ブレンパワード 全台詞集 第22話「乾坤一擲」
2012年9月1日 ブレンパワード全台詞集脚本:浅川美也 絵コンテ・演出:森邦宏 作画監督:瀬尾康博
比瑪
(ナレーション) 「ゲイブリッジさんだって、始めから分かってたっていう作戦じゃなかったと思う。それにしてもノヴィス・ノアを狙ったミサイルがオルファンに向かった!爆発させたらノヴィス・ノアがアメリカの敵になっちゃうから、っていうんで皆で止めちゃったんだよねえ。どうしてこうなる?さあねえ…」
勇 「くうっ!落ちるな、ネリー・ブレン!」
勇 「ミサイルと同じ所に飛ばされたのか。ネリー・ブレンが飛ばされたんだ、他のブレンとグランチャーは・・・うっ!?」
勇 「ううっ!姉さん、大丈夫か!?」
作業員A 「ああ!こっちに来るぞ!」
作業員B 「に、逃げろー!ぶつかるぞー!」
勇 「姉さん!ネリー・ブレン、止まれ!」
勇 「ぶつかったぐらいじゃ爆発はしなかったろうが・・・放射性物質が飛び出しちまえば・・・ん?」
クインシィ 「愛しているんだね、勇」
勇 「え?」
クインシィ 「オルファンを愛しているのは当り前だよね。勇だって7年間暮らしてきた所なんだものね。助けてくれてありがとうよ」
勇 「姉さん・・・?」
アカリ 「比瑪姉ちゃんも勇も大丈夫かな?」
ユキオ 「帰ってくるさ」
クマゾー 「あ!も!」
クマゾー 「勇だも!」
アカリ 「二人ともグランチャーじゃないの?あれ?」
ユキオ 「雰囲気は雰囲気はブレンだよ、一人の方は」
アカリ 「来るよ!?」
クマゾー 「グランチャー!」
ユキオ 「艦長に知らせよう!」
クマゾー 「艦長ー!」
クマゾー 「グランも!うわっ!」
ユキオ 「大丈夫だって。あの二人ヘトヘトになってる」
クインシィ 「うっ!・・・こ、ここは」
勇 「くっ!姉さん!どういう具合なんだ!?」
アカリ 「グランチャーのパイロットが落ちた?」
ユキオ 「もう一人は?」
ユキオ 「あ!」
クマゾー 「うっ!」
勇 「疲れてるだけ?」
クインシィ 「恥かしいがね・・・それよりもグランチャーと勇の新しいブレンの方が、もっと疲れている」
クマゾー 「勇の?」
アカリ 「新しいブレン」
ユキオ 「これか」
カナン 「お姉さんの具合、そんなに悪いの?」
勇 「いや、心理テストを受けているんだよ」
カナン 「アイリーンはクインシィをノヴィス・ノアへ置くつもりかしら」
勇 「姉さんはもうクインシィじゃない」
カナン 「期待する勇の気持ちも解るけど、そう簡単に心を入れ替えると思えないわ」
勇 「そうだとしても、ここにいれば変わるさ」
カナン 「そうかしら?」
勇 「今のノヴィス・ノアって孤児院じゃないか。でも、だからこそオーガニックエナジーに溢れてる。そういう中で暮らせば・・・」
カナン 「相手はクインシィ・イッサーよ。典型的にオルファンに強化された・・・」
勇 「人間は憎悪だけでは生きられないって比瑪は教えてくれた。信じても良いじゃないか」
カナン 「甘いわ、勇!あなたはオルファンを捨てる時に家族も捨てたんでしょ!それなのに結局肉親離れ出来ないの!?しっかりしてよ!」
勇 「家族のいないカナンに俺の気持ちが解るか!」
カナン 「・・・ううっ・・・」
勇 「カナン・・・ごめん」
カナン 「くっ!」
カナン 「だったら何故逃げたの!?あんなにまでして何故オルファンを出てきたの!」
カナン 「はっ・・・」
アイリーン 「どうしたの?」
カナン 「いえ・・・」
勇 「いいんです」
アイリーン 「カナンさん?」
クインシィ 「そこにいたの?」
勇 「そりゃあ・・・」
クインシィ 「赤くなってる」
アイリーン 「お姉さんのテスト、合格よ」
勇 「本当に!?良かった!」
クインシィ 「ふふっ。この船の所為よ、イライラしない」
勇 「依衣子姉さん!」
クインシィ 「ふふ、どうしたんだよ。興奮するんじゃないよ」
勇 「あははは!」
クインシィ 「ふふふ」
デッキクルーA 「天神さーん、天神・・・うわっと!何で何で急に閉めんだよ!?」
デッキクルーB 「おまえが嫌いだってさ」
デッキクルーA 「何で!」
デッキクルーB 「ブレンは人を見るのさ」
デッキクルーA 「擦り方不味かったかな?」
子供A 「ねえ、何でこんなに獲れるの?」
子供B 「プレートの近くだと早く育つんだって」
子供A 「へえー」
アカリ 「これに着替えて」
クマゾー 「も!」
クインシィ 「ありがとう」
ユキオ 「更衣室に連れてったら?」
アカリ 「うん」
ユキオ 「勇はネリー・ブレンの所へ戻ってやんなよ」
勇 「でも姉さんはまだ・・・」
ユキオ 「そうかな?元気そうだし。ここの子達と仲良くなるのに弟の勇がいるより、俺達といる方が皆だって話し易いだろ」
クマゾー 「仲良し」
ユキオ 「ま、俺達に任せとけって」
