脚本:富野由悠季・高橋哲子 絵コンテ・演出:越智浩仁 作画監督:しんぼたくろう・中田栄治



比瑪
(ナレーション) 「オルファンは海の上に頭を出してるようだし、グランチャーの数だって増えているようだけど、思ったほどの戦争になっていないんだよねえ。
でもユウに言わせれば、オルファンは人類を絶滅させるものだって言うから、オルファン封じ込め作戦は実行するのである!」

カナン 「揺れるわねぇ・・・」
ナンガ 「どうだ、様子は?」
カナン 「変わり様がないわ、今日は少し熱があるだけ」
カナン 「作戦はどうなったの?」
ナンガ 「逃げ出すつもりはないようだな。ブレンによる特攻ぐらいはやるつもりだよ」
カナン 「カミカゼか・・・」

ラッセ 「作戦から外すほど弱っているのか・・・俺は!
くそっ!」
ラッセ 「こんなもの!・・・ん?カナンのスカーフが・・・ナンガめ!」

比瑪 「あ・・・何でしょうこの子も?
でもカモメも集まるし、この子達のおかげでブレン達も落ち着いてるみたいですね」
ナンガ 「オルファンの海域の鳥はここに集まってくれてるってのは、ノヴィス・ノアが安全だってことの証拠だ」
比瑪 「この戦いで終わりにしたいですね」
ナンガ 「勇のおかげでオルファンにも弱点があると分かったし・・・」
比瑪 「オーガニック・エナジーもあたし達の味方をしている」
ナンガ 「彼等の働きだって俺にすれば比瑪ちゃんの言ってる事、証明してくれてるぜ」

勇 「いいのか?お灸してなくて?」
ラッセ 「随分破壊力のあるミサイルを持ち出したじゃないか。
良かったら、俺もに一口乗せてくれないか?」
勇 「え?」
ラッセ 「何だよ?」
勇 「何言ってんだ!カナンを泣かせるような事になるかもしれないんだ!
そんな事に手を出させるわけには・・・」
ラッセ 「俺が早死にするのは運命だ。彼女に会っていなければズルズルやって、のたれ死にするのを待っていただろう。けどな、彼女に出会えたから命を捨てる戦い方なんかしない。カナンとはもっと愛し合いたいもんな」
勇 「オルファンを潰すには特攻しかない。バイタル・ネットに乗ったって・・・」
ラッセ 「カミカゼは聞いているさ。都合良くオルファンの懐に飛び込めるわけがないからな」
勇 「それがわかってるんなら、今は黙って病人をやっていてくれよ!」
ラッセ 「俺だってそうしたいが、あいつだってやりたがってる」
勇 「ラッセ・ブレンが?」
ラッセ 「な?あの目を見てやってくれ、ボロボロになってもオルファンに一矢酬いたいんだよ。」
比瑪 「ブレンがオルファンに敵意を持っているなんて・・・ユウ・ブレンも?」
勇 「俺のブレンまでそう思うのか?敵愾心ってやつでかかって良いのかよ?」
ラッセ 「ふふふ。勇からそんな台詞を聞くとは思わなかったな。今回の騒動はグランチャーとブレンっていうのが元々敵対関係にあったからなんだろう?俺達を連中のセンサーにされて、巻き込まれちまったんだよ」
勇 「ブレンはオルファンに受け入れられなかったんで嫉妬してるのか」

アイリーン 「バイタル・ネットはオルファンの力で揺らいでいるわ。だから侵入方法は1つに固定出来ないわよ」
ヒギンズ 「了解しています。出撃準備に入ります」
アイリーン 「コモド達から連絡は?」
ノヴィスクルー 「特にありません」
比瑪 「あっ!」
ヒギンズ 「きゃっ!」
比瑪 「ごめんなさい!大丈夫ですか?」
ヒギンズ 「大丈夫よ」
比瑪 「あっ!勇が大丈夫じゃないんですよ!艦長!」
アイリーン 「はい?」

デッキクルー 「本当に、良いんですね?」
ラッセ 「ノヴィスは沈めるわけにはいかないだろう!」
勇 「あれがカナンさんの男か・・・」

アイリーン 「覚悟はありがたいけど・・・」
比瑪 「ラッセの出撃の手助けをするなんて、勇はクマゾー以下のまんまです!」
アイリーン 「比瑪ちゃん」
比瑪 「何ですか?」
アイリーン 「ラッセの動きは見守ってやって下さいね」
比瑪 「言われなくたってやりますけど、艦長からも二人には言ってやって下さい!」
アイリーン 「それは言います」
比瑪 「よろしく」
アイリーン 「勇、ラッセか・・・・・あたしは任せるわ。二人共利口で勇気があって、女性が好きなんですものね」

