは貴方だったのか!?」
バロン 「残念だが違うな」
ジョナサン 「貴方のような方がリクレイマーのリーダーだったら、オルファンはもっと健やかだったものを」
バロン 「そうなのか?」
ジョナサン 「伊佐未ファミリーの息子はノヴィス・ノアに寝返る様な奴だ。家族同士の甘えの中で、親も子も、自堕落この上ないのです!あんなファミリーに再生させられたオルファンこそ、同情すべき存在なのですよ!」
ジョナサン 「おかしいな、なぜこんな話をあんたにするんだろう。誰にも話したことないのに」
バロン 「相性・・・というのかな。合うのだろう」
ジョナサン 「あ、ああ」
バロン 「決着はつけてもらう」
ジョナサン 「あの女のブレンパワードをか?」
バロン 「あれの隠れ場所は見当が付いている」
ジョナサン 「流石バロン・マクシミリアン!」
ニュースA 「津波の心配だけではなく、地殻が不安定になっているために、いつ自分の足元の地面に亀裂が入り地の底に落ちるのか、その不安の方が大きいのです。その不安は軍、治安部隊にまで及び、暴徒鎮圧自体不可能になるものと・・・」
ニュースB 「国連のノヴィス・ノア作戦行動についての懸案はこの一週間何の進展も見せていません」
モハマド 「最早!最早国連など当てにはならん!」
アイリーン 「パニックは世界規模になりましたからね」
モハマド 「リクレイマーにオルファンを止めろと言う国が何処にもいないのなら、太平洋沿岸の難民の子供達を一人でも多く収容して、インド洋に出て我々の国に移動しましょう」
アイリーン 「そうします。けれどオルファンの動きを静める、戦うのはやめませんよ」
モハマド 「そりゃあそうです。オルファンの怒りのエネルギーがどういうものか解っていないんですから」
アイリーン 「いい事おっしゃいましたわ、ミスター・モハマド」
モハマド 「は、はい」
アイリーン 「だからですよ。オルファンの怒りを抑止するために私はノヴィス・ノアに子供達を集めたいんです」
モハマド 「ほぉ・・・ほう?」
アイリーン 「子供達のハツラツとした生気をオルファンは全部吸っちゃうのかしら?」
モハマド 「吸っちゃうんじゃないですか?」
アイリーン 「私、そうは思えなくなったんです」
モハマド 「どうして?」
アイリーン 「ブレンとグランチャーとオルファンを見てると、それに生物までの関わりを見ると、一方的に一方のエネルギーを吸い取る関係には見えないんですよね」
モハマド 「第一線で観察した結果がそうなら、嬉しい事ですね」
副長 「天才カント・ケストナー君も言っています」
モハマド 「うおっ!」
副長 「この事件、物理学じゃないってね」
モハマド 「なるほど。オーガニック・エナジー、生体エネルギーは情愛とも関連しているわけですね」
副長 「はい」
モハマド 「そうかあ!子供達もノヴィス・ノアの戦力になるんですね?」
アイリーン 「その可能性はあると・・・」
モハマド 「凄い!」
副長 「ん!」
モハマド 「う・・・」
ゲイブリッジ 「既にアメリカが動き始めています。ですから私も動きます」
直子 「動くって?」
ゲイブリッジ 「アメリカの動きを牽制したいのです」
直子 「出来ますか?」
ゲイブリッジ 「分かりません。歴史の無いアメリカという国はあらゆる歴史的な物を手に入れたいのです。その様な衝動に駆られてしまう者を押さえるのは実に難しい事です。お付き合い願えますか?」
直子 「はい」
ゲイブリッジ 「驚かないのですねぇ?」
直子 「貴方の事を昔からよく知っていたはずなのに、あの時は即答できずに後悔しました。もう、ああいう事は嫌ですから」
ゲイブリッジ 「勇君は解ってくれるだろうか」
直子 「あの子も、もう大人ですよ」
ネリー 「おはよう、ユウ・ブレン。気持ちは落ち着きましたか?」
ネリー 「そう、気が合ったのね。ご苦労様」
ネリー 「私なら大丈夫。勇君も良い友達になれた」
ネリー 「おはよう、勇」
勇 「おはよう」
ネリー 「この子、貴方に興味があるのね」
勇 「ありがたいな。ブレン、すまないな。何もしてあげられなくって」
ネリー 「駄目!あなたはまだ動いてはいけません!」
勇 「ネリー・キムの言う通りだ、もう少し養生するんだ」
ネリー 「聞き分けの良い子だ。・・・ブレン?」
勇 「何か来るのか?ネリー」
ネリー 「わかりません」
勇 「ブレン!」
ネリー 「私を貴方の中へ!」
勇 「ネリー!またあいつが来たんだな?」
ネリー 「そうでしょう」
勇 「ん?」
勇 「ジョナサンか?」
ジョナサン 「外にいたのは運が良いと言いたいが、この方がいい。バロンズゥの完熟訓練だからな」
勇 「ブレン、開くか?ネリー!」
ネリー 「バロン・マクシミリアンは、あのグランチャーを邪悪に使うことを目指してるだけ。それに、あの青年を手伝わせるという心はいったい何なの?」
ジョナサン 「俺は俺の戦い方をバロンに示し、その上でオルファンに凱旋をする!いけよやー!」
ネリー 「飛びませ!ブレン!」
ジョナサン 「勇を討たせてくれれば、貴様の話を聞いてやってもいいんだぞ!」
ネリー 「なぜその様な口が邪悪な心で言えるのです!」
勇 「頼む、動いてくれブレン!」
勇 「そうだ、お前は強い。あのネリー・ブレンを助けられる」
勇 「来た!」
ジョナサン 「ハァーイ!これでサヨナラだ。勇」
勇 「そうなのか!?」
比瑪 「勇・・・」
第16話「招かれざる客」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201201262014521372/
→第18話「愛の淵」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204032140286202/
ブレンパワード 全台詞集 第18話「愛の淵」
2012年4月3日 ブレンパワード全台詞集
脚本:面出明美 絵コンテ:山内重保 演出:西森章 作画監督:重田敦司
バロン 「ジョナサンの根性はそこまで捻じ曲がっていたのか!死に際のブレンを相手に何の訓練だ、力あるものと戦って見せろ!ジョナサン!」
勇 「昨夜のマントの男・・・」
ジョナサン 「バロン、任せておきながら・・・わかった!勇!その女のブレンに助けてもらえ!そしたら二人を共々潰してみせるぜ!」
タイトル:愛の淵
直子 「すぐ戻ってきますから泣かないの」
クマゾー 「直子おばあちゃん」
比瑪 「ゲイブリッジさんとちょっとお使いに行くだけだから、いいのよ」
クマゾー 「すぐ帰るも?」
直子 「ありがとね、心配してくれて。勇の事何かわかったらすぐ知らせてくださいね。ゲイブリッジさんは色々飛び周る様になるので、連絡はネットに直接ね」
比瑪 「はい」
アイリーン 「指令もお気を付けて!」
ナンガ 「やれやれ、偉いさんがいなくなっちまってノヴィス・ノアは大丈夫なのかねえ」
ナッキィ 「好きに出来るんだから結構な事じゃないですか」
アイリーン 「もう一人の偉いさんがいらっしゃるわ。私達の責任も重くなりました。よろしく、ミスター・モハマド」
モハマド 「仰られるまでもありません。近くの海岸に溢れている難民の子供達は集め、既にこの艦に向かわせております。皆さん方は子供達のパワーも吸収して、より絶大な御活躍を出資者の代表として期待するものです」
勇 「ネリー、聞こえているだろ!僕の事はいいから一人で逃げてくれ!」
ネリー 「馬鹿な事は言わないで!」
勇 「ジョナサンという奴は普通じゃないんだ!」
ネリー 「ユウ・ブレンを見れば、貴方を守らなければならないのは私とネリー・ブレンです!」
勇 「甘えられるのか?ユウ・ブレン、この好意に」
ネリー 「近い!」
ジョナサン 「ネリーとか!ユウ・ブレンを放して戦って見せろ!」
ネリー 「嫌です!あなたこそこの森から出て行ってください!」
ネリー 「飛んで!」
勇 「ブレン!やれ!甘えるな!」
ジョナサン 「な、なんだ?」
バロン 「ジョナサンめ。迂闊な攻撃は敵のアンチボディに力を与えてしまうという特性がある事を知らないのか」
ネリー 「流石バロンのグランチャー」
勇 「ネリーー!」
ジョナサン 「撃たせない?」
ネリー 「ブレン!飛んで逃げなさい!邪魔です!」
ジョナサン 「下から?」
ジョナサン 「迂闊にフィンを使うと、バロン・ズゥの体にも傷を付ける!」
ネリー 「ブレン、頑張って!ネットがあるはず、そこへ!」
ジョナサン 「ぐああ!この頭痛!この眩暈!」
ネリー 「勇!復元できないんですか?ブレン!」
勇 「助けられず助けられただけで、しかも落ちていく!いいのか、ブレン!こういう運命で!」
勇 「何?生まれた時にオルファンに連れて行かれて、辛かった?それをオルファンから連れ出してくれて嬉かった?太陽が見られて、太陽がある宇宙が想像できて、宇宙の中のこの星、人間が地球と呼んでる星の事が分かって嬉しかった?そういう中で生きてこられた事は喜びだ。でも今、何も出来ないのが・・・・」
勇 「悔しいのなら何とかしろ!」
勇 「ネリー、ネリー・キム!ネリー、大丈夫か?」
勇 「ネリー・ブレン、すまなかったな。ネリーは動けないのか?」
勇 「ネリー大丈夫か?」
ネリー 「ユウ・イサミ・・・」
勇 「怪我をしているのか?」
ネリー 「いつもの事なの。心配しないで」
勇 「これがネリーのブレンのコックピットか。そんなに力を取られるのか?」
ネリー 「この子に乗せてもらってると、とても疲れる」
勇 「なら、直ぐに外に出なければいけないじゃないか」
ネリー 「いいのよ。私はこの子に吸いとられるだけの命しかないのだから」
勇 「吸い取られるだけの命しかない?そんな事はないよ。ラッセとブレンの関係はそうは思えない」
ネリー 「勇君のお友達?」
勇 「ああ」
ネリー 「この子のリバイバルに立ち会ってしまった時にね、私は命がなくなるはずだったのに、それが元気になった。けれどももう駄目」
勇 「そんな風には見えない」
ネリー 「細胞を蝕む病気はいっぱいあるわ」
ネリー 「私があの子に会えたのは偶然ではないわ。最後に一人じゃないように、っていう神様の采配だと思うわ」
勇 「ああ。家族には?」
ネリー 「どの道悲しませる事になるなら、目の前に居ない方が良いでしょ?家族には黙って出てきたわ。最後に孤独じゃないって心強いわ」
勇 「バイタル・ネットの結び目が重なった所なら、空が塞がってるんなら、歩いてでもここを出たいな」
ネリー 「あのバロンのグランチャーをバイタル・ネットにぶつけた時、思ったより衝撃が少なかった。結界が揺らいでるんでしょうね」
勇 「ここから出られるって事?」
ネリー 「多分。貴方のブレンを見て、私のブレンが全然違うものだと分かったわ。それに、私のブレンは貴方のブレンに会ってからとても興味を持っているみたい」
勇 「どういう事?」
ネリー 「仲間がいることに気づいて喜んでいるのよ」
勇 「仲間意識が芽生えたんだ」
ネリー 「それはあのバロン・ズゥもそうでしょうね。似た者の出現に興奮している」
勇 「違うよ」
ネリー 「どう違うの?」
勇 「ジョナサンの安っぽい憎悪に乗って、はしゃいでるだけだ」
ネリー 「え?そうならどうするの?」
勇 「倒すしかないと思っている」
ネリー 「悲しい事」
ジョナサン(回想) 「ジョナサン・グレーンって言うんだ。アンチボディーの格納庫っていうのはここだよな?」
シラー(回想) 「ようこそオルファンへ。グランチャーの扱いも完璧なようだな」
ジョナサン(回想) 「ここがグランチャーの置き場か、って聞いてんだよ!」
ジョナサン(回想) 「こんなガキがいる所なんだろう?」
シラー(回想) 「パイロットとしては良いセンスを持っている子なんだよ」
ジョナサン(回想) 「ガバナーからオルファンのリハビリを任されているファミリーか。あれが」
シラー(回想) 「ああ、伊佐未ファミリーだ」
ジョナサン(回想) 「ここは遊び場じゃないんだろ!なあ?坊や」
勇 「でも彼は、僕にとってはグランチャーの先生になってくれた」
勇 気の良い奴だったのさ。その奴はグランチャーがいたおかげで、果てしなく調子に乗せてしまった。だから・・・」
ネリー 「倒さなければならないと思うのね?」
勇 「色々あったもの!」
ネリー 「貴方も大変だったのね」
比瑪 「…おろち こわや か・・・」
カナン 「比瑪ちゃん」
ラッセ 「今は一人にしておいてやった方がいい」
カナン 「でも」
ラッセ 「正直俺達だって意外だったよ。勇がいなくなって結構堪えている。あんな奴だったけどノヴィス・ノアにとっては大きな存在になっていたんだ」
カナン 「分かるわ。あの子ブレンと付き合うようになってから随分変わったわ。私だってずっと当てにしている」
ラッセ 「俺だってそうさ。となりゃ、比瑪ちゃんなんか堪らないだろうさ」
カナン 「そうよね」
源野 「ねえねえ。コックピット開いてくれたっていいじゃない。ヒギンズ・ブレン!」
カント 「駄目ですよ源野さん」
源野 「カント君」
カント 「ここのブレン達はあなたを乗せてくれませんよ」
源野 「私を好きになってくれるブレンだっているんじゃないの?」
カント 「無理ですね。あなたの行き先がオルファンであるなら尚更です」
源野 「流石天才少年、何もかもお見通しね」
カント 「彼等はこのノヴィス・ノアが好きなんですよ」
源野 「ねえねえ。天才少年だってオーガニック・エナジーの研究してるんだからオルファンに行きたいんでしょ?」
カント 「あはは!遠慮しときます」
源野 「どうして?」
カント 「僕はここのブレンと会ってとても興味を惹かれているんです。彼らをもっと知りたいんです。ですからここに居ます」
源野 「残念ね」
比瑪 「カント君はどうして行かなかったの?」
カント 「もう意地悪だなあ比瑪さんは。今の時代、行く人を引き止めることなんか出来ないじゃないですか」
比瑪 「そうだね。人の感傷なんかしてる暇ないよね」
カント 「それに僕、ブレンに乗って戦うこの艦の人達が好きなんです」
比瑪 「カント君が?」
カント 「そうですよ。僕だって命を懸けて戦う気持ちになってるんです。人生には、こういう風に決断を喚起される瞬間っていうのもあるんですね」
比瑪 「そういうのって怪我するんだから!」
カント 「比瑪さん・・・」
比瑪 「眠れないよブレン、私・・・変なのかな?」
比瑪 「勇ーー!はぁ・・・」
(アイキャッチ無し)
勇 「ん?」
勇 「ネリー・ブレン?」
勇 「あいつ・・・ああいうのが好きなのか?」
勇 「そうか、俺は起きちゃいけなかったんだ。これはブレン二人だけの世界だもんな」
ネリー 「勇もやらない?この子とても上手よ」
勇 「いや、僕が乗ったらあいつが嫌がる。ネリーのブレンが踊ってるのを見てると、気持ちが休まるみたいなんだ」
ネリー 「そう」
勇 「あっ」
ネリー 「ふふ、ズルしてるのが分かっちゃったわね」
勇 「体は大丈夫なのか?」
ネリー 「大丈夫。この子も遊びたがってると私も喜んでいるわ」
勇 「喜び・・・遊びたがってるか。アンチボディが生まれてきたのも、そういう為かもしれないな」
勇 「見ていても嬉しそうだった」
ネリー 「そうでしょ?この子踊るのが得意なのよ。・・・ああっ!」
勇 「ネリー!」
ネリー 「ご、ごめんなさい」
勇 「雪の上も滑るんだよ」
ネリー 「いやだ、ブレンが笑ってる」
勇 「本当だ」
ネリー 「ブレンの気持ち分かるのね?」
勇 「分かるようになったんだ。初めは馬みたいに表情分からなかった」
ネリー 「そうね。付き合ってみて、アンチボディが機械じゃないと感じ始めるとこの子達、戦うために生まれてきたんじゃない、生きていきたいと思っているって。それは分かるわ 」
勇 「ネリーは不思議な事を言う」
ネリー 「私は普通よ?何の力もない女だわ。ただブレンと出会えた事だけが、他の人と違った」
勇 「それ、後悔してるんだ」
ネリー 「逆よ、後悔なんか・・・私はこの子がしたがっているように、精一杯遊んであげられないんで、可哀想だと思っている」
勇 「ネリー・ブレンが可哀想? 」
ネリー 「うふふ、くすぐったいでしょ、ブレン?ほら、くすぐったくない?ブレン?ふふふ。くすぐったいよね? 」
ネリー 「あたしはこの子が持っているものを全部引き出してあげる事は出来ない。でもあなたなら出来るかも知れない」
勇 「ネリーだって」
ネリー 「例えば、勇のブレンの怪我だって治せるかも知れないのよ?」
ネリー 「ほら、出来るかも知れないって言ってるわ」
比瑪 「・・・っしょっと。ラッセさん?」
ラッセ 「ほう。少しは良い顔見せるようになったじゃないか」
ナッキィ 「何してるんだ?」
ラッセ 「ご挨拶だな。このプレート台は元々俺のブレンの物だったんだ。こいつ、俺を気に入ってくれてるみたいだぜ」
ナッキィ 「そんな事あるものか。ブレンを死なせたような奴の言う事聞くか」
比瑪 「ナッキィ・ガイズさんの認識、間違ってます」
ラッセ 「いいんだよ、比瑪ちゃん。事実なんだから」
ラッセ 「それでも俺は戦いたいんだ。守るものが一杯あるからな」
ナッキィ 「妙な事を言うな。守りたいのはカナン・ギモス一人なんだろ」
ラッセ 「その為にはノヴィスの艦隊も、補給してくれる者達も、みんなを守らなきゃいけないんだ。その為には3人のブレンに一人ずつに乗り手がいて良い。違うか?」
ナッキィ 「半年以上苦労を共にしてきた連中なんだ。はい貸してやるよ、って言えるわけないだろ?」
ラッセ 「ナッキィ・ガイズの言う事ももっともだ。俺も今聞いた通りの男だが一緒に働いてくれないか、ブレン。ラッセ・ブレンとして」
ナッキィ 「お、おい。迂闊だぞ!」
比瑪 「カナンさん!」
カナン 「え、ええ。でもラッセ大丈夫なの?」
ジョナサン 「バイタル・グロウブ・ネットが薄くなってるとバロンは言う。ネリーという女のブレンは外には出してはならんとバロンは言う。手段を選ばぬ夜明けが来たという事だ」
ジョナサン 「湖の中から!」
ネリー 「グランチャーから降りてください!ジョナサン・グレーンさん!」
ジョナサン 「小娘に指図される謂れはない!」
勇 「ネリー、もう接触したのか?ブレン、動けないか?ネリー・ブレンが危ないのは分かるだろう?ネリー・ブレン一人にジョナサンを任せて良い訳ないだろう!」
ネリー 「バロン・マクシミリアンはどこです?」
ジョナサン 「知った事か!」
ネリー 「貴方は、人に怨念をぶつけようとしているバロンと、そのグランチャーに操られているだけです!」
ジョナサン 「バロン・マクシミリアンは俺を理解してくれた」
ジョナサン 「バロンの見ている前で、無様な姿を晒すわけにはいかないんだ!」
ネリー 「肩のフィンが柔らかく動く?」
ジョナサン 「力尽くで無く宥め賺す事も覚えれば、こういう事も出来る」
ネリー 「ああっ!うう・・・!」
勇 「ブレンバーを上げろ!」
ジョナサン 「女を先兵に出すとは勇も落ちたものだな!」
勇 「ジョナサン!ネリーを!」
比瑪 「あら?」
クマゾー 「うあっ」
ユキオ 「気を付けろって言ったろ?」
クマゾー 「も」
比瑪 「あんた達、何やってんの?」
ユキオ 「勇がいつ帰ってもいいように掃除さ」
クマゾー 「掃除も!」
比瑪 「あんた達・・・勇、帰ってくるのか?」
ユキオ 「帰ってくる。帰ってくるに決まってるよ!」
勇 「ブレンバーにチャクラが集まらない。ブレン!崖の上だ!」
ジョナサン 「とどめは一気に受けたほうが楽だぜ、勇!」
勇 「ううっ!ブレン、撃てなければいい!もういい!よくやった、好きにしろ!付き合う!」
ジョナサン 「パワーがある!しかし!」
ジョナサン(※) 「ぬう・・・リバイバルのブレード!?」
バロン 「オーガニック・エナジーの発動がこの様に現れる」
勇 「俺達は覚悟はついた。ネリーだけでも逃げてくれ!」
ネリー 「私達の覚悟は、貴方を守ること!」
勇 「何だって?」
ネリー 「貴方が来てくれて、ようやくわかったの」
勇 「何を言ってるんだ!?」
ネリー 「貴方ならブレン達を強く育ててくれる。私の分も生かさせてくれる人だって分かったのよ」
ジョナサン 「カーテンの向こうで何やってる!」
バロン 「やめろジョナサン無駄だ!」
ネリー 「この子は完全じゃないの!もう一度リバイバルも必要なのよ!」
ネリー 「ああっ・・・」
勇 「ああ・・・!」
ネリー 「あああぁ・・・!」
勇 「ネリー!ネリー!あっ?」
勇 「ブレスレット?」
勇 「リバイバルの光?おい!俺のブレンが・・・!」
勇 「リバイバル?もう一度リバイバルする?」
バロン 「ジョナサン、バロン・ズゥの手に私を乗せよ。このリバイバルが私の恐れてるものであるなら、私はオルファンに行かねばならない」
ジョナサン 「狙撃してやる!」
バロン 「未熟者の言うことは聞かない!」
ネリー 「この子がここを出たがらなかったのは、勇・・・貴方の様な人を待ってのことだった」
勇 「本当に?」
ネリー 「命を与えられたものの、可能性を探すためね」
勇 「誰が与えた可能性だ?」
ネリー 「それは貴方が探して。私にはもう探せないから」
ネリー 「この子も一緒に探してくれるわ。この子の力で、勇の大切な人達も守ってあげればいい」
勇 「ネリー・キム!」
ネリー 「勇、忘れないで。憎しみだけで戦わないでね。それではオルファンは止められないわ」
勇 「ネリー」
ネリー 「悲しまないでね、勇。私は孤独じゃなかったわ、いつでも。最後には貴方にも会えた。ありがとう」
バロン 「ジョナサン急げ!リバイバルが終わった時、あのプレートがチャクラの矢になって襲ってきたらどうするのだ!」
ジョナサン 「それが、オーガニックなるものだというのだな」
勇 「ううっ・・・くっ・・・」
※設定上は「リバイバルのプレート」が正しい気がしますが、聞えるまま「ブレード」として表記しました。
※この回には比瑪のアバンタイトルは無く、代わりにタイトル前に1シーン挿入される構成となっています。
第17話「カーテンの向こうで」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204072326182749/
→第19話「動く山脈」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204151641268086/
バロン 「ジョナサンの根性はそこまで捻じ曲がっていたのか!死に際のブレンを相手に何の訓練だ、力あるものと戦って見せろ!ジョナサン!」
勇 「昨夜のマントの男・・・」
ジョナサン 「バロン、任せておきながら・・・わかった!勇!その女のブレンに助けてもらえ!そしたら二人を共々潰してみせるぜ!」
タイトル:愛の淵
直子 「すぐ戻ってきますから泣かないの」
クマゾー 「直子おばあちゃん」
比瑪 「ゲイブリッジさんとちょっとお使いに行くだけだから、いいのよ」
クマゾー 「すぐ帰るも?」
直子 「ありがとね、心配してくれて。勇の事何かわかったらすぐ知らせてくださいね。ゲイブリッジさんは色々飛び周る様になるので、連絡はネットに直接ね」
比瑪 「はい」
アイリーン 「指令もお気を付けて!」
ナンガ 「やれやれ、偉いさんがいなくなっちまってノヴィス・ノアは大丈夫なのかねえ」
ナッキィ 「好きに出来るんだから結構な事じゃないですか」
アイリーン 「もう一人の偉いさんがいらっしゃるわ。私達の責任も重くなりました。よろしく、ミスター・モハマド」
モハマド 「仰られるまでもありません。近くの海岸に溢れている難民の子供達は集め、既にこの艦に向かわせております。皆さん方は子供達のパワーも吸収して、より絶大な御活躍を出資者の代表として期待するものです」
勇 「ネリー、聞こえているだろ!僕の事はいいから一人で逃げてくれ!」
ネリー 「馬鹿な事は言わないで!」
勇 「ジョナサンという奴は普通じゃないんだ!」
ネリー 「ユウ・ブレンを見れば、貴方を守らなければならないのは私とネリー・ブレンです!」
勇 「甘えられるのか?ユウ・ブレン、この好意に」
ネリー 「近い!」
ジョナサン 「ネリーとか!ユウ・ブレンを放して戦って見せろ!」
ネリー 「嫌です!あなたこそこの森から出て行ってください!」
ネリー 「飛んで!」
勇 「ブレン!やれ!甘えるな!」
ジョナサン 「な、なんだ?」
バロン 「ジョナサンめ。迂闊な攻撃は敵のアンチボディに力を与えてしまうという特性がある事を知らないのか」
ネリー 「流石バロンのグランチャー」
勇 「ネリーー!」
ジョナサン 「撃たせない?」
ネリー 「ブレン!飛んで逃げなさい!邪魔です!」
ジョナサン 「下から?」
ジョナサン 「迂闊にフィンを使うと、バロン・ズゥの体にも傷を付ける!」
ネリー 「ブレン、頑張って!ネットがあるはず、そこへ!」
ジョナサン 「ぐああ!この頭痛!この眩暈!」
ネリー 「勇!復元できないんですか?ブレン!」
勇 「助けられず助けられただけで、しかも落ちていく!いいのか、ブレン!こういう運命で!」
勇 「何?生まれた時にオルファンに連れて行かれて、辛かった?それをオルファンから連れ出してくれて嬉かった?太陽が見られて、太陽がある宇宙が想像できて、宇宙の中のこの星、人間が地球と呼んでる星の事が分かって嬉しかった?そういう中で生きてこられた事は喜びだ。でも今、何も出来ないのが・・・・」
勇 「悔しいのなら何とかしろ!」
勇 「ネリー、ネリー・キム!ネリー、大丈夫か?」
勇 「ネリー・ブレン、すまなかったな。ネリーは動けないのか?」
勇 「ネリー大丈夫か?」
ネリー 「ユウ・イサミ・・・」
勇 「怪我をしているのか?」
ネリー 「いつもの事なの。心配しないで」
勇 「これがネリーのブレンのコックピットか。そんなに力を取られるのか?」
ネリー 「この子に乗せてもらってると、とても疲れる」
勇 「なら、直ぐに外に出なければいけないじゃないか」
ネリー 「いいのよ。私はこの子に吸いとられるだけの命しかないのだから」
勇 「吸い取られるだけの命しかない?そんな事はないよ。ラッセとブレンの関係はそうは思えない」
ネリー 「勇君のお友達?」
勇 「ああ」
ネリー 「この子のリバイバルに立ち会ってしまった時にね、私は命がなくなるはずだったのに、それが元気になった。けれどももう駄目」
勇 「そんな風には見えない」
ネリー 「細胞を蝕む病気はいっぱいあるわ」
ネリー 「私があの子に会えたのは偶然ではないわ。最後に一人じゃないように、っていう神様の采配だと思うわ」
勇 「ああ。家族には?」
ネリー 「どの道悲しませる事になるなら、目の前に居ない方が良いでしょ?家族には黙って出てきたわ。最後に孤独じゃないって心強いわ」
勇 「バイタル・ネットの結び目が重なった所なら、空が塞がってるんなら、歩いてでもここを出たいな」
ネリー 「あのバロンのグランチャーをバイタル・ネットにぶつけた時、思ったより衝撃が少なかった。結界が揺らいでるんでしょうね」
勇 「ここから出られるって事?」
ネリー 「多分。貴方のブレンを見て、私のブレンが全然違うものだと分かったわ。それに、私のブレンは貴方のブレンに会ってからとても興味を持っているみたい」
勇 「どういう事?」
ネリー 「仲間がいることに気づいて喜んでいるのよ」
勇 「仲間意識が芽生えたんだ」
ネリー 「それはあのバロン・ズゥもそうでしょうね。似た者の出現に興奮している」
勇 「違うよ」
ネリー 「どう違うの?」
勇 「ジョナサンの安っぽい憎悪に乗って、はしゃいでるだけだ」
ネリー 「え?そうならどうするの?」
勇 「倒すしかないと思っている」
ネリー 「悲しい事」
ジョナサン(回想) 「ジョナサン・グレーンって言うんだ。アンチボディーの格納庫っていうのはここだよな?」
シラー(回想) 「ようこそオルファンへ。グランチャーの扱いも完璧なようだな」
ジョナサン(回想) 「ここがグランチャーの置き場か、って聞いてんだよ!」
ジョナサン(回想) 「こんなガキがいる所なんだろう?」
シラー(回想) 「パイロットとしては良いセンスを持っている子なんだよ」
ジョナサン(回想) 「ガバナーからオルファンのリハビリを任されているファミリーか。あれが」
シラー(回想) 「ああ、伊佐未ファミリーだ」
ジョナサン(回想) 「ここは遊び場じゃないんだろ!なあ?坊や」
勇 「でも彼は、僕にとってはグランチャーの先生になってくれた」
勇 気の良い奴だったのさ。その奴はグランチャーがいたおかげで、果てしなく調子に乗せてしまった。だから・・・」
ネリー 「倒さなければならないと思うのね?」
勇 「色々あったもの!」
ネリー 「貴方も大変だったのね」
比瑪 「…おろち こわや か・・・」
カナン 「比瑪ちゃん」
ラッセ 「今は一人にしておいてやった方がいい」
カナン 「でも」
ラッセ 「正直俺達だって意外だったよ。勇がいなくなって結構堪えている。あんな奴だったけどノヴィス・ノアにとっては大きな存在になっていたんだ」
カナン 「分かるわ。あの子ブレンと付き合うようになってから随分変わったわ。私だってずっと当てにしている」
ラッセ 「俺だってそうさ。となりゃ、比瑪ちゃんなんか堪らないだろうさ」
カナン 「そうよね」
源野 「ねえねえ。コックピット開いてくれたっていいじゃない。ヒギンズ・ブレン!」
カント 「駄目ですよ源野さん」
源野 「カント君」
カント 「ここのブレン達はあなたを乗せてくれませんよ」
源野 「私を好きになってくれるブレンだっているんじゃないの?」
カント 「無理ですね。あなたの行き先がオルファンであるなら尚更です」
源野 「流石天才少年、何もかもお見通しね」
カント 「彼等はこのノヴィス・ノアが好きなんですよ」
源野 「ねえねえ。天才少年だってオーガニック・エナジーの研究してるんだからオルファンに行きたいんでしょ?」
カント 「あはは!遠慮しときます」
源野 「どうして?」
カント 「僕はここのブレンと会ってとても興味を惹かれているんです。彼らをもっと知りたいんです。ですからここに居ます」
源野 「残念ね」
比瑪 「カント君はどうして行かなかったの?」
カント 「もう意地悪だなあ比瑪さんは。今の時代、行く人を引き止めることなんか出来ないじゃないですか」
比瑪 「そうだね。人の感傷なんかしてる暇ないよね」
カント 「それに僕、ブレンに乗って戦うこの艦の人達が好きなんです」
比瑪 「カント君が?」
カント 「そうですよ。僕だって命を懸けて戦う気持ちになってるんです。人生には、こういう風に決断を喚起される瞬間っていうのもあるんですね」
比瑪 「そういうのって怪我するんだから!」
カント 「比瑪さん・・・」
比瑪 「眠れないよブレン、私・・・変なのかな?」
比瑪 「勇ーー!はぁ・・・」
(アイキャッチ無し)
勇 「ん?」
勇 「ネリー・ブレン?」
勇 「あいつ・・・ああいうのが好きなのか?」
勇 「そうか、俺は起きちゃいけなかったんだ。これはブレン二人だけの世界だもんな」
ネリー 「勇もやらない?この子とても上手よ」
勇 「いや、僕が乗ったらあいつが嫌がる。ネリーのブレンが踊ってるのを見てると、気持ちが休まるみたいなんだ」
ネリー 「そう」
勇 「あっ」
ネリー 「ふふ、ズルしてるのが分かっちゃったわね」
勇 「体は大丈夫なのか?」
ネリー 「大丈夫。この子も遊びたがってると私も喜んでいるわ」
勇 「喜び・・・遊びたがってるか。アンチボディが生まれてきたのも、そういう為かもしれないな」
勇 「見ていても嬉しそうだった」
ネリー 「そうでしょ?この子踊るのが得意なのよ。・・・ああっ!」
勇 「ネリー!」
ネリー 「ご、ごめんなさい」
勇 「雪の上も滑るんだよ」
ネリー 「いやだ、ブレンが笑ってる」
勇 「本当だ」
ネリー 「ブレンの気持ち分かるのね?」
勇 「分かるようになったんだ。初めは馬みたいに表情分からなかった」
ネリー 「そうね。付き合ってみて、アンチボディが機械じゃないと感じ始めるとこの子達、戦うために生まれてきたんじゃない、生きていきたいと思っているって。それは分かるわ 」
勇 「ネリーは不思議な事を言う」
ネリー 「私は普通よ?何の力もない女だわ。ただブレンと出会えた事だけが、他の人と違った」
勇 「それ、後悔してるんだ」
ネリー 「逆よ、後悔なんか・・・私はこの子がしたがっているように、精一杯遊んであげられないんで、可哀想だと思っている」
勇 「ネリー・ブレンが可哀想? 」
ネリー 「うふふ、くすぐったいでしょ、ブレン?ほら、くすぐったくない?ブレン?ふふふ。くすぐったいよね? 」
ネリー 「あたしはこの子が持っているものを全部引き出してあげる事は出来ない。でもあなたなら出来るかも知れない」
勇 「ネリーだって」
ネリー 「例えば、勇のブレンの怪我だって治せるかも知れないのよ?」
ネリー 「ほら、出来るかも知れないって言ってるわ」
比瑪 「・・・っしょっと。ラッセさん?」
ラッセ 「ほう。少しは良い顔見せるようになったじゃないか」
ナッキィ 「何してるんだ?」
ラッセ 「ご挨拶だな。このプレート台は元々俺のブレンの物だったんだ。こいつ、俺を気に入ってくれてるみたいだぜ」
ナッキィ 「そんな事あるものか。ブレンを死なせたような奴の言う事聞くか」
比瑪 「ナッキィ・ガイズさんの認識、間違ってます」
ラッセ 「いいんだよ、比瑪ちゃん。事実なんだから」
ラッセ 「それでも俺は戦いたいんだ。守るものが一杯あるからな」
ナッキィ 「妙な事を言うな。守りたいのはカナン・ギモス一人なんだろ」
ラッセ 「その為にはノヴィスの艦隊も、補給してくれる者達も、みんなを守らなきゃいけないんだ。その為には3人のブレンに一人ずつに乗り手がいて良い。違うか?」
ナッキィ 「半年以上苦労を共にしてきた連中なんだ。はい貸してやるよ、って言えるわけないだろ?」
ラッセ 「ナッキィ・ガイズの言う事ももっともだ。俺も今聞いた通りの男だが一緒に働いてくれないか、ブレン。ラッセ・ブレンとして」
ナッキィ 「お、おい。迂闊だぞ!」
比瑪 「カナンさん!」
カナン 「え、ええ。でもラッセ大丈夫なの?」
ジョナサン 「バイタル・グロウブ・ネットが薄くなってるとバロンは言う。ネリーという女のブレンは外には出してはならんとバロンは言う。手段を選ばぬ夜明けが来たという事だ」
ジョナサン 「湖の中から!」
ネリー 「グランチャーから降りてください!ジョナサン・グレーンさん!」
ジョナサン 「小娘に指図される謂れはない!」
勇 「ネリー、もう接触したのか?ブレン、動けないか?ネリー・ブレンが危ないのは分かるだろう?ネリー・ブレン一人にジョナサンを任せて良い訳ないだろう!」
ネリー 「バロン・マクシミリアンはどこです?」
ジョナサン 「知った事か!」
ネリー 「貴方は、人に怨念をぶつけようとしているバロンと、そのグランチャーに操られているだけです!」
ジョナサン 「バロン・マクシミリアンは俺を理解してくれた」
ジョナサン 「バロンの見ている前で、無様な姿を晒すわけにはいかないんだ!」
ネリー 「肩のフィンが柔らかく動く?」
ジョナサン 「力尽くで無く宥め賺す事も覚えれば、こういう事も出来る」
ネリー 「ああっ!うう・・・!」
勇 「ブレンバーを上げろ!」
ジョナサン 「女を先兵に出すとは勇も落ちたものだな!」
勇 「ジョナサン!ネリーを!」
比瑪 「あら?」
クマゾー 「うあっ」
ユキオ 「気を付けろって言ったろ?」
クマゾー 「も」
比瑪 「あんた達、何やってんの?」
ユキオ 「勇がいつ帰ってもいいように掃除さ」
クマゾー 「掃除も!」
比瑪 「あんた達・・・勇、帰ってくるのか?」
ユキオ 「帰ってくる。帰ってくるに決まってるよ!」
勇 「ブレンバーにチャクラが集まらない。ブレン!崖の上だ!」
ジョナサン 「とどめは一気に受けたほうが楽だぜ、勇!」
勇 「ううっ!ブレン、撃てなければいい!もういい!よくやった、好きにしろ!付き合う!」
ジョナサン 「パワーがある!しかし!」
ジョナサン(※) 「ぬう・・・リバイバルのブレード!?」
バロン 「オーガニック・エナジーの発動がこの様に現れる」
勇 「俺達は覚悟はついた。ネリーだけでも逃げてくれ!」
ネリー 「私達の覚悟は、貴方を守ること!」
勇 「何だって?」
ネリー 「貴方が来てくれて、ようやくわかったの」
勇 「何を言ってるんだ!?」
ネリー 「貴方ならブレン達を強く育ててくれる。私の分も生かさせてくれる人だって分かったのよ」
ジョナサン 「カーテンの向こうで何やってる!」
バロン 「やめろジョナサン無駄だ!」
ネリー 「この子は完全じゃないの!もう一度リバイバルも必要なのよ!」
ネリー 「ああっ・・・」
勇 「ああ・・・!」
ネリー 「あああぁ・・・!」
勇 「ネリー!ネリー!あっ?」
勇 「ブレスレット?」
勇 「リバイバルの光?おい!俺のブレンが・・・!」
勇 「リバイバル?もう一度リバイバルする?」
バロン 「ジョナサン、バロン・ズゥの手に私を乗せよ。このリバイバルが私の恐れてるものであるなら、私はオルファンに行かねばならない」
ジョナサン 「狙撃してやる!」
バロン 「未熟者の言うことは聞かない!」
ネリー 「この子がここを出たがらなかったのは、勇・・・貴方の様な人を待ってのことだった」
勇 「本当に?」
ネリー 「命を与えられたものの、可能性を探すためね」
勇 「誰が与えた可能性だ?」
ネリー 「それは貴方が探して。私にはもう探せないから」
ネリー 「この子も一緒に探してくれるわ。この子の力で、勇の大切な人達も守ってあげればいい」
勇 「ネリー・キム!」
ネリー 「勇、忘れないで。憎しみだけで戦わないでね。それではオルファンは止められないわ」
勇 「ネリー」
ネリー 「悲しまないでね、勇。私は孤独じゃなかったわ、いつでも。最後には貴方にも会えた。ありがとう」
バロン 「ジョナサン急げ!リバイバルが終わった時、あのプレートがチャクラの矢になって襲ってきたらどうするのだ!」
ジョナサン 「それが、オーガニックなるものだというのだな」
勇 「ううっ・・・くっ・・・」
※設定上は「リバイバルのプレート」が正しい気がしますが、聞えるまま「ブレード」として表記しました。
※この回には比瑪のアバンタイトルは無く、代わりにタイトル前に1シーン挿入される構成となっています。
第17話「カーテンの向こうで」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204072326182749/
→第19話「動く山脈」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204151641268086/
ブレンパワード 全台詞集 第15話「一点突破」
2012年1月28日 ブレンパワード全台詞集脚本:富野由悠季・高橋哲子 絵コンテ・演出:越智浩仁 作画監督:しんぼたくろう・中田栄治
比瑪
(ナレーション) 「オルファンは海の上に頭を出してるようだし、グランチャーの数だって増えているようだけど、思ったほどの戦争になっていないんだよねえ。
でもユウに言わせれば、オルファンは人類を絶滅させるものだって言うから、オルファン封じ込め作戦は実行するのである!」
カナン 「揺れるわねぇ・・・」
ナンガ 「どうだ、様子は?」
カナン 「変わり様がないわ、今日は少し熱があるだけ」
カナン 「作戦はどうなったの?」
ナンガ 「逃げ出すつもりはないようだな。ブレンによる特攻ぐらいはやるつもりだよ」
カナン 「カミカゼか・・・」
ラッセ 「作戦から外すほど弱っているのか・・・俺は!
くそっ!」
ラッセ 「こんなもの!・・・ん?カナンのスカーフが・・・ナンガめ!」
比瑪 「あ・・・何でしょうこの子も?
でもカモメも集まるし、この子達のおかげでブレン達も落ち着いてるみたいですね」
ナンガ 「オルファンの海域の鳥はここに集まってくれてるってのは、ノヴィス・ノアが安全だってことの証拠だ」
比瑪 「この戦いで終わりにしたいですね」
ナンガ 「勇のおかげでオルファンにも弱点があると分かったし・・・」
比瑪 「オーガニック・エナジーもあたし達の味方をしている」
ナンガ 「彼等の働きだって俺にすれば比瑪ちゃんの言ってる事、証明してくれてるぜ」
勇 「いいのか?お灸してなくて?」
ラッセ 「随分破壊力のあるミサイルを持ち出したじゃないか。
良かったら、俺もに一口乗せてくれないか?」
勇 「え?」
ラッセ 「何だよ?」
勇 「何言ってんだ!カナンを泣かせるような事になるかもしれないんだ!
そんな事に手を出させるわけには・・・」
ラッセ 「俺が早死にするのは運命だ。彼女に会っていなければズルズルやって、のたれ死にするのを待っていただろう。けどな、彼女に出会えたから命を捨てる戦い方なんかしない。カナンとはもっと愛し合いたいもんな」
勇 「オルファンを潰すには特攻しかない。バイタル・ネットに乗ったって・・・」
ラッセ 「カミカゼは聞いているさ。都合良くオルファンの懐に飛び込めるわけがないからな」
勇 「それがわかってるんなら、今は黙って病人をやっていてくれよ!」
ラッセ 「俺だってそうしたいが、あいつだってやりたがってる」
勇 「ラッセ・ブレンが?」
ラッセ 「な?あの目を見てやってくれ、ボロボロになってもオルファンに一矢酬いたいんだよ。」
比瑪 「ブレンがオルファンに敵意を持っているなんて・・・ユウ・ブレンも?」
勇 「俺のブレンまでそう思うのか?敵愾心ってやつでかかって良いのかよ?」
ラッセ 「ふふふ。勇からそんな台詞を聞くとは思わなかったな。今回の騒動はグランチャーとブレンっていうのが元々敵対関係にあったからなんだろう?俺達を連中のセンサーにされて、巻き込まれちまったんだよ」
勇 「ブレンはオルファンに受け入れられなかったんで嫉妬してるのか」
アイリーン 「バイタル・ネットはオルファンの力で揺らいでいるわ。だから侵入方法は1つに固定出来ないわよ」
ヒギンズ 「了解しています。出撃準備に入ります」
アイリーン 「コモド達から連絡は?」
ノヴィスクルー 「特にありません」
比瑪 「あっ!」
ヒギンズ 「きゃっ!」
比瑪 「ごめんなさい!大丈夫ですか?」
ヒギンズ 「大丈夫よ」
比瑪 「あっ!勇が大丈夫じゃないんですよ!艦長!」
アイリーン 「はい?」
デッキクルー 「本当に、良いんですね?」
ラッセ 「ノヴィスは沈めるわけにはいかないだろう!」
勇 「あれがカナンさんの男か・・・」
アイリーン 「覚悟はありがたいけど・・・」
比瑪 「ラッセの出撃の手助けをするなんて、勇はクマゾー以下のまんまです!」
アイリーン 「比瑪ちゃん」
比瑪 「何ですか?」
アイリーン 「ラッセの動きは見守ってやって下さいね」
比瑪 「言われなくたってやりますけど、艦長からも二人には言ってやって下さい!」
アイリーン 「それは言います」
比瑪 「よろしく」
アイリーン 「勇、ラッセか・・・・・あたしは任せるわ。二人共利口で勇気があって、女性が好きなんですものね」
コモド 「この乱気流じゃアンチボディ以外は近づけない。風の精霊に祈ってくるんだった」
イランドパイロット 「グランチャーがこちらを睨んでます!」
コモド 「ん?」
コモド 「ただの威嚇だよ」
アイリーン 「出撃準備は整いましたが、司令のほうの首尾はいかがなんでしょう?」
ゲイブリッジ 「ああ。国連はまだリクレイマー側の報告を信じている。ということは私の立場では君の作戦は支持できない」
アイリーン 「オルファンを撃破するという作戦は・・・」
ゲイブリッジ 「ブレン達の単独行為を、我々は阻止できるのだろうかねぇ?」
アイリーン 「それはできませんね」
ゲイブリッジ 「そうなんだ。それが問題である」
アイリーン 「了解です」
ゲイブリッジ 「私の采配は間違いではないでしょう?」
直子 「でも出撃させたことでアイリーンさんは責任をとらされます」
ゲイブリッジ 「成功すれば不問だよ。作戦が失敗すれば、後の世界は無いのだから」
直子 「ああ、責任を問う人達もいなくなってますよね。
オルファン現象って、そういうものなんですね」
ラッセ 「大丈夫か、ブレン?」
アカリ 「あ!乗っちゃう!」
クマゾー 「乗っちゃう」
アカリ 「止めるぞ!」
クマゾー 「止める」
ユキオ 「待てよ!」
アカリ 「比瑪姉ちゃんはラッセを出撃させちゃあ駄目だって言ってたじゃあないか!む
ユキオ 「ラッセ・ブレンが行く気になってんだ!見てみろよ、ラッセさんだってブレンに従ってんだ!ユウ・ブレンだってラッセに優しいみたいだしさ!」
クマゾー 「優しい」
ラッセ 「ふふっ、スパイをしていたか。
お前達なら、頼まなくっても生きていけるよな」
比瑪 「勇!ラッセさんも!そのブレン出すの可哀想でしょ!」
勇 「ラッセ・ブレンが行きたがってんだから、助けてあげなくちゃならないだろ!」
比瑪 「君!駄目だよ!それじゃあ死んじゃうよー!」
勇 「良いな、ブレン?ラッセ・ブレン、ついてこれるな!
よし!ブレン、行ってくれ!」
ナンガ 「ラッセ、ブレンを消耗させるわけにはいかないんだ!出撃はやめろ!」
ラッセ 「全員で出撃するんだろ?
ナンガ、ヒギンズ、それにカナンはしんがりをとってくれ!」
カナン 「ラッセ!ブレンが出たいと言ったら、言い聞かせて出撃を止めさせるのがあなたの役割でしょう!?」
ラッセ 「カナンには俺の子を産んで欲しいんだよ」
カナン 「妊娠させてくれなければ・・・ラッセ!」
カナン 「おっちょこちょいのラッセにブレン!
比瑪!ナンガ、ヒギンズ!こちらも編隊組んで出撃でしょ!」
レイト 「これだけクジラがいると、デコイを撒く必要も無いな」
キメリエスクルー 「オルファンの老廃物に魚が引き寄せられてるんですね」
コモド 「ユウ・ブレンがきた」
コモド 「補給したら支援に上がります」
勇 「了解」
コモド 「ラッセ・ブレンも出てる?」
コモド 「ラッセ!それじゃあ無理でしょ!あたしにまで世話を焼かせようなんて・・・!
ナンガ、比瑪!どういうこと!?」
ナンガ 「オルファンの空域はどうなんだ?」
コモド 「グランチャーだってオルファンの動きに戸惑ってる」
ナンガ 「そうだろう」
コモド 「ラッセは良いのかい?」
ナンガ 「祈ってやってくれ」
コモド 「ナイルの女神、オヤに祈ってやる。本当に良いんだね?」
ナンガ 「ラッセが貧血症状でも連携プレイぐらいは出来るだろうさ。近いぞ!」
勇 「来るのか?ん?来る!」
ジョナサン 「ハハハハハ!伊佐未ファミリーは最早我が手の内!お前達も一挙に殲滅する!」
シラー 「格好良いよジョナサン!そういうジョナサンを待ってたんだ!」
マスコミA 「ノヴィス・ノアのブレンが攻撃に出たんだ!」
マスコミB 「停戦したんじゃない!はっきり映っている!」
マスコミA 「何考えてんだ!あいつ等は!」
クインシィ 「ジョナサンの動きは浮かれている。
この状況でノヴィス・ノア側が何も考えずにやられにくるものか!」
翠 「違うわよ、クインシィ。
彼は力に溢れているのよ。良きアンチボディ、抗体になっているんだわ」
クインシィ 「それが認めるべき現実というの?」
(アイキャッチ)
ラッセ 「俺は今回の勇の作戦は信じている。だからカナン達は牽制してくれるだけで良い!」
カナン 「オルファンの上の方に中枢神経のターミナルがあるというのが勇の情報。
ファミリーでなかったあたしには教えてもらってなかったこと・・・うっ?」
ナンガ 「良いぞぉカナン!一気にオルファンの頭に接近しろ!」
ヒギンズ 「頭の中枢を攻撃すると見せて、本当の攻撃目標は海面下!」
ヒギンズ 「あたしの男が乗ってんだ。簡単に死なせやしない!」
比瑪 「勇は重装備なんだから前へ出過ぎないで!」
勇 「そんなリーチをとった攻撃では消耗するだけだ!
ラッセは降下している。急がないと・・・・・ジョナサン!」
ジョナサン 「のこのこ出てきて、今度はオルファンを沈めようという魂胆か!」
勇 「オーガニック的なものが影響しあってるんだ!む
ジョナサン 「こういう力が発生するのか!」
ジョナサン 「ぐわあああ!」
勇 「よーしブレン!お前の気力があの爆発を力あるものにしてる。
もひとつ!いけー!」
ラッセ 「勇?もう仕掛けたのか?この爆発はノーマルじゃない、チャクラがある!」
勇 「うおおおお!」
勇 「もっとだ!もっと爆発のエネルギーを正面にまとめて、集中させろ!」
勇 「うわあああ!」
比瑪 「勇!」
比瑪 「勇!ブレンをバラバラにする気?何をやったの今!?」
勇 「説明は後だ。ヒギンズ達は?」
比瑪 「作戦通りやってる」
勇 「それで良い。ユウ・ブレンの身体をマッサージしてやってくれ」
比瑪 「分かってる!はっ!勇はこれと同じ事をラッセにさせようとしているんでしょ!」
勇 「ラッセは俺以上に覚悟があるんだ!俺だってオルファンを沈められるならバラバラになったって構わないと思ったけど、できなかった!」
比瑪 「勇・・・そういう覚悟を持っていたの!?」
勇 「馬鹿な家族をもってる俺は一人前の覚悟もできない男なんだ!」
比瑪 「甘ったれ屋さんのいくじなし!」
勇 「そうだ。おまえはそれで良いが、チームを崩すなよ!