アカリ 「じゃあ依衣子ちゃんはこの辺りをお願い」
クインシィ 「分かったわ」
アカリ 「クマゾーは一緒に種蒔きね」
ユキオ 「あんまり無理しなくていいからね」
ユキオ 「何か分かんない事あったら、声かけて」
クインシィ 「ありがとう」
クインシィ 「畑仕事をやるなんてもう一生無いって思っていたから、まぁグランチャーの体力が回復するまでの間だ。どこに保管されているんだ?・・・ん?」
子供C 「あのお姉ちゃん」
子供D 「鍬使えてるよ」
クインシィ 「なんだ?」
子供C 「依衣子お姉ちゃん凄いよ!どうして鍬を真っ直ぐ使えるの?」
子供E 「真っ直ぐだよ。どうして・・・なのー!?」
クインシィ 「ふん・・・」
子供F 「やり方教えてよ!教えて依衣子ちゃーん!お姉ちゃーん!」
子供達 「依・衣・子!依・衣・子!」
クインシィ 「口じゃなくって・・・手を動かせば良いんだー!」
子供達 「わあああ!」
アイリーン 「良い感じのようだけど」
勇 「オルファンにはこんなに子供達がいなかったんですよ」
アイリーン 「それでああなのね」
勇 「ええ。子供達のオーガニック・エナジーが・・・」
アイリーン 「依衣子が落ち着いてきたら試してみたい事があるのよ」
勇 「試したい事・・・ですか?」
ノヴィスクルーA 「ん・・・んん?」
クマゾー 「ふわああああ・・・うん」
クマゾー 「あっ!・・・ううう!」
クマゾー 「うわ・・・お化けぇ・・・うああ」
直子(回想) 「偉いってお兄さんが褒めてくださってるわ、クマゾー」
クマゾー 「直ばあちゃん・・・」
クマゾー 「何か聞こえた・・・ブレン達も」
クマゾー 「はっ!・・・うう・・・」
クマゾー 「つっ・・・うはあっ!」
クマゾー 「ブレン、僕読みたいも」
クマゾー 「漢字は・・・読めないも」
勇 「ふわー・・・んん」
勇 「何だよ、こんな時間に」
クマゾー 「ぷはあ・・・ブレン嫌いだも!嫌い!」
アイリーン 「あら、そりゃブレンだって好き嫌いはあるわ」
クマゾー 「いなくなれっていっぱいいっぱい言ってるも!ながーいお化け嫌いだも!」
アイリーン 「そのお化けは何なのかな?」
クマゾー 「ブレン、グラン嫌いだ!」
アイリーン 「うーん」
クマゾー 「はうう・・・」
勇 「アイリーンさん、俺見に行ってみるよ」
アイリーン 「お願いするわ」
勇 「どうもないじゃないか。ネリー・ブレンだって何も言ってなかったし」
クマゾー 「うん・・・」
勇 「また明日、ちゃんと調べるからさ。もう寝よう」
クマゾー 「・・・あっ、ううっ」
(アイキャッチ)
子供(※1) 「ご飯だぞ」
子供 「順番に食べさせる?」
ユキオ 「小さい子から食べさせるんだよ」
子供 「テーブルの所に行けよ」
アカリ 「石鹸を使って洗ってよね」
子供 「お風呂に入るんだから早く食べちゃいな」
クマゾー 「お風呂、順番。お風呂順番も!」
子供 「もういいよね。ちゃんと食べたわね?」
子供 「農機具は後で集めるからな!」
子供 「ちゃんと洗っとけって皆に言えよ」
クインシイ 「ふう」
子供 「わあドーナツだぞドーナツ!お兄さん頂戴よー!」
クインシイ 「ふう・・・ん?」
子供 「ドーナツだあ!」
ケイディ 「手は洗ったのか?ばい菌付いてたら食べさせないぞ?」
クインシィ 「あれは?」
ユキオ 「クマゾーも食べるか?」
クマゾー 「ドーナツ」
子供 「並ばなくちゃ駄目だってさ。数はあるんだし」
ケイディ 「俺、ドーナツの追加揚げてくるから」
食事配給係 「あいよ」
子供 「わーい」
クインシイ 「あいつ、ケイディに似ているが、何であいつがこんな所にいるんだ?」
子供 「お姉ちゃんも行こうよ!」
クインシイ 「お姉ちゃんは良いんだ。行っといで」
ケイディ 「ふふふーん♪」
ケイディ 「油揚げている時は危ないからね、もうすぐ出来るから向こうで待っててねぇ・・・こら!入ってきちゃ、わっ!」
クインシイ 「ケイディ!貴様こんな所で何をやっている!?」
ケイディ 「ク、クインシィ・イッサー!」
クインシイ 「ノヴィス・ノアに寝返ったか?」
ケイディ 「そ、そうではありません。自分は・・・自分はビー・プレートの存在を確認する為に独断で長期潜入を決意したのであります!」
クインシイ 「で、ビー・プレートの存在確認はどうなった?」
ケイディ 「じ、自分の見解では、どうもここの子供達がビー・プレートだと思われます」
クインシイ 「何だぁ?」
ケイディ 「自分はそう確信しております」
クインシイ 「・・・おめでたい奴だな」
ケイディ 「はっ。しかし、可能性として考慮する必要がありますから、今ノヴィス・ノアを・・・」
クインシイ 「沈めるつもりでここにいるのではない」
ケイディ 「は?ではどうして・・・」
アカリ 「依衣子姉ちゃん!」
