脚本:富野由悠季・浅川美也 絵コンテ:斧谷稔 演出:原田奈奈 作画監督:戸部敦夫



比瑪
(ナレーション) 「突然プレートという物が現れて、その中からブレンパワードが生まれた。
優しい目をしたその子に誘われて乗った時、グランチャーってのが襲ってきた。
どうしてブレンを目の仇にするの?あなたは誰?」

ヒギンズ 「上がってくるのは4機から5機です」
キメリエスクルーA 「コンガイールより受信、キメリエスよりノヴィス・ノアへ送信します」
レイト 「光通信へ接続。ノヴィス・ノアへは、届くな?」
キメリエスクルーB 「1分後に島影から現れます」
レイト 「継続中継、ノヴィス・ノアへ」

ノヴィスクルーA 「コンガイールより通信、キメリエス中継。アンチボディ確認」
アノーア 「数を聞いています」
ノヴィスクルーA 「6機です」
副長 「イランド隊、聞えるな。
海上に上がってくるアンチボディは6機、確認次第攻撃して良い」
アノーア 「比瑪の機体は?」
ノヴィスクルーB 「デッキに出ました」

クマゾー 「ストップ!」
デッキクルー 「何やってんの!?掃除道具はさっさと片付けんの!」
ユキオ 「ブレンパワードは擦ってやると喜ぶんだぞ。なぁ」
アカリ 「うん」
クマゾー 「うん」
ユキオ 「オーガニックエンジンのテスト艦だなんていったって、ここの船の連中なぁんも分かってないんだから」
アカリ 「比瑪姉ちゃん動かすよー」
クマゾー 「動くー」

比瑪 「オールセット」
アノーア 「ヘルメットは被らないのか?」
比瑪 「この子が嫌がるんですよ。髪の毛の動きからも何かを感じるみたいなんです」
アノーア 「行かせろ」
副長 「宇都宮比瑪、出ろ!」
比瑪 「はい!」

ユキオ 「本当の戦争に行くんだ」
クマゾー 「歩いた!」
アカリ 「比瑪姉ちゃんが?」
ノヴィスクルーC 「前方空域障害物無し」
ノヴィスクルーD 「オーガニックエンジン・・・係数・・・」
ラッセ 「比瑪が出るんだって?」
副長 「対空対潜戦闘配置を発令します」
アノーア 「そうしろ。アンチボディはオルファンから出てきたグランチャーだ」
ユキオ 「調子良い!」
アカリ 「比瑪姉ちゃん!」
クマゾー 「わぁー」
ナンガ 「流石だが、実戦になるんだろ?」
ラッセ 「そうなりゃ、俺達にお呼びがかかるさ」

国連軍パイロット 「みんながみんな、アンチボディになるわきゃねーだろう」

コモド 「来たのね、まったく」
コモド 「この辺りよ」
比瑪 「了解。ナンガとラッセ機はどうなんです?」
コモド 「発進準備が整えば応援に来てくれます」
比瑪 「それまでは一人かぁ」
コモド 「偵察だよ、あまり力まないで」
比瑪 「そういう事だよ、ブレン」
比瑪 「そうだよ、怖くなんかない。いつも練習して上手だったんだよ君は」
コモド 「いつも見事だけど、アンチボディの性能ならあたしのほうが手早くやってみせるのにさ」
比瑪 「これ!ちょっと乱暴でしょ!」

勇 「やった・・・追ってくるのは3機か。4機?」
シラー 「オルファンから脱出しようってのかい、勇。
カナン!あたしの援護だ、分かってるな?」
カナン 「了解。・・・シラー・グラス、勇を沈めるつもり?」
カナン 「逃げきれない、沈められるわよ」
勇 「このブレンパワードは俺に合っている。
親父達の言っていた事は間違っていた。・・・・カナンも追っかけてくるのか!?」
勇 「ブレン!」
勇 「カナン!付いてきてくれないか、俺の気持ちは話してきたはずだ!」
カナン 「地球は再生させないほうが良いからオルファンを浮上させるんだと言っていたのは勇でしょ!」
勇 「アンチボディの反応?」
勇 「向こうのブレンパワードか!」