ラッセ、どこだ!今の爆発は見えているな?」
ラッセ 「最後の衝撃は拡散したか。
勇、心配するな。俺のほうはちゃんとやってみせる!」
ラッセ 「こいつ等、オルファンの老廃物を餌にして集まっている。共存共栄できると思って良いのか?オルファンのオーガニック・エナジーの臨界なんていうのは全く心配してないんだな」
ラッセ 「レイトの野郎もぬけぬけと接近している。お互い女一人の為に命懸けて、馬鹿な事よ」
シラー 「ジョナサン大丈夫か?」
ジョナサン 「うっ」
シラー 「よ、よく今の爆発をくぐり抜けた」
ジョナサン 「今の爆発異常だぞ!後続の部隊はどうなってるんだ?」
レイト 「いつ攻撃されても文句が言えなくなったぞ」
キメリエスクルー 「はっ」
レイト 「第二波、第三波、一気に叩き込む!」
ラッセ 「おいおいスキンヘッドのお父さん。グランチャーの足を止める為にハッチを攻撃してくれるのは良いが、ちっとばかり早過ぎないか?
オルファンの急所は女のフィギュアだ。勇はそいつを俺に教えてくれて、上と下から攻撃しようって言ったんだぜ?」
フィジシストA 「的確に5つの発進口が撃破されました!」
クインシィ 「勇め!あいつオルファンの情報をノヴィス・ノアに売ったな?」
フィジシストA 「先程の上空の爆発で頭頂部に痺れがみえます!」
クインシィ 「ドクター研作はオルファンの循環器の保全、フィジシストにはグランチャーの別のルートの発進口を開発させろ!」
フィジシストA 「はい!」
クインシィ 「ドクター翠?」
フィジシストB 「交戦中ですよ?」
翠 「ジョナサンの動きが気になりますから・・・な、何です?」
クインシィ 「かすり傷とはいえ、オルファンが初めての痛みに身体を震わせてるというのに・・・!」
翠 「何です?」
クインシィ 「あんたという女は!」
翠 「うっ!あなたは!親にむかって!」
クインシィ 「子供を作れたから親が子の上なのか?子供は女と、男の屑以下の親の負債を抱えて、帳尻合わせに必死になっているんだ!雌をやっている暇があったら、オーガニック・エナジーの研究者らしい大人をやってみせろ!」
勇 「バイタル・ネットだ。
比瑪、ナンガ、カナン、ヒギンズ!お前達突っ込み過ぎだぞ!」
ジョナサン 「何弄ばれてんだ!たった4機のブレンだぞ!
い、いや、たった5機だ。シラー!勇のブレンは見えないか?」
シラー 「オルファンの巻き起こす雲で見えない・・・・いや、いた!」
ヒギンズ 「カナン、ナンガ!
敵はレイトのキメリエスの接近に気付いたんだ!」
ナンガ 「んにゃ、読まれたのは勇とラッセの作戦だ。
カナン、俺達が陽動をかけないと!」
カナン 「ラッセが潰される!?比瑪ちゃん!」
比瑪 「んなこと分かってますよ!てやあああ!
勇は病人を使い、病人は病人で一人前のつもりでぇ!」
シラー 「チャクラ光だが・・・オルファンのものじゃないぞ?」
ジョナサン 「何だあの光?ベルトになったチャクラ?」
勇 「このチャクラ・ベルト、グランチャーの2、3人ぐらいは金縛りに出来る!自爆もするぞ!それを覚悟なら降下してみろ!」
シラー 「あたしの部下が!」
ジョナサン 「同時に2機落としたのか?
勇!貴様ー!ブレンのオーガニック・エナジーをっ!」
勇 「ブレンと共に我のものにしたぁ!」
ラッセ 「あれが勇の言っていたフィギュアか」
ラッセ 「あの馬鹿、何で来た・・・」
カナン 「ラッセ、できるの?」
ラッセ 「見れば分かるだろう。ああもはっきりとした目標があればな」
カナン 「でも大きなものよ。そのランチャーぐらいじゃ・・・ラ、ラッセ?どうしたの?」
カナン 「ラッセ、まさか特攻・・・カミカゼをやるんじゃ・・・」
ラッセ 「ブレンが離れろと言ってる、俺じゃない。
それにあれを見ろ。急所が丸出しと見えるあれは、オルファンがオーガニックなるものである証拠だ。問題なのはあそこまでの距離だ。まだランチャーの射程距離にない。なのにかくもはっきりと見える・・・・・何?」
ラッセ 「太古からの恨み?ブレンのメッセージか?」
カナン 「オルファンに答えたのよ」
ラッセ 「そっちにも?」
カナン 「こちらには”やれ”っていう文字が」
ラッセ 「俺のブレンに答えたか」
カナン 「唆されては駄目よ、ラッセ!」
ラッセ 「分かっている・・・何?ブレン!落ち着け!」
カナン 「ブレン!あの人を止めて!」
カナン 「ラッセー!!」
ラッセ 「うおおおお!!」
ジョナサン 「勇が仕掛けた攻撃!?」
シラー 「海中からやったのか?」
ナンガ 「やっちまったのか?ラッセの野郎!」
ヒギンズ 「カナン!止められなかったの?」
比瑪 「ラッセにカミカゼをやらせたの!?勇は!?」
勇 「誰がそんなことを勧めるか!」
ラッセ 「うおおおお!!」
カナン 「あああー!!」
ジョナサン 「見えたぞ!あれはブレンパワードの自殺だ!」
ジョナサン 「なっ、なんだぁー!」
カナン 「ラッセ!ラッセ!!
はっ!あれ!」
カナン 「ラッセ・・・!」
ラッセ 「カナン・・・」
カナン 「ラッセ、良かった・・・」
ラッセ 「お、俺はどうしたんだ?ブレンは・・・」
カナン 「自爆したわ、まるで意思あるもののように」
ラッセ 「オルファンは無傷か・・・」
カナン 「でも、動きは止まっているわ」
翠 「ジョナサンが行方不明だというのか?何故です?」
クインシィ 「情念もオーガニック・パワーだな、気の多いジョナサン。他の所に女を探しに行ったんだろう?ははははは!」
翠 「馬鹿おっしゃい・・・!」
第14話「魂は孤独?」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201110092210542195/
→第16話「招かれざる客」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201201262014521372/
比瑪
(ナレーション) 「オルファンは海の上に頭を出してるようだし、グランチャーの数だって増えているようだけど、思ったほどの戦争になっていないんだよねえ。
でもユウに言わせれば、オルファンは人類を絶滅させるものだって言うから、オルファン封じ込め作戦は実行するのである!」
カナン 「揺れるわねぇ・・・」
ナンガ 「どうだ、様子は?」
カナン 「変わり様がないわ、今日は少し熱があるだけ」
カナン 「作戦はどうなったの?」
ナンガ 「逃げ出すつもりはないようだな。ブレンによる特攻ぐらいはやるつもりだよ」
カナン 「カミカゼか・・・」
ラッセ 「作戦から外すほど弱っているのか・・・俺は!
くそっ!」
ラッセ 「こんなもの!・・・ん?カナンのスカーフが・・・ナンガめ!」
比瑪 「あ・・・何でしょうこの子も?
でもカモメも集まるし、この子達のおかげでブレン達も落ち着いてるみたいですね」
ナンガ 「オルファンの海域の鳥はここに集まってくれてるってのは、ノヴィス・ノアが安全だってことの証拠だ」
比瑪 「この戦いで終わりにしたいですね」
ナンガ 「勇のおかげでオルファンにも弱点があると分かったし・・・」
比瑪 「オーガニック・エナジーもあたし達の味方をしている」
ナンガ 「彼等の働きだって俺にすれば比瑪ちゃんの言ってる事、証明してくれてるぜ」
勇 「いいのか?お灸してなくて?」
ラッセ 「随分破壊力のあるミサイルを持ち出したじゃないか。
良かったら、俺もに一口乗せてくれないか?」
勇 「え?」
ラッセ 「何だよ?」
勇 「何言ってんだ!カナンを泣かせるような事になるかもしれないんだ!
そんな事に手を出させるわけには・・・」
ラッセ 「俺が早死にするのは運命だ。彼女に会っていなければズルズルやって、のたれ死にするのを待っていただろう。けどな、彼女に出会えたから命を捨てる戦い方なんかしない。カナンとはもっと愛し合いたいもんな」
勇 「オルファンを潰すには特攻しかない。バイタル・ネットに乗ったって・・・」
ラッセ 「カミカゼは聞いているさ。都合良くオルファンの懐に飛び込めるわけがないからな」
勇 「それがわかってるんなら、今は黙って病人をやっていてくれよ!」
ラッセ 「俺だってそうしたいが、あいつだってやりたがってる」
勇 「ラッセ・ブレンが?」
ラッセ 「な?あの目を見てやってくれ、ボロボロになってもオルファンに一矢酬いたいんだよ。」
比瑪 「ブレンがオルファンに敵意を持っているなんて・・・ユウ・ブレンも?」
勇 「俺のブレンまでそう思うのか?敵愾心ってやつでかかって良いのかよ?」
ラッセ 「ふふふ。勇からそんな台詞を聞くとは思わなかったな。今回の騒動はグランチャーとブレンっていうのが元々敵対関係にあったからなんだろう?俺達を連中のセンサーにされて、巻き込まれちまったんだよ」
勇 「ブレンはオルファンに受け入れられなかったんで嫉妬してるのか」
アイリーン 「バイタル・ネットはオルファンの力で揺らいでいるわ。だから侵入方法は1つに固定出来ないわよ」
ヒギンズ 「了解しています。出撃準備に入ります」
アイリーン 「コモド達から連絡は?」
ノヴィスクルー 「特にありません」
比瑪 「あっ!」
ヒギンズ 「きゃっ!」
比瑪 「ごめんなさい!大丈夫ですか?」
ヒギンズ 「大丈夫よ」
比瑪 「あっ!勇が大丈夫じゃないんですよ!艦長!」
アイリーン 「はい?」
デッキクルー 「本当に、良いんですね?」
ラッセ 「ノヴィスは沈めるわけにはいかないだろう!」
勇 「あれがカナンさんの男か・・・」
アイリーン 「覚悟はありがたいけど・・・」
比瑪 「ラッセの出撃の手助けをするなんて、勇はクマゾー以下のまんまです!」
アイリーン 「比瑪ちゃん」
比瑪 「何ですか?」
アイリーン 「ラッセの動きは見守ってやって下さいね」
比瑪 「言われなくたってやりますけど、艦長からも二人には言ってやって下さい!」
アイリーン 「それは言います」
比瑪 「よろしく」
アイリーン 「勇、ラッセか・・・・・あたしは任せるわ。二人共利口で勇気があって、女性が好きなんですものね」
コモド 「この乱気流じゃアンチボディ以外は近づけない。風の精霊に祈ってくるんだった」
イランドパイロット 「グランチャーがこちらを睨んでます!」
コモド 「ん?」
コモド 「ただの威嚇だよ」
アイリーン 「出撃準備は整いましたが、司令のほうの首尾はいかがなんでしょう?」
ゲイブリッジ 「ああ。国連はまだリクレイマー側の報告を信じている。ということは私の立場では君の作戦は支持できない」
アイリーン 「オルファンを撃破するという作戦は・・・」
ゲイブリッジ 「ブレン達の単独行為を、我々は阻止できるのだろうかねぇ?」
アイリーン 「それはできませんね」
ゲイブリッジ 「そうなんだ。それが問題である」
アイリーン 「了解です」
ゲイブリッジ 「私の采配は間違いではないでしょう?」
直子 「でも出撃させたことでアイリーンさんは責任をとらされます」
ゲイブリッジ 「成功すれば不問だよ。作戦が失敗すれば、後の世界は無いのだから」
直子 「ああ、責任を問う人達もいなくなってますよね。
オルファン現象って、そういうものなんですね」
ラッセ 「大丈夫か、ブレン?」
アカリ 「あ!乗っちゃう!」
クマゾー 「乗っちゃう」
アカリ 「止めるぞ!」
クマゾー 「止める」
ユキオ 「待てよ!」
アカリ 「比瑪姉ちゃんはラッセを出撃させちゃあ駄目だって言ってたじゃあないか!む
ユキオ 「ラッセ・ブレンが行く気になってんだ!見てみろよ、ラッセさんだってブレンに従ってんだ!ユウ・ブレンだってラッセに優しいみたいだしさ!」
クマゾー 「優しい」
ラッセ 「ふふっ、スパイをしていたか。
お前達なら、頼まなくっても生きていけるよな」
比瑪 「勇!ラッセさんも!そのブレン出すの可哀想でしょ!」
勇 「ラッセ・ブレンが行きたがってんだから、助けてあげなくちゃならないだろ!」
比瑪 「君!駄目だよ!それじゃあ死んじゃうよー!」
勇 「良いな、ブレン?ラッセ・ブレン、ついてこれるな!
よし!ブレン、行ってくれ!」
ナンガ 「ラッセ、ブレンを消耗させるわけにはいかないんだ!出撃はやめろ!」
ラッセ 「全員で出撃するんだろ?
ナンガ、ヒギンズ、それにカナンはしんがりをとってくれ!」
カナン 「ラッセ!ブレンが出たいと言ったら、言い聞かせて出撃を止めさせるのがあなたの役割でしょう!?」
ラッセ 「カナンには俺の子を産んで欲しいんだよ」
カナン 「妊娠させてくれなければ・・・ラッセ!」
カナン 「おっちょこちょいのラッセにブレン!
比瑪!ナンガ、ヒギンズ!こちらも編隊組んで出撃でしょ!」
レイト 「これだけクジラがいると、デコイを撒く必要も無いな」
キメリエスクルー 「オルファンの老廃物に魚が引き寄せられてるんですね」
コモド 「ユウ・ブレンがきた」
コモド 「補給したら支援に上がります」
勇 「了解」
コモド 「ラッセ・ブレンも出てる?」
コモド 「ラッセ!それじゃあ無理でしょ!あたしにまで世話を焼かせようなんて・・・!
ナンガ、比瑪!どういうこと!?」
ナンガ 「オルファンの空域はどうなんだ?」
コモド 「グランチャーだってオルファンの動きに戸惑ってる」
ナンガ 「そうだろう」
コモド 「ラッセは良いのかい?」
ナンガ 「祈ってやってくれ」
コモド 「ナイルの女神、オヤに祈ってやる。本当に良いんだね?」
ナンガ 「ラッセが貧血症状でも連携プレイぐらいは出来るだろうさ。近いぞ!」
勇 「来るのか?ん?来る!」
ジョナサン 「ハハハハハ!伊佐未ファミリーは最早我が手の内!お前達も一挙に殲滅する!」
シラー 「格好良いよジョナサン!そういうジョナサンを待ってたんだ!」
マスコミA 「ノヴィス・ノアのブレンが攻撃に出たんだ!」
マスコミB 「停戦したんじゃない!はっきり映っている!」
マスコミA 「何考えてんだ!あいつ等は!」
クインシィ 「ジョナサンの動きは浮かれている。
この状況でノヴィス・ノア側が何も考えずにやられにくるものか!」
翠 「違うわよ、クインシィ。
彼は力に溢れているのよ。良きアンチボディ、抗体になっているんだわ」
クインシィ 「それが認めるべき現実というの?」
(アイキャッチ)
ラッセ 「俺は今回の勇の作戦は信じている。だからカナン達は牽制してくれるだけで良い!」
カナン 「オルファンの上の方に中枢神経のターミナルがあるというのが勇の情報。
ファミリーでなかったあたしには教えてもらってなかったこと・・・うっ?」
ナンガ 「良いぞぉカナン!一気にオルファンの頭に接近しろ!」
ヒギンズ 「頭の中枢を攻撃すると見せて、本当の攻撃目標は海面下!」
ヒギンズ 「あたしの男が乗ってんだ。簡単に死なせやしない!」
比瑪 「勇は重装備なんだから前へ出過ぎないで!」
勇 「そんなリーチをとった攻撃では消耗するだけだ!
ラッセは降下している。急がないと・・・・・ジョナサン!」
ジョナサン 「のこのこ出てきて、今度はオルファンを沈めようという魂胆か!」
勇 「オーガニック的なものが影響しあってるんだ!む
ジョナサン 「こういう力が発生するのか!」
ジョナサン 「ぐわあああ!」
勇 「よーしブレン!お前の気力があの爆発を力あるものにしてる。
もひとつ!いけー!」
ラッセ 「勇?もう仕掛けたのか?この爆発はノーマルじゃない、チャクラがある!」
勇 「うおおおお!」
勇 「もっとだ!もっと爆発のエネルギーを正面にまとめて、集中させろ!」
勇 「うわあああ!」
比瑪 「勇!」
比瑪 「勇!ブレンをバラバラにする気?何をやったの今!?」
勇 「説明は後だ。ヒギンズ達は?」
比瑪 「作戦通りやってる」
勇 「それで良い。ユウ・ブレンの身体をマッサージしてやってくれ」
比瑪 「分かってる!はっ!勇はこれと同じ事をラッセにさせようとしているんでしょ!」
勇 「ラッセは俺以上に覚悟があるんだ!俺だってオルファンを沈められるならバラバラになったって構わないと思ったけど、できなかった!」
比瑪 「勇・・・そういう覚悟を持っていたの!?」
勇 「馬鹿な家族をもってる俺は一人前の覚悟もできない男なんだ!」
比瑪 「甘ったれ屋さんのいくじなし!」
勇 「そうだ。おまえはそれで良いが、チームを崩すなよ!
ラッセ、どこだ!今の爆発は見えているな?」
ラッセ 「最後の衝撃は拡散したか。
勇、心配するな。俺のほうはちゃんとやってみせる!」
ラッセ 「こいつ等、オルファンの老廃物を餌にして集まっている。共存共栄できると思って良いのか?オルファンのオーガニック・エナジーの臨界なんていうのは全く心配してないんだな」
ラッセ 「レイトの野郎もぬけぬけと接近している。お互い女一人の為に命懸けて、馬鹿な事よ」
シラー 「ジョナサン大丈夫か?」
ジョナサン 「うっ」
シラー 「よ、よく今の爆発をくぐり抜けた」
ジョナサン 「今の爆発異常だぞ!後続の部隊はどうなってるんだ?」
レイト 「いつ攻撃されても文句が言えなくなったぞ」
キメリエスクルー 「はっ」
レイト 「第二波、第三波、一気に叩き込む!」
ラッセ 「おいおいスキンヘッドのお父さん。グランチャーの足を止める為にハッチを攻撃してくれるのは良いが、ちっとばかり早過ぎないか?
オルファンの急所は女のフィギュアだ。勇はそいつを俺に教えてくれて、上と下から攻撃しようって言ったんだぜ?」
フィジシストA 「的確に5つの発進口が撃破されました!」
クインシィ 「勇め!あいつオルファンの情報をノヴィス・ノアに売ったな?」
フィジシストA 「先程の上空の爆発で頭頂部に痺れがみえます!」
クインシィ 「ドクター研作はオルファンの循環器の保全、フィジシストにはグランチャーの別のルートの発進口を開発させろ!」
フィジシストA 「はい!」
クインシィ 「ドクター翠?」
フィジシストB 「交戦中ですよ?」
翠 「ジョナサンの動きが気になりますから・・・な、何です?」
クインシィ 「かすり傷とはいえ、オルファンが初めての痛みに身体を震わせてるというのに・・・!」
翠 「何です?」
クインシィ 「あんたという女は!」
翠 「うっ!あなたは!親にむかって!」
クインシィ 「子供を作れたから親が子の上なのか?子供は女と、男の屑以下の親の負債を抱えて、帳尻合わせに必死になっているんだ!雌をやっている暇があったら、オーガニック・エナジーの研究者らしい大人をやってみせろ!」
勇 「バイタル・ネットだ。
比瑪、ナンガ、カナン、ヒギンズ!お前達突っ込み過ぎだぞ!」
ジョナサン 「何弄ばれてんだ!たった4機のブレンだぞ!
い、いや、たった5機だ。シラー!勇のブレンは見えないか?」
シラー 「オルファンの巻き起こす雲で見えない・・・・いや、いた!」
ヒギンズ 「カナン、ナンガ!
敵はレイトのキメリエスの接近に気付いたんだ!」
ナンガ 「んにゃ、読まれたのは勇とラッセの作戦だ。
カナン、俺達が陽動をかけないと!」
カナン 「ラッセが潰される!?比瑪ちゃん!」
比瑪 「んなこと分かってますよ!てやあああ!
勇は病人を使い、病人は病人で一人前のつもりでぇ!」
シラー 「チャクラ光だが・・・オルファンのものじゃないぞ?」
ジョナサン 「何だあの光?ベルトになったチャクラ?」
勇 「このチャクラ・ベルト、グランチャーの2、3人ぐらいは金縛りに出来る!自爆もするぞ!それを覚悟なら降下してみろ!」
シラー 「あたしの部下が!」
ジョナサン 「同時に2機落としたのか?
勇!貴様ー!ブレンのオーガニック・エナジーをっ!」
勇 「ブレンと共に我のものにしたぁ!」
ラッセ 「あれが勇の言っていたフィギュアか」
ラッセ 「あの馬鹿、何で来た・・・」
カナン 「ラッセ、できるの?」
ラッセ 「見れば分かるだろう。ああもはっきりとした目標があればな」
カナン 「でも大きなものよ。そのランチャーぐらいじゃ・・・ラ、ラッセ?どうしたの?」
カナン 「ラッセ、まさか特攻・・・カミカゼをやるんじゃ・・・」
ラッセ 「ブレンが離れろと言ってる、俺じゃない。
それにあれを見ろ。急所が丸出しと見えるあれは、オルファンがオーガニックなるものである証拠だ。問題なのはあそこまでの距離だ。まだランチャーの射程距離にない。なのにかくもはっきりと見える・・・・・何?」
ラッセ 「太古からの恨み?ブレンのメッセージか?」
カナン 「オルファンに答えたのよ」
ラッセ 「そっちにも?」
カナン 「こちらには”やれ”っていう文字が」
ラッセ 「俺のブレンに答えたか」
カナン 「唆されては駄目よ、ラッセ!」
ラッセ 「分かっている・・・何?ブレン!落ち着け!」
カナン 「ブレン!あの人を止めて!」
カナン 「ラッセー!!」
ラッセ 「うおおおお!!」
ジョナサン 「勇が仕掛けた攻撃!?」
シラー 「海中からやったのか?」
ナンガ 「やっちまったのか?ラッセの野郎!」
ヒギンズ 「カナン!止められなかったの?」
比瑪 「ラッセにカミカゼをやらせたの!?勇は!?」
勇 「誰がそんなことを勧めるか!」
ラッセ 「うおおおお!!」
カナン 「あああー!!」
ジョナサン 「見えたぞ!あれはブレンパワードの自殺だ!」
ジョナサン 「なっ、なんだぁー!」
カナン 「ラッセ!ラッセ!!
はっ!あれ!」
カナン 「ラッセ・・・!」
ラッセ 「カナン・・・」
カナン 「ラッセ、良かった・・・」
ラッセ 「お、俺はどうしたんだ?ブレンは・・・」
カナン 「自爆したわ、まるで意思あるもののように」
ラッセ 「オルファンは無傷か・・・」
カナン 「でも、動きは止まっているわ」
翠 「ジョナサンが行方不明だというのか?何故です?」
クインシィ 「情念もオーガニック・パワーだな、気の多いジョナサン。他の所に女を探しに行ったんだろう?ははははは!」
翠 「馬鹿おっしゃい・・・!」
第14話「魂は孤独?」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201110092210542195/
→第16話「招かれざる客」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201201262014521372/
ブレンパワード 全台詞集 第16話「招かれざる客」
2012年1月26日 ブレンパワード全台詞集脚本:富野由悠季・浅川美也 絵コンテ:西森章 演出:真野玲 作画監督:瀬尾康博
比瑪
(ナレーション) 「ラッセ・ブレンは自分の意志でカミカゼをやったんですって!だったらグランチャーだってオルファンだってああいうことをやるかもしれないんだ!そうか、それで地球が全滅しちゃうんだ。でも、逆に考えればラッセさんが生き残れたのはブレンからオーガニック・エナジーをもらえたからでしょ?ということは、オルファンが人間にはとっても良いように作用することも考えられるな」
モハマドの部下A 「着艦するなって言ってます」
モハマドの部下B 「オルファンに近づきたがってる連中がノヴィスに逃げ込んで、満杯になってんです」
モハマド 「後部デッキが空いているだろ」
モハマドの部下A 「あのデッキは傾いてるんですよ?」
モハマド 「着艦しなさい!」
デッキクルー 「エアポケットに入った飛行機は、怪我人を満載してたんだからしょうがないでしょ!」
レポーターA 「そんなこと言わないでくださいよ」
アイリーン 「言いたくもなります!あなた方は招かれざる客です!遭難信号を出していたから着艦を許しただけで、あなた方のインタビューに答えるつもりは私にはありません!」
レポーターA 「また遭難機だ」
レポーターB 「黄金のヘリじゃないか!」
レポーターC 「モハマドだぞ!」
レポーターB 「経済界の重鎮が何しに来たんだ?」
レポーターC 「アラブがノヴィス・ノアを買い取ったのか!?」
レポーターA 「モハマドさん、国連と話し合いはついたんですか?」
モハマド 「ハーイ、アイリーン。お待たせしたねぇ」
ユキオ 「塞ぎ込んでる暇があったら!」
アカリ 「ブレンをこすってやったら?」
勇 「心配するな。そのつもりだよ」
勇 「今は休め。気にするんじゃない。お前一人騒いだって、どうなるってもんじゃないんだから」
勇 「ラッセブレンが活躍できたんで、焦ってるのか?気持ちは分かるけど、オルファンを見ればそう簡単にいかないことぐらい分かるだろ」
比瑪 「勇。また一人で何とかしようなんて考えてるんじゃないでしょうね?」
勇 「こいつが興奮して落ち着かないんだ」
勇 「だから、いろいろ考えなくちゃならないだろ。ヘタに自爆が効果あるなんてブレンが理解しちゃったら、みんな俺たちの言うことを聞かなくなっちゃうぞ」
比瑪 「そ、そうか」
勇 「そうだよ。そういう気分がさ、ヒメ・ブレンにも感染しないようにしないとな」
比瑪 「了解。君は優しいんだから、ヒメ・ブレンと仲良くしてね」
カント 「ん?あれ?」
副長 「何だ?天才少年?」
カント 「艦長さんはいらっしゃらないんですか?」
副長 「ミスター・モハマドと会議中だ」
カント 「ええー?」
副長 「性懲りもなく、この艦の指揮権を買いに…」
ノヴィスクルーA 「副長、輸送船です」
副長 「輸送船?どこのだ」
アイリーン 「皆さん、聞いて頂戴」
モハマド 「ハロー・エブリバディ!」
アイリーン 「ミスター・モハマドがいいお話を持ってきてくださいました」
副長 「…信じられないけど」
アイリーン 「本艦が南下するにつれて、補給の心配があったのですが、華僑連合とアラブ連合が援助をしてくれることになりました」
副長 「そ、そりゃあ僥倖」
モハマド 「監査役のモハマドです。アジアとアラブは力の限りノヴィス・ノアをバックアップいたします」
アイリーン 「孤児院の件、お忘れにならないでくださいね?」
モハマド 「勿論ですよ、アイリーンさん」
アイリーン 「あ、ありがと」
カント 「孤児院って?」
アイリーン 「ノヴィス・ノアを孤児院にするのよ」
カント 「へぇ」
モハマド 「太平洋側の各地には、津波の被害による難民が沢山出ています。子供が犠牲になる状況はこりゃあ戦争です!ですから…!」
副長 「い、いやぁ、ご高説に感銘しました。そのような主旨なら我々も賛成です」
比瑪 「ビー・プレートっていうのが何だか分からない、っていうのが変じゃない」
勇 「どういうものか分からないから、ビー・プレートって呼んだんだよ」
比瑪 「それがあればオルファンをやっつけられんでしょ?」
勇 「そのくらい力のあるもんだから探しに出たんだろ?」
比瑪 「ならさ、探しに行こうよ!」
勇 「双子が生まれるプレートしか、見つから…あぁっ!」
比瑪 「…っ!いきなり危ないでしょ!どうしたの!?」
勇 「アンチボディが下りてくる?」
勇 「グランチャーだぞ?」
比瑪 「何で?」
勇 「何だよ、あいつ」
比瑪 「青少年一名?」
ナッキィ 「フッ」
比瑪 「吠えるのやめなさい!」
勇 「何だよあいつら!」
比瑪 「ケンカ売るんじゃないの?」
勇 「そんなつもりはない。ん?」
比瑪 「あ?」
クマゾー 「ブレンも!ブレンも!ブレンもー!」
アカリ 「こ、こんにちは。ご、ご苦労様です」
クマゾー 「ブレン、みんな友達も!…う」
デッキクルー 「誰に断って入ってきたんだ!」
勇 「グランチャーもいる!アカリ、クマゾーは、ユキオのところへ行ってブレンたちのマッサージの道具を」
アカリ 「う、うん!」
デッキクルー 「そのグランチャーはケガでもしてんのかぁ?自律神経失調症か?」
ナッキィ 「いやぁ?」
勇 「パイロットはアンチボディに乗ってるのか?」
比瑪 「誰もいないみたい」
勇 「あのグランチャーは?」
ナッキィ 「あれも僕のです」
勇
比瑪 「リクレイマーなのか!?」
ナッキィ 「フッ、またまた…」
勇 「ふざけるんじゃない!ブレン3人にグラン1人!なのに乗り手は貴様ひとりだと言うのか!」
ナッキィ 「無礼な!面倒見ているんです。あの4人を」
勇 「ひ、ひとりでアンチボディ4人をか?」
ナッキィ 「人手がなければ、やむを得ないでしょう?」
比瑪 「な、ならどうしてあなたはこんな…」
ナッキィ 「君はチャイニーズ?コリアン?マレーシャン?」
比瑪 「ジャパニーズ!」
ナッキィ 「おぉ!ゲイシャガール!ヤマトナデー!」
勇 「うわっ!」
ナッキィ 「ヤマトナデ!ヤマトナーデ!」
比瑪 「何だってんです!?」
勇 「俺の女に何をするんだ!」
比瑪 「お、俺の女ぁ!?」
勇 「うっ…とりあえず、やめなさいよ!」
ナッキィ 「フフッ、僕はナッキィ・ガイズ。ノヴィス・ノアのアンチボディ部隊の戦力を補強する者です」
研作 「ノヴィス・ノアの動きがオルファンに干渉していると考えられるのだ」
クインシィ 「ならあいつらを撃破してもいいのだな?」
研作 「もちろんだ。が、条件がある。一気に始末をつけろということだ、できるか?」
クインシィ 「望むところだ!ブレンに侵されてオルファン嫌悪症にかかっている連中など!」
研作 「ずっとそう言ってるが勇ひとり討てないでいる。ガバナーの忍耐も限界だぞ?」
クインシィ 「ガバナーも、キレるということか?」
研作 「私とていつまでもかばいきれるものでは…」
クインシィ 「わかっている!」
研作 「親として最後の忠告だ」
クインシィ 「余計なことを。抗体としてアンチボディの任務を果たしてみせる!ガバナーには、そう伝えておけ!」
研作 「聞いたな?翠」
カント 「勇さんは?」
デッキクルー 「そこのブレンの股だ」
カント 「すみません」
勇 「大丈夫だって。悪いようにはしないから安心しな」
カント 「グランチャーはどこなんです?」
勇 「隣の倉庫だ」
カント 「ブレンと隔離したんですね?」
勇 「伝染病なんて持ってない。場所がないんだ」
カント 「でもブレンがパイロットの人数より多くなってよかったですね」
勇 「ナッキィは4人とも使いこなしてるってさ」
カント 「どんな人なんです?」
勇 「俺が知りたいよ。あいつだ、いけ好かないやつだろ?」
カント 「え?」
カント 「カント・ケストナーです。よろしく、ナッキィ・ガイズさん」
勇 「な?」
カント 「聞こえなかったんですよ。この船に怒ってるのかもしれない」
勇 「なんでだよ!」
カント 「だって、だらしないじゃないですか」
勇 「天才少年がっ!」
クマゾー 「ねんねしてるも?」
アカリ 「そうみたいね」
ユキオ 「ヘルパーたちは病気じゃないかって言ってるけど」
クマゾー 「あ!」
ユキオ
アカリ 「ん?」
アカリ 「あぁっ!」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん!」
ユキオ 「グランチャーでも気持ち良いのかな?」
比瑪 「同じアンチボディなんだから当たり前でしょ?」
アカリ 「そうなの?」
比瑪 「さっさと手伝いなさい!」
ユキオ 「あ、はい!」
アカリ 「はぁい」
クマゾー 「へへへっ、ぼくも!」
クマゾー 「あっ」
比瑪 「どうしたの?」
比瑪 「ナッキィさん!ごめんなさい、勝手にマッサージやっちゃって。でもこの子、喜んでますよ」
クマゾー 「うれしいも!」
ナッキィ 「ふぅん。ブレン的なものに包まれているノヴィス・ノアの中では消耗する一方かもしれないと思っていたが」
比瑪 「ケアですよ。ケアの仕方」
ナッキィ 「さすがゲイシャガール!」
比瑪 「宇都宮比瑪です!」
アカリ 「むー!」
ナッキィ 「ナイスガール!」
比瑪 「やめてください!」
ナッキィ 「ハハッ。ブレン達と中国に入ってこのグランチャータイプと出会った時、彼はほとんど死んでいたんです。けど僕にはリクレイマーの素質があるのかどうかしれないんだけど、なんて言うのかなぁ、こいつとは気が合うんですよ」
比瑪 「そう。この子だって、あたしには優しい目をしてるって見えるわ」
ナッキィ 「そうでしょう!?ですから僕はグランチャーとブレンパワードの共生だって出来るんじゃないか、って考えてるんです。でもノヴィス・ノアに…」
勇 「こういう奴もいるのか」
ナッキィ 「…に失望していたんですけど、君達という素晴らしい子供たちと、何よりあなたがいる!おぉナイス!来た甲斐があったというものです!」
(アイキャッチ)
比瑪 「そう言ってくれて嬉しいけど、ならナッキィさんも擦ってあげなさい?グランチャー喜ぶわよ?」
ナッキィ 「そうでしょうが、もともとマッサージは人間にやるものでしょう?」
ユキオ 「ああっ」
アカリ 「ん?」
クマゾー 「ん」
ナッキィ 「大人同士の話をするとね」
比瑪 「何ですよ?」
ナッキィ 「この艦は戦争状態の中にいるはずなのに、まったく緊張感がない」
比瑪 「そんなことないです!」
ナッキィ 「そうですよ。僕がこうしていると君は体を硬くしている」
比瑪 「あ、当たり前でしょ?子供たちも見ている」
ナッキィ 「こういう緊張感がなければならないのに、ノヴィス・ノアにはこれがない。腑抜けの天国です」
アイリーン 「申し訳ないわねぇ、ナッキィ・ガイズ?」
比瑪 「えぃっ…うぅっ!」
ナッキィ 「ねっ。だから体がなまってるんですよ」
アイリーン 「探しました。はじめまして、艦長のアイリーン・キャリアーです。…ピリピリしているだけが緊張していることではないと思うんですけどねぇ?」
ナッキィ 「あんたみたいな若い女性がどうして艦長なんだ?」
アイリーン 「あたし、人を使うのうまいのよ?人間に針を打つのもね」
ナッキィ 「鍼灸師の先生でしたよね?」
クマゾー 「うわあ!」
アカリ 「見て見てぇ!」
比瑪 「ええ?」
クマゾー 「やったも!元気だも!」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん!」
比瑪 「へぇー、見た目以上に動けるじゃない!」
アイリーン 「グランチャーが動いていいの?」
比瑪 「だってこの子ブレンと同じですよ?ぷよぷよして!」
アイリーン 「ぷよぷよ?」
ナッキィ 「こんな奴のことをぷよぷよ?」
アイリーン 「勇、何が起こったの?アイリーンです」
勇 「遭難している」
アイリーン 「難破船?」
勇 「そいつ、動けるのか?」
比瑪 「勇が出るの?」
ナッキィ 「私が連れてきたグランチャーだ」
勇 「グランチャーはオルファンの抗体だ」
比瑪 「あの子は…」
アイリーン 「勇!」
勇 「はい!」
ナッキィ 「なんです?」
アイリーン 「オルファンの海域に入って遭難した船があるんです」
ナッキィ 「民間の船ですか」
アイリーン 「地球を脱出したがってる人の難民船」
ナッキィ 「そんな。自分のことしか考えない奴らなど、救う必要はない」
アイリーン 「アメリカ軍からブレンパワードを盗み出したあなたに言える事かしら?」
ナッキィ 「何っ!」
アイリーン 「モハマドさんに拾われるまでの大陸での放浪生活だってあなたのわがままさが、感じられるわね」
副長 「これ以上逃げ込んでくる奴がいても受け入れられない。ナンガ、ヒギンズ、カナンのブレンはそういう連中を追い返す!ユウ・ブレンは救助作業!」
勇 「慣熟飛行だよ!ノヴィスの装備にも慣れなくちゃならないだろ!」
アイリーン 「カナン!ヒギンズ!あなた達は動いては駄目よ!」
比瑪 「今日に限って勇がフリュイドスーツで、あたしがTシャツなんだ!」
クマゾー 「も!も!も!」
ユキオ 「駄目だよ!グランチャーにブレンバー持たせちゃ!まだどういう反応するかわからないんだぞ!?」
ナッキィ 「君たちのマッサージのおかげで<元気になった!」
ユキオ 「気がついたばかりで!」
アカリ 「全部元気になってない!」
ナッキィ 「こいつとは長い付き合いだから、心配するな。艦長さんにグランチャーの特性を見せたいんだ」
モハマド 「艦長が入れてくれたんだぞ?」
モハマドの部下B 「我々の好みをよくご存知です」
ナッキィ 「連中はオルファンがひとつ動いたらノヴィス・ノアが沈んでしまうことが分かっていない。何を考えているのやら」
比瑪 「こちらノヴィス・ノアのブレンパワードです!」
難民船船員 「漂流してオルファンに吸い込まれてるようだ!」
比瑪 「船に乗ってる人を助けるって言ったって…勇!救命ボートに乗り移ってもらおうか?」
勇 「馬鹿言いなさい!どうやって運ぶの!このまま流されると…比瑪!この船落っこちるぞ!」
比瑪 「落ちる?どうして?」
勇 「進路のシュミレーションだ」
比瑪 「うん、見える」
勇 「オルファンが海面を盛り上げていて、その先が滝になっている」
比瑪 「だから落ちて沈むの?」
勇 「たぶんね。しかし、碇の鎖を引っ張って落ちないように…奴のグランチャーだ!」
勇 「ナッキィか?オルファンに行くつもりだ!」
比瑪 「勇!」
ナッキィ 「ううっ!くっ!この頭痛は何だ?ナッキィ・グランよ、何をいらだってるんだ」
勇 「体が震えてるぞ。そんな調子でどこ行くつもりだ?」
ナッキィ 「グランチャーなら怪しまれずに接近できる、潜入だって簡単だ。そうしたら一発でオルファンにとどめが刺せる…くっ、俺は一躍ヒーローになれて、アメリカに凱旋できるんだ!」
勇 「オルファンはそんな簡単な相手じゃない!退け!ノヴィスへ戻る…ん?あれは!」
勇 「ナッキィ!グランチャーに行かせるな!」
ナッキィ 「心配するな。こいつのコントロールは俺がしてるんだ!この頭痛は初めてのものだ、俺には分かる。こいつはオルファンに帰りたがってない。すぐに呼んでくれなかったオルファンに仕返しをしたがってるんだ!」
ナッキィ 「ナッキィ・グラン!まず愛想よく帰ってきたよ、って感じで接近しようぜ!」
勇 「山脈ひとつ潰すというのが、オルファンを破壊することなんだぞ!ナッキィ!」
ナッキィ 「グランチャーはオルファンのプレートから生まれたものだ!こいつはオルファンの急所を知ってる!」
比瑪 「こんな船を、あたしひとりで引っ張っていけるのかー!?」
乗客A 「この嵐を乗り切れるのか?」
乗客B 「エンジンが止まってるんだって?」
比瑪 「うおおおおー!」
勇 「バイタルグロウブのネットが、干渉してるのか?」
ナッキィ 「気にするな、俺のグランチャー!敵は目の前だ…どうした!?」
ナッキィ 「気合を入れろ!私の頭痛など気にしないでいい!」
ナッキィ 「怯えてどうなるものでもない!」
ナッキィ 「ん?オルファン?あれがオルファンか!」
ナッキィ 「何だ?オルファンのグランチャーか?ユウ・イサミ、逃げられないのか!?」
勇 「ブレン、落ち着け。この程度の金縛りなんか…ん?」
勇 「クィンシィ…姉さんのグランチャー!?」
クインシィ 「勇でしょ」
勇 「姉さんか?」
クインシィ 「やっぱり。来ると思っていたよ、勇」
勇 「どうしたんだ。いつもと様子が違う」
クインシィ 「勇、あたし殺される。ガバナーに私、殺されるのよ」
比瑪 「あんな高低差があるの?どうやったら沈没させないで抜けられるの?」
比瑪 「ブレン、できるの?あの船、人がいっぱいいるのよ?」
勇 「何があったんだ姉さん!辛いんならオルファンを出ればいい!」
クインシィ 「オルファンから出たら生き残れない。体のエネルギーを吸われて皆死んでしまうんだよ?」
勇 「そんなことさせるもんか!上の村に一緒に帰って、あそこの空気を吸えば…」
クインシィ 「今さら故郷に帰れるものか、そんなこと出来るわけがない。お前に出来ても、私には出来ない。お前のせいなんだ…!」
勇 「姉さん?」
クインシィ 「勇。私を姉と思うなら、この世から消えてなくなれ!」
勇 「姉さん…!」
クインシィ 「お前のような弟がいるのは、私の名折れなんだ!」
ナッキィ 「何だ、あのグランチャーは?姉とか言っていたか」
ナッキィ 「姉弟同士の戦いなどで、決着がつくわけないだろう!」
勇 「どけ!ナッキィ!」
ナッキィ 「やめろ!姉さんなんだろ!」
勇 「今は違う!グランチャーに毒されて、変わっちまったんだ!」
ナッキィ 「それでも姉さんだろ!やっちまったら一生後悔するぞ!」
勇 「しかし!」
クインシィ 「このおっ!」
ナッキィ 「姉弟同士で殺しあう辛さからは、俺が救ってやる!」
勇 「ナッキィ・ガイズ!」
ナッキィ 「どうした!しっかりしろ、おい!…うっ!」
クインシィ 「ガキは消えろ!」
勇 「ナッキィ!」
ナッキィ 「下に行った!」
勇 「分かっている!」
比瑪 「あんなにオルファンに近いところで、勇が戦っている!?」
ナッキィ 「うわっ!」
クインシィ 「落ちろ!落ちろ!落ちろ勇!お前の所為で私はガバナーに誓った忠誠心も疑われているんだぞ!落ちろ!落ちろ!ガバナーに殺されるわけにはいかないんだ!落ちろ!」
勇 「何だ?」
比瑪 「ああ!」
ナッキィ 「ん?」
クインシィ 「一緒に付き合えっ!」
勇 「入られた!」
比瑪 「勇!ナッキィさん!」
ナッキィ 「うあっ!」
比瑪 「勇!クィンシィさんだったの?」
勇 「な、なんだよ姉さん!こ、このおっ!」
勇 「やめようよ、こんなこと!姉さん!」
ナッキィ 「何が、何が起きたんです?」
比瑪 「何って、オルファンのバリアが何かしたんでしょ!?あなたが無茶したから、こんなことが起こったんじゃないの!オルファン、私たちを脱出させてくれるの?」
副長 「あの形、オルファンの輪郭に見えますな」
カント 「動き出したんですよ。オルファン」
モハマド 「ノヴィス・ノアの孤児院化は無駄なのかな?」
アイリーン 「いいえ。そういう愛の形はオーガニック的なものでしょう?オルファンがオーガニック的なものなら、こういうやり方で対抗することもできるのよね。ね、クマゾーくん?」
クマゾー 「うん」
第15話「一点突破」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201201281111461153/
→第17話「カーテンの向こうで」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204072326182749/
比瑪
(ナレーション) 「ラッセ・ブレンは自分の意志でカミカゼをやったんですって!だったらグランチャーだってオルファンだってああいうことをやるかもしれないんだ!そうか、それで地球が全滅しちゃうんだ。でも、逆に考えればラッセさんが生き残れたのはブレンからオーガニック・エナジーをもらえたからでしょ?ということは、オルファンが人間にはとっても良いように作用することも考えられるな」
モハマドの部下A 「着艦するなって言ってます」
モハマドの部下B 「オルファンに近づきたがってる連中がノヴィスに逃げ込んで、満杯になってんです」
モハマド 「後部デッキが空いているだろ」
モハマドの部下A 「あのデッキは傾いてるんですよ?」
モハマド 「着艦しなさい!」
デッキクルー 「エアポケットに入った飛行機は、怪我人を満載してたんだからしょうがないでしょ!」
レポーターA 「そんなこと言わないでくださいよ」
アイリーン 「言いたくもなります!あなた方は招かれざる客です!遭難信号を出していたから着艦を許しただけで、あなた方のインタビューに答えるつもりは私にはありません!」
レポーターA 「また遭難機だ」
レポーターB 「黄金のヘリじゃないか!」
レポーターC 「モハマドだぞ!」
レポーターB 「経済界の重鎮が何しに来たんだ?」
レポーターC 「アラブがノヴィス・ノアを買い取ったのか!?」
レポーターA 「モハマドさん、国連と話し合いはついたんですか?」
モハマド 「ハーイ、アイリーン。お待たせしたねぇ」
ユキオ 「塞ぎ込んでる暇があったら!」
アカリ 「ブレンをこすってやったら?」
勇 「心配するな。そのつもりだよ」
勇 「今は休め。気にするんじゃない。お前一人騒いだって、どうなるってもんじゃないんだから」
勇 「ラッセブレンが活躍できたんで、焦ってるのか?気持ちは分かるけど、オルファンを見ればそう簡単にいかないことぐらい分かるだろ」
比瑪 「勇。また一人で何とかしようなんて考えてるんじゃないでしょうね?」
勇 「こいつが興奮して落ち着かないんだ」
勇 「だから、いろいろ考えなくちゃならないだろ。ヘタに自爆が効果あるなんてブレンが理解しちゃったら、みんな俺たちの言うことを聞かなくなっちゃうぞ」
比瑪 「そ、そうか」
勇 「そうだよ。そういう気分がさ、ヒメ・ブレンにも感染しないようにしないとな」
比瑪 「了解。君は優しいんだから、ヒメ・ブレンと仲良くしてね」
カント 「ん?あれ?」
副長 「何だ?天才少年?」
カント 「艦長さんはいらっしゃらないんですか?」
副長 「ミスター・モハマドと会議中だ」
カント 「ええー?」
副長 「性懲りもなく、この艦の指揮権を買いに…」
ノヴィスクルーA 「副長、輸送船です」
副長 「輸送船?どこのだ」
アイリーン 「皆さん、聞いて頂戴」
モハマド 「ハロー・エブリバディ!」
アイリーン 「ミスター・モハマドがいいお話を持ってきてくださいました」
副長 「…信じられないけど」
アイリーン 「本艦が南下するにつれて、補給の心配があったのですが、華僑連合とアラブ連合が援助をしてくれることになりました」
副長 「そ、そりゃあ僥倖」
モハマド 「監査役のモハマドです。アジアとアラブは力の限りノヴィス・ノアをバックアップいたします」
アイリーン 「孤児院の件、お忘れにならないでくださいね?」
モハマド 「勿論ですよ、アイリーンさん」
アイリーン 「あ、ありがと」
カント 「孤児院って?」
アイリーン 「ノヴィス・ノアを孤児院にするのよ」
カント 「へぇ」
モハマド 「太平洋側の各地には、津波の被害による難民が沢山出ています。子供が犠牲になる状況はこりゃあ戦争です!ですから…!」
副長 「い、いやぁ、ご高説に感銘しました。そのような主旨なら我々も賛成です」
比瑪 「ビー・プレートっていうのが何だか分からない、っていうのが変じゃない」
勇 「どういうものか分からないから、ビー・プレートって呼んだんだよ」
比瑪 「それがあればオルファンをやっつけられんでしょ?」
勇 「そのくらい力のあるもんだから探しに出たんだろ?」
比瑪 「ならさ、探しに行こうよ!」
勇 「双子が生まれるプレートしか、見つから…あぁっ!」
比瑪 「…っ!いきなり危ないでしょ!どうしたの!?」
勇 「アンチボディが下りてくる?」
勇 「グランチャーだぞ?」
比瑪 「何で?」
勇 「何だよ、あいつ」
比瑪 「青少年一名?」
ナッキィ 「フッ」
比瑪 「吠えるのやめなさい!」
勇 「何だよあいつら!」
比瑪 「ケンカ売るんじゃないの?」
勇 「そんなつもりはない。ん?」
比瑪 「あ?」
クマゾー 「ブレンも!ブレンも!ブレンもー!」
アカリ 「こ、こんにちは。ご、ご苦労様です」
クマゾー 「ブレン、みんな友達も!…う」
デッキクルー 「誰に断って入ってきたんだ!」
勇 「グランチャーもいる!アカリ、クマゾーは、ユキオのところへ行ってブレンたちのマッサージの道具を」
アカリ 「う、うん!」
デッキクルー 「そのグランチャーはケガでもしてんのかぁ?自律神経失調症か?」
ナッキィ 「いやぁ?」
勇 「パイロットはアンチボディに乗ってるのか?」
比瑪 「誰もいないみたい」
勇 「あのグランチャーは?」
ナッキィ 「あれも僕のです」
勇
比瑪 「リクレイマーなのか!?」
ナッキィ 「フッ、またまた…」
勇 「ふざけるんじゃない!ブレン3人にグラン1人!なのに乗り手は貴様ひとりだと言うのか!」
ナッキィ 「無礼な!面倒見ているんです。あの4人を」
勇 「ひ、ひとりでアンチボディ4人をか?」
ナッキィ 「人手がなければ、やむを得ないでしょう?」
比瑪 「な、ならどうしてあなたはこんな…」
ナッキィ 「君はチャイニーズ?コリアン?マレーシャン?」
比瑪 「ジャパニーズ!」
ナッキィ 「おぉ!ゲイシャガール!ヤマトナデー!」
勇 「うわっ!」
ナッキィ 「ヤマトナデ!ヤマトナーデ!」
比瑪 「何だってんです!?」
勇 「俺の女に何をするんだ!」
比瑪 「お、俺の女ぁ!?」
勇 「うっ…とりあえず、やめなさいよ!」
ナッキィ 「フフッ、僕はナッキィ・ガイズ。ノヴィス・ノアのアンチボディ部隊の戦力を補強する者です」
研作 「ノヴィス・ノアの動きがオルファンに干渉していると考えられるのだ」
クインシィ 「ならあいつらを撃破してもいいのだな?」
研作 「もちろんだ。が、条件がある。一気に始末をつけろということだ、できるか?」
クインシィ 「望むところだ!ブレンに侵されてオルファン嫌悪症にかかっている連中など!」
研作 「ずっとそう言ってるが勇ひとり討てないでいる。ガバナーの忍耐も限界だぞ?」
クインシィ 「ガバナーも、キレるということか?」
研作 「私とていつまでもかばいきれるものでは…」
クインシィ 「わかっている!」
研作 「親として最後の忠告だ」
クインシィ 「余計なことを。抗体としてアンチボディの任務を果たしてみせる!ガバナーには、そう伝えておけ!」
研作 「聞いたな?翠」
カント 「勇さんは?」
デッキクルー 「そこのブレンの股だ」
カント 「すみません」
勇 「大丈夫だって。悪いようにはしないから安心しな」
カント 「グランチャーはどこなんです?」
勇 「隣の倉庫だ」
カント 「ブレンと隔離したんですね?」
勇 「伝染病なんて持ってない。場所がないんだ」
カント 「でもブレンがパイロットの人数より多くなってよかったですね」
勇 「ナッキィは4人とも使いこなしてるってさ」
カント 「どんな人なんです?」
勇 「俺が知りたいよ。あいつだ、いけ好かないやつだろ?」
カント 「え?」