クインシイ 「ん?」
アカリ 「アイリーンさんが呼んでる!」
クインシイ 「何?」
アカリ 「早い方が良いって!」
クインシイ 「分かった」
ケイディ 「あ・・・ああ?」
クインシイ 「この子達と、私の分のドーナツは取っておけよ。ふっ」
ケイディ 「はっ!・・・あれが本当にクインシィ・イッサーなのか?」
ヒギンズ 「元気無いわね、ラッセと喧嘩でもした?」
カナン 「そんなんじゃないわよ」
ヒギンズ 「レイト艦長は、もし私がブレンでオルファンに特攻をかけたらキメリエスで大陸まで乗り込んでくれるって」
カナン 「潜水艦で大陸に?」
ヒギンズ 「来ると言ったら来るわ。私はあの人を信じている。カナンだってそうでしょ?」
カナン 「・・・ああ、ラッセの事?」
ヒギンズ 「他に誰がいるのよ、喧嘩ぐらいで落ち込まないで」
カナン 「あ、違うのよ。本当にラッセの事じゃないの・・・ん?アイリーン艦長とクインシィ・イッサー?」
勇 「触ってくれても良いんだよ姉さん。これが新しい僕のブレンだ」
ユキオ 「ネリー・ブレンって言うんだけど、優しいんだ。グランチャーじゃないよ」
カナン 「アイリーンさんは完全にクインシィを信用しているんですか?」
アイリーン 「ブレンに乗せて試してるのよ」
カナン 「オルファンにいた頃のクインシィならブレンが受け付けないはずよね」
アイリーン 「医者としては気になるところだわ」
カナン 「勇が言うように、ここでの生活で彼女が変わってくれるのなら、あたし達の戦い方だって変わりますよ」
アイリーン 「ええ」
勇 「どう?スリットウェハーは変形してシートになってくれる」
クインシィ 「妙にフワフワして優しいんだな」
勇 「姉さんの今の気分を受けて反応してるんだよ」
クインシィ 「今の私の気持ち?」
勇 「そうさ。ネリー・ブレン!シャッターを閉めて」
勇 「俺の姉さんなんだ、よろしくな!ネリー・ブレン」
子供達 「依衣子ちゃーん!」
クインシィ 「ん?」
子供 「畑を放り出してブレンパワードに乗ってるー!」
子供 「こいつに畑仕事やらせるのー?」
子供 「ねえねえブレンに手伝わせてよー」
子供 「私も乗せて」
ユキオ 「あーあー、皆集まってきちゃって」
アイリーン 「良いわよ。依衣子さんもその方が気分が解れるでしょ?」
ユキオ 「お前達!乗るのは良いけど皆気を付けろよー!」
子供 「わああ!」
子供 「わーい上がったー!」
クインシィ 「ウェハーに掴まるんだ。手を上げたら危ないだろう?」
子供 「歩いてる!ブレンが歩いてるよ!」
勇 「俺のブレンを姉さんが動かしてるよ!」
クインシィ 「確かにこいつは心地が良い」
子供 「うわー、降りるぞー!」
クインシィ 「子供達の声も癇に障らないんだよね」
子供 「あはは、降りた降りたー」
カナン 「降ろした。反乱を起こすかもしれないと思ってたけど・・・」
アイリーン 「絶望したものじゃないわ」
カナン 「ええ」
勇 「頭とか、痛くない?姉さん」
クインシィ 「最高の調子の時のグランチャー並だね、良かったよ」
勇 「グランチャーみたいに無理強いしないところはずっと良いはずだけどな」
クインシィ 「グランチャーとだっておまえは解かり合えていたじゃないか!」
勇 「そりゃあそうだけど・・・」
クインシィ 「グランチャー達はね、人間を乗せなければ動く事が出来ない自分達を辛いと思っているんだよ!そういう心を解かろうとした事があったかい!?」
勇 「・・・だって!」
クインシィ 「無かったよな!あるわけない!」
勇 「あいつ等は強制してたから・・・!」
クインシィ 「解かろうとしてやれば、こんな所でブレンパワードに乗って気持ち良さそうに暮らしているわけがない!」
勇 「楽しい事ばかりあったわけじゃない!」
クインシィ 「それでもオルファンにいるよりは良かったんでしょう!?辛いから逃げたんでしょう!?残されたあたしの辛さなんか考えもしないで・・・!」
勇 「・・・だから何度も、俺はオルファンから出ろって言ったじゃないか!」
クインシィ 「どうして逃げられる!辛いからって私までいなくなる事なんて出来っこない!・・・うっ、くううっ・・・」
勇 「姉さん・・・」
アイリーン 「もう良いでしょう。依衣子さん」
アカリ 「どうしちゃったの?」
アイリーン 「大丈夫よ。ちょっとすればまた元の優しい依衣子さんに戻るから」
ユキオ 「よーし皆、畑仕事に戻ろう!」
カナン 「大丈夫?」
勇 「ああ。上手くいってるって思ったのに、カナンの言う通り俺甘かったね」
カナン 「あたしね、クインシィのあんな顔初めて見たわ。泣きそうな顔してた。あたしの知ってるクインシィはあんな顔で怒ったりはしない」
カナン 「慌てずに、もう少しゆっくり様子を見ましょう?」
