脚本:富野由悠季・浅川美也 絵コンテ:西森章 演出:斧谷稔・森邦宏 作画監督:佐久間信一



比瑪
(ナレーション) 「あたしはチラッとしか見てないけど、難しそうなお父さん。それに姉さんのクインシィさんまで攻めて来たんだから、世の中どうなるんでしょうねえ。カント君が姉弟の出会いを見ているんだけど、そういうことになるとあの子なんにも教えてくれないんだなあ」

直子 「戻ってこないわねぇ」
比瑪 「そうですね・・・」

アカリ 「良いお野菜沢山買えて良かったね、比瑪姉ちゃん」
アカリ 「比瑪姉ちゃん!」
比瑪 「あ、何?」
アカリ 「勇の事をそんなに心配してもしょうがないでしょ?」
比瑪 「あんなやつの事誰が心配するもんですか」
アカリ 「そーかぁ?」
比瑪 「こらあ!」
クマゾー 「あうっ!」
比瑪 「勝手に入っちゃ駄目でしょ?」
クマゾー 「違うも!スパイだも!」
比瑪 「お腹空いてるわけないのに」
クマゾー 「違うも!違うも!」
アカリ 「ああっ!」
比瑪 「あっ!」
勇 「あっ!うっ・・・」
アカリ 「勇!」
比瑪 「何してんの!そんなところで!」
女将 「知り合いならお金貸してもらいな!こんな所の代金は安いんだから」
勇 「いえ、知り合いじゃありません」
比瑪 「ちょっと!そういう態度はないんじゃない!皆心配・・・・うわっ!」
クマゾー 「うわああ!」
アカリ 「喧嘩だー!」
女将 「えっ?」
勇 「喧嘩?」
比瑪 「なんて街さ」
町人A 「・・・決めただろうって!」
町人B 「後から来やがって!」
チンピラA 「こっちは仁義切ってんだ!」
女将 「ちょいと。バケツの水をぶっかけるんだよ」
勇 「あ、はい」
女将 「こっちまで巻き添えにされちゃたまんないから!追い出しな!」
勇 「かけますよ?」
女将 「バシャーッとね!」
比瑪 「あれ?勇のお父さん?」
勇 「え?」
アカリ 「そうみたい」
勇 「本当か?どれさ?」
町人B 「し、失礼しました」
チンピラA 「ばかたれがっ!」
町人A 「えっへっへっ・・・」
チンピラA 「何も分かってねえんだから・・・」
チンピラA 「どうもすいません先生」
研作 「いや」
勇 「なんであんな連中と一緒なんだ?」
比瑪 「お父さんでしょ?」
勇 「これ、頼む!」
比瑪 「ちょ、ちょっとぉ!」
アカリ 「勇!待って!」
クマゾー 「僕も!」
比瑪 「待ちなさい!」
女将 「お嬢ちゃん!」
比瑪 「ひっ!」
女将 「あの子は勘定の半分しか働いてないんだよ。払ってきな!」
比瑪 「うう・・・」

クマゾー 「はっはっはっ・・・」
比瑪 「アカリ!」
アカリ 「はい、続行中」
比瑪 「へ?」
強面の男 「ねえちゃん」
比瑪 「ひぇ」
強面の男 「これだけ貰うぜ」
比瑪 「そんな・・・クマゾー!アカリ!」
クマゾー 「ぐあっ!」
アカリ 「クマゾー、大丈夫か?」
クマゾー 「だいじょー、だいじょー」
比瑪 「はぁはぁ・・・」
クマゾー 「うう!」
アカリ 「静かに!」

勇 「あんな連中をリクレイマーに勧誘しようっていうのか・・・・・うひっ!」
クマゾー 「行くなも」
勇 「こんな所で逃げるわけないでしょ」
比瑪 「そうかしら?」
アカリ 「勇のお父さんを追いかけてるんだろ?」
勇 「その倉庫に入った。声を出すなよ。待ってるんだ」
比瑪 「クマゾーは良いわ。動くんじゃないのよ?」
比瑪 「あんな事言ってもオルファンに帰るかもしれないし、油断なんかできるもんですか!」

