ブレンパワード 全台詞集 第16話「招かれざる客」
2012年1月26日 ブレンパワード全台詞集脚本:富野由悠季・浅川美也 絵コンテ:西森章 演出:真野玲 作画監督:瀬尾康博
比瑪
(ナレーション) 「ラッセ・ブレンは自分の意志でカミカゼをやったんですって!だったらグランチャーだってオルファンだってああいうことをやるかもしれないんだ!そうか、それで地球が全滅しちゃうんだ。でも、逆に考えればラッセさんが生き残れたのはブレンからオーガニック・エナジーをもらえたからでしょ?ということは、オルファンが人間にはとっても良いように作用することも考えられるな」
モハマドの部下A 「着艦するなって言ってます」
モハマドの部下B 「オルファンに近づきたがってる連中がノヴィスに逃げ込んで、満杯になってんです」
モハマド 「後部デッキが空いているだろ」
モハマドの部下A 「あのデッキは傾いてるんですよ?」
モハマド 「着艦しなさい!」
デッキクルー 「エアポケットに入った飛行機は、怪我人を満載してたんだからしょうがないでしょ!」
レポーターA 「そんなこと言わないでくださいよ」
アイリーン 「言いたくもなります!あなた方は招かれざる客です!遭難信号を出していたから着艦を許しただけで、あなた方のインタビューに答えるつもりは私にはありません!」
レポーターA 「また遭難機だ」
レポーターB 「黄金のヘリじゃないか!」
レポーターC 「モハマドだぞ!」
レポーターB 「経済界の重鎮が何しに来たんだ?」
レポーターC 「アラブがノヴィス・ノアを買い取ったのか!?」
レポーターA 「モハマドさん、国連と話し合いはついたんですか?」
モハマド 「ハーイ、アイリーン。お待たせしたねぇ」
ユキオ 「塞ぎ込んでる暇があったら!」
アカリ 「ブレンをこすってやったら?」
勇 「心配するな。そのつもりだよ」
勇 「今は休め。気にするんじゃない。お前一人騒いだって、どうなるってもんじゃないんだから」
勇 「ラッセブレンが活躍できたんで、焦ってるのか?気持ちは分かるけど、オルファンを見ればそう簡単にいかないことぐらい分かるだろ」
比瑪 「勇。また一人で何とかしようなんて考えてるんじゃないでしょうね?」
勇 「こいつが興奮して落ち着かないんだ」
勇 「だから、いろいろ考えなくちゃならないだろ。ヘタに自爆が効果あるなんてブレンが理解しちゃったら、みんな俺たちの言うことを聞かなくなっちゃうぞ」
比瑪 「そ、そうか」
勇 「そうだよ。そういう気分がさ、ヒメ・ブレンにも感染しないようにしないとな」
比瑪 「了解。君は優しいんだから、ヒメ・ブレンと仲良くしてね」
カント 「ん?あれ?」
副長 「何だ?天才少年?」
カント 「艦長さんはいらっしゃらないんですか?」
副長 「ミスター・モハマドと会議中だ」
カント 「ええー?」
副長 「性懲りもなく、この艦の指揮権を買いに…」
ノヴィスクルーA 「副長、輸送船です」
副長 「輸送船?どこのだ」
アイリーン 「皆さん、聞いて頂戴」
モハマド 「ハロー・エブリバディ!」
アイリーン 「ミスター・モハマドがいいお話を持ってきてくださいました」
副長 「…信じられないけど」
アイリーン 「本艦が南下するにつれて、補給の心配があったのですが、華僑連合とアラブ連合が援助をしてくれることになりました」
副長 「そ、そりゃあ僥倖」
モハマド 「監査役のモハマドです。アジアとアラブは力の限りノヴィス・ノアをバックアップいたします」
アイリーン 「孤児院の件、お忘れにならないでくださいね?」
モハマド 「勿論ですよ、アイリーンさん」
アイリーン 「あ、ありがと」
カント 「孤児院って?」
アイリーン 「ノヴィス・ノアを孤児院にするのよ」
カント 「へぇ」
モハマド 「太平洋側の各地には、津波の被害による難民が沢山出ています。子供が犠牲になる状況はこりゃあ戦争です!ですから…!」
副長 「い、いやぁ、ご高説に感銘しました。そのような主旨なら我々も賛成です」
比瑪 「ビー・プレートっていうのが何だか分からない、っていうのが変じゃない」
勇 「どういうものか分からないから、ビー・プレートって呼んだんだよ」
比瑪 「それがあればオルファンをやっつけられんでしょ?」
勇 「そのくらい力のあるもんだから探しに出たんだろ?」
比瑪 「ならさ、探しに行こうよ!」
勇 「双子が生まれるプレートしか、見つから…あぁっ!」
比瑪 「…っ!いきなり危ないでしょ!どうしたの!?」
勇 「アンチボディが下りてくる?」
勇 「グランチャーだぞ?」
比瑪 「何で?」
勇 「何だよ、あいつ」
比瑪 「青少年一名?」
ナッキィ 「フッ」
比瑪 「吠えるのやめなさい!」
勇 「何だよあいつら!」
比瑪 「ケンカ売るんじゃないの?」
勇 「そんなつもりはない。ん?」
比瑪 「あ?」
クマゾー 「ブレンも!ブレンも!ブレンもー!」
アカリ 「こ、こんにちは。ご、ご苦労様です」