勇 「ありがとう。・・・さぁ!畑仕事に戻るか!」
カナン 「あら?囲いが倒れちゃってるじゃない?」
勇 「しょうがねえな」
ヒギンズ 「比瑪ちゃんはまだ戻ってないけど、勇君にはカナンが付いているから大丈夫みたいね。彼も本当は心配でしょうに」
デッキクルーA 「天神さーんおーねーむー♪地の神さーんおーねーむ・・・」
ヒギンズ 「あ?畑が動いた?」
デッキクルーA 「どうかしました?」
ヒギンズ 「いえ、何でもないわ。あたしも疲れてるのかな?レイト艦長・・・」
勇 「カナン、ちょっとその辺にスコップ無いかな?」
カナン 「どうしたの?」
勇 「鍬が抜けないんだよ!」
カナン 「はあ?」
勇 「うわっ!くっ!」
カナン 「何!?ああっ!」
カナン 「何なの!?」
勇 「根っこのお化けだ。クマゾーも言ってた」
カナン 「ミミズのお化けじゃないの?」
勇 「冗談でしょ!この畑調べてるぞ!」
カナン 「その鍬で?」
勇 「あ・・・ブレンで調べる」
勇 「どうだ?」
勇 「もっと下だって言ったって・・・もう床が見えてるじゃないか」
ヒギンズ 「この下は第2格納庫でしょ?」
カナン 「そうだけど・・・」
勇 「出た!」
ヒギンズ 「ミミズじゃない!」
カナン 「そう!」
勇 「もう一匹!」
勇 「どこ行くつもりだ、あのフィン!」
カナン 「フィン?」
勇 「一本に見えるけど、枝分かれしてんじゃないのか?ヒギンズさん!」
ヒギンズ 「カナン!ブレンに乗りましょ!」
カナン 「ええ!」
クマゾー 「も!」
アカリ 「何か聞こえるね」
ユキオ 「何だ?音が動いてるぞ?」
ユキオ 「うわっ!」
アカリ 「うわあっ!」
クマゾー 「まーま!」
ユキオ 「わああ!」
アカリ 「いい!?何あれー!?」
ユキオ 「早く、皆に報せなきゃあ!」
クマゾー 「も!」
アカリ 「どこ行くの?クマゾー!」
ユキオ 「え?」
クインシィ 「ここに来てからの私、何だか変だ・・・どうぞ!」
クインシィ 「外からロックされているんだ。こっちからは開けられないよ」
クインシィ 「ケイディか?私と一緒に脱走するつもりになってくれたのか?」
クインシィ 「うっ!」
クインシィ 「おまえは!?」
クマゾー 「グランも!」
ユキオ 「クマゾーは正しかったんだ!」
アカリ 「グランチャーが怒ってる!」
クインシィ 「ずっと私を探していたんだな、おまえは」
クインシィ 「ようし!オルファンへ戻ろう!」
ユキオ 「逃げるんだ!依衣子さん!」
クインシィ 「あっ!来るんじゃない!お前達こそ・・・」
アカリ 「来るー!」
クマゾー 「わっ!」
クインシィ 「止めろ!」
ユキオ 「依衣子さんにも止めろ!」
アカリ 「襲うなー!」
クマゾー 「そうだ!」
クインシィ 「間違えるな!子供を殺したって大人のやった事をご破算になんか出来ないんだ!子供はオーガニック・エナジーの源なんだろ?・・・ああ、良い子だ」
勇 「よし!ネリー・ブレン今行くぞ!・・・あ?」
勇 「姉さんのグランチャー!」
勇 「カナン!」
ヒギンズ 「この化物!」
クインシィ 「待て!大人しく出ていくからこれ以上手出しするな!」
ヒギンズ 「出ていく?あの人が?」
クインシィ 「ここは退け!クインシィ・グランチャー!」
勇 「行っちゃ駄目だ!」
クインシィ 「離せ勇!」
勇 「行ったらオルファンの抗体、アンチボディになったままになるぞ!それで良いのか!?」
ヒギンズ 「勇!冷静になって!」
クインシィ 「離れろ勇!」
クインシィ 「何て事を・・・!」
ヒギンズ 「かかってくるなら、相手になる!」
クインシィ 「来るんじゃない!グラン!」
勇 「姉さんは渡さない!」
クインシィ 「来るな!パイロットがいなければ勝ち目は無い!相手は一人じゃないんだぞ!一人で逃げろ!」
クインシィ 「指が・・・ボロボロじゃないか!」
勇 「ヒギンズ!深追いはするな!」
クインシィ 「やめろ!逃がしてやってくれ!」
カナン 「あのクインシィがグランチャーを?」
ヒギンズ 「あのグランチャーを追って行けば、オルファンへ行ける・・・!」
ヒギンズ 「見ていてレイト。私がガバナーを倒して見せます!」
クインシィ 「飛べ、あたしの分身!世界を翔けろ!あたしの代わりに!おまえには、それが出来る!」
※:ノヴィスにおけるクインシィ=依衣子については、混乱を避ける為に全て「クインシィ」として表記しています。
※1:このシーン以降の子供達は数が多く把握できないので分類はしていません。
第21話「幻視錯綜」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201206011621314047/
→第23話「スイート・メモリーズ」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201209262147543171/