勇 「プレート?」
比瑪 「プレートがどうしたの?」
勇 「静かにして!」
比瑪 「プレートを勇のお父さんが持ってくってことならさ、リクレイマーが新しいプレートを手に入れるってことよ?」
勇 「触んな!」
比瑪 「むっ」
勇 「勝手な事すんなよ」
比瑪 「入り口を見張るわ。勇はそこで監視して」
勇 「お、おい・・・」
研作 「全部偽物じゃないか!」
チンピラA 「金を出すのが惜しくなったのか」
研作 「こんなものを口実に私に接触するとは!」
チンピラA 「くああああ!ふん!」
研作 「うおっ!」
勇 「お、親父!」
チンピラA 「本物だろうが偽物だろうが俺達には関係がない。俺達をノヴィス・ノアに乗れるようにしてもらうぜ」
研作 「そ、そんな事は無理だ・・・!」
チンピラA 「あんたァ!あんたの命と引き換えならどうとでもなるはずだ!」
研作 「ノヴィス・ノアは無理だ!」
チンピラA 「強情だな、命縮めるよ博士。2、3日ここで考えてくれれば・・・やってくれるよな!」
チンピラB 「誰だ!」
比瑪 「農家の人、ごめんなさい!」
アカリ 「ジャガイモさんごめん!」
クマゾー 「カボチャさんごめん」
チンピラA 「どこのガキだ!?」
比瑪 「ごめんなさい!」
チンピラA 「ぐおっ!」
チンピラC 「ふざけんな!」
比瑪 「わあっ」
アカリ 「いいっ!?」
勇 「くっ!」
チンピラC 「うおおっ!」
研作 「勇!」
チンピラC 「ちっ!」
チンピラA 「やめねぇか!・・・うっ」
比瑪 「決まった!」
アカリ 「偉いぞー!」
クマゾー 「やったも!」
研作 「済まなかったな勇」
勇 「別にあんたを助けたくて来たんじゃない」
研作 「そうだろうが・・・」
チンピラB 「貴様達がいらねぇんなら、海に捨てちまう!」
比瑪 「クマゾー下がって!」
アカリ 「うわー」
研作 「うおおっ!」
勇 「うわあ!」
研作 「しまった!あのプレートは生きているのか!」
勇 「偽物が生きてるのかよ?」
研作 「あんな連中に本当の事が分かるものか」
勇 「比瑪、アカリ、クマゾー、大丈夫か?」
比瑪 「こっちよ。プレートどうしたの?」
勇 「走っていった」
比瑪 「走っていった?あっ?」

通行人 「プレートが来るぞー!」

警官 「近寄ったら危険だぞ!」
研作 「ノヴィス・ノアのプレートの研究員です!」
警官 「近づいたらリバイバルに巻き込まれるぞ!下がってなさい!」
比瑪 「お巡りさんの言う通りよ、どうするの?」
勇 「親父の口振りじゃ少なくともグランチャータイプにはならない。ん?」
野次馬 「プレートのみんながリバイバルするもんじゃないんでしょ?」
勇 「他人の車で!」
アカリ 「比瑪姉ちゃん」
比瑪 「追いかけるっていったって!」
勇 「分かっているよ!」

研作 「物事を諦めないというところは母親そっくりだ」
勇 「並べよ!」
比瑪 「このバイクの運転は難しいんだから!」
クマゾー 「うわあああ!」
研作 「一緒にオルファンに戻るか?」
勇 「ふざけるな!何故俺がオルファンから逃げたのか分からないのか!」
研作 「たまには外に出たくなるのは分かる」
勇 「あんたがオルファンの動きを止めようとしなかったからだ!」
アカリ 「お父さんを撃つのか?」
勇 「こうしなければならない時だってある!」
研作 「オルファンは自分の力でもうすぐ海上に出る。とっくに止められなくなっていた」
勇 「中からぶち壊せばいい!」
研作 「止められる程に壊せるものか!」
勇 「ブレンパワードを使えばやれるんだろ!?」
研作 「やれるわけがない」
勇 「ブレンとグランチャーが本能的に反目しあっているのは何故だ?ブレンがオルファンの中で活性化しないのは何故だ?それを考えれば・・・!」
研作 「そうか!そこに方法があるのか!」
勇 「ブレンの抗体反応はオルファンの体には毒になる」
比瑪 「そういう考え方があるんだ!」
勇 「ブレンがパワーアップしてるってのはオルファンには脅威になるはずだ!」
研作 「おまえのつもりなどっ!」
勇 「うおっ!?」
勇 「親父め!」