コモド 「この乱気流じゃアンチボディ以外は近づけない。風の精霊に祈ってくるんだった」
イランドパイロット 「グランチャーがこちらを睨んでます!」
コモド 「ん?」
コモド 「ただの威嚇だよ」

アイリーン 「出撃準備は整いましたが、司令のほうの首尾はいかがなんでしょう?」
ゲイブリッジ 「ああ。国連はまだリクレイマー側の報告を信じている。ということは私の立場では君の作戦は支持できない」
アイリーン 「オルファンを撃破するという作戦は・・・」
ゲイブリッジ 「ブレン達の単独行為を、我々は阻止できるのだろうかねぇ?」
アイリーン 「それはできませんね」
ゲイブリッジ 「そうなんだ。それが問題である」
アイリーン 「了解です」
ゲイブリッジ 「私の采配は間違いではないでしょう?」
直子 「でも出撃させたことでアイリーンさんは責任をとらされます」
ゲイブリッジ 「成功すれば不問だよ。作戦が失敗すれば、後の世界は無いのだから」
直子 「ああ、責任を問う人達もいなくなってますよね。
オルファン現象って、そういうものなんですね」

ラッセ 「大丈夫か、ブレン?」
アカリ 「あ!乗っちゃう!」
クマゾー 「乗っちゃう」
アカリ 「止めるぞ!」
クマゾー 「止める」
ユキオ 「待てよ!」
アカリ 「比瑪姉ちゃんはラッセを出撃させちゃあ駄目だって言ってたじゃあないか!む
ユキオ 「ラッセ・ブレンが行く気になってんだ!見てみろよ、ラッセさんだってブレンに従ってんだ!ユウ・ブレンだってラッセに優しいみたいだしさ!」
クマゾー 「優しい」
ラッセ 「ふふっ、スパイをしていたか。
お前達なら、頼まなくっても生きていけるよな」
比瑪 「勇!ラッセさんも!そのブレン出すの可哀想でしょ!」
勇 「ラッセ・ブレンが行きたがってんだから、助けてあげなくちゃならないだろ!」
比瑪 「君!駄目だよ!それじゃあ死んじゃうよー!」
勇 「良いな、ブレン?ラッセ・ブレン、ついてこれるな!
よし!ブレン、行ってくれ!」
ナンガ 「ラッセ、ブレンを消耗させるわけにはいかないんだ!出撃はやめろ!」
ラッセ 「全員で出撃するんだろ?
ナンガ、ヒギンズ、それにカナンはしんがりをとってくれ!」
カナン 「ラッセ!ブレンが出たいと言ったら、言い聞かせて出撃を止めさせるのがあなたの役割でしょう!?」
ラッセ 「カナンには俺の子を産んで欲しいんだよ」
カナン 「妊娠させてくれなければ・・・ラッセ!」
カナン 「おっちょこちょいのラッセにブレン!
比瑪!ナンガ、ヒギンズ!こちらも編隊組んで出撃でしょ!」

レイト 「これだけクジラがいると、デコイを撒く必要も無いな」
キメリエスクルー 「オルファンの老廃物に魚が引き寄せられてるんですね」

コモド 「ユウ・ブレンがきた」
コモド 「補給したら支援に上がります」
勇 「了解」
コモド 「ラッセ・ブレンも出てる?」
コモド 「ラッセ!それじゃあ無理でしょ!あたしにまで世話を焼かせようなんて・・・!
ナンガ、比瑪!どういうこと!?」
ナンガ 「オルファンの空域はどうなんだ?」
コモド 「グランチャーだってオルファンの動きに戸惑ってる」
ナンガ 「そうだろう」
コモド 「ラッセは良いのかい?」
ナンガ 「祈ってやってくれ」
コモド 「ナイルの女神、オヤに祈ってやる。本当に良いんだね?」
ナンガ 「ラッセが貧血症状でも連携プレイぐらいは出来るだろうさ。近いぞ!」
勇 「来るのか?ん?来る!」
ジョナサン 「ハハハハハ!伊佐未ファミリーは最早我が手の内!お前達も一挙に殲滅する!」
シラー 「格好良いよジョナサン!そういうジョナサンを待ってたんだ!」