比瑪
(ナレーション) 「ゲイブリッジさんだって、始めから分かってたっていう作戦じゃなかったと思う。それにしてもノヴィス・ノアを狙ったミサイルがオルファンに向かった!爆発させたらノヴィス・ノアがアメリカの敵になっちゃうから、っていうんで皆で止めちゃったんだよねえ。どうしてこうなる?さあねえ…」
勇 「くうっ!落ちるな、ネリー・ブレン!」
勇 「ミサイルと同じ所に飛ばされたのか。ネリー・ブレンが飛ばされたんだ、他のブレンとグランチャーは・・・うっ!?」
勇 「ううっ!姉さん、大丈夫か!?」
作業員A 「ああ!こっちに来るぞ!」
作業員B 「に、逃げろー!ぶつかるぞー!」
勇 「姉さん!ネリー・ブレン、止まれ!」
勇 「ぶつかったぐらいじゃ爆発はしなかったろうが・・・放射性物質が飛び出しちまえば・・・ん?」
クインシィ 「愛しているんだね、勇」
勇 「え?」
クインシィ 「オルファンを愛しているのは当り前だよね。勇だって7年間暮らしてきた所なんだものね。助けてくれてありがとうよ」
勇 「姉さん・・・?」
アカリ 「比瑪姉ちゃんも勇も大丈夫かな?」
ユキオ 「帰ってくるさ」
クマゾー 「あ!も!」
クマゾー 「勇だも!」
アカリ 「二人ともグランチャーじゃないの?あれ?」
ユキオ 「雰囲気は雰囲気はブレンだよ、一人の方は」
アカリ 「来るよ!?」
クマゾー 「グランチャー!」
ユキオ 「艦長に知らせよう!」
クマゾー 「艦長ー!」
クマゾー 「グランも!うわっ!」
ユキオ 「大丈夫だって。あの二人ヘトヘトになってる」
クインシィ 「うっ!・・・こ、ここは」
勇 「くっ!姉さん!どういう具合なんだ!?」
アカリ 「グランチャーのパイロットが落ちた?」
ユキオ 「もう一人は?」
ユキオ 「あ!」
クマゾー 「うっ!」
勇 「疲れてるだけ?」
クインシィ 「恥かしいがね・・・それよりもグランチャーと勇の新しいブレンの方が、もっと疲れている」
クマゾー 「勇の?」
アカリ 「新しいブレン」
ユキオ 「これか」
カナン 「お姉さんの具合、そんなに悪いの?」
勇 「いや、心理テストを受けているんだよ」
カナン 「アイリーンはクインシィをノヴィス・ノアへ置くつもりかしら」
勇 「姉さんはもうクインシィじゃない」
カナン 「期待する勇の気持ちも解るけど、そう簡単に心を入れ替えると思えないわ」
勇 「そうだとしても、ここにいれば変わるさ」
カナン 「そうかしら?」
勇 「今のノヴィス・ノアって孤児院じゃないか。でも、だからこそオーガニックエナジーに溢れてる。そういう中で暮らせば・・・」
カナン 「相手はクインシィ・イッサーよ。典型的にオルファンに強化された・・・」
勇 「人間は憎悪だけでは生きられないって比瑪は教えてくれた。信じても良いじゃないか」
カナン 「甘いわ、勇!あなたはオルファンを捨てる時に家族も捨てたんでしょ!それなのに結局肉親離れ出来ないの!?しっかりしてよ!」
勇 「家族のいないカナンに俺の気持ちが解るか!」
カナン 「・・・ううっ・・・」
勇 「カナン・・・ごめん」
カナン 「くっ!」
カナン 「だったら何故逃げたの!?あんなにまでして何故オルファンを出てきたの!」
カナン 「はっ・・・」
アイリーン 「どうしたの?」
カナン 「いえ・・・」
勇 「いいんです」
アイリーン 「カナンさん?」
クインシィ 「そこにいたの?」
勇 「そりゃあ・・・」
クインシィ 「赤くなってる」
アイリーン 「お姉さんのテスト、合格よ」
勇 「本当に!?良かった!」
クインシィ 「ふふっ。この船の所為よ、イライラしない」
勇 「依衣子姉さん!」
クインシィ 「ふふ、どうしたんだよ。興奮するんじゃないよ」
勇 「あははは!」
クインシィ 「ふふふ」
デッキクルーA 「天神さーん、天神・・・うわっと!何で何で急に閉めんだよ!?」
デッキクルーB 「おまえが嫌いだってさ」
デッキクルーA 「何で!」
デッキクルーB 「ブレンは人を見るのさ」
デッキクルーA 「擦り方不味かったかな?」
子供A 「ねえ、何でこんなに獲れるの?」
子供B 「プレートの近くだと早く育つんだって」
子供A 「へえー」
アカリ 「これに着替えて」
クマゾー 「も!」
クインシィ 「ありがとう」
ユキオ 「更衣室に連れてったら?」
アカリ 「うん」
ユキオ 「勇はネリー・ブレンの所へ戻ってやんなよ」
勇 「でも姉さんはまだ・・・」
ユキオ 「そうかな?元気そうだし。ここの子達と仲良くなるのに弟の勇がいるより、俺達といる方が皆だって話し易いだろ」
クマゾー 「仲良し」
ユキオ 「ま、俺達に任せとけって」
アカリ 「じゃあ依衣子ちゃんはこの辺りをお願い」