勇 「親父・・・グランチャーで来たのか!」

勇 「やっぱりだ。よりによって同じような所に隠して!」
比瑪 「やる事が一緒なんて、やっぱり親子ね」
勇 「嫌味か?」
比瑪 「事実でしょ?」

研作 「ノヴィス・ノアと勇はどう動くか、手並みを見せてもらうぞ」

アカリ 「そーらっ」
比瑪 「待ちなさいよ!追いかけてどうするの!?」
勇 「潰すんだよ!」
比瑪 「親を潰したってどうなるものでもないわ!」
比瑪 「ひゃあ!」
勇 「ぐっ!」
アカリ 「比瑪姉ちゃん!勇!大丈夫か?」
比瑪 「・・・分かったわ。お父さんの行方を追うにしても援護はするわ」
勇 「頼む」
アカリ 「喧嘩してたのか?」
比瑪 「違うよ」
アカリ 「ん?」
比瑪 「クマゾーは?」
アカリ 「んー・・・?」
クマゾー 「うわああああ!」
アカリ 「ああっ!」
比瑪 「クマゾー!」
クマゾー 「うううわあああっ!」
比瑪 「どういう事なの?」
アカリ 「やだぁ!」
クマゾー 「ひいやあ!」
比瑪 「勇!クマゾーが引っ付いてるのよ!」

クマゾー 「ううっ!ああっ!」
勇 「ブレン、親父を追って・・・ん?」
クマゾー 「うわぁ!」
勇 「ブレン、済まない」
クマゾー 「ひえっ!」
勇 「クマゾー、何やってんだ」
クマゾー 「ひゃっ!」
勇 「一体何をやろうとしてたんだ?」
クマゾー 「スパイだも、スパイ。比瑪姉ちゃんはいつも勇をスパイしろって言うも!」
勇 「まだそんな事言ってんのか、あいつ・・・ん?」
勇 「親父の奴、真っ直ぐにオルファンに帰るのか」
研作 「このまま付いてきたら勇、おまえはまたオルファンのアンチボディになる。ブレンと人間のアンチボディ化は違うからな」

(アイキャッチ)

アカリ 「そうなの、アイリーンさん」
比瑪 「だからブレンみんなで勇を追いかけるんです」
アカリ 「すぐ港に着くよ。・・・」
比瑪 「ブレンがオルファンに対抗する者なら元々そういう力を持たされているわけよね。だから勇は独りで戦えると思ったんだ。なら皆でやれば何とかなる?」
アカリ 「ひゃあ!」
比瑪 「ごめんなさい!」

研作 「海に浸ると落ち着くのは太古からの記憶に抱かれているからだ。この意味を分かってくれ、勇」
勇 「クマゾーもいるんだって感じさせればブレンは頑張ってくれる!」

ノヴィスクルー 「船は外海に出るぞー!」
カナン 「ドクターの誘いに乗ってオルファンに近づけても、その後どうするつもり?勇?」
ラッセ 「無茶する坊やだって思わないか?」
ヒギンズ 「何としてでもオルファンを止めたいんでしょう?あたしは好きだな。ね、ブレン?」

副長 「キメリエスに進路を確保させろ。レディ・ワンとレディ・ツーは前衛だ」
アイリーン 「ラッセ・ブレンがヒメ・ブレンを桟橋まで運んでくれるわね?」
カナン 「あたしも連れて行きます」
アイリーン 「なら、全員で比瑪ちゃんを迎えて、それから移動で間に合いますね?」
カナン 「勿論。イランドを追い越せます」

勇 「なんだと?オルファンはこんなに浮上しているのか?」
クマゾー 「負けるも?」
勇 「負けるもんか」

比瑪 「ブレーン!」
比瑪 「そこで待ってらっしゃい。すぐにウェッジが迎えに来てくれるから」
アカリ 「うん。行ってらっしゃい、ヒメ・ブレン」

勇 「こんなに大きかったのか」
クマゾー 「おっきい・・・おっきいも?」
勇 「ああ」
勇 「引かれてるのかブレン?苦しくないか?・・・触る?」
勇 「ここか?」
クマゾー 「うわっ!」

翠 「プレート台の上に休ませるだけではグランチャーは活性化しません。総合フェロモンの投与と神経系への投与も忘れるな」
シラー 「お呼びですか、ジョナサン・グレーン」
ジョナサン 「ああ。フィジジストの方からグランチャーを出してくれと言ってきた。行ってやってくれ」(※)
シラー 「分かりました」
翠 「休みたがっているのには・・・」
シラー 「ドクター翠、いやに張り切っているじゃあないですか」
ジョナサン 「グランチャー部隊の存在が分かったのさ」
翠 「ジョナサン・グレーン」
ジョナサン 「は」
翠 「新兵器の事で相談があります。手が空いたら研究室の方へ」
ジョナサン 「今でも宜しい?」
翠 「無論です」