ヒギンズ 「オーガニックレーダーが働いてくれてるけど、ホントなの?
機数が分からない・・・」
比瑪 「やった!捉まえたよ!」
比瑪 「分離できるかなぁ?」
比瑪 「4機のグランチャー?」
ヒギンズ 「500メートルを越えているんだよ?」

ノヴィスクルーB 「比瑪機700メートル突破」
ノヴィスクルーA 「オーガニックセンサー不調です」
ゲイブリッジ 「順調なようだな」
アノーア 「はい。宇都宮比瑪、良いパイロットです」
ゲイブリッジ 「そうだろう、信じていたよ。ラッセとナンガのブレンパワードは・・・」
アノーア 「出す覚悟はさせてますが・・・そういうレベルです」
ゲイブリッジ 「そうか」

クインシィ 「生まれたばかりのブレンパワードにグランチャーは何をてこずっているんだ!」
研作 「ブレンにはオルファンの拒否反応が出ていたのだろう?」
翠 「その程度の事でブレンを捨てる事は無かったんです。
シラー達には勇を連れ戻すように命令したわね?」
クインシィ 「脱走者は撃破のみ!」
翠 「軽率です!ブレンパワードをグランチャーと同じように使える勇なら調べる事は山ほどあります!」
クインシィ 「・・・カナン!シラーとゲイルの攻撃を支援しろ!動きが甘いぞ!」
翠 「クインシィ!」
クインシィ 「グランチャー部隊としての実力を見せなければ・・・!」
研作 「依衣子!軽率だぞ!」
クインシィ 「私はクインシィだ!」
研作 「我々はブレンパワードに対する認識を変えなければいけないと話していた!」
クインシィ 「研究は続行すれば良い。
現在はノヴィス・ノアも動きだしたのだ。それに対して・・・」
翠 「だからこそ、お父様の意見も聞いて・・・」
ジョナサン 「オルファンは伊佐未ファミリーのものじゃない」
研作 「オーガニックマシンというのはな・・・」
ジョナサン 「良いではないですか。
勇一人が使うゴミのようなブレンパワードなど、使い道はありませんよ」
研作 「オルファンに勇は必要なスタッフだ!ブレンパワードが上手く使えるのなら・・・」
ジョナサン 「ブレンパワードはオルファンにとっては突然変異が生み出した異物である、
そう仰いましたな。望まれて生まれてきたものではない、体力も無い」

カナン 「攻撃しろったってシラーが勇と絡んでいたら出来ない!・・・あ?」
カナン 「降りてくるのもアンチボディ・・・ブレンパワードなの?」
カナン 「あれは一年前だった・・・」
勇 「カナンか?」
カナン 「なんで相談してくれなかったの!?」
勇 「相談したよ!でもカナンはいつも自分の事ばかり喋っていただろ!」
カナン 「あたしが?」
勇 「東京でブレンパワードに会ってからずっとだよ」
カナン 「そうだったの・・・」
シラー 「カナン!」
シラー 「よくやった、撃破しないでオルファンに連れ帰れれば上等だよ」
勇 「シラー・グラス!放せカナン!シラー!・・・ブレンパワードだ!」
比瑪 「そのブレンパワードを放しなさいよ!」
カナン 「なんだ?ブレンパワード?」
比瑪 「同じブレンパワード同士なら!」
勇 「その声・・・宇都宮比瑪か?」
比瑪 「えっ?あたしの名前何で知ってんの?」
勇 「一年前グランチャーで会った」
比瑪 「ああ !伊佐未勇か!勇君かぁ!」
シラー 「勇ー!」
カナン 「駄目ー!」
比瑪 「来るんじゃない!」
勇 「シラー!」
シラー 「な、なんだぁー!?」
カナン 「勇ー!」
ヒギンズ 「ブレンパワードが浮上!」
勇 「お、おい!」
比瑪 「浮上した・・・いけー!」
勇 「お、おい!宇都宮比瑪!」
比瑪 「あんた逃げたいんでしょ!」