カント 「カント・ケストナーです。よろしく、ナッキィ・ガイズさん」
勇 「な?」
カント 「聞こえなかったんですよ。この船に怒ってるのかもしれない」
勇 「なんでだよ!」
カント 「だって、だらしないじゃないですか」
勇 「天才少年がっ!」
クマゾー 「ねんねしてるも?」
アカリ 「そうみたいね」
ユキオ 「ヘルパーたちは病気じゃないかって言ってるけど」
クマゾー 「あ!」
ユキオ
アカリ 「ん?」
アカリ 「あぁっ!」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん!」
ユキオ 「グランチャーでも気持ち良いのかな?」
比瑪 「同じアンチボディなんだから当たり前でしょ?」
アカリ 「そうなの?」
比瑪 「さっさと手伝いなさい!」
ユキオ 「あ、はい!」
アカリ 「はぁい」
クマゾー 「へへへっ、ぼくも!」
クマゾー 「あっ」
比瑪 「どうしたの?」
比瑪 「ナッキィさん!ごめんなさい、勝手にマッサージやっちゃって。でもこの子、喜んでますよ」
クマゾー 「うれしいも!」
ナッキィ 「ふぅん。ブレン的なものに包まれているノヴィス・ノアの中では消耗する一方かもしれないと思っていたが」
比瑪 「ケアですよ。ケアの仕方」
ナッキィ 「さすがゲイシャガール!」
比瑪 「宇都宮比瑪です!」
アカリ 「むー!」
ナッキィ 「ナイスガール!」
比瑪 「やめてください!」
ナッキィ 「ハハッ。ブレン達と中国に入ってこのグランチャータイプと出会った時、彼はほとんど死んでいたんです。けど僕にはリクレイマーの素質があるのかどうかしれないんだけど、なんて言うのかなぁ、こいつとは気が合うんですよ」
比瑪 「そう。この子だって、あたしには優しい目をしてるって見えるわ」
ナッキィ 「そうでしょう!?ですから僕はグランチャーとブレンパワードの共生だって出来るんじゃないか、って考えてるんです。でもノヴィス・ノアに…」
勇 「こういう奴もいるのか」
ナッキィ 「…に失望していたんですけど、君達という素晴らしい子供たちと、何よりあなたがいる!おぉナイス!来た甲斐があったというものです!」
(アイキャッチ)
比瑪 「そう言ってくれて嬉しいけど、ならナッキィさんも擦ってあげなさい?グランチャー喜ぶわよ?」
ナッキィ 「そうでしょうが、もともとマッサージは人間にやるものでしょう?」
ユキオ 「ああっ」
アカリ 「ん?」
クマゾー 「ん」
ナッキィ 「大人同士の話をするとね」
比瑪 「何ですよ?」
ナッキィ 「この艦は戦争状態の中にいるはずなのに、まったく緊張感がない」
比瑪 「そんなことないです!」
ナッキィ 「そうですよ。僕がこうしていると君は体を硬くしている」
比瑪 「あ、当たり前でしょ?子供たちも見ている」
ナッキィ 「こういう緊張感がなければならないのに、ノヴィス・ノアにはこれがない。腑抜けの天国です」
アイリーン 「申し訳ないわねぇ、ナッキィ・ガイズ?」
比瑪 「えぃっ…うぅっ!」
ナッキィ 「ねっ。だから体がなまってるんですよ」
アイリーン 「探しました。はじめまして、艦長のアイリーン・キャリアーです。…ピリピリしているだけが緊張していることではないと思うんですけどねぇ?」
ナッキィ 「あんたみたいな若い女性がどうして艦長なんだ?」
アイリーン 「あたし、人を使うのうまいのよ?人間に針を打つのもね」
ナッキィ 「鍼灸師の先生でしたよね?」
クマゾー 「うわあ!」
アカリ 「見て見てぇ!」
比瑪 「ええ?」
クマゾー 「やったも!元気だも!」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん!」
比瑪 「へぇー、見た目以上に動けるじゃない!」
アイリーン 「グランチャーが動いていいの?」
比瑪 「だってこの子ブレンと同じですよ?ぷよぷよして!」
アイリーン 「ぷよぷよ?」
ナッキィ 「こんな奴のことをぷよぷよ?」
アイリーン 「勇、何が起こったの?アイリーンです」
勇 「遭難している」
アイリーン 「難破船?」
勇 「そいつ、動けるのか?」
比瑪 「勇が出るの?」
ナッキィ 「私が連れてきたグランチャーだ」
勇 「グランチャーはオルファンの抗体だ」
比瑪 「あの子は…」
アイリーン 「勇!」
勇 「はい!」
ナッキィ 「なんです?」
アイリーン 「オルファンの海域に入って遭難した船があるんです」
ナッキィ 「民間の船ですか」
アイリーン 「地球を脱出したがってる人の難民船」
ナッキィ 「そんな。自分のことしか考えない奴らなど、救う必要はない」
アイリーン 「アメリカ軍からブレンパワードを盗み出したあなたに言える事かしら?」
ナッキィ 「何っ!」
アイリーン 「モハマドさんに拾われるまでの大陸での放浪生活だってあなたのわがままさが、感じられるわね」
副長 「これ以上逃げ込んでくる奴がいても受け入れられない。ナンガ、ヒギンズ、カナンのブレンはそういう連中を追い返す!ユウ・ブレンは救助作業!」
勇 「慣熟飛行だよ!ノヴィスの装備にも慣れなくちゃならないだろ!」
アイリーン 「カナン!ヒギンズ!あなた達は動いては駄目よ!」
比瑪 「今日に限って勇がフリュイドスーツで、あたしがTシャツなんだ!」
クマゾー 「も!も!も!」
ユキオ 「駄目だよ!グランチャーにブレンバー持たせちゃ!まだどういう反応するかわからないんだぞ!?」
ナッキィ 「君たちのマッサージのおかげで<元気になった!」
ユキオ 「気がついたばかりで!」
アカリ 「全部元気になってない!」
ナッキィ 「こいつとは長い付き合いだから、心配するな。艦長さんにグランチャーの特性を見せたいんだ」
モハマド 「艦長が入れてくれたんだぞ?」
モハマドの部下B 「我々の好みをよくご存知です」
ナッキィ 「連中はオルファンがひとつ動いたらノヴィス・ノアが沈んでしまうことが分かっていない。何を考えているのやら」
比瑪 「こちらノヴィス・ノアのブレンパワードです!」
難民船船員 「漂流してオルファンに吸い込まれてるようだ!」
比瑪 「船に乗ってる人を助けるって言ったって…勇!救命ボートに乗り移ってもらおうか?」
勇 「馬鹿言いなさい!どうやって運ぶの!このまま流されると…比瑪!この船落っこちるぞ!」
比瑪 「落ちる?どうして?」
勇 「進路のシュミレーションだ」
比瑪 「うん、見える」
勇 「オルファンが海面を盛り上げていて、その先が滝になっている」
比瑪 「だから落ちて沈むの?」
勇 「たぶんね。しかし、碇の鎖を引っ張って落ちないように…奴のグランチャーだ!」
勇 「ナッキィか?オルファンに行くつもりだ!」
比瑪 「勇!」
ナッキィ 「ううっ!くっ!この頭痛は何だ?ナッキィ・グランよ、何をいらだってるんだ」
勇 「体が震えてるぞ。そんな調子でどこ行くつもりだ?」
ナッキィ 「グランチャーなら怪しまれずに接近できる、潜入だって簡単だ。そうしたら一発でオルファンにとどめが刺せる…くっ、俺は一躍ヒーローになれて、アメリカに凱旋できるんだ!」
勇 「オルファンはそんな簡単な相手じゃない!退け!ノヴィスへ戻る…ん?あれは!」
勇 「ナッキィ!グランチャーに行かせるな!」
ナッキィ 「心配するな。こいつのコントロールは俺がしてるんだ!この頭痛は初めてのものだ、俺には分かる。こいつはオルファンに帰りたがってない。すぐに呼んでくれなかったオルファンに仕返しをしたがってるんだ!」
ナッキィ 「ナッキィ・グラン!まず愛想よく帰ってきたよ、って感じで接近しようぜ!」
勇 「山脈ひとつ潰すというのが、オルファンを破壊することなんだぞ!ナッキィ!」
ナッキィ 「グランチャーはオルファンのプレートから生まれたものだ!こいつはオルファンの急所を知ってる!」
比瑪 「こんな船を、あたしひとりで引っ張っていけるのかー!?」
乗客A 「この嵐を乗り切れるのか?」
乗客B 「エンジンが止まってるんだって?」
比瑪 「うおおおおー!」
勇 「バイタルグロウブのネットが、干渉してるのか?」
ナッキィ 「気にするな、俺のグランチャー!敵は目の前だ…どうした!?」
ナッキィ 「気合を入れろ!私の頭痛など気にしないでいい!」
ナッキィ 「怯えてどうなるものでもない!」
ナッキィ 「ん?オルファン?あれがオルファンか!」
ナッキィ 「何だ?オルファンのグランチャーか?ユウ・イサミ、逃げられないのか!?」
勇 「ブレン、落ち着け。この程度の金縛りなんか…ん?」
勇 「クィンシィ…姉さんのグランチャー!?」
クインシィ 「勇でしょ」
勇 「姉さんか?」
クインシィ 「やっぱり。来ると思っていたよ、勇」
勇 「どうしたんだ。いつもと様子が違う」
クインシィ 「勇、あたし殺される。ガバナーに私、殺されるのよ」
比瑪 「あんな高低差があるの?どうやったら沈没させないで抜けられるの?」
比瑪 「ブレン、できるの?あの船、人がいっぱいいるのよ?」
勇 「何があったんだ姉さん!辛いんならオルファンを出ればいい!」
クインシィ 「オルファンから出たら生き残れない。体のエネルギーを吸われて皆死んでしまうんだよ?」
勇 「そんなことさせるもんか!上の村に一緒に帰って、あそこの空気を吸えば…」
クインシィ 「今さら故郷に帰れるものか、そんなこと出来るわけがない。お前に出来ても、私には出来ない。お前のせいなんだ…!」
勇 「姉さん?」
クインシィ 「勇。私を姉と思うなら、この世から消えてなくなれ!」
勇 「姉さん…!」
クインシィ 「お前のような弟がいるのは、私の名折れなんだ!」
ナッキィ 「何だ、あのグランチャーは?姉とか言っていたか」
ナッキィ 「姉弟同士の戦いなどで、決着がつくわけないだろう!」
勇 「どけ!ナッキィ!」
ナッキィ 「やめろ!姉さんなんだろ!」
勇 「今は違う!グランチャーに毒されて、変わっちまったんだ!」
ナッキィ 「それでも姉さんだろ!やっちまったら一生後悔するぞ!」
勇 「しかし!」
クインシィ 「このおっ!」
ナッキィ 「姉弟同士で殺しあう辛さからは、俺が救ってやる!」
勇 「ナッキィ・ガイズ!」
ナッキィ 「どうした!しっかりしろ、おい!…うっ!」
クインシィ 「ガキは消えろ!」
勇 「ナッキィ!」
ナッキィ 「下に行った!」
勇 「分かっている!」
比瑪 「あんなにオルファンに近いところで、勇が戦っている!?」
ナッキィ 「うわっ!」
クインシィ 「落ちろ!落ちろ!落ちろ勇!お前の所為で私はガバナーに誓った忠誠心も疑われているんだぞ!落ちろ!落ちろ!ガバナーに殺されるわけにはいかないんだ!落ちろ!」
勇 「何だ?」
比瑪 「ああ!」
ナッキィ 「ん?」
クインシィ 「一緒に付き合えっ!」
勇 「入られた!」
比瑪 「勇!ナッキィさん!」
ナッキィ 「うあっ!」
比瑪 「勇!クィンシィさんだったの?」
勇 「な、なんだよ姉さん!こ、このおっ!」
勇 「やめようよ、こんなこと!姉さん!」
ナッキィ 「何が、何が起きたんです?」
比瑪 「何って、オルファンのバリアが何かしたんでしょ!?あなたが無茶したから、こんなことが起こったんじゃないの!オルファン、私たちを脱出させてくれるの?」
副長 「あの形、オルファンの輪郭に見えますな」
カント 「動き出したんですよ。オルファン」
モハマド 「ノヴィス・ノアの孤児院化は無駄なのかな?」
アイリーン 「いいえ。そういう愛の形はオーガニック的なものでしょう?オルファンがオーガニック的なものなら、こういうやり方で対抗することもできるのよね。ね、クマゾーくん?」
クマゾー 「うん」
第15話「一点突破」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201201281111461153/
→第17話「カーテンの向こうで」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204072326182749/
ブレンパワード 全台詞集 第14話「魂は孤独?」
2011年10月9日 ブレンパワード全台詞集脚本:面出明美 絵コンテ:川瀬敏文 演出:渡邊哲哉 作画監督:津幡住明
アナウンサー 「あの島のように見えるのがオルファンでしょう!そうとしか考えられません!」
カメラマン 「あんなものが宇宙に飛ぶわけないだろう」
マスコミA 「もっと島に接近しろ!」
マスコミB 「筋雲を避ければ良いんでしょ!?」
マスコミA 「近づけよ!」
マスコミA 「うわあああ!」
コモド 「筋雲だってカーテンだってバイタル・グロウブのネットなんだよ!ぼやぼやするから!」
比瑪 「ユウ・ブレンは!?」
比瑪 「ユウ・ブレンを探すのよ!どきなさい!」
比瑪 「ごめんユウ・ブレン!あたしは馬鹿だ!君を独りにしちゃって、ごめんなさい!」
比瑪 「ユウ・ブレーン!」
比瑪 「怪我してない?どこか痛い所ない?引き攣るとかさ、ねえ?」
比瑪 「手と足はちゃんと付いてるね。凄い、ちゃんと戦ってちゃんと生きてる!偉いよ君!怖い?怖くないの?どうなの?」
比瑪 「君、どうしたの?どこに行くの!?」
ナンガ 「比瑪、比瑪、どこにいる?別働隊がいるぞ!」
比瑪 「あいつ、勇の気性が移ったんじゃないのか?」
勇 「馬鹿か!おまえは!図体がでかいからってパイロットが乗ったグランチャーと戦えるほど、おまえは良く出来ちゃいないんだ!親父達が何と言おうとおまえ達は人間を乗せる為のスペースを用意して生まれたんだ、それは何故だか分かるか、ええ?おまえ達がこの地球の進化の歴史の中で学んだ事だよな。人間の反射神経と判断力と感性、それに生殖だけは人間のものを利用するつもりだからだ、こいつのコピーは面倒だもんな!しかし、力を行使する事は自分達のものにした。フッ、人間って奴は力の使い方を知らないエゴイスティックな動物だからだろう?だからおまえ達は、おまえ達に必要な人間だけを摂取して、地球が育てた生物の生体エネルギーの全てを吸収して銀河旅行をするつもりだ!それがおまえ達だ!けどそういうおまえ達が何故かグランチャーとブレンパワードという二つに分かれて生まれた。しかも雄と雌との関係でもない。もっと根源的に、陰陽とか、プラスマイナスぐらいはっきりと反発し合う習性をもっている、何故だよ!?一つで完全無欠に永遠であるものなどこの世の中にはない。だからこうやってぐちゃぐちゃに生まれてきたんなら、オルファンだってそうだろう!?自分の反対にあるものと戦って探しているものがあるんだろう!?ビー・プレートとかもう一人のオルファンとかさ!オーガニックで有機的なものが1つのものであるわけはないのに!貴様、おまえは!比瑪程度の女に唆されて・・・うっ?・・・馬鹿野郎!」
勇 「お、おい。怪我は無いよな?どうだ、ええ?」
デッキクルー 「ユウ・ブレンが戻ったぞー!」
勇 「ブレン、痛いところは無いか。悪口は言ったつもりはないぞ・・・よし」
デッキクルー 「身体検査しないと駄目だろう!」
勇 「よく戻ってきた、ブレン。震えているのか?何があったんだ?」
勇 「俺がついててやるから怖がるな。何が怖かったのか、教えてくれるか?」
ノヴィスクルーA 「ユウ・ブレン、また発進!」
アイリーン 「任せておいて!」
桑原 「オルファンの動きは止まりましたね」
アイリーン 「バイタル・ネットは?」
桑原 「安定した出力を見せています」
カント 「そのネットとノヴィスのオーガニック・エナジーが3隻の随伴艦のプレートとも繋がって、オルファンの動きが止まったんですか?」
桑原 「そう考えるしかないタイミングじゃないか!」
カント 「ここの数値は全てノヴィスを設計した人間が弾き出した数字です」
アイリーン 「オルファンには通用しないと言うのね?」
カント 「それも断定出来ませんけど?」
アイリーン 「そうであっても、あたし達は最善の事をやるしかないです」
カント 「大人は大変ですね。僕は子供のままでいたいな」
アイリーン 「君の頭と口先は立派な大人よ?」
カント 「違いますよ!」
アイリーン 「不幸ですけど、大人です」
カント 「本当ですか、博士!?」
桑原 「天才少年って誉めたいけれど、君はニーチェを超えてるな」
源野 「ふふふっ」
カント 「粗製濫造された神々が踊り狂ってるんですよ!」
アイリーン 「・・・やっぱり大人じゃない」
クインシィ 「本当にオルファンは頭を抑えられていると、言うのだな?」
リクレイマー 「海上には上からの力がかかっているというデータが・・・」
クインシィ 「その程度の事でオルファンが止まるのか!ノヴィスが何か作戦をやったというのか?」
ジョナサン 「それならこちらも同じ事をするまでだろう、クインシィ・イッサー」
クインシィ 「ジョナサン!」
ジョナサン 「こんな所にノコノコ出てくるからさ!力の無い者が!」
カナン 「何?あの艦隊は?」
ヒギンズ 「こちらに断わり無く出てきた国連軍でしょ?」
ラッカ 「ああなったら、只の虐殺じゃないか!・・・ん?」
シラー 「食らえ!」
シラー 「ジョナサンの邪魔はさせない!」
ナンガ 「イランド部隊は国連の艦隊を守れ。俺と比瑪はグランチャーを止める!」
比瑪 「あの船には何百人もの人がいるんだ・・・これが戦争なんだ。怖い?そうだよね、本当は戦いたくないよね?」
比瑪 「でも皆を守らないと!ユウ・ブレンだって戻ってくれるよ!」
ナンガ 「こいつら一体何機いるんだ?」
ラッセ 「数で勝てないが、指揮官を落せば・・・!」
ナンガ 「待て!ラッセ!」
ラッセ 「止めてみせる!」
ジョナサン 「まだまだぁ!」
カナン 「ラッセ?・・・はっ!」
シラー 「カナン!裏切りの代償は払ってもらう!」
カナン 「シラー・グラス?」
ラッセ 「こいつ!」
ラッセ 「うわっ!」
ジョナサン 「死ねってことよ!」
ラッセ 「い、痛みがきた・・・何!?」
ジョナサン 「とどめをもらう!・・・ぐっ?」
勇 「ジョナサン!もう止めろ!」
ジョナサン 「勇、やっと来たか。逃げ出したかと心配したぜ!」
カナン 「ラッセ!ラッセ・ルンベルク!大丈夫なんでしょ?生きているんでしょ?」
カナン 「ラッセ!ラッセ!」
ラッセ 「・・・大丈夫だ、生きているよ」
カナン 「了解。ラッセ・ルンベルク」
シラー 「仲良く死なせてあげようっていうのに!当たらない?」
比瑪 「カナンさん早く!勇!」
勇 「ジョナサン!貴様は!アノーア艦長に!」
ジョナサン 「ぐわっ!」
勇 「お袋さんに復讐する為にリクレイマーになったんだろう?お袋さんは、アノーア艦長は、責任を感じていた!だからプレートと一緒に海に消えた、いなくなったんだよ!もう他人を巻き込む必要は無いんだ!」
ジョナサン 「もうあんな女の事に拘っちゃいない!」
勇 「そんなパンチ!」
ジョナサン 「自分のプライドしか考えられない女の事などで、誰が思い悩むか!」
勇 「嘘をつけ!親子の情をそんな簡単に切れるものか!」
ジョナサン 「ハッハ!貴様は覚悟が足らないからそういう事言うんだよ!いくじなしめ!男じゃないんだよ!」
勇 「いくじなし?覚悟がない?」
ジョナサン 「本当の覚悟ができていれば親殺しだってできる!キレてやるんじゃない、逆上しなくたって正義の確信があり、信念を通そうという確固たるものがあればできるもんだ!」
勇 「事情があった!」
勇 「事情が!」
ジョナサン 「ハッハ!覚悟がないからオルファンだって沈められないんだ!」
勇 「な、何?」
ジョナサン 「本気でオルファンを沈めるつもりがあれば、おまえが来た時原爆なり水爆を持ち込めたはずだろう?」
勇 「その程度の事ではオルファンは沈むわけがない!」
ジョナサン 「沈むなぁ。2重3重の核を体内で爆発させてみろ、オルファンだって沈む」
勇 「沈まない!」
ジョナサン 「勇よぉ、おかしかないか?なら何で外に出ていってオルファンを沈めようなんて言ってんだ」
勇 「それは、マイクロウェーブとかビー・プレートとかの可能性はあった!」
ジョナサン 「二親と姉さんのいるオルファンなんか端から沈める気はないんだ。それがおまえの本当の気持ちだから、アンチボディ戦なんかやってみせてノヴィス・ノアから食い扶持をもらう為に格好だけはつけてんだ!」
勇 「違う!あいつらはオルファン諸共消えて無くなればいい!」
ジョナサン 「本当にそう思えるか?」
勇 「何を・・・言いたい?」
ジョナサン 「俺さ。クインシィ・イッサーと愛し合ったなぁ」
勇 「俺の知った事か!」
ジョナサン 「粉をかけたらすぐによってきたんだ」
勇 「男と女のやる事、珍しくもない」
ジョナサン 「ドクター翠・伊佐未もなんだ」
勇 「・・・何を言ってるんだ?」
ジョナサン 「いやさぁ、ババァなんて馬鹿にしてたさ。がね、いやぁ味わい深かったって感動したぁ・・・お」
勇 「くう!」
ジョナサン 「ハッハッハ!怒れよ!」
勇 「はあああああ!」
ジョナサン 「普通こういう話は面白がるんだぜ?怒るっていう事の意味は分かるよなぁ?おまえにはオルファンを沈める事はできない!」
勇 「嘘だ!ジョナサン流の強がりだ!」
ジョナサン 「ならお母ちゃんに聞いてみなよ。情熱を秘めた肉体・・・」
勇 「貴様ぁー!」
ジョナサン 「すまない。言い過ぎたな。しかしもう一つ現状報告をしておくと、女房の態度が変わってもそれに気付かないのがおまえのお父ちゃんって事だ!おまえはそういう男と女の間に生まれた子供なんだ!」
ジョナサン 「可哀想になぁ、生きてたって辛いだろう?楽にしてやるよ。心配するな、クインシィだってたっぷり可愛がってやる。俺、包容力ってのあるつもりだからさ」
勇 「くうう!言うなぁ!」
ジョナサン 「ハッハッハ!」
(アイキャッチ無し)
翠 「何故こんなものだけでオルファンが停止するのかしら。オルファンのエネルギーレベルなら振り切れるはずよ」
研作 「こちらの計算ではそうだが、これがオルファンの意思ならどうだ?」
翠 「オルファンの意思なら?」
研作 「どちらにしても今は様子を見た方が良い」
翠 「そうでしょうか?」
研作 「グランチャー部隊にだって影響が出るはずだ」
翠 「ああ。なら、引き上げさせましょう!」
桑原 「良いぞ!このままオルファンを海底へ押し戻せるかもしれない!」
アイリーン 「オーガニック・エンジン臨界点へ持ち上げてみます」
副長 「了解。カウントダウン開始。10、9、8、7、6、5、4」
ノヴィスクルーB 「国連本部より通信です」
アイリーン 「こんな時に?」
ノヴィスクルーB 「は、はぁ」
国連議員 「ノヴィス・ノア及びバイタリティ・ネット作戦に参加している艦隊の作戦は中止!オルファンの静止が認められたので現状のまま待機!」
桑原 「な、何を言ってんです!」
ゲイブリッジ 「オーガニック・エンジンの出力を戻す」
アイリーン 「ゲイブリッジ司令!」
ゲイブリッジ 「上の決定には逆らえん」
桑原 「しかし!」
ゲイブリッジ 「彼等はリクレイマーの言い分を信じているようだ。オルファンがオーガニック・エナジーを吸収せず、そのまま宇宙へ行ってくれるならそれで良いのだ、と」
桑原 「そんな事はあり得ません!」
ゲイブリッジ 「その調査の為の停戦だ!」
アイリーン 「リクレイマーが動いたんですね?」
ゲイブリッジ 「ああ、そうだろうな」
アイリーン 「仕方がない?仕方がないんですね?」
カント 「でしょうね。この船のオーガニック・エナジーの放出がオルファンに気持ち良いってこと、それはあり得るもんな。その結果は、データなんかじゃ分からないよな。あんなもの過去の検証だけで未来予測はしないもの」
ジョナサン 「ハッハッハ!そういう風に怒るお前には、俺一人落とせやしない!」
勇 「やったな!ジョナサン・グレーン!」
比瑪 「勇!何を撃ってるの!?もう相手はいないでしょ!」
勇 「はっ!?貴様のやった事、どんな理由があろうと犬畜生以下だ!鬼だ!外道の極みだ!うわああああ!」
比瑪 「勇、どうしたの?泣いてるの?勇、何で泣いてるの?」
勇 「ほっといてくれぇ!」
ナンガ 「5、6機も落したか?」
コモド 「ああ。引く事はないように見えたけど?」
ナンガ 「そうでもない。勇のブレンは俺のより参っている」
勇 「さっきは大声を出しちゃって、済まなかった」
比瑪 「何か・・・」
カナン 「無茶よ!」
ラッセ 「事情は見りゃ分かるだろう!このぐらいは無茶な事じゃない!」
カナン 「そうだからって、まるで死んでも良いって戦い方は異常です!貴方はファイティング・ハイになるような人ではないのに、どうしたっていうの!」
比瑪 「カナンさん?」
カナン 「英雄気取りでやったのならもっと質が悪い。ブレンだって大怪我をさせて、得な事なんか何にも無いのよ!」
ラッセ 「泣くなよカナン。そう簡単に俺はくたばったりしない」
カナン 「自惚れないでね」
ラッセ 「ああ」
カナン 「先生を呼ぶわ」
ラッセ 「へっ。頼むわ・・・おっ?」
カナン 「ラッセ?どうしたの?」
ラッセ 「ちょっと目眩がしただけだ。休めば良くなる」
勇 「何だ?」
コモド 「何を知ってんのさ、教えなさいよ」
比瑪 「何なんです?」
ナンガ 「あいつ白血病の持病があって、それで疲れ易いんだ」
カナン 「えっ」
比瑪 「でも、今は治らない病気じゃないわ」
ナンガ 「そうなんだが」
アイリーン 「彼は一切の治療を拒んでいるのよ。神が為すままに運命を受け入れるって」
カナン 「どうしてなんです?」
アイリーン 「ここに来た時からそう、あたしにはお灸の治療しかさせてくれないのよ」
カナン 「そんなの変ですよ!」
アイリーン 「勇」
勇 「はい」
アイリーン 「ラッセが呼んでるわ。あなたに話したい事があるって」
勇 「でも・・・」
比瑪 「あたしが行く」
勇 「頼む」
勇 「熱くないのか?」
ラッセ 「熱いさ、気持ち良いけど」
勇 「なんだよ、カナンは怒ってどっか行っちゃったぞ」
ラッセ 「それで良いさ。泣かれるとは思わなかったんで結構効いたよ。今まで俺の事を泣くほど心配してくれる奴なんていなかったからな」
勇 「だったら、治療すれば良いじゃないか」
ラッセ 「俺はブレンに会った時に願掛けをしたんだ。この気に入っている地球をオルファンみたいなわけの分からないものに壊されるくらいなら命を賭けるってね」
勇 「それは分かるけど」
ラッセ 「だから独りで戦おうって勇の気持ちは分かってたんだが、俺達を利用するぐらいの気合いは持って欲しいんだ」
勇 「そういう話か」
ラッセ 「独りでやるよりは良いぜ」
勇 「カナンを、泣かせるな」
ラッセ 「まだ、そういう約束は出来ないな。あの子を生かすために」
比瑪(※) 「おろち こわや 海呑む こわや おねむでころり てんじんさんでころり おろち こわや・・・」
比瑪 「ひだまりの館の先生がよく歌ってくれた子守唄よ」
勇 「カナンは?」
カナン 「ああ。酷い顔を見に来たの?」
勇 「ごめん。心配で」
カナン 「ありがとう」
勇 「いや」
カナン 「自分がこんなに弱いなんて思わなかったな」
勇 「カナンは強いよ」
カナン 「両親から望まれずに生まれれば、怨みしか知らずに独りで生きてしまう。そんなあたしに人類への復讐も出来て銀河旅行が出来るって言われれば、グランチャー乗りになれると思えた。でもそんな事しても、結局は自分の思いからは逃げられないって分かったのよ」
勇 「だからカナンは強いんだよ。俺は逃げてばかりだ」
カナン 「あたしをここに呼んでくれたのは勇よ。勇は復讐なんて意味が無いって分かったんでしょ?」
勇 「それは分かったさ。外からオルファンを眺めてはっきりそう思えたんだ」
勇 「あれは優しい姿をしていた。膨よかで、狂暴なものには全く見えなかった」
カナン 「それ、まるで母なるものの事ね。人間の女達が母になる事をしなくなった。それで子供達は奈落に落ちる。だからオルファンが敵になる」
勇 「そう。それもあるかもな。女が母になる事をやめて、男もそれを許したんだ」
カナン 「戦争が無くなって、自由過ぎて、男も女も自分達の欲望だけに目を向けてしまったのよ」
勇 「生存競争を自分に向けたらエゴだけが育ったんだ」
カナン 「このブレンチャイルドに触っていると、そういう考え方の間違いに気付くみたいで・・・あたし、あの人を愛しても良いのかしら?」
勇 「良いよ、素敵な事じゃないか。カナンとラッセならベストカップルだ」
カナン 「ありがとう」
比瑪 「ふうん・・・」
ナンガ 「このままの状況を永遠に維持できるはずはないでしょう?」
ゲイブリッジ 「それは分かっているが、国連という組織の命令には逆らえない」
コモド 「前線にいるあたしたちのほうが状況は分かっています!このままバイタル・ネットが消滅したらどうするんです?」
ナンガ 「今がチャンスなんです!これを逃せばオルファンを沈める事はできない!」
アイリーン 「ここのクルーは皆頭が固いんです!こうと決めたら」
ゲイブリッジ 「知ってるとも、このクルーを集めたのは私だ。この首ひとつで人類が救われるなら、賭けてみるか!」
アイリーン 「ああ!」
コモド 「よし!」
カント 「良いんですか?」
桑原 「そうそう大人を疑うもんじゃない」
アイリーン 「問題はバイタル・ネットで固定できても沈められない程巨大なものをどうやって・・・」
勇 「可能性はあります」
ゲイブリッジ 「ん?」
勇 「世の中に完璧なんてもの、無いんです。俺が知ってる情報は全て提供します」
ゲイブリッジ 「助かる!」
勇 「でも両親の口から出た事が全てですから、確たるものじゃありません」
アイリーン 「それは?」
勇 「オルファンはあれそのものがオーガニック・ニンジンなんですが、基本的に生物的なものですから弱点はあるんです。例えば老廃物を排出する器官があります・・・」
※歌「天神さんの子守唄」
第13話「堂々たる浮上」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201110082237079452/
→第15話「一点突破」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201201281111461153/
アナウンサー 「あの島のように見えるのがオルファンでしょう!そうとしか考えられません!」
カメラマン 「あんなものが宇宙に飛ぶわけないだろう」
マスコミA 「もっと島に接近しろ!」
マスコミB 「筋雲を避ければ良いんでしょ!?」
マスコミA 「近づけよ!」
マスコミA 「うわあああ!」
コモド 「筋雲だってカーテンだってバイタル・グロウブのネットなんだよ!ぼやぼやするから!」
比瑪 「ユウ・ブレンは!?」
比瑪 「ユウ・ブレンを探すのよ!どきなさい!」
比瑪 「ごめんユウ・ブレン!あたしは馬鹿だ!君を独りにしちゃって、ごめんなさい!」
比瑪 「ユウ・ブレーン!」
比瑪 「怪我してない?どこか痛い所ない?引き攣るとかさ、ねえ?」
比瑪 「手と足はちゃんと付いてるね。凄い、ちゃんと戦ってちゃんと生きてる!偉いよ君!怖い?怖くないの?どうなの?」
比瑪 「君、どうしたの?どこに行くの!?」
ナンガ 「比瑪、比瑪、どこにいる?別働隊がいるぞ!」
比瑪 「あいつ、勇の気性が移ったんじゃないのか?」
勇 「馬鹿か!おまえは!図体がでかいからってパイロットが乗ったグランチャーと戦えるほど、おまえは良く出来ちゃいないんだ!親父達が何と言おうとおまえ達は人間を乗せる為のスペースを用意して生まれたんだ、それは何故だか分かるか、ええ?おまえ達がこの地球の進化の歴史の中で学んだ事だよな。人間の反射神経と判断力と感性、それに生殖だけは人間のものを利用するつもりだからだ、こいつのコピーは面倒だもんな!しかし、力を行使する事は自分達のものにした。フッ、人間って奴は力の使い方を知らないエゴイスティックな動物だからだろう?だからおまえ達は、おまえ達に必要な人間だけを摂取して、地球が育てた生物の生体エネルギーの全てを吸収して銀河旅行をするつもりだ!それがおまえ達だ!けどそういうおまえ達が何故かグランチャーとブレンパワードという二つに分かれて生まれた。しかも雄と雌との関係でもない。もっと根源的に、陰陽とか、プラスマイナスぐらいはっきりと反発し合う習性をもっている、何故だよ!?一つで完全無欠に永遠であるものなどこの世の中にはない。だからこうやってぐちゃぐちゃに生まれてきたんなら、オルファンだってそうだろう!?自分の反対にあるものと戦って探しているものがあるんだろう!?ビー・プレートとかもう一人のオルファンとかさ!オーガニックで有機的なものが1つのものであるわけはないのに!貴様、おまえは!比瑪程度の女に唆されて・・・うっ?・・・馬鹿野郎!」
勇 「お、おい。怪我は無いよな?どうだ、ええ?」
デッキクルー 「ユウ・ブレンが戻ったぞー!」
勇 「ブレン、痛いところは無いか。悪口は言ったつもりはないぞ・・・よし」
デッキクルー 「身体検査しないと駄目だろう!」
勇 「よく戻ってきた、ブレン。震えているのか?何があったんだ?」
勇 「俺がついててやるから怖がるな。何が怖かったのか、教えてくれるか?」
ノヴィスクルーA 「ユウ・ブレン、また発進!」
アイリーン 「任せておいて!」
桑原 「オルファンの動きは止まりましたね」
アイリーン 「バイタル・ネットは?」
桑原 「安定した出力を見せています」
カント 「そのネットとノヴィスのオーガニック・エナジーが3隻の随伴艦のプレートとも繋がって、オルファンの動きが止まったんですか?」
桑原 「そう考えるしかないタイミングじゃないか!」
カント 「ここの数値は全てノヴィスを設計した人間が弾き出した数字です」
アイリーン 「オルファンには通用しないと言うのね?」
カント 「それも断定出来ませんけど?」
アイリーン 「そうであっても、あたし達は最善の事をやるしかないです」
カント 「大人は大変ですね。僕は子供のままでいたいな」
アイリーン 「君の頭と口先は立派な大人よ?」
カント 「違いますよ!」
アイリーン 「不幸ですけど、大人です」
カント 「本当ですか、博士!?」
桑原 「天才少年って誉めたいけれど、君はニーチェを超えてるな」
源野 「ふふふっ」
カント 「粗製濫造された神々が踊り狂ってるんですよ!」
アイリーン 「・・・やっぱり大人じゃない」
クインシィ 「本当にオルファンは頭を抑えられていると、言うのだな?」
リクレイマー 「海上には上からの力がかかっているというデータが・・・」
クインシィ 「その程度の事でオルファンが止まるのか!ノヴィスが何か作戦をやったというのか?」
ジョナサン 「それならこちらも同じ事をするまでだろう、クインシィ・イッサー」
クインシィ 「ジョナサン!」
ジョナサン 「こんな所にノコノコ出てくるからさ!力の無い者が!」
カナン 「何?あの艦隊は?」
ヒギンズ 「こちらに断わり無く出てきた国連軍でしょ?」
ラッカ 「ああなったら、只の虐殺じゃないか!・・・ん?」
シラー 「食らえ!」
シラー 「ジョナサンの邪魔はさせない!」
ナンガ 「イランド部隊は国連の艦隊を守れ。俺と比瑪はグランチャーを止める!」
比瑪 「あの船には何百人もの人がいるんだ・・・これが戦争なんだ。怖い?そうだよね、本当は戦いたくないよね?」
比瑪 「でも皆を守らないと!ユウ・ブレンだって戻ってくれるよ!」
ナンガ 「こいつら一体何機いるんだ?」
ラッセ 「数で勝てないが、指揮官を落せば・・・!」
ナンガ 「待て!ラッセ!」
ラッセ 「止めてみせる!」
ジョナサン 「まだまだぁ!」
カナン 「ラッセ?・・・はっ!」
シラー 「カナン!裏切りの代償は払ってもらう!」
カナン 「シラー・グラス?」
ラッセ 「こいつ!」
ラッセ 「うわっ!」
ジョナサン 「死ねってことよ!」
ラッセ 「い、痛みがきた・・・何!?」
ジョナサン 「とどめをもらう!・・・ぐっ?」
勇 「ジョナサン!もう止めろ!」
ジョナサン 「勇、やっと来たか。逃げ出したかと心配したぜ!」
カナン 「ラッセ!ラッセ・ルンベルク!大丈夫なんでしょ?生きているんでしょ?」
カナン 「ラッセ!ラッセ!」
ラッセ 「・・・大丈夫だ、生きているよ」
カナン 「了解。ラッセ・ルンベルク」
シラー 「仲良く死なせてあげようっていうのに!当たらない?」
比瑪 「カナンさん早く!勇!」
勇 「ジョナサン!貴様は!アノーア艦長に!」
ジョナサン 「ぐわっ!」
勇 「お袋さんに復讐する為にリクレイマーになったんだろう?お袋さんは、アノーア艦長は、責任を感じていた!だからプレートと一緒に海に消えた、いなくなったんだよ!もう他人を巻き込む必要は無いんだ!」
ジョナサン 「もうあんな女の事に拘っちゃいない!」
勇 「そんなパンチ!」
ジョナサン 「自分のプライドしか考えられない女の事などで、誰が思い悩むか!」
勇 「嘘をつけ!親子の情をそんな簡単に切れるものか!」
ジョナサン 「ハッハ!貴様は覚悟が足らないからそういう事言うんだよ!いくじなしめ!男じゃないんだよ!」
勇 「いくじなし?覚悟がない?」
ジョナサン 「本当の覚悟ができていれば親殺しだってできる!キレてやるんじゃない、逆上しなくたって正義の確信があり、信念を通そうという確固たるものがあればできるもんだ!」
勇 「事情があった!」
勇 「事情が!」
ジョナサン 「ハッハ!覚悟がないからオルファンだって沈められないんだ!」
勇 「な、何?」
ジョナサン 「本気でオルファンを沈めるつもりがあれば、おまえが来た時原爆なり水爆を持ち込めたはずだろう?」
勇 「その程度の事ではオルファンは沈むわけがない!」
ジョナサン 「沈むなぁ。2重3重の核を体内で爆発させてみろ、オルファンだって沈む」
勇 「沈まない!」
ジョナサン 「勇よぉ、おかしかないか?なら何で外に出ていってオルファンを沈めようなんて言ってんだ」
勇 「それは、マイクロウェーブとかビー・プレートとかの可能性はあった!」
ジョナサン 「二親と姉さんのいるオルファンなんか端から沈める気はないんだ。それがおまえの本当の気持ちだから、アンチボディ戦なんかやってみせてノヴィス・ノアから食い扶持をもらう為に格好だけはつけてんだ!」
勇 「違う!あいつらはオルファン諸共消えて無くなればいい!」
ジョナサン 「本当にそう思えるか?」
勇 「何を・・・言いたい?」
ジョナサン 「俺さ。クインシィ・イッサーと愛し合ったなぁ」
勇 「俺の知った事か!」
ジョナサン 「粉をかけたらすぐによってきたんだ」
勇 「男と女のやる事、珍しくもない」
ジョナサン 「ドクター翠・伊佐未もなんだ」
勇 「・・・何を言ってるんだ?」
ジョナサン 「いやさぁ、ババァなんて馬鹿にしてたさ。がね、いやぁ味わい深かったって感動したぁ・・・お」
勇 「くう!」
ジョナサン 「ハッハッハ!怒れよ!」
勇 「はあああああ!」
ジョナサン 「普通こういう話は面白がるんだぜ?怒るっていう事の意味は分かるよなぁ?おまえにはオルファンを沈める事はできない!」
勇 「嘘だ!ジョナサン流の強がりだ!」
ジョナサン 「ならお母ちゃんに聞いてみなよ。情熱を秘めた肉体・・・」
勇 「貴様ぁー!」
ジョナサン 「すまない。言い過ぎたな。しかしもう一つ現状報告をしておくと、女房の態度が変わってもそれに気付かないのがおまえのお父ちゃんって事だ!おまえはそういう男と女の間に生まれた子供なんだ!」
ジョナサン 「可哀想になぁ、生きてたって辛いだろう?楽にしてやるよ。心配するな、クインシィだってたっぷり可愛がってやる。俺、包容力ってのあるつもりだからさ」
勇 「くうう!言うなぁ!」
ジョナサン 「ハッハッハ!」
(アイキャッチ無し)
翠 「何故こんなものだけでオルファンが停止するのかしら。オルファンのエネルギーレベルなら振り切れるはずよ」
研作 「こちらの計算ではそうだが、これがオルファンの意思ならどうだ?」
翠 「オルファンの意思なら?」
研作 「どちらにしても今は様子を見た方が良い」
翠 「そうでしょうか?」
研作 「グランチャー部隊にだって影響が出るはずだ」
翠 「ああ。なら、引き上げさせましょう!」
桑原 「良いぞ!このままオルファンを海底へ押し戻せるかもしれない!」
アイリーン 「オーガニック・エンジン臨界点へ持ち上げてみます」
副長 「了解。カウントダウン開始。10、9、8、7、6、5、4」
ノヴィスクルーB 「国連本部より通信です」
アイリーン 「こんな時に?」
ノヴィスクルーB 「は、はぁ」
国連議員 「ノヴィス・ノア及びバイタリティ・ネット作戦に参加している艦隊の作戦は中止!オルファンの静止が認められたので現状のまま待機!」
桑原 「な、何を言ってんです!」
ゲイブリッジ 「オーガニック・エンジンの出力を戻す」
アイリーン 「ゲイブリッジ司令!」
ゲイブリッジ 「上の決定には逆らえん」
桑原 「しかし!」
ゲイブリッジ 「彼等はリクレイマーの言い分を信じているようだ。オルファンがオーガニック・エナジーを吸収せず、そのまま宇宙へ行ってくれるならそれで良いのだ、と」
桑原 「そんな事はあり得ません!」
ゲイブリッジ 「その調査の為の停戦だ!」
アイリーン 「リクレイマーが動いたんですね?」
ゲイブリッジ 「ああ、そうだろうな」
アイリーン 「仕方がない?仕方がないんですね?」
カント 「でしょうね。この船のオーガニック・エナジーの放出がオルファンに気持ち良いってこと、それはあり得るもんな。その結果は、データなんかじゃ分からないよな。あんなもの過去の検証だけで未来予測はしないもの」
ジョナサン 「ハッハッハ!そういう風に怒るお前には、俺一人落とせやしない!」
勇 「やったな!ジョナサン・グレーン!」
比瑪 「勇!何を撃ってるの!?もう相手はいないでしょ!」
勇 「はっ!?貴様のやった事、どんな理由があろうと犬畜生以下だ!鬼だ!外道の極みだ!うわああああ!」
比瑪 「勇、どうしたの?泣いてるの?勇、何で泣いてるの?」
勇 「ほっといてくれぇ!」
ナンガ 「5、6機も落したか?」
コモド 「ああ。引く事はないように見えたけど?」
ナンガ 「そうでもない。勇のブレンは俺のより参っている」
勇 「さっきは大声を出しちゃって、済まなかった」
比瑪 「何か・・・」
カナン 「無茶よ!」
ラッセ 「事情は見りゃ分かるだろう!このぐらいは無茶な事じゃない!」
カナン 「そうだからって、まるで死んでも良いって戦い方は異常です!貴方はファイティング・ハイになるような人ではないのに、どうしたっていうの!」
比瑪 「カナンさん?」
カナン 「英雄気取りでやったのならもっと質が悪い。ブレンだって大怪我をさせて、得な事なんか何にも無いのよ!」
ラッセ 「泣くなよカナン。そう簡単に俺はくたばったりしない」
カナン 「自惚れないでね」
ラッセ 「ああ」
カナン 「先生を呼ぶわ」
ラッセ 「へっ。頼むわ・・・おっ?」
カナン 「ラッセ?どうしたの?」
ラッセ 「ちょっと目眩がしただけだ。休めば良くなる」
勇 「何だ?」
コモド 「何を知ってんのさ、教えなさいよ」
比瑪 「何なんです?」
ナンガ 「あいつ白血病の持病があって、それで疲れ易いんだ」
カナン 「えっ」
比瑪 「でも、今は治らない病気じゃないわ」
ナンガ 「そうなんだが」
アイリーン 「彼は一切の治療を拒んでいるのよ。神が為すままに運命を受け入れるって」
カナン 「どうしてなんです?」
アイリーン 「ここに来た時からそう、あたしにはお灸の治療しかさせてくれないのよ」
カナン 「そんなの変ですよ!」
アイリーン 「勇」
勇 「はい」
アイリーン 「ラッセが呼んでるわ。あなたに話したい事があるって」
勇 「でも・・・」
比瑪 「あたしが行く」
勇 「頼む」
勇 「熱くないのか?」
ラッセ 「熱いさ、気持ち良いけど」
勇 「なんだよ、カナンは怒ってどっか行っちゃったぞ」
ラッセ 「それで良いさ。泣かれるとは思わなかったんで結構効いたよ。今まで俺の事を泣くほど心配してくれる奴なんていなかったからな」
勇 「だったら、治療すれば良いじゃないか」
ラッセ 「俺はブレンに会った時に願掛けをしたんだ。この気に入っている地球をオルファンみたいなわけの分からないものに壊されるくらいなら命を賭けるってね」
勇 「それは分かるけど」
ラッセ 「だから独りで戦おうって勇の気持ちは分かってたんだが、俺達を利用するぐらいの気合いは持って欲しいんだ」
勇 「そういう話か」
ラッセ 「独りでやるよりは良いぜ」
勇 「カナンを、泣かせるな」
ラッセ 「まだ、そういう約束は出来ないな。あの子を生かすために」
比瑪(※) 「おろち こわや 海呑む こわや おねむでころり てんじんさんでころり おろち こわや・・・」
比瑪 「ひだまりの館の先生がよく歌ってくれた子守唄よ」
勇 「カナンは?」
カナン 「ああ。酷い顔を見に来たの?」
勇 「ごめん。心配で」
カナン 「ありがとう」
勇 「いや」
カナン 「自分がこんなに弱いなんて思わなかったな」
勇 「カナンは強いよ」
カナン 「両親から望まれずに生まれれば、怨みしか知らずに独りで生きてしまう。そんなあたしに人類への復讐も出来て銀河旅行が出来るって言われれば、グランチャー乗りになれると思えた。でもそんな事しても、結局は自分の思いからは逃げられないって分かったのよ」
勇 「だからカナンは強いんだよ。俺は逃げてばかりだ」
カナン 「あたしをここに呼んでくれたのは勇よ。勇は復讐なんて意味が無いって分かったんでしょ?」
勇 「それは分かったさ。外からオルファンを眺めてはっきりそう思えたんだ」
勇 「あれは優しい姿をしていた。膨よかで、狂暴なものには全く見えなかった」
カナン 「それ、まるで母なるものの事ね。人間の女達が母になる事をしなくなった。それで子供達は奈落に落ちる。だからオルファンが敵になる」
勇 「そう。それもあるかもな。女が母になる事をやめて、男もそれを許したんだ」
カナン 「戦争が無くなって、自由過ぎて、男も女も自分達の欲望だけに目を向けてしまったのよ」
勇 「生存競争を自分に向けたらエゴだけが育ったんだ」
カナン 「このブレンチャイルドに触っていると、そういう考え方の間違いに気付くみたいで・・・あたし、あの人を愛しても良いのかしら?」
勇 「良いよ、素敵な事じゃないか。カナンとラッセならベストカップルだ」
カナン 「ありがとう」
比瑪 「ふうん・・・」
ナンガ 「このままの状況を永遠に維持できるはずはないでしょう?」
ゲイブリッジ 「それは分かっているが、国連という組織の命令には逆らえない」
コモド 「前線にいるあたしたちのほうが状況は分かっています!このままバイタル・ネットが消滅したらどうするんです?」
ナンガ 「今がチャンスなんです!これを逃せばオルファンを沈める事はできない!」
アイリーン 「ここのクルーは皆頭が固いんです!こうと決めたら」
ゲイブリッジ 「知ってるとも、このクルーを集めたのは私だ。この首ひとつで人類が救われるなら、賭けてみるか!」
アイリーン 「ああ!」
コモド 「よし!」
カント 「良いんですか?」
桑原 「そうそう大人を疑うもんじゃない」
アイリーン 「問題はバイタル・ネットで固定できても沈められない程巨大なものをどうやって・・・」
勇 「可能性はあります」
ゲイブリッジ 「ん?」
勇 「世の中に完璧なんてもの、無いんです。俺が知ってる情報は全て提供します」
ゲイブリッジ 「助かる!」
勇 「でも両親の口から出た事が全てですから、確たるものじゃありません」
アイリーン 「それは?」
勇 「オルファンはあれそのものがオーガニック・ニンジンなんですが、基本的に生物的なものですから弱点はあるんです。例えば老廃物を排出する器官があります・・・」
※歌「天神さんの子守唄」
第13話「堂々たる浮上」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201110082237079452/
→第15話「一点突破」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201201281111461153/
ブレンパワード 全台詞集 第13話「堂々たる浮上」
2011年10月8日 ブレンパワード全台詞集脚本:隅沢克之 絵コンテ:竹之内和久 演出:岩崎良明 作画監督:戸部敦夫
比瑪
(ナレーション) 「勇がお父さんを追いかけたときクマゾーが付いていってしまった。クマゾーはシラー・グラスというグランチャー乗りと仲良くなった気配がある。男はあの年からそういうことをやっているの?愚考するにクマゾーがいたから勇はオルファンに潜入できたって考え方もあるんだよね」
デッキクルー 「高波を横に受ける馬鹿がいるか!」
アイリーン 「あっ、すいません」
ゲイブリッジ 「なに、これからはずっと続くぞ」
アイリーン 「わかってます。オルファンの浮上は?」
副長 「間違いなく続いています」
ノヴィスクルー 「既にオルファンの頭部は海上に出ているかもしれません」
アイリーン 「本当にあのシルエットがオルファンなんですか?」
ゲイブリッジ 「そうだろう」
アイリーン 「オルファン、つまり孤児ってコードネームは妙ですね」
ゲイブリッジ 「中核に人の形があったからだろうな」
勇 「気持ち悪くないか?」
クマゾー 「うん、大丈夫も」
カナン 「あの雲の中に私の居たオルファンがいる・・・」
※
クインシィ 「静止衛星軌道上の監視衛星は?」
翠 「全て撃破しましたよ」