ジョナサン 「プレートの残り滓と言いますが、あれは使えます」
翠 「おかえりなさい」
研作 「おう」
翠 「どうでした?会議は」
研作 「光合成とオーガニック・エンジンの関係をついた者がいた」
翠 「流石、人物はいるものですね」
研作 「オルファンと植物エネルギーの総量を再チェックする必要があるが・・・」
翠 「こちらも取り込み中ですが」
研作 「やむを得んな」
クインシィ 「ジョナサンまで一緒なのか!」
研作 「クインシィ、体は良いのか?」
クインシィ 「当り前だ!」
翠 「何事です!?」
クインシィ 「私が休んでる間にグランチャー部隊の編成を変えようとしたな!?」
翠 「いけないかしら?」
クインシィ 「部隊に関しては全てあたしに任されている!ガバナーからもね!ジョナサン、付き合いな!」
翠 「私と彼でもグランチャーの強化の相談をしています」
クインシィ 「あたしと相談しろ!」

勇 「くうっー!」
クマゾー 「わあっ!」
勇 「この辺りは、まだ手を入れてない所じゃないか」
勇 「すぐに戻るから。動くんじゃないぞ。近くの偵察だけだ」
クマゾー 「すぐだも?」
勇 「ブレン、クマゾーを頼む」
クマゾー 「わっ!く、苦しい-!」
勇 「クマゾーを外には出すなよ」
クマゾー 「おしっこ」

カナン 「比瑪さん出過ぎです!急がないで!」
カナン 「オルファンは近いのよ。勇と街で何があったの?」
比瑪 「勇がお父さんのグランチャーについていけばオルファンに潜り込めるって・・・」
カナン 「そんな馬鹿な!」
比瑪 「そうですか?」
カナン 「え?」
比瑪 「カナンさん、リクレイマーの教義に縛られ過ぎてません?」
カナン 「そっか。信じ込まされてたけど、あたしは今、双子のブレンの一人に抱かれてる」
ヒギンズ 「比瑪もカナンもコクピットへ入って!あたし達は、オルファンの海域に入っているんだよ!」

クマゾー 「まぢぃ。降ろしてよう、もちゃうも・・・!」
クマゾー 「え?」
クマゾー 「あ、ありがと!勇に内緒。内緒な!」

フィジシスト 「良いねえシラー・グラス。助かる」
シラー 「しょっと。あと3ヵ所で済むの?」
フィジシスト 「今日はね」
シラー 「ガバナーは何であんな伊佐未ファミリーにリクレイマーのリーダーを任せたんだろうね。昔は・・・あ?」
シラー 「まだここにいるね?」
フィジシスト 「ああ」

クマゾー 「あれえ?どっちだったっけ?」
シラー 「おい」
クマゾー 「ひゃっ!」
シラー 「ここは立ち入り禁止地区だぞ。居住区の子が何で入り込めたんだ?」
クマゾー 「ご、ごめんも!ごめんなも!」
シラー 「泣くんじゃないよ。どこの居住区なんだい?」
クマゾー 「ノ、ノヴァ・・・」
シラー 「ああ、ノヴァビア区の子かい。半日歩きっぱなしじゃなかったの?こんな所まで探検するなんて元気な子だ。おまえみたいなのが銀河で暮らせるようになる新人類なんだろうね」

勇 「これじゃあ偵察する前に迷子になっちまう。うっ?」
フィジシスト 「い、今の伊佐未勇じゃないのか!?」

シラー 「参ったねぇ、ミイラ取りがミイラになっちまった。フィジシストに連絡をとるか」
クマゾー 「向こうも!向こう!」
シラー 「そうかい?」

シラー 「あら?」
クマゾー 「あー!」
シラー 「こ、こら!離せ!落すぞ!」
クマゾー 「うわあっ!」
シラー 「勇のブレンじゃないか!なんでこんなところにいるんだ、こいつが!?」
勇 「くっ・・・何?」
勇 「シラー、クマゾーを離せ!」
シラー 「そういう事か!」
勇 「動くな!」
シラー 「貴様っ!」
勇 「クマゾーの面倒を見ていてくれたのか」
シラー 「そういう趣味があるわけないだろう!」
勇 「弟達を食べさせる為、オリンピックの選手になろうとした気持ちを忘れてないなら、オルファンから出ろよ!」
シラー 「ブレンパワードに汚染された奴の話なんか聞きたくもない!」
勇 「ブレンは乗り手の気持ちを分かってくれるアンチボディだ」
シラー 「弟達を飢えで死なせちまったあたしの気持ちを分かってくれるわけはないだろう!」
勇 「分かってくれるよ!」
シラー 「なら、あいつに涙を流させてごらんよ。胸が苦しいって悶えるかい!?」
勇 「意気地なしの当て擦りか!」
フィジシスト 「いたぞ!」
シラー 「くっ!」
フィジシスト 「ブレンパワードが動いている?」
シラー 「何で潜り込まれたんだ!」
フィジシスト 「そんな事言われたって・・・」
シラー 「こいつ、活性化している!」