比瑪 「ちょっと!何すんのよ!
せっかく助けてやったのに、あたしから逃げてどうするつもりなのさ!?」
勇 「やっぱりおまえだったんだ!」
比瑪 「今、何をやったの!?」
勇 「何って・・・?俺達二人でグランチャーを撃退したんだろ。
おまえ、宇都宮比瑪だろ。おまえのブレンパワードの扱い方、イエスだね!」
比瑪 「ああそうか!あはは、そうなんだ!あたし達でやったのよね!」
勇 「ちょ、ちょっと。撃破はしてないんだぞ」
比瑪 「そ、そりゃ分かってるわ」
勇 「これが東京湾か」
比瑪 「船の半分は難民キャンプになってるって」

(アイキャッチ無し)

勇 「どうしてノヴィス・ノアに行かないんだ?」
比瑪 「撃破してなけりゃ追いかけられるでしょう?敵を巻くためよ」
勇 「はっ!」
比瑪 「ねえねえ、あなた去年グランチャーに乗っていた人でしょ?
なのにこんな新しいブレンパワードに乗っちゃってさ、どうしたの?」
勇 「色々事情があるんだよ」
比瑪 「オルファンにいたのならあなただってリクレイマーかもしれないし、んならあなたあたしの敵よ?」
勇 「よく喋る女だなぁ!」
比瑪 「助けてあげたのになんて言い方!?」
勇 「誰がおまえなんかに頼んだ!」
比瑪 「ん!この辺りはね、ちょっと前までは夜の空の星以上の輝きに満ちていた都会があったのよ!でもさ、オルファンが動いたおかげでみんな沈んじゃったのよ!」
勇 「順序が逆だ!地殻変動のおかげでオルファンが海底から出たんだ。
それに呼ばれてオルファンの体を掃除した連中がいた!」
比瑪 「そういう人がグランチャーを使い出して地球の文明を破壊しようとしている!」
勇 「話はそうだ。けど、そうはさせないよ。
そうする前にあいつ等を潰す、そうしなけりゃ・・・」
比瑪 「ちょ、ちょっと!待ちなさ・・・うわー!」
比瑪 「うわー!・・・・・あ、ありがとうブレン!」
比瑪 「あいつ・・・!」

アノーア 「リクレイマーの伊佐未勇がブレンパワードにいたというのだな?」
比瑪 「はい」
ゲイブリッジ 「直子さんが予想していた通りでした。勇君の生存は確認出来ましたよ」
直子 「勇が・・・両親と依衣子の言う事を聞かないで、一人でオルファンを出てきたと言うのですか・・・」
比瑪 「だって、一人で脱走してきたみたいな事言ってました」
ゲイブリッジ 「オルファンも一枚岩ではないという事ですよ。
マコーミック艦長、オルファンに対して我々だって戦いようはあるという事です」
アノーア 「伊佐未勇のブレンパワードはナンガとラッセに追いかけさせます」
ナンガ 「了解」
ラッセ 「行きますわ」
ナンガ 「ターゲットは捕捉できてるんでしょうね?」
アノーア 「本艦のオーガニック・レーダーはまだまだ大雑把でね」
ナンガ 「だとさ」
ラッセ 「承知の覚悟ね」