研作 「これがオルファンの威力だ。太平洋沿岸の国々はどう考えようと連携行動は出来まい」
クインシィ 「博士!敵に我々の手のうちを見せ過ぎてはおりませんか?」
翠 「オルファンは全能です!もう誰にも止められません」
クインシィ 「浮上中のエネルギーの分散化は、オルファンを無防備にするのではなかったのですか?博士!」
アカリ 「クマゾー!勇!ご飯だよ」
比瑪 「カナンさんもどうぞ!」
ユキオ 「食べられたらの話だけど」
アカリ 「トンカツだって!」
ユキオ 「うぇ!」
クマゾー 「まんま?降りる!降ろしても!」
勇 「ブレンから降りたら船酔いになるんじゃないの?」
クマゾー 「降りるも!」
カナン 「ありがとう。いただくわ」
カナン 「気が重いのはわかるけど・・・」
比瑪 「別に責任感じなくたっていいんだよ」
勇 「何をさ?」
比瑪 「オルファンの事よ」
勇 「忘れてた、オルファンの新しいデータ整理しといたんだ」
比瑪 「え?へぇ・・・マメじゃない。勇!」
アカリ 「どうしたの?」
比瑪 「な、なんでもないよ」
ユキオ 「勇、変じゃない?」
比瑪 「感じやすいってのはナイーブな事なんだけど、勝手に参っていて良いって時じゃないと思うな」
避難民A 「押さないでよ!」
避難民B 「上がつかえてんだ!」
避難民C 「神様ー!罪深き私達をお許し下さい!」
桑原 「オルファン浮上に伴う津波は、かつて地中海のミロス文明が消滅したのと同じ結果を生みます」
ゲイブリッジ 「それはオルファンの肩が海上に出たくらいでの話だ。オルファンが本当に浮上したらどうなるのか?」
桑原 「オルファンのオーガニック・エンジンが加速しますので、生命体に影響を与えるものなります」
アイリーン 「ノヴィス・ノアのオーガニック・エンジンは人体への影響は認められないのに、ですか?」
桑原 「エネルギー総量の問題なのです。オルファン規模のエネルギー吸収量を持ったものが海上から浮上して衛星軌道に昇る間にどれほどの被害を及ぼすか計り知れません」
比瑪 「すいません遅れて!すいません」
アイリーン 「オルファンを止めましょう」
比瑪 「は?はい」
カナン 「オルファンを止める?」
ヒギンズ 「あんな容積があるものを?」
ラッセ 「どうやって止めるんです?」
副長 「艦長、成算があるんですか?」
アイリーン 「桑原博士や源野博士にオーガニック・エンジンの調整をしてもらいました。なおかつ、本艦に収容されているプレートを調べてもらいました。これらのプレートの硬化現象は進んでいないんです」
ゲイブリッジ 「伊佐未勇君の言っていたビー・プレートの可能性があるということだね?」
アイリーン 「そうです。ですからそれらのプレートをレディ・ワン以下に搭載してオルファンを包囲します。プレートの共振によってオルファンの頭が抑えられれば・・・」
桑原 「オルファンは自分自身が放出するエネルギーの反発を受けて沈んでくれます」
ゲイブリッジ 「性格的な事を考えればブレン自体もビー・プレート的と言える。本艦のプレートとブレンの存在で今回の封じ込め作戦は有り得ると思っている・・・」
カナン 「そうか。オーガニック的な力と言うのはそういう可能性もはらんでいるのね」
比瑪 「アイリーンさんって偉い!」
カント 「馬鹿みたいだけど、考え方としては素敵ですね。オーガニック的なるものというのは無機的に定められたものではないですからね」
勇 「俺はここに帰ったつもりでいたけどオルファンが追いかけて来ちゃったか」
翠(回想) 「さあ、私達の家に帰るのよ。もう、男の子はいつまでも甘えん坊で困るわ」
翠(回想) 「ほうら、もうこれで家族一緒よ」
クインシィ(回想) 「勇ったら照れて暴れるなんて」
翠(回想) 「誰も笑いはしませんよ」
勇 「無視されて当然なのか、子供の気持ちなんて・・・」
比瑪 「勇!いるんでしょ?勇?開けないのならアノーア艦長の時のように開けちゃうから!」
勇 「うるさい!うっ?」
比瑪 「カナンさんも心配して指令に言ってくれたのよ?」
直子 「勇がオルファンを浮上させたわけではないんだから」
勇 「わかってるよ」
ゲイブリッジ 「太平洋の都市の被害、我々には直接助けられる力はない」
勇 「当たり前です」
ゲイブリッジ 「が、君の提供してくれたデータだと、オルファンのエネルギー総量の推測がついた。桑原博士達もプレートの・・・」
勇 「ゲイブリッジさんは、どうしてばあちゃんと一緒にならなかったんだ?」
ゲイブリッジ 「ん?」
直子 「勇・・・」
勇 「あんた達が一緒になってればあんな馬鹿なお袋は生まれる事はなかったし、俺だって生まれなかった!」
直子 「め、巡り合わせです」
ゲイブリッジ 「そう、巡り合わせだった。私は直子との結婚を考えて軍を辞めたんだ。しかし、日本に行く途中オルファンの存在を知るチャンスを得た。招かれたと思える体験だった。それで結局軍に戻ってオルファンの探査チームを創設したりして、直子を裏切る結果になった」
直子 「私に堪え性がなかったのよ」
ゲイブリッジ 「しかし私は後悔していない。おかげで君のようなお孫さんが育ってくれたからね」
勇 「どういう意味です?」
ゲイブリッジ 「意味など・・・」
勇 「魂胆と言うか、考え方ですよ」
ゲイブリッジ 「オルファンからリバイバルしたブレンを連れてきた君を人類の救世主だと思っている」
勇 「俺はなにも出来てない!誰も救えないで、こんな天国みたいな所でウダウダしてんだ!」
直子 「そんなに自分を卑下するは事ないわ」
勇 「もう、ばあちゃんの時代は終わったんだ!悪かったよ!昔の事なんか持ち出して!あんた達は老いらくの恋を楽しんで、青春を謳歌すりゃあいい!」
直子 「勇!」
ゲイブリッジ 「直子・・・」
翠 「ではジョナサンは、グランチャー部隊を指揮できると思っているのね?」
ジョナサン 「そりゃそうです。クインシィ・イッサーはドクターたちのお子さんだから遠慮してました。しかし、オルファンが頭を海上に出し始めたんだ。核保有国が水爆を連発して打ちこんできたりすりゃあ、オルファンだってわかったもんじゃない。そうでしょ?」
翠 「危険要因の1つではありますね」
ジョナサン 「だから娘を第一線に出したくないという、あんたの気持ちもわかります」
翠 「それとこれとは違います」
ジョナサン 「そりゃどうでもいいんだ。グランチャー部隊の実質的指揮権を頂けりゃあ、鬱憤晴らしが出来る!世界中の人間にむかってな!女へ!母親への恨みもぶつけられる!」
翠 「そういう男が好きな女もいるのは忘れないで」
ジョナサン 「了解している、ドクター」
翠 「かわいい動物だこと。私はこういう下等な雄しかいない地球がほとほと嫌なのよ・・・!」
(アイキャッチ)
ナンガ 「おう、似合ってるじゃないか」
勇 「おっ」
比瑪 「どう?きつくない?」
勇 「いいね。オルファンのフリュイドスーツより楽だな」
カナン 「採寸が良かったのよ」
比瑪 「あら?そんな事したんですか?」
カナン 「しなくて、体に合うわけないでしょ?」
比瑪 「そうかあ?」
勇 「そうでしょ」
比瑪 「カナンさんが採ったの?」
カナン 「ええ、まあ」
ナンガ 「御一同!プレート運搬作業急ぐぞ!」
勇 「ようし!」
ユキオ 「こういうの見せられてようやく伊佐未勇も一人前だよね」
勇 「良く言うな、ユキオ」
アカリ 「本当だもの!」
クマゾー 「本当も!」
ナンガ 「こうしてフリュイドスーツを着てくれたことには感謝するよ」
勇 「俺の身勝手でやってる事さ」
カナン 「私を誘ってくれた時から、勇は一貫しているわ」
ナンガ 「君は直感的に可能性を洞察している。なあ?比瑪ちゃん」
比瑪 「そういう男の子だよね」
勇 「とは言えないな。なっ?天才カント・ケストナー君」
カント 「な、何です急に?」
勇 「俺もアイリーン艦長の作戦に賛成した、けどこの作戦可能性はないんだろ?」
カント 「全否定はしてません。バイタル・グロウブのネットとオーガニック・エナジーとの関係から実行する価値はあります」
ナンガ 「天才の保証があれば勇気100倍だ」
カント 「それに全てがオーガニック・エナジーの影響下にある事件です。皆さんの生き生きとした働き、これが一番の力になる。僕はそう洞察します」
直子 「え、ええ。そうですよね」
ラッセ 「また盛り上がっているのか」
カナン 「そんな風に見えるわね」
コモド 「さっさと済ませておくれよ」
ナンガ 「オグンの御加護はあるさ」
ヒギンズ 「うっ、気圧の変化が激しくなっている」
比瑪 「変だよこれ!勇!あっ!」
勇 「当たり前だろ!オルファンの浮上は続いてんだから!」
桑原 「また馬鹿にしに来たのかね?」
カント 「いえ、この元気な花を見て欲しいんです」
桑原 「ほう、この艦のオーガニック・エンジンと共生しているのかね?」
カント 「そう考えていいでしょう。これであのプレートがビー・プレートなら作戦は完璧なんですけど」
桑原 「この艦のブリッジがピラミッドの型をしている事も計算に入れて欲しいな」
カント 「ですからオルファン封じ込め作戦、全面否定なんかしてませんよ」
勇 「出来てるの?」
デッキクルー 「試作が十丁だ、全部使えるとは限りません」
比瑪 「オルファンから設計図持ってきたの?」
勇 「接近戦用の道具は必要だろ、使えるかどうか」
ユキオ 「勇!少し休みなよ」
勇 「駄目か、次を試させてくれ」
デッキクルー 「どうぞ!」
ナンガ 「危ないじゃないか!」
ヒギンズ 「なにやって・・・!?」
勇 「ようし。定数熱量、出てるね。次を試すぞ!」
アイリーン 「勇、ご苦労様。医務室へきてちょうだい」
勇 「は、はい」
アイリーン 「不整脈はないけど、疲れているわねぇ。フリュイドスーツを着てみせるなんて気が良いのね」
アイリーン 「気が急いていても体は正直よ。虚していて反応は遅いわ」
勇 「虚してる?虚脱の虚ですか?」
アイリーン 「そうよ。肉体そのものもね、良い体験や悪い体験の記憶はしている。吐き出すものは吐き出させてあげないとね」
勇 「分かるけど、僕にできるのかな?」
アイリーン 「できるわよ」
副長 「艦長、オルファン封じ込めシフト完了」
アイリーン 「了解、すぐに上がります。勇は15分程静かにしていて」
勇 「はい」
クインシィ 「オルファンの処女飛行が始まって空中に体を晒すと、オルファンは防衛能力はないものと考えてやらねばならない。故に、全機出撃!」
ジョナサン 「そりゃ駄目です!」
クインシィ 「何故だ!」
ジョナサン 「ユウ・ブレンの潜入もあったんだ。グランチャーの動かし方は俺に任せてもらう」
クインシィ 「くっ!私はガバナーからの信託を受けている。外に出ても外敵をオルファンにいれなければいいのだ!それに・・・」
ジョナサン 「それに?」
クインシィ 「勇を倒せばガバナーの信頼を確実に得る事が出来る」
ジョナサン 「しかし博士、母親にとって息子は恋人同然であると言います。よろしいのか?」
翠 「その様な例え、なんと古風なこと」
ジョナサン 「では小生は伊佐未勇を恋敵というつもりで、排除する事に全力を尽くします。クインシィ・イッサー」
クインシィ 「・・・なんで一々あの女の確認をとるのだ!?」
ジョナサン 「グランチャーの補強にも力を貸して頂いておりますから」
クインシィ 「あの二人、何があったのだ?あの二人に!」
ノヴィスクルー 「オーガニック・エナジー、上昇ノーマル」
副長 「レディワン、ツー、スリー。オーガニック・エナジー感応!」
勇 「姉ちゃんだって・・・」
アイリーン 「状況は?」
カント 「異常なし、ですね」
桑原 「プレートに変化無しでした」
ゲイブリッジ 「オーガニック・エンジンは順調です」
ノヴィスクルー 「オルファンと思われるものの巨大質量の浮上スピード、30%落ちです」
アイリーン 「成功!?」
副長 「そう思いましょうや、その方が嬉しい」
ジョナサン 「指揮権を執りたいのなら実力で見せてくれなければな。肉親というのは身内を見下した時には他人以上に苛烈になるものだ。おっ、出てきたな。ふふっ、親子それぞれ、やってみなよ」
クインシィ 「ジョナサン、お前はあたしに従うものなのだ。解っているな?」
勇 「ん?」
デッキクルー 「続いてナンガ、ラッセ・ブレン出るぞ!」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん!」
比瑪 「はい」
ユキオ 「勇のブレンも連れてけって、艦長さんが言ってる」
比瑪 「どういうこと?」
アカリ 「勇がまだ針治療終わってないんだって」
ユキオ 「コックピットで確認してごらんよ」
比瑪 「了解!」
比瑪 「聞きました。できると思います?」
アイリーン 「ノヴィス・ノアの上空に滞空させておくだけでいいのよ」
比瑪 「勇、そんなに参ってるんですか?」
アイリーン 「想像力のある子だから、精神的に一人で負っちゃうのよ。あっ、副長!勇の針、抜いてあげなくっちゃ!」
比瑪 「大丈夫だよね?上で飛んでるだけでいいんだから」
ユキオ 「グランチャーが一杯来るんだ」
アカリ 「ブレン?」
クマゾー 「ブレン!一緒に行くも!」
アカリ 「馬鹿言うんじゃない!」
コモド 「やだ、あんなにいる。ナンガ、後ろをとってもらうよ!」
ナンガ 「コモドの野郎、動き過ぎると流れ弾に当たるぞ!ん?」
ラッセ 「ナンガめ、一人で前に出るなよ!狙い撃ちにされるぞ!来る!」
カナン 「ラッセも!一人で突撃して!」
ヒギンズ 「もう!みんなして勝手なんだからあ!」
勇 「皆出ちゃったのか?俺のブレンがいない、えっ?あいつ!」
比瑪 「ようし、回れ右をするぞ!」
勇 「比瑪、何やってる!ブレン!僕はここだ!」
比瑪 「ここでクマゾーやアカリ、ユキオを守っておやり」
コモド 「あうっ!イランドでグランチャーに近づくから!」
ジョナサン 「雑魚はいい!勇の野郎どこに隠れてる!」
ナンガ 「コモドは背後から援護してくれりゃあいい」
コモド 「りょ、了解!」
ナンガ 「ラッセ、押されやがって!」
ジョナサン 「ユウ・ブレン以外興味はないんだよ!」
シラー 「くっ・・・」
ラッセ 「うっ!」
シラー 「うあっ!」
比瑪 「こんな数の敵・・・まともじゃあー!」
ジョナサン 「またこいつが邪魔するのか!うっ!」
ジョナサン 「何なんだ!このブレンは二度も俺に傷を負わせる!」
比瑪 「魂胆悪いからでしょ!宇都宮比瑪ブレン、根性直してやるから!」
カナン 「クインシィ・イッサーも出ている?」
クインシィ 「まだノヴィス・ノアの砲門を開かせるところまで行っていないのか!情けないアンチボディ達だ!」
カナン 「クインシィが先頭に立つ作戦なら、彼女を倒すしかないけど!」
クインシィ 「勇だよ!勇を出しなさい!」
比瑪 「泥棒ー!」
勇 「あの馬鹿、何格好つけてるんだ!俺はここにいるんだぞ!あの数、姉貴も出てきたんだ!」
アイリーン 「ヒメ・ブレンを援護します」
副長 「宜しいでしょう」
アイリーン 「キメリエスも援護を」
クインシィ 「なっ、何をぉー!?」
クインシィ 「止まれば狙い撃ちにされるか!?ならば、ノヴィス・ノアへ!」
副長 「二時の方向から来ますな」
アイリーン 「はい。ランチャー、機銃座もよろしく!」
クインシィ 「勇がいたぁ!勇がぁ!」
勇 「ブレン一人でクインシィにかかろうったって、どうなるってもんじゃないだろう!」
ユキオ 「勇のブレンなら出来るんじゃないの?」
アカリ 「そうだよ!」
カント 「バイタル・グロウブと連動する活性化があれば、それはオルファンにも同じ効果を上げさせていますから」
ゲイブリッジ 「アンチボディ戦については」
副長 「それぞれの個体の能力のぶつかり合いになりますな」
アイリーン 「それでは昔のままじゃないですか!」
勇 「艦長!」
アイリーン 「なんです?」
勇 「イランドでもウェッジでもいい、俺をブレンにまで連れてって!」
アイリーン 「全機出撃中。あなたが呼び戻しなさい!」
勇 「・・・ったく!お前達は救命ジョッキを着てボートを出しとけ!」
ユキオ 「了解!」
アカリ 「どうしてさ?」
クマゾー 「どうして!」
勇 「ブレン!戻って来い!」
勇 「無理だ!お前一人じゃ・・・無理だよぉぉ!」
※高波に襲われる人々の描写と台詞がありますが、言葉にならない悲鳴のみなので割愛してます
第12話「単独行」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201109261442516327/
→第14話「魂は孤独?」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201110092210542195/
比瑪
(ナレーション) 「勇がお父さんを追いかけたときクマゾーが付いていってしまった。クマゾーはシラー・グラスというグランチャー乗りと仲良くなった気配がある。男はあの年からそういうことをやっているの?愚考するにクマゾーがいたから勇はオルファンに潜入できたって考え方もあるんだよね」
デッキクルー 「高波を横に受ける馬鹿がいるか!」
アイリーン 「あっ、すいません」
ゲイブリッジ 「なに、これからはずっと続くぞ」
アイリーン 「わかってます。オルファンの浮上は?」
副長 「間違いなく続いています」
ノヴィスクルー 「既にオルファンの頭部は海上に出ているかもしれません」
アイリーン 「本当にあのシルエットがオルファンなんですか?」
ゲイブリッジ 「そうだろう」
アイリーン 「オルファン、つまり孤児ってコードネームは妙ですね」
ゲイブリッジ 「中核に人の形があったからだろうな」
勇 「気持ち悪くないか?」
クマゾー 「うん、大丈夫も」
カナン 「あの雲の中に私の居たオルファンがいる・・・」
※
クインシィ 「静止衛星軌道上の監視衛星は?」
翠 「全て撃破しましたよ」
研作 「これがオルファンの威力だ。太平洋沿岸の国々はどう考えようと連携行動は出来まい」
クインシィ 「博士!敵に我々の手のうちを見せ過ぎてはおりませんか?」
翠 「オルファンは全能です!もう誰にも止められません」
クインシィ 「浮上中のエネルギーの分散化は、オルファンを無防備にするのではなかったのですか?博士!」
アカリ 「クマゾー!勇!ご飯だよ」
比瑪 「カナンさんもどうぞ!」
ユキオ 「食べられたらの話だけど」
アカリ 「トンカツだって!」
ユキオ 「うぇ!」
クマゾー 「まんま?降りる!降ろしても!」
勇 「ブレンから降りたら船酔いになるんじゃないの?」
クマゾー 「降りるも!」
カナン 「ありがとう。いただくわ」
カナン 「気が重いのはわかるけど・・・」
比瑪 「別に責任感じなくたっていいんだよ」
勇 「何をさ?」
比瑪 「オルファンの事よ」
勇 「忘れてた、オルファンの新しいデータ整理しといたんだ」
比瑪 「え?へぇ・・・マメじゃない。勇!」
アカリ 「どうしたの?」
比瑪 「な、なんでもないよ」
ユキオ 「勇、変じゃない?」
比瑪 「感じやすいってのはナイーブな事なんだけど、勝手に参っていて良いって時じゃないと思うな」
避難民A 「押さないでよ!」
避難民B 「上がつかえてんだ!」
避難民C 「神様ー!罪深き私達をお許し下さい!」
桑原 「オルファン浮上に伴う津波は、かつて地中海のミロス文明が消滅したのと同じ結果を生みます」
ゲイブリッジ 「それはオルファンの肩が海上に出たくらいでの話だ。オルファンが本当に浮上したらどうなるのか?」
桑原 「オルファンのオーガニック・エンジンが加速しますので、生命体に影響を与えるものなります」
アイリーン 「ノヴィス・ノアのオーガニック・エンジンは人体への影響は認められないのに、ですか?」
桑原 「エネルギー総量の問題なのです。オルファン規模のエネルギー吸収量を持ったものが海上から浮上して衛星軌道に昇る間にどれほどの被害を及ぼすか計り知れません」
比瑪 「すいません遅れて!すいません」
アイリーン 「オルファンを止めましょう」
比瑪 「は?はい」
カナン 「オルファンを止める?」
ヒギンズ 「あんな容積があるものを?」
ラッセ 「どうやって止めるんです?」
副長 「艦長、成算があるんですか?」
アイリーン 「桑原博士や源野博士にオーガニック・エンジンの調整をしてもらいました。なおかつ、本艦に収容されているプレートを調べてもらいました。これらのプレートの硬化現象は進んでいないんです」
ゲイブリッジ 「伊佐未勇君の言っていたビー・プレートの可能性があるということだね?」
アイリーン 「そうです。ですからそれらのプレートをレディ・ワン以下に搭載してオルファンを包囲します。プレートの共振によってオルファンの頭が抑えられれば・・・」
桑原 「オルファンは自分自身が放出するエネルギーの反発を受けて沈んでくれます」
ゲイブリッジ 「性格的な事を考えればブレン自体もビー・プレート的と言える。本艦のプレートとブレンの存在で今回の封じ込め作戦は有り得ると思っている・・・」
カナン 「そうか。オーガニック的な力と言うのはそういう可能性もはらんでいるのね」
比瑪 「アイリーンさんって偉い!」
カント 「馬鹿みたいだけど、考え方としては素敵ですね。オーガニック的なるものというのは無機的に定められたものではないですからね」
勇 「俺はここに帰ったつもりでいたけどオルファンが追いかけて来ちゃったか」
翠(回想) 「さあ、私達の家に帰るのよ。もう、男の子はいつまでも甘えん坊で困るわ」
翠(回想) 「ほうら、もうこれで家族一緒よ」
クインシィ(回想) 「勇ったら照れて暴れるなんて」
翠(回想) 「誰も笑いはしませんよ」
勇 「無視されて当然なのか、子供の気持ちなんて・・・」
比瑪 「勇!いるんでしょ?勇?開けないのならアノーア艦長の時のように開けちゃうから!」
勇 「うるさい!うっ?」
比瑪 「カナンさんも心配して指令に言ってくれたのよ?」
直子 「勇がオルファンを浮上させたわけではないんだから」
勇 「わかってるよ」
ゲイブリッジ 「太平洋の都市の被害、我々には直接助けられる力はない」
勇 「当たり前です」
ゲイブリッジ 「が、君の提供してくれたデータだと、オルファンのエネルギー総量の推測がついた。桑原博士達もプレートの・・・」
勇 「ゲイブリッジさんは、どうしてばあちゃんと一緒にならなかったんだ?」
ゲイブリッジ 「ん?」
直子 「勇・・・」
勇 「あんた達が一緒になってればあんな馬鹿なお袋は生まれる事はなかったし、俺だって生まれなかった!」
直子 「め、巡り合わせです」
ゲイブリッジ 「そう、巡り合わせだった。私は直子との結婚を考えて軍を辞めたんだ。しかし、日本に行く途中オルファンの存在を知るチャンスを得た。招かれたと思える体験だった。それで結局軍に戻ってオルファンの探査チームを創設したりして、直子を裏切る結果になった」
直子 「私に堪え性がなかったのよ」
ゲイブリッジ 「しかし私は後悔していない。おかげで君のようなお孫さんが育ってくれたからね」
勇 「どういう意味です?」
ゲイブリッジ 「意味など・・・」
勇 「魂胆と言うか、考え方ですよ」
ゲイブリッジ 「オルファンからリバイバルしたブレンを連れてきた君を人類の救世主だと思っている」
勇 「俺はなにも出来てない!誰も救えないで、こんな天国みたいな所でウダウダしてんだ!」
直子 「そんなに自分を卑下するは事ないわ」
勇 「もう、ばあちゃんの時代は終わったんだ!悪かったよ!昔の事なんか持ち出して!あんた達は老いらくの恋を楽しんで、青春を謳歌すりゃあいい!」
直子 「勇!」
ゲイブリッジ 「直子・・・」
翠 「ではジョナサンは、グランチャー部隊を指揮できると思っているのね?」
ジョナサン 「そりゃそうです。クインシィ・イッサーはドクターたちのお子さんだから遠慮してました。しかし、オルファンが頭を海上に出し始めたんだ。核保有国が水爆を連発して打ちこんできたりすりゃあ、オルファンだってわかったもんじゃない。そうでしょ?」
翠 「危険要因の1つではありますね」
ジョナサン 「だから娘を第一線に出したくないという、あんたの気持ちもわかります」
翠 「それとこれとは違います」
ジョナサン 「そりゃどうでもいいんだ。グランチャー部隊の実質的指揮権を頂けりゃあ、鬱憤晴らしが出来る!世界中の人間にむかってな!女へ!母親への恨みもぶつけられる!」
翠 「そういう男が好きな女もいるのは忘れないで」
ジョナサン 「了解している、ドクター」
翠 「かわいい動物だこと。私はこういう下等な雄しかいない地球がほとほと嫌なのよ・・・!」
(アイキャッチ)
ナンガ 「おう、似合ってるじゃないか」
勇 「おっ」
比瑪 「どう?きつくない?」
勇 「いいね。オルファンのフリュイドスーツより楽だな」
カナン 「採寸が良かったのよ」
比瑪 「あら?そんな事したんですか?」
カナン 「しなくて、体に合うわけないでしょ?」
比瑪 「そうかあ?」
勇 「そうでしょ」
比瑪 「カナンさんが採ったの?」
カナン 「ええ、まあ」
ナンガ 「御一同!プレート運搬作業急ぐぞ!」
勇 「ようし!」
ユキオ 「こういうの見せられてようやく伊佐未勇も一人前だよね」
勇 「良く言うな、ユキオ」
アカリ 「本当だもの!」
クマゾー 「本当も!」
ナンガ 「こうしてフリュイドスーツを着てくれたことには感謝するよ」
勇 「俺の身勝手でやってる事さ」
カナン 「私を誘ってくれた時から、勇は一貫しているわ」
ナンガ 「君は直感的に可能性を洞察している。なあ?比瑪ちゃん」
比瑪 「そういう男の子だよね」
勇 「とは言えないな。なっ?天才カント・ケストナー君」
カント 「な、何です急に?」
勇 「俺もアイリーン艦長の作戦に賛成した、けどこの作戦可能性はないんだろ?」
カント 「全否定はしてません。バイタル・グロウブのネットとオーガニック・エナジーとの関係から実行する価値はあります」
ナンガ 「天才の保証があれば勇気100倍だ」
カント 「それに全てがオーガニック・エナジーの影響下にある事件です。皆さんの生き生きとした働き、これが一番の力になる。僕はそう洞察します」
直子 「え、ええ。そうですよね」
ラッセ 「また盛り上がっているのか」
カナン 「そんな風に見えるわね」
コモド 「さっさと済ませておくれよ」
ナンガ 「オグンの御加護はあるさ」
ヒギンズ 「うっ、気圧の変化が激しくなっている」
比瑪 「変だよこれ!勇!あっ!」
勇 「当たり前だろ!オルファンの浮上は続いてんだから!」
桑原 「また馬鹿にしに来たのかね?」
カント 「いえ、この元気な花を見て欲しいんです」
桑原 「ほう、この艦のオーガニック・エンジンと共生しているのかね?」
カント 「そう考えていいでしょう。これであのプレートがビー・プレートなら作戦は完璧なんですけど」
桑原 「この艦のブリッジがピラミッドの型をしている事も計算に入れて欲しいな」
カント 「ですからオルファン封じ込め作戦、全面否定なんかしてませんよ」
勇 「出来てるの?」
デッキクルー 「試作が十丁だ、全部使えるとは限りません」
比瑪 「オルファンから設計図持ってきたの?」
勇 「接近戦用の道具は必要だろ、使えるかどうか」
ユキオ 「勇!少し休みなよ」
勇 「駄目か、次を試させてくれ」
デッキクルー 「どうぞ!」
ナンガ 「危ないじゃないか!」
ヒギンズ 「なにやって・・・!?」
勇 「ようし。定数熱量、出てるね。次を試すぞ!」
アイリーン 「勇、ご苦労様。医務室へきてちょうだい」
勇 「は、はい」
アイリーン 「不整脈はないけど、疲れているわねぇ。フリュイドスーツを着てみせるなんて気が良いのね」
アイリーン 「気が急いていても体は正直よ。虚していて反応は遅いわ」
勇 「虚してる?虚脱の虚ですか?」
アイリーン 「そうよ。肉体そのものもね、良い体験や悪い体験の記憶はしている。吐き出すものは吐き出させてあげないとね」
勇 「分かるけど、僕にできるのかな?」
アイリーン 「できるわよ」
副長 「艦長、オルファン封じ込めシフト完了」
アイリーン 「了解、すぐに上がります。勇は15分程静かにしていて」
勇 「はい」
クインシィ 「オルファンの処女飛行が始まって空中に体を晒すと、オルファンは防衛能力はないものと考えてやらねばならない。故に、全機出撃!」
ジョナサン 「そりゃ駄目です!」
クインシィ 「何故だ!」
ジョナサン 「ユウ・ブレンの潜入もあったんだ。グランチャーの動かし方は俺に任せてもらう」
クインシィ 「くっ!私はガバナーからの信託を受けている。外に出ても外敵をオルファンにいれなければいいのだ!それに・・・」
ジョナサン 「それに?」
クインシィ 「勇を倒せばガバナーの信頼を確実に得る事が出来る」
ジョナサン 「しかし博士、母親にとって息子は恋人同然であると言います。よろしいのか?」
翠 「その様な例え、なんと古風なこと」
ジョナサン 「では小生は伊佐未勇を恋敵というつもりで、排除する事に全力を尽くします。クインシィ・イッサー」
クインシィ 「・・・なんで一々あの女の確認をとるのだ!?」
ジョナサン 「グランチャーの補強にも力を貸して頂いておりますから」
クインシィ 「あの二人、何があったのだ?あの二人に!」
ノヴィスクルー 「オーガニック・エナジー、上昇ノーマル」
副長 「レディワン、ツー、スリー。オーガニック・エナジー感応!」
勇 「姉ちゃんだって・・・」
アイリーン 「状況は?」
カント 「異常なし、ですね」
桑原 「プレートに変化無しでした」
ゲイブリッジ 「オーガニック・エンジンは順調です」
ノヴィスクルー 「オルファンと思われるものの巨大質量の浮上スピード、30%落ちです」
アイリーン 「成功!?」
副長 「そう思いましょうや、その方が嬉しい」
ジョナサン 「指揮権を執りたいのなら実力で見せてくれなければな。肉親というのは身内を見下した時には他人以上に苛烈になるものだ。おっ、出てきたな。ふふっ、親子それぞれ、やってみなよ」
クインシィ 「ジョナサン、お前はあたしに従うものなのだ。解っているな?」
勇 「ん?」
デッキクルー 「続いてナンガ、ラッセ・ブレン出るぞ!」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん!」
比瑪 「はい」
ユキオ 「勇のブレンも連れてけって、艦長さんが言ってる」
比瑪 「どういうこと?」
アカリ 「勇がまだ針治療終わってないんだって」
ユキオ 「コックピットで確認してごらんよ」
比瑪 「了解!」
比瑪 「聞きました。できると思います?」
アイリーン 「ノヴィス・ノアの上空に滞空させておくだけでいいのよ」
比瑪 「勇、そんなに参ってるんですか?」
アイリーン 「想像力のある子だから、精神的に一人で負っちゃうのよ。あっ、副長!勇の針、抜いてあげなくっちゃ!」
比瑪 「大丈夫だよね?上で飛んでるだけでいいんだから」
ユキオ 「グランチャーが一杯来るんだ」
アカリ 「ブレン?」
クマゾー 「ブレン!一緒に行くも!」
アカリ 「馬鹿言うんじゃない!」
コモド 「やだ、あんなにいる。ナンガ、後ろをとってもらうよ!」
ナンガ 「コモドの野郎、動き過ぎると流れ弾に当たるぞ!ん?」
ラッセ 「ナンガめ、一人で前に出るなよ!狙い撃ちにされるぞ!来る!」
カナン 「ラッセも!一人で突撃して!」
ヒギンズ 「もう!みんなして勝手なんだからあ!」
勇 「皆出ちゃったのか?俺のブレンがいない、えっ?あいつ!」
比瑪 「ようし、回れ右をするぞ!」
勇 「比瑪、何やってる!ブレン!僕はここだ!」
比瑪 「ここでクマゾーやアカリ、ユキオを守っておやり」
コモド 「あうっ!イランドでグランチャーに近づくから!」
ジョナサン 「雑魚はいい!勇の野郎どこに隠れてる!」
ナンガ 「コモドは背後から援護してくれりゃあいい」
コモド 「りょ、了解!」
ナンガ 「ラッセ、押されやがって!」
ジョナサン 「ユウ・ブレン以外興味はないんだよ!」
シラー 「くっ・・・」
ラッセ 「うっ!」
シラー 「うあっ!」
比瑪 「こんな数の敵・・・まともじゃあー!」
ジョナサン 「またこいつが邪魔するのか!うっ!」
ジョナサン 「何なんだ!このブレンは二度も俺に傷を負わせる!」
比瑪 「魂胆悪いからでしょ!宇都宮比瑪ブレン、根性直してやるから!」
カナン 「クインシィ・イッサーも出ている?」
クインシィ 「まだノヴィス・ノアの砲門を開かせるところまで行っていないのか!情けないアンチボディ達だ!」
カナン 「クインシィが先頭に立つ作戦なら、彼女を倒すしかないけど!」
クインシィ 「勇だよ!勇を出しなさい!」
比瑪 「泥棒ー!」
勇 「あの馬鹿、何格好つけてるんだ!俺はここにいるんだぞ!あの数、姉貴も出てきたんだ!」
アイリーン 「ヒメ・ブレンを援護します」
副長 「宜しいでしょう」
アイリーン 「キメリエスも援護を」
クインシィ 「なっ、何をぉー!?」
クインシィ 「止まれば狙い撃ちにされるか!?ならば、ノヴィス・ノアへ!」
副長 「二時の方向から来ますな」
アイリーン 「はい。ランチャー、機銃座もよろしく!」
クインシィ 「勇がいたぁ!勇がぁ!」
勇 「ブレン一人でクインシィにかかろうったって、どうなるってもんじゃないだろう!」
ユキオ 「勇のブレンなら出来るんじゃないの?」
アカリ 「そうだよ!」
カント 「バイタル・グロウブと連動する活性化があれば、それはオルファンにも同じ効果を上げさせていますから」
ゲイブリッジ 「アンチボディ戦については」
副長 「それぞれの個体の能力のぶつかり合いになりますな」
アイリーン 「それでは昔のままじゃないですか!」
勇 「艦長!」
アイリーン 「なんです?」
勇 「イランドでもウェッジでもいい、俺をブレンにまで連れてって!」
アイリーン 「全機出撃中。あなたが呼び戻しなさい!」
勇 「・・・ったく!お前達は救命ジョッキを着てボートを出しとけ!」
ユキオ 「了解!」
アカリ 「どうしてさ?」
クマゾー 「どうして!」
勇 「ブレン!戻って来い!」
勇 「無理だ!お前一人じゃ・・・無理だよぉぉ!」
※高波に襲われる人々の描写と台詞がありますが、言葉にならない悲鳴のみなので割愛してます
第12話「単独行」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201109261442516327/
→第14話「魂は孤独?」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201110092210542195/
ブレンパワード 全台詞集 第12話「単独行」
2011年9月26日 ブレンパワード全台詞集脚本:富野由悠季・浅川美也 絵コンテ:西森章 演出:斧谷稔・森邦宏 作画監督:佐久間信一
比瑪
(ナレーション) 「あたしはチラッとしか見てないけど、難しそうなお父さん。それに姉さんのクインシィさんまで攻めて来たんだから、世の中どうなるんでしょうねえ。カント君が姉弟の出会いを見ているんだけど、そういうことになるとあの子なんにも教えてくれないんだなあ」
直子 「戻ってこないわねぇ」
比瑪 「そうですね・・・」
アカリ 「良いお野菜沢山買えて良かったね、比瑪姉ちゃん」
アカリ 「比瑪姉ちゃん!」
比瑪 「あ、何?」
アカリ 「勇の事をそんなに心配してもしょうがないでしょ?」
比瑪 「あんなやつの事誰が心配するもんですか」
アカリ 「そーかぁ?」
比瑪 「こらあ!」
クマゾー 「あうっ!」
比瑪 「勝手に入っちゃ駄目でしょ?」
クマゾー 「違うも!スパイだも!」
比瑪 「お腹空いてるわけないのに」
クマゾー 「違うも!違うも!」
アカリ 「ああっ!」
比瑪 「あっ!」
勇 「あっ!うっ・・・」
アカリ 「勇!」
比瑪 「何してんの!そんなところで!」
女将 「知り合いならお金貸してもらいな!こんな所の代金は安いんだから」
勇 「いえ、知り合いじゃありません」
比瑪 「ちょっと!そういう態度はないんじゃない!皆心配・・・・うわっ!」
クマゾー 「うわああ!」
アカリ 「喧嘩だー!」
女将 「えっ?」
勇 「喧嘩?」
比瑪 「なんて街さ」
町人A 「・・・決めただろうって!」
町人B 「後から来やがって!」
チンピラA 「こっちは仁義切ってんだ!」
女将 「ちょいと。バケツの水をぶっかけるんだよ」
勇 「あ、はい」
女将 「こっちまで巻き添えにされちゃたまんないから!追い出しな!」
勇 「かけますよ?」
女将 「バシャーッとね!」
比瑪 「あれ?勇のお父さん?」
勇 「え?」
アカリ 「そうみたい」
勇 「本当か?どれさ?」
町人B 「し、失礼しました」
チンピラA 「ばかたれがっ!」
町人A 「えっへっへっ・・・」
チンピラA 「何も分かってねえんだから・・・」
チンピラA 「どうもすいません先生」
研作 「いや」
勇 「なんであんな連中と一緒なんだ?」
比瑪 「お父さんでしょ?」
勇 「これ、頼む!」
比瑪 「ちょ、ちょっとぉ!」
アカリ 「勇!待って!」
クマゾー 「僕も!」
比瑪 「待ちなさい!」
女将 「お嬢ちゃん!」
比瑪 「ひっ!」
女将 「あの子は勘定の半分しか働いてないんだよ。払ってきな!」
比瑪 「うう・・・」
クマゾー 「はっはっはっ・・・」
比瑪 「アカリ!」
アカリ 「はい、続行中」
比瑪 「へ?」
強面の男 「ねえちゃん」
比瑪 「ひぇ」
強面の男 「これだけ貰うぜ」
比瑪 「そんな・・・クマゾー!アカリ!」
クマゾー 「ぐあっ!」
アカリ 「クマゾー、大丈夫か?」
クマゾー 「だいじょー、だいじょー」
比瑪 「はぁはぁ・・・」
クマゾー 「うう!」
アカリ 「静かに!」
勇 「あんな連中をリクレイマーに勧誘しようっていうのか・・・・・うひっ!」
クマゾー 「行くなも」
勇 「こんな所で逃げるわけないでしょ」
比瑪 「そうかしら?」
アカリ 「勇のお父さんを追いかけてるんだろ?」
勇 「その倉庫に入った。声を出すなよ。待ってるんだ」
比瑪 「クマゾーは良いわ。動くんじゃないのよ?」
比瑪 「あんな事言ってもオルファンに帰るかもしれないし、油断なんかできるもんですか!」
勇 「プレート?」
比瑪 「プレートがどうしたの?」
勇 「静かにして!」
比瑪 「プレートを勇のお父さんが持ってくってことならさ、リクレイマーが新しいプレートを手に入れるってことよ?」
勇 「触んな!」
比瑪 「むっ」
勇 「勝手な事すんなよ」
比瑪 「入り口を見張るわ。勇はそこで監視して」
勇 「お、おい・・・」
研作 「全部偽物じゃないか!」
チンピラA 「金を出すのが惜しくなったのか」
研作 「こんなものを口実に私に接触するとは!」
チンピラA 「くああああ!ふん!」
研作 「うおっ!」
勇 「お、親父!」
チンピラA 「本物だろうが偽物だろうが俺達には関係がない。俺達をノヴィス・ノアに乗れるようにしてもらうぜ」
研作 「そ、そんな事は無理だ・・・!」
チンピラA 「あんたァ!あんたの命と引き換えならどうとでもなるはずだ!」
研作 「ノヴィス・ノアは無理だ!」
チンピラA 「強情だな、命縮めるよ博士。2、3日ここで考えてくれれば・・・やってくれるよな!」
チンピラB 「誰だ!」
比瑪 「農家の人、ごめんなさい!」
アカリ 「ジャガイモさんごめん!」
クマゾー 「カボチャさんごめん」
チンピラA 「どこのガキだ!?」
比瑪 「ごめんなさい!」
チンピラA 「ぐおっ!」
チンピラC 「ふざけんな!」
比瑪 「わあっ」
アカリ 「いいっ!?」
勇 「くっ!」
チンピラC 「うおおっ!」
研作 「勇!」
チンピラC 「ちっ!」
チンピラA 「やめねぇか!・・・うっ」
比瑪 「決まった!」
アカリ 「偉いぞー!」
クマゾー 「やったも!」
研作 「済まなかったな勇」
勇 「別にあんたを助けたくて来たんじゃない」
研作 「そうだろうが・・・」
チンピラB 「貴様達がいらねぇんなら、海に捨てちまう!」
比瑪 「クマゾー下がって!」
アカリ 「うわー」
研作 「うおおっ!」
勇 「うわあ!」
研作 「しまった!あのプレートは生きているのか!」
勇 「偽物が生きてるのかよ?」
研作 「あんな連中に本当の事が分かるものか」
勇 「比瑪、アカリ、クマゾー、大丈夫か?」
比瑪 「こっちよ。プレートどうしたの?」
勇 「走っていった」
比瑪 「走っていった?あっ?」
通行人 「プレートが来るぞー!」
警官 「近寄ったら危険だぞ!」
研作 「ノヴィス・ノアのプレートの研究員です!」
警官 「近づいたらリバイバルに巻き込まれるぞ!下がってなさい!」
比瑪 「お巡りさんの言う通りよ、どうするの?」
勇 「親父の口振りじゃ少なくともグランチャータイプにはならない。ん?」
野次馬 「プレートのみんながリバイバルするもんじゃないんでしょ?」
勇 「他人の車で!」
アカリ 「比瑪姉ちゃん」
比瑪 「追いかけるっていったって!」
勇 「分かっているよ!」
研作 「物事を諦めないというところは母親そっくりだ」
勇 「並べよ!」
比瑪 「このバイクの運転は難しいんだから!」
クマゾー 「うわあああ!」
研作 「一緒にオルファンに戻るか?」
勇 「ふざけるな!何故俺がオルファンから逃げたのか分からないのか!」
研作 「たまには外に出たくなるのは分かる」
勇 「あんたがオルファンの動きを止めようとしなかったからだ!」
アカリ 「お父さんを撃つのか?」
勇 「こうしなければならない時だってある!」
研作 「オルファンは自分の力でもうすぐ海上に出る。とっくに止められなくなっていた」
勇 「中からぶち壊せばいい!」
研作 「止められる程に壊せるものか!」
勇 「ブレンパワードを使えばやれるんだろ!?」
研作 「やれるわけがない」
勇 「ブレンとグランチャーが本能的に反目しあっているのは何故だ?ブレンがオルファンの中で活性化しないのは何故だ?それを考えれば・・・!」
研作 「そうか!そこに方法があるのか!」
勇 「ブレンの抗体反応はオルファンの体には毒になる」
比瑪 「そういう考え方があるんだ!」
勇 「ブレンがパワーアップしてるってのはオルファンには脅威になるはずだ!」
研作 「おまえのつもりなどっ!」
勇 「うおっ!?」
勇 「親父め!」
勇 「親父・・・グランチャーで来たのか!」
勇 「やっぱりだ。よりによって同じような所に隠して!」
比瑪 「やる事が一緒なんて、やっぱり親子ね」
勇 「嫌味か?」
比瑪 「事実でしょ?」
研作 「ノヴィス・ノアと勇はどう動くか、手並みを見せてもらうぞ」
アカリ 「そーらっ」
比瑪 「待ちなさいよ!追いかけてどうするの!?」
勇 「潰すんだよ!」
比瑪 「親を潰したってどうなるものでもないわ!」
比瑪 「ひゃあ!」
勇 「ぐっ!」
アカリ 「比瑪姉ちゃん!勇!大丈夫か?」
比瑪 「・・・分かったわ。お父さんの行方を追うにしても援護はするわ」
勇 「頼む」
アカリ 「喧嘩してたのか?」
比瑪 「違うよ」
アカリ 「ん?」
比瑪 「クマゾーは?」
アカリ 「んー・・・?」
クマゾー 「うわああああ!」
アカリ 「ああっ!」
比瑪 「クマゾー!」
クマゾー 「うううわあああっ!」
比瑪 「どういう事なの?」
アカリ 「やだぁ!」
クマゾー 「ひいやあ!」
比瑪 「勇!クマゾーが引っ付いてるのよ!」
クマゾー 「ううっ!ああっ!」
勇 「ブレン、親父を追って・・・ん?」
クマゾー 「うわぁ!」
勇 「ブレン、済まない」
クマゾー 「ひえっ!」
勇 「クマゾー、何やってんだ」
クマゾー 「ひゃっ!」
勇 「一体何をやろうとしてたんだ?」
クマゾー 「スパイだも、スパイ。比瑪姉ちゃんはいつも勇をスパイしろって言うも!」
勇 「まだそんな事言ってんのか、あいつ・・・ん?」
勇 「親父の奴、真っ直ぐにオルファンに帰るのか」
研作 「このまま付いてきたら勇、おまえはまたオルファンのアンチボディになる。ブレンと人間のアンチボディ化は違うからな」
(アイキャッチ)
アカリ 「そうなの、アイリーンさん」
比瑪 「だからブレンみんなで勇を追いかけるんです」
アカリ 「すぐ港に着くよ。・・・」
比瑪 「ブレンがオルファンに対抗する者なら元々そういう力を持たされているわけよね。だから勇は独りで戦えると思ったんだ。なら皆でやれば何とかなる?」
アカリ 「ひゃあ!」
比瑪 「ごめんなさい!」
研作 「海に浸ると落ち着くのは太古からの記憶に抱かれているからだ。この意味を分かってくれ、勇」
勇 「クマゾーもいるんだって感じさせればブレンは頑張ってくれる!」
ノヴィスクルー 「船は外海に出るぞー!」
カナン 「ドクターの誘いに乗ってオルファンに近づけても、その後どうするつもり?勇?」
ラッセ 「無茶する坊やだって思わないか?」
ヒギンズ 「何としてでもオルファンを止めたいんでしょう?あたしは好きだな。ね、ブレン?」
副長 「キメリエスに進路を確保させろ。レディ・ワンとレディ・ツーは前衛だ」
アイリーン 「ラッセ・ブレンがヒメ・ブレンを桟橋まで運んでくれるわね?」
カナン 「あたしも連れて行きます」
アイリーン 「なら、全員で比瑪ちゃんを迎えて、それから移動で間に合いますね?」
カナン 「勿論。イランドを追い越せます」
勇 「なんだと?オルファンはこんなに浮上しているのか?」
クマゾー 「負けるも?」
勇 「負けるもんか」
比瑪 「ブレーン!」
比瑪 「そこで待ってらっしゃい。すぐにウェッジが迎えに来てくれるから」
アカリ 「うん。行ってらっしゃい、ヒメ・ブレン」
勇 「こんなに大きかったのか」
クマゾー 「おっきい・・・おっきいも?」
勇 「ああ」
勇 「引かれてるのかブレン?苦しくないか?・・・触る?」
勇 「ここか?」
クマゾー 「うわっ!」
翠 「プレート台の上に休ませるだけではグランチャーは活性化しません。総合フェロモンの投与と神経系への投与も忘れるな」
シラー 「お呼びですか、ジョナサン・グレーン」
ジョナサン 「ああ。フィジジストの方からグランチャーを出してくれと言ってきた。行ってやってくれ」(※)
シラー 「分かりました」
翠 「休みたがっているのには・・・」
シラー 「ドクター翠、いやに張り切っているじゃあないですか」
ジョナサン 「グランチャー部隊の存在が分かったのさ」
翠 「ジョナサン・グレーン」
ジョナサン 「は」
翠 「新兵器の事で相談があります。手が空いたら研究室の方へ」
ジョナサン 「今でも宜しい?」
翠 「無論です」
ジョナサン 「プレートの残り滓と言いますが、あれは使えます」
翠 「おかえりなさい」
研作 「おう」
翠 「どうでした?会議は」
研作 「光合成とオーガニック・エンジンの関係をついた者がいた」
翠 「流石、人物はいるものですね」
研作 「オルファンと植物エネルギーの総量を再チェックする必要があるが・・・」
翠 「こちらも取り込み中ですが」
研作 「やむを得んな」
クインシィ 「ジョナサンまで一緒なのか!」
研作 「クインシィ、体は良いのか?」
クインシィ 「当り前だ!」
翠 「何事です!?」
クインシィ 「私が休んでる間にグランチャー部隊の編成を変えようとしたな!?」
翠 「いけないかしら?」
クインシィ 「部隊に関しては全てあたしに任されている!ガバナーからもね!ジョナサン、付き合いな!」
翠 「私と彼でもグランチャーの強化の相談をしています」
クインシィ 「あたしと相談しろ!」
勇 「くうっー!」
クマゾー 「わあっ!」
勇 「この辺りは、まだ手を入れてない所じゃないか」
勇 「すぐに戻るから。動くんじゃないぞ。近くの偵察だけだ」
クマゾー 「すぐだも?」
勇 「ブレン、クマゾーを頼む」
クマゾー 「わっ!く、苦しい-!」
勇 「クマゾーを外には出すなよ」
クマゾー 「おしっこ」
カナン 「比瑪さん出過ぎです!急がないで!」
カナン 「オルファンは近いのよ。勇と街で何があったの?」
比瑪 「勇がお父さんのグランチャーについていけばオルファンに潜り込めるって・・・」
カナン 「そんな馬鹿な!」
比瑪 「そうですか?」
カナン 「え?」
比瑪 「カナンさん、リクレイマーの教義に縛られ過ぎてません?」
カナン 「そっか。信じ込まされてたけど、あたしは今、双子のブレンの一人に抱かれてる」
ヒギンズ 「比瑪もカナンもコクピットへ入って!あたし達は、オルファンの海域に入っているんだよ!」
クマゾー 「まぢぃ。降ろしてよう、もちゃうも・・・!」
クマゾー 「え?」
クマゾー 「あ、ありがと!勇に内緒。内緒な!」
フィジシスト 「良いねえシラー・グラス。助かる」
シラー 「しょっと。あと3ヵ所で済むの?」
フィジシスト 「今日はね」
シラー 「ガバナーは何であんな伊佐未ファミリーにリクレイマーのリーダーを任せたんだろうね。昔は・・・あ?」
シラー 「まだここにいるね?」
フィジシスト 「ああ」
クマゾー 「あれえ?どっちだったっけ?」
シラー 「おい」
クマゾー 「ひゃっ!」
シラー 「ここは立ち入り禁止地区だぞ。居住区の子が何で入り込めたんだ?」
クマゾー 「ご、ごめんも!ごめんなも!」
シラー 「泣くんじゃないよ。どこの居住区なんだい?」
クマゾー 「ノ、ノヴァ・・・」
シラー 「ああ、ノヴァビア区の子かい。半日歩きっぱなしじゃなかったの?こんな所まで探検するなんて元気な子だ。おまえみたいなのが銀河で暮らせるようになる新人類なんだろうね」