クマゾー 「ブレン、みんな友達も!…う」
デッキクルー 「誰に断って入ってきたんだ!」
勇 「グランチャーもいる!アカリ、クマゾーは、ユキオのところへ行ってブレンたちのマッサージの道具を」
アカリ 「う、うん!」
デッキクルー 「そのグランチャーはケガでもしてんのかぁ?自律神経失調症か?」
ナッキィ 「いやぁ?」
勇 「パイロットはアンチボディに乗ってるのか?」
比瑪 「誰もいないみたい」
勇 「あのグランチャーは?」
ナッキィ 「あれも僕のです」
勇
比瑪 「リクレイマーなのか!?」
ナッキィ 「フッ、またまた…」
勇 「ふざけるんじゃない!ブレン3人にグラン1人!なのに乗り手は貴様ひとりだと言うのか!」
ナッキィ 「無礼な!面倒見ているんです。あの4人を」
勇 「ひ、ひとりでアンチボディ4人をか?」
ナッキィ 「人手がなければ、やむを得ないでしょう?」
比瑪 「な、ならどうしてあなたはこんな…」
ナッキィ 「君はチャイニーズ?コリアン?マレーシャン?」
比瑪 「ジャパニーズ!」
ナッキィ 「おぉ!ゲイシャガール!ヤマトナデー!」
勇 「うわっ!」
ナッキィ 「ヤマトナデ!ヤマトナーデ!」
比瑪 「何だってんです!?」
勇 「俺の女に何をするんだ!」
比瑪 「お、俺の女ぁ!?」
勇 「うっ…とりあえず、やめなさいよ!」
ナッキィ 「フフッ、僕はナッキィ・ガイズ。ノヴィス・ノアのアンチボディ部隊の戦力を補強する者です」
研作 「ノヴィス・ノアの動きがオルファンに干渉していると考えられるのだ」
クインシィ 「ならあいつらを撃破してもいいのだな?」
研作 「もちろんだ。が、条件がある。一気に始末をつけろということだ、できるか?」
クインシィ 「望むところだ!ブレンに侵されてオルファン嫌悪症にかかっている連中など!」
研作 「ずっとそう言ってるが勇ひとり討てないでいる。ガバナーの忍耐も限界だぞ?」
クインシィ 「ガバナーも、キレるということか?」
研作 「私とていつまでもかばいきれるものでは…」
クインシィ 「わかっている!」
研作 「親として最後の忠告だ」
クインシィ 「余計なことを。抗体としてアンチボディの任務を果たしてみせる!ガバナーには、そう伝えておけ!」
研作 「聞いたな?翠」
カント 「勇さんは?」
デッキクルー 「そこのブレンの股だ」
カント 「すみません」
勇 「大丈夫だって。悪いようにはしないから安心しな」
カント 「グランチャーはどこなんです?」
勇 「隣の倉庫だ」
カント 「ブレンと隔離したんですね?」
勇 「伝染病なんて持ってない。場所がないんだ」
カント 「でもブレンがパイロットの人数より多くなってよかったですね」
勇 「ナッキィは4人とも使いこなしてるってさ」
カント 「どんな人なんです?」
勇 「俺が知りたいよ。あいつだ、いけ好かないやつだろ?」
カント 「え?」
カント 「カント・ケストナーです。よろしく、ナッキィ・ガイズさん」
勇 「な?」
カント 「聞こえなかったんですよ。この船に怒ってるのかもしれない」
勇 「なんでだよ!」
カント 「だって、だらしないじゃないですか」
勇 「天才少年がっ!」
クマゾー 「ねんねしてるも?」
アカリ 「そうみたいね」
ユキオ 「ヘルパーたちは病気じゃないかって言ってるけど」
クマゾー 「あ!」
ユキオ
アカリ 「ん?」
アカリ 「あぁっ!」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん!」
ユキオ 「グランチャーでも気持ち良いのかな?」
比瑪 「同じアンチボディなんだから当たり前でしょ?」
アカリ 「そうなの?」
比瑪 「さっさと手伝いなさい!」
ユキオ 「あ、はい!」
アカリ 「はぁい」
クマゾー 「へへへっ、ぼくも!」
クマゾー 「あっ」
比瑪 「どうしたの?」
比瑪 「ナッキィさん!ごめんなさい、勝手にマッサージやっちゃって。でもこの子、喜んでますよ」
クマゾー 「うれしいも!」
ナッキィ 「ふぅん。ブレン的なものに包まれているノヴィス・ノアの中では消耗する一方かもしれないと思っていたが」
比瑪 「ケアですよ。ケアの仕方」
ナッキィ 「さすがゲイシャガール!」
比瑪 「宇都宮比瑪です!」
アカリ 「むー!」
ナッキィ 「ナイスガール!」
比瑪 「やめてください!」
ナッキィ 「ハハッ。ブレン達と中国に入ってこのグランチャータイプと出会った時、彼はほとんど死んでいたんです。けど僕にはリクレイマーの素質があるのかどうかしれないんだけど、なんて言うのかなぁ、こいつとは気が合うんですよ」
比瑪 「そう。この子だって、あたしには優しい目をしてるって見えるわ」
ナッキィ 「そうでしょう!?ですから僕はグランチャーとブレンパワードの共生だって出来るんじゃないか、って考えてるんです。でもノヴィス・ノアに…」
勇 「こういう奴もいるのか」