民間人A 「なんで立たねぇんだ!」
民間人B 「揺すれ揺すれー!」
民間人C 「ヤミ米を運ぶには良い夜なんだからね」

源野 「はぁ・・・まったく、よく降るよまた」
源野 「三千二百飛び三番地のLの柄の部分に・・・」
勇 「情報通りだ。この大学ではプレートの研究をやっている」
勇 「こういう所に例のビー・プレートが保管されてる可能性は充分にあるよな」
勇 「・・・ぶち破るか」
源野 「ん?」
勇 「窓を壊すしかないか・・・ん?」
源野 「こ、これ・・・もしかして」
源野 「アンチボディじゃない!しかも新しいタイプの。こいつ・・・」
源野 「剥がれた!?」
源野 「あ、あなたは、あたしの研究を奪いに来たのね!」
勇 「プレートの研究者ならビー・プレートの存在を知っているはずだ!
このキャンパスに2枚のプレートが保管されているのは分かっている、見せろ!」
源野 「マイクロウェーブ発信機が目当てじゃないの?」
勇 「プレートの保管場所は?」
源野 「あ、あなた、リクレイマーじゃないの?」
勇 「案内しろ!」
源野 「は、はい。ついてらっしゃい」
勇 「マイクロウェーブ発信機ってオーガニック・エンジン用のやつなの?」
源野 「当り前じゃないの。ここはオーガニック・エネルギー研究所よ」
勇 「だから来たんだ」
源野 「残念ながらそのエンジンは伊佐未式のしか無いけどね」
勇 「17、8年前のおもちゃみたいなやつだろ」
源野 「やはりリクレイマーね。とうとうオルファンから来た」
勇 「開けろ」
勇 「聴診器は無いのか」
源野 「何それ?」
勇 「医者が使うやつだろ」
源野 「そんなのあるわけないでしょ」
勇 「メガホンみたいなやつでも良いよ」
源野 「このプレートさ、只の」
勇 「リバイバルしないプレートかな?」
源野 「硬化始まってるもの」
勇 「ビー・プレートとかいうのとは違うのか・・・・・あいつ!」
警備員 「うおっ!こいつ!」
勇 「あいつ!冗談やってるのか!」
勇 「俺のブレンをどうするつもりだ!」
源野 「オーガニック・エナジーを研究してれば触りたくなります!」
勇 「アンチボディはパイロットとの・・・」
源野 「研究員です!調べさせてもらいます!」
勇 「ふざけるな!」
勇 「このー!降りろ!」
源野 「や、やめなさい!」
勇 「アンチボディは人を選ぶんだ!」
源野 「あたしが乗ろうとした時、このブレンパワードは優しい顔をしていたのよ!」
勇 「こいつが?うっ!うわっ」
勇 「うわっ!と、止めろ!あ!あなたね!」
源野 「あたしと相性が良いのよ、この子!これなら飛んでくれるわよね、これ!」
勇 「えっ?うわ!うわああああ!」
源野 「動いた!飛んだ!あたしにも動かせるんだわアンチボディを!」
勇 「パービルトを安定に、興奮させるんじゃない!」
源野 「この子はね!このブレンパワードはあたしの言うままよ!オーガニックマシンってこういうものなのよ!オーガニックエナジーを使うものはね、人間の生体の力に感応して動いてるものなんだから当然の事じゃなくって!?」
勇 「こいつ、お袋と同じだ・・・」

翠(回想) 「私達はお父様がオーガニックエンジンの研究をしていたおかげでオルファンに選ばれたのよ。これはとっても名誉な事だわ」
勇(回想) 「俺、直おばあちゃんとここにいるよ」
依衣子(回想) 「オーガニックマシン、グランチャーってんだけど、格好良いよ」
翠(回想) 「良いですね、母さん」
直子(回想) 「良いも悪いも無いんだろう?おまえと研作さんがやる事は、いつもこうだね」

勇 「でりゃああああ!あなたね!」
源野 「ほら、ごらんよ!」
勇 「やめないか!」
源野 「あたしは・・・」
勇 「こいつぅ!」
源野 「あたしはオーガニックマシンの研究者なんですよ!あっ!うわあああ!!」
勇 「ハッチに足をひっかけるんだ!」
源野 「お、落ちるのは嫌よ!」
勇 「ブレン!何とかしろ!」
勇 「やめろブレン!」
勇 「俺がシートに座ったんだぞ!こ、こら!」
源野 「お、落ちるわ!と、止めてぇ!」
勇 「頑張るんだ、直ぐ止めます!」
勇 「ブレン着陸してくれ!頼む!」
勇 「喧嘩なんかしないからさ!」

子供(※) 「何なの?」
子供 「地震?」
子供 「変じゃない?地震じゃないもの」
子供 「どうしたんだよ!」
子供 「電気付けてよ!」
園長先生 「パ、パイロットがいる!難民の子供を収容している所に・・・来ないでくれ!」
勇 「はぁ。ブレン、おまえは俺の命の恩人だ。ありがとう」
源野 「お、降ろしてよ。降ろせるんでしょ?」

ジョナサン 「弟さんを撃墜しろという命令、きつくありませんか?」
クインシィ 「既に弟ではない」
ジョナサン 「ふっ」
クインシィ 「私達パイロットはグランチャーと共にオルファンの抗体になると選ばれた人間です。となれば、オルファンにこの身を捧げなければならない」
ジョナサン 「は」

※:このシーン、複数人いますが聞き分け出来ないので「子供」と一括りにさせてもらっています。



第01話「深海を発して」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106042309036327/

 →第03話「勇の戦い」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106082206399517/

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