勇 「これじゃあ偵察する前に迷子になっちまう。うっ?」
フィジシスト 「い、今の伊佐未勇じゃないのか!?」
シラー 「参ったねぇ、ミイラ取りがミイラになっちまった。フィジシストに連絡をとるか」
クマゾー 「向こうも!向こう!」
シラー 「そうかい?」
シラー 「あら?」
クマゾー 「あー!」
シラー 「こ、こら!離せ!落すぞ!」
クマゾー 「うわあっ!」
シラー 「勇のブレンじゃないか!なんでこんなところにいるんだ、こいつが!?」
勇 「くっ・・・何?」
勇 「シラー、クマゾーを離せ!」
シラー 「そういう事か!」
勇 「動くな!」
シラー 「貴様っ!」
勇 「クマゾーの面倒を見ていてくれたのか」
シラー 「そういう趣味があるわけないだろう!」
勇 「弟達を食べさせる為、オリンピックの選手になろうとした気持ちを忘れてないなら、オルファンから出ろよ!」
シラー 「ブレンパワードに汚染された奴の話なんか聞きたくもない!」
勇 「ブレンは乗り手の気持ちを分かってくれるアンチボディだ」
シラー 「弟達を飢えで死なせちまったあたしの気持ちを分かってくれるわけはないだろう!」
勇 「分かってくれるよ!」
シラー 「なら、あいつに涙を流させてごらんよ。胸が苦しいって悶えるかい!?」
勇 「意気地なしの当て擦りか!」
フィジシスト 「いたぞ!」
シラー 「くっ!」
フィジシスト 「ブレンパワードが動いている?」
シラー 「何で潜り込まれたんだ!」
フィジシスト 「そんな事言われたって・・・」
シラー 「こいつ、活性化している!」
勇 「よし!クマゾーのおかげだ!」
クマゾー 「も」
クマゾー 「ごめん。ごめんな・・・!」
勇 「怒っちゃいない。独りにさせてすまない。うっ!?」
シラー 「いけしゃあしゃあとオルファンに入ってきて、帰すものか!」
勇 「こんな内輪喧嘩をして何になるんだ!」
カナン 「冗談でしょ?」
比瑪 「フリュイドスーツに着替えたほうが良かったのかなあ。あれ?海底が明るいの?」
比瑪 「ち、違うわ。あれ、オルファン?駄目だ!オーガニックレーダーがめちゃめちゃだ!こんなものに勇が惹かれていったの?そんなの・・・!」
クマゾー 「うわああ!比瑪姉ちゃーん!」
勇 「俺が抱いてやってるんだぞ、怖がるとブレンが焦るだろ!」
クマゾー 「比瑪姉ー!」
シラー 「往生際が悪いぞ!」
勇 「比瑪のとこに帰りたかったら、俺とブレンを信じてろ!」
シラー 「勇めぇー!」
クマゾー 「ぶつかるー!」
勇 「ぶつからない!」
勇 「シラー、やるな!」
シラー 「このぉ!」
シラー 「あたしに斬られてしまえ!」
勇 「シラー!闇雲にオルファンの為に戦ったって、おまえの弟達が喜ぶものか!」
シラー 「何の力も無かったから弟達を飢え死にさせちまったんだ!グランチャーの力があればこんな時代にした連中に仕返しができる!オルファンが銀河旅行をすれば、星になった弟達にだって会うことができる!」
勇 「そういう生命力を吸ってオルファンは浮上するんだ!その時は人類は全滅する。全滅したら仕返しする奴もいなくなる!」
シラー 「結構じゃないか!」
勇 「その命の力を逃げる為に使うな!生きる為に使わせるんだ!オルファンにも!」
シラー 「できるわけない!」
勇 「できる!」
勇 「目を覚ませ!シラー!」
シラー 「うるさい!みんな死んじまえ!」
クマゾー 「死にたくないも!」
クマゾー 「死ぬと冷たいも!死んだかあちゃん氷だったも!何も言わないも!うっ、うわあああ!」
シラー 「う・・・うおおおおおお!」
クマゾー 「やっつけちゃわないのか?勇?」
勇 「やっつけたって、やっつけたってどうしようもないんだよ」
勇 「グランチャーの大群?あんなにか!・・・逃げる!」
カナン 「数が読めないけど?」
比瑪 「勇が浮上している?」
ラッセ 「敵情視察もしてないんだぞ!」
ヒギンズ 「見た目の数は20とか30という数!」
ラッセ 「勇を収容して後退だ!」
クマゾー 「比瑪姉ちゃん!」
勇 「下がるの!急げ!」
比瑪 「クマゾーはいるのね?」
クマゾー 「逃げるも。グランチャーがいっぱいだも!」
比瑪 「分かってる」
ヒギンズ 「イランド隊には偵察監視依頼します!上昇!」
カナン 「宜しい?空域離脱します!」
アカリ 「日本とお別れするの?」
比瑪 「そうだね・・・ねぇ、シラー・グラスってどういう人?」
クマゾー 「強い!優しい!肩固いも!ん?」
比瑪 「昔から知り合いなんだよね」
勇 「そりゃあ色々あったけど」
比瑪 「色んな女の人知ってんだ」
勇 「他人の事なんか、何も分からないよ」
比瑪 「そうなの?・・・そうなんだ」
※「フィジシスト」が正しい発音のはずなのですが、ここでは「フィジジスト」と発音しているように聞えます。
第11話「姉と弟」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201108292229055419/
→第13話「堂々たる浮上」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201110082237079452/
比瑪
(ナレーション) 「あたしはチラッとしか見てないけど、難しそうなお父さん。それに姉さんのクインシィさんまで攻めて来たんだから、世の中どうなるんでしょうねえ。カント君が姉弟の出会いを見ているんだけど、そういうことになるとあの子なんにも教えてくれないんだなあ」
直子 「戻ってこないわねぇ」
比瑪 「そうですね・・・」
アカリ 「良いお野菜沢山買えて良かったね、比瑪姉ちゃん」
アカリ 「比瑪姉ちゃん!」
比瑪 「あ、何?」
アカリ 「勇の事をそんなに心配してもしょうがないでしょ?」
比瑪 「あんなやつの事誰が心配するもんですか」
アカリ 「そーかぁ?」
比瑪 「こらあ!」
クマゾー 「あうっ!」
比瑪 「勝手に入っちゃ駄目でしょ?」
クマゾー 「違うも!スパイだも!」
比瑪 「お腹空いてるわけないのに」
クマゾー 「違うも!違うも!」
アカリ 「ああっ!」
比瑪 「あっ!」
勇 「あっ!うっ・・・」
アカリ 「勇!」
比瑪 「何してんの!そんなところで!」
女将 「知り合いならお金貸してもらいな!こんな所の代金は安いんだから」
勇 「いえ、知り合いじゃありません」
比瑪 「ちょっと!そういう態度はないんじゃない!皆心配・・・・うわっ!」
クマゾー 「うわああ!」
アカリ 「喧嘩だー!」
女将 「えっ?」
勇 「喧嘩?」
比瑪 「なんて街さ」
町人A 「・・・決めただろうって!」
町人B 「後から来やがって!」
チンピラA 「こっちは仁義切ってんだ!」
女将 「ちょいと。バケツの水をぶっかけるんだよ」
勇 「あ、はい」
女将 「こっちまで巻き添えにされちゃたまんないから!追い出しな!」
勇 「かけますよ?」
女将 「バシャーッとね!」
比瑪 「あれ?勇のお父さん?」
勇 「え?」
アカリ 「そうみたい」
勇 「本当か?どれさ?」
町人B 「し、失礼しました」
チンピラA 「ばかたれがっ!」
町人A 「えっへっへっ・・・」
チンピラA 「何も分かってねえんだから・・・」
チンピラA 「どうもすいません先生」
研作 「いや」
勇 「なんであんな連中と一緒なんだ?」
比瑪 「お父さんでしょ?」
勇 「これ、頼む!」
比瑪 「ちょ、ちょっとぉ!」
アカリ 「勇!待って!」
クマゾー 「僕も!」
比瑪 「待ちなさい!」
女将 「お嬢ちゃん!」
比瑪 「ひっ!」
女将 「あの子は勘定の半分しか働いてないんだよ。払ってきな!」
比瑪 「うう・・・」
クマゾー 「はっはっはっ・・・」
比瑪 「アカリ!」
アカリ 「はい、続行中」
比瑪 「へ?」
強面の男 「ねえちゃん」
比瑪 「ひぇ」
強面の男 「これだけ貰うぜ」
比瑪 「そんな・・・クマゾー!アカリ!」
クマゾー 「ぐあっ!」
アカリ 「クマゾー、大丈夫か?」
クマゾー 「だいじょー、だいじょー」
比瑪 「はぁはぁ・・・」
クマゾー 「うう!」
アカリ 「静かに!」
勇 「あんな連中をリクレイマーに勧誘しようっていうのか・・・・・うひっ!」
クマゾー 「行くなも」
勇 「こんな所で逃げるわけないでしょ」
比瑪 「そうかしら?」
アカリ 「勇のお父さんを追いかけてるんだろ?」
勇 「その倉庫に入った。声を出すなよ。待ってるんだ」
比瑪 「クマゾーは良いわ。動くんじゃないのよ?」
比瑪 「あんな事言ってもオルファンに帰るかもしれないし、油断なんかできるもんですか!」
勇 「プレート?」
比瑪 「プレートがどうしたの?」
勇 「静かにして!」
比瑪 「プレートを勇のお父さんが持ってくってことならさ、リクレイマーが新しいプレートを手に入れるってことよ?」
勇 「触んな!」
比瑪 「むっ」
勇 「勝手な事すんなよ」
比瑪 「入り口を見張るわ。勇はそこで監視して」
勇 「お、おい・・・」
研作 「全部偽物じゃないか!」
チンピラA 「金を出すのが惜しくなったのか」
研作 「こんなものを口実に私に接触するとは!」
チンピラA 「くああああ!ふん!」
研作 「うおっ!」
勇 「お、親父!」
チンピラA 「本物だろうが偽物だろうが俺達には関係がない。俺達をノヴィス・ノアに乗れるようにしてもらうぜ」
研作 「そ、そんな事は無理だ・・・!」
チンピラA 「あんたァ!あんたの命と引き換えならどうとでもなるはずだ!」
研作 「ノヴィス・ノアは無理だ!」
チンピラA 「強情だな、命縮めるよ博士。2、3日ここで考えてくれれば・・・やってくれるよな!」
チンピラB 「誰だ!」
比瑪 「農家の人、ごめんなさい!」
アカリ 「ジャガイモさんごめん!」
クマゾー 「カボチャさんごめん」
チンピラA 「どこのガキだ!?」
比瑪 「ごめんなさい!」
チンピラA 「ぐおっ!」
チンピラC 「ふざけんな!」
比瑪 「わあっ」
アカリ 「いいっ!?」
勇 「くっ!」
チンピラC 「うおおっ!」
研作 「勇!」
チンピラC 「ちっ!」
チンピラA 「やめねぇか!・・・うっ」
比瑪 「決まった!」
アカリ 「偉いぞー!」
クマゾー 「やったも!」
研作 「済まなかったな勇」
勇 「別にあんたを助けたくて来たんじゃない」
研作 「そうだろうが・・・」
チンピラB 「貴様達がいらねぇんなら、海に捨てちまう!」
比瑪 「クマゾー下がって!」
アカリ 「うわー」
研作 「うおおっ!」
勇 「うわあ!」
研作 「しまった!あのプレートは生きているのか!」
勇 「偽物が生きてるのかよ?」
研作 「あんな連中に本当の事が分かるものか」
勇 「比瑪、アカリ、クマゾー、大丈夫か?」
比瑪 「こっちよ。プレートどうしたの?」
勇 「走っていった」
比瑪 「走っていった?あっ?」
通行人 「プレートが来るぞー!」
警官 「近寄ったら危険だぞ!」
研作 「ノヴィス・ノアのプレートの研究員です!」
警官 「近づいたらリバイバルに巻き込まれるぞ!下がってなさい!」
比瑪 「お巡りさんの言う通りよ、どうするの?」
勇 「親父の口振りじゃ少なくともグランチャータイプにはならない。ん?」
野次馬 「プレートのみんながリバイバルするもんじゃないんでしょ?」
勇 「他人の車で!」
アカリ 「比瑪姉ちゃん」
比瑪 「追いかけるっていったって!」
勇 「分かっているよ!」
研作 「物事を諦めないというところは母親そっくりだ」
勇 「並べよ!」
比瑪 「このバイクの運転は難しいんだから!」
クマゾー 「うわあああ!」
研作 「一緒にオルファンに戻るか?」
勇 「ふざけるな!何故俺がオルファンから逃げたのか分からないのか!」
研作 「たまには外に出たくなるのは分かる」
勇 「あんたがオルファンの動きを止めようとしなかったからだ!」
アカリ 「お父さんを撃つのか?」
勇 「こうしなければならない時だってある!」
研作 「オルファンは自分の力でもうすぐ海上に出る。とっくに止められなくなっていた」
勇 「中からぶち壊せばいい!」
研作 「止められる程に壊せるものか!」
勇 「ブレンパワードを使えばやれるんだろ!?」
研作 「やれるわけがない」
勇 「ブレンとグランチャーが本能的に反目しあっているのは何故だ?ブレンがオルファンの中で活性化しないのは何故だ?それを考えれば・・・!」
研作 「そうか!そこに方法があるのか!」
勇 「ブレンの抗体反応はオルファンの体には毒になる」
比瑪 「そういう考え方があるんだ!」
勇 「ブレンがパワーアップしてるってのはオルファンには脅威になるはずだ!」
研作 「おまえのつもりなどっ!」
勇 「うおっ!?」
勇 「親父め!」
勇 「親父・・・グランチャーで来たのか!」
勇 「やっぱりだ。よりによって同じような所に隠して!」
比瑪 「やる事が一緒なんて、やっぱり親子ね」
勇 「嫌味か?」
比瑪 「事実でしょ?」
研作 「ノヴィス・ノアと勇はどう動くか、手並みを見せてもらうぞ」
アカリ 「そーらっ」
比瑪 「待ちなさいよ!追いかけてどうするの!?」
勇 「潰すんだよ!」
比瑪 「親を潰したってどうなるものでもないわ!」
比瑪 「ひゃあ!」
勇 「ぐっ!」
アカリ 「比瑪姉ちゃん!勇!大丈夫か?」
比瑪 「・・・分かったわ。お父さんの行方を追うにしても援護はするわ」
勇 「頼む」
アカリ 「喧嘩してたのか?」
比瑪 「違うよ」
アカリ 「ん?」
比瑪 「クマゾーは?」
アカリ 「んー・・・?」
クマゾー 「うわああああ!」
アカリ 「ああっ!」
比瑪 「クマゾー!」
クマゾー 「うううわあああっ!」
比瑪 「どういう事なの?」
アカリ 「やだぁ!」
クマゾー 「ひいやあ!」
比瑪 「勇!クマゾーが引っ付いてるのよ!」
クマゾー 「ううっ!ああっ!」
勇 「ブレン、親父を追って・・・ん?」
クマゾー 「うわぁ!」
勇 「ブレン、済まない」
クマゾー 「ひえっ!」
勇 「クマゾー、何やってんだ」
クマゾー 「ひゃっ!」
勇 「一体何をやろうとしてたんだ?」
クマゾー 「スパイだも、スパイ。比瑪姉ちゃんはいつも勇をスパイしろって言うも!」
勇 「まだそんな事言ってんのか、あいつ・・・ん?」
勇 「親父の奴、真っ直ぐにオルファンに帰るのか」
研作 「このまま付いてきたら勇、おまえはまたオルファンのアンチボディになる。ブレンと人間のアンチボディ化は違うからな」
(アイキャッチ)
アカリ 「そうなの、アイリーンさん」
比瑪 「だからブレンみんなで勇を追いかけるんです」
アカリ 「すぐ港に着くよ。・・・」
比瑪 「ブレンがオルファンに対抗する者なら元々そういう力を持たされているわけよね。だから勇は独りで戦えると思ったんだ。なら皆でやれば何とかなる?」
アカリ 「ひゃあ!」
比瑪 「ごめんなさい!」
研作 「海に浸ると落ち着くのは太古からの記憶に抱かれているからだ。この意味を分かってくれ、勇」
勇 「クマゾーもいるんだって感じさせればブレンは頑張ってくれる!」
ノヴィスクルー 「船は外海に出るぞー!」
カナン 「ドクターの誘いに乗ってオルファンに近づけても、その後どうするつもり?勇?」
ラッセ 「無茶する坊やだって思わないか?」
ヒギンズ 「何としてでもオルファンを止めたいんでしょう?あたしは好きだな。ね、ブレン?」
副長 「キメリエスに進路を確保させろ。レディ・ワンとレディ・ツーは前衛だ」
アイリーン 「ラッセ・ブレンがヒメ・ブレンを桟橋まで運んでくれるわね?」
カナン 「あたしも連れて行きます」
アイリーン 「なら、全員で比瑪ちゃんを迎えて、それから移動で間に合いますね?」
カナン 「勿論。イランドを追い越せます」
勇 「なんだと?オルファンはこんなに浮上しているのか?」
クマゾー 「負けるも?」
勇 「負けるもんか」
比瑪 「ブレーン!」
比瑪 「そこで待ってらっしゃい。すぐにウェッジが迎えに来てくれるから」
アカリ 「うん。行ってらっしゃい、ヒメ・ブレン」
勇 「こんなに大きかったのか」
クマゾー 「おっきい・・・おっきいも?」
勇 「ああ」
勇 「引かれてるのかブレン?苦しくないか?・・・触る?」
勇 「ここか?」
クマゾー 「うわっ!」
翠 「プレート台の上に休ませるだけではグランチャーは活性化しません。総合フェロモンの投与と神経系への投与も忘れるな」
シラー 「お呼びですか、ジョナサン・グレーン」
ジョナサン 「ああ。フィジジストの方からグランチャーを出してくれと言ってきた。行ってやってくれ」(※)
シラー 「分かりました」
翠 「休みたがっているのには・・・」
シラー 「ドクター翠、いやに張り切っているじゃあないですか」
ジョナサン 「グランチャー部隊の存在が分かったのさ」
翠 「ジョナサン・グレーン」
ジョナサン 「は」
翠 「新兵器の事で相談があります。手が空いたら研究室の方へ」
ジョナサン 「今でも宜しい?」
翠 「無論です」
ジョナサン 「プレートの残り滓と言いますが、あれは使えます」
翠 「おかえりなさい」
研作 「おう」
翠 「どうでした?会議は」
研作 「光合成とオーガニック・エンジンの関係をついた者がいた」
翠 「流石、人物はいるものですね」
研作 「オルファンと植物エネルギーの総量を再チェックする必要があるが・・・」
翠 「こちらも取り込み中ですが」
研作 「やむを得んな」
クインシィ 「ジョナサンまで一緒なのか!」
研作 「クインシィ、体は良いのか?」
クインシィ 「当り前だ!」
翠 「何事です!?」
クインシィ 「私が休んでる間にグランチャー部隊の編成を変えようとしたな!?」
翠 「いけないかしら?」
クインシィ 「部隊に関しては全てあたしに任されている!ガバナーからもね!ジョナサン、付き合いな!」
翠 「私と彼でもグランチャーの強化の相談をしています」
クインシィ 「あたしと相談しろ!」
勇 「くうっー!」
クマゾー 「わあっ!」
勇 「この辺りは、まだ手を入れてない所じゃないか」
勇 「すぐに戻るから。動くんじゃないぞ。近くの偵察だけだ」
クマゾー 「すぐだも?」
勇 「ブレン、クマゾーを頼む」
クマゾー 「わっ!く、苦しい-!」
勇 「クマゾーを外には出すなよ」
クマゾー 「おしっこ」
カナン 「比瑪さん出過ぎです!急がないで!」
カナン 「オルファンは近いのよ。勇と街で何があったの?」
比瑪 「勇がお父さんのグランチャーについていけばオルファンに潜り込めるって・・・」
カナン 「そんな馬鹿な!」
比瑪 「そうですか?」
カナン 「え?」
比瑪 「カナンさん、リクレイマーの教義に縛られ過ぎてません?」
カナン 「そっか。信じ込まされてたけど、あたしは今、双子のブレンの一人に抱かれてる」
ヒギンズ 「比瑪もカナンもコクピットへ入って!あたし達は、オルファンの海域に入っているんだよ!」
クマゾー 「まぢぃ。降ろしてよう、もちゃうも・・・!」
クマゾー 「え?」
クマゾー 「あ、ありがと!勇に内緒。内緒な!」
フィジシスト 「良いねえシラー・グラス。助かる」
シラー 「しょっと。あと3ヵ所で済むの?」
フィジシスト 「今日はね」
シラー 「ガバナーは何であんな伊佐未ファミリーにリクレイマーのリーダーを任せたんだろうね。昔は・・・あ?」
シラー 「まだここにいるね?」
フィジシスト 「ああ」
クマゾー 「あれえ?どっちだったっけ?」
シラー 「おい」
クマゾー 「ひゃっ!」
シラー 「ここは立ち入り禁止地区だぞ。居住区の子が何で入り込めたんだ?」
クマゾー 「ご、ごめんも!ごめんなも!」
シラー 「泣くんじゃないよ。どこの居住区なんだい?」
クマゾー 「ノ、ノヴァ・・・」
シラー 「ああ、ノヴァビア区の子かい。半日歩きっぱなしじゃなかったの?こんな所まで探検するなんて元気な子だ。おまえみたいなのが銀河で暮らせるようになる新人類なんだろうね」
勇 「これじゃあ偵察する前に迷子になっちまう。うっ?」
フィジシスト 「い、今の伊佐未勇じゃないのか!?」
シラー 「参ったねぇ、ミイラ取りがミイラになっちまった。フィジシストに連絡をとるか」
クマゾー 「向こうも!向こう!」
シラー 「そうかい?」
シラー 「あら?」
クマゾー 「あー!」
シラー 「こ、こら!離せ!落すぞ!」
クマゾー 「うわあっ!」
シラー 「勇のブレンじゃないか!なんでこんなところにいるんだ、こいつが!?」
勇 「くっ・・・何?」
勇 「シラー、クマゾーを離せ!」
シラー 「そういう事か!」
勇 「動くな!」
シラー 「貴様っ!」
勇 「クマゾーの面倒を見ていてくれたのか」
シラー 「そういう趣味があるわけないだろう!」
勇 「弟達を食べさせる為、オリンピックの選手になろうとした気持ちを忘れてないなら、オルファンから出ろよ!」
シラー 「ブレンパワードに汚染された奴の話なんか聞きたくもない!」
勇 「ブレンは乗り手の気持ちを分かってくれるアンチボディだ」
シラー 「弟達を飢えで死なせちまったあたしの気持ちを分かってくれるわけはないだろう!」
勇 「分かってくれるよ!」
シラー 「なら、あいつに涙を流させてごらんよ。胸が苦しいって悶えるかい!?」
勇 「意気地なしの当て擦りか!」
フィジシスト 「いたぞ!」
シラー 「くっ!」
フィジシスト 「ブレンパワードが動いている?」
シラー 「何で潜り込まれたんだ!」
フィジシスト 「そんな事言われたって・・・」
シラー 「こいつ、活性化している!」
勇 「よし!クマゾーのおかげだ!」
クマゾー 「も」
クマゾー 「ごめん。ごめんな・・・!」
勇 「怒っちゃいない。独りにさせてすまない。うっ!?」
シラー 「いけしゃあしゃあとオルファンに入ってきて、帰すものか!」
勇 「こんな内輪喧嘩をして何になるんだ!」
カナン 「冗談でしょ?」
比瑪 「フリュイドスーツに着替えたほうが良かったのかなあ。あれ?海底が明るいの?」
比瑪 「ち、違うわ。あれ、オルファン?駄目だ!オーガニックレーダーがめちゃめちゃだ!こんなものに勇が惹かれていったの?そんなの・・・!」
クマゾー 「うわああ!比瑪姉ちゃーん!」
勇 「俺が抱いてやってるんだぞ、怖がるとブレンが焦るだろ!」
クマゾー 「比瑪姉ー!」
シラー 「往生際が悪いぞ!」
勇 「比瑪のとこに帰りたかったら、俺とブレンを信じてろ!」
シラー 「勇めぇー!」
クマゾー 「ぶつかるー!」
勇 「ぶつからない!」
勇 「シラー、やるな!」
シラー 「このぉ!」
シラー 「あたしに斬られてしまえ!」
勇 「シラー!闇雲にオルファンの為に戦ったって、おまえの弟達が喜ぶものか!」
シラー 「何の力も無かったから弟達を飢え死にさせちまったんだ!グランチャーの力があればこんな時代にした連中に仕返しができる!オルファンが銀河旅行をすれば、星になった弟達にだって会うことができる!」
勇 「そういう生命力を吸ってオルファンは浮上するんだ!その時は人類は全滅する。全滅したら仕返しする奴もいなくなる!」
シラー 「結構じゃないか!」
勇 「その命の力を逃げる為に使うな!生きる為に使わせるんだ!オルファンにも!」
シラー 「できるわけない!」
勇 「できる!」
勇 「目を覚ませ!シラー!」
シラー 「うるさい!みんな死んじまえ!」
クマゾー 「死にたくないも!」
クマゾー 「死ぬと冷たいも!死んだかあちゃん氷だったも!何も言わないも!うっ、うわあああ!」
シラー 「う・・・うおおおおおお!」
クマゾー 「やっつけちゃわないのか?勇?」
勇 「やっつけたって、やっつけたってどうしようもないんだよ」
勇 「グランチャーの大群?あんなにか!・・・逃げる!」
カナン 「数が読めないけど?」
比瑪 「勇が浮上している?」
ラッセ 「敵情視察もしてないんだぞ!」
ヒギンズ 「見た目の数は20とか30という数!」
ラッセ 「勇を収容して後退だ!」
クマゾー 「比瑪姉ちゃん!」
勇 「下がるの!急げ!」
比瑪 「クマゾーはいるのね?」
クマゾー 「逃げるも。グランチャーがいっぱいだも!」
比瑪 「分かってる」
ヒギンズ 「イランド隊には偵察監視依頼します!上昇!」
カナン 「宜しい?空域離脱します!」
アカリ 「日本とお別れするの?」
比瑪 「そうだね・・・ねぇ、シラー・グラスってどういう人?」
クマゾー 「強い!優しい!肩固いも!ん?」
比瑪 「昔から知り合いなんだよね」
勇 「そりゃあ色々あったけど」
比瑪 「色んな女の人知ってんだ」
勇 「他人の事なんか、何も分からないよ」
比瑪 「そうなの?・・・そうなんだ」
※「フィジシスト」が正しい発音のはずなのですが、ここでは「フィジジスト」と発音しているように聞えます。
第11話「姉と弟」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201108292229055419/
→第13話「堂々たる浮上」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201110082237079452/
ブレンパワード 全台詞集 第11話「姉と弟」
2011年8月29日 ブレンパワード全台詞集脚本:面出明美 絵コンテ・演出:西森章 作画監督:しんぼたくろう・中田栄治
比瑪
(ナレーション) 「そりゃ、アノーア艦長が息子さんのことで悩んでいたからってその事と行方不明になった事とは関係がない。あたしが出会ったのと質が違うプレートは回収したほうがいいって艦長は判断したのよ。それが冷静さを失わせて、プレートにのみ込まれた。とっても残念・・・」
カント 「想像していた通りの規模だけど計算通りの出力が出たら、どうなるのかなあ?」
ノヴィスクルー(※) 「結局見つからなかったって?」
ノヴィスクルー 「そりゃあそうだろ。プレートのスピード、なまじじゃねえもん」
ラッセ 「ナンガ!いいのか?」
ナンガ 「オグンの御加護のおかげだね」
ラッセ 「新しい艦長の噂は聞いてるのか?」
ナンガ 「キメリエスのレイトが昇格するんだろう?」
ヒギンズ 「何も聞いてない。レイト艦長は潜水艦が好きだから」
ゲイブリッジ 「待たせて申し訳なかった。アノーア艦長の捜索は続けなければならないが、我々の任務は急を要している。ここで緊急対策として、新任の艦長を認めて頂きたい」
ノヴィスクルー 「新任の艦長?」
ノヴィスクルー 「誰が艦長になったんだ」
ノヴィスクルー 「レイトじゃないのか?」
副長 「静かに!アイリーン・キャリアーは士官学校でも優秀だった。その上医師と針の免許を持ち、我々は彼女にケツの穴まで見られている現実がある」
ノヴィスクルー 「ハッハッハ!」
ノヴィスクルー 「反対できねぇってことかあ」
ノヴィスクルー 「賛成だい!」
ノヴィスクルー 「オーガニック・シップにお医者さんがベスト!」
ユキオ 「当然、当然!」
クマゾー 「当然!」
アカリ 「賛成!」
カナン 「何ていう船?こんな人選」
勇 「全く、みんなで何を考えてんだか」
比瑪 「何が気に入らないのさ?」
勇 「別に。感動してんだよ、民主主義に」
ゲイブリッジ 「満場一致という事で、君に艦長をやってもらう」
アイリーン 「はい、では只今よりアイリーン・キャリアーがノヴィス・ノアの艦長を代行させてもらいます。本艦はオルファン対策会議の間、機関整備と補給を警戒体勢のまま行います!各員部署へ戻ってください!」
ノヴィスクルー 「よしかかれ!働け働けー!」
ノヴィスクルー 「お手柔らかにね」
アイリーン 「こちらこそ」
ナンガ 「病室で教えてくれたって良かったのにさ」
アイリーン 「だって今日いきなりだったのよ」
勇 「あんた、それでいいのかよ?」
アイリーン 「こんな時でしょ?やります」
比瑪 「勇?」
アイリーン 「勇は優しいわ、私が重荷を背負わされたと思っているのよ」
比瑪 「あいつ、そういうとこ敏感なんです」
アイリーン 「ありがたいわ」
アイリーン 「でも敏感過ぎるのはよくないわね、グランチャーに乗っていた事にいつまでも罪悪感を持っているから」
アイリーン 「慰めてあげられない?」
比瑪 「私が?」
源野 「あら?」
軍人 「ブレンパワードだ。本当に飛んでるぞ」
勇 「ブレンが恥ずかしがってる。さっさと行けよ」
源野 「フフフ、坊やは相変わらず。ブレンパワードは相変わらず素敵に雄々しいわ」
クマゾー 「比瑪姉ちゃん!」
アカリ 「綺麗な花よ」
ユキオ 「あんまり見ない花なんだ」
比瑪 「本当!」
クマゾー 「きれい!」
比瑪 「そうだね。蘭でしょうね、これ」
ユキオ 「でも葉っぱが違うよ?」
アカリ 「ほうら、ヒメ・ブレン見えるでしょ?綺麗な花。ユウ・ブレンも見なさい、綺麗だろ?」
勇 「へえ」
アカリ 「なっ?」
勇 「綺麗だな」
アカリ 「あげるっ」
カント 「植物は強いですよね。地球が汚れてしまっても花を咲かせる。強さと美しさで人の心を慰めてくれる」
カント 「カント・ケストナーです。想像通り優しい姿に嬉しくなりました、ブレン」
勇 「なんでおまえみたいのが、こんな所にいるんだ?」
カント 「こんな所へ?変な聞き方しますね」
勇 「だってお前、外国帰りだろ?」
カント 「何でわかるんですか?」
勇 「俺もそうだからさ」
カント 「・・・あ!あ、すいません行かなくっちゃ」
比瑪 「誰?」
勇 「どなたでしょうね」
源野 「今日の発表はリクレイマーに負けあちゃいません」
桑原 「私は彼らと理論闘争をしようとは思っていない」
源野 「あら?博士は伊佐未博士への当て付けでオーガニック・エンジンを開発したんじゃないんですか?」
桑原 「違うよ・・・」
源野 「失礼、あっ・・・」
桑原 「あいつは?」
研作 「久しぶりだな桑原」
桑原 「き、貴様こそ、日の光に当たっている顔をして」
研作 「オルファンはそのくらいのものは完備しているさ。時給自足しているんだからね」
クインシィ 「発信準備、できているな?指名された者は揃っているな?」
翠 「待ちなさい!あなたの考えている出撃は軽率です!」
クインシィ 「ドクター達の独断的行動のおかげでオルファンに危機を呼ぶかもしれないのだ」
翠 「ブレンパワードの性能は私達が思っていた以上だった。あの人はそれを確かめに行ったのです!」
クインシィ 「何も自分が行くことはない」
翠 「心配しなくてもお父様は・・・」
クインシィ 「心配なのはあの人の頭脳がノヴィス・ノア側に利用される事だ!」
翠 「そんな事はありえません!」
クインシィ 「お前達はオルファンの循環器の整備をすればいい!」
翠 「クインシィ・イッサー!まるで・・・まるで、軍隊気取り」
クインシィ 「オルファンが輝きを増している。銀河を夢見ているんだ・・・」
クインシィ 「うっ・・・あぁ・・・太陽か!ははははっ!久しぶりに海の上に出た!
本当に綺麗、勇にも見せてあげたいなあ。あの子ったらどこに行ったのかしら・・・?しょうがない子だ、ちっともじっとしてないでいつも心配ばかり掛けて・・・」
桑原 「オルファンが海面に浮上する際の津波の被害は既に述べた通り、甚大な物になりますが、本当の危機は海面から宇宙に飛び立つ時でありまして、膨大なオーガニック・エナジーが地球から失われるという事です。それを定数化したものが、これです。」
出席者(※) 「悲観的過ぎないか?」
出席者 「なんて数字だ」
桑原 「シダ類以下の菌類は生き残りますが、生き物らしいものは全滅するでしょう」
出席者 「全滅だって!?」
出席者 「ノヴィス・ノアはそれをさせないための船なんだろう!」
桑原 「ノヴィス・ノアは3隻の随伴艦と行動を共にしております。各艦にはプレートが搭載されておりますので、それらをオルファンを囲む位置に配置しましてオーガニック・エンジンとプレートを共振させ、更にバイタル・グロウブのオーガニック・エナジーとも共振させオルファンのオーガニック・エナジーを宇宙に放出させます。そうすればオルファンは沈静化します」
研作 「エネルギーが放散されるだと?」
桑原 「この予測について私以上にオーガニック・エナジーについて詳しい伊佐未研作博士の見解を伺いたいのです。どうか」
研作 「オルファンは止まるかもしれないな」
桑原 「はい、プレートについての・・・」
警備員(※) 「止まれ!」
勇 「奴はリクレイマーだぞ!」
警備員 「子供の来る所じゃない!」
警備員 「会議場で・・・!」
勇 「俺は直接関係者なんだ!」
警備員 「豚箱に入れる!」
桑原 「失礼しました、では伊佐未博士御願いします」
出席者 「オルファンのアンチボディ!」
出席者 「ははは」
研作 「まず最初にお伝えしたいのは、オルファンの制御は不可能ではないという事です」
勇 「親父の言うことなんて嘘だ!」
警備員 「いい加減にしろ!」
ゲイブリッジ 「離してくれないか!」
アイリーン 「彼はノヴィス・ノアのクルーでブレンパワードに乗っている少年です!」
警備員 「はっ、はあ・・・」
勇 「なんで親父に話させる!」
アイリーン 「彼は研究員として正規のルートでこの会議に出席しているのよ」
勇 「だからって・・・」
ゲイブリッジ 「現実を認めるんだな。ノヴィス・ノアの建造費を出している者の中にもリクレイマーに支援をしている者もいるのだ」
勇 「自分達だけが助かりたくてオルファンに乗せてもらいたがってる連中の事か」
アイリーン 「そういう人達を怒らせたらノヴィス・ノアは動かなくなるわ」
勇 「何てことだ・・・それが現実だって?」
ゲイブリッジ 「そうなんだよ勇君」
研作 「植物の光合成とオーガニック・エナジーの繋がりについては未だに・・・」
出席者 「貴様は!グランチャーの動きはどう説明するんだ!」
出席者 「勝手にプレートを集め回って各地で事を起こしている!」
桑原 「そうです。博士はアンチボディについては一切触れていませんでした。その点・・・」
研作 「花・・・蘭の花か?」
カント 「博士は光合成について正確に説明なさってはいませんでしたか?」
研作 「そ、そうだったか?」
桑原 「光合成の関係?」
カント 「はい。植物も生物だと・・・」
勇 「あいつ、なんだってんだ?」
(アイキャッチ)
カント 「オルファンの現象は生命体全ての問題ですから、グランチャー現象は些末な問題です。無視して宜しいでしょう。このバイタル・グロウブのネットは・・・」
カント 「地球を覆うオーガニック・エナジーの流れを示しています」
勇 「何者なの?」
アイリーン 「カント・ケストナー。10歳で博士号を取った神童」
カント 「近年植物の繁茂の著しい地域です。これにバイタル・グロウブのラインを重ねます。・・・というわけです。つまりオルファンと植物に・・・」
カント 「活性化の関係があると知ったのです」
勇 「だからなんだっての」
アイリーン 「良い感をしている子よ」
ゲイブリッジ 「ん?」
カント 「蘭の花はその代表的なものです。僕はこの事実を知った時とても感動しました。人類が汚してきた地球は・・・」
カント 「まだ人類に絶望せずに地球の生態系を救う術を与えてくれていたと。この植物の活性化現象は、世界各地のプレートの出現場所とバイタル・グロウブのネットと重なる所で起こっております。つまりオーガニック・エナジーの飽和が起こっているのです」
勇 「植物との関係か」
カント 「この現象の意味するところは・・・」
カント 「植物の光合成とオルファンの働きには繋がりがあるという事です。この点は伊佐未博士と意見が似ています。けど、博士の意見は嘘です」
桑原 「ん?」
カント 「オルファンのエネルギー総量は太陽みたいなものですから人間にコントロールできません」
桑原 「ノヴィス・ノアのエンジンは工学的に集積力を持っている」
カント 「でも、オーガニック的な物の考え方だとオルファンは生物ですよね?」
桑原 「そ、そうだが・・・」
カント 「生物の根本的な作用は対生成です。プラス・マイナス。雄と雌。陰陽の二元論に根差しています」
研作 「だから少年、私はオルファンの存在に拮抗する存在としてビー・プレートを仮定したのだ」
カント 「オルファンが雄なら雌に相当するものがある。卓見でいらっしゃいますが、そのようなものが見つけられない限りオルファンは銀河系外にそれを求めるでしょう」
ユキオ 「そうなのか。この辺のも外国から入ってきた花が多いのか?」
カント 「港町の宿命だね。在来種の方が少ない」
クマゾー 「綺麗!これ綺麗!光ってる!」
カント 「こんな所にまで!オンシジウムの変種が咲いているのか」
アカリ 「光ってるように見えないか?」
ユキオ 「あん?」
カント 「こうしたらどう見える?」
クマゾー
アカリ 「へ?」
ユキオ 「へええ」
クマゾー 「うわあぁ」
カント 「という事は、この辺りもバイタル・グロウブの境界線に当たるのかな?」
政治家 「ははっ、想像するのと見るのとは大違いですな。20万ドルとか?」
ラッセ 「天才少年の出現は面白かったけど、面白がっちゃいられないという面もあるよな」
カナン 「オーガニック・エナジーが数量的に計測できるようになったのは最近ですものね」
ラッセ 「ああ、しかしデータよりこうやって付き合ってくれるブレン達を見りゃあ・・・ううっ・・・」
カナン 「どうしたの?ラッセ」
ラッセ 「ん・・・ああ、あいつらの毒気に当てられたのさ」
カナン 「え?ああ・・・」
研作 「ここのブレンは生き生きしている。まるでノヴィス・ノアそのものがビ・ープレートとも思える」
研作 「母さんが心配しているぞ」
勇 「どこにそんな奴がいる!」
研作 「ん・・・」
比瑪 「あれが勇のお父さん?」
ノヴィスクルー 「アンチボディ!5つです!間違いありません!」
アイリーン 「只今本艦に向けてグランチャーが接近中!」
アイリーン 「ゲストの皆様は只今よりノヴィス・ノアからの退艦は出来ません!」
軍人 「なんだと!」
政治家 「我々を避難させるべきだ!」
ゲイブリッジ 「この船は何の為にあるのですか!彼等を信じましょう」
ナンガ 「5機だって?近いじゃないか、アイリーン」
アイリーン 「あなたは駄目よ」
ナンガ 「俺はもう大丈夫だ」
アイリーン 「許可できません」
ナンガ 「医者としてか?それとも艦長として?」
アイリーン 「ここで私を補佐して欲しいのよ・・・実戦なんて初めてなのよ?」
ナンガ 「あんたならすぐに一級の戦術家になれますよ」
アイリーン 「でも・・・弾幕を前方に!展開用意!これ以上出てこられたら一斉射します!」
ナンガ 「勇も出られるのか!」
勇 「聞こえている。ナンガはブリッジに居た方が良いと思うな」
ナンガ 「ほう・・・いい覚悟じゃないか」
アイリーン 「ミサイル!イランド、ブレンに当たらないように・・・い、一斉射!」
クインシィ 「ほら見ろ!グランチャーで来てみれば、向きになって敵対行動とるのがノヴィス・ノアだ!奴等はオルファンを害する者なんだ!」
カナン 「クインシィ・イッサーのグランチャー?」
ラッセ 「前へ出るぞ!ヒギンズ!カナン!」
ヒギンズ 「了解!ノヴィス・ノア・・・後ろから撃ち落とさないで、あたしのブレン!」
比瑪 「この敵変よ!勇!」
勇 「何だ?この感触・・・!?」
勇 「クインシィ・イッサーか!」
クインシィ 「見つけた!勇!」
勇 「姉さんだろ!」
クインシィ 「勇!あたしに撃たれなさい!」
勇 「姉さん!姉さん!外を見ろよ!外を!」
クインシィ 「黙りなさい!」
カナン 「ブレン全員へ!勇とあのグランチャーを戦わせては駄目よ!」
ラッセ 「カナン!どういう事だ!」
カナン 「あれはクインシィ!勇の姉さんの依衣子さん!」
ラッセ 「なんだと?」
比瑪 「勇の姉さん?落ちる・・・!」
勇 「何を考えてんだ!親父は国際会議に来て、今度は姉さんまで!」
クインシィ 「研作博士の考える事など、私の知った事ではない!私はオルファンのアンチボディ!」
クインシィ 「お前なんか!」
クインシィ 「そこから引きずり出してグランチャーに潰させる!」
勇 「クインシィになりきって!」
クインシィ 「くっ・・・!なんだっていうの!」
比瑪 「お父さんもいるのに、何でお姉さんはノヴィス・ノアを攻撃するの?」
勇 「オルファンで銀河旅行をするつもりだからさ」
比瑪 「本当にそんな事の出来る宇宙船なの?」
勇 「・・・それは親父たちの推論だ!」
比瑪 「勇!」
研作 「私だ!依衣子!クインシィ・イッサー!聞こえるか!?応答してくれ!今はまだノヴィス・ノアを沈めちゃならん!うおっ!」
クインシィ 「話が違う・・・!話が違う!ブレンは連携して戦っている!?」
カナン 「クインシィ・イッサー!」
クインシィ 「何!?」
カナン 「博士の命まで無視する戦い方をして!」
クインシィ 「お前まで勇に惑わされたのか!オルファンに戻らないのか!」
カナン 「グランチャーの抗体反応は凶器よ!」
クインシィ 「黙れ!」
カナン 「ごめんブレン!でも・・・オルファンには戻りません!」
クインシィ 「ならば消えろ!」
ラッセ 「うおおぉっ!」
カナン 「ラッセ?」
クインシィ 「なんてチャクラシールドになるんだ!?」
ラッセ 「カナン!大丈夫だな?」
カナン 「勿論・・・ラッセ」
クインシィ 「お前達は・・・!何っ?」
カナン 「勇!クインシィと・・・!」
ラッセ 「出るんじゃないカナン!」
源野 「あははっ、ブレンが跳ねてるわ!」
ユキオ 「こっちに来るぞ!」
アカリ 「来たぁ!」
ユキオ 「ふ、伏せろ!」
クマゾー 「うわぁ!」
アカリ 「ブレンが・・・」
クマゾー 「ブレン!」
アカリ 「しっ!」
勇 「姉さん!落ちついてくれ!コクピットから・・・」
勇 「うっ!地上に出たんだ、ここで話せば・・・離れていろ!潰されるぞ!」
カント 「確かめたい事があります!気にしないでいいですよ」
勇 「グランチャーだぞ!?」
勇 「正気か!グランチャーもパイロットも・・・!」
カント 「大切な事なんです!黙っていてください!」
勇 「花?」
クインシィ 「光っている花かい?憶えているかい?勇」
勇 「な、何を?」
クインシィ 「あんたが花をくれたことがあったろ?いつも二人だけで、おばあちゃんは下の村にパートに行っていた頃さ」
クインシィ 「あのプレゼント嬉しかった。誕生日のプレゼントだった」
勇 「ごめん、憶えていない」
クインシィ 「そうか・・・そうだろうね!あんたは両親を裏切り、家族の絆など断ち切ってオルファンから出ていった!」
勇 「違う!姉さんだってオルファンを離れれば、俺の言おうとしている事は解ってくれる」
クインシィ 「お前はオルファンを・・・傷つける!」
勇 「うっ・・・姉さん!」
カント 「あっ・・・あ!」
勇 「姉さん!・・・ああっ!」
カント 「わああっ!」
勇 「うっ・・・!まったく抗体になりきってる!」
勇 「何が不満なんだ!この世界に!」
政治家A 「いやぁ、流石!」
政治家B 「街にはミサイル一発落ちなかったと言いますよ?」
ゲイブリッジ 「皆様の御協力があればこそです」
研作 「仰られますがお義母さん、我々は人類の敵になるためにオルファンを復活させたのではありません。翠にも依衣子にもそんな事はさせはしませんよ。それは本当です」
勇 「今あいつをどうにかしたって、オルファンは止まらない!どうするんだ・・・勇!?」
比瑪 「勇!どこに行くの!」
勇 「ほっといてくれ!ノヴィス・ノアなんかにいられたらどうする事も出来ないじゃないか・・・どうする事も・・・!どうする事も出来ないじゃないか!」
※:このシーン、複数人いますが聞き分け出来ないのでそれぞれ「ノヴィスクルー」「出席者」「警備員」と一括りにさせてもらっています。
第10話「プレートの誘惑」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201011061303547926/
→第12話「単独行」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201109261442516327/
比瑪
(ナレーション) 「そりゃ、アノーア艦長が息子さんのことで悩んでいたからってその事と行方不明になった事とは関係がない。あたしが出会ったのと質が違うプレートは回収したほうがいいって艦長は判断したのよ。それが冷静さを失わせて、プレートにのみ込まれた。とっても残念・・・」
カント 「想像していた通りの規模だけど計算通りの出力が出たら、どうなるのかなあ?」
ノヴィスクルー(※) 「結局見つからなかったって?」
ノヴィスクルー 「そりゃあそうだろ。プレートのスピード、なまじじゃねえもん」
ラッセ 「ナンガ!いいのか?」
ナンガ 「オグンの御加護のおかげだね」
ラッセ 「新しい艦長の噂は聞いてるのか?」
ナンガ 「キメリエスのレイトが昇格するんだろう?」
ヒギンズ 「何も聞いてない。レイト艦長は潜水艦が好きだから」
ゲイブリッジ 「待たせて申し訳なかった。アノーア艦長の捜索は続けなければならないが、我々の任務は急を要している。ここで緊急対策として、新任の艦長を認めて頂きたい」
ノヴィスクルー 「新任の艦長?」
ノヴィスクルー 「誰が艦長になったんだ」
ノヴィスクルー 「レイトじゃないのか?」
副長 「静かに!アイリーン・キャリアーは士官学校でも優秀だった。その上医師と針の免許を持ち、我々は彼女にケツの穴まで見られている現実がある」
ノヴィスクルー 「ハッハッハ!」
ノヴィスクルー 「反対できねぇってことかあ」
ノヴィスクルー 「賛成だい!」
ノヴィスクルー 「オーガニック・シップにお医者さんがベスト!」
ユキオ 「当然、当然!」
クマゾー 「当然!」
アカリ 「賛成!」
カナン 「何ていう船?こんな人選」
勇 「全く、みんなで何を考えてんだか」
比瑪 「何が気に入らないのさ?」
勇 「別に。感動してんだよ、民主主義に」
ゲイブリッジ 「満場一致という事で、君に艦長をやってもらう」
アイリーン 「はい、では只今よりアイリーン・キャリアーがノヴィス・ノアの艦長を代行させてもらいます。本艦はオルファン対策会議の間、機関整備と補給を警戒体勢のまま行います!各員部署へ戻ってください!」
ノヴィスクルー 「よしかかれ!働け働けー!」
ノヴィスクルー 「お手柔らかにね」
アイリーン 「こちらこそ」
ナンガ 「病室で教えてくれたって良かったのにさ」
アイリーン 「だって今日いきなりだったのよ」
勇 「あんた、それでいいのかよ?」
アイリーン 「こんな時でしょ?やります」
比瑪 「勇?」
アイリーン 「勇は優しいわ、私が重荷を背負わされたと思っているのよ」
比瑪 「あいつ、そういうとこ敏感なんです」
アイリーン 「ありがたいわ」
アイリーン 「でも敏感過ぎるのはよくないわね、グランチャーに乗っていた事にいつまでも罪悪感を持っているから」
アイリーン 「慰めてあげられない?」
比瑪 「私が?」
源野 「あら?」
軍人 「ブレンパワードだ。本当に飛んでるぞ」
勇 「ブレンが恥ずかしがってる。さっさと行けよ」
源野 「フフフ、坊やは相変わらず。ブレンパワードは相変わらず素敵に雄々しいわ」
クマゾー 「比瑪姉ちゃん!」
アカリ 「綺麗な花よ」
ユキオ 「あんまり見ない花なんだ」
比瑪 「本当!」
クマゾー 「きれい!」
比瑪 「そうだね。蘭でしょうね、これ」
ユキオ 「でも葉っぱが違うよ?」
アカリ 「ほうら、ヒメ・ブレン見えるでしょ?綺麗な花。ユウ・ブレンも見なさい、綺麗だろ?」
勇 「へえ」
アカリ 「なっ?」
勇 「綺麗だな」
アカリ 「あげるっ」
カント 「植物は強いですよね。地球が汚れてしまっても花を咲かせる。強さと美しさで人の心を慰めてくれる」
カント 「カント・ケストナーです。想像通り優しい姿に嬉しくなりました、ブレン」
勇 「なんでおまえみたいのが、こんな所にいるんだ?」
カント 「こんな所へ?変な聞き方しますね」
勇 「だってお前、外国帰りだろ?」
カント 「何でわかるんですか?」
勇 「俺もそうだからさ」
カント 「・・・あ!あ、すいません行かなくっちゃ」
比瑪 「誰?」
勇 「どなたでしょうね」
源野 「今日の発表はリクレイマーに負けあちゃいません」
桑原 「私は彼らと理論闘争をしようとは思っていない」
源野 「あら?博士は伊佐未博士への当て付けでオーガニック・エンジンを開発したんじゃないんですか?」
桑原 「違うよ・・・」
源野 「失礼、あっ・・・」
桑原 「あいつは?」
研作 「久しぶりだな桑原」
桑原 「き、貴様こそ、日の光に当たっている顔をして」
研作 「オルファンはそのくらいのものは完備しているさ。時給自足しているんだからね」
クインシィ 「発信準備、できているな?指名された者は揃っているな?」
翠 「待ちなさい!あなたの考えている出撃は軽率です!」
クインシィ 「ドクター達の独断的行動のおかげでオルファンに危機を呼ぶかもしれないのだ」
翠 「ブレンパワードの性能は私達が思っていた以上だった。あの人はそれを確かめに行ったのです!」
クインシィ 「何も自分が行くことはない」
翠 「心配しなくてもお父様は・・・」
クインシィ 「心配なのはあの人の頭脳がノヴィス・ノア側に利用される事だ!」
翠 「そんな事はありえません!」
クインシィ 「お前達はオルファンの循環器の整備をすればいい!」
翠 「クインシィ・イッサー!まるで・・・まるで、軍隊気取り」
クインシィ 「オルファンが輝きを増している。銀河を夢見ているんだ・・・」
クインシィ 「うっ・・・あぁ・・・太陽か!ははははっ!久しぶりに海の上に出た!