マスコミA 「ノヴィス・ノアのブレンが攻撃に出たんだ!」
マスコミB 「停戦したんじゃない!はっきり映っている!」
マスコミA 「何考えてんだ!あいつ等は!」

クインシィ 「ジョナサンの動きは浮かれている。
この状況でノヴィス・ノア側が何も考えずにやられにくるものか!」
翠 「違うわよ、クインシィ。
彼は力に溢れているのよ。良きアンチボディ、抗体になっているんだわ」
クインシィ 「それが認めるべき現実というの?」

(アイキャッチ)

ラッセ 「俺は今回の勇の作戦は信じている。だからカナン達は牽制してくれるだけで良い!」
カナン 「オルファンの上の方に中枢神経のターミナルがあるというのが勇の情報。
ファミリーでなかったあたしには教えてもらってなかったこと・・・うっ?」
ナンガ 「良いぞぉカナン!一気にオルファンの頭に接近しろ!」
ヒギンズ 「頭の中枢を攻撃すると見せて、本当の攻撃目標は海面下!」
ヒギンズ 「あたしの男が乗ってんだ。簡単に死なせやしない!」
比瑪 「勇は重装備なんだから前へ出過ぎないで!」
勇 「そんなリーチをとった攻撃では消耗するだけだ!
ラッセは降下している。急がないと・・・・・ジョナサン!」
ジョナサン 「のこのこ出てきて、今度はオルファンを沈めようという魂胆か!」
勇 「オーガニック的なものが影響しあってるんだ!む
ジョナサン 「こういう力が発生するのか!」
ジョナサン 「ぐわあああ!」
勇 「よーしブレン!お前の気力があの爆発を力あるものにしてる。
もひとつ!いけー!」
ラッセ 「勇?もう仕掛けたのか?この爆発はノーマルじゃない、チャクラがある!」
勇 「うおおおお!」
勇 「もっとだ!もっと爆発のエネルギーを正面にまとめて、集中させろ!」
勇 「うわあああ!」
比瑪 「勇!」
比瑪 「勇!ブレンをバラバラにする気?何をやったの今!?」
勇 「説明は後だ。ヒギンズ達は?」
比瑪 「作戦通りやってる」
勇 「それで良い。ユウ・ブレンの身体をマッサージしてやってくれ」
比瑪 「分かってる!はっ!勇はこれと同じ事をラッセにさせようとしているんでしょ!」
勇 「ラッセは俺以上に覚悟があるんだ!俺だってオルファンを沈められるならバラバラになったって構わないと思ったけど、できなかった!」
比瑪 「勇・・・そういう覚悟を持っていたの!?」
勇 「馬鹿な家族をもってる俺は一人前の覚悟もできない男なんだ!」
比瑪 「甘ったれ屋さんのいくじなし!」
勇 「そうだ。おまえはそれで良いが、チームを崩すなよ!
ラッセ、どこだ!今の爆発は見えているな?」

ラッセ 「最後の衝撃は拡散したか。
勇、心配するな。俺のほうはちゃんとやってみせる!」
ラッセ 「こいつ等、オルファンの老廃物を餌にして集まっている。共存共栄できると思って良いのか?オルファンのオーガニック・エナジーの臨界なんていうのは全く心配してないんだな」
ラッセ 「レイトの野郎もぬけぬけと接近している。お互い女一人の為に命懸けて、馬鹿な事よ」

シラー 「ジョナサン大丈夫か?」
ジョナサン 「うっ」
シラー 「よ、よく今の爆発をくぐり抜けた」
ジョナサン 「今の爆発異常だぞ!後続の部隊はどうなってるんだ?」

レイト 「いつ攻撃されても文句が言えなくなったぞ」
キメリエスクルー 「はっ」
レイト 「第二波、第三波、一気に叩き込む!」
ラッセ 「おいおいスキンヘッドのお父さん。グランチャーの足を止める為にハッチを攻撃してくれるのは良いが、ちっとばかり早過ぎないか?
オルファンの急所は女のフィギュアだ。勇はそいつを俺に教えてくれて、上と下から攻撃しようって言ったんだぜ?」