クインシィ 「分かったわ」
アカリ 「クマゾーは一緒に種蒔きね」
ユキオ 「あんまり無理しなくていいからね」
ユキオ 「何か分かんない事あったら、声かけて」
クインシィ 「ありがとう」
クインシィ 「畑仕事をやるなんてもう一生無いって思っていたから、まぁグランチャーの体力が回復するまでの間だ。どこに保管されているんだ?・・・ん?」
子供C 「あのお姉ちゃん」
子供D 「鍬使えてるよ」
クインシィ 「なんだ?」
子供C 「依衣子お姉ちゃん凄いよ!どうして鍬を真っ直ぐ使えるの?」
子供E 「真っ直ぐだよ。どうして・・・なのー!?」
クインシィ 「ふん・・・」
子供F 「やり方教えてよ!教えて依衣子ちゃーん!お姉ちゃーん!」
子供達 「依・衣・子!依・衣・子!」
クインシィ 「口じゃなくって・・・手を動かせば良いんだー!」
子供達 「わあああ!」
アイリーン 「良い感じのようだけど」
勇 「オルファンにはこんなに子供達がいなかったんですよ」
アイリーン 「それでああなのね」
勇 「ええ。子供達のオーガニック・エナジーが・・・」
アイリーン 「依衣子が落ち着いてきたら試してみたい事があるのよ」
勇 「試したい事・・・ですか?」
ノヴィスクルーA 「ん・・・んん?」
クマゾー 「ふわああああ・・・うん」
クマゾー 「あっ!・・・ううう!」
クマゾー 「うわ・・・お化けぇ・・・うああ」
直子(回想) 「偉いってお兄さんが褒めてくださってるわ、クマゾー」
クマゾー 「直ばあちゃん・・・」
クマゾー 「何か聞こえた・・・ブレン達も」
クマゾー 「はっ!・・・うう・・・」
クマゾー 「つっ・・・うはあっ!」
クマゾー 「ブレン、僕読みたいも」
クマゾー 「漢字は・・・読めないも」
勇 「ふわー・・・んん」
勇 「何だよ、こんな時間に」
クマゾー 「ぷはあ・・・ブレン嫌いだも!嫌い!」
アイリーン 「あら、そりゃブレンだって好き嫌いはあるわ」
クマゾー 「いなくなれっていっぱいいっぱい言ってるも!ながーいお化け嫌いだも!」
アイリーン 「そのお化けは何なのかな?」
クマゾー 「ブレン、グラン嫌いだ!」
アイリーン 「うーん」
クマゾー 「はうう・・・」
勇 「アイリーンさん、俺見に行ってみるよ」
アイリーン 「お願いするわ」
勇 「どうもないじゃないか。ネリー・ブレンだって何も言ってなかったし」
クマゾー 「うん・・・」
勇 「また明日、ちゃんと調べるからさ。もう寝よう」
クマゾー 「・・・あっ、ううっ」
(アイキャッチ)
子供(※1) 「ご飯だぞ」
子供 「順番に食べさせる?」
ユキオ 「小さい子から食べさせるんだよ」
子供 「テーブルの所に行けよ」
アカリ 「石鹸を使って洗ってよね」
子供 「お風呂に入るんだから早く食べちゃいな」
クマゾー 「お風呂、順番。お風呂順番も!」
子供 「もういいよね。ちゃんと食べたわね?」
子供 「農機具は後で集めるからな!」
子供 「ちゃんと洗っとけって皆に言えよ」
クインシイ 「ふう」
子供 「わあドーナツだぞドーナツ!お兄さん頂戴よー!」
クインシイ 「ふう・・・ん?」
子供 「ドーナツだあ!」
ケイディ 「手は洗ったのか?ばい菌付いてたら食べさせないぞ?」
クインシィ 「あれは?」
ユキオ 「クマゾーも食べるか?」
クマゾー 「ドーナツ」
子供 「並ばなくちゃ駄目だってさ。数はあるんだし」
ケイディ 「俺、ドーナツの追加揚げてくるから」
食事配給係 「あいよ」
子供 「わーい」
クインシイ 「あいつ、ケイディに似ているが、何であいつがこんな所にいるんだ?」
子供 「お姉ちゃんも行こうよ!」
クインシイ 「お姉ちゃんは良いんだ。行っといで」
ケイディ 「ふふふーん♪」
ケイディ 「油揚げている時は危ないからね、もうすぐ出来るから向こうで待っててねぇ・・・こら!入ってきちゃ、わっ!」
クインシイ 「ケイディ!貴様こんな所で何をやっている!?」
ケイディ 「ク、クインシィ・イッサー!」
クインシイ 「ノヴィス・ノアに寝返ったか?」
ケイディ 「そ、そうではありません。自分は・・・自分はビー・プレートの存在を確認する為に独断で長期潜入を決意したのであります!」
クインシイ 「で、ビー・プレートの存在確認はどうなった?」
ケイディ 「じ、自分の見解では、どうもここの子供達がビー・プレートだと思われます」
クインシイ 「何だぁ?」
ケイディ 「自分はそう確信しております」
クインシイ 「・・・おめでたい奴だな」
ケイディ 「はっ。しかし、可能性として考慮する必要がありますから、今ノヴィス・ノアを・・・」
クインシイ 「沈めるつもりでここにいるのではない」
ケイディ 「は?ではどうして・・・」
アカリ 「依衣子姉ちゃん!」
クインシイ 「ん?」
アカリ 「アイリーンさんが呼んでる!」