本当に綺麗、勇にも見せてあげたいなあ。あの子ったらどこに行ったのかしら・・・?しょうがない子だ、ちっともじっとしてないでいつも心配ばかり掛けて・・・」
桑原 「オルファンが海面に浮上する際の津波の被害は既に述べた通り、甚大な物になりますが、本当の危機は海面から宇宙に飛び立つ時でありまして、膨大なオーガニック・エナジーが地球から失われるという事です。それを定数化したものが、これです。」
出席者(※) 「悲観的過ぎないか?」
出席者 「なんて数字だ」
桑原 「シダ類以下の菌類は生き残りますが、生き物らしいものは全滅するでしょう」
出席者 「全滅だって!?」
出席者 「ノヴィス・ノアはそれをさせないための船なんだろう!」
桑原 「ノヴィス・ノアは3隻の随伴艦と行動を共にしております。各艦にはプレートが搭載されておりますので、それらをオルファンを囲む位置に配置しましてオーガニック・エンジンとプレートを共振させ、更にバイタル・グロウブのオーガニック・エナジーとも共振させオルファンのオーガニック・エナジーを宇宙に放出させます。そうすればオルファンは沈静化します」
研作 「エネルギーが放散されるだと?」
桑原 「この予測について私以上にオーガニック・エナジーについて詳しい伊佐未研作博士の見解を伺いたいのです。どうか」
研作 「オルファンは止まるかもしれないな」
桑原 「はい、プレートについての・・・」
警備員(※) 「止まれ!」
勇 「奴はリクレイマーだぞ!」
警備員 「子供の来る所じゃない!」
警備員 「会議場で・・・!」
勇 「俺は直接関係者なんだ!」
警備員 「豚箱に入れる!」
桑原 「失礼しました、では伊佐未博士御願いします」
出席者 「オルファンのアンチボディ!」
出席者 「ははは」
研作 「まず最初にお伝えしたいのは、オルファンの制御は不可能ではないという事です」
勇 「親父の言うことなんて嘘だ!」
警備員 「いい加減にしろ!」
ゲイブリッジ 「離してくれないか!」
アイリーン 「彼はノヴィス・ノアのクルーでブレンパワードに乗っている少年です!」
警備員 「はっ、はあ・・・」
勇 「なんで親父に話させる!」
アイリーン 「彼は研究員として正規のルートでこの会議に出席しているのよ」
勇 「だからって・・・」
ゲイブリッジ 「現実を認めるんだな。ノヴィス・ノアの建造費を出している者の中にもリクレイマーに支援をしている者もいるのだ」
勇 「自分達だけが助かりたくてオルファンに乗せてもらいたがってる連中の事か」
アイリーン 「そういう人達を怒らせたらノヴィス・ノアは動かなくなるわ」
勇 「何てことだ・・・それが現実だって?」
ゲイブリッジ 「そうなんだよ勇君」
研作 「植物の光合成とオーガニック・エナジーの繋がりについては未だに・・・」
出席者 「貴様は!グランチャーの動きはどう説明するんだ!」
出席者 「勝手にプレートを集め回って各地で事を起こしている!」
桑原 「そうです。博士はアンチボディについては一切触れていませんでした。その点・・・」
研作 「花・・・蘭の花か?」
カント 「博士は光合成について正確に説明なさってはいませんでしたか?」
研作 「そ、そうだったか?」
桑原 「光合成の関係?」
カント 「はい。植物も生物だと・・・」
勇 「あいつ、なんだってんだ?」
(アイキャッチ)
カント 「オルファンの現象は生命体全ての問題ですから、グランチャー現象は些末な問題です。無視して宜しいでしょう。このバイタル・グロウブのネットは・・・」
カント 「地球を覆うオーガニック・エナジーの流れを示しています」
勇 「何者なの?」
アイリーン 「カント・ケストナー。10歳で博士号を取った神童」
カント 「近年植物の繁茂の著しい地域です。これにバイタル・グロウブのラインを重ねます。・・・というわけです。つまりオルファンと植物に・・・」
カント 「活性化の関係があると知ったのです」
勇 「だからなんだっての」
アイリーン 「良い感をしている子よ」
ゲイブリッジ 「ん?」
カント 「蘭の花はその代表的なものです。僕はこの事実を知った時とても感動しました。人類が汚してきた地球は・・・」
カント 「まだ人類に絶望せずに地球の生態系を救う術を与えてくれていたと。この植物の活性化現象は、世界各地のプレートの出現場所とバイタル・グロウブのネットと重なる所で起こっております。つまりオーガニック・エナジーの飽和が起こっているのです」
勇 「植物との関係か」
カント 「この現象の意味するところは・・・」
カント 「植物の光合成とオルファンの働きには繋がりがあるという事です。この点は伊佐未博士と意見が似ています。けど、博士の意見は嘘です」
桑原 「ん?」
カント 「オルファンのエネルギー総量は太陽みたいなものですから人間にコントロールできません」
桑原 「ノヴィス・ノアのエンジンは工学的に集積力を持っている」
カント 「でも、オーガニック的な物の考え方だとオルファンは生物ですよね?」
桑原 「そ、そうだが・・・」
カント 「生物の根本的な作用は対生成です。プラス・マイナス。雄と雌。陰陽の二元論に根差しています」
研作 「だから少年、私はオルファンの存在に拮抗する存在としてビー・プレートを仮定したのだ」
カント 「オルファンが雄なら雌に相当するものがある。卓見でいらっしゃいますが、そのようなものが見つけられない限りオルファンは銀河系外にそれを求めるでしょう」
ユキオ 「そうなのか。この辺のも外国から入ってきた花が多いのか?」
カント 「港町の宿命だね。在来種の方が少ない」
クマゾー 「綺麗!これ綺麗!光ってる!」
カント 「こんな所にまで!オンシジウムの変種が咲いているのか」
アカリ 「光ってるように見えないか?」
ユキオ 「あん?」
カント 「こうしたらどう見える?」
クマゾー
アカリ 「へ?」
ユキオ 「へええ」
クマゾー 「うわあぁ」
カント 「という事は、この辺りもバイタル・グロウブの境界線に当たるのかな?」
政治家 「ははっ、想像するのと見るのとは大違いですな。20万ドルとか?」
ラッセ 「天才少年の出現は面白かったけど、面白がっちゃいられないという面もあるよな」
カナン 「オーガニック・エナジーが数量的に計測できるようになったのは最近ですものね」
ラッセ 「ああ、しかしデータよりこうやって付き合ってくれるブレン達を見りゃあ・・・ううっ・・・」
カナン 「どうしたの?ラッセ」
ラッセ 「ん・・・ああ、あいつらの毒気に当てられたのさ」
カナン 「え?ああ・・・」
研作 「ここのブレンは生き生きしている。まるでノヴィス・ノアそのものがビ・ープレートとも思える」
研作 「母さんが心配しているぞ」
勇 「どこにそんな奴がいる!」
研作 「ん・・・」
比瑪 「あれが勇のお父さん?」
ノヴィスクルー 「アンチボディ!5つです!間違いありません!」
アイリーン 「只今本艦に向けてグランチャーが接近中!」
アイリーン 「ゲストの皆様は只今よりノヴィス・ノアからの退艦は出来ません!」
軍人 「なんだと!」
政治家 「我々を避難させるべきだ!」
ゲイブリッジ 「この船は何の為にあるのですか!彼等を信じましょう」
ナンガ 「5機だって?近いじゃないか、アイリーン」
アイリーン 「あなたは駄目よ」
ナンガ 「俺はもう大丈夫だ」
アイリーン 「許可できません」
ナンガ 「医者としてか?それとも艦長として?」
アイリーン 「ここで私を補佐して欲しいのよ・・・実戦なんて初めてなのよ?」
ナンガ 「あんたならすぐに一級の戦術家になれますよ」
アイリーン 「でも・・・弾幕を前方に!展開用意!これ以上出てこられたら一斉射します!」
ナンガ 「勇も出られるのか!」
勇 「聞こえている。ナンガはブリッジに居た方が良いと思うな」
ナンガ 「ほう・・・いい覚悟じゃないか」
アイリーン 「ミサイル!イランド、ブレンに当たらないように・・・い、一斉射!」
クインシィ 「ほら見ろ!グランチャーで来てみれば、向きになって敵対行動とるのがノヴィス・ノアだ!奴等はオルファンを害する者なんだ!」
カナン 「クインシィ・イッサーのグランチャー?」
ラッセ 「前へ出るぞ!ヒギンズ!カナン!」
ヒギンズ 「了解!ノヴィス・ノア・・・後ろから撃ち落とさないで、あたしのブレン!」
比瑪 「この敵変よ!勇!」
勇 「何だ?この感触・・・!?」
勇 「クインシィ・イッサーか!」
クインシィ 「見つけた!勇!」
勇 「姉さんだろ!」
クインシィ 「勇!あたしに撃たれなさい!」
勇 「姉さん!姉さん!外を見ろよ!外を!」
クインシィ 「黙りなさい!」
カナン 「ブレン全員へ!勇とあのグランチャーを戦わせては駄目よ!」
ラッセ 「カナン!どういう事だ!」
カナン 「あれはクインシィ!勇の姉さんの依衣子さん!」
ラッセ 「なんだと?」
比瑪 「勇の姉さん?落ちる・・・!」
勇 「何を考えてんだ!親父は国際会議に来て、今度は姉さんまで!」
クインシィ 「研作博士の考える事など、私の知った事ではない!私はオルファンのアンチボディ!」
クインシィ 「お前なんか!」
クインシィ 「そこから引きずり出してグランチャーに潰させる!」
勇 「クインシィになりきって!」
クインシィ 「くっ・・・!なんだっていうの!」
比瑪 「お父さんもいるのに、何でお姉さんはノヴィス・ノアを攻撃するの?」
勇 「オルファンで銀河旅行をするつもりだからさ」
比瑪 「本当にそんな事の出来る宇宙船なの?」
勇 「・・・それは親父たちの推論だ!」
比瑪 「勇!」
研作 「私だ!依衣子!クインシィ・イッサー!聞こえるか!?応答してくれ!今はまだノヴィス・ノアを沈めちゃならん!うおっ!」
クインシィ 「話が違う・・・!話が違う!ブレンは連携して戦っている!?」
カナン 「クインシィ・イッサー!」
クインシィ 「何!?」
カナン 「博士の命まで無視する戦い方をして!」
クインシィ 「お前まで勇に惑わされたのか!オルファンに戻らないのか!」
カナン 「グランチャーの抗体反応は凶器よ!」
クインシィ 「黙れ!」
カナン 「ごめんブレン!でも・・・オルファンには戻りません!」
クインシィ 「ならば消えろ!」
ラッセ 「うおおぉっ!」
カナン 「ラッセ?」
クインシィ 「なんてチャクラシールドになるんだ!?」
ラッセ 「カナン!大丈夫だな?」
カナン 「勿論・・・ラッセ」
クインシィ 「お前達は・・・!何っ?」
カナン 「勇!クインシィと・・・!」
ラッセ 「出るんじゃないカナン!」
源野 「あははっ、ブレンが跳ねてるわ!」
ユキオ 「こっちに来るぞ!」
アカリ 「来たぁ!」
ユキオ 「ふ、伏せろ!」
クマゾー 「うわぁ!」
アカリ 「ブレンが・・・」
クマゾー 「ブレン!」
アカリ 「しっ!」
勇 「姉さん!落ちついてくれ!コクピットから・・・」
勇 「うっ!地上に出たんだ、ここで話せば・・・離れていろ!潰されるぞ!」
カント 「確かめたい事があります!気にしないでいいですよ」
勇 「グランチャーだぞ!?」
勇 「正気か!グランチャーもパイロットも・・・!」
カント 「大切な事なんです!黙っていてください!」
勇 「花?」
クインシィ 「光っている花かい?憶えているかい?勇」
勇 「な、何を?」
クインシィ 「あんたが花をくれたことがあったろ?いつも二人だけで、おばあちゃんは下の村にパートに行っていた頃さ」
クインシィ 「あのプレゼント嬉しかった。誕生日のプレゼントだった」
勇 「ごめん、憶えていない」
クインシィ 「そうか・・・そうだろうね!あんたは両親を裏切り、家族の絆など断ち切ってオルファンから出ていった!」
勇 「違う!姉さんだってオルファンを離れれば、俺の言おうとしている事は解ってくれる」
クインシィ 「お前はオルファンを・・・傷つける!」
勇 「うっ・・・姉さん!」
カント 「あっ・・・あ!」
勇 「姉さん!・・・ああっ!」
カント 「わああっ!」
勇 「うっ・・・!まったく抗体になりきってる!」
勇 「何が不満なんだ!この世界に!」
政治家A 「いやぁ、流石!」
政治家B 「街にはミサイル一発落ちなかったと言いますよ?」
ゲイブリッジ 「皆様の御協力があればこそです」
研作 「仰られますがお義母さん、我々は人類の敵になるためにオルファンを復活させたのではありません。翠にも依衣子にもそんな事はさせはしませんよ。それは本当です」
勇 「今あいつをどうにかしたって、オルファンは止まらない!どうするんだ・・・勇!?」
比瑪 「勇!どこに行くの!」
勇 「ほっといてくれ!ノヴィス・ノアなんかにいられたらどうする事も出来ないじゃないか・・・どうする事も・・・!どうする事も出来ないじゃないか!」
※:このシーン、複数人いますが聞き分け出来ないのでそれぞれ「ノヴィスクルー」「出席者」「警備員」と一括りにさせてもらっています。
第10話「プレートの誘惑」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201011061303547926/
→第12話「単独行」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201109261442516327/
ブレンパワード 全台詞集 第05話「敵か味方か」
2011年6月22日 ブレンパワード全台詞集脚本:面出明美 絵コンテ・演出:越智浩仁 作画監督:佐久間信一
ヒギンズ 「本日付けでブレンパワードのパイロット候補としてノヴィス・ノアに配属となりましたヒギンズ・サスです」
ナンガ 「キメリエスでは、君を手放すのを嫌がったらしいな。俺はナンガ・シルバレーだ。一応、ブレンパワード隊の責任者ということになっている」
ラッセ 「ラッセ・ルンベルクだ。よろしくな…あらっ」
ヒギンズ 「まだ、リバイバルしていないんですね」
ナンガ 「グランチャーとの戦いが本格化してくるというのに、困ったものだ…。おまけに、パイロットも子供の方が腕が良くてね」
ヒギンズ 「宇都宮比瑪ですか?いいセンスをしているって聞いてますけど」
ラッセ 「あぁ、良い子だよ。ノヴィス・ノアの1号機のパイロットだものなぁ。それとリクレイマー上がりの坊やだ」
ヒギンズ 「伊佐未勇ですね?
…あたしを見て、リバイバルしてくれないのかしら…」
アノーア 「私は伊佐未勇を全面的に信用しているわけではありません。彼はグランチャーに乗っていた少年です」
ゲイブリッジ 「だからこそ、ブレンパワードのパイロットとしても心強いのではないかね?」
アノーア 「…なぜ彼はリクレイマーを裏切る気になったのでしょう?」
直子 「あの子は、両親とは違う道を見つけたんだと思います。そういう子です」
アノーア 「親子の絆がそれで断ち切れるものでしょうか」
直子 「それは…」
ゲイブリッジ 「今、オルファンと戦うには彼の協力が必要だ」
アノーア 「直感ですか?」
ゲイブリッジ 「ま、そうだ」
アノーア 「…総司令がそうおっしゃるのなら」
ゲイブリッジ 「大丈夫ですよ、直子さん」
直子 「ありがとうございます」
勇 「うぅ…あぁ…うぁ…」
アイリーン 「ユウ・イサミ?気分が悪い?勇!」
翠(回想) 「勇!」
勇(回想) 「うぅ…うぅ…し、痺れるよぉ…ジリジリする…あぁ…痛いよぉ…」
翠(回想) 「大丈夫です!あなたなら我慢できるわ!強い子だものね?上の村の山と川で鍛えた子だものね?」
研作(回想) 「アルファ、ベータ、ゼータ、各波同じように上がっている。乱れではない!こりゃあグランチャーとシンクロしているんだ!
さすがにわが子だ!アンチボディたるグランチャーと、一心同体になれるデータが取れてるんだよ!翠!」
翠(回想) 「あなたの英知と、私の忍耐力、それを受け継いだ勇なら、依衣子以上のパイロットになれるわ!グランチャーの抗体としてね」
勇(回想) 「あぁ…ジンジンするよぉ…」
翠(回想) 「オルファンに選ばれたんだから、大丈夫よ!」
勇(回想) 「うぅああぁ、ああぁぁ……」
勇 「うっ!勝手に!こんなとこに連れて来て!…っう」
アイリーン 「…伊佐未勇!大丈夫?」
勇 「あぁ。あ…どうでした?僕…」
アイリーン 「問題なし」
勇 「何か、体に埋め込まれていたとか」
アイリーン 「DNAの書き換えもないみたいね。そっちの方はもう少し時間をかけて調べるって」
勇 「僕の疑いが、晴れたってこと?」
アイリーン 「それは、私の判断することではないわ。
私はオルファンを修復したリクレイマーたちを、マッドサイエンティストだとは思っていないし」
勇 「何?」
アイリーン 「なぁに?」
アカリ 「…別に」
クマゾー 「べつに」
アイリーン 「そう」
勇 「俺を見張ってんだな?」
アカリ
クマゾー 「うん!」
アカリ 「…あっ!うわっ」
クマゾー 「ああぁ~」
勇 「誰の命令なんだかさ」
比瑪 「そうね。反応係数をもう少し高めに設定して…」
ユキオ 「比瑪姉ちゃーん」
比瑪 「なぁにユキオ?」
ユキオ 「休んでなきゃダメじゃないか!休むのも任務のうちだろ?」
比瑪 「ありがと。でもね、勇の使ってるこの子の事、ほっておけなくて」
アカリ 「バレたぁ!」
クマゾー 「ばればれぇ~!」
アカリ 「比瑪姉ちゃーん!」
クマゾー 「ねぇちゃ~ん!」
アカリ 「バレたぁ!」
クマゾー 「ばればれぇ~!」
アカリ 「スパイしてるのバレたぁ!」
比瑪 「あぁ、いいのよ。アイリーンさんのところでしょ?」
勇 「何してんだ!」
比瑪 「何って…」
勇 「俺のブレンパワードだぞ!」
比瑪 「コックピットの調整よ」
勇 「勝手にいじるな!」
比瑪 「近づくんじゃない!」
勇 「え?」
比瑪 「あなたが近づくと、ロクなことがないんだからね!」
勇 「どういうことだよ」
比瑪 「触るんじゃない!ひっつくんじゃない!」
アカリ 「ひっつくな!」
クマゾー 「ひっつく」
勇 「いけないか?」
比瑪 「キスがいいわけないだろ!」
ユキオ 「キスぅ?」
比瑪 「はっ!」
アカリ
クマゾー 「キぃスぅ~?」
ユキオ
アカリ 「したのかぁ?」
クマゾー 「した」
勇 「キス?あいさつはしたけど。なぁ?」
比瑪 「あぁ、一年ぶりの挨拶!?ひつっこいもんね!」
勇 「…そうだったかもな。悪かったよ。」
勇 「おまえはこれでいいんだな?」
比瑪 「この子、このブレンパワードに好かれてるんだ」
カナン 「オルファンが動き出しているわ。本当に、宇宙を求めているのかしら…」
クインシィ 「勇がノヴィス・ノアにこのオルファンの弱点を教えているのだから、防衛のためにグランチャー部隊を強化するのは当然でしょう!?」
研作 「オルファンが浮上すれば、ノヴィス・ノアなど問題ではない!」
クインシィ 「勇はグランチャーの抗体にならなかったにしても、オルファンを知っています!」
研作 「あれはお前の弟なんだぞ?それを倒そうというのか!」
クインシィ 「異分子は排除しなければならない」
翠 「それは、あなたが決めることではないわね、依衣子。すべては…」
クインシィ 「依衣子などここにはいない。私はクインシィ・イッサーである!」
翠 「そうしたのもオルファンの意思を受けて私たちが…!」
クインシィ 「クインシィをやっているのはあたしなんだよ!勇がビープレートを手に入れたら、どうなる!博士!」
研作 「ビープレートのことは、まだその威力も存在も仮定のものなんだ!」
カナン 「戦闘データだ」
フィジシスト 「ありがとうございます」
クインシィ 「しかしオルファンそのものの行動に影響を与える、そういう性格を持っているものだと博士は言っている!」
研作 「そうだからこそ!」
クインシィ 「グランチャーの補修技術の開発を急ぎ、部隊そのものの補強が先決なんだろ!」
翠 「話は分かってます!ですから、ジョナサンにも率先して出てもらいます」
ジョナサン 「同時にノヴィス・ノアの動向も探ってきますよ。カナン」
カナン 「何か?」
ジョナサン 「先発で出てくれないか」
カナン 「また?」
ジョナサン 「いいだろ?」
カナン 「あぁ…了解」
クインシィ 「ジョナサン!迂闊ではないのか!?」
ジョナサン 「クインシィ・イッサーの不安も、一挙に解消してみせますよ」
カナン 「リクレイマーは、勇のことを敵と見なしている。オルファンのことしか考えない…」
ジョナサン 「カナンを見張っていれば、裏切り者は出てくるはずだ」
シラー 「はっ」
ジョナサン 「オルファンは伊佐未ファミリーの所有物じゃない。それを彼らも知るべきだな。
…はっ」
クインシィ 「なるほど。カナンを試す、というわけかい、ジョナサン?」
ジョナサン 「あぁ。ドクターたちにはプレートの加工をやっていただけますな?」
クインシィ 「やらせてます。あれはいいシールドになる」
ジョナサン 「では」
クインシィ 「うん」
比瑪 「クマゾー、こっち向いて」
クマゾー 「んん」
比瑪 「ほら、口を拭いて。
オルファンでは何を食べてた?」
勇 「人間どこにいたって、食べるものは変わるもんじゃない」
比瑪 「そうそう。直子おばあちゃんの畑のトマト!おいしかったねぇ?」
勇 「あれは昔から、ああして作ってんだ。コツあるしな」
比瑪 「ふぅーん。おばあちゃんに教えてもらったんだ?なのに、どうして今はおばあちゃんと話さないの?」
勇 「関係ないだろ」
比瑪 「でもさ…」
コモド 「こんな所にいた。ユウ・イサミ?私はコモド・マハマ。手短に言うわ。あなたのブレンパワード、あたしに譲ってくれない?」
勇 「何言ってんだかさ」
コモド 「あたしはパイロットよ!?だけどブレンパワードがなければ戦えない!」
勇 「俺だってオルファンを潰すために出てきたんだ。そっちの事情なんて知りたくもない」
コモド 「あなたは自分の勝手で戦うんでしょ!?あたしたちは違うわ!」
勇 「道具を頼りにするようでは、グランチャーは落とせないよ」
コモド 「あなたと戦って証明してみせましょうか!?」
比瑪 「コモド!あのブレンパワードは勇を認めているのよ!他の人が無理に乗ったら、どうなるかわからない!」
コモド 「私が認めさせるわ!」
勇 「誰かが来る!誰だ?」
カナン 「まだこんなところをウロウロして!勇!いるんでしょ?出といで!」
ノヴィスクルーA 「グランチャー1機、接近!」
アノーア 「1機だけだと?」
ノヴィスクルーA 「はい」
アノーア 「対空戦用意!」
ノヴィスクルーB 「全艦へ、対空戦用意!海中探査!」
アノーア 「たった1機で接近?」
勇 「うわっ!何すんだ!」
アカリ 「勇は動いちゃダメ!」
クマゾー 「うごくなっ」
勇 「グランチャーが来てんだろ!」
比瑪 「あなたには待機命令が出てるのよ!あたしたちに任せて!」
勇 「カナンが来たんじゃないのか?
ほら、分かったから!離れてくれよ!」
クマゾー 「くうぅ~」
勇 「信用されてないんだな」
アカリ 「そういうわけじゃないけど」
勇 「そうなんだよ」
カナン 「勇、いるのね?」
ナンガ 「敵が1機だけとは思えない。注意しろよ!…行けい!」
比瑪 「あのグランチャー!勇と一緒だった女の人のだ!勇を連れ戻しに来たんなら!」
カナン 「勇は出てきていない…はっ!」
勇 「っ…!」
カナン 「勇!」
勇 「カナンか?」
コモド 「何でなのさ!答えなさいよ!
…何でさ!」
コモド 「出るからね!」
デッキクルーA 「イランドじゃあ、グランチャーと接近戦なんかできねえぜ?」
コモド 「そんなの!」
デッキクルーA 「へっ、ヨルバの神様がグランチャーを知ってんのかよ?」
コモド 「オグンの神よ、この戦いの我を守りたまえ」
(アイキャッチ無し)
比瑪 「ひょっとしたら勇を取り返しに来たんでしょ!あなたは!」
ラッセ 「こっちのこともまったく分かってないで出てきたのか!あいつは!」
カナン 「あのときのブレンパワード!?あなたに会わなければ、勇もあたしも、迷うことなんてなかったのに!」
比瑪 「あぁっ!パワーではグランチャーにかなわない!?」
ナンガ 「比瑪!離れろ!」
比瑪 「え!?」
ナンガ 「コモド!こんな時にセレモニーはするな!右に回りこめ!」
コモド 「オグンよ!私は命を賭けて戦います!」
デッキクルーB 「上がってもお祈りをやりやがって!」
ヒギンズ 「同じアンチボディでも、グランチャーのほうがパワーがあるんじゃないの?」
勇 「カナン?カナン一人で来てるのか?」
ラッセ 「逃げたぞ?どういうつもりで来たんだ?」
アノーア 「どう思われますか?」
ゲイブリッジ 「偵察、というところだろうが、オルファン側の作戦とは思えないな」
アノーア 「ブレンパワードたちは帰投待機、イランド隊は偵察、散開させろ」
直子 「勇を、連れ戻しに来たんだわ」
ゲイブリッジ 「ああ、綺麗なもんです」
直子 「ええ。ありがとう」
ゲイブリッジ 「ああ。もっとも、あれが日本で見えるのは人類にとってあまりいいことではありませんが」
直子 「勇は大丈夫でしょうか」
ゲイブリッジ 「オルファン体験が心の傷になっても、ここにいてくれれば癒されますよ。直子さんの存在も大きいでしょうからね」
直子 「そうでしょうか。ふしだらなところを見せているような気がします」
ゲイブリッジ 「え?…初恋がふしだらですか?」
直子 「いえ…今でもここにその殿方がいらっしゃるのが…」
ゲイブリッジ 「若者たちは、わかってくれていると、思いたいのですがね」
比瑪 「勇!昼間のグランチャーのパイロッ…何!?」
アカリ
クマゾー 「~~~~~~~!!」
比瑪 「二人いるの…っね!?」
アカリ 「ぷはぁ!」
比瑪 「クマゾー!」
クマゾー 「ぅあぁぁ~~~」
勇 「頼む!どうしても、行かなければならないところがあるんだ!…よし!いい子だ!たいした奴だよ」
デッキクルーC 「あ?お、おい!な、何やってる!?」
デッキクルーD 「おい誰だ!降りろ!」
勇 「前より反応が早い…。ここの修理のおかげだってのか」
魚屋 「出血大サービスで半額だよぉ?」
主婦 「元が高けりゃあ、半値の意味なんかないよ?」
カナン 「へぇ…」
勇 「うかつに動くと面倒なことになるから、動くなよ?」
勇 「そこか?」
カナン 「勇、来てくれた…?」
カナン 「神殿の周りを清めるための鈴の音か…来てくれて嬉しかった」
勇 「オルファンにいたときに決めた落ち合い場所といったら、ここしかなかった」
カナン 「あぁ、その土地の神社…
勇が自意識を取り戻せば、あのご両親から逃げ出したいというのはわかるけれど、でもオルファンの目的は…」
勇 「オルファンの目的は分かってるさ。人間をみんな、自分に従うものにしちまう。ケイディを見ただろ?」
カナン 「それでも、あそこがあたしの見つけた、唯一の安らぎの場所なのよ
他のどこにいても、あたしは不安で仕方がなかったわ」
勇 「それはカナンのお母さんの不安だろ?カナンはカナンとして、生きる意志を持つべきだよ」
カナン 「そんなこと、できるわけないわ」
勇 「できる。俺は、そう考えたから行動した」
カナン 「あたしには、オルファン以外に生きる場所はないわ」
勇 「ノヴィス・ノアがある。あそこはカナンに合うと思う」
カナン 「あなたには?」
勇 「え?まだ…わからないな」
比瑪 「勇ったらこんなところで何やってんのよ」
勇 「リクレイマーの連中は遺伝子や記憶が全てだと言うけど、そうだったらなぜ俺たちは世代を重ねるんだ?」
カナン 「その間違いを、オルファンが正すのでしょう?」
勇 「違うよ。オルファンには何か…そう、とりあえずの呪縛のようなものがあるんだよ」
カナン 「とりあえずの…呪縛?」
勇 「カナンだってオルファンを離れてみればわかると思うな」
飲み屋の客 「ビールおかわり!」
飲み屋の親父 「へぇーい!」
比瑪 「…ったく!」
勇 「…あっ?」
比瑪 「何やってんの!?こんなことしてたら、あなたの立場が悪くなる一方よ!」
勇 「何が悪いんだよ?」
比瑪 「こんな美人とデートなんて!」
勇 「悪いかよ?」
カナン 「大事な話をしてるのよ。邪魔をしないでちょう…」
比瑪 「こっちも大事な話だわ!」
勇 「失礼だろ!」
比瑪 「何でさ!この人あんたの姉さんなの!?恋人かぁ?」
勇 「馬鹿言うな!」
カナン 「…あぁっ!?」
勇 「グランチャー!」
カナン 「シラーに尾けられていたの?」
比瑪 「あんたそういう女なんだ!?」
カナン 「うっ…」
シラー 「勇!カナン!隠れても無駄だよ!」
市民(男) 「うわぁー!」
市民(女) 「キャー!」
女の子 「ママぁ!ママぁー!」
比瑪 「勇!ここで戦っては駄目よ!」
勇 「シラーはそんなこと考える奴じゃない!」
カナン 「どういうつもりなの?シラー!」
シラー 「そっちこそ!裏切り者とコソコソ密談かい?」
カナン 「あたしは…勇を連れ戻したかっただけよ!」
シラー 「ユウ・イサミは邪魔なんだ!ジョナサンやあたしにはね!あんたも一緒に死んでもらうよ!」
カナン 「シラー!誤解しないで!」
勇 「カナン!オルファンに取り憑かれた奴は、ますますこうなると思わないか?…うっ!」
シラー 「くっ!」
カナン 「うぅっ!…パワー負けしているのは、気力のせい?」
カナン 「何なの、これ…拒否反応!?」
シラー 「グランチャーに見捨てられたね?カナンには、パイロットの資格もなけりゃあ、ましてオルファンの抗体にだってなれやしないのさ!」
カナン 「ううっ!」
勇 「カナン!」
勇 「邪魔するな!」
カナン 「うっ!ああっ!」
カナン 「ああっ!あっ!」
カナン 「ううっ…なぜ?なぜ助けてくれたの?」
比瑪 「あたしじゃなくて、この子が助けたの。あなたはリクレイマーじゃない、って言ってるわ」
カナン 「ブレンパワードが…はっ!右後ろ!」
シラー 「おまえも死にな!」
比瑪 「あっ!」
ナンガ 「どうやら間に合ったな!」
ラッセ 「比瑪はその女の人を助けりゃいい!」
比瑪 「ラッセ!ナンガ!」
シラー 「ちっ!2機も出てきた!引き揚げるぞ!」
勇 「行ってくれたか…カナン!」
勇 「カナン!大丈夫か!?」
カナン 「ありがとう、勇でもね…
勇。何が正しいのかわからないわ、あたしには…」
勇 「正しい正しくない以前に、考えなくちゃいけないことがある。世代を重ねる、意味という奴をね」
カナン 「母のことをすべて自分の身に置き換えて、傷を深くする必要はない、っていうこと…?」
勇 「そういうこともあるけど…」
比瑪 「何話してんだか…」
勇 「俺は今、とっても嬉しいんだ。カナンと戦わずに済んでさ!」
カナン 「そりゃそう…そりゃああたしだってそうよ!勇!」
第04話「故郷の炎」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106132014562779/
→第06話「ダブル・リバイバル」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201008132238495308/
ヒギンズ 「本日付けでブレンパワードのパイロット候補としてノヴィス・ノアに配属となりましたヒギンズ・サスです」
ナンガ 「キメリエスでは、君を手放すのを嫌がったらしいな。俺はナンガ・シルバレーだ。一応、ブレンパワード隊の責任者ということになっている」
ラッセ 「ラッセ・ルンベルクだ。よろしくな…あらっ」
ヒギンズ 「まだ、リバイバルしていないんですね」
ナンガ 「グランチャーとの戦いが本格化してくるというのに、困ったものだ…。おまけに、パイロットも子供の方が腕が良くてね」
ヒギンズ 「宇都宮比瑪ですか?いいセンスをしているって聞いてますけど」
ラッセ 「あぁ、良い子だよ。ノヴィス・ノアの1号機のパイロットだものなぁ。それとリクレイマー上がりの坊やだ」
ヒギンズ 「伊佐未勇ですね?
…あたしを見て、リバイバルしてくれないのかしら…」
アノーア 「私は伊佐未勇を全面的に信用しているわけではありません。彼はグランチャーに乗っていた少年です」
ゲイブリッジ 「だからこそ、ブレンパワードのパイロットとしても心強いのではないかね?」
アノーア 「…なぜ彼はリクレイマーを裏切る気になったのでしょう?」
直子 「あの子は、両親とは違う道を見つけたんだと思います。そういう子です」
アノーア 「親子の絆がそれで断ち切れるものでしょうか」
直子 「それは…」
ゲイブリッジ 「今、オルファンと戦うには彼の協力が必要だ」
アノーア 「直感ですか?」
ゲイブリッジ 「ま、そうだ」
アノーア 「…総司令がそうおっしゃるのなら」
ゲイブリッジ 「大丈夫ですよ、直子さん」
直子 「ありがとうございます」
勇 「うぅ…あぁ…うぁ…」
アイリーン 「ユウ・イサミ?気分が悪い?勇!」
翠(回想) 「勇!」
勇(回想) 「うぅ…うぅ…し、痺れるよぉ…ジリジリする…あぁ…痛いよぉ…」
翠(回想) 「大丈夫です!あなたなら我慢できるわ!強い子だものね?上の村の山と川で鍛えた子だものね?」
研作(回想) 「アルファ、ベータ、ゼータ、各波同じように上がっている。乱れではない!こりゃあグランチャーとシンクロしているんだ!
さすがにわが子だ!アンチボディたるグランチャーと、一心同体になれるデータが取れてるんだよ!翠!」
翠(回想) 「あなたの英知と、私の忍耐力、それを受け継いだ勇なら、依衣子以上のパイロットになれるわ!グランチャーの抗体としてね」
勇(回想) 「あぁ…ジンジンするよぉ…」
翠(回想) 「オルファンに選ばれたんだから、大丈夫よ!」
勇(回想) 「うぅああぁ、ああぁぁ……」
勇 「うっ!勝手に!こんなとこに連れて来て!…っう」
アイリーン 「…伊佐未勇!大丈夫?」
勇 「あぁ。あ…どうでした?僕…」
アイリーン 「問題なし」
勇 「何か、体に埋め込まれていたとか」
アイリーン 「DNAの書き換えもないみたいね。そっちの方はもう少し時間をかけて調べるって」
勇 「僕の疑いが、晴れたってこと?」
アイリーン 「それは、私の判断することではないわ。
私はオルファンを修復したリクレイマーたちを、マッドサイエンティストだとは思っていないし」
勇 「何?」
アイリーン 「なぁに?」
アカリ 「…別に」
クマゾー 「べつに」
アイリーン 「そう」
勇 「俺を見張ってんだな?」
アカリ
クマゾー 「うん!」
アカリ 「…あっ!うわっ」
クマゾー 「ああぁ~」
勇 「誰の命令なんだかさ」
比瑪 「そうね。反応係数をもう少し高めに設定して…」
ユキオ 「比瑪姉ちゃーん」
比瑪 「なぁにユキオ?」
ユキオ 「休んでなきゃダメじゃないか!休むのも任務のうちだろ?」
比瑪 「ありがと。でもね、勇の使ってるこの子の事、ほっておけなくて」
アカリ 「バレたぁ!」
クマゾー 「ばればれぇ~!」
アカリ 「比瑪姉ちゃーん!」
クマゾー 「ねぇちゃ~ん!」
アカリ 「バレたぁ!」
クマゾー 「ばればれぇ~!」
アカリ 「スパイしてるのバレたぁ!」
比瑪 「あぁ、いいのよ。アイリーンさんのところでしょ?」
勇 「何してんだ!」
比瑪 「何って…」
勇 「俺のブレンパワードだぞ!」
比瑪 「コックピットの調整よ」
勇 「勝手にいじるな!」
比瑪 「近づくんじゃない!」
勇 「え?」
比瑪 「あなたが近づくと、ロクなことがないんだからね!」
勇 「どういうことだよ」
比瑪 「触るんじゃない!ひっつくんじゃない!」
アカリ 「ひっつくな!」
クマゾー 「ひっつく」
勇 「いけないか?」
比瑪 「キスがいいわけないだろ!」
ユキオ 「キスぅ?」
比瑪 「はっ!」
アカリ
クマゾー 「キぃスぅ~?」
ユキオ
アカリ 「したのかぁ?」
クマゾー 「した」
勇 「キス?あいさつはしたけど。なぁ?」
比瑪 「あぁ、一年ぶりの挨拶!?ひつっこいもんね!」
勇 「…そうだったかもな。悪かったよ。」
勇 「おまえはこれでいいんだな?」
比瑪 「この子、このブレンパワードに好かれてるんだ」
カナン 「オルファンが動き出しているわ。本当に、宇宙を求めているのかしら…」
クインシィ 「勇がノヴィス・ノアにこのオルファンの弱点を教えているのだから、防衛のためにグランチャー部隊を強化するのは当然でしょう!?」
研作 「オルファンが浮上すれば、ノヴィス・ノアなど問題ではない!」
クインシィ 「勇はグランチャーの抗体にならなかったにしても、オルファンを知っています!」
研作 「あれはお前の弟なんだぞ?それを倒そうというのか!」
クインシィ 「異分子は排除しなければならない」
翠 「それは、あなたが決めることではないわね、依衣子。すべては…」
クインシィ 「依衣子などここにはいない。私はクインシィ・イッサーである!」
翠 「そうしたのもオルファンの意思を受けて私たちが…!」
クインシィ 「クインシィをやっているのはあたしなんだよ!勇がビープレートを手に入れたら、どうなる!博士!」
研作 「ビープレートのことは、まだその威力も存在も仮定のものなんだ!」
カナン 「戦闘データだ」
フィジシスト 「ありがとうございます」
クインシィ 「しかしオルファンそのものの行動に影響を与える、そういう性格を持っているものだと博士は言っている!」
研作 「そうだからこそ!」
クインシィ 「グランチャーの補修技術の開発を急ぎ、部隊そのものの補強が先決なんだろ!」
翠 「話は分かってます!ですから、ジョナサンにも率先して出てもらいます」
ジョナサン 「同時にノヴィス・ノアの動向も探ってきますよ。カナン」
カナン 「何か?」
ジョナサン 「先発で出てくれないか」
カナン 「また?」
ジョナサン 「いいだろ?」
カナン 「あぁ…了解」
クインシィ 「ジョナサン!迂闊ではないのか!?」
ジョナサン 「クインシィ・イッサーの不安も、一挙に解消してみせますよ」
カナン 「リクレイマーは、勇のことを敵と見なしている。オルファンのことしか考えない…」
ジョナサン 「カナンを見張っていれば、裏切り者は出てくるはずだ」
シラー 「はっ」
ジョナサン 「オルファンは伊佐未ファミリーの所有物じゃない。それを彼らも知るべきだな。
…はっ」
クインシィ 「なるほど。カナンを試す、というわけかい、ジョナサン?」
ジョナサン 「あぁ。ドクターたちにはプレートの加工をやっていただけますな?」
クインシィ 「やらせてます。あれはいいシールドになる」
ジョナサン 「では」
クインシィ 「うん」
比瑪 「クマゾー、こっち向いて」
クマゾー 「んん」
比瑪 「ほら、口を拭いて。
オルファンでは何を食べてた?」
勇 「人間どこにいたって、食べるものは変わるもんじゃない」
比瑪 「そうそう。直子おばあちゃんの畑のトマト!おいしかったねぇ?」
勇 「あれは昔から、ああして作ってんだ。コツあるしな」
比瑪 「ふぅーん。おばあちゃんに教えてもらったんだ?なのに、どうして今はおばあちゃんと話さないの?」
勇 「関係ないだろ」
比瑪 「でもさ…」
コモド 「こんな所にいた。ユウ・イサミ?私はコモド・マハマ。手短に言うわ。あなたのブレンパワード、あたしに譲ってくれない?」
勇 「何言ってんだかさ」
コモド 「あたしはパイロットよ!?だけどブレンパワードがなければ戦えない!」
勇 「俺だってオルファンを潰すために出てきたんだ。そっちの事情なんて知りたくもない」
コモド 「あなたは自分の勝手で戦うんでしょ!?あたしたちは違うわ!」
勇 「道具を頼りにするようでは、グランチャーは落とせないよ」
コモド 「あなたと戦って証明してみせましょうか!?」
比瑪 「コモド!あのブレンパワードは勇を認めているのよ!他の人が無理に乗ったら、どうなるかわからない!」
コモド 「私が認めさせるわ!」
勇 「誰かが来る!誰だ?」
カナン 「まだこんなところをウロウロして!勇!いるんでしょ?出といで!」
ノヴィスクルーA 「グランチャー1機、接近!」
アノーア 「1機だけだと?」
ノヴィスクルーA 「はい」
アノーア 「対空戦用意!」
ノヴィスクルーB 「全艦へ、対空戦用意!海中探査!」
アノーア 「たった1機で接近?」
勇 「うわっ!何すんだ!」
アカリ 「勇は動いちゃダメ!」
クマゾー 「うごくなっ」
勇 「グランチャーが来てんだろ!」
比瑪 「あなたには待機命令が出てるのよ!あたしたちに任せて!」
勇 「カナンが来たんじゃないのか?
ほら、分かったから!離れてくれよ!」
クマゾー 「くうぅ~」
勇 「信用されてないんだな」
アカリ 「そういうわけじゃないけど」
勇 「そうなんだよ」
カナン 「勇、いるのね?」
ナンガ 「敵が1機だけとは思えない。注意しろよ!…行けい!」
比瑪 「あのグランチャー!勇と一緒だった女の人のだ!勇を連れ戻しに来たんなら!」
カナン 「勇は出てきていない…はっ!」
勇 「っ…!」
カナン 「勇!」
勇 「カナンか?」
コモド 「何でなのさ!答えなさいよ!