勇 「よし!クマゾーのおかげだ!」
クマゾー 「も」

クマゾー 「ごめん。ごめんな・・・!」
勇 「怒っちゃいない。独りにさせてすまない。うっ!?」
シラー 「いけしゃあしゃあとオルファンに入ってきて、帰すものか!」
勇 「こんな内輪喧嘩をして何になるんだ!」

カナン 「冗談でしょ?」
比瑪 「フリュイドスーツに着替えたほうが良かったのかなあ。あれ?海底が明るいの?」
比瑪 「ち、違うわ。あれ、オルファン?駄目だ!オーガニックレーダーがめちゃめちゃだ!こんなものに勇が惹かれていったの?そんなの・・・!」

クマゾー 「うわああ!比瑪姉ちゃーん!」
勇 「俺が抱いてやってるんだぞ、怖がるとブレンが焦るだろ!」
クマゾー 「比瑪姉ー!」
シラー 「往生際が悪いぞ!」
勇 「比瑪のとこに帰りたかったら、俺とブレンを信じてろ!」
シラー 「勇めぇー!」
クマゾー 「ぶつかるー!」
勇 「ぶつからない!」
勇 「シラー、やるな!」
シラー 「このぉ!」
シラー 「あたしに斬られてしまえ!」
勇 「シラー!闇雲にオルファンの為に戦ったって、おまえの弟達が喜ぶものか!」
シラー 「何の力も無かったから弟達を飢え死にさせちまったんだ!グランチャーの力があればこんな時代にした連中に仕返しができる!オルファンが銀河旅行をすれば、星になった弟達にだって会うことができる!」
勇 「そういう生命力を吸ってオルファンは浮上するんだ!その時は人類は全滅する。全滅したら仕返しする奴もいなくなる!」
シラー 「結構じゃないか!」
勇 「その命の力を逃げる為に使うな!生きる為に使わせるんだ!オルファンにも!」
シラー 「できるわけない!」
勇 「できる!」
勇 「目を覚ませ!シラー!」
シラー 「うるさい!みんな死んじまえ!」
クマゾー 「死にたくないも!」
クマゾー 「死ぬと冷たいも!死んだかあちゃん氷だったも!何も言わないも!うっ、うわあああ!」
シラー 「う・・・うおおおおおお!」
クマゾー 「やっつけちゃわないのか?勇?」
勇 「やっつけたって、やっつけたってどうしようもないんだよ」
勇 「グランチャーの大群?あんなにか!・・・逃げる!」

カナン 「数が読めないけど?」
比瑪 「勇が浮上している?」
ラッセ 「敵情視察もしてないんだぞ!」
ヒギンズ 「見た目の数は20とか30という数!」
ラッセ 「勇を収容して後退だ!」

クマゾー 「比瑪姉ちゃん!」
勇 「下がるの!急げ!」
比瑪 「クマゾーはいるのね?」
クマゾー 「逃げるも。グランチャーがいっぱいだも!」
比瑪 「分かってる」
ヒギンズ 「イランド隊には偵察監視依頼します!上昇!」
カナン 「宜しい?空域離脱します!」

アカリ 「日本とお別れするの?」
比瑪 「そうだね・・・ねぇ、シラー・グラスってどういう人?」
クマゾー 「強い!優しい!肩固いも!ん?」
比瑪 「昔から知り合いなんだよね」
勇 「そりゃあ色々あったけど」
比瑪 「色んな女の人知ってんだ」
勇 「他人の事なんか、何も分からないよ」
比瑪 「そうなの?・・・そうなんだ」

※「フィジシスト」が正しい発音のはずなのですが、ここでは「フィジジスト」と発音しているように聞えます。


第11話「姉と弟」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201108292229055419/
 →第13話「堂々たる浮上」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201110082237079452/

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