フィジシストA 「的確に5つの発進口が撃破されました!」
クインシィ 「勇め!あいつオルファンの情報をノヴィス・ノアに売ったな?」
フィジシストA 「先程の上空の爆発で頭頂部に痺れがみえます!」
クインシィ 「ドクター研作はオルファンの循環器の保全、フィジシストにはグランチャーの別のルートの発進口を開発させろ!」
フィジシストA 「はい!」
クインシィ 「ドクター翠?」
フィジシストB 「交戦中ですよ?」
翠 「ジョナサンの動きが気になりますから・・・な、何です?」
クインシィ 「かすり傷とはいえ、オルファンが初めての痛みに身体を震わせてるというのに・・・!」
翠 「何です?」
クインシィ 「あんたという女は!」
翠 「うっ!あなたは!親にむかって!」
クインシィ 「子供を作れたから親が子の上なのか?子供は女と、男の屑以下の親の負債を抱えて、帳尻合わせに必死になっているんだ!雌をやっている暇があったら、オーガニック・エナジーの研究者らしい大人をやってみせろ!」
勇 「バイタル・ネットだ。
比瑪、ナンガ、カナン、ヒギンズ!お前達突っ込み過ぎだぞ!」
ジョナサン 「何弄ばれてんだ!たった4機のブレンだぞ!
い、いや、たった5機だ。シラー!勇のブレンは見えないか?」
シラー 「オルファンの巻き起こす雲で見えない・・・・いや、いた!」
ヒギンズ 「カナン、ナンガ!
敵はレイトのキメリエスの接近に気付いたんだ!」
ナンガ 「んにゃ、読まれたのは勇とラッセの作戦だ。
カナン、俺達が陽動をかけないと!」
カナン 「ラッセが潰される!?比瑪ちゃん!」
比瑪 「んなこと分かってますよ!てやあああ!
勇は病人を使い、病人は病人で一人前のつもりでぇ!」

シラー 「チャクラ光だが・・・オルファンのものじゃないぞ?」
ジョナサン 「何だあの光?ベルトになったチャクラ?」
勇 「このチャクラ・ベルト、グランチャーの2、3人ぐらいは金縛りに出来る!自爆もするぞ!それを覚悟なら降下してみろ!」
シラー 「あたしの部下が!」
ジョナサン 「同時に2機落としたのか?
勇!貴様ー!ブレンのオーガニック・エナジーをっ!」
勇 「ブレンと共に我のものにしたぁ!」

ラッセ 「あれが勇の言っていたフィギュアか」
ラッセ 「あの馬鹿、何で来た・・・」
カナン 「ラッセ、できるの?」
ラッセ 「見れば分かるだろう。ああもはっきりとした目標があればな」
カナン 「でも大きなものよ。そのランチャーぐらいじゃ・・・ラ、ラッセ?どうしたの?」
カナン 「ラッセ、まさか特攻・・・カミカゼをやるんじゃ・・・」
ラッセ 「ブレンが離れろと言ってる、俺じゃない。
それにあれを見ろ。急所が丸出しと見えるあれは、オルファンがオーガニックなるものである証拠だ。問題なのはあそこまでの距離だ。まだランチャーの射程距離にない。なのにかくもはっきりと見える・・・・・何?」
ラッセ 「太古からの恨み?ブレンのメッセージか?」
カナン 「オルファンに答えたのよ」
ラッセ 「そっちにも?」
カナン 「こちらには”やれ”っていう文字が」
ラッセ 「俺のブレンに答えたか」
カナン 「唆されては駄目よ、ラッセ!」
ラッセ 「分かっている・・・何?ブレン!落ち着け!」
カナン 「ブレン!あの人を止めて!」
カナン 「ラッセー!!」
ラッセ 「うおおおお!!」

ジョナサン 「勇が仕掛けた攻撃!?」
シラー 「海中からやったのか?」
ナンガ 「やっちまったのか?ラッセの野郎!」
ヒギンズ 「カナン!止められなかったの?」
比瑪 「ラッセにカミカゼをやらせたの!?勇は!?」
勇 「誰がそんなことを勧めるか!」

ラッセ 「うおおおお!!」
カナン 「あああー!!」

ジョナサン 「見えたぞ!あれはブレンパワードの自殺だ!」
ジョナサン 「なっ、なんだぁー!」

カナン 「ラッセ!ラッセ!!
はっ!あれ!」
カナン 「ラッセ・・・!」
ラッセ 「カナン・・・」
カナン 「ラッセ、良かった・・・」
ラッセ 「お、俺はどうしたんだ?ブレンは・・・」
カナン 「自爆したわ、まるで意思あるもののように」

ラッセ 「オルファンは無傷か・・・」
カナン 「でも、動きは止まっているわ」

翠 「ジョナサンが行方不明だというのか?何故です?」
クインシィ 「情念もオーガニック・パワーだな、気の多いジョナサン。他の所に女を探しに行ったんだろう?ははははは!」
翠 「馬鹿おっしゃい・・・!」



第14話「魂は孤独?」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201110092210542195/
 →第16話「招かれざる客」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201201262014521372/

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