…何でさ!」
コモド 「出るからね!」
デッキクルーA 「イランドじゃあ、グランチャーと接近戦なんかできねえぜ?」
コモド 「そんなの!」
デッキクルーA 「へっ、ヨルバの神様がグランチャーを知ってんのかよ?」
コモド 「オグンの神よ、この戦いの我を守りたまえ」
(アイキャッチ無し)
比瑪 「ひょっとしたら勇を取り返しに来たんでしょ!あなたは!」
ラッセ 「こっちのこともまったく分かってないで出てきたのか!あいつは!」
カナン 「あのときのブレンパワード!?あなたに会わなければ、勇もあたしも、迷うことなんてなかったのに!」
比瑪 「あぁっ!パワーではグランチャーにかなわない!?」
ナンガ 「比瑪!離れろ!」
比瑪 「え!?」
ナンガ 「コモド!こんな時にセレモニーはするな!右に回りこめ!」
コモド 「オグンよ!私は命を賭けて戦います!」
デッキクルーB 「上がってもお祈りをやりやがって!」
ヒギンズ 「同じアンチボディでも、グランチャーのほうがパワーがあるんじゃないの?」
勇 「カナン?カナン一人で来てるのか?」
ラッセ 「逃げたぞ?どういうつもりで来たんだ?」
アノーア 「どう思われますか?」
ゲイブリッジ 「偵察、というところだろうが、オルファン側の作戦とは思えないな」
アノーア 「ブレンパワードたちは帰投待機、イランド隊は偵察、散開させろ」
直子 「勇を、連れ戻しに来たんだわ」
ゲイブリッジ 「ああ、綺麗なもんです」
直子 「ええ。ありがとう」
ゲイブリッジ 「ああ。もっとも、あれが日本で見えるのは人類にとってあまりいいことではありませんが」
直子 「勇は大丈夫でしょうか」
ゲイブリッジ 「オルファン体験が心の傷になっても、ここにいてくれれば癒されますよ。直子さんの存在も大きいでしょうからね」
直子 「そうでしょうか。ふしだらなところを見せているような気がします」
ゲイブリッジ 「え?…初恋がふしだらですか?」
直子 「いえ…今でもここにその殿方がいらっしゃるのが…」
ゲイブリッジ 「若者たちは、わかってくれていると、思いたいのですがね」
比瑪 「勇!昼間のグランチャーのパイロッ…何!?」
アカリ
クマゾー 「~~~~~~~!!」
比瑪 「二人いるの…っね!?」
アカリ 「ぷはぁ!」
比瑪 「クマゾー!」
クマゾー 「ぅあぁぁ~~~」
勇 「頼む!どうしても、行かなければならないところがあるんだ!…よし!いい子だ!たいした奴だよ」
デッキクルーC 「あ?お、おい!な、何やってる!?」
デッキクルーD 「おい誰だ!降りろ!」
勇 「前より反応が早い…。ここの修理のおかげだってのか」
魚屋 「出血大サービスで半額だよぉ?」
主婦 「元が高けりゃあ、半値の意味なんかないよ?」
カナン 「へぇ…」
勇 「うかつに動くと面倒なことになるから、動くなよ?」
勇 「そこか?」
カナン 「勇、来てくれた…?」
カナン 「神殿の周りを清めるための鈴の音か…来てくれて嬉しかった」
勇 「オルファンにいたときに決めた落ち合い場所といったら、ここしかなかった」
カナン 「あぁ、その土地の神社…
勇が自意識を取り戻せば、あのご両親から逃げ出したいというのはわかるけれど、でもオルファンの目的は…」
勇 「オルファンの目的は分かってるさ。人間をみんな、自分に従うものにしちまう。ケイディを見ただろ?」
カナン 「それでも、あそこがあたしの見つけた、唯一の安らぎの場所なのよ
他のどこにいても、あたしは不安で仕方がなかったわ」
勇 「それはカナンのお母さんの不安だろ?カナンはカナンとして、生きる意志を持つべきだよ」
カナン 「そんなこと、できるわけないわ」
勇 「できる。俺は、そう考えたから行動した」
カナン 「あたしには、オルファン以外に生きる場所はないわ」
勇 「ノヴィス・ノアがある。あそこはカナンに合うと思う」
カナン 「あなたには?」
勇 「え?まだ…わからないな」
比瑪 「勇ったらこんなところで何やってんのよ」
勇 「リクレイマーの連中は遺伝子や記憶が全てだと言うけど、そうだったらなぜ俺たちは世代を重ねるんだ?」
カナン 「その間違いを、オルファンが正すのでしょう?」
勇 「違うよ。オルファンには何か…そう、とりあえずの呪縛のようなものがあるんだよ」
カナン 「とりあえずの…呪縛?」
勇 「カナンだってオルファンを離れてみればわかると思うな」
飲み屋の客 「ビールおかわり!」
飲み屋の親父 「へぇーい!」
比瑪 「…ったく!」
勇 「…あっ?」
比瑪 「何やってんの!?こんなことしてたら、あなたの立場が悪くなる一方よ!」
勇 「何が悪いんだよ?」
比瑪 「こんな美人とデートなんて!」
勇 「悪いかよ?」
カナン 「大事な話をしてるのよ。邪魔をしないでちょう…」
比瑪 「こっちも大事な話だわ!」
勇 「失礼だろ!」
比瑪 「何でさ!この人あんたの姉さんなの!?恋人かぁ?」
勇 「馬鹿言うな!」
カナン 「…あぁっ!?」
勇 「グランチャー!」
カナン 「シラーに尾けられていたの?」
比瑪 「あんたそういう女なんだ!?」
カナン 「うっ…」
シラー 「勇!カナン!隠れても無駄だよ!」
市民(男) 「うわぁー!」
市民(女) 「キャー!」
女の子 「ママぁ!ママぁー!」
比瑪 「勇!ここで戦っては駄目よ!」
勇 「シラーはそんなこと考える奴じゃない!」
カナン 「どういうつもりなの?シラー!」
シラー 「そっちこそ!裏切り者とコソコソ密談かい?」
カナン 「あたしは…勇を連れ戻したかっただけよ!」
シラー 「ユウ・イサミは邪魔なんだ!ジョナサンやあたしにはね!あんたも一緒に死んでもらうよ!」
カナン 「シラー!誤解しないで!」
勇 「カナン!オルファンに取り憑かれた奴は、ますますこうなると思わないか?…うっ!」
シラー 「くっ!」
カナン 「うぅっ!…パワー負けしているのは、気力のせい?」
カナン 「何なの、これ…拒否反応!?」
シラー 「グランチャーに見捨てられたね?カナンには、パイロットの資格もなけりゃあ、ましてオルファンの抗体にだってなれやしないのさ!」
カナン 「ううっ!」
勇 「カナン!」
勇 「邪魔するな!」
カナン 「うっ!ああっ!」
カナン 「ああっ!あっ!」
カナン 「ううっ…なぜ?なぜ助けてくれたの?」
比瑪 「あたしじゃなくて、この子が助けたの。あなたはリクレイマーじゃない、って言ってるわ」
カナン 「ブレンパワードが…はっ!右後ろ!」
シラー 「おまえも死にな!」
比瑪 「あっ!」
ナンガ 「どうやら間に合ったな!」
ラッセ 「比瑪はその女の人を助けりゃいい!」
比瑪 「ラッセ!ナンガ!」
シラー 「ちっ!2機も出てきた!引き揚げるぞ!」
勇 「行ってくれたか…カナン!」
勇 「カナン!大丈夫か!?」
カナン 「ありがとう、勇でもね…
勇。何が正しいのかわからないわ、あたしには…」
勇 「正しい正しくない以前に、考えなくちゃいけないことがある。世代を重ねる、意味という奴をね」
カナン 「母のことをすべて自分の身に置き換えて、傷を深くする必要はない、っていうこと…?」
勇 「そういうこともあるけど…」
比瑪 「何話してんだか…」
勇 「俺は今、とっても嬉しいんだ。カナンと戦わずに済んでさ!」
カナン 「そりゃそう…そりゃああたしだってそうよ!勇!」
第04話「故郷の炎」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106132014562779/
→第06話「ダブル・リバイバル」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201008132238495308/
ブレンパワード 全台詞集 第04話「故郷の炎」
2011年6月13日 ブレンパワード全台詞集脚本:隅沢克之 絵コンテ:西森章 演出:小林智樹 作画監督:津幡住明
比瑪
(ナレーション) 「伊佐未勇は、あたしの家の近くでブレンを使って見せてくれた。けど、オルファンでつきあいのあった人が追いかけてきたから、いろいろあったみたい。
ひだまりの館を泥津波から守ってくれたのには感謝するけど」
国連軍 「よーし、行ってくれ。
サンキューベリーマッチ、ブレンパワード!」
ナンガ 「どういたしまして!」
比瑪 「じゃあ、みんな避難できたのね」
かえで先生 「みっちゃんの怪我が心配だけどね」
比瑪 「ごちそうさま」
かえで先生 「人参がなくって、ごめんね」
比瑪 「美味しかったわ」
ラッセ 「ごちそうさまー」
かえで先生 「お身体に気を付けて」
ナンガ 「比瑪ちゃんのママか。どうしたんだ?」
ラッセ 「豚汁だ。惜しかったな」
ナンガ 「豚汁?なんだい?豚汁?」
比瑪 「ポーク入りのベジタブルスープ」
ナンガ 「ポーク?何で教えてくれなかったんだよ?」
ラッセ 「国では食べるのか?」
ナンガ 「食べるさ!津波の片付けで働いてるんだから、そういうのは欲しいよなぁ」
比瑪 「かえで先生、仕事の邪魔したくなかったのよ。
でもあの子は取りにも来なかった」
ナンガ 「アンチボディの戦闘しか考えてないリクレイマーか」
勇 「こうやって食べていられるのも、おまえが元気でいるからだ。ありがとな」
ナンガ 「一人で戦うのに拘ってるのは近親憎悪ってやつかね?」
ラッセ 「単純に一人で出来る、って思ってるんじゃないの?」
比瑪 「甘えん坊とか寂しがり屋の反動かも、って見えるけど?」
勇 「だけど・・・」
勇(回想) 「チャクラ・エクステンション!」
勇 「俺とおまえだけで戦うんだぞ・・・!」
比瑪 「待ちなさい勇!その子はまだ疲れているわ!うっ!・・・もう!」
ラッセ 「敵を求めて幾千里かい?」
ナンガ 「面倒みきれんぞ・・・」
比瑪 「あいつったら!」
研究員 「あれ?ブレンパワードだ・・・」
勇 「迂闊だったよなぁ。
ビー・プレートのデータっていうのを盗んでおけば良かったよな」
アノーア 「グランチャーを撃墜したという事は、ノヴィス・ノアのブレンパワード部隊の初陣としては評価出来るものです」
ゲイブリッジ 「お孫さんが活躍した様子ですな」
直子 「比瑪ちゃんでしょう?それに、ナンガさんもラッセさんも良いパイロットになりましたから」
アノーア 「ふう・・・・・なんだ?」
ノヴィス・クルー 「移動するアンチボディのオーガニック・エナジーを捉えました」
アノーア 「グランチャーか?」
ノヴィス・クルー 「ウェーブ特性からはブレンパワードのものです。現在西東京方面に移動中」
アノーア 「分かった。すぐブリッジに行く。
おそらく、伊佐未勇君だと思われますが。お心当たりは?」
直子 「家に帰るつもりかしら?」
アノーア 「家?」
ゲイブリッジ 「考えられるな。あそこは良い土だった。野菜の味は良かったし、ここまで来るなら勇君だって帰る気にはなる」
カナン 「カナン・ギモス、グランチャー搭乗記録D0728。プレート回収作業はケイディ・ディンと行う。妨害無し。周囲は静か。
これより私は伊佐未博士の特命任務に就く。ケイディはプレートと共に待機」
ケイディ 「グランチャーで行かないのか?」
カナン 「爆撃に行くわけじゃないわ」
ケイディ 「ノヴィス・ノアのブレンパワードが来るかもしれない!」
カナン 「そうなったら、教えてね」
ケイディ 「クインシィが言っていた通りだ。カナンは伊佐未勇みたいにブレンパワードに汚染されている可能性がある」
カナン 「私は、何を期待しているのかしら」
勇 「こんな所にカナンのグランチャーだって?それにケイディが付いてるのか?」
ケイディ 「今確かにブレンパワードの反応があったが、ノヴィス・ノアのものか勇の野郎だったのか分かりゃあしねえ!まるっきりデータが無いとよぉ!」
勇 「誰のバイクだ?」
勇 「カナンが敵になっちゃうのは、勘弁してほしいな」
カナン 「チェストの棚の下・・・ですか?」
翠 「あまりに古典的な隠し方というのは見つかり難いし、見つかっても・・・今更ね」
カナン 「了解しました。あの・・・」
翠 「はい?」
カナン 「着物は持って来なくて宜しいんでしょうか?」
翠 「気に入った着物があれば、あげますよ」
カナン 「は、はい」
カナン 「伊佐未翠博士には母親の香りは感じない。でも、この伝統的な衣装には、女性の体を包んでいたものがある。女の体を包んでいたもの・・・」
男 「その腹の子は俺の子じゃないんだろう!?堕ろせ!」
女 「なんでそう思うんです!?神賭けてお腹の子はあなたの子です!」
男 「分かるもんか!てめえの・・・」
女 「臨月なんです!もう生まれてくるんです!」
カナン 「ひ、酷いよ。母さん・・・あたしは、誰にも愛されていなかった。そ、そうよ・・・生まれる前から、ずっと・・・」
勇 「ここら辺は7年前と同じだ」
民間人A 「今年の・・・は解禁しないってよ」
民間人B 「何で?それって理事長の我侭なんでしょ?」
勇 「ああっ!?」
カナン 「勇!?」
勇 「カナンじゃないか!どうしてこんな所に?」
勇 「俺の家に用事があったんだ」
カナン 「違うわよ。この辺りにもプレート反応があったから、探していただけよ」
勇 「そうなのか・・・?ふぅ」
カナン 「でも、あなたに会えるような気はしていたわ」
勇 「カナン、オルファンを捨ててくれないか?」
カナン 「出来るわけないでしょ!・・・出来ないわ」
勇 「シラーもジョナサンもクインシィに親父にお袋・・・カナンもだけど。みんなオルファンに寄り掛っている。それでは子供のままじゃないか!」
カナン 「思い通りにならないからってお家を飛び出してしまうほうが、ずっと子供だって思わない?」
勇 「俺はオルファンの間違いに気が付いたんだ。オルファンでは選ばれた人間だけが生き残れるって教えられた。オルファンに呼ばれたリクレイマーだけが生き残るって。それってさ、絶対間違ってるよ!」
勇 「俺さ、ブレンパワードに乗った時に分かったんだ。オルファンではちゃんと動かなかったあれさ。動いてくれたんだぜ!」
カナン 「ケイディ、こちらカナン。迎えに来て」
ケイディ 「了解。近くにブレンらしいものをキャッチしたけどな、何か変わった事はないか?」
カナン 「まだ何もないけど・・・勇なら会ってみたいわね」
ケイディ 「ああ。勇を捕らえれば、伊佐未博士もお喜びになる」
カナン 「早く来て!」
ケイディ 「了解。1分後に」
カナン 「30秒よ。それ以上待てないわ」
aaaa 「カナン!」
カナン 「逃げるなら、今のうちよ」
勇 「カナン聞いてくれ!」
カナン 「あたしは!あなたと違って帰る場所はオルファンにしかないのよ!さぁ、行きなさい」
勇 「カナン・・・うっ!」
カナン 「これ以上あなたと一緒にいたら、あたしは帰る場所を無くしてしまうわ!」
カナン 「さよなら、勇」
勇 「ばあちゃん、1ヵ月はほったらかしてるぞ」
勇 「碌な物ねぇな」
勇 「カードがあっても・・・マシンが無けりゃあな」
ケイディ 「ふふふっ。だからさ、俺は嫌だって言ったろ?」
カナン 「伊佐未翠博士のカードも回収した。プレートも運び出せるのに」
ケイディ 「村の連中に大騒ぎされながらおまえを回収したんだぜ。なんであんなに慌てて俺を呼んだ?何があった?」
カナン 「何がって・・・」
ケイディ 「伊佐未勇に会った!」
カナン 「冗談言わないで!」
ケイディ 「はっはっはっは!そんなのはいいんだ。こうやって戻ってきたんだからな」
カナン 「なら戻りましょう」
ケイディ 「嫌だ。勇の機体らしいのが一機。それに、ノヴィス・ノアのアンチボディも動いているってんだ。チャンスじゃねえか、撃墜するんだよ!ノヴィス・ノアなんてわけの分からん連中の寄せ集まりなんだ!ブレンパワードなんて元々機能不良のアンチボディなんだぞ!」
カナン 「オルファンではね・・・」
ケイディ 「生身で勇と会えば迷っちゃうのはよーく分かるぜカナン。だからブレンパワードを倒す!そうすりゃ勇の事なんてバッサリ忘れられるってもんさ!」
カナン 「ケイディはグランチャーの抗体、つまりパイロットになってどんな気分?」
ケイディ 「体に芯が通るって感じだな」
カナン 「あたし時々すごく気分が悪くなる、瞬間があるわ」
ケイディ 「カナンはグランチャーの抗体になり切れないか。ならオルファン付きのリクレイマーになりゃあ良い!」
カナン 「そうね・・・」
ケイディ 「グランチャー部隊の目的は浮上するオルファンをあらゆる敵から守る事なんだ。勇がブレンを使ってみせたとなりゃ、ノヴィス・ノアのブレンパワードだって動きが悪いうちに撃破しておかなくちゃあ、人類の未来は無くなっちまう」
カナン 「ケイディはアンチボディね」
ケイディ 「ああ!グランチャーとオルファンのな!」
カナン 「素敵、ね」
勇 「ふぅ・・・これは20年前の日記かよ。うんと、このインデックスは大学時代のノートで、ビー・プレートの研究時代ってのは、もっと後だもんな。・・・ふぁぁぁ」
(アイキャッチ無し)
ナンガ 「この家かい?」
比瑪 「ええ、一年振りだわ!」
ナンガ 「ゲイブリッジ司令の恋人の家ねぇ」
ラッセ 「追っ付け、焼けぼっくりの二人も来るぜ。火傷しないように気を付けよう」
比瑪 「何言ってるの?二人とも!」
ナンガ 「子供が口を挟むこっちゃない」
ナンガ 「今時こんな雑草取りをするとはねぇ」
ラッセ 「DNAファームなら虫も付かないし、雑草も生えないもんな」
ナンガ 「ああ、俺は何であいつがオルファンから逃げだしたか分かったような気がするなぁ」
ラッセ 「何でだよ?」
ナンガ 「2、3ヶ月前まではちゃんと畑をやってた所だ。奴は直子さんのこんな仕事を見て育った・・・」
比瑪 「そういえば向こうのトマト畑の雑草は取ってあったわね」
ラッセ 「という事は家の中にいるのか。ブレンは見えなかったぞ」
ナンガ 「ここは奴のホームグラウンドだぜ?」
比瑪 「こんな所で、こんな家と畑が好きだったのよ。勇って子は」
ナンガ 「ああ。そういう奴が海中にいてグランチャーの強制に従うなんて無理な話だ」
比瑪 「ならノヴィス・ノアに来てはくれないわね」
ナンガ 「まあな。ノヴィス・ノアはDNA操作と有機培養の塊で・・・」
ラッセ 「あげくに、世界中の官僚共にコントロールされてるんだものなあ」
ナンガ 「襲われるぞ」
比瑪 「良いもん!
ここは直子おばあちゃんの家よ」
比瑪 「何だ?」
比瑪 「綺麗!うわぁ!これって直子おばあちゃんが着たの?それとも勇のお母さんかな?姉さんのかな?」
ラッセ 「比瑪!勇は2階だ!」
比瑪 「は、はい!」
ナンガ 「おい!恋人達も来たぞ!」
勇 「うっ・・・」
比瑪 「可愛い寝顔」
勇 「ああっ!・・・あっ、うああ!」
勇 「あ痛ぅー。あっ?」
直子 「勇?」
ラッセ 「どうしたんです?」
ゲイブリッジ 「何でもない」
勇 「ば、ばあちゃん!」
直子 「い、痛くないかい?」
勇 「こんなのどうって事ないさ」
直子 「大きくなって・・・」
勇 「ゲイブリッジさん?」
ゲイブリッジ 「ん」
直子 「知っているの?」
勇 「ノヴィス・ノアの情報は大雑把に聞いている。ばあちゃんの事も分かってたから・・・・・」
勇 「会いたくってさぁ!」
直子 「おかえり、勇」
ゲイブリッジ 「・・・・・ん!?」
勇 「なんだ?」
比瑪 「ナンガ!
・・・あっ!」
ラッセ 「やりやがったな!」
ナンガ 「アンチボディはどこだ!?」
比瑪 「ブレンに乗るわ!」
ラッセ 「おう!」
直子 「勇!」
勇 「ズボンだ!」
ゲイブリッジ 「直子さん、ここは危険だ!」
直子 「は、はい!」
比瑪 「どこから?」
ナンガ 「何機なんだ!?」
ラッセ 「山の向こうから狙ったのか?」
勇 「カナンか?」
比瑪 「ブレン!」
ケイディ 「勇のブレンじゃないのか?ノヴィス・ノアのか?
カナン!一機じゃないぞ!・・・ん?何だと!?」
比瑪 「後ろを取られた?」
カナン 「この子、あのブレンパワード!」
比瑪 「あの人、迷ってくれている?」
カナン 「去年東京で会ったブレンパワード?」
ケイディ 「カナン!援護してくれ!」
カナン 「え!?」
比瑪 「あ、あなた!」
勇 「カナン!」
カナン 「ゆ、勇?」
勇 「カナン!オルファンに頼っている限り、幸せになんかなれないぞ!」
カナン 「あたしは・・・あたしは只、生まれてきた事を後悔したくないだけ!」
勇 「だったら!尚更オルファンから離れなくちゃ駄目だ!」
ケイディ 「カナン!」
カナン 「え?」
ケイディ 「ブレンパワードに汚染されている者の言葉など、聞く事はない!」
カナン 「あうっ!」
勇 「カナンは、誰からも愛されていないって思い込まされてるんだ!」
カナン 「あたしは、生まれる前から愛されてなかった!」
勇 「見つけりゃいい!自分で育てればいい!愛ってそういう・・・」
ケイディ 「聞えている!汚染された者の戯言が!」
ケイディ 「ブレンを動かした貴様は死ぬんだよ!」
勇 「カナンを巻き込もうとしたな!ケイディ!」
カナン 「勇?」
ケイディ 「オルファンには全生命を治める力がある、絶対者だ!その絶対者を守る使命を与えられたリクレイマーは、間違いを犯す事が無い者だぁ!」
勇 「救われなかった者も選ばれなかった者も、救えるのが絶対者だ!リクレイマーはオルファンの使いじゃない!」
ケイディ 「リクレイマーはオルファンを目覚めさせた!オルファンを守った!」
勇 「勝手な言い草ぁ!・・・・・あいつ等!?」
ラッセ 「うおおおお!」
ナンガ 「ラッセ!大丈夫か!・・・ん?」
ケイディ 「勝手なのは人類のほうだ!地球を荒しきった!」
勇 「絶対者なら、それをまるごと救えるはずだ!」
ケイディ 「どういう事だ、カナン?ブレンパワードがグランチャー並のパワーを発揮している!」
カナン 「勇の生体エナジーが復活させた?なら今はケイディ・・・・・はっ!ケイディ!」
ケイディ 「下がるにしても!」
勇 「あいつぅぅ!」
勇 「カナン!避けろ!」
カナン 「勇?」
勇 「やれた?」
ケイディ 「ブレンか?勇なのか?ブレンパワードがやったというのか!?何でだよぉ!!」
比瑪 「つ、強い!」
ナンガ 「もう一機はどこだ!」
比瑪 「えっ?」
勇 「ケイディの奴・・・もう少し、もう少し何とか・・・カナンだって!」
ラッセ 「見ちまったぜ。グランチャー乗りがブレンパワードを使うとああなるのか!」
ナンガ 「減らず口を叩くのも分かったが、それにしちゃビビっているようだな」
比瑪 「あいつ、ナーバスなんだ・・・」
勇 「あの時・・・カナンに相談してる暇なんか、無かったじゃないか!」
カナン 「ブレンに乗って、勇は強くなっていく。あたしはこのまま・・・このまま?・・・・・・また、頭痛が来た」
勇 「学生時代の恋人かよ」
直子 「覚悟してましたけど・・・」
比瑪 「ねえ、ノヴィス・ノアに来なよ!」
勇 「今は考える時間が欲しいんだ」
第03話「勇の戦い」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106082206399517/
→第05話「敵か味方か」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106221913073141/
比瑪
(ナレーション) 「伊佐未勇は、あたしの家の近くでブレンを使って見せてくれた。けど、オルファンでつきあいのあった人が追いかけてきたから、いろいろあったみたい。
ひだまりの館を泥津波から守ってくれたのには感謝するけど」
国連軍 「よーし、行ってくれ。
サンキューベリーマッチ、ブレンパワード!」
ナンガ 「どういたしまして!」
比瑪 「じゃあ、みんな避難できたのね」
かえで先生 「みっちゃんの怪我が心配だけどね」
比瑪 「ごちそうさま」
かえで先生 「人参がなくって、ごめんね」
比瑪 「美味しかったわ」
ラッセ 「ごちそうさまー」
かえで先生 「お身体に気を付けて」
ナンガ 「比瑪ちゃんのママか。どうしたんだ?」
ラッセ 「豚汁だ。惜しかったな」
ナンガ 「豚汁?なんだい?豚汁?」
比瑪 「ポーク入りのベジタブルスープ」
ナンガ 「ポーク?何で教えてくれなかったんだよ?」
ラッセ 「国では食べるのか?」
ナンガ 「食べるさ!津波の片付けで働いてるんだから、そういうのは欲しいよなぁ」
比瑪 「かえで先生、仕事の邪魔したくなかったのよ。
でもあの子は取りにも来なかった」
ナンガ 「アンチボディの戦闘しか考えてないリクレイマーか」
勇 「こうやって食べていられるのも、おまえが元気でいるからだ。ありがとな」
ナンガ 「一人で戦うのに拘ってるのは近親憎悪ってやつかね?」
ラッセ 「単純に一人で出来る、って思ってるんじゃないの?」
比瑪 「甘えん坊とか寂しがり屋の反動かも、って見えるけど?」
勇 「だけど・・・」
勇(回想) 「チャクラ・エクステンション!」
勇 「俺とおまえだけで戦うんだぞ・・・!」
比瑪 「待ちなさい勇!その子はまだ疲れているわ!うっ!・・・もう!」
ラッセ 「敵を求めて幾千里かい?」
ナンガ 「面倒みきれんぞ・・・」
比瑪 「あいつったら!」
研究員 「あれ?ブレンパワードだ・・・」
勇 「迂闊だったよなぁ。
ビー・プレートのデータっていうのを盗んでおけば良かったよな」
アノーア 「グランチャーを撃墜したという事は、ノヴィス・ノアのブレンパワード部隊の初陣としては評価出来るものです」
ゲイブリッジ 「お孫さんが活躍した様子ですな」
直子 「比瑪ちゃんでしょう?それに、ナンガさんもラッセさんも良いパイロットになりましたから」
アノーア 「ふう・・・・・なんだ?」
ノヴィス・クルー 「移動するアンチボディのオーガニック・エナジーを捉えました」
アノーア 「グランチャーか?」
ノヴィス・クルー 「ウェーブ特性からはブレンパワードのものです。現在西東京方面に移動中」
アノーア 「分かった。すぐブリッジに行く。
おそらく、伊佐未勇君だと思われますが。お心当たりは?」
直子 「家に帰るつもりかしら?」
アノーア 「家?」
ゲイブリッジ 「考えられるな。あそこは良い土だった。野菜の味は良かったし、ここまで来るなら勇君だって帰る気にはなる」
カナン 「カナン・ギモス、グランチャー搭乗記録D0728。プレート回収作業はケイディ・ディンと行う。妨害無し。周囲は静か。
これより私は伊佐未博士の特命任務に就く。ケイディはプレートと共に待機」
ケイディ 「グランチャーで行かないのか?」
カナン 「爆撃に行くわけじゃないわ」
ケイディ 「ノヴィス・ノアのブレンパワードが来るかもしれない!」
カナン 「そうなったら、教えてね」
ケイディ 「クインシィが言っていた通りだ。カナンは伊佐未勇みたいにブレンパワードに汚染されている可能性がある」
カナン 「私は、何を期待しているのかしら」
勇 「こんな所にカナンのグランチャーだって?それにケイディが付いてるのか?」
ケイディ 「今確かにブレンパワードの反応があったが、ノヴィス・ノアのものか勇の野郎だったのか分かりゃあしねえ!まるっきりデータが無いとよぉ!」
勇 「誰のバイクだ?」
勇 「カナンが敵になっちゃうのは、勘弁してほしいな」
カナン 「チェストの棚の下・・・ですか?」
翠 「あまりに古典的な隠し方というのは見つかり難いし、見つかっても・・・今更ね」
カナン 「了解しました。あの・・・」
翠 「はい?」
カナン 「着物は持って来なくて宜しいんでしょうか?」
翠 「気に入った着物があれば、あげますよ」
カナン 「は、はい」
カナン 「伊佐未翠博士には母親の香りは感じない。でも、この伝統的な衣装には、女性の体を包んでいたものがある。女の体を包んでいたもの・・・」
男 「その腹の子は俺の子じゃないんだろう!?堕ろせ!」
女 「なんでそう思うんです!?神賭けてお腹の子はあなたの子です!」
男 「分かるもんか!てめえの・・・」
女 「臨月なんです!もう生まれてくるんです!」
カナン 「ひ、酷いよ。母さん・・・あたしは、誰にも愛されていなかった。そ、そうよ・・・生まれる前から、ずっと・・・」
勇 「ここら辺は7年前と同じだ」
民間人A 「今年の・・・は解禁しないってよ」
民間人B 「何で?それって理事長の我侭なんでしょ?」
勇 「ああっ!?」
カナン 「勇!?」
勇 「カナンじゃないか!どうしてこんな所に?」
勇 「俺の家に用事があったんだ」
カナン 「違うわよ。この辺りにもプレート反応があったから、探していただけよ」
勇 「そうなのか・・・?ふぅ」
カナン 「でも、あなたに会えるような気はしていたわ」
勇 「カナン、オルファンを捨ててくれないか?」
カナン 「出来るわけないでしょ!・・・出来ないわ」
勇 「シラーもジョナサンもクインシィに親父にお袋・・・カナンもだけど。みんなオルファンに寄り掛っている。それでは子供のままじゃないか!」
カナン 「思い通りにならないからってお家を飛び出してしまうほうが、ずっと子供だって思わない?」
勇 「俺はオルファンの間違いに気が付いたんだ。オルファンでは選ばれた人間だけが生き残れるって教えられた。オルファンに呼ばれたリクレイマーだけが生き残るって。それってさ、絶対間違ってるよ!」
勇 「俺さ、ブレンパワードに乗った時に分かったんだ。オルファンではちゃんと動かなかったあれさ。動いてくれたんだぜ!」
カナン 「ケイディ、こちらカナン。迎えに来て」
ケイディ 「了解。近くにブレンらしいものをキャッチしたけどな、何か変わった事はないか?」
カナン 「まだ何もないけど・・・勇なら会ってみたいわね」
ケイディ 「ああ。勇を捕らえれば、伊佐未博士もお喜びになる」
カナン 「早く来て!」
ケイディ 「了解。1分後に」
カナン 「30秒よ。それ以上待てないわ」
aaaa 「カナン!」
カナン 「逃げるなら、今のうちよ」
勇 「カナン聞いてくれ!」
カナン 「あたしは!あなたと違って帰る場所はオルファンにしかないのよ!さぁ、行きなさい」
勇 「カナン・・・うっ!」
カナン 「これ以上あなたと一緒にいたら、あたしは帰る場所を無くしてしまうわ!」
カナン 「さよなら、勇」
勇 「ばあちゃん、1ヵ月はほったらかしてるぞ」
勇 「碌な物ねぇな」
勇 「カードがあっても・・・マシンが無けりゃあな」
ケイディ 「ふふふっ。だからさ、俺は嫌だって言ったろ?」
カナン 「伊佐未翠博士のカードも回収した。プレートも運び出せるのに」
ケイディ 「村の連中に大騒ぎされながらおまえを回収したんだぜ。なんであんなに慌てて俺を呼んだ?何があった?」
カナン 「何がって・・・」
ケイディ 「伊佐未勇に会った!」
カナン 「冗談言わないで!」
ケイディ 「はっはっはっは!そんなのはいいんだ。こうやって戻ってきたんだからな」
カナン 「なら戻りましょう」
ケイディ 「嫌だ。勇の機体らしいのが一機。それに、ノヴィス・ノアのアンチボディも動いているってんだ。チャンスじゃねえか、撃墜するんだよ!ノヴィス・ノアなんてわけの分からん連中の寄せ集まりなんだ!ブレンパワードなんて元々機能不良のアンチボディなんだぞ!」
カナン 「オルファンではね・・・」
ケイディ 「生身で勇と会えば迷っちゃうのはよーく分かるぜカナン。だからブレンパワードを倒す!そうすりゃ勇の事なんてバッサリ忘れられるってもんさ!」
カナン 「ケイディはグランチャーの抗体、つまりパイロットになってどんな気分?」
ケイディ 「体に芯が通るって感じだな」
カナン 「あたし時々すごく気分が悪くなる、瞬間があるわ」
ケイディ 「カナンはグランチャーの抗体になり切れないか。ならオルファン付きのリクレイマーになりゃあ良い!」
カナン 「そうね・・・」
ケイディ 「グランチャー部隊の目的は浮上するオルファンをあらゆる敵から守る事なんだ。勇がブレンを使ってみせたとなりゃ、ノヴィス・ノアのブレンパワードだって動きが悪いうちに撃破しておかなくちゃあ、人類の未来は無くなっちまう」
カナン 「ケイディはアンチボディね」
ケイディ 「ああ!グランチャーとオルファンのな!」
カナン 「素敵、ね」
勇 「ふぅ・・・これは20年前の日記かよ。うんと、このインデックスは大学時代のノートで、ビー・プレートの研究時代ってのは、もっと後だもんな。・・・ふぁぁぁ」
(アイキャッチ無し)
ナンガ 「この家かい?」
比瑪 「ええ、一年振りだわ!」
ナンガ 「ゲイブリッジ司令の恋人の家ねぇ」
ラッセ 「追っ付け、焼けぼっくりの二人も来るぜ。火傷しないように気を付けよう」
比瑪 「何言ってるの?二人とも!」
ナンガ 「子供が口を挟むこっちゃない」
ナンガ 「今時こんな雑草取りをするとはねぇ」
ラッセ 「DNAファームなら虫も付かないし、雑草も生えないもんな」
ナンガ 「ああ、俺は何であいつがオルファンから逃げだしたか分かったような気がするなぁ」
ラッセ 「何でだよ?」
ナンガ 「2、3ヶ月前まではちゃんと畑をやってた所だ。奴は直子さんのこんな仕事を見て育った・・・」
比瑪 「そういえば向こうのトマト畑の雑草は取ってあったわね」
ラッセ 「という事は家の中にいるのか。ブレンは見えなかったぞ」
ナンガ 「ここは奴のホームグラウンドだぜ?」
比瑪 「こんな所で、こんな家と畑が好きだったのよ。勇って子は」
ナンガ 「ああ。そういう奴が海中にいてグランチャーの強制に従うなんて無理な話だ」
比瑪 「ならノヴィス・ノアに来てはくれないわね」
ナンガ 「まあな。ノヴィス・ノアはDNA操作と有機培養の塊で・・・」
ラッセ 「あげくに、世界中の官僚共にコントロールされてるんだものなあ」
ナンガ 「襲われるぞ」
比瑪 「良いもん!
ここは直子おばあちゃんの家よ」
比瑪 「何だ?」
比瑪 「綺麗!うわぁ!これって直子おばあちゃんが着たの?それとも勇のお母さんかな?姉さんのかな?」
ラッセ 「比瑪!勇は2階だ!」
比瑪 「は、はい!」
ナンガ 「おい!恋人達も来たぞ!」
勇 「うっ・・・」
比瑪 「可愛い寝顔」
勇 「ああっ!・・・あっ、うああ!」
勇 「あ痛ぅー。あっ?」
直子 「勇?」
ラッセ 「どうしたんです?」
ゲイブリッジ 「何でもない」
勇 「ば、ばあちゃん!」
直子 「い、痛くないかい?」
勇 「こんなのどうって事ないさ」
直子 「大きくなって・・・」
勇 「ゲイブリッジさん?」
ゲイブリッジ 「ん」
直子 「知っているの?」
勇 「ノヴィス・ノアの情報は大雑把に聞いている。ばあちゃんの事も分かってたから・・・・・」
勇 「会いたくってさぁ!」
直子 「おかえり、勇」
ゲイブリッジ 「・・・・・ん!?」
勇 「なんだ?」
比瑪 「ナンガ!
・・・あっ!」
ラッセ 「やりやがったな!」
ナンガ 「アンチボディはどこだ!?」
比瑪 「ブレンに乗るわ!」
ラッセ 「おう!」
直子 「勇!」
勇 「ズボンだ!」
ゲイブリッジ 「直子さん、ここは危険だ!」
直子 「は、はい!」
比瑪 「どこから?」
ナンガ 「何機なんだ!?」
ラッセ 「山の向こうから狙ったのか?」
勇 「カナンか?」
比瑪 「ブレン!」
ケイディ 「勇のブレンじゃないのか?ノヴィス・ノアのか?
カナン!一機じゃないぞ!・・・ん?何だと!?」
比瑪 「後ろを取られた?」
カナン 「この子、あのブレンパワード!」
比瑪 「あの人、迷ってくれている?」
カナン 「去年東京で会ったブレンパワード?」
ケイディ 「カナン!援護してくれ!」
カナン 「え!?」
比瑪 「あ、あなた!」
勇 「カナン!」
カナン 「ゆ、勇?」
勇 「カナン!オルファンに頼っている限り、幸せになんかなれないぞ!」
カナン 「あたしは・・・あたしは只、生まれてきた事を後悔したくないだけ!」
勇 「だったら!尚更オルファンから離れなくちゃ駄目だ!」
ケイディ 「カナン!」
カナン 「え?」
ケイディ 「ブレンパワードに汚染されている者の言葉など、聞く事はない!」
カナン 「あうっ!」
勇 「カナンは、誰からも愛されていないって思い込まされてるんだ!」
カナン 「あたしは、生まれる前から愛されてなかった!」
勇 「見つけりゃいい!自分で育てればいい!愛ってそういう・・・」
ケイディ 「聞えている!汚染された者の戯言が!」
ケイディ 「ブレンを動かした貴様は死ぬんだよ!」
勇 「カナンを巻き込もうとしたな!ケイディ!」
カナン 「勇?」
ケイディ 「オルファンには全生命を治める力がある、絶対者だ!その絶対者を守る使命を与えられたリクレイマーは、間違いを犯す事が無い者だぁ!」
勇 「救われなかった者も選ばれなかった者も、救えるのが絶対者だ!リクレイマーはオルファンの使いじゃない!」
ケイディ 「リクレイマーはオルファンを目覚めさせた!オルファンを守った!」
勇 「勝手な言い草ぁ!・・・・・あいつ等!?」
ラッセ 「うおおおお!」
ナンガ 「ラッセ!大丈夫か!・・・ん?」
ケイディ 「勝手なのは人類のほうだ!地球を荒しきった!」
勇 「絶対者なら、それをまるごと救えるはずだ!」
ケイディ 「どういう事だ、カナン?ブレンパワードがグランチャー並のパワーを発揮している!」
カナン 「勇の生体エナジーが復活させた?なら今はケイディ・・・・・はっ!ケイディ!」
ケイディ 「下がるにしても!」
勇 「あいつぅぅ!」
勇 「カナン!避けろ!」
カナン 「勇?」
勇 「やれた?」
ケイディ 「ブレンか?勇なのか?ブレンパワードがやったというのか!?何でだよぉ!!」
比瑪 「つ、強い!」
ナンガ 「もう一機はどこだ!」
比瑪 「えっ?」
勇 「ケイディの奴・・・もう少し、もう少し何とか・・・カナンだって!」
ラッセ 「見ちまったぜ。グランチャー乗りがブレンパワードを使うとああなるのか!」
ナンガ 「減らず口を叩くのも分かったが、それにしちゃビビっているようだな」
比瑪 「あいつ、ナーバスなんだ・・・」
勇 「あの時・・・カナンに相談してる暇なんか、無かったじゃないか!」
カナン 「ブレンに乗って、勇は強くなっていく。あたしはこのまま・・・このまま?・・・・・・また、頭痛が来た」
勇 「学生時代の恋人かよ」
直子 「覚悟してましたけど・・・」
比瑪 「ねえ、ノヴィス・ノアに来なよ!」
勇 「今は考える時間が欲しいんだ」
第03話「勇の戦い」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106082206399517/
→第05話「敵か味方か」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106221913073141/
ブレンパワード 全台詞集 第03話「勇の戦い」
2011年6月8日 ブレンパワード全台詞集脚本:富野由悠季・浅川美也 絵コンテ:斧谷稔 演出:渡邊哲哉 作画監督:重田敦司
比瑪
(ナレーション) 「伊佐未勇という子と出会ったとき彼はひとりではなかった。
同じブレンパワードといったって、あたしのとも違っていた。
オルファンから逃げ出してきた男の子なんて、合うわけないって。それが実感」
アイリーン 「消耗していないのは流石ね」
比瑪 「分かります?」
アイリーン 「芯に疲れが残っているわ。良いわよ」
比瑪 「はい」
アイリーン 「無駄な力を抜く事を憶えないとね」
比瑪 「そうですね」
デッキクルー 「分かっているな?実戦になるかもしれないんだぞ!
ブレンに何かあったら逃げりゃあ良い!」
アイリーン 「ナンガとラッセなら大丈夫よ」
比瑪 「分かってます」
アイリーン 「なら、何考えていたの?」
比瑪 「他のブレンパワードと会ったんですよ」
アイリーン 「オルファンにいた機体なんでしょう?」
比瑪 「そうみたいです。でも一緒に戦ったんです」
アイリーン 「1つ仕事が終わったんだから今は何も考えずに、おやすみなさい」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん」
アカリ 「ご飯だよ」
クマゾー 「ごはーん」
アイリーン 「ご苦労様」
比瑪 「ありがとう」
ラッセ 「ラッセ着席。ナンガ!急げよ!」
ナンガ 「急がせるとご機嫌が悪くなるんだよ。よーしよし、怖くなんかないぞぉ」
ラッセ 「オールセット」
ノヴィスクルー 「オーガニック・エンジン、熱量定数出ています」
アノーア 「ナンガ機ラッセ機、発進!」
副長 「地震感知!高波がきます!」
アノーア 「震源地はオルファンか?」
副長 「はい」
アノーア 「ナンガ・ラッセは予定通りに!」
デッキクルー 「おーし!」
ナンガ 「ほーら、おまえは俺の手と足になってくれてるだろう?
案山子のラッセに負けたら、恥かしいぞお。ナンガ・ブレン、俺の兄弟。・・・うおっ」
ラッセ 「そっちじゃないぜ、ナンガ」
桑原 「何言ってるんです?あのブレンパワード?」
源野 「原子力発電のほうの電力も回せって言ってるんでしょう?
・・・駄目駄目!発信機はそのまま!」
作業員 「ええ?山の上に運ばないんですか?」
源野 「アンチボディが一人でやるわよ!」
かえで先生 「今日はトラックが一台だけなんですって。
だから今日はお体がイタイイタイの人だけねー」
子供 「あいつ知らん顔してる!」
源野 「ふあーあ」
桑原 「この辺りの市町村の電力を全部よこせなど無茶な話よ」
源野 「あの子は」
桑原 「本当に伊佐未翠さんの子供なのか?」
源野 「悔しいんですか?」
桑原 「な、なんでだよ!?」
源野 「研作博士は若い時から醜男だって言ってたじゃないですか」
桑原 「そんな事言うわけ無いじゃないか!」
勇 「グランチャーってのは」
桑原 「ん?」
勇 「ブレンパワードに比べて抗体反応ってやつが強いんだ。
オーガニック・エンジンがあれば・・・」
桑原 「そんなのあるわけがないだろう!電力だって君が言うほどには回せない!」
勇 「オルファンはもう浮上を始めている!海上に出たら人類の手に負えなくなる」
桑原 「だから国連は!人類は!ノヴィス・ノアを建造したんだろう!」
勇 「ノヴィス・ノアはサバイバルの為の船だ。地球の海を漂うだけ・・・・・けどね、おじさん。オルファンって銀河旅行をする凄い船なんだよ」
勇 「電力だけは回して下さい」
比瑪 「ご馳走様でした」
アカリ 「後片付けはあたし達がやる」
クマゾー 「あとかたじゅーけ」
比瑪 「気を付け・・・」
クマゾー 「わっ!」
ユキオ 「泣くな!」
アカリ 「どうしたのよー」
ユキオ 「平気平気・・・」
直子 「針をやった後にすぐ食事が出来るなんて若いのねぇ」
比瑪 「アイリーンさんの腕が良いんです」
直子 「これ。孫の勇の写真よ。7年前だけど」
比瑪 「間違いありません。ブレンパワードに乗っていた子です」
直子 「元気なのよね?」
比瑪 「あたし、この子連れ戻してきます!」
翠 「勇が行った所にはオーガニックエンジンを開発した連中もいます。
ビー・プレートがあるとも考えられます」
クインシィ 「ドクターの昔からの研究仲間がいるんだろう?
そいつらがビー・プレートを捕獲しているのか?」
研作 「そんなわけないだろう」
クインシィ 「分かるものか。勇がビー・プレートを使えるようになったら」
ジョナサン 「ビー・プレートはグランチャー以上のアンチボディをリバイバルさせる可能性があるんでしょう?」
翠 「そんな!」
ジョナサン 「ビー・プレートが西東京方面にある事など、我々グランチャー乗りには教えて下さいませんでしたなぁ?」
研作 「今日までプレート探しは貴公等に任せてきただろう!」
ジョナサン 「そうですか!ならクインシィ・イッサー、私は確認させてもらって宜しいですな?」
クインシィ 「行くがいい。伊佐未ファミリーがオルファンを私物化していない事を証明する為だ」
ジョナサン 「は。嬉しく思います。ジョナサン・グレーン、クインシィ・イッサーには全身全霊を以って従います」
カナン 「勇が脱出する時にあたしに何の相談も無かった。
クインシィは許さないだろうし、あたしだって、許さないよ!」
フィジシスト 「カナンの出撃は中止だ!」
カナン 「何て言ったの?」
フィジシスト 「ジョナサンが出る!カナン機は待機だ!」
カナン 「シラーも連れてくの?」
ジョナサン 「シラー、ノヴィス・ノアのブレンパワードが動いている。覚悟がいるぞ」
シラー 「了解です、ジョナサン・グレーン。カナンは勇と行動し過ぎたからお留守番ね」
クインシィ 「カナン・ギモス、聞えるか?
カナンにはプレート収集に行ってもらう。ケイディと組め」
カナン 「ケイディと?・・・5機で出るのか、ジョナサン」
ジョナサン 「注水してくれ」
カナン 「ジョナサンは勇を殺すつもりだ、クインシィもそう決めたか」
ケイディ 「待てよ、カナン」
カナン 「なんだ?」
ケイディ 「俺達はプレート集めだ。ブレンパワードはジョナサン部隊に任せておけ!」
カナン 「分かっている!」
ケイディ 「伊佐未博士からの特命もある」
カナン 「ドクターからの特命?・・・ふぅ」
源野 「はぁぁ・・・」
ナンガ 「んで、彼はどこで?」
源野 「あっち」
ナンガ 「触らないで下さいよぉ」
ラッセ 「ブレンパワードに触っちゃいけませんぜ」
源野 「この子達にあたしは好かれてないから、乗る気は無いわ」
ナンガ 「事情は聞いたが、オルファンの事を。
何で一人で戦う気になったか、教えてもらいたいな」
勇 「教える事なんて無いよ」
ラッセ 「俺達だってブレンパワードで来てるんだ。手助けできる」
勇 「手伝えるわけがない」
ナンガ 「ミスター・ユウ。
比瑪の話では君のブレンはまだコックピットの改装は完璧じゃないって・・・」
勇 「俺はオルファンで6年間グランチャーに乗っていた!」
ラッセ 「ヒュー」
アノーア 「比瑪のブレンは追尾しているのだな?」
副長 「は。真西へ向っています」
比瑪 「あたしん家のほうに来るなんて嫌だなぁ。かえで先生いるかな?」
比瑪 「あれ、足跡じゃない!?あ!」
比瑪 「屋根壊したっていうの?あいつがやったんだ!
みんなは畑仕事に行っちゃったのか・・・どこ行ったの?」
(アイキャッチ無し)
ナンガ 「オルファンと戦おうというのなら、ノヴィス・ノアで一緒に戦おうじゃあないか」
勇 「遠慮するよ。あんた等素人と一緒じゃ何が起こるかさ」
ラッセ 「俺達だって訓練してる!ブレンに取り付けた装備は・・・」
勇 「装備に頼ってちゃ駄目だな。・・・宇都宮比瑪か?」
ラッセ 「ああ、そうだ」
勇 「俺は一人で戦って、ノヴィス・ノアが世界中の税金を無駄使いにしているって証明してやる」
ナンガ 「オーガニックエンジンの実用テストをしている船なんだぞ?」
勇 「10年前親父達が開発したやつだろう?そんなんで・・・」
比瑪 「だから!」
勇 「うっ!」
比瑪 「みんなでグランチャーを叩いてオルファンを止めなくちゃならないんでしょ!リバイバルしただけで碌な調整をしていない・・・・・今何した!」
勇 「ペラペラペラペラ!敵を連れてきただけの女が!」
比瑪 「敵?」
源野 「グランチャーが?はっうああ!」
ラッセ 「乗ろうとしたでしょ?」
源野 「ほっほっほ。研究者としてブレンのマッスルは気になりますでしょ?」
ラッセ 「ドクター。敵は我々を狙っています」
源野 「あらあら」
ラッセ 「ブレン!上げてくれ!」
勇 「源野さん、変電所に近寄らないで下さい!」
比瑪 「あんな物で止められるの?」
勇 「メーカーが違うとはまらないのか?
・・・迂闊に上昇するんじゃない!狙われるぞ!」
勇 「ブレン、はめてくれよ。電力をみんな貰わないとな」
勇 「はまった!偉いぞ!」
勇 「頼むから前に出るなよ!マイクロウェーブのショックでパイロットにダメージぐらいは与えられるはずなんだ!そうしたらやってくれ!分かってるよな、嬢ちゃん!」
比瑪 「あんな事で!?」
ナンガ 「グランチャーが撃破出来るのか?」
ラッセ 「アンチボディには・・・」
ジョナサン 「アンチボディの反応は4つだというのか!そんな機能不全のブレンパワードで!」
勇 「ジョナサン!」
ジョナサン 「敵は殲滅してぇ!」
シラー 「裏切り者を倒すのにジョナサンが出る事はない!」
シラー 「うう・・・ぐ、ぐぅ!」
ジョナサン 「ううっ・・・頭痛かぁ!」
勇 「今叩くんでしょ!ブレンバーを使って!」
比瑪 「そ、そっか!」
ラッセ 「確かに。うっ!」
ジョナサン 「シラー、右の方を任せる!」
シラー 「は、はい!」
ジョナサン 「マイクロウェーブでアンチボディを落とそうなんて!勇!甘いぞ!・・・ん?」
ジョナサン 「勇・・・どこだ?・・・ここ・・・」
ジョナサン 「ブレンパワードがこんなに使えるのか!・・・うおっ!」
勇 「うああ!」
ジョナサン 「伊佐未勇。ふっ、こういう事なら機体は手に入れられるし・・・シラー頼むぞ!勇の小僧は!」
勇 「ああ!」
ジョナサン 「ちっ」
勇 「ジョナサン!俺達が戦ったって何にもならないんだぞ!」
ジョナサン 「オルファンがやろうとしている事を邪魔する奴は全て排除する!」
ジョナサン 「貴様の任務も同じだったはずだ!」
勇 「今は違う!グランチャーの任務もオルファンの目的・・・」
勇 「オルファンの目的だっておかしいんだ!」
ジョナサン 「おかしくはない!」
勇 「奴は!」
勇 「ジョナサン!」
ジョナサン 「うお!」
勇 「グランチャー部隊の任務なんて嘘っぱちだ!」
ジョナサン 「オルファンの永遠は人類の永遠である!」
勇 「その前に人間が滅ぼされちまう!」
ジョナサン 「人類の遺伝子はオルファンとグランチャーに残るんだよぉ!」
勇 「ジョナサン!」
ジョナサン 「だいたいそんな不完全なアンチボディで、私のグランチャーに勝てるわけがない!」
ジョナサン 「死ねよやー!」
ジョナサン 「な、なんだと?ブレンパワードの奴がソード・エクステンションを使えるというのか?ぬうう、勇!貴様は私の手を斬った!勇がぁ!」
勇 「行ってくれた・・・あいつ達大丈夫なのか?」
勇 「アンチボディの空中戦?」
比瑪 「はっ!?」
シラー 「こ、これがブレンパワードの反発力!?は、話が違う!」
子供 「うわー!落ちたぞー!」
子供 「ジェット戦闘機が落ちたぞー!」
子供 「爆発したんだ爆発!」
子供 「先生大丈夫ですか!?」
比瑪 「かえで先生は何やってんです!よりによってこんな時に戻ってくるなんて!」
シラー 「う、くっ!」
シラー 「勇の機体は体力を付けてるのか!?ジョナサン・グレーンは?」
子供 「アンチボディだ!グランチャーじゃないぞ!」
かえで先生 「比瑪ちゃん?宇都宮さんね!」
比瑪 「かえで先生!津波が来ます!グランチャーは何をするか分かりません!」
かえで先生 「クマゾーも!アカリ・ユキオも・・・」
子供 「また来た!」
かえで先生 「えっ」
勇 「何やってんだ!おまえの仲間が!」
比瑪 「ここはあたしのお家なのよ!兄弟達に逃げてもらわなけりゃ戦えないでしょ?」
勇 「あいつの家?」
かえで先生 「大根は置いてバスに乗りましょう!」
子供 「わあああ」
勇 「直撃される!」
比瑪 「させないわよ!」
比瑪 「邪魔するの?」
勇 「ターゲットが動かなかったら、おまえん家がやられる!」
比瑪 「そうか!」
勇 「アンチボディ同士の戦いにみんな慣れていない」
勇 「あいつとなら・・・」
比瑪 「どうするの、伊佐未勇?」
勇 「避けろ!」
比瑪 「えっ」
勇 「そういう使い方ではないはずだ!比瑪ちゃん!ひっつけよ!」
比瑪 「ひっつく?くっつくの?」
比瑪 「狙えないよ!」
勇 「狙うことはない!1・・・2・・・3!」
勇 「チャクラ・エクステンション!」
比瑪 「シュートォ!」
ナンガ 「な、何が起こったんだ!?・・・お?」
シラー 「な、何!?このオーガニック・ウェーブは?」
ラッセ 「やれたのは俺の力じゃない。何の光だった・・・?」
比瑪 「何だったの、今の?伊佐未勇・・・君?」
勇 「ふぅ。オーガニック・ウェーブ、アンチボディのチャクラ・ウェーブ・モーションってやつかもしれないけど・・・高波はどうした!」
比瑪 「ああ!」
かえで先生 「オーライ、オーライ・・・」
比瑪 「駄目ですよ!ひだまりの館より低い所にいたら危険でしょ?」
かえで先生 「で、でも波の高さが!」
勇 「バス2台ぐらいならブレンパワードで運びゃあ良いだろ!」
比瑪 「お家はどうするのよ!波に飲まれちゃう」
勇 「おまえの仲間にも手伝わせて、バスをすぐ運べ!」
勇 「波が高い・・」
勇 「チャクラシールドはグランチャーをはね退けられたんだ。
逃げられるよな?来い!」
勇 「頼むぜブレーン!」
子供 「お家は助かるの?」
かえで先生 「ええ大丈夫よ!あれなら大丈夫!」
比瑪 「これがブレンパワードの威力よね!こういう風に使えば良いんだ!」
ナンガ 「ラッセ見てるか!グランチャーに6年乗ってたという奴の話は本当のようだ!」
ラッセ 「ああ。となれば、奴がなんでオルファンから出てきたんだ?