クインシイ 「何?」
アカリ 「早い方が良いって!」
クインシイ 「分かった」
ケイディ 「あ・・・ああ?」
クインシイ 「この子達と、私の分のドーナツは取っておけよ。ふっ」
ケイディ 「はっ!・・・あれが本当にクインシィ・イッサーなのか?」
ヒギンズ 「元気無いわね、ラッセと喧嘩でもした?」
カナン 「そんなんじゃないわよ」
ヒギンズ 「レイト艦長は、もし私がブレンでオルファンに特攻をかけたらキメリエスで大陸まで乗り込んでくれるって」
カナン 「潜水艦で大陸に?」
ヒギンズ 「来ると言ったら来るわ。私はあの人を信じている。カナンだってそうでしょ?」
カナン 「・・・ああ、ラッセの事?」
ヒギンズ 「他に誰がいるのよ、喧嘩ぐらいで落ち込まないで」
カナン 「あ、違うのよ。本当にラッセの事じゃないの・・・ん?アイリーン艦長とクインシィ・イッサー?」
勇 「触ってくれても良いんだよ姉さん。これが新しい僕のブレンだ」
ユキオ 「ネリー・ブレンって言うんだけど、優しいんだ。グランチャーじゃないよ」
カナン 「アイリーンさんは完全にクインシィを信用しているんですか?」
アイリーン 「ブレンに乗せて試してるのよ」
カナン 「オルファンにいた頃のクインシィならブレンが受け付けないはずよね」
アイリーン 「医者としては気になるところだわ」
カナン 「勇が言うように、ここでの生活で彼女が変わってくれるのなら、あたし達の戦い方だって変わりますよ」
アイリーン 「ええ」
勇 「どう?スリットウェハーは変形してシートになってくれる」
クインシィ 「妙にフワフワして優しいんだな」
勇 「姉さんの今の気分を受けて反応してるんだよ」
クインシィ 「今の私の気持ち?」
勇 「そうさ。ネリー・ブレン!シャッターを閉めて」
勇 「俺の姉さんなんだ、よろしくな!ネリー・ブレン」
子供達 「依衣子ちゃーん!」
クインシィ 「ん?」
子供 「畑を放り出してブレンパワードに乗ってるー!」
子供 「こいつに畑仕事やらせるのー?」
子供 「ねえねえブレンに手伝わせてよー」
子供 「私も乗せて」
ユキオ 「あーあー、皆集まってきちゃって」
アイリーン 「良いわよ。依衣子さんもその方が気分が解れるでしょ?」
ユキオ 「お前達!乗るのは良いけど皆気を付けろよー!」
子供 「わああ!」
子供 「わーい上がったー!」
クインシィ 「ウェハーに掴まるんだ。手を上げたら危ないだろう?」
子供 「歩いてる!ブレンが歩いてるよ!」
勇 「俺のブレンを姉さんが動かしてるよ!」
クインシィ 「確かにこいつは心地が良い」
子供 「うわー、降りるぞー!」
クインシィ 「子供達の声も癇に障らないんだよね」
子供 「あはは、降りた降りたー」
カナン 「降ろした。反乱を起こすかもしれないと思ってたけど・・・」
アイリーン 「絶望したものじゃないわ」
カナン 「ええ」
勇 「頭とか、痛くない?姉さん」
クインシィ 「最高の調子の時のグランチャー並だね、良かったよ」
勇 「グランチャーみたいに無理強いしないところはずっと良いはずだけどな」
クインシィ 「グランチャーとだっておまえは解かり合えていたじゃないか!」
勇 「そりゃあそうだけど・・・」
クインシィ 「グランチャー達はね、人間を乗せなければ動く事が出来ない自分達を辛いと思っているんだよ!そういう心を解かろうとした事があったかい!?」
勇 「・・・だって!」
クインシィ 「無かったよな!あるわけない!」
勇 「あいつ等は強制してたから・・・!」
クインシィ 「解かろうとしてやれば、こんな所でブレンパワードに乗って気持ち良さそうに暮らしているわけがない!」
勇 「楽しい事ばかりあったわけじゃない!」
クインシィ 「それでもオルファンにいるよりは良かったんでしょう!?辛いから逃げたんでしょう!?残されたあたしの辛さなんか考えもしないで・・・!」
勇 「・・・だから何度も、俺はオルファンから出ろって言ったじゃないか!」
クインシィ 「どうして逃げられる!辛いからって私までいなくなる事なんて出来っこない!・・・うっ、くううっ・・・」
勇 「姉さん・・・」
アイリーン 「もう良いでしょう。依衣子さん」
アカリ 「どうしちゃったの?」
アイリーン 「大丈夫よ。ちょっとすればまた元の優しい依衣子さんに戻るから」
ユキオ 「よーし皆、畑仕事に戻ろう!」
カナン 「大丈夫?」
勇 「ああ。上手くいってるって思ったのに、カナンの言う通り俺甘かったね」
カナン 「あたしね、クインシィのあんな顔初めて見たわ。泣きそうな顔してた。あたしの知ってるクインシィはあんな顔で怒ったりはしない」
カナン 「慌てずに、もう少しゆっくり様子を見ましょう?」
勇 「ありがとう。・・・さぁ!畑仕事に戻るか!」
カナン 「あら?囲いが倒れちゃってるじゃない?」