ナッキィ 「…に失望していたんですけど、君達という素晴らしい子供たちと、何よりあなたがいる!おぉナイス!来た甲斐があったというものです!」
(アイキャッチ)
比瑪 「そう言ってくれて嬉しいけど、ならナッキィさんも擦ってあげなさい?グランチャー喜ぶわよ?」
ナッキィ 「そうでしょうが、もともとマッサージは人間にやるものでしょう?」
ユキオ 「ああっ」
アカリ 「ん?」
クマゾー 「ん」
ナッキィ 「大人同士の話をするとね」
比瑪 「何ですよ?」
ナッキィ 「この艦は戦争状態の中にいるはずなのに、まったく緊張感がない」
比瑪 「そんなことないです!」
ナッキィ 「そうですよ。僕がこうしていると君は体を硬くしている」
比瑪 「あ、当たり前でしょ?子供たちも見ている」
ナッキィ 「こういう緊張感がなければならないのに、ノヴィス・ノアにはこれがない。腑抜けの天国です」
アイリーン 「申し訳ないわねぇ、ナッキィ・ガイズ?」
比瑪 「えぃっ…うぅっ!」
ナッキィ 「ねっ。だから体がなまってるんですよ」
アイリーン 「探しました。はじめまして、艦長のアイリーン・キャリアーです。…ピリピリしているだけが緊張していることではないと思うんですけどねぇ?」
ナッキィ 「あんたみたいな若い女性がどうして艦長なんだ?」
アイリーン 「あたし、人を使うのうまいのよ?人間に針を打つのもね」
ナッキィ 「鍼灸師の先生でしたよね?」
クマゾー 「うわあ!」
アカリ 「見て見てぇ!」
比瑪 「ええ?」
クマゾー 「やったも!元気だも!」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん!」
比瑪 「へぇー、見た目以上に動けるじゃない!」
アイリーン 「グランチャーが動いていいの?」
比瑪 「だってこの子ブレンと同じですよ?ぷよぷよして!」
アイリーン 「ぷよぷよ?」
ナッキィ 「こんな奴のことをぷよぷよ?」
アイリーン 「勇、何が起こったの?アイリーンです」
勇 「遭難している」
アイリーン 「難破船?」
勇 「そいつ、動けるのか?」
比瑪 「勇が出るの?」
ナッキィ 「私が連れてきたグランチャーだ」
勇 「グランチャーはオルファンの抗体だ」
比瑪 「あの子は…」
アイリーン 「勇!」
勇 「はい!」
ナッキィ 「なんです?」
アイリーン 「オルファンの海域に入って遭難した船があるんです」
ナッキィ 「民間の船ですか」
アイリーン 「地球を脱出したがってる人の難民船」
ナッキィ 「そんな。自分のことしか考えない奴らなど、救う必要はない」
アイリーン 「アメリカ軍からブレンパワードを盗み出したあなたに言える事かしら?」
ナッキィ 「何っ!」
アイリーン 「モハマドさんに拾われるまでの大陸での放浪生活だってあなたのわがままさが、感じられるわね」
副長 「これ以上逃げ込んでくる奴がいても受け入れられない。ナンガ、ヒギンズ、カナンのブレンはそういう連中を追い返す!ユウ・ブレンは救助作業!」
勇 「慣熟飛行だよ!ノヴィスの装備にも慣れなくちゃならないだろ!」
アイリーン 「カナン!ヒギンズ!あなた達は動いては駄目よ!」
比瑪 「今日に限って勇がフリュイドスーツで、あたしがTシャツなんだ!」
クマゾー 「も!も!も!」
ユキオ 「駄目だよ!グランチャーにブレンバー持たせちゃ!まだどういう反応するかわからないんだぞ!?」
ナッキィ 「君たちのマッサージのおかげで<元気になった!」
ユキオ 「気がついたばかりで!」
アカリ 「全部元気になってない!」
ナッキィ 「こいつとは長い付き合いだから、心配するな。艦長さんにグランチャーの特性を見せたいんだ」
モハマド 「艦長が入れてくれたんだぞ?」
モハマドの部下B 「我々の好みをよくご存知です」
ナッキィ 「連中はオルファンがひとつ動いたらノヴィス・ノアが沈んでしまうことが分かっていない。何を考えているのやら」
比瑪 「こちらノヴィス・ノアのブレンパワードです!」
難民船船員 「漂流してオルファンに吸い込まれてるようだ!」
比瑪 「船に乗ってる人を助けるって言ったって…勇!救命ボートに乗り移ってもらおうか?」
勇 「馬鹿言いなさい!どうやって運ぶの!このまま流されると…比瑪!この船落っこちるぞ!」
比瑪 「落ちる?どうして?」
勇 「進路のシュミレーションだ」
比瑪 「うん、見える」
勇 「オルファンが海面を盛り上げていて、その先が滝になっている」
比瑪 「だから落ちて沈むの?」
勇 「たぶんね。しかし、碇の鎖を引っ張って落ちないように…奴のグランチャーだ!」
勇 「ナッキィか?オルファンに行くつもりだ!」
比瑪 「勇!」
ナッキィ 「ううっ!くっ!この頭痛は何だ?ナッキィ・グランよ、何をいらだってるんだ」
勇 「体が震えてるぞ。そんな調子でどこ行くつもりだ?」