しかも、オルファンではグランチャータイプしか使ってなかった・・・」
ナンガ 「締め上げて吐かせるか?なぁ、比瑪ちゃん」
比瑪 「それは・・・あいつ次第」
勇 「お疲れさん、ブレン・・・俺達、何やってるんだろうな」
第02話「運命の再会」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106072210349001/
→第04話「故郷の炎」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106132014562779/
比瑪
(ナレーション) 「伊佐未勇という子と出会ったとき彼はひとりではなかった。
同じブレンパワードといったって、あたしのとも違っていた。
オルファンから逃げ出してきた男の子なんて、合うわけないって。それが実感」
アイリーン 「消耗していないのは流石ね」
比瑪 「分かります?」
アイリーン 「芯に疲れが残っているわ。良いわよ」
比瑪 「はい」
アイリーン 「無駄な力を抜く事を憶えないとね」
比瑪 「そうですね」
デッキクルー 「分かっているな?実戦になるかもしれないんだぞ!
ブレンに何かあったら逃げりゃあ良い!」
アイリーン 「ナンガとラッセなら大丈夫よ」
比瑪 「分かってます」
アイリーン 「なら、何考えていたの?」
比瑪 「他のブレンパワードと会ったんですよ」
アイリーン 「オルファンにいた機体なんでしょう?」
比瑪 「そうみたいです。でも一緒に戦ったんです」
アイリーン 「1つ仕事が終わったんだから今は何も考えずに、おやすみなさい」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん」
アカリ 「ご飯だよ」
クマゾー 「ごはーん」
アイリーン 「ご苦労様」
比瑪 「ありがとう」
ラッセ 「ラッセ着席。ナンガ!急げよ!」
ナンガ 「急がせるとご機嫌が悪くなるんだよ。よーしよし、怖くなんかないぞぉ」
ラッセ 「オールセット」
ノヴィスクルー 「オーガニック・エンジン、熱量定数出ています」
アノーア 「ナンガ機ラッセ機、発進!」
副長 「地震感知!高波がきます!」
アノーア 「震源地はオルファンか?」
副長 「はい」
アノーア 「ナンガ・ラッセは予定通りに!」
デッキクルー 「おーし!」
ナンガ 「ほーら、おまえは俺の手と足になってくれてるだろう?
案山子のラッセに負けたら、恥かしいぞお。ナンガ・ブレン、俺の兄弟。・・・うおっ」
ラッセ 「そっちじゃないぜ、ナンガ」
桑原 「何言ってるんです?あのブレンパワード?」
源野 「原子力発電のほうの電力も回せって言ってるんでしょう?
・・・駄目駄目!発信機はそのまま!」
作業員 「ええ?山の上に運ばないんですか?」
源野 「アンチボディが一人でやるわよ!」
かえで先生 「今日はトラックが一台だけなんですって。
だから今日はお体がイタイイタイの人だけねー」
子供 「あいつ知らん顔してる!」
源野 「ふあーあ」
桑原 「この辺りの市町村の電力を全部よこせなど無茶な話よ」
源野 「あの子は」
桑原 「本当に伊佐未翠さんの子供なのか?」
源野 「悔しいんですか?」
桑原 「な、なんでだよ!?」
源野 「研作博士は若い時から醜男だって言ってたじゃないですか」
桑原 「そんな事言うわけ無いじゃないか!」
勇 「グランチャーってのは」
桑原 「ん?」
勇 「ブレンパワードに比べて抗体反応ってやつが強いんだ。
オーガニック・エンジンがあれば・・・」
桑原 「そんなのあるわけがないだろう!電力だって君が言うほどには回せない!」
勇 「オルファンはもう浮上を始めている!海上に出たら人類の手に負えなくなる」
桑原 「だから国連は!人類は!ノヴィス・ノアを建造したんだろう!」
勇 「ノヴィス・ノアはサバイバルの為の船だ。地球の海を漂うだけ・・・・・けどね、おじさん。オルファンって銀河旅行をする凄い船なんだよ」
勇 「電力だけは回して下さい」
比瑪 「ご馳走様でした」
アカリ 「後片付けはあたし達がやる」
クマゾー 「あとかたじゅーけ」
比瑪 「気を付け・・・」
クマゾー 「わっ!」
ユキオ 「泣くな!」
アカリ 「どうしたのよー」
ユキオ 「平気平気・・・」
直子 「針をやった後にすぐ食事が出来るなんて若いのねぇ」
比瑪 「アイリーンさんの腕が良いんです」
直子 「これ。孫の勇の写真よ。7年前だけど」
比瑪 「間違いありません。ブレンパワードに乗っていた子です」
直子 「元気なのよね?」
比瑪 「あたし、この子連れ戻してきます!」
翠 「勇が行った所にはオーガニックエンジンを開発した連中もいます。
ビー・プレートがあるとも考えられます」
クインシィ 「ドクターの昔からの研究仲間がいるんだろう?
そいつらがビー・プレートを捕獲しているのか?」
研作 「そんなわけないだろう」
クインシィ 「分かるものか。勇がビー・プレートを使えるようになったら」
ジョナサン 「ビー・プレートはグランチャー以上のアンチボディをリバイバルさせる可能性があるんでしょう?」
翠 「そんな!」
ジョナサン 「ビー・プレートが西東京方面にある事など、我々グランチャー乗りには教えて下さいませんでしたなぁ?」
研作 「今日までプレート探しは貴公等に任せてきただろう!」
ジョナサン 「そうですか!ならクインシィ・イッサー、私は確認させてもらって宜しいですな?」
クインシィ 「行くがいい。伊佐未ファミリーがオルファンを私物化していない事を証明する為だ」
ジョナサン 「は。嬉しく思います。ジョナサン・グレーン、クインシィ・イッサーには全身全霊を以って従います」
カナン 「勇が脱出する時にあたしに何の相談も無かった。
クインシィは許さないだろうし、あたしだって、許さないよ!」
フィジシスト 「カナンの出撃は中止だ!」
カナン 「何て言ったの?」
フィジシスト 「ジョナサンが出る!カナン機は待機だ!」
カナン 「シラーも連れてくの?」
ジョナサン 「シラー、ノヴィス・ノアのブレンパワードが動いている。覚悟がいるぞ」
シラー 「了解です、ジョナサン・グレーン。カナンは勇と行動し過ぎたからお留守番ね」
クインシィ 「カナン・ギモス、聞えるか?
カナンにはプレート収集に行ってもらう。ケイディと組め」
カナン 「ケイディと?・・・5機で出るのか、ジョナサン」
ジョナサン 「注水してくれ」
カナン 「ジョナサンは勇を殺すつもりだ、クインシィもそう決めたか」
ケイディ 「待てよ、カナン」
カナン 「なんだ?」
ケイディ 「俺達はプレート集めだ。ブレンパワードはジョナサン部隊に任せておけ!」
カナン 「分かっている!」
ケイディ 「伊佐未博士からの特命もある」
カナン 「ドクターからの特命?・・・ふぅ」
源野 「はぁぁ・・・」
ナンガ 「んで、彼はどこで?」
源野 「あっち」
ナンガ 「触らないで下さいよぉ」
ラッセ 「ブレンパワードに触っちゃいけませんぜ」
源野 「この子達にあたしは好かれてないから、乗る気は無いわ」
ナンガ 「事情は聞いたが、オルファンの事を。
何で一人で戦う気になったか、教えてもらいたいな」
勇 「教える事なんて無いよ」
ラッセ 「俺達だってブレンパワードで来てるんだ。手助けできる」
勇 「手伝えるわけがない」
ナンガ 「ミスター・ユウ。
比瑪の話では君のブレンはまだコックピットの改装は完璧じゃないって・・・」
勇 「俺はオルファンで6年間グランチャーに乗っていた!」
ラッセ 「ヒュー」
アノーア 「比瑪のブレンは追尾しているのだな?」
副長 「は。真西へ向っています」
比瑪 「あたしん家のほうに来るなんて嫌だなぁ。かえで先生いるかな?」
比瑪 「あれ、足跡じゃない!?あ!」
比瑪 「屋根壊したっていうの?あいつがやったんだ!
みんなは畑仕事に行っちゃったのか・・・どこ行ったの?」
(アイキャッチ無し)
ナンガ 「オルファンと戦おうというのなら、ノヴィス・ノアで一緒に戦おうじゃあないか」
勇 「遠慮するよ。あんた等素人と一緒じゃ何が起こるかさ」
ラッセ 「俺達だって訓練してる!ブレンに取り付けた装備は・・・」
勇 「装備に頼ってちゃ駄目だな。・・・宇都宮比瑪か?」
ラッセ 「ああ、そうだ」
勇 「俺は一人で戦って、ノヴィス・ノアが世界中の税金を無駄使いにしているって証明してやる」
ナンガ 「オーガニックエンジンの実用テストをしている船なんだぞ?」
勇 「10年前親父達が開発したやつだろう?そんなんで・・・」
比瑪 「だから!」
勇 「うっ!」
比瑪 「みんなでグランチャーを叩いてオルファンを止めなくちゃならないんでしょ!リバイバルしただけで碌な調整をしていない・・・・・今何した!」
勇 「ペラペラペラペラ!敵を連れてきただけの女が!」
比瑪 「敵?」
源野 「グランチャーが?はっうああ!」
ラッセ 「乗ろうとしたでしょ?」
源野 「ほっほっほ。研究者としてブレンのマッスルは気になりますでしょ?」
ラッセ 「ドクター。敵は我々を狙っています」
源野 「あらあら」
ラッセ 「ブレン!上げてくれ!」
勇 「源野さん、変電所に近寄らないで下さい!」
比瑪 「あんな物で止められるの?」
勇 「メーカーが違うとはまらないのか?
・・・迂闊に上昇するんじゃない!狙われるぞ!」
勇 「ブレン、はめてくれよ。電力をみんな貰わないとな」
勇 「はまった!偉いぞ!」
勇 「頼むから前に出るなよ!マイクロウェーブのショックでパイロットにダメージぐらいは与えられるはずなんだ!そうしたらやってくれ!分かってるよな、嬢ちゃん!」
比瑪 「あんな事で!?」
ナンガ 「グランチャーが撃破出来るのか?」
ラッセ 「アンチボディには・・・」
ジョナサン 「アンチボディの反応は4つだというのか!そんな機能不全のブレンパワードで!」
勇 「ジョナサン!」
ジョナサン 「敵は殲滅してぇ!」
シラー 「裏切り者を倒すのにジョナサンが出る事はない!」
シラー 「うう・・・ぐ、ぐぅ!」
ジョナサン 「ううっ・・・頭痛かぁ!」
勇 「今叩くんでしょ!ブレンバーを使って!」
比瑪 「そ、そっか!」
ラッセ 「確かに。うっ!」
ジョナサン 「シラー、右の方を任せる!」
シラー 「は、はい!」
ジョナサン 「マイクロウェーブでアンチボディを落とそうなんて!勇!甘いぞ!・・・ん?」
ジョナサン 「勇・・・どこだ?・・・ここ・・・」
ジョナサン 「ブレンパワードがこんなに使えるのか!・・・うおっ!」
勇 「うああ!」
ジョナサン 「伊佐未勇。ふっ、こういう事なら機体は手に入れられるし・・・シラー頼むぞ!勇の小僧は!」
勇 「ああ!」
ジョナサン 「ちっ」
勇 「ジョナサン!俺達が戦ったって何にもならないんだぞ!」
ジョナサン 「オルファンがやろうとしている事を邪魔する奴は全て排除する!」
ジョナサン 「貴様の任務も同じだったはずだ!」
勇 「今は違う!グランチャーの任務もオルファンの目的・・・」
勇 「オルファンの目的だっておかしいんだ!」
ジョナサン 「おかしくはない!」
勇 「奴は!」
勇 「ジョナサン!」
ジョナサン 「うお!」
勇 「グランチャー部隊の任務なんて嘘っぱちだ!」
ジョナサン 「オルファンの永遠は人類の永遠である!」
勇 「その前に人間が滅ぼされちまう!」
ジョナサン 「人類の遺伝子はオルファンとグランチャーに残るんだよぉ!」
勇 「ジョナサン!」
ジョナサン 「だいたいそんな不完全なアンチボディで、私のグランチャーに勝てるわけがない!」
ジョナサン 「死ねよやー!」
ジョナサン 「な、なんだと?ブレンパワードの奴がソード・エクステンションを使えるというのか?ぬうう、勇!貴様は私の手を斬った!勇がぁ!」
勇 「行ってくれた・・・あいつ達大丈夫なのか?」
勇 「アンチボディの空中戦?」
比瑪 「はっ!?」
シラー 「こ、これがブレンパワードの反発力!?は、話が違う!」
子供 「うわー!落ちたぞー!」
子供 「ジェット戦闘機が落ちたぞー!」
子供 「爆発したんだ爆発!」
子供 「先生大丈夫ですか!?」
比瑪 「かえで先生は何やってんです!よりによってこんな時に戻ってくるなんて!」
シラー 「う、くっ!」
シラー 「勇の機体は体力を付けてるのか!?ジョナサン・グレーンは?」
子供 「アンチボディだ!グランチャーじゃないぞ!」
かえで先生 「比瑪ちゃん?宇都宮さんね!」
比瑪 「かえで先生!津波が来ます!グランチャーは何をするか分かりません!」
かえで先生 「クマゾーも!アカリ・ユキオも・・・」
子供 「また来た!」
かえで先生 「えっ」
勇 「何やってんだ!おまえの仲間が!」
比瑪 「ここはあたしのお家なのよ!兄弟達に逃げてもらわなけりゃ戦えないでしょ?」
勇 「あいつの家?」
かえで先生 「大根は置いてバスに乗りましょう!」
子供 「わあああ」
勇 「直撃される!」
比瑪 「させないわよ!」
比瑪 「邪魔するの?」
勇 「ターゲットが動かなかったら、おまえん家がやられる!」
比瑪 「そうか!」
勇 「アンチボディ同士の戦いにみんな慣れていない」
勇 「あいつとなら・・・」
比瑪 「どうするの、伊佐未勇?」
勇 「避けろ!」
比瑪 「えっ」
勇 「そういう使い方ではないはずだ!比瑪ちゃん!ひっつけよ!」
比瑪 「ひっつく?くっつくの?」
比瑪 「狙えないよ!」
勇 「狙うことはない!1・・・2・・・3!」
勇 「チャクラ・エクステンション!」
比瑪 「シュートォ!」
ナンガ 「な、何が起こったんだ!?・・・お?」
シラー 「な、何!?このオーガニック・ウェーブは?」
ラッセ 「やれたのは俺の力じゃない。何の光だった・・・?」
比瑪 「何だったの、今の?伊佐未勇・・・君?」
勇 「ふぅ。オーガニック・ウェーブ、アンチボディのチャクラ・ウェーブ・モーションってやつかもしれないけど・・・高波はどうした!」
比瑪 「ああ!」
かえで先生 「オーライ、オーライ・・・」
比瑪 「駄目ですよ!ひだまりの館より低い所にいたら危険でしょ?」
かえで先生 「で、でも波の高さが!」
勇 「バス2台ぐらいならブレンパワードで運びゃあ良いだろ!」
比瑪 「お家はどうするのよ!波に飲まれちゃう」
勇 「おまえの仲間にも手伝わせて、バスをすぐ運べ!」
勇 「波が高い・・」
勇 「チャクラシールドはグランチャーをはね退けられたんだ。
逃げられるよな?来い!」
勇 「頼むぜブレーン!」
子供 「お家は助かるの?」
かえで先生 「ええ大丈夫よ!あれなら大丈夫!」
比瑪 「これがブレンパワードの威力よね!こういう風に使えば良いんだ!」
ナンガ 「ラッセ見てるか!グランチャーに6年乗ってたという奴の話は本当のようだ!」
ラッセ 「ああ。となれば、奴がなんでオルファンから出てきたんだ?
しかも、オルファンではグランチャータイプしか使ってなかった・・・」
ナンガ 「締め上げて吐かせるか?なぁ、比瑪ちゃん」
比瑪 「それは・・・あいつ次第」
勇 「お疲れさん、ブレン・・・俺達、何やってるんだろうな」
第02話「運命の再会」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106072210349001/
→第04話「故郷の炎」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106132014562779/
ブレンパワード 全台詞集 第02話「運命の再会」
2011年6月7日 ブレンパワード全台詞集脚本:富野由悠季・浅川美也 絵コンテ:斧谷稔 演出:原田奈奈 作画監督:戸部敦夫
比瑪
(ナレーション) 「突然プレートという物が現れて、その中からブレンパワードが生まれた。
優しい目をしたその子に誘われて乗った時、グランチャーってのが襲ってきた。
どうしてブレンを目の仇にするの?あなたは誰?」
ヒギンズ 「上がってくるのは4機から5機です」
キメリエスクルーA 「コンガイールより受信、キメリエスよりノヴィス・ノアへ送信します」
レイト 「光通信へ接続。ノヴィス・ノアへは、届くな?」
キメリエスクルーB 「1分後に島影から現れます」
レイト 「継続中継、ノヴィス・ノアへ」
ノヴィスクルーA 「コンガイールより通信、キメリエス中継。アンチボディ確認」
アノーア 「数を聞いています」
ノヴィスクルーA 「6機です」
副長 「イランド隊、聞えるな。
海上に上がってくるアンチボディは6機、確認次第攻撃して良い」
アノーア 「比瑪の機体は?」
ノヴィスクルーB 「デッキに出ました」
クマゾー 「ストップ!」
デッキクルー 「何やってんの!?掃除道具はさっさと片付けんの!」
ユキオ 「ブレンパワードは擦ってやると喜ぶんだぞ。なぁ」
アカリ 「うん」
クマゾー 「うん」
ユキオ 「オーガニックエンジンのテスト艦だなんていったって、ここの船の連中なぁんも分かってないんだから」
アカリ 「比瑪姉ちゃん動かすよー」
クマゾー 「動くー」
比瑪 「オールセット」
アノーア 「ヘルメットは被らないのか?」
比瑪 「この子が嫌がるんですよ。髪の毛の動きからも何かを感じるみたいなんです」
アノーア 「行かせろ」
副長 「宇都宮比瑪、出ろ!」
比瑪 「はい!」
ユキオ 「本当の戦争に行くんだ」
クマゾー 「歩いた!」
アカリ 「比瑪姉ちゃんが?」
ノヴィスクルーC 「前方空域障害物無し」
ノヴィスクルーD 「オーガニックエンジン・・・係数・・・」
ラッセ 「比瑪が出るんだって?」
副長 「対空対潜戦闘配置を発令します」
アノーア 「そうしろ。アンチボディはオルファンから出てきたグランチャーだ」
ユキオ 「調子良い!」
アカリ 「比瑪姉ちゃん!」
クマゾー 「わぁー」
ナンガ 「流石だが、実戦になるんだろ?」
ラッセ 「そうなりゃ、俺達にお呼びがかかるさ」
国連軍パイロット 「みんながみんな、アンチボディになるわきゃねーだろう」
コモド 「来たのね、まったく」
コモド 「この辺りよ」
比瑪 「了解。ナンガとラッセ機はどうなんです?」
コモド 「発進準備が整えば応援に来てくれます」
比瑪 「それまでは一人かぁ」
コモド 「偵察だよ、あまり力まないで」
比瑪 「そういう事だよ、ブレン」
比瑪 「そうだよ、怖くなんかない。いつも練習して上手だったんだよ君は」
コモド 「いつも見事だけど、アンチボディの性能ならあたしのほうが手早くやってみせるのにさ」
比瑪 「これ!ちょっと乱暴でしょ!」
勇 「やった・・・追ってくるのは3機か。4機?」
シラー 「オルファンから脱出しようってのかい、勇。
カナン!あたしの援護だ、分かってるな?」
カナン 「了解。・・・シラー・グラス、勇を沈めるつもり?」
カナン 「逃げきれない、沈められるわよ」
勇 「このブレンパワードは俺に合っている。
親父達の言っていた事は間違っていた。・・・・カナンも追っかけてくるのか!?」
勇 「ブレン!」
勇 「カナン!付いてきてくれないか、俺の気持ちは話してきたはずだ!」
カナン 「地球は再生させないほうが良いからオルファンを浮上させるんだと言っていたのは勇でしょ!」
勇 「アンチボディの反応?」
勇 「向こうのブレンパワードか!」
ヒギンズ 「オーガニックレーダーが働いてくれてるけど、ホントなの?
機数が分からない・・・」
比瑪 「やった!捉まえたよ!」
比瑪 「分離できるかなぁ?」
比瑪 「4機のグランチャー?」
ヒギンズ 「500メートルを越えているんだよ?」
ノヴィスクルーB 「比瑪機700メートル突破」
ノヴィスクルーA 「オーガニックセンサー不調です」
ゲイブリッジ 「順調なようだな」
アノーア 「はい。宇都宮比瑪、良いパイロットです」
ゲイブリッジ 「そうだろう、信じていたよ。ラッセとナンガのブレンパワードは・・・」
アノーア 「出す覚悟はさせてますが・・・そういうレベルです」
ゲイブリッジ 「そうか」
クインシィ 「生まれたばかりのブレンパワードにグランチャーは何をてこずっているんだ!」
研作 「ブレンにはオルファンの拒否反応が出ていたのだろう?」
翠 「その程度の事でブレンを捨てる事は無かったんです。
シラー達には勇を連れ戻すように命令したわね?」
クインシィ 「脱走者は撃破のみ!」
翠 「軽率です!ブレンパワードをグランチャーと同じように使える勇なら調べる事は山ほどあります!」
クインシィ 「・・・カナン!シラーとゲイルの攻撃を支援しろ!動きが甘いぞ!」
翠 「クインシィ!」
クインシィ 「グランチャー部隊としての実力を見せなければ・・・!」
研作 「依衣子!軽率だぞ!」
クインシィ 「私はクインシィだ!」
研作 「我々はブレンパワードに対する認識を変えなければいけないと話していた!」
クインシィ 「研究は続行すれば良い。
現在はノヴィス・ノアも動きだしたのだ。それに対して・・・」
翠 「だからこそ、お父様の意見も聞いて・・・」
ジョナサン 「オルファンは伊佐未ファミリーのものじゃない」
研作 「オーガニックマシンというのはな・・・」
ジョナサン 「良いではないですか。
勇一人が使うゴミのようなブレンパワードなど、使い道はありませんよ」
研作 「オルファンに勇は必要なスタッフだ!ブレンパワードが上手く使えるのなら・・・」
ジョナサン 「ブレンパワードはオルファンにとっては突然変異が生み出した異物である、
そう仰いましたな。望まれて生まれてきたものではない、体力も無い」
カナン 「攻撃しろったってシラーが勇と絡んでいたら出来ない!・・・あ?」
カナン 「降りてくるのもアンチボディ・・・ブレンパワードなの?」
カナン 「あれは一年前だった・・・」
勇 「カナンか?」
カナン 「なんで相談してくれなかったの!?」
勇 「相談したよ!でもカナンはいつも自分の事ばかり喋っていただろ!」
カナン 「あたしが?」
勇 「東京でブレンパワードに会ってからずっとだよ」
カナン 「そうだったの・・・」
シラー 「カナン!」
シラー 「よくやった、撃破しないでオルファンに連れ帰れれば上等だよ」
勇 「シラー・グラス!放せカナン!シラー!・・・ブレンパワードだ!」
比瑪 「そのブレンパワードを放しなさいよ!」
カナン 「なんだ?ブレンパワード?」
比瑪 「同じブレンパワード同士なら!」
勇 「その声・・・宇都宮比瑪か?」
比瑪 「えっ?あたしの名前何で知ってんの?」
勇 「一年前グランチャーで会った」
比瑪 「ああ !伊佐未勇か!勇君かぁ!」
シラー 「勇ー!」
カナン 「駄目ー!」
比瑪 「来るんじゃない!」
勇 「シラー!」
シラー 「な、なんだぁー!?」
カナン 「勇ー!」
ヒギンズ 「ブレンパワードが浮上!」
勇 「お、おい!」
比瑪 「浮上した・・・いけー!」
勇 「お、おい!宇都宮比瑪!」
比瑪 「あんた逃げたいんでしょ!」
比瑪 「ちょっと!何すんのよ!
せっかく助けてやったのに、あたしから逃げてどうするつもりなのさ!?」
勇 「やっぱりおまえだったんだ!」
比瑪 「今、何をやったの!?」
勇 「何って・・・?俺達二人でグランチャーを撃退したんだろ。
おまえ、宇都宮比瑪だろ。おまえのブレンパワードの扱い方、イエスだね!」
比瑪 「ああそうか!あはは、そうなんだ!あたし達でやったのよね!」
勇 「ちょ、ちょっと。撃破はしてないんだぞ」
比瑪 「そ、そりゃ分かってるわ」
勇 「これが東京湾か」
比瑪 「船の半分は難民キャンプになってるって」
(アイキャッチ無し)
勇 「どうしてノヴィス・ノアに行かないんだ?」
比瑪 「撃破してなけりゃ追いかけられるでしょう?敵を巻くためよ」
勇 「はっ!」
比瑪 「ねえねえ、あなた去年グランチャーに乗っていた人でしょ?
なのにこんな新しいブレンパワードに乗っちゃってさ、どうしたの?」
勇 「色々事情があるんだよ」
比瑪 「オルファンにいたのならあなただってリクレイマーかもしれないし、んならあなたあたしの敵よ?」
勇 「よく喋る女だなぁ!」
比瑪 「助けてあげたのになんて言い方!?」
勇 「誰がおまえなんかに頼んだ!」
比瑪 「ん!この辺りはね、ちょっと前までは夜の空の星以上の輝きに満ちていた都会があったのよ!でもさ、オルファンが動いたおかげでみんな沈んじゃったのよ!」
勇 「順序が逆だ!地殻変動のおかげでオルファンが海底から出たんだ。
それに呼ばれてオルファンの体を掃除した連中がいた!」
比瑪 「そういう人がグランチャーを使い出して地球の文明を破壊しようとしている!」
勇 「話はそうだ。けど、そうはさせないよ。
そうする前にあいつ等を潰す、そうしなけりゃ・・・」
比瑪 「ちょ、ちょっと!待ちなさ・・・うわー!」
比瑪 「うわー!・・・・・あ、ありがとうブレン!」
比瑪 「あいつ・・・!」
アノーア 「リクレイマーの伊佐未勇がブレンパワードにいたというのだな?」
比瑪 「はい」
ゲイブリッジ 「直子さんが予想していた通りでした。勇君の生存は確認出来ましたよ」
直子 「勇が・・・両親と依衣子の言う事を聞かないで、一人でオルファンを出てきたと言うのですか・・・」
比瑪 「だって、一人で脱走してきたみたいな事言ってました」
ゲイブリッジ 「オルファンも一枚岩ではないという事ですよ。
マコーミック艦長、オルファンに対して我々だって戦いようはあるという事です」
アノーア 「伊佐未勇のブレンパワードはナンガとラッセに追いかけさせます」
ナンガ 「了解」
ラッセ 「行きますわ」
ナンガ 「ターゲットは捕捉できてるんでしょうね?」
アノーア 「本艦のオーガニック・レーダーはまだまだ大雑把でね」
ナンガ 「だとさ」
ラッセ 「承知の覚悟ね」
民間人A 「なんで立たねぇんだ!」
民間人B 「揺すれ揺すれー!」
民間人C 「ヤミ米を運ぶには良い夜なんだからね」
源野 「はぁ・・・まったく、よく降るよまた」
源野 「三千二百飛び三番地のLの柄の部分に・・・」
勇 「情報通りだ。この大学ではプレートの研究をやっている」
勇 「こういう所に例のビー・プレートが保管されてる可能性は充分にあるよな」
勇 「・・・ぶち破るか」
源野 「ん?」
勇 「窓を壊すしかないか・・・ん?」
源野 「こ、これ・・・もしかして」
源野 「アンチボディじゃない!しかも新しいタイプの。こいつ・・・」
源野 「剥がれた!?」
源野 「あ、あなたは、あたしの研究を奪いに来たのね!」
勇 「プレートの研究者ならビー・プレートの存在を知っているはずだ!
このキャンパスに2枚のプレートが保管されているのは分かっている、見せろ!」
源野 「マイクロウェーブ発信機が目当てじゃないの?」
勇 「プレートの保管場所は?」
源野 「あ、あなた、リクレイマーじゃないの?」
勇 「案内しろ!」
源野 「は、はい。ついてらっしゃい」
勇 「マイクロウェーブ発信機ってオーガニック・エンジン用のやつなの?」
源野 「当り前じゃないの。ここはオーガニック・エネルギー研究所よ」
勇 「だから来たんだ」
源野 「残念ながらそのエンジンは伊佐未式のしか無いけどね」
勇 「17、8年前のおもちゃみたいなやつだろ」
源野 「やはりリクレイマーね。とうとうオルファンから来た」
勇 「開けろ」
勇 「聴診器は無いのか」
源野 「何それ?」
勇 「医者が使うやつだろ」
源野 「そんなのあるわけないでしょ」
勇 「メガホンみたいなやつでも良いよ」
源野 「このプレートさ、只の」
勇 「リバイバルしないプレートかな?」
源野 「硬化始まってるもの」
勇 「ビー・プレートとかいうのとは違うのか・・・・・あいつ!」
警備員 「うおっ!こいつ!」
勇 「あいつ!冗談やってるのか!」
勇 「俺のブレンをどうするつもりだ!」
源野 「オーガニック・エナジーを研究してれば触りたくなります!」
勇 「アンチボディはパイロットとの・・・」
源野 「研究員です!調べさせてもらいます!」
勇 「ふざけるな!」
勇 「このー!降りろ!」
源野 「や、やめなさい!」
勇 「アンチボディは人を選ぶんだ!」
源野 「あたしが乗ろうとした時、このブレンパワードは優しい顔をしていたのよ!」
勇 「こいつが?うっ!うわっ」
勇 「うわっ!と、止めろ!あ!あなたね!」
源野 「あたしと相性が良いのよ、この子!これなら飛んでくれるわよね、これ!」
勇 「えっ?うわ!うわああああ!」
源野 「動いた!飛んだ!あたしにも動かせるんだわアンチボディを!」
勇 「パービルトを安定に、興奮させるんじゃない!」
源野 「この子はね!このブレンパワードはあたしの言うままよ!オーガニックマシンってこういうものなのよ!オーガニックエナジーを使うものはね、人間の生体の力に感応して動いてるものなんだから当然の事じゃなくって!?」
勇 「こいつ、お袋と同じだ・・・」
翠(回想) 「私達はお父様がオーガニックエンジンの研究をしていたおかげでオルファンに選ばれたのよ。これはとっても名誉な事だわ」
勇(回想) 「俺、直おばあちゃんとここにいるよ」
依衣子(回想) 「オーガニックマシン、グランチャーってんだけど、格好良いよ」
翠(回想) 「良いですね、母さん」
直子(回想) 「良いも悪いも無いんだろう?おまえと研作さんがやる事は、いつもこうだね」
勇 「でりゃああああ!あなたね!」
源野 「ほら、ごらんよ!」
勇 「やめないか!」
源野 「あたしは・・・」
勇 「こいつぅ!」
源野 「あたしはオーガニックマシンの研究者なんですよ!あっ!うわあああ!!」
勇 「ハッチに足をひっかけるんだ!」
源野 「お、落ちるのは嫌よ!」
勇 「ブレン!何とかしろ!」
勇 「やめろブレン!」
勇 「俺がシートに座ったんだぞ!こ、こら!」
源野 「お、落ちるわ!と、止めてぇ!」
勇 「頑張るんだ、直ぐ止めます!」
勇 「ブレン着陸してくれ!頼む!」
勇 「喧嘩なんかしないからさ!」
子供(※) 「何なの?」
子供 「地震?」
子供 「変じゃない?地震じゃないもの」
子供 「どうしたんだよ!」
子供 「電気付けてよ!」
園長先生 「パ、パイロットがいる!難民の子供を収容している所に・・・来ないでくれ!」
勇 「はぁ。ブレン、おまえは俺の命の恩人だ。ありがとう」
源野 「お、降ろしてよ。降ろせるんでしょ?」
ジョナサン 「弟さんを撃墜しろという命令、きつくありませんか?」
クインシィ 「既に弟ではない」
ジョナサン 「ふっ」
クインシィ 「私達パイロットはグランチャーと共にオルファンの抗体になると選ばれた人間です。となれば、オルファンにこの身を捧げなければならない」
ジョナサン 「は」
※:このシーン、複数人いますが聞き分け出来ないので「子供」と一括りにさせてもらっています。
第01話「深海を発して」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106042309036327/
→第03話「勇の戦い」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106082206399517/
比瑪
(ナレーション) 「突然プレートという物が現れて、その中からブレンパワードが生まれた。
優しい目をしたその子に誘われて乗った時、グランチャーってのが襲ってきた。
どうしてブレンを目の仇にするの?あなたは誰?」
ヒギンズ 「上がってくるのは4機から5機です」
キメリエスクルーA 「コンガイールより受信、キメリエスよりノヴィス・ノアへ送信します」
レイト 「光通信へ接続。ノヴィス・ノアへは、届くな?」
キメリエスクルーB 「1分後に島影から現れます」
レイト 「継続中継、ノヴィス・ノアへ」
ノヴィスクルーA 「コンガイールより通信、キメリエス中継。アンチボディ確認」
アノーア 「数を聞いています」
ノヴィスクルーA 「6機です」
副長 「イランド隊、聞えるな。
海上に上がってくるアンチボディは6機、確認次第攻撃して良い」
アノーア 「比瑪の機体は?」
ノヴィスクルーB 「デッキに出ました」
クマゾー 「ストップ!」
デッキクルー 「何やってんの!?掃除道具はさっさと片付けんの!」
ユキオ 「ブレンパワードは擦ってやると喜ぶんだぞ。なぁ」
アカリ 「うん」
クマゾー 「うん」
ユキオ 「オーガニックエンジンのテスト艦だなんていったって、ここの船の連中なぁんも分かってないんだから」
アカリ 「比瑪姉ちゃん動かすよー」
クマゾー 「動くー」
比瑪 「オールセット」
アノーア 「ヘルメットは被らないのか?」
比瑪 「この子が嫌がるんですよ。髪の毛の動きからも何かを感じるみたいなんです」
アノーア 「行かせろ」
副長 「宇都宮比瑪、出ろ!」
比瑪 「はい!」
ユキオ 「本当の戦争に行くんだ」
クマゾー 「歩いた!」
アカリ 「比瑪姉ちゃんが?」
ノヴィスクルーC 「前方空域障害物無し」
ノヴィスクルーD 「オーガニックエンジン・・・係数・・・」
ラッセ 「比瑪が出るんだって?」
副長 「対空対潜戦闘配置を発令します」
アノーア 「そうしろ。アンチボディはオルファンから出てきたグランチャーだ」
ユキオ 「調子良い!」
アカリ 「比瑪姉ちゃん!」
クマゾー 「わぁー」
ナンガ 「流石だが、実戦になるんだろ?」
ラッセ 「そうなりゃ、俺達にお呼びがかかるさ」
国連軍パイロット 「みんながみんな、アンチボディになるわきゃねーだろう」
コモド 「来たのね、まったく」
コモド 「この辺りよ」
比瑪 「了解。ナンガとラッセ機はどうなんです?」
コモド 「発進準備が整えば応援に来てくれます」
比瑪 「それまでは一人かぁ」
コモド 「偵察だよ、あまり力まないで」
比瑪 「そういう事だよ、ブレン」
比瑪 「そうだよ、怖くなんかない。いつも練習して上手だったんだよ君は」
コモド 「いつも見事だけど、アンチボディの性能ならあたしのほうが手早くやってみせるのにさ」
比瑪 「これ!ちょっと乱暴でしょ!」
勇 「やった・・・追ってくるのは3機か。4機?」
シラー 「オルファンから脱出しようってのかい、勇。
カナン!あたしの援護だ、分かってるな?」
カナン 「了解。・・・シラー・グラス、勇を沈めるつもり?」
カナン 「逃げきれない、沈められるわよ」
勇 「このブレンパワードは俺に合っている。
親父達の言っていた事は間違っていた。・・・・カナンも追っかけてくるのか!?」
勇 「ブレン!」
勇 「カナン!付いてきてくれないか、俺の気持ちは話してきたはずだ!」
カナン 「地球は再生させないほうが良いからオルファンを浮上させるんだと言っていたのは勇でしょ!」
勇 「アンチボディの反応?」
勇 「向こうのブレンパワードか!」
ヒギンズ 「オーガニックレーダーが働いてくれてるけど、ホントなの?
機数が分からない・・・」
比瑪 「やった!捉まえたよ!」
比瑪 「分離できるかなぁ?」
比瑪 「4機のグランチャー?」
ヒギンズ 「500メートルを越えているんだよ?」
ノヴィスクルーB 「比瑪機700メートル突破」
ノヴィスクルーA 「オーガニックセンサー不調です」
ゲイブリッジ 「順調なようだな」
アノーア 「はい。宇都宮比瑪、良いパイロットです」
ゲイブリッジ 「そうだろう、信じていたよ。ラッセとナンガのブレンパワードは・・・」
アノーア 「出す覚悟はさせてますが・・・そういうレベルです」
ゲイブリッジ 「そうか」
クインシィ 「生まれたばかりのブレンパワードにグランチャーは何をてこずっているんだ!」
研作 「ブレンにはオルファンの拒否反応が出ていたのだろう?」
翠 「その程度の事でブレンを捨てる事は無かったんです。
シラー達には勇を連れ戻すように命令したわね?」
クインシィ 「脱走者は撃破のみ!」
翠 「軽率です!ブレンパワードをグランチャーと同じように使える勇なら調べる事は山ほどあります!」
クインシィ 「・・・カナン!シラーとゲイルの攻撃を支援しろ!動きが甘いぞ!」
翠 「クインシィ!」
クインシィ 「グランチャー部隊としての実力を見せなければ・・・!」
研作 「依衣子!軽率だぞ!」
クインシィ 「私はクインシィだ!」
研作 「我々はブレンパワードに対する認識を変えなければいけないと話していた!」
クインシィ 「研究は続行すれば良い。
現在はノヴィス・ノアも動きだしたのだ。それに対して・・・」
翠 「だからこそ、お父様の意見も聞いて・・・」
ジョナサン 「オルファンは伊佐未ファミリーのものじゃない」
研作 「オーガニックマシンというのはな・・・」
ジョナサン 「良いではないですか。
勇一人が使うゴミのようなブレンパワードなど、使い道はありませんよ」
研作 「オルファンに勇は必要なスタッフだ!ブレンパワードが上手く使えるのなら・・・」
ジョナサン 「ブレンパワードはオルファンにとっては突然変異が生み出した異物である、
そう仰いましたな。望まれて生まれてきたものではない、体力も無い」
カナン 「攻撃しろったってシラーが勇と絡んでいたら出来ない!・・・あ?」
カナン 「降りてくるのもアンチボディ・・・ブレンパワードなの?」
カナン 「あれは一年前だった・・・」
勇 「カナンか?」
カナン 「なんで相談してくれなかったの!?」
勇 「相談したよ!でもカナンはいつも自分の事ばかり喋っていただろ!」
カナン 「あたしが?」
勇 「東京でブレンパワードに会ってからずっとだよ」
カナン 「そうだったの・・・」
シラー 「カナン!」
シラー 「よくやった、撃破しないでオルファンに連れ帰れれば上等だよ」
勇 「シラー・グラス!放せカナン!シラー!・・・ブレンパワードだ!」
比瑪 「そのブレンパワードを放しなさいよ!」
カナン 「なんだ?ブレンパワード?」
比瑪 「同じブレンパワード同士なら!」
勇 「その声・・・宇都宮比瑪か?」
比瑪 「えっ?あたしの名前何で知ってんの?」
勇 「一年前グランチャーで会った」
比瑪 「ああ !伊佐未勇か!勇君かぁ!」
シラー 「勇ー!」
カナン 「駄目ー!」
比瑪 「来るんじゃない!」
勇 「シラー!」
シラー 「な、なんだぁー!?」
カナン 「勇ー!」
ヒギンズ 「ブレンパワードが浮上!」
勇 「お、おい!」
比瑪 「浮上した・・・いけー!」
勇 「お、おい!宇都宮比瑪!」
比瑪 「あんた逃げたいんでしょ!」
比瑪 「ちょっと!何すんのよ!
せっかく助けてやったのに、あたしから逃げてどうするつもりなのさ!?」
勇 「やっぱりおまえだったんだ!」
比瑪 「今、何をやったの!?」
勇 「何って・・・?俺達二人でグランチャーを撃退したんだろ。
おまえ、宇都宮比瑪だろ。おまえのブレンパワードの扱い方、イエスだね!」
比瑪 「ああそうか!あはは、そうなんだ!あたし達でやったのよね!」
勇 「ちょ、ちょっと。撃破はしてないんだぞ」
比瑪 「そ、そりゃ分かってるわ」
勇 「これが東京湾か」
比瑪 「船の半分は難民キャンプになってるって」
(アイキャッチ無し)
勇 「どうしてノヴィス・ノアに行かないんだ?」
比瑪 「撃破してなけりゃ追いかけられるでしょう?敵を巻くためよ」
勇 「はっ!」
比瑪 「ねえねえ、あなた去年グランチャーに乗っていた人でしょ?
なのにこんな新しいブレンパワードに乗っちゃってさ、どうしたの?」
勇 「色々事情があるんだよ」
比瑪 「オルファンにいたのならあなただってリクレイマーかもしれないし、んならあなたあたしの敵よ?」
勇 「よく喋る女だなぁ!」
比瑪 「助けてあげたのになんて言い方!?」
勇 「誰がおまえなんかに頼んだ!」
比瑪 「ん!この辺りはね、ちょっと前までは夜の空の星以上の輝きに満ちていた都会があったのよ!でもさ、オルファンが動いたおかげでみんな沈んじゃったのよ!」
勇 「順序が逆だ!地殻変動のおかげでオルファンが海底から出たんだ。
それに呼ばれてオルファンの体を掃除した連中がいた!」
比瑪 「そういう人がグランチャーを使い出して地球の文明を破壊しようとしている!」
勇 「話はそうだ。けど、そうはさせないよ。
そうする前にあいつ等を潰す、そうしなけりゃ・・・」
比瑪 「ちょ、ちょっと!待ちなさ・・・うわー!」
比瑪 「うわー!・・・・・あ、ありがとうブレン!」
比瑪 「あいつ・・・!」
アノーア 「リクレイマーの伊佐未勇がブレンパワードにいたというのだな?」
比瑪 「はい」
ゲイブリッジ 「直子さんが予想していた通りでした。勇君の生存は確認出来ましたよ」
直子 「勇が・・・両親と依衣子の言う事を聞かないで、一人でオルファンを出てきたと言うのですか・・・」
比瑪 「だって、一人で脱走してきたみたいな事言ってました」
ゲイブリッジ 「オルファンも一枚岩ではないという事ですよ。
マコーミック艦長、オルファンに対して我々だって戦いようはあるという事です」
アノーア 「伊佐未勇のブレンパワードはナンガとラッセに追いかけさせます」
ナンガ 「了解」
ラッセ 「行きますわ」
ナンガ 「ターゲットは捕捉できてるんでしょうね?」
アノーア 「本艦のオーガニック・レーダーはまだまだ大雑把でね」
ナンガ 「だとさ」
ラッセ 「承知の覚悟ね」
民間人A 「なんで立たねぇんだ!」
民間人B 「揺すれ揺すれー!」
民間人C 「ヤミ米を運ぶには良い夜なんだからね」
源野 「はぁ・・・まったく、よく降るよまた」
源野 「三千二百飛び三番地のLの柄の部分に・・・」
勇 「情報通りだ。この大学ではプレートの研究をやっている」
勇 「こういう所に例のビー・プレートが保管されてる可能性は充分にあるよな」
勇 「・・・ぶち破るか」
源野 「ん?」
勇 「窓を壊すしかないか・・・ん?」
源野 「こ、これ・・・もしかして」
源野 「アンチボディじゃない!しかも新しいタイプの。こいつ・・・」
源野 「剥がれた!?」
源野 「あ、あなたは、あたしの研究を奪いに来たのね!」
勇 「プレートの研究者ならビー・プレートの存在を知っているはずだ!
このキャンパスに2枚のプレートが保管されているのは分かっている、見せろ!」
源野 「マイクロウェーブ発信機が目当てじゃないの?」
勇 「プレートの保管場所は?」
源野 「あ、あなた、リクレイマーじゃないの?」
勇 「案内しろ!」
源野 「は、はい。ついてらっしゃい」
勇 「マイクロウェーブ発信機ってオーガニック・エンジン用のやつなの?」
源野 「当り前じゃないの。ここはオーガニック・エネルギー研究所よ」
勇 「だから来たんだ」
源野 「残念ながらそのエンジンは伊佐未式のしか無いけどね」
勇 「17、8年前のおもちゃみたいなやつだろ」
源野 「やはりリクレイマーね。とうとうオルファンから来た」
勇 「開けろ」
勇 「聴診器は無いのか」
源野 「何それ?」
勇 「医者が使うやつだろ」
源野 「そんなのあるわけないでしょ」
勇 「メガホンみたいなやつでも良いよ」
源野 「このプレートさ、只の」
勇 「リバイバルしないプレートかな?」
源野 「硬化始まってるもの」
勇 「ビー・プレートとかいうのとは違うのか・・・・・あいつ!」
警備員 「うおっ!こいつ!」
勇 「あいつ!冗談やってるのか!」
勇 「俺のブレンをどうするつもりだ!」
源野 「オーガニック・エナジーを研究してれば触りたくなります!」
勇 「アンチボディはパイロットとの・・・」
源野 「研究員です!調べさせてもらいます!」
勇 「ふざけるな!」
勇 「このー!降りろ!」
源野 「や、やめなさい!」
勇 「アンチボディは人を選ぶんだ!」
源野 「あたしが乗ろうとした時、このブレンパワードは優しい顔をしていたのよ!」
勇 「こいつが?うっ!うわっ」
勇 「うわっ!と、止めろ!あ!あなたね!」
源野 「あたしと相性が良いのよ、この子!これなら飛んでくれるわよね、これ!」
勇 「えっ?うわ!うわああああ!」
源野 「動いた!飛んだ!あたしにも動かせるんだわアンチボディを!」
勇 「パービルトを安定に、興奮させるんじゃない!」
源野 「この子はね!このブレンパワードはあたしの言うままよ!オーガニックマシンってこういうものなのよ!オーガニックエナジーを使うものはね、人間の生体の力に感応して動いてるものなんだから当然の事じゃなくって!?」
勇 「こいつ、お袋と同じだ・・・」
翠(回想) 「私達はお父様がオーガニックエンジンの研究をしていたおかげでオルファンに選ばれたのよ。これはとっても名誉な事だわ」
勇(回想) 「俺、直おばあちゃんとここにいるよ」
依衣子(回想) 「オーガニックマシン、グランチャーってんだけど、格好良いよ」
翠(回想) 「良いですね、母さん」
直子(回想) 「良いも悪いも無いんだろう?おまえと研作さんがやる事は、いつもこうだね」
勇 「でりゃああああ!あなたね!」
源野 「ほら、ごらんよ!」
勇 「やめないか!」
源野 「あたしは・・・」
勇 「こいつぅ!」
源野 「あたしはオーガニックマシンの研究者なんですよ!あっ!うわあああ!!」
勇 「ハッチに足をひっかけるんだ!」
源野 「お、落ちるのは嫌よ!」
勇 「ブレン!何とかしろ!」
勇 「やめろブレン!」
勇 「俺がシートに座ったんだぞ!こ、こら!」
源野 「お、落ちるわ!と、止めてぇ!」
勇 「頑張るんだ、直ぐ止めます!」
勇 「ブレン着陸してくれ!頼む!」
勇 「喧嘩なんかしないからさ!」
子供(※) 「何なの?」
子供 「地震?」
子供 「変じゃない?地震じゃないもの」
子供 「どうしたんだよ!」
子供 「電気付けてよ!」
園長先生 「パ、パイロットがいる!難民の子供を収容している所に・・・来ないでくれ!」
勇 「はぁ。ブレン、おまえは俺の命の恩人だ。ありがとう」
源野 「お、降ろしてよ。降ろせるんでしょ?」
ジョナサン 「弟さんを撃墜しろという命令、きつくありませんか?」
クインシィ 「既に弟ではない」
ジョナサン 「ふっ」
クインシィ 「私達パイロットはグランチャーと共にオルファンの抗体になると選ばれた人間です。となれば、オルファンにこの身を捧げなければならない」
ジョナサン 「は」
※:このシーン、複数人いますが聞き分け出来ないので「子供」と一括りにさせてもらっています。
第01話「深海を発して」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106042309036327/
→第03話「勇の戦い」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106082206399517/
1 2