脚本:隅沢克之 絵コンテ:西森章 演出:小林智樹 作画監督:津幡住明



比瑪
(ナレーション) 「伊佐未勇は、あたしの家の近くでブレンを使って見せてくれた。けど、オルファンでつきあいのあった人が追いかけてきたから、いろいろあったみたい。
ひだまりの館を泥津波から守ってくれたのには感謝するけど」

国連軍 「よーし、行ってくれ。
サンキューベリーマッチ、ブレンパワード!」
ナンガ 「どういたしまして!」

比瑪 「じゃあ、みんな避難できたのね」
かえで先生 「みっちゃんの怪我が心配だけどね」
比瑪 「ごちそうさま」
かえで先生 「人参がなくって、ごめんね」
比瑪 「美味しかったわ」
ラッセ 「ごちそうさまー」
かえで先生 「お身体に気を付けて」
ナンガ 「比瑪ちゃんのママか。どうしたんだ?」
ラッセ 「豚汁だ。惜しかったな」
ナンガ 「豚汁?なんだい?豚汁?」
比瑪 「ポーク入りのベジタブルスープ」
ナンガ 「ポーク?何で教えてくれなかったんだよ?」
ラッセ 「国では食べるのか?」
ナンガ 「食べるさ!津波の片付けで働いてるんだから、そういうのは欲しいよなぁ」
比瑪 「かえで先生、仕事の邪魔したくなかったのよ。
でもあの子は取りにも来なかった」
ナンガ 「アンチボディの戦闘しか考えてないリクレイマーか」
勇 「こうやって食べていられるのも、おまえが元気でいるからだ。ありがとな」
ナンガ 「一人で戦うのに拘ってるのは近親憎悪ってやつかね?」
ラッセ 「単純に一人で出来る、って思ってるんじゃないの?」
比瑪 「甘えん坊とか寂しがり屋の反動かも、って見えるけど?」
勇 「だけど・・・」
勇(回想) 「チャクラ・エクステンション!」
勇 「俺とおまえだけで戦うんだぞ・・・!」
比瑪 「待ちなさい勇!その子はまだ疲れているわ!うっ!・・・もう!」
ラッセ 「敵を求めて幾千里かい?」
ナンガ 「面倒みきれんぞ・・・」
比瑪 「あいつったら!」

研究員 「あれ?ブレンパワードだ・・・」

勇 「迂闊だったよなぁ。
ビー・プレートのデータっていうのを盗んでおけば良かったよな」

アノーア 「グランチャーを撃墜したという事は、ノヴィス・ノアのブレンパワード部隊の初陣としては評価出来るものです」
ゲイブリッジ 「お孫さんが活躍した様子ですな」
直子 「比瑪ちゃんでしょう?それに、ナンガさんもラッセさんも良いパイロットになりましたから」
アノーア 「ふう・・・・・なんだ?」
ノヴィス・クルー 「移動するアンチボディのオーガニック・エナジーを捉えました」
アノーア 「グランチャーか?」
ノヴィス・クルー 「ウェーブ特性からはブレンパワードのものです。現在西東京方面に移動中」
アノーア 「分かった。すぐブリッジに行く。
おそらく、伊佐未勇君だと思われますが。お心当たりは?」
直子 「家に帰るつもりかしら?」
アノーア 「家?」
ゲイブリッジ 「考えられるな。あそこは良い土だった。野菜の味は良かったし、ここまで来るなら勇君だって帰る気にはなる」

カナン 「カナン・ギモス、グランチャー搭乗記録D0728。プレート回収作業はケイディ・ディンと行う。妨害無し。周囲は静か。
これより私は伊佐未博士の特命任務に就く。ケイディはプレートと共に待機」
ケイディ 「グランチャーで行かないのか?」
カナン 「爆撃に行くわけじゃないわ」
ケイディ 「ノヴィス・ノアのブレンパワードが来るかもしれない!」
カナン 「そうなったら、教えてね」
ケイディ 「クインシィが言っていた通りだ。カナンは伊佐未勇みたいにブレンパワードに汚染されている可能性がある」

カナン 「私は、何を期待しているのかしら」

勇 「こんな所にカナンのグランチャーだって?それにケイディが付いてるのか?」
ケイディ 「今確かにブレンパワードの反応があったが、ノヴィス・ノアのものか勇の野郎だったのか分かりゃあしねえ!まるっきりデータが無いとよぉ!」