ナッキィ 「グランチャーなら怪しまれずに接近できる、潜入だって簡単だ。そうしたら一発でオルファンにとどめが刺せる…くっ、俺は一躍ヒーローになれて、アメリカに凱旋できるんだ!」
勇 「オルファンはそんな簡単な相手じゃない!退け!ノヴィスへ戻る…ん?あれは!」
勇 「ナッキィ!グランチャーに行かせるな!」
ナッキィ 「心配するな。こいつのコントロールは俺がしてるんだ!この頭痛は初めてのものだ、俺には分かる。こいつはオルファンに帰りたがってない。すぐに呼んでくれなかったオルファンに仕返しをしたがってるんだ!」
ナッキィ 「ナッキィ・グラン!まず愛想よく帰ってきたよ、って感じで接近しようぜ!」
勇 「山脈ひとつ潰すというのが、オルファンを破壊することなんだぞ!ナッキィ!」
ナッキィ 「グランチャーはオルファンのプレートから生まれたものだ!こいつはオルファンの急所を知ってる!」
比瑪 「こんな船を、あたしひとりで引っ張っていけるのかー!?」
乗客A 「この嵐を乗り切れるのか?」
乗客B 「エンジンが止まってるんだって?」
比瑪 「うおおおおー!」
勇 「バイタルグロウブのネットが、干渉してるのか?」
ナッキィ 「気にするな、俺のグランチャー!敵は目の前だ…どうした!?」
ナッキィ 「気合を入れろ!私の頭痛など気にしないでいい!」
ナッキィ 「怯えてどうなるものでもない!」
ナッキィ 「ん?オルファン?あれがオルファンか!」
ナッキィ 「何だ?オルファンのグランチャーか?ユウ・イサミ、逃げられないのか!?」
勇 「ブレン、落ち着け。この程度の金縛りなんか…ん?」
勇 「クィンシィ…姉さんのグランチャー!?」
クインシィ 「勇でしょ」
勇 「姉さんか?」
クインシィ 「やっぱり。来ると思っていたよ、勇」
勇 「どうしたんだ。いつもと様子が違う」
クインシィ 「勇、あたし殺される。ガバナーに私、殺されるのよ」
比瑪 「あんな高低差があるの?どうやったら沈没させないで抜けられるの?」
比瑪 「ブレン、できるの?あの船、人がいっぱいいるのよ?」
勇 「何があったんだ姉さん!辛いんならオルファンを出ればいい!」
クインシィ 「オルファンから出たら生き残れない。体のエネルギーを吸われて皆死んでしまうんだよ?」
勇 「そんなことさせるもんか!上の村に一緒に帰って、あそこの空気を吸えば…」
クインシィ 「今さら故郷に帰れるものか、そんなこと出来るわけがない。お前に出来ても、私には出来ない。お前のせいなんだ…!」
勇 「姉さん?」
クインシィ 「勇。私を姉と思うなら、この世から消えてなくなれ!」
勇 「姉さん…!」
クインシィ 「お前のような弟がいるのは、私の名折れなんだ!」
ナッキィ 「何だ、あのグランチャーは?姉とか言っていたか」
ナッキィ 「姉弟同士の戦いなどで、決着がつくわけないだろう!」
勇 「どけ!ナッキィ!」
ナッキィ 「やめろ!姉さんなんだろ!」
勇 「今は違う!グランチャーに毒されて、変わっちまったんだ!」
ナッキィ 「それでも姉さんだろ!やっちまったら一生後悔するぞ!」
勇 「しかし!」
クインシィ 「このおっ!」
ナッキィ 「姉弟同士で殺しあう辛さからは、俺が救ってやる!」
勇 「ナッキィ・ガイズ!」
ナッキィ 「どうした!しっかりしろ、おい!…うっ!」
クインシィ 「ガキは消えろ!」
勇 「ナッキィ!」
ナッキィ 「下に行った!」
勇 「分かっている!」
比瑪 「あんなにオルファンに近いところで、勇が戦っている!?」
ナッキィ 「うわっ!」
クインシィ 「落ちろ!落ちろ!落ちろ勇!お前の所為で私はガバナーに誓った忠誠心も疑われているんだぞ!落ちろ!落ちろ!ガバナーに殺されるわけにはいかないんだ!落ちろ!」
勇 「何だ?」
比瑪 「ああ!」
ナッキィ 「ん?」
クインシィ 「一緒に付き合えっ!」
勇 「入られた!」
比瑪 「勇!ナッキィさん!」
ナッキィ 「うあっ!」
比瑪 「勇!クィンシィさんだったの?」
勇 「な、なんだよ姉さん!こ、このおっ!」
勇 「やめようよ、こんなこと!姉さん!」
ナッキィ 「何が、何が起きたんです?」
比瑪 「何って、オルファンのバリアが何かしたんでしょ!?あなたが無茶したから、こんなことが起こったんじゃないの!オルファン、私たちを脱出させてくれるの?」
副長 「あの形、オルファンの輪郭に見えますな」
カント 「動き出したんですよ。オルファン」
モハマド 「ノヴィス・ノアの孤児院化は無駄なのかな?」
アイリーン 「いいえ。そういう愛の形はオーガニック的なものでしょう?オルファンがオーガニック的なものなら、こういうやり方で対抗することもできるのよね。ね、クマゾーくん?」
クマゾー 「うん」
第15話「一点突破」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201201281111461153/
→第17話「カーテンの向こうで」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204072326182749/