勇 「しょうがねえな」
ヒギンズ 「比瑪ちゃんはまだ戻ってないけど、勇君にはカナンが付いているから大丈夫みたいね。彼も本当は心配でしょうに」
デッキクルーA 「天神さーんおーねーむー♪地の神さーんおーねーむ・・・」
ヒギンズ 「あ?畑が動いた?」
デッキクルーA 「どうかしました?」
ヒギンズ 「いえ、何でもないわ。あたしも疲れてるのかな?レイト艦長・・・」
勇 「カナン、ちょっとその辺にスコップ無いかな?」
カナン 「どうしたの?」
勇 「鍬が抜けないんだよ!」
カナン 「はあ?」
勇 「うわっ!くっ!」
カナン 「何!?ああっ!」
カナン 「何なの!?」
勇 「根っこのお化けだ。クマゾーも言ってた」
カナン 「ミミズのお化けじゃないの?」
勇 「冗談でしょ!この畑調べてるぞ!」
カナン 「その鍬で?」
勇 「あ・・・ブレンで調べる」
勇 「どうだ?」
勇 「もっと下だって言ったって・・・もう床が見えてるじゃないか」
ヒギンズ 「この下は第2格納庫でしょ?」
カナン 「そうだけど・・・」
勇 「出た!」
ヒギンズ 「ミミズじゃない!」
カナン 「そう!」
勇 「もう一匹!」
勇 「どこ行くつもりだ、あのフィン!」
カナン 「フィン?」
勇 「一本に見えるけど、枝分かれしてんじゃないのか?ヒギンズさん!」
ヒギンズ 「カナン!ブレンに乗りましょ!」
カナン 「ええ!」
クマゾー 「も!」
アカリ 「何か聞こえるね」
ユキオ 「何だ?音が動いてるぞ?」
ユキオ 「うわっ!」
アカリ 「うわあっ!」
クマゾー 「まーま!」
ユキオ 「わああ!」
アカリ 「いい!?何あれー!?」
ユキオ 「早く、皆に報せなきゃあ!」
クマゾー 「も!」
アカリ 「どこ行くの?クマゾー!」
ユキオ 「え?」
クインシィ 「ここに来てからの私、何だか変だ・・・どうぞ!」
クインシィ 「外からロックされているんだ。こっちからは開けられないよ」
クインシィ 「ケイディか?私と一緒に脱走するつもりになってくれたのか?」
クインシィ 「うっ!」
クインシィ 「おまえは!?」
クマゾー 「グランも!」
ユキオ 「クマゾーは正しかったんだ!」
アカリ 「グランチャーが怒ってる!」
クインシィ 「ずっと私を探していたんだな、おまえは」
クインシィ 「ようし!オルファンへ戻ろう!」
ユキオ 「逃げるんだ!依衣子さん!」
クインシィ 「あっ!来るんじゃない!お前達こそ・・・」
アカリ 「来るー!」
クマゾー 「わっ!」
クインシィ 「止めろ!」
ユキオ 「依衣子さんにも止めろ!」
アカリ 「襲うなー!」
クマゾー 「そうだ!」
クインシィ 「間違えるな!子供を殺したって大人のやった事をご破算になんか出来ないんだ!子供はオーガニック・エナジーの源なんだろ?・・・ああ、良い子だ」
勇 「よし!ネリー・ブレン今行くぞ!・・・あ?」
勇 「姉さんのグランチャー!」
勇 「カナン!」
ヒギンズ 「この化物!」
クインシィ 「待て!大人しく出ていくからこれ以上手出しするな!」
ヒギンズ 「出ていく?あの人が?」
クインシィ 「ここは退け!クインシィ・グランチャー!」
勇 「行っちゃ駄目だ!」
クインシィ 「離せ勇!」
勇 「行ったらオルファンの抗体、アンチボディになったままになるぞ!それで良いのか!?」
ヒギンズ 「勇!冷静になって!」
クインシィ 「離れろ勇!」
クインシィ 「何て事を・・・!」
ヒギンズ 「かかってくるなら、相手になる!」
クインシィ 「来るんじゃない!グラン!」
勇 「姉さんは渡さない!」
クインシィ 「来るな!パイロットがいなければ勝ち目は無い!相手は一人じゃないんだぞ!一人で逃げろ!」
クインシィ 「指が・・・ボロボロじゃないか!」
勇 「ヒギンズ!深追いはするな!」
クインシィ 「やめろ!逃がしてやってくれ!」
カナン 「あのクインシィがグランチャーを?」
ヒギンズ 「あのグランチャーを追って行けば、オルファンへ行ける・・・!」
ヒギンズ 「見ていてレイト。私がガバナーを倒して見せます!」
クインシィ 「飛べ、あたしの分身!世界を翔けろ!あたしの代わりに!おまえには、それが出来る!」
※:ノヴィスにおけるクインシィ=依衣子については、混乱を避ける為に全て「クインシィ」として表記しています。
※1:このシーン以降の子供達は数が多く把握できないので分類はしていません。
第21話「幻視錯綜」←
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201206011621314047/
→第23話「スイート・メモリーズ」
https://ishikobafuji.diarynote.jp/201209262147543171/
コメント