勇 「誰のバイクだ?」
勇 「カナンが敵になっちゃうのは、勘弁してほしいな」

カナン 「チェストの棚の下・・・ですか?」
翠 「あまりに古典的な隠し方というのは見つかり難いし、見つかっても・・・今更ね」
カナン 「了解しました。あの・・・」
翠 「はい?」
カナン 「着物は持って来なくて宜しいんでしょうか?」
翠 「気に入った着物があれば、あげますよ」
カナン 「は、はい」

カナン 「伊佐未翠博士には母親の香りは感じない。でも、この伝統的な衣装には、女性の体を包んでいたものがある。女の体を包んでいたもの・・・」
男 「その腹の子は俺の子じゃないんだろう!?堕ろせ!」
女 「なんでそう思うんです!?神賭けてお腹の子はあなたの子です!」
男 「分かるもんか!てめえの・・・」
女 「臨月なんです!もう生まれてくるんです!」
カナン 「ひ、酷いよ。母さん・・・あたしは、誰にも愛されていなかった。そ、そうよ・・・生まれる前から、ずっと・・・」

勇 「ここら辺は7年前と同じだ」
民間人A 「今年の・・・は解禁しないってよ」
民間人B 「何で?それって理事長の我侭なんでしょ?」
勇 「ああっ!?」
カナン 「勇!?」
勇 「カナンじゃないか!どうしてこんな所に?」
勇 「俺の家に用事があったんだ」
カナン 「違うわよ。この辺りにもプレート反応があったから、探していただけよ」
勇 「そうなのか・・・?ふぅ」

カナン 「でも、あなたに会えるような気はしていたわ」
勇 「カナン、オルファンを捨ててくれないか?」
カナン 「出来るわけないでしょ!・・・出来ないわ」
勇 「シラーもジョナサンもクインシィに親父にお袋・・・カナンもだけど。みんなオルファンに寄り掛っている。それでは子供のままじゃないか!」
カナン 「思い通りにならないからってお家を飛び出してしまうほうが、ずっと子供だって思わない?」
勇 「俺はオルファンの間違いに気が付いたんだ。オルファンでは選ばれた人間だけが生き残れるって教えられた。オルファンに呼ばれたリクレイマーだけが生き残るって。それってさ、絶対間違ってるよ!」
勇 「俺さ、ブレンパワードに乗った時に分かったんだ。オルファンではちゃんと動かなかったあれさ。動いてくれたんだぜ!」
カナン 「ケイディ、こちらカナン。迎えに来て」
ケイディ 「了解。近くにブレンらしいものをキャッチしたけどな、何か変わった事はないか?」
カナン 「まだ何もないけど・・・勇なら会ってみたいわね」
ケイディ 「ああ。勇を捕らえれば、伊佐未博士もお喜びになる」
カナン 「早く来て!」
ケイディ 「了解。1分後に」
カナン 「30秒よ。それ以上待てないわ」
aaaa 「カナン!」
カナン 「逃げるなら、今のうちよ」
勇 「カナン聞いてくれ!」
カナン 「あたしは!あなたと違って帰る場所はオルファンにしかないのよ!さぁ、行きなさい」
勇 「カナン・・・うっ!」
カナン 「これ以上あなたと一緒にいたら、あたしは帰る場所を無くしてしまうわ!」
カナン 「さよなら、勇」