比瑪
(ナレーション) 「ラッセ・ブレンは自分の意志でカミカゼをやったんですって!だったらグランチャーだってオルファンだってああいうことをやるかもしれないんだ!そうか、それで地球が全滅しちゃうんだ。でも、逆に考えればラッセさんが生き残れたのはブレンからオーガニック・エナジーをもらえたからでしょ?ということは、オルファンが人間にはとっても良いように作用することも考えられるな」
モハマドの部下A 「着艦するなって言ってます」
モハマドの部下B 「オルファンに近づきたがってる連中がノヴィスに逃げ込んで、満杯になってんです」
モハマド 「後部デッキが空いているだろ」
モハマドの部下A 「あのデッキは傾いてるんですよ?」
モハマド 「着艦しなさい!」
デッキクルー 「エアポケットに入った飛行機は、怪我人を満載してたんだからしょうがないでしょ!」
レポーターA 「そんなこと言わないでくださいよ」
アイリーン 「言いたくもなります!あなた方は招かれざる客です!遭難信号を出していたから着艦を許しただけで、あなた方のインタビューに答えるつもりは私にはありません!」
レポーターA 「また遭難機だ」
レポーターB 「黄金のヘリじゃないか!」
レポーターC 「モハマドだぞ!」
レポーターB 「経済界の重鎮が何しに来たんだ?」
レポーターC 「アラブがノヴィス・ノアを買い取ったのか!?」
レポーターA 「モハマドさん、国連と話し合いはついたんですか?」
モハマド 「ハーイ、アイリーン。お待たせしたねぇ」
ユキオ 「塞ぎ込んでる暇があったら!」
アカリ 「ブレンをこすってやったら?」
勇 「心配するな。そのつもりだよ」
勇 「今は休め。気にするんじゃない。お前一人騒いだって、どうなるってもんじゃないんだから」
勇 「ラッセブレンが活躍できたんで、焦ってるのか?気持ちは分かるけど、オルファンを見ればそう簡単にいかないことぐらい分かるだろ」
比瑪 「勇。また一人で何とかしようなんて考えてるんじゃないでしょうね?」
勇 「こいつが興奮して落ち着かないんだ」
勇 「だから、いろいろ考えなくちゃならないだろ。ヘタに自爆が効果あるなんてブレンが理解しちゃったら、みんな俺たちの言うことを聞かなくなっちゃうぞ」
比瑪 「そ、そうか」
勇 「そうだよ。そういう気分がさ、ヒメ・ブレンにも感染しないようにしないとな」
比瑪 「了解。君は優しいんだから、ヒメ・ブレンと仲良くしてね」
カント 「ん?あれ?」
副長 「何だ?天才少年?」
カント 「艦長さんはいらっしゃらないんですか?」
副長 「ミスター・モハマドと会議中だ」
カント 「ええー?」
副長 「性懲りもなく、この艦の指揮権を買いに…」
ノヴィスクルーA 「副長、輸送船です」
副長 「輸送船?どこのだ」
アイリーン 「皆さん、聞いて頂戴」
モハマド 「ハロー・エブリバディ!」
アイリーン 「ミスター・モハマドがいいお話を持ってきてくださいました」
副長 「…信じられないけど」
アイリーン 「本艦が南下するにつれて、補給の心配があったのですが、華僑連合とアラブ連合が援助をしてくれることになりました」
副長 「そ、そりゃあ僥倖」
モハマド 「監査役のモハマドです。アジアとアラブは力の限りノヴィス・ノアをバックアップいたします」
アイリーン 「孤児院の件、お忘れにならないでくださいね?」
モハマド 「勿論ですよ、アイリーンさん」
アイリーン 「あ、ありがと」
カント 「孤児院って?」
アイリーン 「ノヴィス・ノアを孤児院にするのよ」
カント 「へぇ」
モハマド 「太平洋側の各地には、津波の被害による難民が沢山出ています。子供が犠牲になる状況はこりゃあ戦争です!ですから…!」
副長 「い、いやぁ、ご高説に感銘しました。そのような主旨なら我々も賛成です」
比瑪 「ビー・プレートっていうのが何だか分からない、っていうのが変じゃない」
勇 「どういうものか分からないから、ビー・プレートって呼んだんだよ」
比瑪 「それがあればオルファンをやっつけられんでしょ?」
勇 「そのくらい力のあるもんだから探しに出たんだろ?」
比瑪 「ならさ、探しに行こうよ!」
勇 「双子が生まれるプレートしか、見つから…あぁっ!」
比瑪 「…っ!いきなり危ないでしょ!どうしたの!?」
勇 「アンチボディが下りてくる?」
勇 「グランチャーだぞ?」
比瑪 「何で?」
勇 「何だよ、あいつ」
比瑪 「青少年一名?」
ナッキィ 「フッ」
比瑪 「吠えるのやめなさい!」
勇 「何だよあいつら!」
比瑪 「ケンカ売るんじゃないの?」
勇 「そんなつもりはない。ん?」
比瑪 「あ?」
クマゾー 「ブレンも!ブレンも!ブレンもー!」
アカリ 「こ、こんにちは。ご、ご苦労様です」
クマゾー 「ブレン、みんな友達も!…う」
デッキクルー 「誰に断って入ってきたんだ!」
勇 「グランチャーもいる!アカリ、クマゾーは、ユキオのところへ行ってブレンたちのマッサージの道具を」
アカリ 「う、うん!」
デッキクルー 「そのグランチャーはケガでもしてんのかぁ?自律神経失調症か?」
ナッキィ 「いやぁ?」
勇 「パイロットはアンチボディに乗ってるのか?」
比瑪 「誰もいないみたい」
勇 「あのグランチャーは?」
ナッキィ 「あれも僕のです」
勇
比瑪 「リクレイマーなのか!?」
ナッキィ 「フッ、またまた…」
勇 「ふざけるんじゃない!ブレン3人にグラン1人!なのに乗り手は貴様ひとりだと言うのか!」
ナッキィ 「無礼な!面倒見ているんです。あの4人を」
勇 「ひ、ひとりでアンチボディ4人をか?」
ナッキィ 「人手がなければ、やむを得ないでしょう?」
比瑪 「な、ならどうしてあなたはこんな…」
ナッキィ 「君はチャイニーズ?コリアン?マレーシャン?」
比瑪 「ジャパニーズ!」
ナッキィ 「おぉ!ゲイシャガール!ヤマトナデー!」
勇 「うわっ!」
ナッキィ 「ヤマトナデ!ヤマトナーデ!」
比瑪 「何だってんです!?」
勇 「俺の女に何をするんだ!」
比瑪 「お、俺の女ぁ!?」
勇 「うっ…とりあえず、やめなさいよ!」
ナッキィ 「フフッ、僕はナッキィ・ガイズ。ノヴィス・ノアのアンチボディ部隊の戦力を補強する者です」
研作 「ノヴィス・ノアの動きがオルファンに干渉していると考えられるのだ」
クインシィ 「ならあいつらを撃破してもいいのだな?」
研作 「もちろんだ。が、条件がある。一気に始末をつけろということだ、できるか?」
クインシィ 「望むところだ!ブレンに侵されてオルファン嫌悪症にかかっている連中など!」
研作 「ずっとそう言ってるが勇ひとり討てないでいる。ガバナーの忍耐も限界だぞ?」
クインシィ 「ガバナーも、キレるということか?」
研作 「私とていつまでもかばいきれるものでは…」
クインシィ 「わかっている!」
研作 「親として最後の忠告だ」
クインシィ 「余計なことを。抗体としてアンチボディの任務を果たしてみせる!ガバナーには、そう伝えておけ!」
研作 「聞いたな?翠」
カント 「勇さんは?」
デッキクルー 「そこのブレンの股だ」
カント 「すみません」
勇 「大丈夫だって。悪いようにはしないから安心しな」
カント 「グランチャーはどこなんです?」
勇 「隣の倉庫だ」
カント 「ブレンと隔離したんですね?」
勇 「伝染病なんて持ってない。場所がないんだ」
カント 「でもブレンがパイロットの人数より多くなってよかったですね」
勇 「ナッキィは4人とも使いこなしてるってさ」
カント 「どんな人なんです?」
勇 「俺が知りたいよ。あいつだ、いけ好かないやつだろ?」
カント 「え?」
カント 「カント・ケストナーです。よろしく、ナッキィ・ガイズさん」
勇 「な?」
カント 「聞こえなかったんですよ。この船に怒ってるのかもしれない」
勇 「なんでだよ!」
カント 「だって、だらしないじゃないですか」
勇 「天才少年がっ!」
クマゾー 「ねんねしてるも?」
アカリ 「そうみたいね」
ユキオ 「ヘルパーたちは病気じゃないかって言ってるけど」
クマゾー 「あ!」
ユキオ
アカリ 「ん?」
アカリ 「あぁっ!」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん!」
ユキオ 「グランチャーでも気持ち良いのかな?」
比瑪 「同じアンチボディなんだから当たり前でしょ?」
アカリ 「そうなの?」
比瑪 「さっさと手伝いなさい!」
ユキオ 「あ、はい!」
アカリ 「はぁい」
クマゾー 「へへへっ、ぼくも!」
クマゾー 「あっ」
比瑪 「どうしたの?」
比瑪 「ナッキィさん!ごめんなさい、勝手にマッサージやっちゃって。でもこの子、喜んでますよ」
クマゾー 「うれしいも!」
ナッキィ 「ふぅん。ブレン的なものに包まれているノヴィス・ノアの中では消耗する一方かもしれないと思っていたが」
比瑪 「ケアですよ。ケアの仕方」
ナッキィ 「さすがゲイシャガール!」
比瑪 「宇都宮比瑪です!」
アカリ 「むー!」
ナッキィ 「ナイスガール!」
比瑪 「やめてください!」
ナッキィ 「ハハッ。ブレン達と中国に入ってこのグランチャータイプと出会った時、彼はほとんど死んでいたんです。けど僕にはリクレイマーの素質があるのかどうかしれないんだけど、なんて言うのかなぁ、こいつとは気が合うんですよ」
比瑪 「そう。この子だって、あたしには優しい目をしてるって見えるわ」
ナッキィ 「そうでしょう!?ですから僕はグランチャーとブレンパワードの共生だって出来るんじゃないか、って考えてるんです。でもノヴィス・ノアに…」
勇 「こういう奴もいるのか」
ナッキィ 「…に失望していたんですけど、君達という素晴らしい子供たちと、何よりあなたがいる!おぉナイス!来た甲斐があったというものです!」