勇 「ばあちゃん、1ヵ月はほったらかしてるぞ」
勇 「碌な物ねぇな」
勇 「カードがあっても・・・マシンが無けりゃあな」

ケイディ 「ふふふっ。だからさ、俺は嫌だって言ったろ?」
カナン 「伊佐未翠博士のカードも回収した。プレートも運び出せるのに」
ケイディ 「村の連中に大騒ぎされながらおまえを回収したんだぜ。なんであんなに慌てて俺を呼んだ?何があった?」
カナン 「何がって・・・」
ケイディ 「伊佐未勇に会った!」
カナン 「冗談言わないで!」
ケイディ 「はっはっはっは!そんなのはいいんだ。こうやって戻ってきたんだからな」
カナン 「なら戻りましょう」
ケイディ 「嫌だ。勇の機体らしいのが一機。それに、ノヴィス・ノアのアンチボディも動いているってんだ。チャンスじゃねえか、撃墜するんだよ!ノヴィス・ノアなんてわけの分からん連中の寄せ集まりなんだ!ブレンパワードなんて元々機能不良のアンチボディなんだぞ!」
カナン 「オルファンではね・・・」
ケイディ 「生身で勇と会えば迷っちゃうのはよーく分かるぜカナン。だからブレンパワードを倒す!そうすりゃ勇の事なんてバッサリ忘れられるってもんさ!」
カナン 「ケイディはグランチャーの抗体、つまりパイロットになってどんな気分?」
ケイディ 「体に芯が通るって感じだな」
カナン 「あたし時々すごく気分が悪くなる、瞬間があるわ」
ケイディ 「カナンはグランチャーの抗体になり切れないか。ならオルファン付きのリクレイマーになりゃあ良い!」
カナン 「そうね・・・」
ケイディ 「グランチャー部隊の目的は浮上するオルファンをあらゆる敵から守る事なんだ。勇がブレンを使ってみせたとなりゃ、ノヴィス・ノアのブレンパワードだって動きが悪いうちに撃破しておかなくちゃあ、人類の未来は無くなっちまう」
カナン 「ケイディはアンチボディね」
ケイディ 「ああ!グランチャーとオルファンのな!」
カナン 「素敵、ね」

勇 「ふぅ・・・これは20年前の日記かよ。うんと、このインデックスは大学時代のノートで、ビー・プレートの研究時代ってのは、もっと後だもんな。・・・ふぁぁぁ」

(アイキャッチ無し)

ナンガ 「この家かい?」
比瑪 「ええ、一年振りだわ!」
ナンガ 「ゲイブリッジ司令の恋人の家ねぇ」
ラッセ 「追っ付け、焼けぼっくりの二人も来るぜ。火傷しないように気を付けよう」
比瑪 「何言ってるの?二人とも!」
ナンガ 「子供が口を挟むこっちゃない」

ナンガ 「今時こんな雑草取りをするとはねぇ」
ラッセ 「DNAファームなら虫も付かないし、雑草も生えないもんな」
ナンガ 「ああ、俺は何であいつがオルファンから逃げだしたか分かったような気がするなぁ」
ラッセ 「何でだよ?」
ナンガ 「2、3ヶ月前まではちゃんと畑をやってた所だ。奴は直子さんのこんな仕事を見て育った・・・」
比瑪 「そういえば向こうのトマト畑の雑草は取ってあったわね」
ラッセ 「という事は家の中にいるのか。ブレンは見えなかったぞ」
ナンガ 「ここは奴のホームグラウンドだぜ?」
比瑪 「こんな所で、こんな家と畑が好きだったのよ。勇って子は」
ナンガ 「ああ。そういう奴が海中にいてグランチャーの強制に従うなんて無理な話だ」
比瑪 「ならノヴィス・ノアに来てはくれないわね」
ナンガ 「まあな。ノヴィス・ノアはDNA操作と有機培養の塊で・・・」
ラッセ 「あげくに、世界中の官僚共にコントロールされてるんだものなあ」
ナンガ 「襲われるぞ」
比瑪 「良いもん!
ここは直子おばあちゃんの家よ」
比瑪 「何だ?」
比瑪 「綺麗!うわぁ!これって直子おばあちゃんが着たの?それとも勇のお母さんかな?姉さんのかな?」
ラッセ 「比瑪!勇は2階だ!」
比瑪 「は、はい!」
ナンガ 「おい!恋人達も来たぞ!」

勇 「うっ・・・」
比瑪 「可愛い寝顔」
勇 「ああっ!・・・あっ、うああ!」
勇 「あ痛ぅー。あっ?」
直子 「勇?」
ラッセ 「どうしたんです?」
ゲイブリッジ 「何でもない」
勇 「ば、ばあちゃん!」
直子 「い、痛くないかい?」
勇 「こんなのどうって事ないさ」
直子 「大きくなって・・・」
勇 「ゲイブリッジさん?」
ゲイブリッジ 「ん」
直子 「知っているの?」
勇 「ノヴィス・ノアの情報は大雑把に聞いている。ばあちゃんの事も分かってたから・・・・・」
勇 「会いたくってさぁ!」
直子 「おかえり、勇」
ゲイブリッジ 「・・・・・ん!?」
勇 「なんだ?」
比瑪 「ナンガ!
・・・あっ!」
ラッセ 「やりやがったな!」
ナンガ 「アンチボディはどこだ!?」
比瑪 「ブレンに乗るわ!」
ラッセ 「おう!」
直子 「勇!」
勇 「ズボンだ!」
ゲイブリッジ 「直子さん、ここは危険だ!」
直子 「は、はい!」