(アイキャッチ)
比瑪 「そう言ってくれて嬉しいけど、ならナッキィさんも擦ってあげなさい?グランチャー喜ぶわよ?」
ナッキィ 「そうでしょうが、もともとマッサージは人間にやるものでしょう?」
ユキオ 「ああっ」
アカリ 「ん?」
クマゾー 「ん」
ナッキィ 「大人同士の話をするとね」
比瑪 「何ですよ?」
ナッキィ 「この艦は戦争状態の中にいるはずなのに、まったく緊張感がない」
比瑪 「そんなことないです!」
ナッキィ 「そうですよ。僕がこうしていると君は体を硬くしている」
比瑪 「あ、当たり前でしょ?子供たちも見ている」
ナッキィ 「こういう緊張感がなければならないのに、ノヴィス・ノアにはこれがない。腑抜けの天国です」
アイリーン 「申し訳ないわねぇ、ナッキィ・ガイズ?」
比瑪 「えぃっ…うぅっ!」
ナッキィ 「ねっ。だから体がなまってるんですよ」
アイリーン 「探しました。はじめまして、艦長のアイリーン・キャリアーです。…ピリピリしているだけが緊張していることではないと思うんですけどねぇ?」
ナッキィ 「あんたみたいな若い女性がどうして艦長なんだ?」
アイリーン 「あたし、人を使うのうまいのよ?人間に針を打つのもね」
ナッキィ 「鍼灸師の先生でしたよね?」
クマゾー 「うわあ!」
アカリ 「見て見てぇ!」
比瑪 「ええ?」
クマゾー 「やったも!元気だも!」
ユキオ 「比瑪姉ちゃん!」
比瑪 「へぇー、見た目以上に動けるじゃない!」
アイリーン 「グランチャーが動いていいの?」
比瑪 「だってこの子ブレンと同じですよ?ぷよぷよして!」
アイリーン 「ぷよぷよ?」
ナッキィ 「こんな奴のことをぷよぷよ?」
アイリーン 「勇、何が起こったの?アイリーンです」
勇 「遭難している」
アイリーン 「難破船?」
勇 「そいつ、動けるのか?」
比瑪 「勇が出るの?」
ナッキィ 「私が連れてきたグランチャーだ」
勇 「グランチャーはオルファンの抗体だ」
比瑪 「あの子は…」
アイリーン 「勇!」
勇 「はい!」
ナッキィ 「なんです?」
アイリーン 「オルファンの海域に入って遭難した船があるんです」
ナッキィ 「民間の船ですか」
アイリーン 「地球を脱出したがってる人の難民船」
ナッキィ 「そんな。自分のことしか考えない奴らなど、救う必要はない」
アイリーン 「アメリカ軍からブレンパワードを盗み出したあなたに言える事かしら?」
ナッキィ 「何っ!」
アイリーン 「モハマドさんに拾われるまでの大陸での放浪生活だってあなたのわがままさが、感じられるわね」
副長 「これ以上逃げ込んでくる奴がいても受け入れられない。ナンガ、ヒギンズ、カナンのブレンはそういう連中を追い返す!ユウ・ブレンは救助作業!」
勇 「慣熟飛行だよ!ノヴィスの装備にも慣れなくちゃならないだろ!」
アイリーン 「カナン!ヒギンズ!あなた達は動いては駄目よ!」
比瑪 「今日に限って勇がフリュイドスーツで、あたしがTシャツなんだ!」
クマゾー 「も!も!も!」
ユキオ 「駄目だよ!グランチャーにブレンバー持たせちゃ!まだどういう反応するかわからないんだぞ!?」
ナッキィ 「君たちのマッサージのおかげで<元気になった!」
ユキオ 「気がついたばかりで!」
アカリ 「全部元気になってない!」
ナッキィ 「こいつとは長い付き合いだから、心配するな。艦長さんにグランチャーの特性を見せたいんだ」
モハマド 「艦長が入れてくれたんだぞ?」
モハマドの部下B 「我々の好みをよくご存知です」
ナッキィ 「連中はオルファンがひとつ動いたらノヴィス・ノアが沈んでしまうことが分かっていない。何を考えているのやら」
比瑪 「こちらノヴィス・ノアのブレンパワードです!」
難民船船員 「漂流してオルファンに吸い込まれてるようだ!」
比瑪 「船に乗ってる人を助けるって言ったって…勇!救命ボートに乗り移ってもらおうか?」
勇 「馬鹿言いなさい!どうやって運ぶの!このまま流されると…比瑪!この船落っこちるぞ!」
比瑪 「落ちる?どうして?」
勇 「進路のシュミレーションだ」
比瑪 「うん、見える」
勇 「オルファンが海面を盛り上げていて、その先が滝になっている」
比瑪 「だから落ちて沈むの?」
勇 「たぶんね。しかし、碇の鎖を引っ張って落ちないように…奴のグランチャーだ!」
勇 「ナッキィか?オルファンに行くつもりだ!」
比瑪 「勇!」
ナッキィ 「ううっ!くっ!この頭痛は何だ?ナッキィ・グランよ、何をいらだってるんだ」
勇 「体が震えてるぞ。そんな調子でどこ行くつもりだ?」
ナッキィ 「グランチャーなら怪しまれずに接近できる、潜入だって簡単だ。そうしたら一発でオルファンにとどめが刺せる…くっ、俺は一躍ヒーローになれて、アメリカに凱旋できるんだ!」
勇 「オルファンはそんな簡単な相手じゃない!退け!ノヴィスへ戻る…ん?あれは!」
勇 「ナッキィ!グランチャーに行かせるな!」
ナッキィ 「心配するな。こいつのコントロールは俺がしてるんだ!この頭痛は初めてのものだ、俺には分かる。こいつはオルファンに帰りたがってない。すぐに呼んでくれなかったオルファンに仕返しをしたがってるんだ!」
ナッキィ 「ナッキィ・グラン!まず愛想よく帰ってきたよ、って感じで接近しようぜ!」
勇 「山脈ひとつ潰すというのが、オルファンを破壊することなんだぞ!ナッキィ!」
ナッキィ 「グランチャーはオルファンのプレートから生まれたものだ!こいつはオルファンの急所を知ってる!」
比瑪 「こんな船を、あたしひとりで引っ張っていけるのかー!?」
乗客A 「この嵐を乗り切れるのか?」
乗客B 「エンジンが止まってるんだって?」
比瑪 「うおおおおー!」
勇 「バイタルグロウブのネットが、干渉してるのか?」
ナッキィ 「気にするな、俺のグランチャー!敵は目の前だ…どうした!?」
ナッキィ 「気合を入れろ!私の頭痛など気にしないでいい!」
ナッキィ 「怯えてどうなるものでもない!」
ナッキィ 「ん?オルファン?あれがオルファンか!」
ナッキィ 「何だ?オルファンのグランチャーか?ユウ・イサミ、逃げられないのか!?」
勇 「ブレン、落ち着け。この程度の金縛りなんか…ん?」
勇 「クィンシィ…姉さんのグランチャー!?」
クインシィ 「勇でしょ」
勇 「姉さんか?」
クインシィ 「やっぱり。来ると思っていたよ、勇」
勇 「どうしたんだ。いつもと様子が違う」
クインシィ 「勇、あたし殺される。ガバナーに私、殺されるのよ」
比瑪 「あんな高低差があるの?どうやったら沈没させないで抜けられるの?」
比瑪 「ブレン、できるの?あの船、人がいっぱいいるのよ?」
勇 「何があったんだ姉さん!辛いんならオルファンを出ればいい!」
クインシィ 「オルファンから出たら生き残れない。体のエネルギーを吸われて皆死んでしまうんだよ?」
勇 「そんなことさせるもんか!上の村に一緒に帰って、あそこの空気を吸えば…」
クインシィ 「今さら故郷に帰れるものか、そんなこと出来るわけがない。お前に出来ても、私には出来ない。お前のせいなんだ…!」
勇 「姉さん?」
クインシィ 「勇。私を姉と思うなら、この世から消えてなくなれ!」
勇 「姉さん…!」
クインシィ 「お前のような弟がいるのは、私の名折れなんだ!」
ナッキィ 「何だ、あのグランチャーは?姉とか言っていたか」
ナッキィ 「姉弟同士の戦いなどで、決着がつくわけないだろう!」
勇 「どけ!ナッキィ!」
ナッキィ 「やめろ!姉さんなんだろ!」
勇 「今は違う!グランチャーに毒されて、変わっちまったんだ!」
ナッキィ 「それでも姉さんだろ!やっちまったら一生後悔するぞ!」
勇 「しかし!」
クインシィ 「このおっ!」
ナッキィ 「姉弟同士で殺しあう辛さからは、俺が救ってやる!」
勇 「ナッキィ・ガイズ!」
ナッキィ 「どうした!しっかりしろ、おい!…うっ!」
クインシィ 「ガキは消えろ!」
勇 「ナッキィ!」
ナッキィ 「下に行った!」
勇 「分かっている!」
比瑪 「あんなにオルファンに近いところで、勇が戦っている!?」
ナッキィ 「うわっ!」
クインシィ 「落ちろ!落ちろ!落ちろ勇!お前の所為で私はガバナーに誓った忠誠心も疑われているんだぞ!落ちろ!落ちろ!ガバナーに殺されるわけにはいかないんだ!落ちろ!」
勇 「何だ?」
比瑪 「ああ!」
ナッキィ 「ん?」
クインシィ 「一緒に付き合えっ!」
勇 「入られた!」
比瑪 「勇!ナッキィさん!」
ナッキィ 「うあっ!」
比瑪 「勇!クィンシィさんだったの?」
勇 「な、なんだよ姉さん!こ、このおっ!」
勇 「やめようよ、こんなこと!姉さん!」
ナッキィ 「何が、何が起きたんです?」
比瑪 「何って、オルファンのバリアが何かしたんでしょ!?あなたが無茶したから、こんなことが起こったんじゃないの!オルファン、私たちを脱出させてくれるの?」
副長 「あの形、オルファンの輪郭に見えますな」
カント 「動き出したんですよ。オルファン」
モハマド 「ノヴィス・ノアの孤児院化は無駄なのかな?」
アイリーン 「いいえ。そういう愛の形はオーガニック的なものでしょう?オルファンがオーガニック的なものなら、こういうやり方で対抗することもできるのよね。ね、クマゾーくん?」
クマゾー 「うん」
第15話「一点突破」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201201281111461153/
→第17話「カーテンの向こうで」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201204072326182749/
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