比瑪 「どこから?」
ナンガ 「何機なんだ!?」
ラッセ 「山の向こうから狙ったのか?」
勇 「カナンか?」

比瑪 「ブレン!」
ケイディ 「勇のブレンじゃないのか?ノヴィス・ノアのか?
カナン!一機じゃないぞ!・・・ん?何だと!?」
比瑪 「後ろを取られた?」
カナン 「この子、あのブレンパワード!」
比瑪 「あの人、迷ってくれている?」
カナン 「去年東京で会ったブレンパワード?」
ケイディ 「カナン!援護してくれ!」
カナン 「え!?」
比瑪 「あ、あなた!」
勇 「カナン!」
カナン 「ゆ、勇?」
勇 「カナン!オルファンに頼っている限り、幸せになんかなれないぞ!」
カナン 「あたしは・・・あたしは只、生まれてきた事を後悔したくないだけ!」
勇 「だったら!尚更オルファンから離れなくちゃ駄目だ!」
ケイディ 「カナン!」
カナン 「え?」
ケイディ 「ブレンパワードに汚染されている者の言葉など、聞く事はない!」
カナン 「あうっ!」
勇 「カナンは、誰からも愛されていないって思い込まされてるんだ!」
カナン 「あたしは、生まれる前から愛されてなかった!」
勇 「見つけりゃいい!自分で育てればいい!愛ってそういう・・・」
ケイディ 「聞えている!汚染された者の戯言が!」
ケイディ 「ブレンを動かした貴様は死ぬんだよ!」
勇 「カナンを巻き込もうとしたな!ケイディ!」
カナン 「勇?」
ケイディ 「オルファンには全生命を治める力がある、絶対者だ!その絶対者を守る使命を与えられたリクレイマーは、間違いを犯す事が無い者だぁ!」
勇 「救われなかった者も選ばれなかった者も、救えるのが絶対者だ!リクレイマーはオルファンの使いじゃない!」
ケイディ 「リクレイマーはオルファンを目覚めさせた!オルファンを守った!」
勇 「勝手な言い草ぁ!・・・・・あいつ等!?」
ラッセ 「うおおおお!」
ナンガ 「ラッセ!大丈夫か!・・・ん?」
ケイディ 「勝手なのは人類のほうだ!地球を荒しきった!」
勇 「絶対者なら、それをまるごと救えるはずだ!」
ケイディ 「どういう事だ、カナン?ブレンパワードがグランチャー並のパワーを発揮している!」
カナン 「勇の生体エナジーが復活させた?なら今はケイディ・・・・・はっ!ケイディ!」
ケイディ 「下がるにしても!」
勇 「あいつぅぅ!」
勇 「カナン!避けろ!」
カナン 「勇?」
勇 「やれた?」
ケイディ 「ブレンか?勇なのか?ブレンパワードがやったというのか!?何でだよぉ!!」
比瑪 「つ、強い!」
ナンガ 「もう一機はどこだ!」
比瑪 「えっ?」
勇 「ケイディの奴・・・もう少し、もう少し何とか・・・カナンだって!」
ラッセ 「見ちまったぜ。グランチャー乗りがブレンパワードを使うとああなるのか!」
ナンガ 「減らず口を叩くのも分かったが、それにしちゃビビっているようだな」
比瑪 「あいつ、ナーバスなんだ・・・」
勇 「あの時・・・カナンに相談してる暇なんか、無かったじゃないか!」

カナン 「ブレンに乗って、勇は強くなっていく。あたしはこのまま・・・このまま?・・・・・・また、頭痛が来た」

勇 「学生時代の恋人かよ」
直子 「覚悟してましたけど・・・」
比瑪 「ねえ、ノヴィス・ノアに来なよ!」
勇 「今は考える時間が欲しいんだ」



第03話「勇の戦い」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106082206399517/
 →第05話「敵か味方か」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201106221913073141/

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